JPH1199036A - マット用基材シート及び寝床用マット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 人体との接触部の通気性が良好で、褥瘡を良
好に防止できるとともに、軽量で柔軟性に富み、かつマ
ットを比較的薄く形成できるマット基材及びそれを使用
した寝床用マットを得る。 【解決手段】 通気性を備えた熱可塑性シート又はこれ
を含む積層体を、一定幅のジグザグ状に屈折して加熱急
冷処理により剛性を付与して、マット用基材シートとす
る。好ましくは、合成繊維の不織布２と合成繊維製モノ
フィラメント糸条を用いた織布６とを積層し、更に天然
繊維の布帛８を積層する。このマット用基材シートにそ
のジグザグ形状を保持するための保形シート１３を添設
して偏平な袋体１９に封入し、寝床用マットとする。保
形シート１３は、一方の面に一定間隔で配置された溝１
７を有する可撓性弾性シートであり、ジグザグに屈折さ
れた基材シート１の屈折辺４が溝１７と嵌合してジグザ
グ形状が保持される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、単独で又は必要
により他の基材と共に偏平な袋体に収納してマトを形成
するシート状のマット基材及びこのマット基材を用いた
寝床用マットに関するもので、特に人体と接触する接触
部に良好な通気性を備えることにより、床擦れなどを防
止するのに特に有効なシート状のマット基材及び寝床用
マットに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】寝床用マットの基材としては、藁、綿、
発泡ポリウレタンなどが広く用いられている。これらは
いずれもその上に寝た人体を面で支えるものであるか
ら、支持面圧が低く、その意味での快適性には優れてい
るが、人体との接触部に熱や湿気がこもりやすく、長時
間継続して使用すると不衛生になったり、いわゆる床擦
れになったりする。特に身体を動かすことができない病
人や高齢者は、身体の一定の部位がマットと継続的に接
触し続けるために、床擦れ（褥瘡）が生じ、長期の療養
を必要とする病人や高齢者に甚だしい苦痛を与える。ま
たこの褥瘡を防止するため、介護者は頻繁に病人の身体
を動かしてやる必要が生じ、介護負担も大きくなる。

【０００３】褥瘡の防止を目的としたマット用基材とし
て、ウレタンの表面に多数の突起を設け、人体を多数の
点で支えるようにしたマット用基材が提唱されている。
このような基材を使用したマットは、人体との接触面の
良好な通気性が確保されるため、褥瘡の防止に少なから
ぬ効果がある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】この発明は、人体との
接触部の通気性が良好で、褥瘡を良好に防止できるとと
もに、より軽量で柔軟性に富み、かつマットを比較的薄
く形成することが可能なマット基材及びそれを使用した
寝床用マットを得ることを課題としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】請求項１記載のマット用
基材シートは、通気性を備えた熱可塑性シート又はこれ
を含む積層体を一定幅のジグザグ状に屈折して加熱急冷
処理により剛性を付与してなるものである。

【０００６】請求項２記載の発明は、請求項１記載のマ
ット用基材シートにおいて、通気性を備えた熱可塑性シ
ートが合成繊維によって製造された不織布２又は織布６
であることを特徴とするものである。

【０００７】請求項３記載のマット用基材シートは、通
気性を備えた熱可塑性シートを含む積層体が合成繊維に
よって製造された不織布２と合成繊維製モノフィラメン
ト糸条を用いた織布６との積層体７である請求項１記載
の基材シートに、更に天然繊維の布帛８が積層されてい
ることを特徴とするものである。

【０００８】請求項４記載の寝床用マットは、請求項１
ないし３記載の基材シートがそのジグザグ形状を保持す
るための保形シート１３を添設した状態で偏平な袋体１
９に封入され、前記保形シート１３は、一方の面に一定
間隔で配置された溝１７を有する可撓性弾性シートであ
り、ジグザグで屈折された基材シート１の屈折辺４が溝
１７と嵌合してジグザグ形状を保持していることを特徴
とするものである。

【０００９】請求項５記載の発明は、請求項４記載の寝
床用マットにおいて、保形シート１３とジグザグに屈折
した基材シート１との間に形成される断面三角形状の空
所１０にゲル状保温材の封入体１８が嵌挿されているこ
とを特徴とするものである。

【００１０】

【作用】この発明のマット用基材シートは、マットの上
に寝た人体を、多数の稜線３で線的に保持する。そのた
め人体との間に多数の空所１４ができて通気性が確保さ
れ、人体を僅かに動かしただけでマットとの接触位置が
変わり、褥瘡を有効に防止できる。基材シート１は、ポ
リエステルやポリアミドなどの熱可塑性の合成樹脂や合
成繊維の加熱急冷処理により、ジグザグ状態で人体を支
えるのに必要な剛性が付与される。熱可塑性合成繊維で
製造された不織布は、ある程度の通気性を保持しながら
必要な剛性を備えた基材シートを得るのに有効であり、
熱可塑性合成繊維の不織布２と織布６との積層体７を用
いることにより、剛性と通気性とをより良好に両立させ
ることができる。更に天然繊維の布帛８を積層すること
により、吸湿性を付与できる。

【００１１】ジグザグに屈折した基材シートの屈折辺４
と嵌合する溝１７を一定幅で設けた保形シート１３を用
いることにより、基材シート１のジグザグ形状を一定に
保持して、寝床に必要な弾性と剛性とを備えたマットを
得ることができる。保形シート１３は、発泡ポリウレタ
ンで成形することができ、そのようにすればマットによ
り良好な弾性を付与するのに有利である。ジグザグ状の
基材シート１と保形シート１３との間の三角形状の空所
１０に嵌挿したゲル状保温材の封入体１８は、人体との
接触部における通気性に寄与しない空所１０を利用し
て、マットの保温性を向上させることを可能にする。

【００１２】

【発明の実施の形態】図１は本発明の基材シートの第１
実施例を示したものである。本実施例の基材シート１
は、ポリエステル繊維によって製造した不織布２をプリ
ーツ加工機にかけて、幅２０ｍｍ程度でジグザグに折り
畳み、圧力釜に入れて１３０℃で３０分蒸熱し、圧力釜
から取り出し急速に冷却して製造したものである。急速
冷却によりジグザグ形状が保持され、隣接する屈折辺
３、４の間の平坦面５が腰の強いものになる。

【００１３】図２は本発明の基材シートの第２実施例を
示したものである。本実施例の基材シート１は、５００
デニールのポリエステルフィラメントで組織した織布６
と上記不織布２とを散点状に配置した接着剤で接合した
積層体７を用いて、第１実施例と同様の処理によりジグ
ザグ状に成形したものである。太くて腰の強いポリエス
テルフィラメント製織布６は、不織布２の通気性を害さ
ずに基材シート１の耐摩耗性を向上させる。

【００１４】図３は本発明の基材シートの第３実施例を
示したものである。本実施例の基材シートは、第２実施
例の積層体７の表面に更に綿織物製の表地８を添着した
ものである。表地８は基材シートに吸湿性を与えると共
に、肌触りを良くする。

【００１５】図４は本発明の寝床用マットの第１実施例
を示したものである。本実施例の寝床用マット１１は、
第１〜３実施例の基材シートの下側の屈折辺（裾辺）４
の間に形成される山形の空所１０と略同形の畝部１２を
有する発泡ウレタン製の保形シート１３を備えており、
この保形シートに第１〜３実施例の基材シート１を添設
したものである。本実施例の寝床用マットに人体が横た
わると、基材シートの上側屈折辺（稜線）３に荷重がか
かる。このとき裾辺４、４の間隔が保形シート１３によ
って緩く保持されているので、山形が崩れて偏平な形に
ならず、平坦面の腰の強さによって人体を稜線３で支え
る。人体が支持されている状態において、隣接する稜線
３の間の谷形の空所１４が通気性を確保する。また人体
は稜線３で支持されているので、人体を僅かに動かした
だけでマットとの接触部位が変わり、身体の一部を長時
間にわたり圧迫するベッド用マットや座布団用マットな
どに好適である。

【００１６】図５は本発明の寝床用マットの第２実施例
を示したものである。本実施例の寝床用マットは、基材
シートの平坦面５に基材シートの長手方向の直線上に位
置する透孔１５を設け、これにプラスチック製の連結杆
１６を装着したものであり、平坦面５を連結杆１６で固
定して稜線３に荷重がかかったときに、裾辺４がずれな
いようにしたものである。

【００１７】図６は本実施例の寝床用マットの第３実施
例を示したものである。本実施例の寝床用マットは、表
面に一定間隔の溝１７を設けたポリウレタンフォーム製
の保形シート１３を備えており、基材シート１の裾辺４
を溝１７に嵌挿し、保形シート１３と基材シート１との
間に形成された山形の空所１０にゲル状保温材を充填し
た封入体１８を入れたものである。封入体１８は、基材
シートを保形すると共に体温を保持する効果がある。

【００１８】図７は本発明の寝床用マットの第４実施例
を示したものである。本実施例の寝床用マットは、溝１
７の間隔を図６のものの半分とした保形シート１３を備
えている。一方、基材シート１はマットの長手方向に複
数に裁断し、隣合う基材シートの裾辺４を交互にずらし
た溝１７に入れてカバーシート１９を掛けたものであ
る。隣接する基材シートの稜線３の位置がずれているの
で、人体を僅かに動かすだけで接触部位を変えることが
できる。

【００１９】図８は本発明の寝床用マットの第５実施例
を示したものである。本実施例の寝床用マットは、表面
に一定間隔で溝１７を設けた保形シート１３に、第２実
施例の基材シート１の裾辺４を嵌挿し、ウレタンマット
２１を稜線３を覆うように載置して、カバーシート１９
によって包み込んだものである。カバーシート１９は、
綿織物にキチン、キトサン等の抗菌処理をしたものであ
る。本実施例の寝床用マットは介護用ベッドに載せて使
用するのがよい。四肢麻痺者は、一人で寝返りをうつこ
とができず、いつも同じ部位がマットに触れて褥瘡を生
じやすい。本発明のマットは、稜線３で人体を支えるの
で、身体を少し動かしてやれば接触する部位をずらすこ
とができ、抗菌処理したカバーシートとあいまって褥瘡
の発生を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】基材シートの第１実施例を示す斜視図

【図２】基材シートの第２実施例を示す断面図

【図３】基材シートの第３実施例を示す断面図

【図４】寝床用マットの第１実施例を示す図

【図５】寝床用マットの第２実施例を示す図

【図６】寝床用マットの第３実施例を示す図

【図７】寝床用マットの第４実施例を示す斜視図

【図８】寝床用マットの第５実施例を示す斜視図

【符号の説明】

１ 基材シート ２ 不織布 ３ 屈折部 ４ 屈折部 ６ 織布 ７ 積層体 ８ 表布 10 山形空所 13 保形シート 17 溝 18 封入体

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 通気性を備えた熱可塑性シート又はこれ
   を含む積層体を一定幅のジグザグ状に屈折して加熱急冷
   処理により剛性を付与してなる、マット用基材シート。
2. 【請求項２】 通気性を備えた熱可塑性シートが合成繊
   維によって製造された不織布(2) 又は織布(6) であるこ
   とを特徴とする、請求項１記載のマット用基材シート。
3. 【請求項３】 通気性を備えた熱可塑性シートを含む積
   層体が合成繊維によって製造された不織布(2) と合成繊
   維製モノフィラメント糸条を用いた織布(6)との積層体
   (7) である請求項１記載の基材シートに、更に天然繊維
   の布帛(8) が積層されていることを特徴とする、マット
   用基材シート。
4. 【請求項４】 請求項１ないし３記載の基材シートがそ
   のジグザグ形状を保持するための保形シート(13)を添設
   した状態で偏平な袋体(19)に封入され、前記保形シート
   (13)は、一方の面に一定間隔で配置された溝(17)を有す
   る可撓性弾性シートであり、ジグザグに屈折された基材
   シート(1) の屈折辺(4) が溝(17)と嵌合してジグザグ形
   状を保持していることを特徴とする、寝床用マット。
5. 【請求項５】 保形シート(13)とジグザグに屈折した基
   材シート(1) との間に形成される断面三角形状の空所(1
   0)にゲル状保温材の封入体(18)が嵌挿されていることを
   特徴とする、請求項４記載の寝床用マット。