JPH1188103A - 圧電素子およびこの圧電素子を用いた圧電部品 - Google Patents

圧電素子およびこの圧電素子を用いた圧電部品

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JPH1188103A
JPH1188103A JP9267961A JP26796197A JPH1188103A JP H1188103 A JPH1188103 A JP H1188103A JP 9267961 A JP9267961 A JP 9267961A JP 26796197 A JP26796197 A JP 26796197A JP H1188103 A JPH1188103 A JP H1188103A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】長さ振動が阻害されず、特性劣化の少ない圧電
素子を提供する。 【解決手段】長さ方向振動モードを利用した圧電素子1
であって、圧電基板の表裏主面にそれぞれ電極3〜5を
有し、一方の主面の電極3,4のノード部分に導電性の
支持部6,7を固定する。圧電素子1の厚みをT、その
長さをL、支持部6,7の厚みをT1,その長さをL1
とするとき、T1/T≦0.5でかつL1/L≦0.2
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は発振子やフィルタな
どに用いられる長さ方向振動モードを利用した圧電素子
およびこの圧電素子を用いた圧電部品に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、長さ方向振動モードを利用した圧
電素子として、圧電基板の一方の主面に長さ方向に延び
る直線状の溝によって分割された入力電極および出力電
極を設け、他方の主面に共通電極を設け、入力電極と出
力電極のそれぞれに、一部に外部導体との電気的接触部
となる導電ゴムよりなる支持部を設けたものが知られて
いる(特開平2−224515号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
な支持部を固定した圧電素子の場合、支持部の寸法や材
質によって長さ振動が阻害され、特性が劣化する場合が
あった。この問題について、本発明者は種々検討した結
果、支持部の厚み、支持部の長さ、さらに支持部の弾性
係数(ヤング率)が共振抵抗と密接に関係しており、こ
のことが特性劣化の原因であることを発見した。
【0004】そこで、本発明の目的は、支持部の寸法お
よびヤング率を最適な値に設定することで、長さ振動が
阻害されず、特性劣化の少ない圧電素子を提供すること
にある。また、他の目的は、上記圧電素子を用いること
で、特性の優れた圧電部品を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明は、長さ方向振動モードを利
用した圧電素子であって、圧電基板の表裏主面にそれぞ
れ電極を有し、表裏一方の主面の電極のノード部分に導
電性の支持部が固定された圧電素子において、上記圧電
素子の厚みをT、支持部の厚みをT1とするとき、T1
/T≦0.5としたものである。
【0006】また、請求項2に記載の発明は、長さ方向
振動モードを利用した圧電素子であって、圧電基板の表
裏主面にそれぞれ電極を有し、表裏一方の主面の電極の
ノード部分に導電性の支持部が固定された圧電素子にお
いて、上記圧電素子の長さをL、支持部の長さをL1と
するとき、L1/L≦0.2としたものである。
【0007】さらに、請求項3に記載の発明は、長さ方
向振動モードを利用した圧電素子であって、圧電基板の
表裏主面にそれぞれ電極を有し、表裏一方の主面の電極
のノード部分に導電性の支持部が固定された圧電素子に
おいて、上記圧電素子の厚みをT、その長さをL、支持
部の厚みをT1,その長さをL1とするとき、T1/T
≦0.5でかつL1/L≦0.2としたものである。
【0008】上記のように支持部の寸法を設定すること
で、共振抵抗を低く抑えることができ、長さ振動が阻害
されず、特性劣化の少ない圧電素子を得ることができ
る。なお、圧電素子を外部導体(例えば取付基板のパタ
ーン電極)などに接続固定する場合、上記支持部は、圧
電素子と外部導体との間に振動空間を設けるスペーサと
しての役割と、圧電素子の電極と外部導体とを電気的に
接続するための導電部材としての役割とを有する。この
場合、圧電素子の安定性を高め、振動不良や絶縁不良を
防止するには、支持部の厚みT1をできるだけ厚く、長
さL1をできるだけ長くするのがよいが、その反面、厚
みT1および長さL1には上記のような制約があるの
で、振動特性を阻害しない範囲で支持部の厚みT1をで
きるだけ厚く、長さL1をできるだけ長くするのが望ま
しい。
【0009】また、支持部の寸法の他に、支持部の材
質、つまりヤング率も共振抵抗に大きく影響する。そこ
で、請求項4では支持部をヤング率が109 N/m2
上の材料で形成している。このようにヤング率の大きな
材料を用いることで、支持部が圧電素子の振動にあわせ
て振動し、長さ振動を抑圧しないため、共振抵抗を小さ
くできる。
【0010】上記圧電素子を、絶縁性の取付基板の上面
に形成されたパターン電極上に搭載することで、圧電部
品を得ることができる。すなわち、圧電素子の支持部が
固定された主面を取付基板のパターン電極が形成された
面と対向させ、支持部を取付基板の1つのパターン電極
と接続固定するとともに、上記圧電素子の他主面の電極
を上記取付基板の別のパターン電極と導電性ワイヤーを
介して接続すればよい。なお、圧電素子を覆うようにキ
ャップを取付基板に接着固定してもよい。この場合、取
付基板をヤング率が1011N/m2 以下の材料で形成す
るのが望ましい。すなわち、取付基板のヤング率≦10
11N/m2 とすれば、圧電素子の振動は支持部を介して
取付基板に伝わるが、取付基板による吸収効果が働いて
圧電素子に対して反射波を返しにくくするからである。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は長さ方向振動モードを利用
した圧電素子1の一例であり、短冊型の圧電セラミック
基板2の一主面には長さ方向に延びる直線状の溝3によ
って分割された第1と第2の電極4,5とが形成されて
おり、他方の主面には全面に第3の電極6が形成されて
いる。第1と第2の電極4,5のノード部分にはそれぞ
れ導電性の支持部7,8が固定されている。支持部7,
8の厚みT1および長さL1は互いに等しい。なお、こ
の実施例では溝3が圧電素子1の幅方向の中央からずれ
た位置に形成されているが、これは幅振動によるスプリ
アスおよび厚み振動によるスプリアスを抑制するためで
ある。
【0012】上記圧電素子1において、その厚みT=
0.38mm、長さL=4.1mm、幅W=0.9mm
とし、支持部7,8の厚みをT1,その長さをL1とす
ると、L1/LおよびT1/Tによって共振抵抗が図2
および図3のように変化した。なお、図2ではT1/T
=0.5、支持部7,8のヤング率=109 N/m2
し、図3ではL1/L=0.2、支持部7,8のヤング
率=109 N/m2 とした。図2,図3から明らかなよ
うに、L1/Lが0.2を越えると共振抵抗が急激に増
大すること、またT1/Tが0.5を越えると共振抵抗
が急激に増大することがわかる。そのため、長さ振動が
阻害され、特性が劣化する。したがって、次のような寸
法に設定するのが望ましい。 T1/T≦0.5 L1/L≦0.2
【0013】また、支持部7,8のヤング率と共振抵抗
との関係についても調べたところ、図4のようにヤング
率が109 N/m2 未満では共振抵抗が急激に増大し
た。図5は支持部7,8のヤング率≧109 N/m2
場合の圧電素子1のインピーダンス特性、図6は支持部
7,8のヤング率<109 N/m2 の場合の圧電素子1
のインピーダンス特性を示す。図5のようにヤング率≧
109 N/m2 の場合には、圧電素子1の長さ振動にあ
わせて支持部7,8が変位し、圧電素子1の振動が阻害
されにくく、望ましいインピーダンス特性が得られてい
るのに対し、ヤング率が109 N/m2 より低くなる
と、、図6のように圧電素子1の長さ振動を支持部7,
8が吸収する形となり、単に質量負荷的な効果しか出て
いない。そのため、共振点および反共振点のインピーダ
ンス差、つまりレスポンスが悪化している。したがっ
て、支持部7,8をヤング率≧109 N/m2 以上の材
料で形成するのが望ましい。この実施例では、109
/m2 以上のエポキシ系導電性接着剤を用いている。
【0014】図7は図1に示す圧電素子1を用いた表面
実装型の発振子の例を示す。この発振子は、圧電素子1
の他に、取付基板10とキャップ20とを備えている。
取付基板10はアルミナセラミックス,ガラスセラミッ
ク,ガラスエポキシ樹脂等からなる長方形の絶縁性薄板
であり、取付基板10の上面には入力側と出力側の2個
のパターン電極11,12がスパッタリング,蒸着,印
刷などの公知の手法で形成されている。各パターン電極
11,12は取付基板10の側縁に設けた切欠13を介
してそれぞれ裏面側へ延設されている。
【0015】圧電素子1は、支持部7,8が取付基板1
0の上面に対面するよう搭載される。すなわち、支持部
7,8が入力側(または出力側)パターン電極11の接
続部11a上に導電性接着剤(図示せず)などよって接
着され、電極4,5がパターン電極11と電気的に接続
される。このとき、圧電素子1の振動部である長手方向
両端部は、支持部7,8の厚みによって取付基板10と
の間に所定の隙間が設けられるので、圧電素子1の振動
部が取付基板10と接触して振動が阻害されたり、電極
4,5が異なる電位のパターン電極12と接触して絶縁
不良をきたす恐れがない。
【0016】圧電素子1の接着後、圧電素子1の第3の
電極6と出力側(または入力側)パターン電極12の接
続部12aとを導電性ワイヤー14によって接続する。
このワイヤー14は公知のワイヤーボンディング法によ
って容易に接続できる。なお、圧電素子1の電極6と出
力側パターン電極12とを導電性ワイヤー14によって
接続する場合、図8のように、パターン電極12の接続
部12aに導電性の台座30を固定し、この台座30と
圧電素子1の第3の電極6とを導電性ワイヤー14で接
続してもよい。この場合には、台座30の厚みを、圧電
素子1と支持部7,8との厚みの和とほぼ同等に設定す
ることで、台座30の上面と圧電素子1の上面とをほぼ
同一高さとすることができ、ワイヤーボンディング作業
が容易となる。
【0017】圧電素子1の接着およびワイヤー14の接
続の後、取付基板10上に圧電素子1を覆うキャップ2
0を絶縁性接着剤(図示せず)により接着し、圧電素子
1の周囲を封止する。これにより、表面実装型の発振子
を完成する。
【0018】上記構成の発振子において、取付基板10
の材質としてヤング率が1011N/m2 以下の材料を用
いるのがよい。すなわち、図9は取付基板10のヤング
率≦1011N/m2 の場合の発振子のインピーダンス特
性、図10は取付基板10のヤング率>1011N/m2
の場合の発振子のインピーダンス特性を示す。ヤング率
≦1011N/m2 の場合には、圧電素子1の振動が支持
部7,8を介して取付基板10に伝わるが、取付基板1
0による吸収効果が働いて圧電素子1に対して反射波を
返しにくくしている。つまり、いわゆる振動漏れがなく
なり、図9のように良好なインピーダンス特性を有す
る。一方、ヤング率>1011N/m2 の場合には、圧電
素子1の振動が支持部7,8を介して取付基板10によ
って反射され、長さ振動に屈曲振動が重畳されるような
形で阻害される。そのため、図10のようにインピーダ
ンス特性に波形歪みを生じさせる結果となる。
【0019】本発明は上記実施例に限定されるものでは
ない。上記実施例では、スプリアスを抑制するため、圧
電素子の裏側電極に溝を設けて複数の電極に分割した例
を示したが、溝を設ける必要は必ずしもない。つまり、
表裏の電極はそれぞれ単一の電極であってもよい。ま
た、この圧電素子は発振子だけでなく、フィルタとして
用いることもできる。フィルタとして用いる場合には、
一方の主面の電極を溝によって互いに異なる電位の複数
の電極に分割すればよい。分割する溝の本数は1本に限
らず、2本以上であってもよい。また、支持部は各電極
に1個ずつ設けるものに限らず、圧電素子の長さ方向に
離れた複数の支持部で構成してもよい。この場合、支持
部の長さL1は圧電素子の長さ方向に離れた支持部の外
側面間の距離となる。さらに、支持部は全体を導電性材
料で形成することなく、一部のみを導電性材料で形成
し、残部を絶縁性材料で形成してもよい。支持部と外部
導体との接続方法は、上記実施例のように導電性接着剤
を用いて接続する方法のほかに、バネ端子などを用いて
支持部を外部導体に圧接させて接続してもよいが、安定
性と接触信頼性とを得るには、導電性接着剤などによっ
て接着するのが望ましい。また、支持部自身を未硬化の
導電性接着剤で形成した場合には、外部導体に直接接着
することもできる。
【0020】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よれば、圧電基板の一方の主面電極のノード部分に固定
される支持部の厚みT1を圧電素子の厚みTの1/2以
下とすること、あるいは支持部の長さL1を圧電素子の
長さLの1/5以下とすることで、共振抵抗を低く抑え
ることができる。そのため、長さ振動が阻害されず、特
性劣化の少ない圧電素子を得ることができる。また、支
持部のヤング率を109 N/m2 以上とすることで、支
持部が圧電素子の長さ振動を抑圧せず、共振抵抗を小さ
くできる。さらに、取付基板の上面に形成されたパター
ン電極上に上記圧電素子を搭載した圧電部品の場合、取
付基板をヤング率が1011N/m2 以下の材料で形成す
れば、取付基板による振動吸収効果が働いて圧電素子に
対して反射波を返しにくくするため、良好な特性を有す
る圧電部品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる圧電素子の一例の斜視図であ
る。
【図2】圧電素子の共振抵抗とL1/Lとの関係を示す
図である。
【図3】圧電素子の共振抵抗とT1/Tとの関係を示す
図である。
【図4】圧電素子の共振抵抗と支持部のヤング率との関
係を示す図である。
【図5】支持部のヤング率≧109 N/m2 の場合のイ
ンピーダンス特性図である。
【図6】支持部のヤング率<109 N/m2 の場合のイ
ンピーダンス特性図である。
【図7】図1に示す圧電素子を用いた表面実装型の発振
子の一例の斜視図である。
【図8】表面実装型の発振子の他の例の斜視図である。
【図9】取付基板のヤング率≦1011N/m2 の場合の
インピーダンス特性図である。
【図10】取付基板のヤング率>1011N/m2 の場合
のインピーダンス特性図である。
【符号の説明】
1 圧電素子 2 圧電セラミック基板 3 溝 4,5 電極 6 電極 7,8 支持部 10 取付基板 11,12 パターン電極 14 導電性ワイヤー

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】長さ方向振動モードを利用した圧電素子で
    あって、 圧電基板の表裏主面にそれぞれ電極を有し、表裏一方の
    主面の電極のノード部分に導電性の支持部が固定された
    圧電素子において、 上記圧電素子の厚みをT、支持部の厚みをT1とすると
    き、 T1/T≦0.5 としたことを特徴とする圧電素子。
  2. 【請求項2】長さ方向振動モードを利用した圧電素子で
    あって、 圧電基板の表裏主面にそれぞれ電極を有し、表裏一方の
    主面の電極のノード部分に導電性の支持部が固定された
    圧電素子において、 上記圧電素子の長さをL、支持部の長さをL1とすると
    き、 L1/L≦0.2 としたことを特徴とする圧電素子。
  3. 【請求項3】長さ方向振動モードを利用した圧電素子で
    あって、 圧電基板の表裏主面にそれぞれ電極を有し、表裏一方の
    主面の電極のノード部分に導電性の支持部が固定された
    圧電素子において、 上記圧電素子の厚みをT、その長さをL、支持部の厚み
    をT1,その長さをL1とするとき、 T1/T≦0.5 かつ L1/L≦0.2 としたことを特徴とする圧電素子。
  4. 【請求項4】請求項1ないし3のいずれかに記載の圧電
    素子において、 上記支持部は、ヤング率が109 N/m2 以上の材料で
    形成されていることを特徴とする圧電素子。
  5. 【請求項5】絶縁性の取付基板の上面に形成されたパタ
    ーン電極上に、長さ方向振動モードを利用した圧電素子
    を搭載してなる圧電部品であって、 上記圧電素子は、請求項1ないし4のいずれかに記載の
    圧電素子であり、 上記圧電素子の支持部が固定された主面を上記取付基板
    のパターン電極が形成された面と対向させ、上記支持部
    を取付基板の1つのパターン電極と接続固定するととも
    に、 上記圧電素子の他主面の電極を上記取付基板の別のパタ
    ーン電極と導電性ワイヤーを介して接続してなり、 上記取付基板は、ヤング率が1011N/m2 以下の材料
    で形成されていることを特徴とする圧電部品。
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