JPH1194560A - 角速度センサ - Google Patents

角速度センサ

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JPH1194560A
JPH1194560A JP10035239A JP3523998A JPH1194560A JP H1194560 A JPH1194560 A JP H1194560A JP 10035239 A JP10035239 A JP 10035239A JP 3523998 A JP3523998 A JP 3523998A JP H1194560 A JPH1194560 A JP H1194560A
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JP
Japan
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vibrator
angular velocity
piezoelectric
arm
velocity sensor
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JP10035239A
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Hirobumi Suzuki
鈴木  博文
Takashi Yamamoto
孝史 山本
Toshiatsu Nagaya
年厚 長屋
Takehiro Watarai
武宏 度會
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Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧電材料にて形成された音叉型の振動子を備
える角速度センサにおいて、温度変化に対して安定且つ
良好な感度を実現する圧電材料を提供する。 【解決手段】 音叉型振動子1を形成する圧電体のd31
およびQ値の特性は、センサ使用温度範囲(−40℃〜
85℃)において、d31 2 ×Qの最小値が2.5×1
-18 2 /V2 以上であること、d31 2 ×Qの最大
値と最小値の比である温度変化率が4以下であること、
31 2 ×Qの温度特性が単調増減である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧電体にて形成さ
れた振動子を備える角速度センサに関するものであり、
車両の姿勢制御装置やカーナビゲーションシステム等に
用いて好適である。
【0002】
【従来の技術】近年、小型、低コスト化のため圧電体に
て音叉型に形成された振動子(圧電体音叉型振動子)を
用いた角速度センサが発明されている。この圧電体音叉
型振動子を用いた角速度センサとしては、特開昭61−
294311号公報および特開平8−210860号公
報に記載の2脚音叉型振動子を用いたものが提案されて
いる。
【0003】この角速度センサは、一対の四角柱状のア
ーム部とこれらアーム部の両端を連結する連結部により
U字状の2脚音叉形状に構成された圧電体からなる振動
子(以下、音叉型圧電体振動子という)を備えており、
振動子の表面には、振動子駆動用の駆動電極、角速度検
出用の検出電極等、複数の電極が設けられている。そし
て、外部から入力される駆動信号により、アーム部の長
手方向(z軸方向)と直交するy軸方向にアーム部を駆
動振動(励振)させ、z軸回りに回転角速度が入力され
たときに、z軸方向およびy軸方向と直交するx軸方向
に発生するコリオリ力によるアーム部の振動を検出振動
として電気的に検出し、角速度の大きさを求める。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、当然の事な
がら、この音叉型圧電体振動子を用いた角速度センサを
自動車用として積載した場合にはその使用温度範囲(−
40℃〜85℃)で安定で感度のよいセンサ特性が必要
となる。このため、振動子を効率的に駆動振動させ、更
に、角速度センサにコリオリ力が生じた時に、それを信
号として増幅回路にて増幅可能な値となるように効率よ
く検出振動させるように振動子特性を良くする必要があ
る。
【0005】ここで、振動子は音叉型の圧電体であり、
感度向上のためには、圧電特性の向上が必要である。し
かし、上記した各従来公報では、音叉型圧電体振動子と
圧電体材料との関係において、良好な感度を実現するた
めの圧電体材料の特性(圧電特性等)にまで言及した記
載は無い。そのため、上記した従来の角速度センサにお
いては、感度を増幅するために複雑な増幅回路を用いな
ければならない等、十分な感度を安定して得ることがで
きなかった。また、使用温度範囲において、音叉型圧電
体振動子の圧電特性が大きく変化すると回路側にて検出
が困難となるという問題が生じてくる。
【0006】また、従来、櫛形やH字型等の多脚音叉型
においても、感度と圧電体材料の特性との関係は明らか
にされておらず、上記2脚音叉型と同様の問題が生じて
くる。本発明は上記点に鑑みて、圧電材料にて形成され
た音叉型の振動子を備える角速度センサにおいて、温度
変化に対して安定且つ良好な感度を実現する圧電材料を
提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、2脚若し
くは多脚の音叉型圧電体振動子において、どういう圧電
材料であれば、温度変化に対して安定且つ簡単な回路に
て検出可能な感度、すなわち良好な感度を実現できる
か、鋭意検討を行った。圧電体材料が、音叉形状の振動
子に形成された場合において、振動子の振幅AはA∝d
31 2 ×Q×VD 、その感度SC はSC ∝d31 2 ×Q×β
×VD (SC ∝A×β)にて近似される。ここで、d31
は圧電定数、Q値は共振尖鋭度であり、両者とも、音叉
形状に形成された圧電体の固有の圧電特性である。ま
た、βは音叉の寸法により決定される共振倍率であり、
D は駆動振動させるための駆動電圧である。
【0008】さらに、圧電体固有の圧電特性であるd31
およびQ値に着目して、検討を進めた結果、良好な感度
を得るためには、上記のd31 2 とQ値との積、すなわち
31 2 ×Qが、所定の特性を満足するものであれば好ま
しいことがわかった。すなわち、請求項1の発明によれ
ば、音叉型圧電体振動子を備える角速度センサにおい
て、振動子(1、101、201)を形成する圧電体の
31およびQ値の特性は、センサ使用温度範囲(−40
℃〜85℃)において、d31 2 ×Qの最小値が2.5
×10-18 2 /V2 以上であること、d31 2 ×Qの
最大値と最小値の比である温度変化率が4以下であるこ
と、d31 2 ×Qの温度特性が単調増減であることを特
徴とする。なお、本発明の音叉形状とは2脚もしくは多
脚の音叉形状を意味する。
【0009】ここで、の特性によって、振動子(1、
101、201)の性能を、効率的な駆動振動と検出振
動が可能な良好な感度とすることができる。そして、
の特性によって、感度の温度変化を小さくでき、また、
の特性によって、感度の温度特性を単調増減とできる
ため、通常使用される簡単な回路構成にて、容易に感度
の温度補正ができる。従って、−40℃〜85℃におい
て温度変化に対して安定且つ良好な感度を有する角速度
センサを提供することができる。
【0010】さらに、圧電体の弾性定数Y11 E について
も検討を進め、請求項2の発明のように、振動子(1、
101、201)を形成する圧電体の弾性定数Y11 E
80GN/m2 以上であれば、振動が発生しやすく且つ
伝わりやすくできるため、より高いレベルで良好な感度
を有する角速度センサを提供することができることを見
出した。
【0011】また、本発明者等は、圧電体を材料の組成
面からも鋭意検討したところ、PbZrO3 −PbTi
3 −Pb(Zn1/3 Nb2/3 )O3 系の材料に添加物
としてMnO2 を混合した圧電材料において、上記の特
性〜を満足するような所定の組成比が存在すること
を見出した。すなわち、請求項3の発明においては、振
動子(1、101、201)を形成する圧電体は、aP
bZrO3 −bPbTiO3 −cPb(Zn1/3 Nb
2/3 )O3 で表され、PbZrO3 、PbTiO3 、P
b(Zn1/3 Nb2/3 )O3 を頂点とする三角図表で、 A(a,b,c)=(0.45,0.50,0.05) B(a,b,c)=(0.47,0.52,0.01) C(a,b,c)=(0.52,0.47,0.01) D(a,b,c)=(0.50,0.45,0.05) の各点を結ぶ線内の領域で表されるPbZrO3 −Pb
TiO3 −Pb(Zn1/ 3 Nb2/3 )O3 系の材料と、
この材料100mol%に対して1〜2mol%含まれ
るMnO2 とからなる圧電材料であることを特徴とす
る。本発明においても、音叉形状とは2脚もしくは多脚
の音叉形状を意味する。
【0012】本発明においては、振動子(1、101、
201)を形成する圧電体を、上記〜の特性を有す
るものとでき、上記請求項2の発明と同等の効果を実現
することができる。さらに、請求項4の発明のように、
aPbZrO3 −bPbTiO3 −cPb(Zn1/3
2/3 )O3 において、Pb量が理論値すなわち化学量
論値(a+b+c=1)の1.01倍以内の範囲で過剰
であれば、d31 2 ×Qの値を安定して高いものとでき
る。
【0013】また、請求項5の発明のように、振動子
(1、101、201)を形成する圧電体の焼結後の気
孔率が7%以下で、平均粒径が1〜4μmであれば、振
動子(1、101、201)を形成する圧電体全体に渡
って、上記〜の特性を均一かつ安定に実現できる。
特に、各アーム部(4、5、102〜105、202〜
205)において、互いに同等の振動状態を実現するの
に効果的であり、不要振動を低減できる。
【0014】なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述
する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すもの
である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図に示す実施形態
について説明する。 (第1実施形態)図1は、本実施形態の角速度センサを
示す斜視図である。本実施形態は、例えば、自動車の姿
勢制御やカーナビゲーションシステム等に利用される角
速度センサとして使用される。本実施形態は、振動子
1、振動子1を支持する基板2、振動子1を駆動し角速
度を検出するための駆動・検出回路(図示せず)を有し
た構成となっている。
【0016】振動子1は、圧電体から形成され、一対の
四角柱状のアーム部(振動部)4、5と、両アーム部
4、5の一端を連結する連結部6からなる音叉形状、い
わゆる2脚の音叉型振動子を構成している。なお、本実
施形態では、振動子1を形成する圧電体は、所定の組成
比を有するPbZrO3 −PbTiO3 −Pb(Zn
1/3 Nb2/3 )O3 系の材料と、この材料に対して1〜
2mol%含まれるMnO2 とからなる圧電材料で形成
されているが、詳細構成については後述する。
【0017】ここで、振動子1の体格(図2参照)は、
厚み(X1面とX2面間距離)k1が2.17mmであ
る。各アーム部4および5の幅w1およびw2はそれぞ
れ各2mm、両アーム部4、5が対向する面間の距離
(スリット溝)w3は0.6mmであり、故に音叉の幅
(Y1面とY2面間距離、w1+w2+w3)は4.6
mmである。振動子1のz軸方向の長さh1は、支持部
3と接合する連結部6の面から、アーム部4、5先端ま
での距離が20mmで、連結部6のz軸方向の長さh2
は3mmである。従って、前述の0.6mmのスリット
溝の長さ(h1−h2)は17mmである。
【0018】この振動子1は、例えば42アロイ等から
なる略エ字型の支持部3を介して、基板2に固定されて
いる。この基板2には凹部2bが形成されており、その
ため、振動子1自身は基板2に対して平行に浮遊した形
となっている。ここで、振動子1において、両アーム部
4、5の長手方向と平行且つ両アーム部4、5の中央に
位置するz軸方向に延びる各振動子面を、以下のように
定義する。両アーム部4、5と連結部6とが同一平面を
形成し対向する略コ字形状の一対の面であるX1、X2
面のうち、基板2とは反対側の面をX1面、X1面と対
向する他方の面をX2面とする。また、振動子1の外周
に位置し且つアーム部4、5の配列方向であるy軸と直
交する面であるY1、Y2面のうち、アーム部4側をY
1面、アーム部5側をY2面とする。
【0019】また、X1面およびX2面と直交する方向
をx軸として、上記y軸およびz軸とともに、図1に示
すxyz直交座標系が構成される。以下、本実施形態に
おいて、このxyz直交座標を用いて説明する。また、
以下、x軸方向というのは、x軸と平行な方向であるこ
とを意味する。y軸、z軸方向についても同様である。
【0020】振動子1には、駆動および角速度検出のた
めの複数の電極が形成されているが、次に、その電極構
成について説明する。図3は、振動子1の外周面上に形
成された各電極10〜24の構成を、振動子1の前後、
左右から見た展開図である。(a)はX1面、(b)は
X2面、(c)はY1面、(d)はY2面上の電極構成
を示すものである。
【0021】X1面には、振動子1を駆動するための駆
動電極10、11と、駆動状態をモニタし自励発振させ
るため帰還用の参照電極12、13と、取出し電極1
4、15と、ポスト電極16、17とが形成されてい
る。一方、Y1、Y2面には、コリオリ力によって発生
する電荷を取出し角速度を検出するための角速度検出電
極18、19が形成されている。また、X2面には、上
記駆動および参照電極10〜13および角速度検出電極
18、19の基準電位用電極である共通電極20がほぼ
全面に形成されている。
【0022】ここで、角速度検出電極18、19は、そ
れぞれ、Y1、Y2面上の引出し電極21、22を介し
てポスト電極16、17と電気的に導通している。ま
た、共通電極20は、それぞれ、Y1、Y2面上の引出
し電極23、24を介して取出し電極14、15と電気
的に導通している。なお、角速度検出電極18は、アー
ム部4においてY1面と対向する面、角速度検出電極1
9は、アーム部5においてY2面と対向する面にあって
もよい。また、角速度検出電極は、Y1面またはY2面
のどちらか一方のみにあってもよい。一方のみの場合、
角速度検出電極がある側のアーム部の検出振動から角速
度検出がなされる。
【0023】また、振動子1は、図1の白抜き矢印に示
すように、X1、X2面に直交するx軸方向に分極処理
されている。なお、上記の取出し電極14、15は、振
動子1を分極処理するための、分極用電極としても用い
られる。そして、図1に示すように、上記のX1面上の
駆動電極10、11、参照電極12、13、取出し電極
14、15、およびポスト電極16、17は、基板2に
設けられた複数のリード端子Pと、例えばWB等による
導電性のワイヤ(例えば、Al線)Sにて、結線されて
いる。
【0024】これらリード端子Pは、基板2を貫通して
設けられ、基板2の振動子1とは反対の面に突出してい
る。各ハーメチック端子Pの外周には、絶縁ガラス2a
が配置され、ハーメチック端子Pと基板2との電気絶
縁、及び気密を保つ役割を果している。また、リード端
子Pは、基板2の振動子1とは反対の面側にて、上述し
た図示しない駆動・検出回路(外部回路)に、電気的に
接続されている。この駆動・検出回路は、上記した振動
子1への駆動信号(交流電圧)を発生させ振動子1を所
定の駆動周波数で駆動振動させると共に、振動子1の振
動状態から発生する電気信号を駆動周波数で同期検波す
る等の検出処理を行い、図1に示すz軸回りの角速度Ω
zを検出するように構成されている。
【0025】また、基板2は、その2外周に接着された
図示しないシェル(蓋体)を有し、振動子1はこのシェ
ル(蓋体)により覆われ、シェルと上記の絶縁ガラス2
aによって、振動子1は外部に対して気密となってい
る。さらに、基板2には、図示しない取付部が形成され
ており、本実施形態の角速度センサは、この取付部は、
防振ゴムを介して被測定物(車両等)の適所に、振動子
1および基板2が取り付けられるようになっている。こ
の時、図1に示すz軸方向を上下方向として取り付けら
れる。
【0026】以上の構成に基づき、本実施形態の角速度
センサの作動について説明する。上記の駆動・検出回路
から取出し電極14、15を介して、共通電極20と駆
動電極10および駆動電極11との間に、それぞれ位相
の180度異なる交流電圧(駆動信号)をx軸方向に印
加することにより、各アーム部4、5をy軸方向に励振
(駆動振動)させる。この時、参照電極12、13と共
通電極20との間を流れる出力電流を検知し、振動状態
をモニタしながらフィードバックを行う。その結果、周
囲温度が変化してもアーム部4、5のy軸方向の振幅
(駆動振幅)が一定となるように自励発振制御を行うこ
とができる。
【0027】上記の駆動振動時に、振動子1に対して、
z軸(検出軸)回りに角速度Ωzが入力された時、いわ
ゆるコリオリ力によりアーム部4、5はたわみ振動を生
じ、x軸方向に角速度Ωzに比例した検出振動を発生す
る。この検出振動によって、角速度検出電極18、19
と共通電極20との間に発生する出力電流を、引出し電
極21、22およびポスト電極16、17を介して検出
して、電圧値(検出信号)に変換することにより、各ア
ーム部4、5の中心位置におけるz軸回りの角速度Ωz
を検出する。
【0028】次に、上記振動子1の製造方法について述
べる。出発原料として、PbO、ZrO2 、TiO2
ZnO、Nb2 5 、MnCO3 を所望量配合し、トロ
ンミルにて20時間湿式混合する。このスラリーをスプ
レーバッグドライヤにて乾燥し、650〜750℃にて
2〜5時間焼成することで仮焼体を得る。この粉末をト
ロンミルにて48時間湿式粉砕し、そのスラリーにバイ
ンダを加えスプレードライヤにて水分を乾燥させ造粒粉
を得る。
【0029】この造粒粉を金型にて1軸加圧成形し、2
7×27×3.5mmの成形体を得る。この成形体を1
150〜1300℃にて1〜3時間焼成することにより
焼成体を得る。この焼成体を平面ラップ盤にて所望の厚
さに研削し、高精度スライサにて図1に示した形状の音
叉に加工する。その後、図3に示したパターンになるよ
うに、表裏面(X1、X2面)にAg/Pbペーストを
印刷・焼付けし、電極10〜17および20を形成す
る。その後、80〜150℃のシリコンオイル中で、X
1面がプラスになるように2.5kV/mmの直流電圧
を印加して分極処理を行う。
【0030】その後、Y1、Y2面にて、熱硬化型Ag
ペーストを印刷・硬化することにより、図3に示したパ
ターンの電極18、19および21〜24を形成する。
この電極18、19および21〜24のパターンは角速
度センサの検出原理により定められるもので、詳細は、
従来技術の欄に述べた特開平8−210860号公報に
開示されている。以上により圧電体により形成された音
叉型の振動子1が完成する。
【0031】続いて、この振動子1を支持部3に接着
し、更に支持部3を基板2に溶接により固定し、更に基
板2に形成されたリード端子Pと各電極10〜17をワ
イヤボンディング法にてアルミ線にて電気接続させる。
そして、リード端子Pと外部回路(駆動・検出回路)と
接続し、駆動信号および角速度信号等を入出力するよう
にする。
【0032】ところで、上記したように、本実施形態で
は振動子1を形成する圧電体として、所定の組成比範囲
を有するPbZrO3 −PbTiO3 −Pb(Zn1/3
Nb 2/3 )O3 系の材料と、この材料に対して1〜2m
ol%含まれるMnO2 とからなる圧電材料を用いてい
る。すなわち、振動子1を形成する圧電体には最適組成
範囲が存在する。
【0033】ここで,PbZrO3 −PbTiO3 −P
b(Zn1/3 Nb2/3 )O3 系の材料は、aPbZrO
3 −bPbTiO3 −cPb(Zn1/3 Nb2/3 )O3
(ここで、a+b+c=1)で表され、3成分の組成比
(a,b,c)は、図4および図5に示す特定の組成比
範囲を有する。図4は、PbZrO3 、PbTiO3
よびPb(Zn1/3 Nb2/3 )O3 を頂点とする三角図
表、すなわち、これら3成分の組成図である。本実施形
態において、上記3成分系の材料は、図4の四角形AB
CD(図中ハッチング部分)で示される組成比領域内の
組成範囲となっている。図5は、図4の組成比領域部分
(四角形ABCD、図中ハッチング部分)の拡大図であ
る。
【0034】四角形ABCDの各点の座標は、aPbZ
rO3 −bPbTiO3 −cPb(Zn1/3 Nb2/3
3 とすると、 A(a,b,c)=(0.45,0.50,0.0
5)、 B(a,b,c)=(0.47,0.52,0.0
1)、 C(a,b,c)=(0.52,0.47,0.0
1)、 D(a,b,c)=(0.50,0.45,0.05)
である。以下、このような最適組成比範囲の圧電材料と
した根拠について述べる。
【0035】角速度センサにおいて、圧電材料を用いて
音叉型振動子を形成する場合、音叉型という特有の形状
であるため、振動子はその形状に適した圧電特性を有す
る必要がある。従来から、圧電材料としては、PZT等
が提案されているが、音叉型振動子に適した圧電特性
は、提案されていなかった。また、組成比によって圧電
特性は変化するが、音叉型振動子に適した圧電材料組成
についても、提案されていなかった。
【0036】本発明者等は、音叉形状をなす振動子1に
おいて、どういう圧電材料であれば、温度変化に対して
安定且つ簡単な回路にて検出可能な感度、すなわち良好
な感度を実現できるか、鋭意検討を行った。上述の作動
その結果、圧電体材料が音叉形状の振動子に形成された
場合において、振動子の振幅AはA∝d31 2 ×Q×
D 、その感度SC はSC ∝d31 2 ×Q×β×VD (S
C ∝A×β)にて近似されることが判明した。
【0037】ここで、d31は圧電定数、Q値は共振尖鋭
度であり、両者とも、振動子1すなわち音叉形状に形成
された圧電体の固有の圧電特性である。また、βは音叉
の寸法により決定される共振倍率であり、VD は駆動振
動させるための駆動電圧である。さらに、振動子1を形
成する圧電体固有の圧電特性であるd31およびQ値に着
目して、検討を進めた結果、温度変化に対して安定且つ
良好な感度を得るためには、上記のd31 2 とQ値との
積、すなわちd31 2 ×Qが、角速度センサの使用温度範
囲(−40℃〜85℃)において、以下の〜の要件
を満足するものであれば好ましいことがわかった。
【0038】d31 2 ×Qの最小値が2.5×10-18
2 /V2 以上であること。 d31 2 ×Qの最大値と最小値の比である温度変化率が
4以下であること。 d31 2 ×Qの温度特性が単調増減であること。 ここで、の特性によって、振動子1の性能を、効率的
な駆動振動と検出振動が可能な良好な感度とすることが
できる。そして、の特性によって、感度の温度変化を
小さくでき、また、の特性によって、感度の温度特性
を単調増減とでき、通常使用される簡単な回路構成にて
感度の温度補正が可能とできる。従って、−40℃〜8
5℃において温度変化に対して安定且つ良好な感度を有
する角速度検出用振動子を提供することができる。
【0039】また、圧電体の弾性定数Y11 E についても
検討した結果、Y11 E が80GN/m2 以上であれ
ば、振動が発生しやすく且つ伝わりやすくでき好ましい
ことがわかった。なお、上記の−40℃〜85℃におけ
るd31 2 ×Qの最小値、d31 2 ×Qの最大値と最小値の
比である温度変化率、d31 2 ×Qの温度特性、および弾
性定数Y 11 E をまとめて圧電特性と呼ぶことにする。
【0040】そこで、本発明者等は、上記〜の要件
を満足すべく、振動子1を形成する圧電体の材料組成
比、すなわちPbZrO3 −PbTiO3 −Pb(Zn
1/3 Nb2/3 )O3 系の材料に添加物としてMnO2
混合した圧電材料の組成比を、種々変えた試料を作製
し、各試料について各圧電特性およびその他の材料特性
を評価した。その結果、ある組成範囲において、上記
〜の要件を満足するものを見出した。
【0041】評価法は、Q値は、FRA(NF回路設計
ブロック社製FREQUENCYRESPONSE A
NALYZER 5090)により、振動子1の構成に
おいて駆動電極10、11から入力し、角速度検出電極
18、19から出力するという方法を用いた。実際に
は、共振周波数でのゲインを測定し3dB下げた点より
求めた。
【0042】圧電定数d31及び弾性定数Y11 E は、振動
子(音叉)を形成する圧電体と同じ組成原料にてφ16
×t1の円板を作製し、インピーダンスアナライザ(ヒ
ューレットパッカード社製 IMPEDANCE AN
ALYZER 4194A)にて求めた。焼結体粒径
は、焼結体破面をラップ後、SEM(走査型電子顕微
鏡)像からインターセプト法にて平均粒径として求め
た。気孔率は、真比重と嵩比重の差より算出した。
【0043】14種類(No.1〜No.14)の各試
料についての圧電特性およびその他の材料特性の評価結
果を、図6の特性表に示す。ここで、試料No.1、
2、4、6、7、9、11、12は本発明の実施例であ
り、試料No.3、5、8、10、13、14は比較例
である。この特性表において、PbZrO3 、PbTi
3 、Pb(Zn1/3 Nb2/3)O3 の量は、それぞ
れ、PbZr、PbTi、PbZnNb(mol%)と
して表し、PbZr+PbTi+PbZnNbを100
mol%としている。また、MnO2 の量(表中、Mn
Oで示す)は、上記の3成分系材料、つまり、PbZr
+PbTi+PbZnNbを100mol%としたとき
の値(mol%)である。
【0044】また、この特性表において、圧電特性のう
ちd31 2 ×Qの最小値、d31 2 ×Qの最大値と最小値の
比である温度変化率、およびd31 2 ×Qの温度特性の3
つについては、それぞれ、dQmin 、dQR、dQtと
符号化して示し、その他の材料特性、焼結体粒径および
気孔率は、それぞれ、rおよびnとして示してある。な
お、材料組成により最適焼成温度が若干異なるのでそれ
ぞれの組成にて、焼成温度変更テストを行い、焼成比重
(上記の嵩比重)が最大となる温度を最適焼成温度とし
た。そして、No.1〜No.14の各試料は、各々最
適焼成温度にて作製してある。
【0045】まずPbTiO3 とPbZrO3 の配合比
について述べる。この配合比は、通常Zr/Ti比とし
て表現され、この比により正方晶と三方晶の2つの結晶
相が区分けされる。その結晶境界はモルフォトロピック
相境界(morphotropic phasebou
ndary:MPB)と呼ばれ、MPBよりZr/Ti
比が大きいと三方晶となり小さいと正方晶となることが
知られている。
【0046】本発明者等は、今回、Q値の特性がMPB
と大いに相関が有り、MPB近傍にてQ値が大きくなる
ことを見出した。従って、Zr/Ti比とd31 2 ×Qと
の関係は図7(a)に示すようになり、d31 2 ×QはM
PB近傍にて極大値を有する。また、このMPBはZr
/Ti比により変化するのみでなく、図7(b)に示す
ように、温度によっても変化し、低温から高温になると
Zr/Ti比大側にシフトすることが判明した。つま
り、あるZr/Ti比では、温度範囲−40℃〜85℃
において、室温にて正方晶であったものが、低温にする
とMPBを越えて三方晶になる。このことは低温X線回
折による構造解析にて確認している。
【0047】この結果とリンクして、Q値の温度特性を
測定すると、MPB近傍にてQ値大となるため室温から
低温になるときQ値の極大値をもつ。また、圧電定数d
31は、Q値よりも温度依存性は小さいため、d31 2 ×Q
の温度特性はQ値が支配的となる。よって、−40℃〜
85℃においてMPBが存在するようなZr/Ti比の
場合、d31 2 ×Qの温度特性は、所望の単調増減の特性
より外れることになる。
【0048】Zr/Ti比について試料No.13、
6、14を比較する。試料No.13は室温で正方晶だ
が、三方晶に近いため室温から低温に温度をさげるとM
PBを越える領域となる。そのため、低温域にてQ値が
最大となり、かつd31はほとんど変化しないため、結果
的にd31 2 ×Qの温度特性(dQt)は低温側にて極大
値をもつ(−40℃〜85℃において上に凸)ことにな
る。
【0049】次に、試料No.6までZr/Ti比を小
さくしていくと、圧電体の結晶相は、より正方晶側にシ
フトして、MPB領域は低温側にシフトするため、−4
0℃迄にはMPBを越えなくなり、結果的にd31 2 ×Q
の温度特性(dQt)は−40℃〜85℃において極大
値を持たず単調減少となる。更に、試料No.14まで
Zr/Ti比を小さくするとMPBより遠ざかるため、
31 2 ×Qの温度特性(dQt)は単調減少だが、d31
2 ×Qの最小値(dQmin )が所望の値(2.5×10
-18 2 /V2 )より小さくなる。
【0050】従って、試料No.13、6、14におい
ては、試料No.6が良好なZr/Ti比を有するもの
であることがわかるが、さらに、詳細に調査したとこ
ろ、Zr/Ti比が1.11〜0.9の範囲であれば、
良好であることがわかった。このように、上記のd31 2
×Qの温度特性(dQt)の単調減少は、−40℃〜8
5℃においてMPBを有しないことで達成される。ここ
で、圧電体の結晶相の変化をみると、MPBを越えない
範囲においても、MPB近傍では一部相変化が起こって
いる。逆に言えば、振動子1を形成する圧電体の結晶構
造は、−40℃〜85℃において、MPBを越えない範
囲で相転移(一部相転移)が起こってもよいのである。
【0051】なお、d31 2 ×Qの温度特性(dQt)に
おいて、試料No.10および13も、試料No.5と
同様に、極大値有となっており、−40℃〜85℃にお
いて上に凸となっている。また、MnO2 は、一般的
に、圧電体の剛弾性を向上させる(ハード化)ための添
加材として知られており添加によりQ値は向上する。更
に鋭意検討した結果、MnO2 の添加量により低温側の
Q値がアップすることが判明した。
【0052】従って、−40℃〜85℃の範囲における
31 2 ×Qの温度特性を測定すると、添加量が少ない場
合は極大値を持ち、単調減少の特性より外れ、添加量を
多くすると低温側のQ値がアップし高温から低温にかけ
て単調に増加する。MnO2 の添加効果について、試料
No.5、6、7、8を比較する。これらのうち試料N
o.5、6、7について、d31 2 ×Qの温度特性(dQ
t)を図8に、−30℃〜90℃のデータとして示す。
試料No.5のようにMnO2 量が少ないとd31 2 ×Q
の温度特性(dQt)が極大値を持ち単調減少ではなく
なるのに加えて、焼結体粒径rが大きく弾性定数Y11 E
が小さくなる。
【0053】試料No.6、7とMnO2 量を多くする
と、低温側のd31 2 ×Qが大きくなり、結果的に温度特
性(dQt)は単調増減する。更に試料No.8まで多
くすると、温度変化率(dQR)が大きくなり、所望す
る特性(4以下)よりはずれる。従ってMnO2 量の最
適値は1〜2mol%となる。以上により、Zr/Ti
比とMnO2 量の良好範囲が規定される。
【0054】また、Pb(Zn1/3 Nb2/3 )O3 はリ
ラクサとしての添加効果を有しているが、今回更に焼結
体の粒径制御に効果があることを確認した。PbTiO
3 −PbZrO3 −Pb(Zn1/3 Nb2/3 )O3 系の
材料において微量のPb(Zn1/3 Nb2/3 )O3 添加
にて粒径は細かくなるが、ある程度以上の添加ではかえ
って粒径rが大きくなり、均一かつ安定な圧電体が形成
されにくいため好ましくないことがわかった。
【0055】Pb(Zn1/3 Nb2/3 )O3 量について
試料No.3、4、6、9、10を比較してみると、試
料No.6は、焼結体粒径rが大きくなりすぎて所望の
値(4μm以下)よりはずれる。また、試料No.10
のようにPb(Zn1/3 Nb 2/3 )O3 量が少なすぎる
と、d31 2 ×Qの温度特性(dQt)において極大値を
持ち単調減少の特性よりはずれる。従って、Pb(Zn
1/3 Nb2/3 )O3 量の最適値は、1〜5mol%であ
る。
【0056】また、圧電体の焼結後の気孔率nが7%以
下とすれば、上記の粒径制御効果と同様に、振動子1を
形成する圧電体全体に渡って均一かつ安定な特性とでき
ることがわかった。これら、焼結体粒径rおよび気孔率
nによる圧電体の効果は、、特に、左右のアーム部4、
5の振動特性を同じとすることができる。また、実際に
は、aPbZrO3 −bPbTiO3 −cPb(Zn
1/3 Nb2/ 3 )O3 において、Pb量が理論値すなわち
化学量論値(a+b+c=1)の1〜1.01倍以内の
範囲で過剰としている。本発明者等の検討によれば、P
b量が理論値に対して0.99〜1倍であれば、Q値が
800〜1000程度と大きく、1倍よりも多いとQ値
はほぼ飽和する。
【0057】従って、他の圧電特性等を考慮すると実用
上、d31 2 ×Qの値を安定して高いものとするには、P
b量が理論値の1〜1.01倍以内の範囲で過剰とする
ことが好ましい。なお、Pb量は出発原料であるPbO
の量を変えることで調整可能である。以上、述べたよう
に、圧電特性およびその他の材料特性について検討した
結果、振動子1を形成する圧電体の最適組成範囲を決定
した。そして、この最適組成範囲内で作製した振動子1
を用いた角速度センサは、−40℃〜85℃の範囲で、
感度の温度変化率が3%と良好なものとできた。
【0058】(第2実施形態)本発明の第2実施形態を
図9及び図10に示す。本実施形態は、図に示すような
4脚音叉形状の圧電体からなる振動子101を用い、こ
の振動子101の圧電材料として、上記図4及び図5に
示す組成比範囲を有するPbZrO3 −PbTiO3
Pb(Zn1/3 Nb2/3 )O3 系の材料と、この材料に
対して1〜2mol%含まれるMnO2 とからなる圧電
材料を用いたものである。図9は本実施形態の角速度セ
ンサの斜視図である。
【0059】振動子101は、略平行に配列された4本
の四角柱状のアーム部102、103、104、105
と、各アーム部102〜105の片端部を共通に固定支
持する共通の連結部106とを有し、櫛形音叉形状を成
している。そして、内側一対のアーム部103、104
が駆動用アーム部、外側一対のアーム部102、105
が検出用アーム部として構成されている。
【0060】ここで、図9に示す様に、アーム部102
〜105の配列方向をy軸、アーム部102〜105の
長手方向をz軸、アーム部102〜105及び連結部1
06の厚み方向をx軸としてxyz直交座標系が構成さ
れる。ここで、z軸は内側一対のアーム部103、10
4の間の中央部に位置する。以下、このxyz直交座標
系に基づいて本実施形態を説明する。なお、x軸方向と
いうのはx軸と平行な方向をいうものとし、y軸、z軸
についても同様である。
【0061】また、振動子101においてx軸と直交す
る面のうち基板110と対向する面をX2面とし、この
X2面とは反対側の面をX1面とする。また振動子10
1においてy軸と直交する外側一対のアーム部102、
105の外周面のうちアーム部102側の面をY2面と
し、アーム部105側の面をY1面とする。そして、各
アーム部102〜105および連結部106は、図9の
白抜き矢印で示すように、X1面からX2面に向かって
x軸方向に一様に分極処理されている。
【0062】107は例えば42アロイ等の金属から形
成された支持部であり、中央部が細くくびれた略エの字
型形状を成し、このくびれた部分はトーションビーム1
08として構成されている。トーションビーム108の
一端側に位置する部分は連結部106と固定される連結
部側接続部107a、トーションビーム108の他端側
に位置する部分は後述のスペーサ107cと固定される
基板側接続部107bとして構成されている。
【0063】トーションビーム108は、連結部106
の略中央部位(すなわち内側の1対のアーム部103、
104の支持部位の間の略中央部位)から、z軸方向に
おいてアーム部102〜105とは反対側に延びるよう
に位置する。支持部107は、図9に示す様に、一方側
で連結部106と接着等により固定され、他方側で上記
スペーサ107cを介して基板(ベース)110と溶接
等により接合固定されている。
【0064】従って、振動子101は支持部107及び
スペーサ107cを介し、基板110に対して浮遊した
状態で支持される。また、トーションビーム108の中
心軸はz軸とほぼ一致し、換言すればトーションビーム
108は、実質的に振動子101の中心線上に位置す
る。次に、振動子101上のX1、X2、Y1、Y2面
上に形成された電極構成について説明する。その電極構
成は図10の展開図に示される。図10において(a)
はX1面、(b)はX2面、(c)はY1面、(d)は
Y2面の電極構成を示す。以下、図10を参照して説明
する。
【0065】120は駆動電極であり、X1面において
アーム部103の外周側から連結部106を通ってアー
ム部104の外周側に渡って連続して形成されている。
121は参照電極であり、X1面においてアーム部10
3の内周側から連結部106を通ってアーム部104の
内周側に渡って連続して形成されている。122、12
3及び124は角速度検出用の角速度検出電極である。
角速度検出電極122は、Y1面においてアーム部10
5の略全域に渡って形成されている。一方、角速度検出
電極123は、X1面においてアーム部102の略全域
に渡り、角速度検出電極124は、X2面においてアー
ム部102の略全域に渡って形成されている。
【0066】そして、全ての角速度検出電極122〜1
24は、図10に示す様に、各面上に形成された引出し
電極125、126及び127によって接続され導通し
ている。角速度検出電極122と123とは、引出し電
極125(Y1面上)及び引出し電極126(X1面
上)を介して接続され、角速度検出電極123と124
とは、引出し電極127(Y2面上)を介して接続され
ている。
【0067】128、129、130及び131は、上
記駆動、参照、及び角速度検出電極120〜124の基
準電位となる共通電極である。共通電極128はX1面
においてアーム部105の略全域、共通電極129はX
2面においてアーム部105の略全域に渡り形成されて
いる。また、共通電極130はX2面においてアーム部
103の略全域から連結部106を通ってアーム部10
4の略全域に渡って連続して形成されており、共通電極
131はY2面においてアーム部102の略全域に渡り
形成されている。
【0068】そして、全ての各共通電極128〜131
は、図10に示す様に、各面上に形成された引出し電極
132、133、134及び135によって接続され導
通している。共通電極128と129とは、引出し電極
132(Y1面)を介して接続され、共通電極129及
び130と共通電極131とは、引出し電極133、1
34(共にX2面)及び引出し電極135(Y2面)を
介して接続されている。
【0069】また、X1面において、連結部106に
は、後述のワイヤボンディング用のパット電極136及
び137が形成されている。パット電極136は、角速
度検出電極122〜124と導通する引出し電極126
の途中部に、パット電極137は、共通電極128から
延びる引出し電極138の終端部に位置し、それぞれ引
出し電極126、138よりも幅広に形成されている。
従って、パット電極136は角速度検出電極122〜1
24と導通し、パット電極137は共通電極128〜1
31と導通する形となる。
【0070】なお、振動子101におけるy軸方向と直
交する面のうちアーム部102とアーム部103との対
向面、アーム部103とアーム部104との対向面、ア
ーム部104とアーム部105との対向面には電極は形
成されていない。また、駆動電極120と参照電極12
1、角速度検出電極122と共通電極128、129、
及び角速度検出電極123、124と共通電極131
は、それぞれ隙間を開けて形成され、導通していない。
【0071】また、図9に示す様に、基板110には、
図示しない駆動・検出回路(制御回路)と接続されるリ
ード端子P11〜P14が設けられている。そして、リ
ード端子P11は駆動電極120と、リード端子P12
はパット電極137と、リード端子P13は参照電極1
21と、リード端子P14はパット電極136と、それ
ぞれワイヤ(リード線)S11〜S14によって接続さ
れている。上記各ワイヤの結線は、例えばWBにて行わ
れる。
【0072】そして、本実施形態の角速度センサは、上
記駆動・検出回路によって次のように作動する。まず、
駆動電極120と共通電極130間に交流電圧を印加す
ることにより、内側一対のアーム部103、104を互
いにz軸(つまり振動子101の中心線)に対し対称な
y軸方向への屈曲振動をするモードにて共振させる。そ
のときの振幅として参照電極121からの出力をモニタ
ーし、参照電極121からの出力が一定となるように上
記駆動・検出回路を用いて自励発振(自励振動)させ
る。
【0073】次に、z軸回りに角速度が入力された場
合、振動している内側一対のアーム部103、104に
はコリオリ力が発生し、これらアーム部103、104
は、x軸方向において互いに逆方向に力を受ける。その
とき外側一対のアーム部102、105も連成してx軸
方向に振動するため、角速度に比例したx軸方向の振動
振幅を角速度検出電極122〜124からの出力として
検出し、角速度を検出する。
【0074】本実施形態においても、上記第1実施形態
と同様の圧電材料を用いて振動子101を作製すること
により、感度の温度変化率が良好な角速度センサを提供
することができる。 (第3実施形態)本発明の第3実施形態を図11に示
す。本実施形態は、図に示すような4脚のH型音叉形状
の圧電体からなる振動子201を用い、この振動子20
1の圧電材料として、上記図4及び図5に示す組成比範
囲を有するPbZrO3 −PbTiO3 −Pb(Zn
1/3 Nb2/3 )O3 系の材料と、この材料に対して1〜
2mol%含まれるMnO2 とからなる圧電材料を用い
たものである。図11は、振動子201を前後左右から
みた展開図である。
【0075】振動子201は、4本の平行な四角柱状の
アーム部202、203、204、205と連結部20
6とから構成される。ここで、片側一対のアーム部20
2、203が駆動用アーム部、他側一対のアーム部20
4、205が検出用アーム部として構成されている。ま
た、連結部206には、上記各実施形態に示すような支
持部(図示せず)が当接しており、この支持部に固定さ
れた連結部206を介して振動子201は支持されてい
る。
【0076】本実施形態では図11に示す様に、アーム
部202〜205の配列方向をy軸、アーム部202〜
205の長手方向をz軸、アーム部202〜205及び
連結部206の厚み方向をx軸としてxyz直交座標系
が構成される。また、振動子201においてx軸と直交
する面のうち一側の面をX1面とし、他側の面をX2面
とする。また振動子201においてy軸と直交する面で
あって各一対のアーム部202と203、及び204と
205が対向しない面のうち一側面をY1面とし、他側
面をY2面とする。なお、振動子201は、X1面から
X2面に向かってx軸方向に一様に分極処理されてい
る。
【0077】次に、振動子201上のX1、X2、Y
1、Y2面上に形成された電極構成について説明する。
その電極構成は図11に示される。図11において
(a)はX1面、(b)はX2面、(c)はY1面、
(d)はY2面の電極構成を示す。207は片側一対の
アーム部202、203を駆動するための駆動電極であ
り、X1面においてアーム部202から連結部206、
アーム部203に渡って連続的に形成されている。20
8は振動状態をモニタするための参照電極であり、X1
面においてアーム部202から連結部206、アーム部
203に渡って、駆動電極207の外周側に連続的に形
成されている。
【0078】209及び210は角速度検出用の角速度
検出電極であり、それぞれアーム部204のY2面、ア
ーム部205のY1面に形成されている。角速度検出電
極209は、Y2面上の引出し電極211を介してX1
面上のパット電極212に導通し、一方、角速度検出電
極210は、Y1面上の引出し電極213を介してX1
面上のパット電極214に導通している。
【0079】215、216及び217は上記駆動、参
照、角速度検出電極207〜210の基準電位となる共
通電極である。共通電極215はX2面の略全域に形成
され、共通電極216及び217は、それぞれアーム部
204のX1面、アーム部205のX1面に形成されて
いる。そして、各共通電極215〜217は、Y2面及
びY1面に形成された引出し電極218、219によっ
て導通されている。
【0080】本実施形態においても、各電極と図示しな
い駆動・検出回路(制御回路)との接続は、上記各実施
形態と同様に、リード端子とWBのワイヤ等によるリー
ド線との結線にて行われる。本実施形態の作動について
述べる。まず、駆動電極207と共通電極215間に交
流電圧を印加することにより、片側一対のアーム部20
2、203を互いに振動子201の中心線に対し対称な
y軸方向への屈曲振動をするモードにて共振させる。そ
のときの振幅として参照電極208からの出力をモニタ
ーし、参照電極208からの出力が一定となるように上
記駆動・検出回路を用いて自励発振(自励振動)させ
る。
【0081】次に、z軸回りに角速度が入力された場
合、振動している片側一対のアーム部202、203に
はコリオリ力が発生し、これらアーム部202、203
は、x軸方向において互いに逆方向に力を受ける。その
とき他側一対のアーム部204、205も連成してx軸
方向に振動するため、角速度に比例したx軸方向の振動
振幅を角速度検出電極209、210からの出力として
検出し、角速度を検出する。
【0082】本実施形態においても、上記第1実施形態
と同様の圧電材料を用いて振動子201を作製すること
により、感度の温度変化率が良好な角速度センサを提供
することができる。 (他の実施形態)なお、上記実施形態ではd31 2 ×Qの
温度特性が単調減少であったが、d31 2×Qの温度特性
が−40℃〜85℃の範囲で単調増加するものであって
もよい。例えば、85℃よりも高い温度で極大値を持つ
ようなものが挙げられる。
【0083】また、本発明のおける振動子を形成する圧
電体は、上記の要件〜を満足するものであれば、P
bZrO3 −PbTiO3 −Pb(Zn1/3 Nb2/3
3系の材料とMnO2 との焼結体に限定されない。例
えば、PbZrO3 −PbTiO3 −Pb(Mn1/3
2/3 )O3 系の材料であってもよい。また、水晶等を
用いてもよい。
【0084】なお、上記図1及び図3において、施して
あるハッチングは、あくまで説明の便宜を図るための表
示であり、断面を示すものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る角速度センサを示
す斜視図である。
【図2】図1における振動子の体格を示す説明図であ
る。
【図3】図1における振動子に形成された各電極の構成
を示す展開図であり、(a)はX1面、(b)はX2
面、(c)はY1面、(d)はY2面上の電極構成を示
すものである。
【図4】上記第1実施形態の振動子を形成する圧電体の
組成比を示す三元図である。
【図5】図4の部分拡大図である。
【図6】上記第1実施形態における各圧電体の圧電特性
等を示す図表である。
【図7】Zr/Ti比とモルフォトロピック相境界(M
PB)との関係を示す説明図である。
【図8】MnO2 の添加とd31 2 ×Qの温度特性との関
係を示すグラフである。
【図9】本発明の第2実施形態に係る角速度センサを示
す斜視図である。
【図10】図9の振動子上に形成された電極の構成を示
す展開図であり、(a)はX1面、(b)はX2面、
(c)はY1面、(d)はY2面を表す。
【図11】本発明の第3実施形態に係る角速度センサの
振動子の展開図である。
【符号の説明】
1、101、201…振動子、 4、5、102〜105、202〜205…アーム部、 6、106、206…連結部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 度會 武宏 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 角柱状に形成された少なくとも一対のア
    ーム部(4、5、102〜105、202〜205)と
    各アーム部(4、5、102〜105、202〜20
    5)の一端を連結する連結部(6、106、206)と
    により音叉形状に形成された圧電体からなる振動子
    (1、101、201)を備え、 外部から入力される駆動信号により、前記アーム部
    (4、5、103、104、202、203)を前記ア
    ーム部(4、5、102〜105、202〜205)の
    配列方向であるy軸方向へ励振させると共に、 前記アーム部(4、5、102〜105、202〜20
    5)の長手方向と平行なz軸回りに角速度が入力された
    ときに、前記アーム部(4、5、102、105、20
    4、205)の前記y軸に直交したx軸方向への検出振
    動を検出する角速度センサにおいて、 前記振動子(1、101、201)を形成する圧電体の
    圧電定数d31およびQ値の特性は、−40℃〜85℃の
    温度範囲において、d31 2 ×Qの最小値が2.5×10
    -18 2 /V2 以上であり、d31 2 ×Qの最大値と最小
    値の比である温度変化率が4以下であり、さらに、d31
    2 ×Qの温度特性が単調増減であることを特徴とする角
    速度センサ。
  2. 【請求項2】 前記振動子(1、101、201)を形
    成する圧電体の弾性定数Y11 E が80GN/m2 以上で
    あることを特徴とする請求項1に記載の角速度センサ。
  3. 【請求項3】 角柱状に形成された少なくとも一対のア
    ーム部(4、5、102〜105、202〜205)と
    各アーム部(4、5、102〜105、202〜20
    5)の一端を連結する連結部(6、106、206)と
    により音叉形状に形成された圧電体からなる振動子
    (1、101、201)を備え、 外部から入力される駆動信号により、前記アーム部
    (4、5、103、104、202、203)を前記ア
    ーム部(4、5、102〜105、202〜205)の
    配列方向であるy軸方向へ励振させると共に、 前記アーム部(4、5、102〜105、202〜20
    5)の長手方向と平行なz軸回りに角速度が入力された
    ときに、前記アーム部(4、5、102、105、20
    4、205)の前記y軸に直交したx軸方向への検出振
    動を検出する角速度センサにおいて、 前記振動子(1、101、201)を形成する圧電体
    は、 aPbZrO3 −bPbTiO3 −cPb(Zn1/3
    2/3 )O3 で表され、PbZrO3 、PbTiO3
    Pb(Zn1/3 Nb2/3 )O3 を頂点とする三角図表
    で、 A(a,b,c)=(0.45,0.50,0.05) B(a,b,c)=(0.47,0.52,0.01) C(a,b,c)=(0.52,0.47,0.01) D(a,b,c)=(0.50,0.45,0.05) の各点を結ぶ線内の領域で表されるPbZrO3 −Pb
    TiO3 −Pb(Zn1/ 3 Nb2/3 )O3 系の材料と、
    この材料に対して1〜2mol%含まれるMnO 2 とか
    らなる圧電材料であることを特徴とする角速度センサ。
  4. 【請求項4】 前記aPbZrO3 −bPbTiO3
    cPb(Zn1/3 Nb2/3 )O3 において、Pb量が理
    論値の1.01倍以内の範囲で過剰であることを特徴と
    する請求項3に記載の角速度センサ。
  5. 【請求項5】 前記振動子(1、101、201)を形
    成する圧電体の焼結後の気孔率が7%以下で、平均粒径
    が1〜4μmであることを特徴とする請求項1ないし4
    のいずれか1つに記載の角速度センサ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011009755A (ja) * 2010-07-12 2011-01-13 Kyocera Corp アクチュエータ用圧電部材
JP2012154803A (ja) * 2011-01-26 2012-08-16 Denso Corp 角速度センサ装置

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