JPS582008B2 - 歯車創成用球形ホブ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は球形をなすインボリュートおよびその他の歯形
を有する歯車創成用のホブに関するものである。

従来、歯車の削出しに最も一般的に使用されているのは
円筒形ホブであるが、この円筒形ホブは外歯車の切削だ
けで内歯車の削出しはできず、内歯車の削出しは主とし
てピニオン形カッタを用いてギヤセーパーで行なってい
た。

この外にごく一部では定位置ホブ、シングルカッターが
用いられていた。

ギヤセーパーによる歯切りはホブ切りに比べて歯切能率
、歯切精度ともに悪い。

定位置ホブ、あるいはシングルカッターによる歯切りは
歯切精度が悪く、創成仕上げするホブに比べて工具の寿
命が短い。

本発明の目的は球面上のねじ面に切刃を設けることによ
り連続して創成ホブ切りのでき、前記のような問題点を
解消できる歯車創成用球形ホブを提供するにある。

以下本発明を具体化した一実施態様を図面について説明
すると、この実施態様の球形ホブ１はインボリュート歯
形の平歯車およびはすば歯車創成用であって、球形の両
側が互いに平行に切落とされた形状をなし、球の中心を
通る軸線を中心に回転させながら、インボリュート歯車
の歯溝の形を現すバイトもしくは砥石を前記球の中心を
中心として軸線を通る平面に沿って一定速度で回動させ
ることにより、球の外周にねじ面を形成し、さらに軸心
を含む平面で、円周を等分割して数個あるいは数十個の
切刃溝５を入れている。

このとき球体の外径はＤ０＝ｍ・Ｎ＋２．５・ｍ＋増径
量（ｍはモジュール、Ｎはホブの回転によって現わす仮
想歯車の歯数）、バイト又は砥石の回転はホブ１回転に
つき 中心角 である。

（第２図参照）従って、この球形ホブ１はインボリュー
ト歯形の切刃４ａを有するホブ刃４が球面上において螺
旋状に連続しているので、この球形ホブ１を軸心を中心
として回転することにより同軸心を含む平面上にはモジ
ュールｍ、歯数Ｎの仮想のインボリュート歯車の回転を
表わすようにホブの切刃４ａが次々に表われる。

又、このホブ１の軸心にはホブ軸取付用の取付孔３が貫
設されている。

球形ホブ刃４の外周面４ｂ及び両側面４ｃには第３図ａ
−ｃに示すように、それぞれ２番（以下外周面４ｂ側を
外周２番面、側面４ｃ側を側面２番面という）が取られ
ている。

なお、前記切刃面４ｄのすくい角は０度である。

従って、この球形ホブ１を軸心を中心として切削方向に
回転させて軸心を通る平面にインボリュート歯車の回転
が表われるようにし、この仮想歯車と噛合う創成運動を
歯車素材に与えるとともに球形ホブ１を歯車素材の軸方
向に送ることにより第７図に示すように任意の歯数の内
歯車を創成仕上げすることができる。

この球形ホブ１はインボリュート歯車の回転を表わす球
形にしたことにより、内歯車の創成ホブ切りを可能とし
、同系統、同モジュールのホブ１ケで歯数の異なる大小
の内歯車のホブ切りが可能となる。

内歯車のホブ切り用ホブとして従来発表されている定位
置ホブは１ケのホブで歯数の異なる内歯車は切削できな
い。

また成形歯切りとなるから仕上刃の損傷は直ちに歯車の
精度に影響し、またその仕切刃の歯車材に対する位置決
めを厳密に行なわねばならない。

その精度によって歯車の歯形精度が決まる。

成形ホブ切りを行なう定位置ホブに比べ創成ホブ切りの
できる球形ホブの性能は画期的に向上する。

なお内歯車を創成ホブ切りのできるホブとしては樽形ホ
ブ（いわゆるバレル形ホブ）が従来発表されているがこ
のホブは製作が難しく実用されていない。

従ってホブの精度を高めることも極めて困難である。

これに比べると球形ホブはピッチ円周の中心とホブの本
体の回転の中心を一致しているので製作が容易で、理論
的な正しいものの製作が可能となる。

次に、前述した外周２番と側面２番との関係を説明する
。

ホブが摩耗したとき、第４図ａに示すように中心角θ分
だけ切刃面４ｄを再研削してホブの外周が△Ｘ小さくな
ったとする。

この再研削されたホブで切削した歯車が再研削される前
のホブで切削した歯車と同じ歯形、同じ歯厚となるよう
に側面２番をとる。

それには第４図ａに示すように再研削前の刃形ａ′ｂ′
と再研削後のａ″ｂ″が同じ基礎円から出たインボリュ
ート曲線で、ａ″ｂ″はａ′ｂ′を仮想歯車の歯数Ｎの
ピッチ円に沿って回転させたものであればよい。

そこでインボリュート歯形ａ′ｂ′を現わすバイト又は
砥石を球の中心を中心として円周方向に回転させること
により２番取り運動を行なわせてホブを製作する。

すなわち歯車材外周から所定量だけ切込んで削られた歯
車の歯厚が常に同じになるためには、その側面２番取量
△Ｓは △Ｓ＝△Ｘｔａｎα（αは基準圧力角） この式から側面２番角を定める。

（第４図ｂ参照）そして、△Ｓだけ薄くなるようにする
ための側面２番角ε０の値は、第５図に示すように、△
Ｘだけ下がるためのホブ１の回転角をθ、回転角θに対
するピッチ円Ｐ，Ｃ上の点の移動量Ｃ、ピッチ円の半径
をｒ０とすると、 で表わされる。

すなわち、側面２番面４ｃはそれぞれこの角度ε０ピツ
チ円Ｐ，Ｃ、に沿って削り取られた２番が形成されてい
る。

このように、外周２番によってホブ刃１の外周面４ｂが
下った分だけ転位するように側面２番が取られているの
で、切味が悪くなったら、すくい角の角度が変わらない
ように切刃面４ｄを再研削をすることにより、切刃面４
ｄには再研削前の歯形から外周２番の下った分だけ転位
して薄くなった歯形が表われ、再研削前と変わらぬ歯形
の歯車をホブ切りすることができる。

なお、本発明は前記実施態様に限定されるものではなく
、次のような態様で具体化してもよい。

（イ）切刃溝を球の中心を通る平面で軸線に対して斜め
に角度をつけて入れること。

このようにすれば、いわゆる正面ホブ、平歯車を削ると
きにホブ軸を傾けないで削るホブができる。

また普通の円筒ホブと同じようにホブの切刃を歯車の歯
筋方向に切込まずようにホブ軸を傾けてホブ切りすると
きは、ホブが歯車材に最も深く切込む歯形創成仕上面上
で歯数Ｎの仮想歯車のインボリュート歯形を現わすよう
にバイト又は砥石のインボリュート歯形の圧力角をあら
かじめ変えてねじ面を作っておけばよい。

第６図は切刃溝の入れ方を示したもので、球の中心を含
む断面で切刃溝を入れるとすれば、ホブ軸方向、刃筋直
角方向、ねじ筋の巻き方向と同じ方向のいずれかに切刃
溝を入れても歯形創成仕上げ面上で歯数Ｎの仮想歯車の
インボリュート歯形を現わすようにあらかじめ圧力角を
変えたインボリュート歯形で球体上にねじ面を作ってお
けばよい。

このようにすれば複数のホブの切刃４ａによる同時切削
がなくなって切削トルクの変動を小さくして円滑に切削
できるようになる。

（ロ）すくい角を任意に変更すること。

（ハ）ホブ刃を球体に対して着脱可能に構成していわゆ
る組立ホブとして具体化すること。

（ニ）インボリュート歯車創成用ホブ以外のホブ、例え
ばスプラインホブ、特殊歯形用ホブに本発明を具体化す
ること。

（ホ）第８図に示すようにはずは歯車創成用ホブとして
具体化した場合、粗削り側と反対側のホブ刃を省略する
こと。

（ヘ）第９図に示すように、本発明球形ホブを外歯車切
削用として使用すること。

以上詳述したように本発明は球の中心を通る軸線を軸と
して回転することにより、前記回転軸を含む平面あるい
はそれと所定の角度をなす平面内において仮想の歯車の
回転を表わすように、切刃が削出されるべき歯車の歯形
を有するホブ刃を、球面上において螺旋状に連続するよ
うに形成し、前記ホブ刃の背面の２番を取るとともに、
切刃面を再研削したときにその切刃が再研削前の切刃に
対して前記背面の２番取り量だけ転位した歯形となるべ
く両側面の２番を取ったことにより、製作が容易で刃面
を再研削しても常に同形同大の歯形の歯車を創成できる
効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図ａは本発明を具体化した球形ホブの正面図、第１
図ｂはその断面図、第２図は球形ホブの外径、ピッチを
定めるための説明図、第３図ａ〜ｃはそれぞれホブ刃の
斜視図、側面図及び平面図、第４図ａ，ｂは刃面の再研
削量と外周２番の関係を示すそれぞれ説明図及び断面図
、第５図は外周２番と側面２番の関係を示す略体斜視図
、第６図は切刃溝を斜めにした場合の説明図、第７図は
内歯車の創成を示す略体正面図、第８図は本発明の別の
実施態様を示す断面図、第９図は外歯車の切削状態を示
す断面図である。 球形ホブ・・・・・・１、ホブ刃・・・・・・４、切刃
・・・・・・４ａ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 球の中心を通る軸線を軸として回転することにより
   、前記回転軸を含む平面あるいはそれと所定の角度をな
   す平面内において仮想の歯車の回転を表わすように、切
   刃が削出されるべき歯車の歯形を有するホブ刃を、球面
   上において螺旋状に連続するように形成し、前記ホブ刃
   の外周面の２番を取るとともに、切刃面を再研削したと
   きにその切刃が再研削前の切刃に対して前記外周面の２
   番取り量だけ転位した歯形となるべく両側面の２番を取
   ったことを特徴とする歯車創成用球形ホブ。