JPS5819378B2 - ダイカスト用離型剤 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はダイカスト用離型剤に関する。

離型剤に要求される主要な機能としては、■金型から製
品の押出しを容易にする、■溶湯の焼付さを防ぐ、■製
品の仕上面を良好にする、■キャビティ内での渦流れを
よくする、■可動部分を潤Ｓ滑して摩耗を防ぐ等が挙げ
られる。

このような機能を発現させるためには高温の金型面上に
均一な厚さの安定被膜を形成せしめることが必要である
。

一般に離型剤を大別すると不水溶性離型剤と水溶性離型
剤がある。

これらのうち不水溶性離型剤５は発煙、引火の危険があ
り、安全性に対する要求から最近では水溶性離型剤の使
用が中心となってきている。

水溶性離型剤としてはさらにピグメント入り離型剤とピ
グメントなし離型剤に分けられる。

ピグメント入りはピグメントなしの焼付防止ｊ性の不足
を補うものであり、一般に黒鉛が使われる。

このため当該離型剤は耐焼付性が優れる反面黒鉛による
環境汚染、スプレーノズルの詰り、製品の着色等の問題
を生じやすく、自動化機器を備えた大量生産システムに
は適用できない欠点がある。

ピグメントなし離型剤はさらに低希釈倍率型と高希釈倍
率型に分類できる。

低希釈倍率型は水で８０倍以下に希釈して使用するもの
で、現在でも一般的な離型剤として広く使用されている
。

しかしながら当該低希釈倍率型離型剤は合理化および省
資源の観点から高希釈倍率型離型剤に置き換えられる傾
向にある。

高希釈倍率型離型剤は水で８０〜２００倍に希釈して使
用するものであり、自動スプレー化に伴って、主に集中
給油方式で使用される。

近年ダイカスト業界における鋳造技術の進歩に伴い、離
型剤の高希釈倍率比の要求の他に、耐焼付性の向上、製
品の寸法精度の向上および製品の外観の向上に対する要
求が強くあり、当該性能に対応する離型剤が望まれてい
る。

従来からダイカスト離型剤に配合される耐焼付性添加剤
としては一般にシリコン油、合成ワックス、天然ワック
ス、石油ワックス、脂肪酸エステル、植物油脂、動物油
脂、鉱油等が用いられる。

当該添加剤を配合して得られる離型剤で上記の要求を完
全に満足できるものは得られておらずやむを得ず希釈倍
率を下げて使用したり、ピクメントの使用により鋳造し
ているのが現状である。

本発明は斯かる従来のダイカスト用離型剤の問題点を解
消する離型剤であり、α、ω−ポリブタジェンカルボン
酸およびマレイン化ポリブタジェンの少なくとも１種を
配合したことを特徴とするダイカスト用離型剤に係る。

本発明の離型剤に依れば、従来の離型剤で焼付を生ずる
金型についても極めて少量の添加で焼付を生じることが
なく、良好な寸法精度と良好な外観を備えた製品が得ら
れる。

またピグメント添加離型剤のようにスプレーノズルを詰
らせたり、作業環境を汚染することも全くない。

しかも本発明の離型剤によれば廃水処理が容易であり、
簡単な装置で処分し得る。

本発明に於けるこのような優れた効果はα、ω−ポリブ
タジエンジカルボン酸（以下化合物Ａという）もしくは
マレイン化ポリブタジェン（以下。

化合物Ｂという）を単独あるいは併用して得られる。

上記本発明の効果がいかなる理由に基くものか必ずしも
明らかではないが、凡そ次の様に考えることができる。

即ち化合物Ａについては主鎖の両端にカルボキシル基が
あるため主鎖の両端の金１型への強い吸着が行われる。

さらに多数の分岐の末端に二重結合があるので、二重結
合による金型への吸着に伴い主鎖が金型面に引寄せられ
る。

結局化合物Ａは金型面に対して主鎖を平行にして配列す
るので膜は緻密であり、溶湯の流れに対して１も容易に
破断することにない。

化合物Ｂについては主鎖に極性の大きい無水マレイン酸
が付加しているため、金型との吸着力が大きく、この場
合も主鎖は金型に対して平行に配列するため、破断に対
する抵抗力を有する。

このような優れた特性に２よって上記のような効果が発
見されたものと思われる。

本発明において使用される化合物Ａはブタジェンをリビ
ング重合させて得られる液状のアククチイック１，２−
ポリブタジェンの末端にカルホキ２シル基を導入したも
のである。

平均分子量は通常５００〜４０００程度が適当であるが
、１０００〜２０００のものが好ましく、特に１０００
〜１５００のものが好ましい。

また本発明において使用される化合物Ｂはアククチイッ
ク１，２−ポリブタジェンに無水マレイン酸を付加させ
て得られる。

平均分子量は通常１０００〜６０００程度が適当である
が、１０００〜３０００のものが好ましく、特に１００
０〜２０００のものが好ましい。

３本発明
の離型剤は水、鉱油等に上記化合物Ａ又は化合物Ｂの少
なくとも１種を配合することにより得られる。

化合物Ａ及び化合物Ｂの離型剤中への配合量は０．１〜
５０重量％とするのが好ましい。

また本発明の離型剤には他の公知の耐焼付性添加４剤と
してシリコン油、合成ワックス、天然ワックス、石油ワ
ックス、脂肪酸エステル、植物油脂、動物油脂等を併用
して使用しても良い。

更に他の添加剤として界面活性剤、酸化防止剤等を添加
することもできる。

酸化防止剤としては例えばイルガノックス１０１０（ガ
イギー社、商標）等を例示することができる。

本発明の離型剤はこれをそのまま希釈なしで用いること
もできるし、また適当な倍率に希釈して用いることもで
きる。

本発明の離型剤はアルミニウム又は亜鉛のダイカスト用
離型剤として使用出来る。

この際のアルミニウム又は亜鉛としては、これ等の少く
とも１種を主成分とする他の金属との合金も含む。

以下本発明を実施例によってさらに詳細に説明する。

実施例 １ 混合槽にα、ω−ポリブタジェンジカルボン酸（日曹Ｐ
ＢＣ１００Ｏ）ｌ、流動パラフィン（スモイルＰ８０）
３０ｇ、ポリオキシエチレンソルビクンモノオレート（
Ｔｗｅｅｎ ８０ ） ４ Ｌ ソルドビタンモノオレ
ート１ｇを仕込みプロペラ攪拌機で加熱攪拌した。

加熱温度は６０〜７０°Ｃに調節し、約３０分間攪拌す
る。

これを水５５ｇ加えてホモミキサーで攪拌し、本発明離
型剤（以下離型剤Ｃとする）を得た。

実施例 ２ 実施例１と同様の方法により、下方の配合組成で本発明
離型剤（以下離型剤りとする）を得た。

実施例 ３ 実施例１と同様の方法により、下方の配合組成で本発明
離型剤（以下離型剤Ｅとする）を得た。

実施例 ４ 実施例１と同様の方法により下記の配合組成で本発明離
型剤（以下離型剤Ｆとする）を得た。

実施例 ５ 実施例１と同様の方法により下記の配合組成で本発明離
型剤（以下離型剤Ｇとする）を得た。

実施例 ６ 混合槽に下記の配合組成で仕込み加熱攪拌した。

加熱温度は５０〜６０℃に調節し、約３０分間攪拌して
本発明離型剤（以下離型剤Ｈとする）を得た。

実施例 ７ 混合槽にα、ω−ポリブタジェンジカルボン酸１０ｇ、
局方流動パラフィン９０ｇを仕込み加熱攪拌した。

加熱温度は５０〜６０℃に調節し、約３０分間攪拌して
本発明離型剤（以下離型剤■とする）を得た。

実施例 ８ 実施例１と同様の方法により下記の配合組成で本発明離
型剤（以下離型剤Ｊとする）を得た。

α、ω−ポリブタジェンジカルボン酸 ８ｇ流動パラ
フィン ３０ｇオレイン酸
３ｇＫＯＨ０，６ｇ 水 ４２ｇ上記実
施例１〜８で得た離型剤の性能評価試験結果を第２表〜
第８表に示す。

各人には対照油として市販離型剤に、Ｌ、Ｍ、Ｎ、０の
結果を併記する。

用いた市販離型剤の配合は第１表のとおりである。

試験例 １ 離型剤の１００倍希釈水溶液についてアルミダイカスト
鋳造を行い、材料の溶着によって金型研磨を要するに至
るまでの鋳造ショツト数、製品の表面仕上および不良率
について評価したところ、本発明による離型剤は市販離
型剤に比べて優れた結果が得られた。

機械名 東芝機械製６５０ｔＤＣ 製品名トランスミッションカバー 材質ＡＤＣ１２種 試験例 ２ 試験例１と同じ要領で１００倍希釈水溶液について鋳造
性を比較評価したところ、本発明による離型剤は市販離
型剤に比べて良好な結果が得られた。

機械名 ＩＨＩ６３０ｔＤＣ 製品名 レコードプレヤー用ターンテーブル材質ＡＤＣ
１２種 試験例 ３ 試験例１と同じ要領で１００倍希釈水溶液について鋳造
性を比較評価したところ本発明による離型剤は市販離型
剤に比べて良好な結果が得られた。

機械名 東芝機械１０００ｔＤｃ 製品名 四輪用エンジンブロック 材質ＡＤＣ１２種 試験例 ４ 試験例１と同じ要領で２００倍希釈水溶液について鋳造
性を比較評価したところ本発明による離型剤は市販離型
剤に比べて良好な結果が得られた。

機械名 東芝機械２５０ｔＤＣ 製品名 電溶用ソケット 材質ＡＤＣ１２種 試験例 ５ 離型剤を溶油で２０倍に希釈し、鋳造性を比較評価した
ところ本発明による離型剤は市販離型剤に比べて良好な
結果が得られた。

機械名 ＩＨＩ６３０ｔＤＣ 製品名 料理用フライパン 材質ＡＤＣ１２種 試験例 ６ 離型剤の１５０倍希釈水溶液について亜鉛ダイカスト鋳
造を行い、試験例１と同じ要領で鋳造性を比較評価した
ところ、本発明の離型剤は市販離型剤に比べて良好な結
果が得られた。

機械名 東芝８０ｔＤＨ 製品名 農器具用キャブレター 材質ＺＤＣ２種 試験例 ７ 廃水処理試験 離型剤Ｊの１００倍希釈水溶液１００ｇを混合槽に仕込
み硫酸パン土３０ｐｐＩ［ｌを加えてプロペラ攪拌する
。

このとき回転数は５００ ｒｐｍにて５分間攪拌する。

次にＮａＯＨの１０％水溶液を加えてｐＨを７とし、カ
チオン高分子凝集剤１０ｐｐ［ｎを加えてフロックを形
成させる。

フロックは一般に使用される炉材により濾過する。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ α、ω−ポリブタジヴンジカルボン酸およびマレイ
   ン化ポリブタジェンの少なくとも１種を配合したことを
   特徴とするアルミニウム又は亜鉛のダイカスト用離型剤
   。