JPS581027Y2 - 電気音響変換装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、音波をパイプ中を介して耳道に直接伝達する
イヤホン等の電気音響変換装置に関するものである。

一般に、イヤホンで信号受聴する場合、第１図に示すよ
うに信号源１からの信号が電気音響変換器２に印加され
た結果として放射する音波をパイプ状の音波伝達通路３
に通し、受聴者の耳に伝達される。

この場合、イヤホンは第２図に示すようにパイプ状の音
波伝達通路３を受聴者の耳に装着する。

第２図において、５はパイプ部６が一体に形成されたホ
ルダーであり、このホルダー５内に電気音響変換器が組
込まれている。

この電気音響変換器は、ヨーク１、コイル８、振動膜９
から構成され、コイル８に信号源１から信号を供給する
と、振動膜９が振動し、音波を放射する。

この音波はパイプ部６を介して受聴者１０の耳道１１に
伝わり、鼓膜に達するものである。

なお第２図において、１２は蓋板である。

しかしながら、上述したイヤホンではパイプ状の音波伝
達通路３自体に通気性がなく、かつ耳道に強く圧入され
るため、結果として耳道を閉じた状態で使用することに
なる。

そのため特有のゴーと言った自分の血液の流れなどにな
る音が聞こえることになり、耳が遮蔽されていると言っ
た圧迫感があり、再生音場が臨場感に乏しいものになっ
てしまう欠点があった。

しかも、パイプ状の細長い音波伝達通路３が音響管とし
て作用して第７図の破線ａで示すように定在波が生じや
すくなり、音圧−周波数特性がみだれるという欠点があ
った。

本考案はこのような従来の欠点を解消するものであり、
パイプ状の音波伝達通路の先端に、耳道の内径より大き
い外径を有すると共に通気性のある材料でなる器状の音
響抵抗材を嵌合したものである。

かかる構成によれば、パイプ状の音波伝達通路を通気性
のある材料でなる器状の音響抵抗材を介して受聴者の耳
道の入口部に軽く差し込むことができるため、結果とし
て耳道を開いた状態で使用することができる。

そのため、自分の血液の流れなどによる特有のゴー音が
なくなり、耳が遮蔽されていると言った圧迫感を取り除
くことができ、再生音場を臨場感に富むものとすること
ができる。

しかも、パイプ状の細長い音波伝達通路のための音響管
に作用して第７図の実線ａで示すように定在波が生じに
くくすることができる利点を有する。

以下に本考案の実施例について第３図、第４図とともに
説明する。

第３図、第４図は本考案の一実施例を示し、第３図にお
いて、１３は受聴者、１４．１４’は受聴者の１３の耳
、１５はパイプから成る音波伝達通路であり、この音波
伝達通路１５は途中より２つに分岐し、その先端が耳１
４゜１４′の耳道の入口部にパイプ１５の弾性力により
軽く押圧されるものである。

電気音響変換器より放射された音波は音波伝達通路１５
内を伝わり、耳道に供給されるものである。

第４図は本考案の電気音響変換装置の耳への装着装態を
示しており、第４図において、１６はパイプ１５の先端
に嵌合された器状の音響抵抗材であり、この音響抵抗材
１６の外径は耳道１１の内径より太きいものである。

この音響抵抗材１６としては、例えば、モルトブレン等
の通気性を有する材料が用いられる。

またこの音響抵抗材１６としては繊維状の材料、連続気
泡を有する材料等も使用できるものである。

第５図は本考案の電気音響変換装置の等何回路を示して
いる。

第５図において、ＲＶ、ＭＤ、Ｃｏま駆動源の機械イン
ピーダンス、Ｃｏは電気音響変換器の内部の空室のコン
プライアンス、Ｍｐはパイプ１５内の空気の質量、Ｃｅ
は耳道１１のコンプライアンス、Ｒｔは音響抵抗材１６
による漏れ抵抗であり、第６図に示すようにこの漏れ抵
抗Ｒ４が大きくなるほど低音が延びるものである。

なお漏れ抵抗Ｒ１は音響抵抗材１６の密度、気泡性を変
化させることにより任意に変化させることができるもの
である。

以上のように本考案は、パイプ状の音波伝達通路の先端
に、耳道の内径より大きな外径を有すると共に通気性の
ある材料でなる器状の音響抵抗材を嵌合し、音波伝達通
路の先端を上記音響抵抗材を介して耳道の入口に軽く押
圧するものであるため、他に、装着による痛み等は発生
せず、かつ低音特性を改善できる利点を有するものであ
る。

なお本考案は受聴者から離れた所に設置し、長い音波伝
達通路を介して耳道にまで導びく電気音響変換装置に限
らず、耳の近傍に電気音響変換器を配置する装置でも適
用できるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はイヤホン受聴状態の概略図、第２図は従来のイ
ヤホンを耳に装着した状態を示す断面図、第３図は本考
案の一実施例における電気音響変換装置を装着した状態
を示す正面図、第４図は同装置の耳への装着部の拡大断
面図、第５図は本考案装置の等価回路図、第６図は同装
置の漏れ抵抗を変化させる場合の低音特性の変化を示す
図、第７図は本考案の電気音響変換器と従来の電気音響
変換器の音圧周波数特性の比較図である。 １１・・・・・・耳道、１３・・・・・・受聴者、１４
・・・・・・耳、１５・・・・・・音波伝達通路、１６
・・・・・・音響抵抗材。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 （υ 電気音響変換器部より放射された音波を受聴者の
   耳道に伝達するためのパイプ状の音波電達通路を有し、
   この音波電達通路の先端に、耳道の内径より大きな径を
   有すると共に通気性のある材料でなる器状の音響抵抗材
   を嵌合し、上記音波伝達通路の先端を上記音響抵抗材を
   介して耳道の入口部に軽く差し込むように構成した電気
   音響変換装置。 （２）音響抵抗材としてモルトブレンを用いたことを特
   徴とする実用新案登録請求Ｃ範囲第１項記載の電気音響
   変換装置。