JPH1192209A - 無機質成形体の製造方法 - Google Patents

無機質成形体の製造方法

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JPH1192209A
JPH1192209A JP25692197A JP25692197A JPH1192209A JP H1192209 A JPH1192209 A JP H1192209A JP 25692197 A JP25692197 A JP 25692197A JP 25692197 A JP25692197 A JP 25692197A JP H1192209 A JPH1192209 A JP H1192209A
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JP
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alkali metal
powder
weight
aqueous solution
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JP25692197A
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Zenji Nozaki
善治 野崎
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】短時間の処理で表面粘着性の改善を図れること
は勿論のこと、白華物の生成も抑えることができる無機
質成形体の製造方法を提供する。 【解決手段】SiO2 −Al2 3 系粉体、アルカリ金
属珪酸塩および水を主成分とした無機質組成物を硬化さ
せたのち、70〜100℃の熱水に曝す処理を行うよう
にした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無機質成形体の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】SiO2 −Al2 3 系粉体、アルカリ
金属珪酸塩および水を主成分とした無機質組成物は、転
写性に優れている。そして、この無機質組成物を成形し
加熱硬化することによって得た無機質成形体は、配合の
調整によって強度や耐久性に優れたものとなるため、住
宅やビルディング等の壁床材および瓦等の建材用部材と
して使用されている。
【0003】しかしながら、このような無機質成形体の
場合、表面につやむらが発生し易く、また、平滑な表面
においては、多湿時に表面粘着現象が生じ、耐汚染性が
低下すると言う問題がある。
【0004】そこで、このような問題を解決するため
に、本発明の発明者が、既に、SiO 2 −Al2 3
粉体、アルカリ金属珪酸塩および水を主成分とした無機
質組成物を硬化させたのち、得られた硬化体をアルカリ
土類金属中性塩水溶液に浸漬したり、硬化体表面にアル
カリ土類金属中性塩水溶液を流下させる処理方法を提案
している(特開平7−10633号公報参照)。
【0005】すなわち、この処理方法によれば、短時間
の処理で表面粘着性の改善を図ることができるようにな
った。しかしながら、この方法の場合、硬化体の成分で
あるアルカリ金属塩による白華物を抑えるのに、長時間
の処理が必要で生産性に少し問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情に鑑みて、短時間の処理で表面粘着性の改善を図れ
ることは勿論のこと、白華物の生成も抑えることができ
る無機質成形体の製造方法を提供することを目的として
いる。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、請求項1に記載の発明にかかる無機質成形体
の製造方法(以下、「請求項1の製造方法」と記す)
は、SiO2 −Al2 3 系粉体、アルカリ金属珪酸塩
および水を主成分とした無機質組成物を硬化させたの
ち、70〜100℃の熱水に曝す処理を行うようにし
た。
【0008】一方、請求項2に記載の発明にかかる無機
質成形体の製造方法(以下、「請求項2の製造方法」と
記す)は、SiO2 −Al2 3 系粉体、アルカリ金属
珪酸塩および水を主成分とした無機質組成物を硬化させ
たのち、pHが0〜2の酸性水溶液に曝す処理を行うよう
にした。他方、請求項3に記載の発明にかかる無機質成
形体の製造方法(以下、「請求項3の製造方法」と記
す)は、SiO2 −Al2 3 系粉体、アルカリ金属珪
酸塩および水を主成分とした無機質組成物を硬化させた
のち、硬化体表面を研削して表面層を除去するようにし
た。
【0009】上記SiO2 −Al2 3 系粉体として
は、SiO2 :Al2 3 =1:9〜9:1(重量比)
のものが挙げられるとともに、粉体全体としてはSiO
2 とAl2 3 とを合わせ50重量%以上含まれている
ものが望ましい。すなわち、50重量%未満の含有量だ
とアルカリ金属珪酸塩水溶液との反応性が低下し、得ら
れる成形体の強度が低下する恐れがある。
【0010】このようなSiO2 −Al2 3 系粉体と
しては、たとえば、以下の〜のようなものが挙げら
れ、これらを単独で用いたり、併用することができる。 粒子径10μm以下の粒子を80重量%以上含有す
るフライアッシュ
【0011】 400〜1000℃で焼成された粒子
径10μm以下の粒子を80重量%以上含有するフライ
アッシュ フライアッシュや粘土を溶融し気体中に噴霧するこ
とによって得られる無機質粉体
【0012】 粘土に0.1〜30kwh/kgの機
械的エネルギーを作用させて得られる無機質粉体 の粉体を更に100〜750℃で加熱することに
よって得られる無機質粉体
【0013】 メタカオリンに0.1〜30kwh/
kgの機械的エネルギーを作用させて得られる無機質粉
体 コランダム或いはムライト製造時の電気集塵機の灰
【0014】 粉砕仮焼ボーキサイト メタカオリン
【0015】なお、通常のフライアッシュとは、JIS
A 6201に規定される、微粉炭燃焼ボイラーから
集塵機で採取する微小な灰の粒子の、SiO2 40%以
上、湿分1%以下、比重1.95以上、比表面積270
0cm2 /g以上、44μm標準ふるいを75%以上通
過するものである。そして、のフライアッシュは、こ
の通常のフライアッシュを、例えば湿式沈降分級、風力
分級、比重による分離等通常行われている分級機を用い
て分級する方法、ジェットミル、ロールミル、ボールミ
ル等の微粉砕機をも用いて粉砕する方法、分級機と粉砕
機の連続システムを用いる方法等の従来公知の方法で処
理することによって得ることができる。
【0016】また、のフライアッシュのように、粒子
径10μm以下の粒子を80重量%以上含有しなければ
ならない理由は、粒子径10μm以下のフライアッシュ
の量が80重量%を下回るとアルカリ金属珪酸塩水溶液
との反応性が低下し、強度低下を生じたり、硬化不良を
生じる恐れがあるためである。
【0017】上記のフライアッシュは、のフライア
ッシュを400〜1000℃で焼成するか、通常のフラ
イアッシュを400〜1000℃で焼成したのち、の
フライアッシュと同様の方法で得ることができる。すな
わち、フライアッシュは一般に黒色であり、この黒色の
フライアッシュを上記のように400℃以上の温度での
焼成すると、脱色できる。しかし、1000℃を超える
温度で焼成すると、アルカリ金属珪酸塩水溶液との反応
性が低下するので、上記温度範囲で焼成することが望ま
しい。
【0018】の無機質粉体は、フライアッシュや粘土
を溶融し、気体中に噴霧することによって得ているが、
気体中に溶融・噴霧する方法として、セラミックコーテ
ィングに適用される溶射技術、好ましくは上記フライア
ッシュ及び粘土が2000〜16000℃の温度で溶融
され、30〜80m/sの速度で噴霧される溶射技術、
具体的には、プラズマ溶射法、高エネルギーガス溶射
法、アーク溶射法などが挙げられる。
【0019】上記溶射技術によって得られるの無機質
粉体は、一般にその比表面積が0.1〜60m2 /gに
コントロールされる。
【0020】上記の無機質粉体およびの無機質粉体
の原料となる粘土としては、化学組成としてSiO2
5〜85重量%、Al2 3 ;90〜10重量%を含有
する粘土、例えば、カオリナイト、ディッカイト、ナク
ライト、ハロイサイト等のカオリン鉱物、白雲母、イラ
イト、フェンジャイト、海緑石、セラドナイト、パラゴ
ナイト、ブランマライト等の雲母粘土鉱物、モンモリロ
ナイト、バイデライト、ノントロナイト、サボナイト、
ソーコナイト等のスメクタイト、緑泥岩、パイロフィラ
イト、タルク、ばん土頁岩が挙げられる。
【0021】〜の無機質粉体製造時に用いられる機
械的エネルギーとは、圧縮力、剪断力、衝撃力を意味
し、これらは単独で作用させてもよいし、2種以上を複
合させてもよい。これらを具体的に作用させる機器とし
ては、例えば、ボールミル、振動ミル、遊星ミル、媒体
攪拌型ミル、ローラミル、乳鉢、ジェット粉粉砕装置等
が挙げられる。
【0022】上記〜の無機質粉体製造に使用される
粘土及びメタカオリンの粒子径は特に限定されないが、
機械的エネルギーを有効に作用させるには平均粒子径が
0.01〜500μmが好ましく、更に好ましくは0.
1〜500μmが好ましく、特に好ましくは0.1〜1
00μmである。
【0023】〜の無機質粉体製造時に加えられる機
械的エネルギーが0.1kwh/kg未満であると、得
られた無機質粉体のアルカリ金属珪酸塩水溶液との反応
性が低下し、30kwh/kgを超えると、上記粉砕装
置への負荷が大きくなり、装置の摩耗、損傷が増大し、
上記粘土への不純物等の問題が発生するので、0.1〜
30kwh/kgに限定され、好ましくは1.0〜26
kwh/kgで作用させる。
【0024】又、上記のメタカオリンに作用させる機
械的エネルギーを0.1〜30kwh/kgに限定して
いる理由も上記及びの場合と同様である。なお、機
械的エネルギーを作用させる際に、必要に応じて粉砕助
剤を添加するようにしても構わない。
【0025】粉砕助剤とは、機械的エネルギーを作用さ
せる際に粘土乃至メタカオリンの粉体の装置内部への付
着あるいは著しい凝集を防ぐもので、例えば、メチルア
ルコール、エチルアルコール等の、アルコール類、トリ
エタノールアミン等のアルコールアミン類、ステアリン
酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム等の金属石鹸
類、アセトン蒸気等が挙げられる。これらは単独で使用
されてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0026】の無機質粉体は、粘土に上記機械的エネ
ルギーを作用させた後、更に、100〜750℃に加熱
して得られるが、これは加熱により、機械的強度の向上
が認められるためで、加熱温度が100℃未満である
と、強度向上が認められなくなり、750℃を超えると
無機質粉体の結晶化が生じ、アルカリ金属珪酸塩水溶液
に対する反応性が低下するので、100〜750℃に限
定され、好ましくは200〜600℃に限定される。ま
た、加熱時間は短くなると、得られる成形体の機械的強
度の向上が小さく、長くなるとエネルギーコストが増大
するので1分〜5時間が望ましい。
【0027】およびの無機質粉体は、特公平3−9
060号公報や特公平4−45471号公報に記されて
いるような粉体のことである。のメタカオリンは、市
販のものが使用できる。
【0028】本発明において使用されるアルカリ金属珪
酸塩とは、M2 O・nSiO2 (M=K,Na,Liか
ら選ばれる1種以上の金属)で表される珪酸塩であっ
て、nの値は小さくなると良好な外観の成形体が得られ
ず、大きくなるとゲル化が生じ易くなるため、0.1〜
8が望ましく、更に好ましくは、0.5〜2.5であ
る。
【0029】アルカリ金属珪酸塩は水溶液の形にして添
加されることが好ましい。また、水溶液とした時、その
濃度が薄くなるとSiO2 −Al2 3 粉体との反応性
が低下し、濃度が高くなるとアルカリ金属の塩が生成し
易くなるので、濃度を10〜70重量%とすることが好
ましく、10〜60重量%がより好ましい。すなわち、
濃度が10重量%より下回ると、得られる成形体の強度
が低下し、70重量%よりも濃度が高くなると、アルカ
リ金属珪酸塩水溶液の粘度が高くなり、混合・成形時の
作業性が低下する恐れがある。
【0030】アルカリ金属珪酸塩水溶液はアルカリ金属
珪酸塩をそのまま加圧、加熱下で水に溶解してもよい
が、アルカリ金属水酸化物水溶液に珪砂、珪石粉等のS
iO2成分をnが所定の量となるように加圧、加熱下で
溶解してもよいし、市販のアルカリ金属珪酸塩水溶液を
金属水酸化物と水で所定の組成に調整して使用してもよ
い。
【0031】アルカリ金属珪酸塩の添加量はSiO2
Al2 3 系粉体100重量部に対し1〜300重量部
(水溶液として10〜1300重量部)が好ましく、1
0〜250重量部(水溶液として10〜1000重量
部)がより好ましい。すなわち、添加量が多すぎると成
形体にクラック等が生じる恐れがある。
【0032】本発明で使用される水は、全配合量をアル
カリ金属珪酸塩の水溶液として添加されてもよいし、ア
ルカリ金属珪酸塩の水溶液と独立した水の両方の形態で
添加されてもよい。水の配合量は、少なくなると十分に
硬化せず、多くなると成形体の強度が低下するので、S
iO2 −Al2 3 系粉体100重量部に対し10〜1
000重量部、好ましくは10〜750重量部、更に好
ましくは、50〜500重量部である。
【0033】また、本発明の無機質組成物中には、必要
に応じて、無機質充填材、補強繊維、軽量骨材、顔料、
発泡剤、発泡助剤、起泡剤等を添加することができる。
【0034】無機質充填材としては、特に限定されない
が、アルカリ金属珪酸塩水溶液に対する活性の低いもの
が好ましく、たとえば、珪砂、岩石粉末、火山灰(シラ
ス、抗火石等)、珪灰石、炭酸カルシウム、珪石粉、け
いそう土、雲母、マイカ、シリカフューム等が使用でき
る。配合量としては、SiO2 −Al2 3 系粉体10
0重量部に対し900重量部以下が望ましい。900重
量部を超えると機械的強度の低下が生じる恐れがある。
【0035】補強繊維としては、通常のセメント製品に
使用される補強繊維が使用でき、ポリプロピレン、ビニ
ロン、レーヨン、耐アルカリガラス、炭素、アクリル、
アラミド、アクリロニトリル等の繊維を単独又は混合し
て使用できる。繊維形状としては繊維径1〜500μ
m、繊維長1〜15mmが望ましい。すなわち、繊維径
が1μm未満だと混合時にファイバーボールを形成し、
強度低下を生じやすくなり、500μmを超えたり、繊
維長が1mm未満だと引っ張り強度向上等の補強効果が
期待できない。また、繊維長が15mmを超えると分散
性が低下し、均一な強度を有する成形体が得られなくな
る。
【0036】補強繊維の添加量としては、SiO2 −A
2 3 系粉体100重量部に対し、10重量部以下が
望ましい。10重量部を超えると繊維の分散性が低下す
る恐れがある。
【0037】軽量骨材としては、パーライト、ガラスバ
ルーン、シリカバルーン、フライアッシュバルーン、シ
ラス発泡体等の無機質発泡体やフェノール樹脂、ウレタ
ン樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン等の有機質発泡体
が使用できる。軽量骨材の添加量としては、SiO2
Al2 3 系粉体100重量部に対し、150重量部以
下が望ましい。150重量部を超えると強度低下や表面
平滑性の低下あるいは成形作業性の低下が生じる恐れが
ある。
【0038】顔料としては酸化鉄や酸化チタン、酸化コ
バルト等の金属酸化物系顔料やカーボンブラックが望ま
しい。顔料の添加量としては、SiO2 −Al2 3
粉体100重量部に対し、50重量部以下が望ましい。
50重量部を超えても、隠蔽力が向上せず不経済であ
る。
【0039】発泡剤としては、Mg、Ca、Cr、M
n、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Ga、S
n、Si、フェロシリコン等の金属系粉末、過酸化水素
水や過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過硼酸ナトリ
ウム等の過酸化物系粉末が挙げられ、コスト、安全性、
入手の容易さ、混合の容易さ等を考慮すると、Al、過
酸化水素水が好ましい。
【0040】発泡剤の粉末としては、1〜200μmの
粒子径のものが望ましい。すなわち、粒子径が1μmよ
りも小さいと分散性が低下するとともに、急速発泡して
しまい、200μmよりも大きいと反応性が低下してし
まう恐れがある。発泡剤の添加量(溶液は100%換
算)は、SiO2 −Al2 3 系粉体100重量部に対
し、5重量部以下が望ましい。すなわち、5重量部を超
えると強度の低下が著しく、成形体のハンドリング等が
できなくなる。
【0041】発泡助剤としては、シリカゲル、ゼオライ
ト、活性炭、アルミナゲル等の多孔質粉体やステアリン
酸金属塩、パルミチン酸金属塩などの金属石鹸が挙げら
れる。発泡助剤の添加量としては、SiO2 −Al2
3 系粉体100重量部に対し10重量部以下が望まし
い。10重量部よりも多くなると破泡等を生じる恐れが
ある。
【0042】起泡剤としては、高級アルコール硫酸エス
テル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、芳香族誘導
体スルホン酸塩、イミダゾリン誘導体、脂肪酸アミド、
動物蛋白系が使用できる。起泡剤の添加量としては、S
iO2 −Al2 3 系粉体100重量部に対し10重量
部以下が望ましい。10重量部よりも多くなると硬化不
良を生じ易くなる。
【0043】上記無機質組成物を混合して得るには、パ
ドル回転型混合機、揺動式混合機、スクリュー式混合機
等の通常の混合機が使用できる。混合方法としては、粉
体原料を乾式混合しておいて、得られた混合物にさらに
アルカリ金属珪酸塩水溶液を添加し混合する方法、全原
料を同時に供給して混合する方法、アルカリ金属珪酸塩
水溶液と一部粉体原料を混合し、順次残りの原料を添加
して混合する方法のいずれでも構わない。
【0044】発泡剤を使用する場合、混合工程の最後に
発泡剤を添加したほうが作業性や気泡の安定性の面で有
利である。起泡剤を用いた場合は、起泡剤を最後に添加
するか或いは起泡剤以外の原料でスラリーを作り、起泡
剤と水で気泡を生成させた水溶液と混合する方法が好ま
しい。水溶液として使用する場合の起泡剤濃度0.1〜
5%が望ましい。0.1%よりも少ないと泡の安定性が
悪く破泡してしまい、5%よりも多いと硬化不良を生じ
る。
【0045】成形体は、通常、スラリー状の無機質組成
物を型に充填することによって得ることができる。無機
質組成物スラリーの型への充填は、自然落下式でもよい
し、ポンプ等によって強制的に行ってもよい。スラリー
充填中或いは充填後にスラリーのレベリングや脱泡等の
ため振動を付与してもよい。また、スラリーの粘度が高
い時にはプレス成形するようにしても構わない。
【0046】型としては、特に限定されず、材質として
金属、樹脂、ゴム等が挙げられ、型面に凹凸模様を形成
しておけば、型面の凹凸に応じた装飾性に優れた表面形
状の成形体を得ることができる。無機質組成物の硬化の
条件としては、雰囲気温度を常温〜100℃の間で、5
分〜12時間保持して行うのが好ましい。加熱方法は特
に限定されないが、例えばオーブンが挙げられる。加熱
温度が高くなれば硬化時間が短くなるのはいうまでもな
い。また、加熱硬化を終了すれば脱型を行う。
【0047】本発明において曝す処理方法とは、熱水ま
たは酸性水溶液に成形体を浸漬する方法、成形体に熱水
または酸性水溶液を噴霧したり塗布する方法等が挙げら
れる。
【0048】また、請求項1の製造方法において、熱水
の温度は70〜100℃に限定され、好ましくは80〜
100℃である。すなわち、熱水の温度が70℃未満で
は、その効果が不十分である。成形体を熱水に曝す処理
の時間は、10〜60分が好ましく、20〜60分がよ
り好ましい。すなわち、処理時間が10分未満であると
その効果が不十分となる恐れがあり、60分を越える
と、効果は十分に得られるが長時間で不経済である。
【0049】一方、請求項2の製造方法において、酸性
水溶液のpHは、0〜2に限定され、0〜1.5がより好
ましい。すなわち、pHが2を越えると、その効果が不十
分となる。成形体を酸性水溶液に曝す処理の時間は、
0.5秒〜60秒が好ましく、1秒〜60秒がより好ま
しい。すなわち、処理時間が0.5秒未満であるとその
効果が不十分となる恐れがあり、60秒を越えると、成
形体自体が冒される恐れがある。 酸性水溶液となる酸
としては、特に限定されないが、たとえば、硫酸,塩
酸,硝酸,酢酸等の無機酸が挙げられる。
【0050】他方、請求項3の製造方法において、研削
方法としては、特に限定されないが、たとえば、サンド
ペーパーを用いる方法や、ブラスト処理する方法等が挙
げられる。
【0051】研削される表面層の厚みは、0.005μ
m以上が好ましく0.01μmがより好ましい。すなわ
ち、除去する表面層の厚みが0.005μm未満である
と、白華物の発生を抑えることが難しくなる。なお、上
限は成形体の厚みを確保できれば、特に限定されない
が、サンドペーパーを用いる方法では10μm程度、ブ
ラスト処理する方法では100μm程度がどうしても除
去されてしまう。
【0052】また、サンドペーパーを用いる方法におい
て、サンドペーパーの目の粗さは、特に限定されない
が、♯8〜♯400(J1S R 6001)程度が好
ましい。すなわち、粗さが♯8より大きいと、成形体表
面に荒れが生じる恐れがあり、♯400より細かいと、
サンドペーパーの目が詰まりやすく作業性が悪くなる恐
れがある。
【0053】さらに、サンドペーバーを用いる方法の場
合、機械を用いても構わないし、手動で行っても構わな
い。また、湿式でも乾式でも構わない。
【0054】一方、ブラスト処理する方法において、使
用する粉粒体は、特に限定されないが、たとえば、山
砂,川砂,珪砂,アルミナ,炭化刑訴,ジルコン,ジル
コニア,長石等の通常ブラスト処理に使用されるものが
挙げられる。
【0055】粉粒体の粒径は、特に限定されないが、た
とえば、粒径0.6μm〜5mmが好ましく、10μm〜
1mmがより好ましい。すなわち、粉粒体の粒径が細かす
ぎると研磨に時間がかかり、粒径が大きすぎると、成形
体の表面割れが起こったりする恐れがある。
【0056】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を、
図面を参照しつつ詳しく説明する。図1は、請求項1の
製造方法の実施の形態をあらわしている。
【0057】この製造方法は、まず、図1(a)に示す
ように、SiO2 −Al2 3 系粉体、アルカリ金属珪
酸塩および水を主成分としたスラリー状の無機質組成物
1を型2内に充填し、加熱硬化させて型形状に成形され
た硬化体3を得る。つぎに、図1(b)に示すように、
型2から取り出した硬化体3を70〜100℃の熱水4
に10〜60分間浸漬したのち、乾燥することによって
成形体5を得るようになっている。
【0058】すなわち、この製造方法によれば、型から
取り出した硬化体を一旦熱水に浸漬するようになってい
るので、硬化体中のアルカリ金属が熱水に溶け込んで硬
化体から除去されるため、白華現象を起こさない成形体
を得ることができる。
【0059】一方、請求項2の製造方法は、請求項1の
製造方法と同様にして得た硬化体を、pH0〜2の酸性水
溶液に0.5〜60秒間浸漬したのち、硬化体を取り出
して水洗・乾燥して成形体を得るようになっている。す
なわち、この製造方法によれば、型から取り出した硬化
体を一旦酸性水溶液に浸漬するようになっているので、
硬化体中のアルカリ金属が酸性水溶液で中和されるた
め、白華現象を起こさない成形体を得ることができる。
【0060】他方、請求項3の製造方法は、請求項1の
製造方法と同様にして得た硬化体の表面層、サンドペー
パーあるいはサンドブラストを用いて0.05μm〜1
00μmの厚みで研削するようになっている。すなわ
ち、この製造方法によれば型から取り出した硬化体の表
面層を研削するようになっているので、表面層部分の白
華物が短時間で除去される。
【0061】
【実施例】以下に、本発明の実施例をより詳しく説明す
る。
【0062】(SiO2 −Al2 3 系粉体の調製)S
iO2 −Al2 3 系粉体Aとして、メタカオリン(エ
ンゲルハート社製、商品名:SATENTONE SP33、平均粒径
3.3μm、 BET比表面積:5.8cm2 /g)を用意する
とともに、SiO2 −Al2 3 系粉体Bとしてメタカ
オリン(エンゲルハート社製、商品名:SATENTONE SP3
3、平均粒径3.3μm、 BET比表面積:5.8cm2 /
g)100重量部およびトリエタノールアミン25重量
%とエタノール75重量%の混合溶液0.5重量部を、
ウルトラファインミル(三菱重工社製、ジルコニアボー
ル10mm使用、ボール充填率85体積%)に供給し、1
0kwh/kgの機械的エネルギーを作用させてSiO2 −A
2 3 系粉体Bを得た。なお、作用させた機械的エネ
ルギーは、上記ウルトラファインミルに供給した電力を
処理粉体単位重量で除してあらわした。
【0063】(アルカリ金属珪酸塩水溶液の調製)表1
に示す組成の2種類のアルカリ金属珪酸塩水溶液I,II
を1K珪酸カリウム水溶液(日本化学工業社製)、水酸
化カリウム(和光純薬社製)と水とを用いて調製した。
【0064】
【表1】
【0065】内寸10(厚み)×100(幅)×300
(長さ)mmの成形型を用意し、この型に、上記SiO2
−Al2 3 系粉体A,B、アルカリ金属珪酸塩水溶液
I,IIおよび充填剤としてのフラタリーサンド48M
(林化成社より入手)を表2に示すような配合割合で配
合して得た無機質組成物スラリーをそれぞれ自然流下に
より注入し、85℃で4時間放置し、硬化体1〜4を得
た。
【0066】
【表2】
【0067】(実施例1〜4,比較例1〜3)上記表2
に示すいずれかの硬化体1〜4を用いて、表3に示す処
理条件で処理して成形体5を得たのち、図2に示すよう
に、ステンレス鋼(SUS)製の容器6に成形体5の厚
みの1/2の深さまで水7を入れ、容器1の底に配置し
たヒーター8で水を加温し、80〜85℃の熱水とした
のち、成形体5をこの熱水に半分没した状態で2時間放
置し、成形体5表面の白華物の有無を調べ、表3に合わ
せて示した。
【0068】
【表3】
【0069】上記表3から請求項1の製造方法を用いれ
ば、短時間で白華物が表面に発生しない成形体を得られ
ることがよくわかる。
【0070】(実施例5〜8,比較例4,5)上記表2
に示すいずれかの硬化体1〜4を用いて、表4に示す処
理条件で処理して成形体を得たのち、実施例1〜4,比
較例1〜3と同様にして成形体表面の白華物の有無を調
べ、表4に合わせて示した。
【0071】
【表4】
【0072】上記表4から請求項2の製造方法を用いれ
ば、短時間で白華物が表面に発生しない成形体を得られ
ることがよくわかる。
【0073】つぎに、内寸15(厚み)×100(幅)
×300(長さ)mmの成形型を用意し、この型に、上記
SiO2 −Al2 3 系粉体A,B、アルカリ金属珪酸
塩水溶液I,IIおよび充填剤aとしてのマイカ(レプコ
社製マイカM100)、充填剤bとしてのタルク(日本
タルク社製タクルS)を表5に示すような配合割合で配
合して得た無機質組成物スラリーをそれぞれ自然流下に
より注入し、85℃で4時間放置し、硬化体5〜8を得
た。
【0074】
【表5】
【0075】(実施例9)サンドブラスト装置(千代田
技研社製WASADO75)に粉粒体としてのフラタリ
ーサンド48M(林化成社より入手)をセットして上記
硬化体5の表面層を500μmの厚みだけ除去し成形体
を得た。
【0076】(実施例10)硬化体6の表面層を300
μmの厚みだけ除去した以外は、実施例9と同様にして
成形体を得た。
【0077】(実施例11)フラタリーサンド48Mに
代えて粉粒体としてモランダムWA♯3000(昭和電
工社製)を用いるとともに、硬化体7の表面層を150
μmだけ除去した以外は、実施例9と同様にして成形体
を得た。
【0078】(実施例12)硬化体8の表面層を50μ
mの厚みだけ除去した以外は、実施例11と同様にして
成形体を得た。
【0079】(実施例13)♯60のサンドペーパーを
セットした手持ち研磨装置(マキタ社製仕上げサンダー
9036)を用いて上記硬化体5の表面層を50μmの
厚みだけ除去し成形体を得た。
【0080】(実施例14)♯100のサンドペーパー
をセットした手持ち研磨装置(マキタ社製仕上げサンダ
ー9036)を用いて上記硬化体6の表面層を70μm
の厚みだけ除去し成形体を得た。
【0081】(実施例15)♯180のサンドペーパー
をセットした手持ち研磨装置(マキタ社製仕上げサンダ
ー9036)を用いて上記硬化体7の表面層を30μm
の厚みだけ除去し成形体を得た。
【0082】(実施例16)♯240のサンドペーパー
をセットした手持ち研磨装置(マキタ社製仕上げサンダ
ー9036)を用いて上記硬化体7の表面層を20μm
の厚みだけ除去し成形体を得た。
【0083】上記実施例9〜16で得た成形体、およ
び、硬化体5〜8(未処理の成形体)をそれぞれ実施例
1〜4および比較例1〜4と同様にして表面の白華物の
有無を調べたところ、実施例9〜16の成形体は、いず
れも白華物の発生が認められなかったのに対し、硬化体
5〜8はいずれも白華物の発生が認められた。
【0084】
【発明の効果】本発明にかかる無機質成形体の製造方法
は、以上のように構成されているので、短時間の処理で
表面粘着性の改善を図れることは勿論のこと、白華物の
生成も抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる無機質成形体の製造方法を工程
順に説明する説明図である。
【図2】白華物の発生の有無の試験方法を説明する説明
図である。
【符号の説明】
3 硬化体 4 熱水 5 成形体

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】SiO2 −Al2 3 系粉体、アルカリ金
    属珪酸塩および水を主成分とした無機質組成物を硬化さ
    せたのち、70〜100℃の熱水に曝す処理を行うこと
    を特徴とする無機質成形体の製造方法。
  2. 【請求項2】SiO2 −Al2 3 系粉体、アルカリ金
    属珪酸塩および水を主成分とした無機質組成物を硬化さ
    せたのち、pHが0〜2の酸性水溶液に曝す処理を行うこ
    とを特徴とする無機質成形体の製造方法。
  3. 【請求項3】SiO2 −Al2 3 系粉体、アルカリ金
    属珪酸塩および水を主成分とした無機質組成物を硬化さ
    せたのち、硬化体表面を研削して表面層を除去すること
    を特徴とする無機質成形体の製造方法。
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