JPH119296A - 発酵法によるl−グルタミン酸の製造法 - Google Patents
発酵法によるl−グルタミン酸の製造法Info
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- JPH119296A JPH119296A JP17162797A JP17162797A JPH119296A JP H119296 A JPH119296 A JP H119296A JP 17162797 A JP17162797 A JP 17162797A JP 17162797 A JP17162797 A JP 17162797A JP H119296 A JPH119296 A JP H119296A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】高いL−グルタミン酸生産能を有する新規なL
−グルタミン酸生産菌野生株を自然界より見出し、安価
かつ効率的なL−グルタミン酸の製造法の開発につなげ
る。 【解決手段】コリネバクテリウム・ストリアタムに属
し、L−グルタミン酸生産能を有する微生物を、培地中
で培養し、生成したL−グルタミン酸を培養液から得る
L−グルタミン酸の製造法を提供する。このとき、培地
に脂肪酸エステル系界面活性剤または抗生物質を添加す
ることが好ましい。
−グルタミン酸生産菌野生株を自然界より見出し、安価
かつ効率的なL−グルタミン酸の製造法の開発につなげ
る。 【解決手段】コリネバクテリウム・ストリアタムに属
し、L−グルタミン酸生産能を有する微生物を、培地中
で培養し、生成したL−グルタミン酸を培養液から得る
L−グルタミン酸の製造法を提供する。このとき、培地
に脂肪酸エステル系界面活性剤または抗生物質を添加す
ることが好ましい。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発酵法によるL−
グルタミン酸の製造法に関する。L−グルタミン酸は、
食品、医薬品等として重要なアミノ酸である。
グルタミン酸の製造法に関する。L−グルタミン酸は、
食品、医薬品等として重要なアミノ酸である。
【0002】
【従来の技術】従来、L−グルタミン酸は、主としてブ
レビバクテリウム属、コリネバクテリウム属、ミクロバ
クテリウム属に属するいわゆるコリネホルム型L−グル
タミン酸生産菌またはそれらの変異株を用いた発酵法に
より製造されている(アミノ酸発酵、学会出版センタ
ー、195〜215貢、1986年)。コリネホルム型
L−グルタミン酸生産菌野生株の具体例としてはコリネ
バクテリウム属に属するされる菌株としてコリネバクテ
リウム・グルタミカムATCC13032、ATCC1
3060、コリネバクテリウム・リリウムATCC15
990、コリネバクテリウム・カルナエATCC159
91、コリネバクテリウム・メラセコラATCC179
65、コリネバクテリウム・ハーキュリスATCC13
868、コリネバクテリウム・アセトアシドフィラムA
TCC13870、コリネバクテリウム・アセトグルタ
ミカムATCC15806、コリネバクテリウム・アル
カノリティカムATCC21511、コリネバクテリウ
ム・リリウムATCC15990等が、ブレビバクテリ
ウム属に属する菌株としてはブレビバクテリウム・ディ
バリカタムATCC14020、ブレビバクテリウム・
ラクトファーメンタムATCC13655、ATCC1
3869、ブレビバクテリウム・フラバムATCC13
826、ATCC14067、ブレビバクテリウム・サ
ッカロリティカムATCC14066、ブレビバクテリ
ウム・チオゲンタリスATCC19240、ブレビバク
テリウム・アルバムATCC15111、ブレビバクテ
リウム・セリヌムATCC15112、ブレビバクテリ
ウム・イマリオフィラムATCC14068、ブレビバ
クテリウム・ロゼウムATCC13825等が、ミクロ
バクテリウム属に属するとされる菌株としてはミクロバ
クテリウム・アンモニアフィラムATCC15354等
が知られている。
レビバクテリウム属、コリネバクテリウム属、ミクロバ
クテリウム属に属するいわゆるコリネホルム型L−グル
タミン酸生産菌またはそれらの変異株を用いた発酵法に
より製造されている(アミノ酸発酵、学会出版センタ
ー、195〜215貢、1986年)。コリネホルム型
L−グルタミン酸生産菌野生株の具体例としてはコリネ
バクテリウム属に属するされる菌株としてコリネバクテ
リウム・グルタミカムATCC13032、ATCC1
3060、コリネバクテリウム・リリウムATCC15
990、コリネバクテリウム・カルナエATCC159
91、コリネバクテリウム・メラセコラATCC179
65、コリネバクテリウム・ハーキュリスATCC13
868、コリネバクテリウム・アセトアシドフィラムA
TCC13870、コリネバクテリウム・アセトグルタ
ミカムATCC15806、コリネバクテリウム・アル
カノリティカムATCC21511、コリネバクテリウ
ム・リリウムATCC15990等が、ブレビバクテリ
ウム属に属する菌株としてはブレビバクテリウム・ディ
バリカタムATCC14020、ブレビバクテリウム・
ラクトファーメンタムATCC13655、ATCC1
3869、ブレビバクテリウム・フラバムATCC13
826、ATCC14067、ブレビバクテリウム・サ
ッカロリティカムATCC14066、ブレビバクテリ
ウム・チオゲンタリスATCC19240、ブレビバク
テリウム・アルバムATCC15111、ブレビバクテ
リウム・セリヌムATCC15112、ブレビバクテリ
ウム・イマリオフィラムATCC14068、ブレビバ
クテリウム・ロゼウムATCC13825等が、ミクロ
バクテリウム属に属するとされる菌株としてはミクロバ
クテリウム・アンモニアフィラムATCC15354等
が知られている。
【0003】しかしながらこれら報告されているコリネ
ホルム型L−グルタミン酸生産菌野生株は脂肪酸組成の
比較や、DNA−DNAハイブリダイゼイション、およ
び16SrRNA遺伝子の塩基配列解析等、化学分類技
術や分子生物学的解析手法を取り入れた分類学の進展と
ともに、これらの菌株が属するとされていた属種の見直
しがなされ、現在ではその多くがコリネバクテリウム・
グルタミカムに属するとされている(インターナショナ
ル ジャーナル オブ システマティック バクテリオ
ロジー、41巻、255〜260頁、1991年、イン
ターナショナルジャーナル オブ システマティック
バクテリオロジー、45巻、724〜728頁、199
5年)。
ホルム型L−グルタミン酸生産菌野生株は脂肪酸組成の
比較や、DNA−DNAハイブリダイゼイション、およ
び16SrRNA遺伝子の塩基配列解析等、化学分類技
術や分子生物学的解析手法を取り入れた分類学の進展と
ともに、これらの菌株が属するとされていた属種の見直
しがなされ、現在ではその多くがコリネバクテリウム・
グルタミカムに属するとされている(インターナショナ
ル ジャーナル オブ システマティック バクテリオ
ロジー、41巻、255〜260頁、1991年、イン
ターナショナルジャーナル オブ システマティック
バクテリオロジー、45巻、724〜728頁、199
5年)。
【0004】コリネバクテリウム属には現在23の正式
種名が報告されている。このうちコリネバクテリウム・
グルタミカムとコリネバクテリウム・カルナエに属する
菌株の中にL−グルタミン酸を生産する菌株が存在する
ことは知られているが(インターナショナル ジャーナ
ル オブ システマティック バクテリオロジー、45
巻、724〜728頁、1995年)、その他の種に属
する菌株がL−グルタミン酸を生産したという報告を発
明者等は知らない。また、上述のコリネホルム型L−グ
ルタミン酸生産菌として報告された中にはコリネバクテ
リウム・ストリアタムに属する微生物は見いだせず、さ
らにはコリネバクテリウム・ストリアタムに属する微生
物が多量のグルタミン酸を蓄積したという報告もない。
種名が報告されている。このうちコリネバクテリウム・
グルタミカムとコリネバクテリウム・カルナエに属する
菌株の中にL−グルタミン酸を生産する菌株が存在する
ことは知られているが(インターナショナル ジャーナ
ル オブ システマティック バクテリオロジー、45
巻、724〜728頁、1995年)、その他の種に属
する菌株がL−グルタミン酸を生産したという報告を発
明者等は知らない。また、上述のコリネホルム型L−グ
ルタミン酸生産菌として報告された中にはコリネバクテ
リウム・ストリアタムに属する微生物は見いだせず、さ
らにはコリネバクテリウム・ストリアタムに属する微生
物が多量のグルタミン酸を蓄積したという報告もない。
【0005】上述のコリネホルム型L−グルタミン酸生
産菌野生株からL−グルタミン酸収率の向上した変異株
が育種され、また効率良い生産プロセスが開発され、高
い生産性が得られているが、今後のL−グルタミン酸需
要の拡大に応えるには、さらに安価かつ効率的なL−グ
ルタミン酸の製造法の開発が求められている。
産菌野生株からL−グルタミン酸収率の向上した変異株
が育種され、また効率良い生産プロセスが開発され、高
い生産性が得られているが、今後のL−グルタミン酸需
要の拡大に応えるには、さらに安価かつ効率的なL−グ
ルタミン酸の製造法の開発が求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高い
L−グルタミン酸生産能を有する新規なL−グルタミン
酸生産菌野生株を自然界より見出し、安価かつ効率的な
L−グルタミン酸の製造法の開発につなげることにあ
る。
L−グルタミン酸生産能を有する新規なL−グルタミン
酸生産菌野生株を自然界より見出し、安価かつ効率的な
L−グルタミン酸の製造法の開発につなげることにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者等は従来
の微生物とは異なった微生物であって、かつL−グルタ
ミン酸生産能を有する微生物を広く検索、研究した結
果、コリネバクテリウム・ストリアタムに属する微生物
が高いL−グルタミン酸生産能を有することを見いだ
し、本発明を完成するに至った。
の微生物とは異なった微生物であって、かつL−グルタ
ミン酸生産能を有する微生物を広く検索、研究した結
果、コリネバクテリウム・ストリアタムに属する微生物
が高いL−グルタミン酸生産能を有することを見いだ
し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は以下の通りである。 (発明1)コリネバクテリウム・ストリアタムに属し、
L−グルタミン酸生産能を有する微生物を、培地中で培
養し、生成したL−グルタミン酸を培養液から得るL−
グルタミン酸の製造法。 (発明2)培地に脂肪酸エステル系界面活性剤または抗
生物質を添加することを特徴とする発明1記載のL−グ
ルタミン酸の製造法。 (発明3)脂肪酸エステル系界面活性剤がポリオキシエ
チレンソルビタンモノパルミテイトであることを特徴と
する発明2記載のL−グルタミン酸の製造法。 (発明4)抗生物質がペニシリンであることを特徴とす
る発明2記載のL−グルタミン酸の製造法。
L−グルタミン酸生産能を有する微生物を、培地中で培
養し、生成したL−グルタミン酸を培養液から得るL−
グルタミン酸の製造法。 (発明2)培地に脂肪酸エステル系界面活性剤または抗
生物質を添加することを特徴とする発明1記載のL−グ
ルタミン酸の製造法。 (発明3)脂肪酸エステル系界面活性剤がポリオキシエ
チレンソルビタンモノパルミテイトであることを特徴と
する発明2記載のL−グルタミン酸の製造法。 (発明4)抗生物質がペニシリンであることを特徴とす
る発明2記載のL−グルタミン酸の製造法。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明で使用される微生物はコリ
ネバクテリウム・ストリアタムに属し、L−グルタミン
酸生産能を有する微生物である。そのような微生物とし
ては、北海道登別で採取した枯葉から分離されたコリネ
バクテリウム・ストリアタムに属するAJ13350が
挙げられる。その他、コリネバクテリウム・ストリアタ
ムに属する微生物は、例えばATCCから分譲を受ける
ことができ、ATCC6940、43735、4375
1等を挙げることができ、これら微生物がL−グルタミ
ン酸生産能を有することを確認する手段は、特公昭61
−43038号公報の実施例に示されたフラスコ培養法
や本願実施例に示された方法を用いることができる。
ネバクテリウム・ストリアタムに属し、L−グルタミン
酸生産能を有する微生物である。そのような微生物とし
ては、北海道登別で採取した枯葉から分離されたコリネ
バクテリウム・ストリアタムに属するAJ13350が
挙げられる。その他、コリネバクテリウム・ストリアタ
ムに属する微生物は、例えばATCCから分譲を受ける
ことができ、ATCC6940、43735、4375
1等を挙げることができ、これら微生物がL−グルタミ
ン酸生産能を有することを確認する手段は、特公昭61
−43038号公報の実施例に示されたフラスコ培養法
や本願実施例に示された方法を用いることができる。
【0010】AJ13350は採取した枯葉を粉砕し、
水に懸濁。懸濁液をAL寒天培地(蒸留水1l当たり4
0%乳酸ナトリウム 6ml、塩化アンモニウム1.5
g、リン酸2水素カリウム0.8g、硫酸マグネシウム
・7水塩0.1g、塩化第二鉄水和物0.02g、寒天
15gを含み、pH6.8に調製後120℃で15分間
殺菌)に塗布し、30℃で1日培養する方法で分離され
た。
水に懸濁。懸濁液をAL寒天培地(蒸留水1l当たり4
0%乳酸ナトリウム 6ml、塩化アンモニウム1.5
g、リン酸2水素カリウム0.8g、硫酸マグネシウム
・7水塩0.1g、塩化第二鉄水和物0.02g、寒天
15gを含み、pH6.8に調製後120℃で15分間
殺菌)に塗布し、30℃で1日培養する方法で分離され
た。
【0011】AJ13350は下記の通りの菌学的性質
を有する。尚、形態、培養的性質はベネット(Benn
ett)寒天培地(蒸留水1l当たり酵母エキストラク
ト1g、ビーフエキストラクト1g、NZアミンA2
g、グルコース10g、寒天15gを含み、pH7.3
に調製後、120℃で15分間殺菌)で30℃、48時
間培養後観察した結果である。 A.形態 (1)細胞の形 桿菌。多形態性で、こぶ状、あるいは
三角型状の細胞が認められる。V型の分裂細胞が認めら
れる (2)大きさ 0.25−0.5X2−3μm (3)運動性 なし (4)胞子 なし (5)グラム染色性 陽性 B.培養的性質 ベネット寒天培地でのコロニー形態 円形、表面は平
滑、半透明、黄色、なめらか、隆起状、光沢有り C.生理学的性質 (1)カタラーゼ ポジティブ (2)オキシダーゼ ネガティブ (3)グルコースOFテスト 発酵能ネガティブ(但し
嫌気的条件下、微弱な酸生成は見られる) (4)生育pH pH4.5生育不良、pH5〜7生育
良好 (5)生育温度 25℃生育良好、30℃生育良好、3
7℃生育可、45℃生育不可
を有する。尚、形態、培養的性質はベネット(Benn
ett)寒天培地(蒸留水1l当たり酵母エキストラク
ト1g、ビーフエキストラクト1g、NZアミンA2
g、グルコース10g、寒天15gを含み、pH7.3
に調製後、120℃で15分間殺菌)で30℃、48時
間培養後観察した結果である。 A.形態 (1)細胞の形 桿菌。多形態性で、こぶ状、あるいは
三角型状の細胞が認められる。V型の分裂細胞が認めら
れる (2)大きさ 0.25−0.5X2−3μm (3)運動性 なし (4)胞子 なし (5)グラム染色性 陽性 B.培養的性質 ベネット寒天培地でのコロニー形態 円形、表面は平
滑、半透明、黄色、なめらか、隆起状、光沢有り C.生理学的性質 (1)カタラーゼ ポジティブ (2)オキシダーゼ ネガティブ (3)グルコースOFテスト 発酵能ネガティブ(但し
嫌気的条件下、微弱な酸生成は見られる) (4)生育pH pH4.5生育不良、pH5〜7生育
良好 (5)生育温度 25℃生育良好、30℃生育良好、3
7℃生育可、45℃生育不可
【0012】これらの菌学的性質からAJ13350は
コリネホルム桿菌と判定された。
コリネホルム桿菌と判定された。
【0013】コリネホルム桿菌を分類する上で脂肪酸組
成の解析は優れた方法とされていることからトリプトン
ソーヤ寒天培地(蒸留水1l当たりトリプトン15
g、ソーヤペプトン5g、塩化ナトリウム5g、寒天1
5gを含み、pH7.3に調製後、121℃、15分間
殺菌)で25℃、24時間培養したAJ13350から
脂肪酸を抽出し、MIDI微生物同定システム(MI
S)(MicrobiaIID Network US
A)により脂肪酸組成を解析した。その結果、AJ13
350には主要な2種の脂肪酸、ヘキサデカノイック酸
(C16:0;47.8%)とオクタデセノイック酸
(C18:1;47.7%)が見られた。AJ1335
0に存在するその他の脂肪酸の存在比を含め、得られた
脂肪酸組成のプロファイルをデータベースに登録されて
いる各種微生物(コリネバクテリウム属に属する19種
を含む)の脂肪酸酸組成プロファイルと比較したとこ
ろ、表1に示すようにコリネバクテリウム・ストリアタ
ムの脂肪酸組成と極めて高い類似性を示したことからA
J13350はコリネバクテリウム・ストリアタムに属
する菌株であると判明された(表1に示したsimil
arity indexの値は比較する両者の脂肪酸組
成プロファイルが完全に一致した場合に1.0となり、
通常0.5を越えると両者の類似性は高いと判断され
る。表1には高い類似性が見られた結果のみを示し
た)。
成の解析は優れた方法とされていることからトリプトン
ソーヤ寒天培地(蒸留水1l当たりトリプトン15
g、ソーヤペプトン5g、塩化ナトリウム5g、寒天1
5gを含み、pH7.3に調製後、121℃、15分間
殺菌)で25℃、24時間培養したAJ13350から
脂肪酸を抽出し、MIDI微生物同定システム(MI
S)(MicrobiaIID Network US
A)により脂肪酸組成を解析した。その結果、AJ13
350には主要な2種の脂肪酸、ヘキサデカノイック酸
(C16:0;47.8%)とオクタデセノイック酸
(C18:1;47.7%)が見られた。AJ1335
0に存在するその他の脂肪酸の存在比を含め、得られた
脂肪酸組成のプロファイルをデータベースに登録されて
いる各種微生物(コリネバクテリウム属に属する19種
を含む)の脂肪酸酸組成プロファイルと比較したとこ
ろ、表1に示すようにコリネバクテリウム・ストリアタ
ムの脂肪酸組成と極めて高い類似性を示したことからA
J13350はコリネバクテリウム・ストリアタムに属
する菌株であると判明された(表1に示したsimil
arity indexの値は比較する両者の脂肪酸組
成プロファイルが完全に一致した場合に1.0となり、
通常0.5を越えると両者の類似性は高いと判断され
る。表1には高い類似性が見られた結果のみを示し
た)。
【0014】
【表1】
【0015】コリネバクテリウム・ストリアタムに属す
る菌株を用いてL−グルタミン酸を生産させるには、炭
素源、窒素源、無機塩類、その他必要に応じてアミノ
酸、ビタミン等の有機微量栄養素を含有する通常の栄養
培地を用いて常法により行うことができる。合成培地ま
たは天然培地のいずれも使用可能である。培地に使用さ
れる炭素源および窒素源は培養する菌株の利用可能なも
のならばよい。
る菌株を用いてL−グルタミン酸を生産させるには、炭
素源、窒素源、無機塩類、その他必要に応じてアミノ
酸、ビタミン等の有機微量栄養素を含有する通常の栄養
培地を用いて常法により行うことができる。合成培地ま
たは天然培地のいずれも使用可能である。培地に使用さ
れる炭素源および窒素源は培養する菌株の利用可能なも
のならばよい。
【0016】炭素源としてはグルコース、シュークロー
ス、でんぷん加水分解物、糖蜜等の糖類が使用される。
窒素源としてはアンモニア、硫酸アンモニウム、塩化ア
ンモニウム、リン酸アンモニウム等のアンモニウム塩等
が用いられる。有機微量栄養素としてはアミノ酸、ビタ
ミン、脂肪酸、核酸、さらにこれらのものを含有するペ
プトン、カザミノ酸、酵母エキス、大豆蛋白分解物等が
使用される。無機塩類としてはリン酸塩、マグネシウム
塩、カルシウム塩、鉄塩、マンガン塩等が使用される。
さらにペニシリン等の抗生物質、脂肪酸エステル系界面
活性剤の添加は良好な結果をもたらす。
ス、でんぷん加水分解物、糖蜜等の糖類が使用される。
窒素源としてはアンモニア、硫酸アンモニウム、塩化ア
ンモニウム、リン酸アンモニウム等のアンモニウム塩等
が用いられる。有機微量栄養素としてはアミノ酸、ビタ
ミン、脂肪酸、核酸、さらにこれらのものを含有するペ
プトン、カザミノ酸、酵母エキス、大豆蛋白分解物等が
使用される。無機塩類としてはリン酸塩、マグネシウム
塩、カルシウム塩、鉄塩、マンガン塩等が使用される。
さらにペニシリン等の抗生物質、脂肪酸エステル系界面
活性剤の添加は良好な結果をもたらす。
【0017】培養方法は、発酵温度20ないし40℃、
pHを5ないし8に制御しつつ通気培養を行う。培養中
にpHが下がる場合には炭酸カルシウムを加えるか、ア
ンモニアガス等のアルカリで中和する。かくして10時
間ないし4日間程度培養することにより培養液中に著量
のL−グルタミン酸が蓄積される。
pHを5ないし8に制御しつつ通気培養を行う。培養中
にpHが下がる場合には炭酸カルシウムを加えるか、ア
ンモニアガス等のアルカリで中和する。かくして10時
間ないし4日間程度培養することにより培養液中に著量
のL−グルタミン酸が蓄積される。
【0018】培養終了後、培養液中に蓄積されたL−グ
ルタミン酸を単離する方法としては公知の方法に従って
行えばよい。例えば、培養液から菌体を除去した後に濃
縮晶析する方法、あるいはイオン交換クロマトグラフィ
ー等によって単離することができる。
ルタミン酸を単離する方法としては公知の方法に従って
行えばよい。例えば、培養液から菌体を除去した後に濃
縮晶析する方法、あるいはイオン交換クロマトグラフィ
ー等によって単離することができる。
【0019】
【実施例】次に、実施例によって本発明をさらに説明す
る。
る。
【0020】実施例1 グルコース80g/l、硫酸マグネシウム7水塩1g/
l、リン酸2水素カリウム1g/l、大豆加水分解濃縮
液(全窒素として)0.48g/l、硫酸第一鉄7水塩
0.01g/l、硫酸マンガン4水塩0.01g/l、
ビタミンB12mg/l、ビオチン 2μg/lを含有
する培地300mlを1l容ジャーファーメンターに張
り込み、120℃で12分間殺菌後、30℃で24時
間、前培養培地(蒸留水1l当たりバクトトリプトン1
0g、バクトイーストエキストラクト10g、塩化ナト
リウム0.2g、寒天20gを含み、pHは6.0に調
製)にて培養したコリネバクテリウム・ストリアタムA
J13350を接種し、30℃で通気攪拌培養した。通
気量は0.25vvm、攪拌速度は750rpmに設定
した。培養pHはアンモニアガスでpH6あるいはpH
7に定値制御した。培養開始後、培養液の26倍希釈液
の562nmにおける吸光度が0.4上昇した時にポリ
オキシエチレンソルビタンモノパルミテイト(ツイーン
40)を添加し、糖が枯渇するまで培養を継続した。表
2、表3に培養終了後、培養液中に蓄積したL−グルタ
ミン酸と2−オキソグルタル酸を測定した結果を示し
た。
l、リン酸2水素カリウム1g/l、大豆加水分解濃縮
液(全窒素として)0.48g/l、硫酸第一鉄7水塩
0.01g/l、硫酸マンガン4水塩0.01g/l、
ビタミンB12mg/l、ビオチン 2μg/lを含有
する培地300mlを1l容ジャーファーメンターに張
り込み、120℃で12分間殺菌後、30℃で24時
間、前培養培地(蒸留水1l当たりバクトトリプトン1
0g、バクトイーストエキストラクト10g、塩化ナト
リウム0.2g、寒天20gを含み、pHは6.0に調
製)にて培養したコリネバクテリウム・ストリアタムA
J13350を接種し、30℃で通気攪拌培養した。通
気量は0.25vvm、攪拌速度は750rpmに設定
した。培養pHはアンモニアガスでpH6あるいはpH
7に定値制御した。培養開始後、培養液の26倍希釈液
の562nmにおける吸光度が0.4上昇した時にポリ
オキシエチレンソルビタンモノパルミテイト(ツイーン
40)を添加し、糖が枯渇するまで培養を継続した。表
2、表3に培養終了後、培養液中に蓄積したL−グルタ
ミン酸と2−オキソグルタル酸を測定した結果を示し
た。
【0021】
【表2】
【0022】
【表3】
【0023】実施例2 ペニシリンの添加効果を実施例1と同様の培地、培養方
法を用いて検討した。培養pHは6.0にアンモニアガ
スで定値制御した。培養開始後、培養液の26倍希釈液
の562nmにおける吸光度が0.4上昇した時にペニ
シリンGを最終10ユニット/mlになるように添加
し、糖が枯渇するまで培養を継続したところ、4.9g
/lのL−グルタミン酸が蓄積した。
法を用いて検討した。培養pHは6.0にアンモニアガ
スで定値制御した。培養開始後、培養液の26倍希釈液
の562nmにおける吸光度が0.4上昇した時にペニ
シリンGを最終10ユニット/mlになるように添加
し、糖が枯渇するまで培養を継続したところ、4.9g
/lのL−グルタミン酸が蓄積した。
【0024】AJ13350株は、平成9年6月26日
に、通産省工業技術院生命工学工業技術研究所に、受託
番号FERM P−16288として寄託されている。
に、通産省工業技術院生命工学工業技術研究所に、受託
番号FERM P−16288として寄託されている。
【0025】
【発明の効果】野生株である本発明の菌株は高いL−グ
ルタミン酸生産能を有することから、コリネホルム型L
−グルタミン酸生産菌で従来知られている育種手法等を
用いてさらに高い生産能を付与できると考えられ、また
培養条件等の検討により、安価で、効率の良いL−グル
タミン酸製造法の開発につながるものと期待される。コ
リネバクテリウム・ストリアタムはpH6付近において
L−グルタミン酸をもっとも効率よく生産する。このた
め、pH7.5付近でL−グルタミン酸をよく生産する
他のコリネバクテリウム属に属するL−グルタミン酸生
産菌と比較して、培養開始時に培地に添加されるアンモ
ニア等のアルカリの量が少量ですむ。さらに、培養終了
時にL−グルタミン酸を晶析するために必要な塩酸等の
酸の量が少量ですむ。アルカリと酸の軽減は、発酵原料
のコストダウンにつながる。
ルタミン酸生産能を有することから、コリネホルム型L
−グルタミン酸生産菌で従来知られている育種手法等を
用いてさらに高い生産能を付与できると考えられ、また
培養条件等の検討により、安価で、効率の良いL−グル
タミン酸製造法の開発につながるものと期待される。コ
リネバクテリウム・ストリアタムはpH6付近において
L−グルタミン酸をもっとも効率よく生産する。このた
め、pH7.5付近でL−グルタミン酸をよく生産する
他のコリネバクテリウム属に属するL−グルタミン酸生
産菌と比較して、培養開始時に培地に添加されるアンモ
ニア等のアルカリの量が少量ですむ。さらに、培養終了
時にL−グルタミン酸を晶析するために必要な塩酸等の
酸の量が少量ですむ。アルカリと酸の軽減は、発酵原料
のコストダウンにつながる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C12N 1/20 C12R 1:15) (72)発明者 松井 和彦 神奈川県川崎市川崎区鈴木町1−1 味の 素株式会社中央研究所内
Claims (4)
- 【請求項1】 コリネバクテリウム・ストリアタムに属
し、L−グルタミン酸生産能を有する微生物を、培地中
で培養し、生成したL−グルタミン酸を培養液から得る
L−グルタミン酸の製造法 - 【請求項2】 培地に脂肪酸エステル系界面活性剤また
は抗生物質を添加することを特徴とする請求項1記載の
L−グルタミン酸の製造法 - 【請求項3】脂肪酸エステル系界面活性剤がポリオキシ
エチレンソルビタンモノパルミテイトであることを特徴
とする請求項2記載のL−グルタミン酸の製造法 - 【請求項4】抗生物質がペニシリンであることを特徴と
する請求項2記載のL−グルタミン酸の製造法
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17162797A JPH119296A (ja) | 1997-06-27 | 1997-06-27 | 発酵法によるl−グルタミン酸の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17162797A JPH119296A (ja) | 1997-06-27 | 1997-06-27 | 発酵法によるl−グルタミン酸の製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH119296A true JPH119296A (ja) | 1999-01-19 |
Family
ID=15926696
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17162797A Pending JPH119296A (ja) | 1997-06-27 | 1997-06-27 | 発酵法によるl−グルタミン酸の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH119296A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002238593A (ja) * | 2001-02-20 | 2002-08-27 | Ajinomoto Co Inc | L−グルタミン酸の製造法 |
JP2002238591A (ja) * | 2001-02-20 | 2002-08-27 | Ajinomoto Co Inc | L−グルタミン酸の製造法 |
EP1078989B1 (en) * | 1999-08-20 | 2006-08-02 | Ajinomoto Co., Inc. | Method for producing L-glutamic acid by fermentation accompanied by precipitation |
JP2011217671A (ja) * | 2010-04-09 | 2011-11-04 | Sanyo Chem Ind Ltd | 有用物質製造方法 |
JP2011217670A (ja) * | 2010-04-09 | 2011-11-04 | Sanyo Chem Ind Ltd | 有用物質製造方法 |
JP2012005457A (ja) * | 2010-06-28 | 2012-01-12 | Sanyo Chem Ind Ltd | 有用物質生産方法 |
JP2012005456A (ja) * | 2010-06-28 | 2012-01-12 | Sanyo Chem Ind Ltd | 有用物質生産方法 |
-
1997
- 1997-06-27 JP JP17162797A patent/JPH119296A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1078989B1 (en) * | 1999-08-20 | 2006-08-02 | Ajinomoto Co., Inc. | Method for producing L-glutamic acid by fermentation accompanied by precipitation |
JP2002238593A (ja) * | 2001-02-20 | 2002-08-27 | Ajinomoto Co Inc | L−グルタミン酸の製造法 |
JP2002238591A (ja) * | 2001-02-20 | 2002-08-27 | Ajinomoto Co Inc | L−グルタミン酸の製造法 |
JP2011217671A (ja) * | 2010-04-09 | 2011-11-04 | Sanyo Chem Ind Ltd | 有用物質製造方法 |
JP2011217670A (ja) * | 2010-04-09 | 2011-11-04 | Sanyo Chem Ind Ltd | 有用物質製造方法 |
JP2012005457A (ja) * | 2010-06-28 | 2012-01-12 | Sanyo Chem Ind Ltd | 有用物質生産方法 |
JP2012005456A (ja) * | 2010-06-28 | 2012-01-12 | Sanyo Chem Ind Ltd | 有用物質生産方法 |
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