JPH1192908A - 製鋼炉用溶射補修材料 - Google Patents

製鋼炉用溶射補修材料

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JPH1192908A
JPH1192908A JP24873197A JP24873197A JPH1192908A JP H1192908 A JPH1192908 A JP H1192908A JP 24873197 A JP24873197 A JP 24873197A JP 24873197 A JP24873197 A JP 24873197A JP H1192908 A JPH1192908 A JP H1192908A
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powder
thermal spraying
combustion
particle size
refractory
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JP24873197A
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Yuji Narita
雄司 成田
Seiji Okada
誠司 岡田
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属粉を含む耐火物粉体を用いる火炎溶射方
式により製鋼炉の溶射補修を行う際に、安全かつ効率的
に耐用性に優れた溶射補修を行うことを目的とする。 【解決手段】 Mg粉,Ca−Si粉またはこれらの混合粉で
あって10〜20重量%含有される燃焼用金属粉体と、燃焼
用金属粉体と当量体積を有するとともに単一のSiO2を含
有しない粒径:10〜100 μm の酸化物粉体 (例えばジル
コニア) を含有する耐火性粉体とを混練して、粒径:10
0 μm 〜1.5mm の擬似粒子に造粒したものを配合してな
る溶射補修材料を、製鋼炉の要補修部に向けて噴出す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば転炉や取鍋
といった製鋼炉の要補修部の補修を行う際に用いる溶射
補修材料に関し、特に、製鋼炉の要補修部に安全かつ効
率的に耐食性および耐久性に優れた溶射層を形成するこ
とができる製鋼炉の溶射補修材料に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄鋼製造プロセスにおける各種の溶解炉
や反応炉 (例えば転炉や取鍋等) に代表される製鋼炉
は、通常、高温で長期間にわたり連続稼働される。その
ため、製鋼炉の内壁面を構成する耐火物は熱損傷を受け
て肉厚が徐々に減少し、製鋼炉の寿命を減少させる。そ
こで、これまでにも、主に、耐火物の材質改善による製
鋼炉の延命対策が種々なされてきた。しかし、耐火物の
材質改善だけに依存しても、製鋼炉の大幅な延命を図る
ことは難しい。
【0003】そのため、製鋼炉の損傷部分である要補修
部を補修する方法として、古くから、稼働中の熱間雰囲
気下で製鋼炉の要補修部に、結合剤として無機系バイン
ダー(例えばリン酸塩)と水とを配合した粉末状の不定
形耐火物を吹き付ける、いわゆる湿式吹付法が行われて
きた。
【0004】しかし、この湿式吹付法では、吹き付ける
不定形耐火物が水分を含有するため、含有水分に起因し
て充分な付着性が得られない。そのため、製鋼炉の延命
効果が小さく補修回数が増加してしまう。このため、近
年、要補修部に耐火性材料の粉体を溶射することによ
る、製鋼炉の溶射補修技術が開発され、積極的に採用さ
れるようになってきた。
【0005】例えば、特開昭60−110362号公報には、火
炎溶射方式として、中心部から外方に向けて順に、第1
粉体噴出口, 複数の火炎口, 複数の第2粉体噴出口およ
び複数の火炎口を有するバーナーを用い、第1粉体噴出
口から溶射補修材料の粗粒(粒径:0.3〜1.0mm)を噴出す
るとともに第2粉体噴出口からは溶射補修材料の微粒
(粒径:0.2mm以下) を噴出することにより、火炎と溶射
補修材料とを均一に混合させながら高温火炎中で溶射補
修材料を完全に溶融させて、例えば転炉炉壁本体等の大
規模溶射施工の要補修部に付着させる発明が、提案され
ている。
【0006】しかし、粒径が異なる粗粒, 微粒を区分し
て供給するために、互いに独立した2系統の粉体供給系
を設ける必要があり、付帯設備が大規模化なものとなっ
てしまう。しかも、それぞれの粉体供給系の制御が複雑
化してしまう。
【0007】一方、プラズマ溶射に代表される溶射火炎
は、同軸流乱流拡散燃焼火炎であり、可視火炎長の途中
において溶射補修材料の粉体を供給して溶射する方法が
知られている。粉体の溶融を円滑に促進するには、火炎
温度を極度に高めるか、または火炎長を大きくとる必要
が生じ、このため、粉体に関しては、溶射火炎の特定位
置に粉体を供給するため、その粒径を、数百μm 以下、
望ましくは0.1mm 以下という極めて細粒の粒度構成に管
理する必要がある。このため、粉体供給機にはいきおい
様々な制約が生じて、得られる施工能が10〜20kg/hr と
なる。
【0008】他方、特開平6−71200 公報には、燃焼用
金属粉体を含む粉体と酸素ガスとを混合して噴出し、衝
突する赤熱状態にある要補修部 (溶射壁面) における燃
焼用金属粉体の燃焼熱(テルミット反応熱)で粉体を溶
融して溶射を行う溶射補修技術が提案されている。この
発明で溶射を行うことができるのは、燃焼用金属粉体が
燃焼することができる所定温度以上の高温の要補修部に
対してだけであり、すなわち、このテルミット反応を利
用した溶射補修技術は、所定温度を下回る低温の要補修
部に対しては適用できない。また、50μm 以下の粉末が
大量に添加されると失火する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】このように、各火炎溶
射方式における火炎内部で耐火性粉体を確実かつ充分に
溶融させるには、火炎温度, 加熱時間, さらには加熱に
有益な火炎領域の制約が大きく、これにはノズル形状等
も影響する。このことは、施工コストに影響し、施工コ
ストの一部である材料コストは原料から溶射材料への利
用率に依存することから、施工コストの低減には、粒度
調整の有無が大きな意義を有することになる。
【0010】ここに、本発明の目的は、耐火性粉体を用
いた火炎溶射方式による溶射補修技術に内在する課題を
解決し、安全かつ効率的に要補修部の溶射補修を行うこ
とができる製鋼炉用溶射補修技術を提供することであ
り、より具体的には、製鋼炉の要補修部の肉盛施工の際
に、安全かつ効率的に耐食性および耐久性に優れた溶射
層を形成することができる製鋼炉用溶射補修材料を提供
することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】ここに、本発明の要旨と
するところは、Mg粉,Ca−Si粉またはこれらの混合粉で
あって10〜20重量%含有される燃焼用金属粉体と、燃焼
用金属粉体と当量体積を有するとともに単一のSiO2を含
まない粒径:10〜100 μm の酸化物粉体を有する耐火性
粉体とを混練して、粒径:100 μm 〜1.5mm の擬似粒子
に造粒してなる材料を含むことを特徴とする製鋼炉用溶
射補修材料である。
【0012】上記の本発明にかかる製鋼炉の溶射補修材
料においては、耐火性粉体が、さらに、添加物としてZr
O2を含有することが、溶融池性状の変化をもたらし、付
着率向上のために望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる製鋼炉の溶
射補修材料 (以下、単に「本発明材」という。) の実施
の形態を、分説する。
【0014】(1) 燃焼用金属粉体 本発明材は、溶射時の主要な熱源となる燃焼用金属粉体
として、MgまたはMg系合金からなるMg粉, Ca−Si系合金
からなるCa−Si粉、または、これらの金属粉を適宜混合
した混合粉を用いる。
【0015】燃焼用金属粉体の種類をこのように限定す
る理由は、次の通りである。Mg粉,Ca−Si粉またはこれ
らの混合粉は、従来の熱源であるSiより融点が低く、燃
焼速度が高い。これらは、いずれも、MgO,CaO ,MgO・Si
O2あるいは CaO・SiO2を形成し、溶射層に単一のSiO2
形成しない。
【0016】これに対し、単体Si粉は、燃焼後に単一の
SiO2層を形成し、製鋼炉の耐食性を損なう。特に、未燃
焼のSiは、残留量が多くなると補修層の耐食性および耐
久性を著しく低下させる。また、Al粉は、Mg粉と同様に
燃焼性に富み低コストであるが、軟質素材であることか
ら微細化し易く、製造〜使用の各工程で機器類に付着
し、着火源となって危険性が高い。また、球状化処理し
たAlは、Al2O3 の強固な皮膜を形成し、溶射時には着火
遅れを生じ易い。
【0017】以上のように、各種の金属粉の特性を考慮
すると、本発明材では、燃焼用金属粉体として、Mg粉,
Ca−Si粉またはこれらの混合粉を用いることが、着火,
反応速度, 反応熱の総量, および到達温度の観点から、
所望の溶射層を得るためには、有効である。
【0018】Mg粉,Ca−Si粉の粒度は、いずれも、5〜
200 μm が望ましい。5μm 未満では取扱い上困難であ
るとともに溶射時にはヒュームになって溶射層形成に寄
与せず、一方200 μm を超えると未燃焼層が形成され易
く、耐食性の点で好ましくない。
【0019】本発明材では、擬似粒子を溶融させる熱量
は、主に燃焼用金属粉体の燃焼に依存する。そこで、本
発明材では、燃焼用金属粉体の含有量を、10〜20重量%
に限定する。10重量%未満では熱量が不足して擬似粒子
の溶融が不十分となり、一方、20重量%を超えると溶射
を行うことは可能であるがスプラッシュが激しくなり、
溶射効率が低下する。同様の観点から、望ましくは、12
重量%以上13重量%以下である。
【0020】(2) 耐火性粉体 本発明材の主剤をなす耐火性粉体は、酸化物粉体からな
り、製鋼炉での使用に対応するために塩基性耐火骨材系
の原料を用いる。このような耐火性粉体は、耐食性劣化
防止のために単一のSiO2を含まないこと以外、組成上の
材質限定は不要である。
【0021】このような耐火性粉体としては、 MgO−Ca
O, MgO−Cr2O3, MgO−Al2O3 ,CaO,MgO, Cr2O3 さらには
Al2O3 等を例示することができる。CaO, MgO, Cr2O3
らにはAl2O3 は、いずれも単独で使用することが可能で
あるが、耐火性が高く不完全溶融し易く、付着性の点で
は不利である。したがって、本発明材における耐火性粉
体としては、 MgO−CaO, MgO−Cr2O3 あるいは MgO−Al
2O3 を用いることが望ましい。
【0022】耐火性粉体は、溶射によって付着する状態
を勘案すると、100 μm 〜1.5mm の範囲で添加配合する
ことが望ましい。100 μm 未満の細粒径域では、溶融促
進を図ることができるが、大量のリバウンドを生じて溶
射フレーム中において噴霧状態となり、着火に悪影響を
もたらす。一方、1.5mm を超える粗粒は、未溶融状態あ
るいは不完全溶融状態が多くなり、付着率を低下させ
る。
【0023】他方、粒径が小さい酸化物は、比表面積が
大きくなるために溶融促進の観点からは好ましい。本発
明材では、擬似粒子を用いることから着火不良が回避さ
れる。そのため、微粉域の耐火性粉体としては、10〜10
0 μm の粒径の酸化物粉体と燃焼用金属粉体とを混練造
粒した粉体を用いることができる。粒径が10μm 未満で
あると、凝集し易く取扱い困難となり、一方、粒径が10
0 μm を超えるものは造粒の趣旨に反する。このような
前処理をするならば、酸化物総量の粒度範囲は100 〜15
00μm となる。
【0024】(3) 擬似粒子の混練・造粒 本発明材の特徴は、上述した燃焼用金属粉体と粒径:10
〜100 μm の耐火性粉体とを混練して造粒することによ
り擬似粒子とし、溶射材料の一部とすることにある。し
たがって、本発明材における燃焼用金属粉体は、従来の
Siとは異なって着火性に富むことから、ノズル外で確実
に着火させるために、異常着火防止のためのバリアに相
当する保護皮膜を必要とする。このような保護皮膜を形
成することは、擬似粒子の貯蔵, 搬送さらには装置のメ
ンテナンス上の観点からも、有効である。
【0025】微粉末の耐火性粉体は、比表面積が大きい
分だけ受熱し易いものの、その周囲の雰囲気温度を低下
し易く、火炎中に大量に存在すると失火の原因になり易
い。すなわち、熱源である燃焼用金属粉体が最大熱量を
発揮する火炎の特定域に集中して存在しないと、受熱溶
融して周囲に存在する粗粒域粒子や中粒域粒子の受熱媒
体にはならない。つまり、本発明材溶射時の噴射の過程
では、耐火性粉体は燃焼用金属粉体と同一飛行速度で噴
出される必要がある。
【0026】そこで、耐火性粉体は、燃焼用金属粉体と
ほぼ1:1の当量体積比率で混合して混練・造粒するこ
とにより、擬似粒子とされる。
【0027】[造粒手順]この擬似粒子の造粒手順は、有
機溶媒で溶解した合成樹脂溶液により、燃焼用金属粉体
を一様に濡らして被覆し、さらにこれとほぼ同一体積量
以下となる範囲で粒径が10〜100 μm の耐火性粉体を添
加し、混合混練を継続して行うことにより、擬似粒子に
造粒する。
【0028】用いる有機溶媒としては、アルキル系合成
樹脂が好適であり、アクリル樹脂が最適であった。これ
は、 300〜500 ℃の範囲に熱分解点を有する。石油ピッ
チ等の歴青物質は、熱分解点が300 ℃未満であり、着火
調整効果が不完全である。
【0029】合成樹脂の被覆膜の厚さは測定困難である
が、事前に樹脂の配合量を調整することにより、調整可
能である。すなわち、混合造粒に要する総量に対して、
1.2〜3.0 重量%が好適である。
【0030】造粒の手段としては、燃焼用金属粉体, 耐
火性粉体をいずれも旋回流動させる転動型造粒機を用い
ることが最も望ましい。通常のロールミキサーは、燃焼
用金属粉体および耐火性粉体間に存在する密度差のた
め、組成上偏析を生じ、溶射効率を低下させるおそれが
ある。
【0031】本発明材では、燃焼用金属粉体と耐火性粉
体とを混練・造粒した擬似粒子の粒度は、100 μm 以上
1.5mm以下の範囲である。本発明材の主剤をなす耐火物
粉体の未処理分の粒度とほぼ一致させて、気流搬送を容
易とするためである。
【0032】[造粒の配合割合]本発明材における燃焼用
金属粉体は、粉体としての嵩密度が0.8 〜1.1(cc/g)程
度である。これは、Mg,Ca,Si等の元素密度よりも粉体の
粒形状および粒径により左右される。一方、耐火性粉体
は、理論密度は2.5 〜4.0(cc/g) であるが、粉体として
の嵩密度は2.0 前後である。これは、粒径で左右され、
粉砕粒とは言えども、微粒はほぼ球に近似され、粒形状
の要素は少ない。したがって、体積量換算で混合造粒を
行えば、耐火性粉体の微粉粒子1個に対し、燃焼用金属
粉体の1個の粒子が燃焼し、これにより、必要充分な発
熱量で溶融して粗粒の耐火性粉体に対しても有効な熱源
として作用する。
【0033】したがって、耐火性粉体は、燃焼用金属粉
体と当量体積を有し、本発明材における燃焼用金属粉体
の配合量が10〜20重量%であることから、粒径:10〜10
0 μm の耐火性粉体の配合量は、溶射材料総量に対して
最大限18〜42重量%の配合が可能である。
【0034】なお、本発明材においては、耐火性粉体
が、骨材である上述した酸化物粉体以外に、添加物とし
てZrO2を含有してもよい。ZrO2を含有することにより、
融点が上昇し、溶射層の耐食性および耐久性がより向上
する。
【0035】本発明材は、以上説明したように構成され
る。次に、本発明材を溶射するための方法を、添付図面
を参照しながら詳細に説明する。図1は、この方法を実
施する際に用いるバーナー10を示す概略図である。
【0036】同図において、バーナー10は、3重管構造
を呈する。すなわち、バーナー10は、中心から外方に向
けて第1噴射管11, 第2噴射管12および第3噴射管13を
順に同心円状に備える多重管構造である。
【0037】第1噴射管11には、その後端に形成された
第1酸素ガス供給口11a を介して、第1酸素ガス供給系
14が接続される。また、第2噴射管12には、その途中後
端側に形成された粉体供給口12a を介して本発明材たる
擬似粒子および燃料ガス(LPG) 供給系15が、第3噴射管
13には、その途中に形成された第2酸素ガス供給口13a
を介して第2酸素ガス供給系16が、それぞれ接続され
る。なお、図示していないが、擬似粒子および燃料ガス
(LPG) 供給系15においては、擬似粒子は、窒素ガスまた
は空気をキャリアガスとして搬送され、バーナー10に到
達する直前の擬似粒子および燃料ガス(LPG) 供給系内に
おいて、燃料ガスが混合される。
【0038】これにより、ノズル先端部17においては、
中心部に位置する第1噴射管11と最外周に位置する第3
噴射管13とから酸素ガスが噴射されるとともに、第1噴
射管11および第3噴射管13の間に位置する第2噴射管12
から、本発明材たる擬似粒子と燃料ガスとが、二つの酸
素ガス気流に挟まれて噴射される。
【0039】このようにして、バーナー10のノズル先端
部17からは、中心部および最外周に位置する二つの酸素
ガス気流と、これらの酸素ガス気流に挟まれた形で位置
する擬似粒子および燃料ガス気流とが、同心円状に噴射
される。
【0040】図1に示すバーナー10を用いて本発明材を
製鋼炉の要補修部に向けて噴出することにより、二つの
酸素ガス気流は火炎を形成して擬似粒子の予熱効果を高
めるとともに、擬似粒子, 燃料ガスおよび酸素ガスをエ
ジェクター効果により高速攪拌して混合性を高める。
【0041】図1に示すバーナー10によれば、擬似粒子
と酸素ガスとの燃焼をノズル外で行うことにより安全性
を確保しながら、燃焼用金属粉体のテルミット反応を利
用した燃焼域と、燃料ガスにより形成される燃焼域とを
可及的接近または一致させ、エネルギー集中を図り熱発
生効率を高めながら、溶射を行うことができる。したが
って、例えば高融点のZrO2を添加物として用いることが
でき、溶射層の性能向上 (耐食性および耐久性向上) を
図ることができる。また、より耐火性が高く融点の高い
材料 (例えば、CaO,MgO,Cr2O3,Al2O3 等) を骨材として
用いる場合にも、作業性が良好であって安全性が高い溶
射施工を行うことができ、補修効果を飛躍的に向上する
ことができる。
【0042】このようにして、擬似粒子のバーナー10へ
の供給は、燃料ガスとともに行うことができ、これによ
り、複雑かつ精密な粉体供給系を必要としない。さら
に、本発明材を用いることにより、擬似粒子の原料 (耐
火性粉体) の粒径限定を可及的不要とすることができ、
これにより、原料の有効利用率を高めることができる。
これらの効果の総和により、本発明材を用いることによ
って施工コストを総合的に抑制することが可能となる。
【0043】
【実施例】さらに、本発明にかかる製鋼炉の溶射補修材
料および溶射補修方法を、実施データを参照しながら詳
細に説明する。
【0044】表1に示すように、Ca−Si粉または、Mg粉
とCa−Si粉との混合粉体を総量で15重量%含有する燃焼
用金属粉体と、粒径10μm 〜100 μm のジルコニア粉(Z
rO295重量%) の添加物を含有する耐火性粉体とを、混
練して平均粒径200 μm の擬似粒子に造粒し、この擬似
粒子と1.5 〜0.15mmの粒径に調整したスピネル粉(MgO30
重量%, Al2O3 70重量%) からなる酸化物粉体の骨材
とを、本発明例の溶射補修材料とした (本発明例〜
参照) 。
【0045】
【表1】
【0046】なお、本発明例で用いたCa−Si粉は、粒
度が15〜55μm であり、m.p. (溶融点) が990 ℃であ
る。また、造粒処理の際に用いた溶液は、イソプロピル
アルコールであり、 7.5%濃度に溶解したアクリル樹脂
溶液を、混練時に噴霧しながら添加した。
【0047】一方、Si粉およびMg粉を総量で15重量%含
有する混合粉体からなる燃焼用金属粉体と、粒径100 〜
150 μm のジルコンの添加物を含有する耐火性粉体と
を、混練・造粒して平均粒径200 μm の擬似粒子とし、
この擬似粒子を配合した比較例の溶射補修材料とした
(比較例参照) 。
【0048】また、Si粉およびAl粉を総量で15重量%含
有する混合粉体からなる燃焼用金属粉体と、1.5 〜0.15
mmの粒径に調整したスピネル粉からなる酸化物粉体の骨
材を含有する耐火性粉体と、造粒することなく混合して
混合粉体とし、この混合粉体を比較例の溶射補修材料と
した (比較例参照) 。
【0049】さらに、Si粉およびAl粉の混合粉体を総量
で15重量%含有する燃焼用金属粉体と、シリカ粉からな
る酸化物粉体の骨材とを、造粒することなく混合して混
合粉体とし、この混合粉体を従来例の溶射補修材料とし
た (従来例参照) 。
【0050】(予備試験)これらの溶射補修材料を、雰囲
気温度を任意に調整した実験炉の内壁面に溶射すること
により、溶射補修材料毎に付着率と溶射層の内質とを調
査した。結果を表1にあわせて示す。
【0051】この時の施工条件は、基本的に、ノズル
径:7.5mm,溶射距離:60mmの単管バーナーを用いて、溶
射補修材料, 酸素ガスおよび燃料ガスを要補修面に向け
て噴出した。噴出量は、酸素ガス:10Nm3/hr, 溶射補修
材料:10kg/hr であった。また、比較のため、前述した
図1に示す3重管構造のバーナーを用いた溶射も行っ
た。この場合の噴出量は、酸素ガス:総量で30Nm3/hr,
燃料ガス:5kg/hr, N2量:10Nm3/hrであった。
【0052】表1から、施工〜性状のいずれにおいて
も、本発明例〜が極めて有効であることがわかる。
特に、添加物をジルコンからジルコニアに変更した本発
明にかかる溶射補修材料を、3重管バーナーにより溶射
することにより、火炎形成を含む付着状態が顕著に改善
され、金属相の残留は単管に比較して極めて少ない。
【0053】(本試験)予備試験の結果をふまえて、スプ
ラッシュの発生が最も少ない本発明例の溶射補修材料
を用いて、実炉の溶射補修を行い、評価試験を行った。
すなわち、70トンVAD取鍋のアークスポット損傷部
を、従来の湿式吹き付け補修, 本発明例を用いた溶射
補修 (3重管バーナー使用) を行い、補修層の耐久性を
調査した。
【0054】なお、溶射施工量は、鍋の円周方向:750m
m, 高さ方向:550mm, 壁厚深さ方向:40 〜90mmの損傷部
を肉盛修復するのに相当する量である。この結果、従来
の湿式吹き付け補修では、耐用寿命最大5チャージであ
るのに対し、本発明例によれば、15〜30チャージの耐用
寿命を得ることができ、耐用寿命を3〜6倍程度と飛躍
的に向上することができた。特に、添加物をジルコンか
ら高融点のジルコニアに変更したことにより、平均27チ
ャージの安定した寿命を確保することができた。
【0055】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、従来の湿式吹き付け補修方法は、もちろん、Si粉
をテルミット反応の熱源として用いた溶射方法と比較し
ても、補修効果は格段に優れ、一連のプロセス操業効率
をも高めることが可能となるとともに、製鋼炉の補修頻
度を低減して休止時間を短縮することができ、製鋼炉の
操業能率を向上することができる。かかる効果を有する
本発明の意義は、極めて著しい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明材を溶射する際に用いるバーナーを示す
概略図である。
【符号の説明】
10 バーナー 11 第1噴射管 11a 第1酸素ガス供給口 12 第2噴射管 12a 粉体供給口 13 第3噴射管 13a 第2酸素ガス供給口 14 第1酸素ガス供給系 15 粉体および燃料ガス供給系 16 第2酸素ガス供給系 17 ノズル先端部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Mg粉,Ca−Si粉またはこれらの混合粉で
    あって10〜20重量%含有される燃焼用金属粉体と、当該
    燃焼用金属粉体と当量体積を有するとともに単一のSiO2
    を含まない粒径:10〜100 μm の酸化物粉体を有する耐
    火性粉体とを混練して、粒径:100 μm 〜1.5mm の擬似
    粒子に造粒してなる材料を含むことを特徴とする製鋼炉
    用溶射補修材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015004097A (ja) * 2013-06-20 2015-01-08 芳▲高▼ 中川 溶射装置

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