JPH1195206A - 偏光変換素子、液晶カラーシャッタ、カラー画像表示装置、および液晶セルの駆動方法 - Google Patents

偏光変換素子、液晶カラーシャッタ、カラー画像表示装置、および液晶セルの駆動方法

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JPH1195206A
JPH1195206A JP9253983A JP25398397A JPH1195206A JP H1195206 A JPH1195206 A JP H1195206A JP 9253983 A JP9253983 A JP 9253983A JP 25398397 A JP25398397 A JP 25398397A JP H1195206 A JPH1195206 A JP H1195206A
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layer
liquid crystal
electrode
signal
polarized light
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JP9253983A
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Yasushi Kawada
靖 川田
Kazuki Taira
和樹 平
Hajime Yamaguchi
一 山口
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速動作を安定して行うことができる偏光変
換素子を提供する。 【解決手段】 対向配置された第1の電極53と第2の
電極54と、第1の電極53と第2の電極54との間に
挟持され、第1の電極53近傍の第1の層55aと、第
2の電極54近傍の第2の層55bと、第1の層55a
と第2の層55bとの間に第3の層55cとを有する液
晶層55と、第1の層、第2の層および第3の層により
前記液晶層55を透過する偏光の偏光状態が実質的に保
持されるように第1の電極53または第2の電極54に
第1の信号を供給する第1の供給手段と、第1の層55
aと第2の層55bとにより偏光が複屈折され、かつ第
3の層55cにより前記偏光の偏光状態が実質的に保持
されるように第1の電極53または第2の電極54に第
2の信号を供給する第2の供給手段とを具備する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は液晶層の電気−光学
応答を制御することにより液晶層を透過する偏光の偏光
状態を変調する偏光変換素子に関する。また本発明は偏
光子と検光子との間に偏光変換素子を挟持することによ
り透過光を波長を着色する液晶カラーシャッタに関す
る。また本発明は階調表示を行う表示装置と液晶カラー
シャッタを組み合わせたカラー画像表示装置に関する。
また本発明は、ネマチック液晶を電極付き基板間に挟持
した液晶セルの駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置は、薄型、軽量、低消費電
力などの特徴を有するために、OA機器、情報端末、時
計、テレビジョン受像機等様々な分野に応用されてい
る。特に、TFT(薄膜トランジスタ)などの非線形ス
イッチング素子を用いた液晶表示装置は、その応答性か
らコンピューター、各種携帯型情報端末など情報量の多
い画像の表示モニターとして用いられている。情報量の
増加に伴い表示色の増加が必要とされることから、一般
的にはRGBの3色を透過するカラーフィルターをグレ
イスケールの表示画面上に配設することにより、多色表
示を行っている。この、カラーフィルターは、RGBの
3色を表示画面を構成する絵素毎に分割して配置するた
めRGB(赤、緑、青)、RGBB(赤、緑、青、
黒)、RGBW(赤、緑、青、白)などの数絵素で一画
素を構成することになり、解像度や、輝度の低下を生じ
る原因となっている。また、微細な画素毎に異なる色を
配置するために高度な技術が必要とされ、製造単価が高
くなり液晶表示装置全体の生産性を低下させる大きな要
因の一つになっている。
【0003】一方、白色光源の発光による画像の信号に
合わせて時間分割した色表示を行ない、人間の目にカラ
ー画像として認識させる面順次走査型カラーシャッター
表示方式による多色情報表示装置も知られている。この
表示方式は白黒表示(グレイスケール)の高精細CRT
やLCDの表示画面の前面にRBGやYCMなどの3原
色の光の透過制御を行なうカラーシャッタを設け、面順
次走査によりカラー画像を時分割合成するものである。
この表示方式では、画像の解像度はカラーシャッタの背
面に設けられた白黒表示装置に依存することになる。こ
の方法では、3原色の透過〜非透過を制御するカラーシ
ャッターとして液晶層を変調層として用いた偏光変換素
子が用いられている。カラーシャッタは、一般的には、
カラー偏光素子数枚と2枚の偏光変換素子およびニュー
トラルな偏光素子を組み合わせて、用いており、液晶層
内を通過する光の直線偏光の振動方向を約90°変化さ
せることにより3原色の光透過制御を行なっている。
【0004】また、複屈折効果による透過波長の選択を
行なう方式も提案されている(特開平6−89083、
カシオ計算機株式会社)。これは2枚の偏光素子間に1
枚の偏光変換素子を介挿し、液晶層を挟持する電極に印
加する印加電圧により透過波長の選択を行なうカラーシ
ャッターである。複屈折効果による透過波長の選択方式
は、一般的にはECB(electrically c
ontrolled birefringence:電
圧制御型複屈折モード)と呼ばれている。このモードを
用いることにより、カラー偏光板等の部材が不要となる
ことからカラーシャッターを安価に構成することができ
る。しかしながら、このモードでは電圧を印加している
状態において、つまり液晶分子が電圧によりある角度を
持って立ち上がった状態で透過波長の選択を行なうた
め、駆動電圧のマージンが狭いという問題がある。また
駆動温度にたいする偏光変換特性への影響が大きく動作
が不安定で、これを制御するためにフィードバック回路
やセンサーを設けなければならないという問題もある。
【0005】偏光変換素子は高速応答が求められること
から、ネマチック液晶の中でもPi配列構造という比較
的高速応答を示すモードを用いることが一般的である。
このモードは外部から印加される力、例えば電圧が印加
された場合には、この電圧に対して数百μsecと高速
応答を行うことができる。しかしながら、電圧を切った
ときの応答は、液晶分子配向と液晶分子配列状態により
決定されるエネルギー安定状態から一義的に決定される
ため、約1msec〜約数msecと遅い応答となる。
【0006】より高速な応答を実現するための方式とし
て、例えばFLC(強誘電液晶)やAFLC(反強誘電
液晶)による光シャッターを用いることも提案されては
いる。しかしながらFLCやAFLCはヒステリシスを
有すること、わずかな衝撃によっても配向安定性を失っ
てしまうこと、さらに温度依存性、製造プロセス等の観
点から未だ大型表示装置に対応できるような大型の偏光
変換素子、カラーシャッタを構成するには問題が山積し
ているのが現状である。
【0007】このように従来、FLCやAFLCなどの
高速応答型の液晶を用いることなく駆動電圧のON/O
FFに対応して数百μsecオーダーの応答速度を示す
液晶セルをネマチック系液晶で構成することは困難であ
った。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような問
題点を解決するためになされたものである。すなわち本
発明は、液晶層の複屈折効果を安定に制御することによ
り高速動作する液晶セルを提供することを目的とする。
またネマチック液晶を用いた液晶セルにより、高速で安
定動作する偏光変換素子を提供することを目的とする。
【0009】また本発明は、高速で安定動作する液晶カ
ラーシャッタを提供することを目的とし、さらにこのよ
うな液晶カラーシャッタとグレースケール表示の表示装
置とにより表示品質の優れたカラー画像表示装置を提供
することを目的とする。
【0010】また、従来の複屈折効果を用いたモードで
は困難だった駆動条件の簡略化、安定化を図ることがで
きる液晶セルの駆動方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るため、本発明は以下のような構成を採用している。請
求項1に記載の本発明の偏光変換素子は、対向配置され
た第1の電極と第2の電極と、前記第1の電極と前記第
2の電極との間に挟持され、前記第1の電極近傍の第1
の層と、前記第2の電極近傍の第2の層と、前記第1の
層と前記第2の層との間に第3の層とを有する液晶層
と、前記第1の層、前記第2の層および前記第3の層に
より前記液晶層を透過する偏光の偏光状態が実質的に保
持されるように前記第1の電極または前記第2の電極に
第1の信号を供給する第1の供給手段と、前記第1の層
と前記第2の層とにより前記偏光が複屈折され、かつ前
記第3の層により前記偏光の偏光状態が実質的に保持さ
れるように前記第1の電極または前記第2の電極に第2
の信号を供給する第2の供給手段とを具備したことを特
徴とする。また、第1の電極と第2の電極との間に挟持
され、前記第1の電極近傍の第1の層と、前記第2の電
極近傍の第2の層と、前記第1の層と前記第2の層との
間の第3の層とを有する液晶層と、前記液晶層の前記第
1の層、前記第2の層および前記第3の層により前記液
晶層を透過する偏光の偏光方向が実質的に保持されるよ
うに前記第1の電極または前記第2の電極に第1の信号
を供給する第1の供給手段と、前記液晶層の前記第1の
層および前記第2の層により前記偏光の偏光方向が変調
されるように、かつ、前記第3の層により前記偏光の前
記偏光方向が実質的に保持されるように前記第1の電極
または前記第2の電極に第2の信号を供給する第2の供
給手段とを具備するようにしてもよい。
【0012】前記第1の電極および前記第2の電極の前
記液晶層を挟持する面には、前記液晶層を構成する液晶
分子がベンド配向、スプレイ配向するように例えば配向
膜のような配向制御手段を配設するようにすればよい。
また第1の電極上に配設する配向膜と第2の電極上に配
設する配向膜のラビング方向の交差角θは、例えば0°
≦θ≦20°程度の範囲に設定することが好ましく、ま
た平行配向にすることがさらに好ましい。
【0013】第1の電極と第2の電極とは透光性基板の
液晶を挟持する側の全面に配設するようにしてもよい
し、所定のパターンに分割して配設するようにしてもよ
い。例えば第1の電極をマトリクスアレイ状に配設し、
薄膜トランジスタ、MIMなどの非線形スイッチング素
子を介して第1の信号および第2の信号を供給するよう
構成するようにしてもよい。このような構成は例えばア
クティブマトリクス型液晶表示装置と等価であり、本発
明の偏光変換素子を用いて高速かつ安定動作する液晶表
示装置を構成することができる。
【0014】また、液晶層をホメオトロピック配列させ
る第1の電位を前記第1の電極または前記第2の電極に
供給する第1の供給手段と、前記液晶層の前記第1の電
極および第2の電極近傍の領域が前記液晶層を透過する
偏光に複屈折を与えるようにかつ前記第3の領域がホメ
オトロピック配列するような前記第1の電位よりも小さ
な第2の電位を前記第1の電極または第2の電極に供給
する第2の供給手段とを具備するようにしてもよい。こ
こで第2の電位は、透過光に所望の複屈折を与えるよう
に定められるが、第3の領域は常にホメオトロピック配
列を維持するよう設定される。したがって液晶層がスプ
レイ配列、ベンド配列の場合には第2の信号電圧は0V
ではない。
【0015】一方、各液晶カラーシャッタを構成する液
晶層の厚みが全ての偏光変換素子あるいは一部の偏光変
換素子間で同一でも差し支えない、この場合には、それ
ぞれの偏光変換素子ごとに飽和電圧以上の選択電圧Vh
とこれに対応した保持電圧Vo ペアにより透過波長を7
00nm〜450nmまで任意に変化させることが可能
であるため、必要な透過波長に対応した駆動信号Vh ・
Vo ぺアをそれぞれの液晶素子に印加ることで安定な透
過波長が選択できる。
【0016】請求項2に記載の本発明の液晶カラーシャ
ッタは、第1の透過軸を有する偏光子と、前記第1の透
過軸と交差する第2の透過軸と有する検光子と、前記偏
光子と前記検光子との間に配設され、対向配置された第
1の電極と第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の
電極との間に挟持され、前記第1の電極近傍の第1の層
と、前記第2の電極近傍の第2の層と、前記第1の層と
前記第2の層との間に第3の層とを有する液晶層とを具
備した偏光変換素子とを具備し、前記偏光変換素子は、
前記液晶層により前記偏光子を透過した偏光の偏光状態
が実質的に保持されるように前記第1の電極または前記
第2の電極に第1の信号を供給する第1の供給手段と、
前記液晶層の前記第1の層および前記第2の層では前記
偏光が複屈折され、かつ前記第3の層では前記偏光の偏
光状態が実質的に保持されるように前記第1の電極また
は前記第2の電極に第2の信号を供給する第2の供給手
段とを具備した偏光変換素子とを具備したことを特徴と
する。
【0017】前記偏光変換素子は、前記第1の信号が印
加されたときに、前記偏光子を透過した偏光の位相が実
質的に180°シフトするように前記偏光子と前記検光
子との間に複数積層するようにすればよい。また、前記
液晶層の屈折率異方性をΔn、前記液晶層の前記第1の
層と前記第2の層の厚さをt、前記偏光子と前記検光子
との間に配設される前記偏光変換素子の数をm、前記偏
光子を透過した偏光の波長をλとしたとき、 2t×Δn×m≧λ/2 となるようにすることが好適である。例えば液晶層を構
成する液晶分子がベンド配列したPiセル型の偏光変換
素子では、波長λの光の位相を180°シフトさせるの
に必要な偏光変換素子の積層枚数をm、液晶材料の屈折
率異方性をΔnとしたとき、波長λとリタデーションR
(=2t×Δn×m)とがR≧λ/2なる関係を満たす
ようにすればよい。なお、発明者らの考察によれば、液
晶層のうち第1の電極および第2の電極上に配設される
配向膜に動作が拘束される第1の層と第2の層の厚さは
約0.3〜0.35μm程度であることから、0.3≦
t≦0.35に設定することが好ましい。
【0018】請求項5に記載の本発明のカラー画像表示
装置は、色情報に応じた階調を有する画像を表示画面に
表示する手段と、前記表示画面上に配設され、第1の透
過軸を有する偏光子と、前記第1の透過軸と交差する第
2の透過軸と有する検光子と、前記偏光子と前記検光子
との間に配設され、対向配置された第1の電極と第2の
電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に挟持
され、前記第1の電極近傍の第1の層と、前記第2の電
極近傍の第2の層と、前記第1の層と前記第2の層との
間に第3の層とを有する液晶層とを具備した偏光変換素
子とを具備し、前記偏光変換素子は、前記液晶層により
前記偏光子を透過した偏光の偏光状態が実質的に保持さ
れるように前記第1の電極または前記第2の電極に第1
の信号を供給する第1の供給手段と、前記液晶層の前記
第1の層および前記第2の層では前記偏光が複屈折さ
れ、かつ前記第3の層では前記偏光の偏光状態が実質的
に保持されるように前記第1の電極または前記第2の電
極に第2の信号を供給する第2の供給手段とを具備した
ことを特徴とする。
【0019】例えばCRT、ELディスプレイ等の階調
表示が可能な表示装置の表示画面上に本発明の液晶カラ
ーシャッタを重ね、表示画面の色情報と同期して液晶カ
ラーシャッタの透過波長を制御することによりカラー画
像を表示することができる。また例えばCRTを複数マ
トリクス状に配列して大画面を構成した薄型の表示装置
が提案されているが、本発明はこのような表示装置と組
み合わせてカラー表示することもできる。本発明の液晶
カラーシャッタは安定かつ高速動作するから、カラー画
像表示装置を安定動作させることができ、さらに表示品
質も向上することができる。
【0020】請求項6に記載の本発明の液晶セルの駆動
方法は、第1の電極と第2の電極とに挟持され、前記第
1の電極近傍の第1の層と、前記第2の電極近傍の第2
の層と、前記第1の層と前記第2の層との間の第3の層
とを有する液晶層により、この液晶層を透過する偏光の
偏光状態が実質的に保持されるように前記第1の電極ま
たは前記第2の電極に第1の信号を供給する工程と、前
記第1の層と前記第2の層とにより前記偏光が複屈折さ
れ、かつ前記第3の層により前記偏光の偏光状態が実質
的に保持されるように前記第1の電極または前記第2の
電極に第2の信号を供給する工程とを具備したことを特
徴とする。
【0021】前記第1の信号を供給してから前記第2の
信号を供給するまでの間に前記第2の信号よりも電圧振
幅の小さな第3の信号を供給する工程をさらに有するよ
うにしてもよい。これにより第1の信号により液晶層全
体がホメオトロピック配向した状態から、第2の信号に
応じて配向膜にアンカリングされた領域を含む第1の層
と第2の層とが透過偏光に複屈折を与えるような配向状
態へのスイッチングが加速される。
【0022】例えばPiセル型偏光変換素子を、ホメオ
トロピック配列を取るに十分な飽和電位Vh (第1の信
号)と、所定波長の光の位相を180°シフトさせるた
めの複屈折を与えるオフセット電位V0 (第2の信号)
により駆動する場合、飽和電位Vh からオフセット電位
0 にスイッチングする際に、オフセット電位V0 より
低い過渡電位Vt (第3の電位)を液晶層に印加するこ
とにより、より大きな電圧振幅により液晶分子が駆動さ
れて応答速度が向上する。またこのとき過渡電位Vt を
印加するパルス幅は約200μsecから約400μs
ec程度に設定することが好ましい。さらに、この間に
光スイッチングする波長により決定される電位を持つ一
つ以上のパルスの組み合わせにより制御するようにして
もよい。
【0023】また本発明においては、複数の偏光変換素
子の液晶層の厚みが全て同じ場合であっても、前記駆動
信号 Vh とV0 の組み合わせにより所定の透過波長を
選択的に液晶層へ書き込むことができる。
【0024】すなわち本発明の偏光変換素子、液晶カラ
ーシャッタ、カラー画像表示装置は配向膜に動作が拘束
されるアンカリング領域を含む配向膜近傍の(第1の層
および第2の層)のみを用いて光学応答を得るものであ
る。一方バルク層である第3の層は常にホメオトロピッ
ク配列するようにバイアス電圧を印加している。第1の
層および第2の層の液晶分子は配向膜に拘束されている
から、例えば液晶層全体がホメオトロピック配列した状
態から、第1の層および第2の層が透過光に対して複屈
折を与えるような状態へ高速に遷移する。このような高
速応答領域である第1の層および第2の層の厚さtは配
向膜と液晶層との界面から約0.3〜0.35μm程度
の範囲にあると考えられる。そしてこの第1の層と第2
の層との厚さは液晶層のセルギャップに依存しない。
【0025】このような偏光変換素子を動作させるため
には、波長λの光の位相を180°シフトさせるのに必
要なリタデーションRが半波長値λ/2以上であればよ
い。したがって、2t×Δn×m≧λ/2となるよう
に、液晶材料の屈折率異方性Δnと偏光変換素子の積層
枚数mを定めるようにすればよいことがわかる。Δnが
約0.51以上のような液晶材料を用いて液晶層を構成
すれば、1枚の偏光変換素子のみにより十分なリタデー
ションを得ることができる。Δnが約0.51より小さ
な液晶材料を用いる場合には、上述のような偏光変換素
子を複数枚積層することにより必要なリタデーションを
確保するようにすればよい。前述のように本発明の偏光
変換素子では、光学応答に実質的に寄与する液晶分子の
配列層の厚さ2tは液晶層全体の厚さに依存していない
ので、1枚のセルの厚さをいくら厚くしたとしても光学
応答に寄与しないバルク層が増加するだけである。この
バルク層は配向膜に殆ど拘束されていないから、第1の
信号を印加した状態から第2の信号を印加したときの応
答速度は従来と同等の領域である。本発明はこのような
バルク層を光学応答に用いず、もっぱら第1の層と第2
の層とにより光学応答を得るような液晶層の駆動手段を
備えることにより、極めて高速で、かつ安定動作する偏
光変換素子を実現している。
【0026】偏光変換素子の駆動は液晶層を挟持する第
1の電極と第2の電極とにより形成される電界により液
晶層の光学応答を制御することにより行われる。第1の
信号として例えば液晶層の飽和電位Vh を印加すると、
液晶層を構成する液晶分子はすべてホメオトロピック配
列し、リダテーションはゼロとなる。このため偏光子を
透過した光は検光子を透過することはできない。第1の
信号を印加した状態から第2の信号として例えばオフセ
ット電位Vo に切り替えると同時に、液晶層の第1の層
と第2の層はオフセット電位Vo に応じた複屈折を与え
るように再配列する。したがって偏光子を透過した直線
偏光は楕円偏光に変化し(リダテーションによる位相シ
フト)、一部の光が検光子を透過する。例えば入射光が
白色光の場合には、検光子を透過する光は干渉現象によ
りオフセット電位Vo に応じて着色することになる。
【0027】このとき、スイッチング波長λが大きくな
るほど位相シフトに必要な高速応答リダテーション値が
大きくなるため応答時間が遅くなる傾向がある。これに
対し飽和電圧以上の飽和電位Vh の後に過渡電位Vt を
印加し、このあとオフセット電位Vo を印加することに
より安定に液晶層の複屈折制御を行なう本発明において
は、スイッチング波長λに応じて過渡電位Vtのパルス
電位を最適化することができる。このため、スイッチン
グ波長λが大きくなった場合でも応答時間の変化が比較
的少なく、従来の一般的な信号波形を用いた場合と比較
しても約40%程度高速化することができる。
【0028】このように、従来の駆動信号では飽和電位
Vh からオフセット電位Vo に信号電位を直接低下させ
てから光スイッチングを行なうのに対して、本発明の駆
動方法では、飽和電位Vh からオフセット電位Vo より
更に低い液晶分子の再配列加速のための過渡電位Vt を
一旦印加した後、所定波長λの光の位相を180°シフ
トさせるためのオフセット電位Vo を印加することによ
り、高速で安定した偏光変換を行うことができる。また
このような構成を採用することにより従来のPi型偏光
変換素子では不可能だった約300μsec以下での高
速な応答、特に液晶層に印加する電圧を低くした場合に
起る応答回復時間τdecay の高速化を行うことができ
る。
【0029】このような偏光変換素子は、ガラスなどの
透明基板上にITOなどの透明導電性膜からなる電極を
形成し、電極上に液晶分子の配向を制御するための配向
層を形成し、これらの基板間にネマチック液晶を挟持す
ることにより構成することができる。偏光変換素子を複
数積層する場合には、3枚の基板の間隙に2層の液晶層
を挟持するようにしてもよい。また液晶カラーシャッタ
を構成するには本発明の偏光変換素子を透過軸が交差す
るように配設した偏光子と検光子との間に挟持するよう
にすればよい。
【0030】偏光変換素子の液晶層を構成する液晶分子
は、液晶層を挟持する第1の電極と第2の電極上に配設
された配向膜に施された配向処理により、基板面上にお
いて一定方向に並ぶように処理されており、上下基板の
ラビング方向がほぼ同一になるように設定されている。
この配列は一般的に平行配向処理と呼ばれる配列で、液
晶層がスプレイ配列状態やベンド配列状態を形成するP
iセルと呼ばれるモードである。液晶分子を配向状態を
拘束する配向層としては、例えばポリミイドなどの高分
子膜をラビングして用いるようにすればよい。もちろん
酸化シリコン(SiOx )などの無機材料により形成す
るようにしてもよい。本発明の偏光変換素子では、配向
膜近傍の液晶分子配列の安定性が大きいほど、つまりア
ンカリング強度が大きいほど第1の信号から第2の信号
あるいは第3の信号へスイッチングしたときの液晶分子
の再配列(戻り)が高速になることから、アンカリング
強度を示す外挿長が大きい材料を用いて配向膜を構成す
ることが好適である。また複数の偏光変換素子を積層し
て用いる場合にも、すべての偏光変換素子のの液晶分子
の配向方向が互いにほぼ等しいか約180°異なる方向
になるように組み合わせることが好ましい。
【0031】また、偏光変換素子内に挟持された液晶材
料には、液晶層に印加される信号が切り換えられる際の
配列再編成時にの再編成過程が無秩序にならないよう
に、例えば自発的捻じれを有するカイラル材を混合して
おくようにしてもよい。ただしこの場合、カイラル剤の
混合により決定される捻じれ角度が90°以下になるよ
う混合比を決めることが好適である。あるいは、液晶材
料に自発的捻じれを生じさせない場合には、液晶分子の
配向を制御する過程、例えば配向膜のラビング処理時に
液晶層を挟持する第1の電極と2枚の基板の液晶層挟持
面に配設されたのラビング方向の交差角度θが0°≦θ
≦20°をほぼ満たすようにラビング処理することが好
ましい。
【0032】本発明の液晶カラーシャッタ、カラー画像
表示装置等において偏光変換素子と組み合わされる2枚
以上の偏光素子(偏光子、検光子)は、その吸収軸が互
いに揃う状態(パラレルニコル状態)か、その吸収軸が
ほぼ90°の角度で交差する状態(クロスニコル状態)
で使用される。このとき偏光変換素子はこの吸収軸また
は透過容易軸からほぼ45°の角度をなす方位に液晶層
を構成する液晶分子配列の平均的光学軸(進相軸、遅相
軸)が揃うように配設することが好ましい。さらに、複
数の偏光変換素子を積層して用いる場合には、全ての偏
光変換素子の平均的光学軸(進相軸、遅相軸)が偏光素
子の吸収軸または透過容易軸からほぼ45°の角度をな
す方位に揃えることが好ましい。
【0033】本発明の偏光変換素子(液晶セル)を駆動
する信号波形は、基本的には電位的に高い状態である飽
和電位Vh (第1の信号)と、これよりも電位的に低い
状態であるオフセット電圧Vo (第2の信号)とにより
構成される。ここで、オフセット電圧Vo は0V以上の
電位をバイアス電圧として与えることが必要である。こ
のようなバイアス電圧を印加することにより、本発明の
偏光変換素子では液晶層のバルク層(第3の層)を、常
にホメオトロピック配列状態を維持することができる。
したがって、高速応答する第1の層と第2の層のみによ
り光学応答を得ることができる。また、飽和電位Vh
は、用いる液晶材料および配向処理により異なるけれど
も、電気光学応答の飽和値以上の値に設定することが好
ましい。このような駆動電圧を第1の電極と第2の電極
とにより液晶層に印加することにより、配向膜に拘束さ
れた第1の層と第2の層を構成する液晶分子も第3の層
を構成する液晶分子もすべて実質的に光学応答に寄与し
ないようにホメオトロピック配列させることができる。
また、オフセット電圧電位が0Vの場合でも一時的に安
定な状態を示す偏光変換素子の構成を採用することも可
能であるが、基本的には飽和電位Vh とオフセット電位
Vo のペアにより駆動するようにすることが安定動作の
観点からは好ましい。
【0034】偏光変換素子の液晶層の厚みは一般的には
用いる液晶材料の屈折率異方性Δnとセル厚dにより決
定されるリタデーションRに影響を与えるが、本発明の
偏光変換素子では光学応答に影響を与える液晶分子配列
が液晶配向膜の近傍層である第1の層と第2の層のみで
あることから、従来の偏光変換手段、液晶セルのような
Δndの概念は不要となる。ただし、光学応答に寄与す
る液晶層の厚みが少ないほど高速な応答が実現されるこ
とから、リタデーションの変化を稼ぐために大きな屈折
率異方性を有するネマチック液晶材料を用いることが好
ましい。また前述のようにそのような液晶材料を用いて
構成される偏光変換素子のリタデーションが以下の式を
満たすことが重要である。 2t×Δn×m≧λ/2 (但し0.3≦t≦0.3
5) すなわち、2t×Δn×mは液晶材料の複屈折率Δnと
積層枚数mと高速応答定数2tにより決定される高速応
答リタデーション値であって、λは位相を180°シフ
トする光の波長である。特にΔnが0、267以上の材
料を用いることが本発明の偏光変換素子の構成上好まし
い。したがって、複数の偏光変換素子を積層して用いる
場合にも、それぞれの偏光変換素子により選択される透
過波長毎に液晶層の厚みを変更して最適化する必要はな
く、プロセス起因のみによるセルギャップの決定を行う
ことができ生産性が向上する。この場合、偏光変換素子
の駆動波形は飽和電圧以上の飽和電位Vh とオフセット
電位Vo により容易に決定することができる。
【0035】このように本発明の偏光変換素子は、液晶
層を挟持する電極上に配設された配向膜に拘束された第
1の層および第2の層により選択的に光学応答が得られ
るように、第1の電極と第2の電極との間に電界を形成
する駆動手段を備えている。このような構成を採用する
ことにより応答速度が高速でしかも安定動作する偏光変
換素子、液晶カラーシャッタ、カラー画像表示装置を実
現することができる。またネマチック液晶を用いること
ができるから、配向安定性が高く、温度依存性が小さ
く、大型表示装置にも適用できるような大型の偏光変換
素子を提供することができる。
【0036】
【発明の実施の形態】以下に本発明についてさらに詳細
に説明する。
【0037】(実施形態1)図1、図2は本発明の偏光
変換素子の構成を模式的に示す図である。この偏光変換
素子は、ITO(Indium Tin Oxide)
などの透明導電性膜からなる第1の電極53を配設した
第1の基板51と、透明導電性膜からなる第2の電極5
4とを配設した第2の基板52との間に液晶層55を挟
持したものである。液晶層55はネマティック液晶を用
いており、第1の電極53と第2の電極54の液晶層挟
持面にはポリイミドなどをラビングなどにより平行配向
処理した第1の配向膜56、第2の配向膜57が配設さ
れている。
【0038】また、液晶層55は、第1の配向膜56近
傍の第1の層55aと、第2の配向膜17近傍の第1の
層55bと、第1の層55aと第2の層55bとの間の
第3の層55cとを有している。第1の層55aと第2
の層55bの液晶分子は第1の配向膜56、第2の配向
膜57によりその配向状態が第3の層55cに比べてよ
り強く拘束されている。このような高速応答領域である
第1の層55aおよび第2の層55bの厚さtは配向膜
56、57と液晶層55との界面から約0.3〜0.3
5μm程度の範囲になるように設定している。この第1
の層55aと第2の層55bとの厚さは液晶層55全体
の厚さには依存しない。
【0039】ここで図1は第1の電極53と第2の電極
54とに第1の信号が供給され、液晶層55全体がほぼ
ホメオトロピック配列するような電界が形成されている
様子を示している。また、図2は第1の電極53と第2
の電極54とに第2の信号が供給され、第3の層55c
はホメオトロピック配列しているが、第1の層55aと
第2の層55bとは透過光に対して複屈折を与えるよう
な傾斜配列をなすような電界が形成されている様子を示
している。第2の信号の大きさは第1の信号よりは小さ
いが、第3の層55cをホメオトロピック配列に維持す
るだけの大きさは有している。また第2の信号の電位に
応じて、例えば直線偏光から楕円偏光への変換のような
偏光変換の程度が定まる。このような第1の信号、第2
の信号は、図示しない例えば液晶表示装置の対向電極駆
動回路のような駆動回路により供給するようにすればよ
い。
【0040】このような構成を採用することにより、本
発明の偏光変換素子は配向膜56、57に動作が拘束さ
れるアンカリング領域を含む配向膜近傍の第1の層55
aおよび第2の層55bのみを用いて光学応答を得るこ
とができる。バルク層である第3の層55cにはホメオ
トロピック配列するようにバイアス電圧が印加されてい
るから、第3の層55cのリタデーションはゼロであ
り、偏光変換には寄与しない。
【0041】第1の層55aおよび第2の層55bの液
晶分子は配向膜56、57に拘束されているから、例え
ば液晶層55全体がホメオトロピック配列した状態か
ら、第1の層55aおよび第2の層15bが透過光に対
して複屈折を与えるような状態へ高速に遷移させること
ができる。 (実施形態2)実施形態1に例示したような本発明の偏
光変換素子を動作させるためには、波長λの光の位相を
180°シフトさせるのに必要なリタデーションRが半
波長値λ/2以上であればよい。したがって、2t×Δ
n×m≧λ/2となるように、液晶材料の屈折率異方性
Δnと偏光変換素子の積層枚数mを定めるようにすれば
よい。図3は本発明の偏光変換素子を2層積層した構成
を模式的に示す図である。液晶層55を2層用いること
により本発明の偏光変換素子の光変調層である第1の層
55aと第2の層55bとの厚さΣ(t)を2倍にする
ことができ、1枚の偏光変換素子のみにより十分なリタ
デーションを得ることができない場合でも、入射光の位
相シフトに必要なリタデーションを確保することができ
る。
【0042】前述のように本発明の偏光変換素子では、
光学応答に実質的に寄与する液晶分子の配列層の厚さは
液晶層全体の厚さに依存していないので、1枚のセルの
厚さをいくら厚くしたとしても光学応答に寄与しないバ
ルク層が増加するだけである。この第3の層55cは配
向膜56、57に殆ど拘束されていないから、第1の信
号を印加した状態から第2の信号を印加したときの応答
速度は従来と同等である。本発明はこのようなバルク層
を光学応答に用いず、もっぱら第1の層55aと第2の
層55bとにより光学応答を得るような駆動手段を備え
ることにより、極めて高速でかつ安定動作する偏光変換
素子を実現することができる。
【0043】(実施形態3)以下に、上述したような本
発明の偏光変換素子およびその駆動波形のさらに具体的
な例を説明する。
【0044】本発明の偏光変換素子の製造方法の例につ
いて説明する。まず図1、図2に示すように対向する第
1の電極53を配設した第1の基板51と、第2の電極
54を配設した第2の基板52との液晶層55と接する
面に配向膜56、57をそれぞれ形成する。
【0045】次に、配向膜56、57の表面を対向配置
した、互いに配向方向が同じ方向となるような方向にラ
ビング処理を行なう。
【0046】第1の基板51と第2の基板52一定の間
隔を保って対向配置するために、基板間にスペーサー5
8を静電散布法などにより適量配設し、このスペーサー
を介して第1の基板と第2の基板とを貼り合わせ、基板
間に液晶組成物を充填して偏光変換素子を形成する。充
填された液晶組成物は配向膜56、57の配向処理方向
およびプレチルト角度によりスプレイ配列状態やベンド
配列状態を取らせることができる(図4参照)。
【0047】つぎにこのような本発明の偏光変換素子を
用いた液晶カラーシャッタについて説明する。
【0048】上述のようにして作成した偏光変換素子
8、9を例えば2枚の偏光板11、12の間に図5のよ
うな配置で挟持する。このとき2枚の偏光変換素子8、
9の光学軸が等しくなるように配置する。このとき、偏
光板11、12の吸収軸または透過容易軸が偏光変換素
子8、9の光学軸と45°の角度をなして交差するよう
に配設することが重要である。
【0049】偏光変換素子8、9の駆動はそれぞれの偏
光変換素子に配した電極から液晶層に印加される。
【0050】図6は従来のPi型の偏光変換素子に用い
られる一般的な駆動信号波形の例を概略的に示す図であ
る。
【0051】飽和電位Vh ではリダテーションがゼロと
なるため、液晶層に入射した光は透過しない。この飽和
電位Vh がオフセット電位Vo に切り替わると同時に所
定波長λの光が高速応答リダテーションによる位相シフ
トの結果透過する。このとき、従来の偏光変換素子では
スイッチング波長λが大きくなるほど位相シフトに必要
な高速応答リダテーション値が大きくなるために、応答
時間が遅くなるという問題がある。図7は従来の偏光変
換素子における波長と応答時間との関係を示すグラフで
ある。
【0052】図8は本発明の偏光変換素子の駆動信号波
形の例を概略的に示す図である。飽和電圧以上の飽和電
位Vh とこの直後に印加される加速用の過渡電位Vt お
よびオフセット電位Vo の信号セットにより安定に液晶
層の複屈折の電圧制御を行なうものである。本発明の駆
動では、スイッチング波長λ毎に過渡電位Vt のパルス
電位を最適化するため、スイッチング波長λが大きくな
った場合でも応答時間の変化が比較的少なくすることが
できる。
【0053】図9は本発明の偏光変換素子の波長と応答
時間との関係を示すグラフである。このように従来の信
号波形を用いた駆動と比較すると、電気信号に対する光
学応答の速度を約40%程度も高速化することができ
る。
【0054】図6、図8の波形の比較からも判るよう
に、従来の駆動波形では飽和電位Vhからオフセット電
位Vo に信号電位を低下させてスイッチングを行なうの
に対して、本発明では、飽和電位Vh からオフセット電
位Vo よりさらに更に低い加速用の過渡電位Vt を一旦
印加し。この後に所定波長λの光の位相を180°シフ
トさせるためのオフセット電位Vo を印加している。こ
のような構成を採用することによりさらに高速で安定し
たスイッチングを行うことができる。
【0055】このように、本発明の偏光変換素子によれ
ば、飽和電位Vh からオフセット電位Vo noペアから
なる駆動信号とともに、加速用の過渡電位Vt を印加し
て第1の信号に対応した光学応答から第2の信号に対応
した光学応答に遷移するまでの応答時間を短縮すること
ができる。例えば、従来のPi型偏光変換素子では不可
能だった約300μsec以下での高速応答、特に液晶
層に印加する電圧を低くした場合の応答回復時間τdeca
y の高速化を図ることができる。
【0056】(実施形態4)図10は本発明の偏光変換
素子の構成を模式的に示す図である。図に示すように透
明電極14、15が付与された対向基板である透明基板
16、17の対向配置される面にポリイミドを厚さ70
nmに成膜し180℃にて1時間焼成を行ない配向膜1
8、19を形成した。次に、配向膜18、19表面を回
転ラビング装置を用いて一定方向に配向処理を施した。
ここで、それぞれの基板の配向処理方向は、対向配置さ
れる基板の液晶と接する面のラビング方向が同一方向ま
たは同一方向から最大10°異なる方位に設定されるよ
うな方向20、21にラビング処理を施した。そして、
それぞれの基板の配向膜面が向き合うように基板を密着
して液晶セルを形成した。この時、液晶層の厚みを一定
に制御するために基板面に球状のスペーサ(ミクロパー
ル、5μm径、積水ファインケミカル(株)製)を均一
に散布し、周辺に施した密着層内にも同様のスペーサー
を混合してセルギャップの均一化をはかった。同様にし
て2枚目の偏光変換素子をもう1枚形成した。ここで
は、2枚目の偏光変換素子の液晶層の厚みも5μmに設
定した。
【0057】次に、それぞれの偏光変換素子の基板間隙
に液晶材料(BL006、MERCK社製)を常法にて
注入して、偏光変換素子22、23とした。
【0058】そして、偏光方向が互いに90°の角度を
なすようにして配置した偏光板24、25の間に液晶素
子22、23をそれぞれの素子のラビング方向が0°ま
たは180°の角度をなすようにして重ね、更に偏光板
の吸収軸と45°の角度をなすように配置し液晶カラー
シャッタを形成した。
【0059】この液晶カラーシャッタを前述のような加
速用の過渡電位Vt パルスを印加して駆動したところ安
定した高速動作を行うことができた。
【0060】比較例(1)として、図11は本発明の偏
光変換素子の構成を模式的に示す図である。図に示すよ
うな透明電極26、27が付与された対向基板である透
明基板28、29の対向配置される面にポリイミドを厚
さ70nmに成膜し180℃にて1時間焼成を行ない配
向膜30、31を形成した。
【0061】次に、配向膜30、31表面を回転ラビン
グ装置を用いて一定方向に配向処理を施した。ここで、
それぞれの基板の配向処理方向は、対向配置される基板
の液晶と接する面のラビング方向が同一方向に設定され
るような方向32、33にラビング処理を施した。そし
て、それぞれの基板の配向膜面が向き合うように基板を
密着して液晶セルを形成した。この時、液晶層の厚みを
一定に制御するために基板面に球状のスペーサー(ミク
ロパール、5μm径、積水ファインケミカル(株)製)
を均一に散布し、周辺に施した密着層内にも同様のスペ
ーサーを混合してギャップの均一化を図った。
【0062】次に基板間隙に液晶材料(BL−035;
MERCK社製)を常法にて注入して偏光変換素子34
とした。
【0063】この偏光変換素子34を、偏光方向が互い
に90°の角度をなすようにして配置した偏光板35、
36の間に、配向膜のラビング方向と、偏光板の吸収軸
とが45°の角度をなすようにして配置し、液晶カラー
シャッタを作成した。ただし駆動には一般的なPi型偏
光変換素子を駆動する場合に用いるオフセットのない単
純駆動を用いた。
【0064】前述の本発明の駆動方法と比較すると、飽
和電位Vh と過渡電位Vt との電圧振幅の絶対値の差よ
りも、飽和電位Vh とオフセット電位Vo との電圧振幅
の絶対値の差のほうが小さいため、応答に遅れが見られ
た。特に選択波長が大きくなった場合の回復時間の遅れ
が大きかった。
【0065】さらに比較例(2)として、上述同様のプ
ロセスにより本発明の偏光変換素子を構成した。ただ
し、駆動部には加速用の過渡電位Vt パルスを印加する
手段は付与していない。
【0066】このようにして作製した液晶カラーシャッ
タに図12のような駆動信号を印加した。図12は、本
発明の液晶カラーシャッタの駆動信号波形の例を示す図
である。この時の応答波形を図13に示す。実施形態1
の素子にはオフセット駆動波形に加速用過渡電位パルス
を付与した波形101を印加した。この場合応答波形1
02に示す。波長620nmの光源を用いた場合、τri
se=40μsec、τdecay =219μsecの高速応
答が確認された。比較例(1)の液晶カラーシャッタに
は、一般的なPi型偏光変換素子と同様の駆動波形10
3を印加した。この場合の応答波形を104に示す。τ
riseの差は殆どないがτdecay に関する応答速度に関し
ては1.3msecにおいても飽和が得られず高速シャ
ッターとしての使用が不可能であった。
【0067】最後に、比較例(2)の素子は実施形態1
と全く同様の構造を有しているが、オフセット駆動波形
に過渡電位Vt を付与しない信号波形105を印加した
場合の駆動である。この場合の応答波形を106に示
す。τrise=40μsec、τdecay =360μsec
と比較例1の素子よりはかなり高速ではあるがτdecay
の立ち上がりにまだ遅れがみられ101よりも40%ほ
ど遅くなっている。
【0068】このようにに、本発明の偏光変換素子は従
来の素子形態を大きく変更することなく、飽和電位Vh
、オフセット電位Vo 、および応答回復時間τdecay
を加速するための過渡電位Vt により液晶層の電気信号
に対する光学応答を高速化することができる。
【0069】(実施形態5)次に、上述したような本発
明の液晶カラーシャッタおよびその駆動波形についてさ
らに説明する。
【0070】先ず図14に示すように対向する基板1、
2の液晶と接する面に配向膜3、4をそれぞれ形成す
る。次に配向膜3、4上を基板の液晶と接する面どうし
が向かい合うようにして貼り合わせた時、互いに同じ配
向方向になるような方向5、6にラビンク処理を行う。
【0071】この基板を一定間隔を保つて対向配置する
ために、基板間にスペーサーボール7を適量付与して張
り合わせ、該基板間に間隙を形成する。間隙に充填され
た液晶分子は基板表面の配向処理方向およびプレチルト
角度によりスプレイ状態8やベンド状態9に配列する。
【0072】このようにして形成した偏光変換素子1
0、11を例えば2枚、図15は本発明の液晶カラーシ
ャッタの構成を模式的に示す図である。図に示すような
配置にそれぞれの偏光変換素子の光学軸が等しくなるよ
うに配設する。
【0073】これら偏光変換素子を挟み込む位置に偏光
板12、13を配設し液晶カラーシャッタを構成する。
このとき、偏光板の吸収軸14、15または透過が偏光
変換素子の光学軸45゜の角度をなす位置に配設するこ
とが重要である。
【0074】液晶カラーシャッタの駆動はそれぞれの偏
光変換素子に配設した電極から印加される信号により行
われる。図16は従来の液晶カラーシャッタの駆動信号
波形の例を示す図である。従来の液晶カラーシャッタで
は、電圧が印加された状態での透過波長制御であるた
め、所望の波長に対応した信号電圧16、17、18が
印加され続ける。これら、信号電圧16、17、18が
例えばR、G、Bの光透過を制御する信号波形および電
圧になる。
【0075】これに対して本発明の液晶カラーシャッタ
の駆動信号波形の例を図17に示す。飽和電圧以上の飽
和電位Hn(第1の信号)と、この直後に印加される保
持電圧Ln(第2の信号)の信号の組により安定に液晶
層の複屈折の制御を行う本方式では、Hn1・Ln1、
Hn2・Ln2、Hn3・Ln3なる信号セットおよび
保持時間t1、t2、t3なる駆動波形により、たとえ
ばR,G,Bの光透過を制御する信号波形および電圧と
なる。
【0076】図16、図17の比較から判るように従来
では信号電圧を印加し続けながら透過波長を選択するの
に対して、本発明の駆動波形では飽和電位より遥かに低
い保持電圧(ゼロではない)により透過波長を選択する
ためノイズなどの影響が少ない安定した色表示を行うこ
とができる。
【0077】本発明によると、飽和電位Hnと保持電圧
Lnペアからなる駆動信号により駆動される偏光板間に
配置された液晶素子により、カラー偏光板・カラーフィ
ルターあるいは高濃度の二色性色素を混合したゲストホ
スト液晶を用いることなく、色再現性および色純度の高
いカラー表示を行うことができる。
【0078】(実施形態6)図18に示すような透明電
極103、104が付与された対向基板である透明基板
101、102の対向配置される面にポリイミドを厚さ
70nmに成膜し180℃にて1時間焼成を行い液晶層
挟持面に配向膜105、106を形成した。次に、配向
膜105、106表面を回転ラビング装置を用いて一定
方向に配向処理を施した。ここで、それぞれの基板の配
向処理方向は、対向配置される基板の液晶と接する面の
ラビング方向が同一方向または同一方向から最大10°
異なる方位に設定されるような方向107、108にラ
ビング処理を施した。ついで、それぞれの基板の配向膜
面が向き合うように基板を接着して液晶セルを形成し
た。この時、液晶層の厚みを一定に制御するために基板
面に球状のスペーサー(ミクロパール、5μm径:積水
ファインケミカル(株)製)を均一に散布し、周辺に施
した接着層内にも同様のスペーサーを混合ギャップの均
一化を図った。同様にして2枚目の偏光変換素子をもう
1枚形成した。ただし、2枚目のセルの液晶層の厚みも
5μm径に設定した。次に、それぞれの偏光変換素子に
液晶材料(BL−006:MERCK社製)を常法にて
注入して液晶素子109、110とした。そして、偏光
方向が互いに90°の角度をなすようにして配置した偏
光板の間に、配向膜のラビング方向が0゜または180
゜の角度をなすようにして本発明の偏光変換素子を重
ね、さらに偏光板の吸収軸と45゜の角度をなすように
配置して液晶カラーシャッタを形成した。
【0079】このように作製した液晶カラーシャッタを
以下に説明するように駆動した。図19は本発明の液晶
カラーシャッタの駆動信号201と透過波長202の関
係を示す図である。なお駆動信号201は第1の駆動信
号201aと第2の駆動信号201bとからなってい
る。第1の駆動信号では、液晶層をすべてホメオトロピ
ック配列になり、リタデーションの寄与は実質的にな
い。したがって偏光の位相はシフトしない。第2の駆動
信号201bでは液晶層の第1の層と第2の層とにより
透過光は複屈折を受けてリタデーションが変化する。し
たがって例えば直線偏光は楕円偏光に変化し、検光子を
透過する成分が生じる。
【0080】このような駆動波形により、τrise=25
0μsec、τdecay=300μsecの高速応答が確認
された。
【0081】比較例(3)として、図20(a)に示す
ような透明電極23、24が付与された対向基板である
透明基板21、22の対向配置される面にポリイミドを
厚さ70nmに成膜し、約180℃にて1時間焼成を行
い配向膜25、26を形成した。
【0082】次に配向膜25、26表面を回転ラビング
装置を用いて一定方向に配向処理をを施した。ここで、
それぞれの基板の配向処理方向は、対向配置される基板
の液晶と接する面のラビング方向が同一方向に設定され
るような方向27,28にラビンク処理を施した。
【0083】その後、それぞれの基板の配向漠面が向き
合うように基板を接着して液晶セルを形成した。この
時、液晶層厚みを一定に制御するために基板面球状のス
ペーサー(ミクロパール、5μm径、積水フアインケミ
カル(株)製)を均一に散布し、周辺に施した接着層内
にも同様のスペーサーを混合してギャップの均一化を図
った。
【0084】次に、液晶セルに液晶材料(BL−03
5:MERCK社製)を常法にて注入して偏光変換素子
29とした。
【0085】この偏光変換素子を偏光方向が互いに90
゜の角度をなすようにして配置した偏光板の間に液晶素
子の吸収軸が45°の角度をなすように配置し、液晶カ
ラーシャッタを形成した(図20(b))。
【0086】このようにして作製した液晶カラーシャッ
タに図31に示すような一般的な駆動信号203を印加
したところリタデーションのミスマッチにより光透過に
オーバーシュートが見られる応答波形204が得られ
た。特に、応答速度に関しては1.3msecにおいて
も飽和が得られず高速シャッターとしての使用が不可能
であった。
【0087】このように、本発明の液晶カラーシャッタ
は従来からの素子形態を大きく変更することなく、書き
込み信号電圧Hnと保持信号電圧Lnぺアにより高速応
答領域のリタデーション変化による偏光変換を高速に行
うことができる。
【0088】また本発明によると、選択電圧Hnと保持
電圧Lnペアからなる駆動信号により駆動される偏光素
子間に配置された液晶素子により、カラー偏光素子・カ
ラーフィルタあるいは高濃度の二色性色素を混合したゲ
ストホスト液晶を用いることなく、色再現性および色純
度の高いカラー表示が可能となる。
【0089】(実施形態7)上述同様の液晶カラーシャ
ッタに図21のような駆動信号301、302を印加し
た場合の透過波長を図22に示す。セル組み立て条件が
等しい偏光変換素子において駆動信号波形により異なる
透過波長1011、1012が選択され、さらに2枚の
組み合わせにより合成された選択波長1013が表示さ
れる。これらの選択条件組み合わせによりカラー表示が
可能となる。
【0090】比較例(5)として、図23に示すような
透明電極23、24が付与された対向基板である透明基
板21、22の対向配置される面にポリイミドを厚さ7
0nmに成膜し180°にて1時間焼成を行い配向膜2
5、26を形成した。
【0091】次に配向膜25、26表面を回転ラビング
装置を用いて一定力拘に配向処理委を施した。ここで、
それぞれの基板の配向処理方向は配向処理される基板の
液晶と接する面のラビング方向が同一方向に設定される
様な27、28にラビンク処理を施した。それぞれの基
板の配向漠面が向き合うように基板を接着して液晶セル
を形成した。この時、液晶層厚みを一定に制御するため
に基板面球状のスペーサー(ミクロパール、2.5μm
径、積水フアインケミカル)を均一に散布し、周辺に施
した接着層内にも同様のスペーサーを混合してギャップ
の均一化をはかった。
【0092】次に、液晶セルに液晶材料(BL−:ME
RCK社製)を常法にて注入して偏光変換素子29とし
た。
【0093】この偏光変換素子を偏光方向が互いに90
゜の角度をなすようにして配置した偏光板の間に液晶素
子の吸収軸が45°の角度をなすように配置し液晶カラ
ーシャッタを形成した(図23(b))。このようにし
て作製した液晶カラーシャッタに図24に示すような一
般的な駆動信号403を印加したところ、信号印加時と
信号無印加時との液晶分子配列の変形過程において不規
則なディスクリネーシヨンが発生し動作安定が得られな
かった(図25)。また、透過波長を選択する電位は、
素子に印加される信号電圧により決定されるがこの駆動
信号電圧が素子の駆動飽和電圧より遥かに低い電位であ
るため信号波形に対する透過率の応答状に見られる通
り、応答速度が遅く液晶分子配列の変形に伴う透過波長
依存が顕在化し均一なカラー表示が安定に行えなかっ
た。
【0094】(実施形態8)図26(a)に示すような
透明電極33、34が付与された対向基板である透明基
阪31、32の対向配置される面にポリイミドを厚さ7
0μmに成膜し180°にて1時間焼成を行い配向膜3
5、36を形成した。次に、配向膜35、36表面を回
転ラビンク装置を用いて一定方向に配向処理を施した。
ここで、それぞれの基板の配向処理方向は、対向配置さ
れる基板の液晶と接するラビング方向が同一方向または
同一方向から最大20゜異なる方位に設定される様な方
向37、38にラビング処理を施した。それぞれの基板
の配向膜面が向き合うように基板を接着して液晶セルを
形成した。この時、液晶層の厚みを一定に制御するため
に基板面に球状のスペーサー(ミクロパール、2.5μ
m径、積水フアインケミカル(株)製)を均一に散布
し、周辺に施した接着層内にも同様のスペーサーを混合
してギャップの均一化をはかった。同ようにして2枚目
の液晶セルをもうーヒット形成した。ただし、2枚目の
セルの液晶厚みは1.5μm径に設定した。
【0095】次にそれぞれの液晶セルに液晶材料(BL
−035:MERCK社製)を常法にて注入して偏光変
換素子39、40とした。
【0096】偏光方向が互いに90゜の角度をなすよう
にして配置した偏光板の間に偏光変換素子子39、40
をそれぞれの素子のラビング方向が0゜または180゜
の角度をなすようにして重ね、更に偏光素子の吸収軸4
5゜の角度をなすように配置し液晶カラーシャッタを形
成した。
【0097】このようにして作製した液晶表示素子に図
27のような駆動信号504、505を印加した場合の
透過波長を図28に示す。セル組み立て条件が異なる素
子においても最適化された駆動信号波形とセルギャップ
による複屈折により異なる透過波長41、42が安定に
選択され、さらに2枚の組み合わせにより合成された選
択波長が表示される。したがって、これらの選択条件組
み合わせにより安定かつ高速のカラー表示を行うことが
できる。
【0098】比較例(6)として、図29に示すような
透明電極53、54が付与された対向基板である透明基
阪51、52の対向配置される面にポリイミドを厚さ7
0μmに成膜し180℃にて1時間焼成を行い配向膜5
5、56を形成した。
【0099】次に配向膜55、56表面を回転ラビング
装置を用いてー定方向に配向処理を施した。ここで、そ
れぞれの基板の配向処理方向は、対向配置される基板の
液晶と接する面のラビング方向が同一方向に設定される
様な方向57、58にラビング処理を施した。それぞれ
の基板の基板の配向膜面が向き合うように基板を接着し
て液晶セルを形成した。この時、液晶層の厚みを一定に
制御するために基板面に球状のスペーサー(ミクロパー
ル、5μm径:積水フアインケミカル(株)製)を均一
に散布し、周辺に施した接着層内にも同様のスペーサー
を混合してギャップの均一化を図った。次に、液晶セル
に液晶材料(BLー035:MERCK社製)を常法に
て注入して偏光変換素子59とした。
【0100】偏光方向が互いに90゜の角度をなすよう
にして配置した偏光板の間に液晶セル59をラビング方
向が偏光素子の吸収軸が45゜の角度をなすように配置
し液晶表示装置を形成した。
【0101】このようにして作製した液晶表示素子に図
30に示すような保持電力が0Vである駆動信号ペア6
06を印加したところ、信号印加時と信号無印加時との
液晶分子配列において不規則なディスクリネーシヨンが
発生し動作安定が得られなかった。
【0102】以上詳述したように、本発明の液晶表示装
置は従来からの素子形態を大きく変更することなく、書
き込み信号電圧Hnと保持信号電圧Lnぺアにより安定
にカラー表示を行う事ができること、ならびに液晶セル
内分子配列最適化により安定した動作特性を有する液晶
カラーシャッタを提供することができる。
【0103】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の偏光変換
素子、液晶カラーシャッタ、カラー画像表示装置は配向
膜に動作が拘束されるアンカリング領域を含む配向膜近
傍のみを用いて極めて高速の光学応答を安定して得るこ
とができる。また本発明の駆動方法では、飽和電位Vh
からオフセット電位Vo より更に低い液晶分子の再配列
加速のための過渡電位Vt を一旦印加した後、所定波長
λの光の位相を180°シフトさせるためのオフセット
電位Vo を印加することにより、高速で安定した偏光変
換を行うことができる。またこのような構成を採用する
ことにより従来のPi型偏光変換素子では不可能だった
約300μsec以下での高速な応答、特に液晶層に印
加する電圧を低くした場合に起る応答回復時間τdecay
の高速化を行うことができる。
【0104】また本発明の液晶カラーシャッタを、例え
ばCRT、ELディスプレイ等の階調表示が可能な表示
装置の表示画面上に重ね、表示画面の色情報と同期して
液晶カラーシャッタの透過波長を制御することによりカ
ラー画像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の偏光変換素子の構成を模式的に示す
図。
【図2】本発明の偏光変換素子の構成を模式的に示す
図。
【図3】本発明の偏光変換素子を2層積層した構成を模
式的に示す図。
【図4】本発明の偏光変換素子の構成を模式的に示す
図。
【図5】本発明の液晶カラーシャッタの構成を模式的に
示す図。
【図6】従来のPi型の偏光変換素子に用いられる一般
的な駆動信号波形の例を概略的に示す図。
【図7】従来の偏光変換素子における波長と応答時間と
の関係を示すグラフ。
【図8】本発明の偏光変換素子の駆動信号波形の例を概
略的に示す図。
【図9】本発明の偏光変換素子の波長と応答時間との関
係を示すグラフ。
【図10】本発明の偏光変換素子の構成を模式的に示す
図。
【図11】本発明の偏光変換素子の構成を模式的に示す
図。
【図12】本発明の液晶カラーシャッタの駆動信号波形
の例を示す図。
【図13】図12の液晶カラーシャッタの駆動信号に対
する応答波形の例を示す図。
【図14】本発明の偏光変換素子の構成を模式的に示す
図。
【図15】本発明の液晶カラーシャッタの構成を模式的
に示す図。
【図16】従来の液晶カラーシャッタの駆動信号波形の
例を示す図。
【図17】本発明の液晶カラーシャッタの駆動信号波形
の例を示す図。
【図18】本発明の偏光変換素子の構成を模式的に示す
図。
【図19】本発明の液晶カラーシャッタの駆動信号と透
過波長の関係を示す図。
【図20】本発明の偏光変換素子の構成を模式的に示す
図。
【図21】本発明の液晶カラーシャッタの駆動信号波形
の例を示す図。
【図22】図21の液晶カラーシャッタの駆動信号に対
する透過波長を示す図。
【図23】本発明の偏光変換素子の構成を模式的に示す
図。
【図24】液晶カラーシャッタの従来の駆動波形の例を
示す図。
【図25】信号印加時と信号無印加時との液晶分子配列
の変形過程において発生した不規則なディスクリネーシ
ヨンを示す図。
【図26】本発明の偏光変換素子の構成を模式的に示す
図。
【図27】本発明の液晶カラーシャッタの駆動波形の例
を示す図。
【図28】図27の液晶カラーシャッタの駆動信号に対
する透過波長を示す図。
【図29】本発明の偏光変換素子の構成を模式的に示す
図。
【図30】液晶カラーシャッタの従来の駆動波形の例を
示す図。
【図31】液晶カラーシャッタの従来の駆動波形の例を
示す図。
【符号の説明】
51…………第1の基板 52…………第2の基板 53…………第1の電極 54…………第2の電極 55…………液晶層 55a………第1の層(高速応答層) 55b………第1の層(高速応答層) 55c………第3の層(バルク層) 56…………第1の配向膜 57…………第2の配向膜 58…………スペーサー

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向配置された第1の電極と第2の電極
    と、 前記第1の電極と前記第2の電極との間に挟持され、前
    記第1の電極近傍の第1の層と、前記第2の電極近傍の
    第2の層と、前記第1の層と前記第2の層との間に第3
    の層とを有する液晶層と、 前記第1の層、前記第2の層および前記第3の層により
    前記液晶層を透過する偏光の偏光状態が実質的に保持さ
    れるように前記第1の電極または前記第2の電極に第1
    の信号を供給する第1の供給手段と、 前記第1の層と前記第2の層とにより前記偏光が複屈折
    され、かつ前記第3の層により前記偏光の偏光状態が実
    質的に保持されるように前記第1の電極または前記第2
    の電極に第2の信号を供給する第2の供給手段とを具備
    したことを特徴とする偏光変換素子。
  2. 【請求項2】 第1の透過軸を有する偏光子と、 前記第1の透過軸と交差する第2の透過軸と有する検光
    子と、 前記偏光子と前記検光子との間に配設され、対向配置さ
    れた第1の電極と第2の電極と、前記第1の電極と前記
    第2の電極との間に挟持され、前記第1の電極近傍の第
    1の層と、前記第2の電極近傍の第2の層と、前記第1
    の層と前記第2の層との間に第3の層とを有する液晶層
    とを具備した偏光変換素子とを具備し、 前記偏光変換素子は、前記液晶層により前記偏光子を透
    過した偏光の偏光状態が実質的に保持されるように前記
    第1の電極または前記第2の電極に第1の信号を供給す
    る第1の供給手段と、 前記液晶層の前記第1の層および前記第2の層では前記
    偏光が複屈折され、かつ前記第3の層では前記偏光の偏
    光状態が実質的に保持されるように前記第1の電極また
    は前記第2の電極に第2の信号を供給する第2の供給手
    段とを具備した偏光変換素子とを具備したことを特徴と
    する液晶カラーシャッタ。
  3. 【請求項3】 前記偏光変換素子は、前記第1の信号が
    印加されたときに、前記偏光子を透過した偏光の位相が
    実質的に180°シフトするように前記偏光子と前記検
    光子との間に複数積層されたことを特徴とする請求項2
    に記載の液晶カラーシャッタ。
  4. 【請求項4】 前記液晶層の屈折率異方性をΔn、 前記液晶層の前記第1の層と前記第2の層の厚さをt、 前記偏光子と前記検光子との間に配設される前記偏光変
    換素子の数をm、 前記偏光子を透過した偏光の波長をλとしたとき、 2t×Δn×m≧λ/2 であることを特徴とする請求項2乃至請求項3のいずれ
    かに記載の液晶カラーシャッタ。
  5. 【請求項5】 色情報に応じた階調を有する画像を表示
    画面に表示する手段と、 前記表示画面上に配設され、第1の透過軸を有する偏光
    子と、前記第1の透過軸と交差する第2の透過軸と有す
    る検光子と、前記偏光子と前記検光子との間に配設さ
    れ、対向配置された第1の電極と第2の電極と、前記第
    1の電極と前記第2の電極との間に挟持され、前記第1
    の電極近傍の第1の層と、前記第2の電極近傍の第2の
    層と、前記第1の層と前記第2の層との間に第3の層と
    を有する液晶層とを具備した偏光変換素子とを具備し、 前記偏光変換素子は、前記液晶層により前記偏光子を透
    過した偏光の偏光状態が実質的に保持されるように前記
    第1の電極または前記第2の電極に第1の信号を供給す
    る第1の供給手段と、 前記液晶層の前記第1の層および前記第2の層では前記
    偏光が複屈折され、かつ前記第3の層では前記偏光の偏
    光状態が実質的に保持されるように前記第1の電極また
    は前記第2の電極に第2の信号を供給する第2の供給手
    段とを具備したことを特徴とするカラー画像表示装置。
  6. 【請求項6】 第1の電極と第2の電極とに挟持され、
    前記第1の電極近傍の第1の層と、前記第2の電極近傍
    の第2の層と、前記第1の層と前記第2の層との間の第
    3の層とを有する液晶層により、この液晶層を透過する
    偏光の偏光状態が実質的に保持されるように前記第1の
    電極または前記第2の電極に第1の信号を供給する工程
    と、 前記第1の層と前記第2の層とにより前記偏光が複屈折
    され、かつ前記第3の層により前記偏光の偏光状態が実
    質的に保持されるように前記第1の電極または前記第2
    の電極に第2の信号を供給する工程とを具備したことを
    特徴とする液晶セルの駆動方法。
  7. 【請求項7】 前記第1の信号を供給してから前記第2
    の信号を供給するまでの間に前記第2の信号よりも電圧
    振幅の小さな第3の信号を供給する工程をさらに有する
    ことを特徴とする請求項8に記載の液晶セルの駆動方
    法。
JP9253983A 1997-09-18 1997-09-18 偏光変換素子、液晶カラーシャッタ、カラー画像表示装置、および液晶セルの駆動方法 Abandoned JPH1195206A (ja)

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