JPH1184260A - 位相差顕微鏡 - Google Patents
位相差顕微鏡Info
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- JPH1184260A JPH1184260A JP24705497A JP24705497A JPH1184260A JP H1184260 A JPH1184260 A JP H1184260A JP 24705497 A JP24705497 A JP 24705497A JP 24705497 A JP24705497 A JP 24705497A JP H1184260 A JPH1184260 A JP H1184260A
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Abstract
要の無いイニシャライズフリーであり、対物レンズの倍
率変化に伴うリングスリットの変更を行なわない共通開
口を有する位相差顕微鏡を得る。 【解決手段】光源と、該光源からの光を観察物体に照射
する照明光学系と、観察物体を拡大投影する拡大光学系
を有し、前記照明光学系の瞳位置にリングスリットを配
置し、前記リングスリットと前記観察物体を介して略共
役な位置に位相膜が配置されている位相差顕微鏡におい
て、同一のリングスリットを用いて異なる倍率の拡大光
学系に対し、位相差観察が可能な構成とした位相差顕微
鏡。
Description
り、特に培養細胞の育成状況観察等に用いられる位相差
顕微鏡に関する。
リングスリットを配置し、観察物体を介して共役な対物
レンズの瞳位置に輪帯状の位相膜を配置することによ
り、観察物体の位相分布をコントラストに変える顕微鏡
である。そして、細菌や生物細胞等の無色透明な物体の
観察に広く用いられている。また、位相差顕微鏡おける
像コントラストや解像力の改善に関する種々の方法が、
以下に述べる文献1等に開示されている。
改善するためには、位相膜の中心径を対物レンズの瞳径
の半分程度にするのが良いことが、例えば文献1「Some
Improvements in the phase contrast microsco
pe,K.Yamamoto,A.Taira,J.Microscope,129(1983),p4
9-62」に示されている。
るためには、位相膜とリングスリットを使用する対物レ
ンズに対して適切に配置することと、原理上位相膜とリ
ングスリットの共役関係をに保つ必要がある。
上の誤差の影響によるリングスリットと位相膜の位置ず
れを補正するために、リングスリットを移動させて位置
合わせを行なう機構が付加されている。
し、培養の状況を容器のまま観察できる顕微鏡として、
倒立型顕微鏡が知られている。特に、培養細胞の育成状
況をチェックするルーチンワーク顕微鏡には、位相差観
察のできる倒立型位相差顕微鏡が多く用いられている。
ンワーク用倒立型位相差顕微鏡では、観察する細胞の大
きさにより使用する対物レンズを交換している。そのた
め、観察を開始する前にリングスリットと位相膜の位置
合わせ等を各対物レンズ毎に行う必要がある。
は、リングスリットと対物レンズ内に配置された位相膜
との共役関係を保つためにリングスリットの位置調整す
る機構が、観察物体の上方のコンデンサーに配置されて
いる。培養細胞の育成をチェックするルーチンワーク用
倒立型位相差顕微鏡では、観察を開始する前に調整機構
を用いて対物レンズの各倍率毎にリングスリットの位置
調整を行い、一連のルーチンワークを開始する。このリ
ングスリットの位置調整の際に、調整機構等に付着して
いた異物などが、培養容器に落下すると培養細胞に影響
を与えることになり、問題になる。
するルーチンワーク用倒立型位相差顕微鏡では、リング
スリットの位置調整を無くしたイニシャライズフリーの
仕様が要望されている。観察する細胞の大きさにより観
察倍率を変えることがあり、これに伴いリングスリット
も対物レンズにあわせて交換することになり、この際に
も培養容器内への異物の落下が問題になる。
ットも同時に変えることは、作業上の効率を著しく低下
さる。このため、培養細胞の育成をチェックするルーチ
ンワーク用の位相差顕微鏡には、対物レンズの倍率を変
えても、リングスリットを交換しないで済む共通リング
スリットの仕様が要望されている。
を機械的に行なわない方法が、文献2(特開平5−33
3272号公報)に開示されている。この文献2は、図
9に示すように、光源103とコンデンサレンズ104
の間に配設されるリングスリット100を液晶素子で形
成し、該液晶素子に印加する電圧をコントローラ101
により制御して液晶素子100の形状及び位置を変える
ことにより、液晶素子と位相膜(透明板102aと位相
制御板102bからなるもの)102の位置調整を行な
う発明である。
107は培養容器106内に配置した培養細胞、108
はコンデンサレンズ104とにより光学系を構成する対
物レンズ、109は結像部材である。
とにより、培養容器106の上方での操作を無くすこと
ができ、培養容器106への異物の落下を防ぐことがで
きる。しかし、観察開始前に行なうリングスリット10
0の初期調整はそれ以前に必要であり、対物レンズ10
8の倍率を変えた時のリングスリット100の交換も必
要であり、ルーチンワークの作業上の効率が悪い。
るリングスリットを共通にすると、対物レンズの瞳位置
に投影されるリングスリットの径は対物レンズの倍率に
より変わり、共役関係にある位相膜の径も対物レンズ毎
に変わることになる。このため、対物レンズ毎にリング
スリットを設定した場合と比べ、解像力や像コントラス
トが変わり、全ての倍率で十分な解像力や像コントラス
トを得ることはできない。
によりリングスリットと位相膜の共役関係が保たれなく
なる。この加工誤差の影響を補正するために、リングス
リットの位置調整が行われている。リングスリットの位
置調整を行なわずに加工誤差の影響を補正するために
は、リングスリットの対物レンズの瞳面に投影される像
が、位相膜からはみ出さないように位相膜の幅を広く取
ることが考えられる。従って、イニシャライズフリーの
仕様を満足するためには、位相膜の膜幅を十分広くする
ことになる。しかし、位相差顕微鏡で位相膜の膜幅を広
くすると、解像力と像コントラストを低下させてしまう
という問題がある。
されたものであり、培養細胞等の育成状況をチェックす
るルーチンワーク用顕微鏡において、観察前にリングス
リットの位置調整を行なう必要の無いイニシャライズフ
リーであり、対物レンズの倍率変化に伴うリングスリッ
トの変更を行なわない共通開口を有する位相差顕微鏡を
提供することを目的とする。
め、請求項1に対応する発明は、光源と、該光源からの
光を観察物体に照射する照明光学系と、観察物体を拡大
投影する拡大光学系を有し、前記照明光学系の瞳位置に
リングスリットを配置し、前記リングスリットと前記観
察物体を介して略共役な位置に位相膜が配置されている
位相差顕微鏡において、同一のリングスリットを用いて
異なる倍率の拡大光学系に対し、位相差観察が可能な構
成としたことを特徴とする位相差顕微鏡である。
する発明は、光源と、該光源からの光を観察物体に照射
する照明光学系と、観察物体を拡大投影する拡大光学系
を有し、前記照明光学系の瞳位置にリングスリットを配
置し、前記リングスリットと観察物体を介して略共役な
位置に位相膜が配置されている位相差顕微鏡において、
前記照明光学系に配置されるリングスリットが挿脱可能
であり、リングスリットを照明光学系に挿入した際に、
リングスリットの対物レンズの瞳面近傍に投影された像
が、対物レンズの瞳面近傍に配置された位相膜からはみ
出さない構成としたことを特徴とする位相差顕微鏡であ
る。
する発明は、光源と、該光源からの光を観察物体に照射
する照明光学系と、観察物体を拡大投影する拡大光学系
を有し、前記照明光学系の瞳位置にリングスリットを配
置し、前記リングスリットと観察物体を介して略共役な
位置に位相膜が配置されている位相差顕微鏡において、
照明光学系に配置されるリングスリットが挿脱可能であ
り、前記リングスリットは異なる倍率の拡大光学系に対
し同一であり、前記リングスリットを照明光学系に挿入
した際に、前記リングスリットのそれぞれ異なる倍率の
拡大光学系の瞳面近傍に投影された像が、それぞれの拡
大光学系の瞳近傍に配置された位相膜からはみ出さない
構成としたことを特徴とする位相差顕微鏡である。
発明によれば、リングスリットの径及び位相膜の膜幅を
それそれ最適に設定することにより、位相差顕微鏡(特
に培養細胞の育成状況観察用の位相差顕微鏡)におけ
る、リングスリットの共通化とイニシャライズフリーの
仕様を満足することができ、位相差観察における倍率変
化時の操作性及び作業効率を改善することができる。
図面を参照して説明するが、始めに本発明の実施形態の
概要について説明する。従来、位相差顕微鏡の結像特性
が、結像光学系の瞳面上に配置される位相膜の径及び位
相膜膜幅により変わることは、例えば前述の文献1およ
び文献3「位相差顕微鏡の像コントラストに関する考
察、大木裕史、光学、Vol.20、No.9(1991) 、p
590 594 」にそれぞれ開示されている。
リットと共役な関係にあるので、リングスリットの径に
より位相差顕微鏡の結像特性が変わることになる。照明
系に配置するリングスリットの径を共通にして、複数の
倍率の異なる対物レンズに対応させると、倍率によって
結像特性が異なることになる。培養細胞の育成状況をチ
ェックするルーチンワーク用倒立型位相差顕微鏡では、
観察に4倍から40倍の対物レンズが用いられる。特
に、10倍から40倍の対物レンズの使用頻度が高くな
っている。
時に、10倍から40倍の対物レンズで位相差像の結像
特性が、培養細胞の育成をチェックするのに必要十分な
結像特性が得られれば、倍率変換のために対物レンズを
交換する際に、同時にリングスリットを交換する必要が
無くなり、ルーチンワークの作業効率を向上させること
ができる。
置に配置する位相膜の径を大きくすると解像力は向上す
るが、像のコントラストが低下する。逆に、径を小さく
すると像のコントラストは向上するが、解像力が低下す
る。10倍から40倍の対物レンズに対し、照明系に配
置するリングスリットの径を共通にした場合、各倍率で
対物レンズの瞳面に投影されるリングスリットの投影倍
率が変わる。通常の位相差顕微鏡に用いている40倍用
のリングスリットを共通リングスリットに用いると、4
0倍の対物レンズでは位相膜の径がほぼ瞳径の半分程度
になるが、10倍の対物レンズでは瞳径の半分よりかな
り外側にくる。これにより、10倍での解像力は大幅に
良くなるが、像のコントラストが低下してしまう。同様
に、10倍用のリングスリットを共通リングスリットに
用いると、10倍で位相膜の径が瞳径のほぼ半分程度に
なり、40倍で位相膜の径が半分より内側にくる。この
場合、40倍での解像力の低下が生じる。10倍及び4
0倍の対物レンズに、10倍用、20倍用、40倍用の
各リングスリットを用いた時のMTF(光学的応答関
数)を図4及び図5に示す。
れそれの対物レンズの瞳径で規格化されている。培養細
胞の育成状況をチェックするルーチンワーク用倒立型位
相差顕微鏡では、40倍の高倍側においても解像力より
像のコントラストの高い方が作業上良いことと、10倍
のリングスリットを共通リングスリットに用いた場台で
も、解像力が使用上問題ないことから、10倍用のリン
グスリットを共通リングスリットに用いることが良い。
特に、共通リングスリットが10倍の対物レンズの瞳面
上に投影された時、その中心半径Rと、10倍の対物レ
ンズの瞳半径Iとが次の(1)式を満たすことが良い。
内半径の平均値をいう。
像コントラストの低下が大きくなり、実使用上問題にな
る。下限を下回ると、40倍での解像力が低下し、観察
に必要な解像力が得られなくなり、培養細胞の育成チエ
ックがしずらくなる。以上より、培養細胞の育成状況を
チエックするルーチンワーク用倒立型位相差顕微鏡で、
10倍から40倍の対物レンズを共通の径を持つリング
スリットで位相差観察を行なうことができ、倍率を変化
させる時にリングスリットを同時に変える必要が無くな
り、観察の作業性を向上させることができる。
を行わないイニシャライズフリーを実現するためには、
リングスリットと位相膜を照明光学系と対物レンズのそ
れそれの瞳位置に配置する時の偏心によるリングスリッ
ト像と位相膜の位置ずれを無くす必要がある。位相差顕
微鏡はリングスリットの像が位相膜からはみ出さなけれ
ば、位相差観察が可能である。従って、位相膜の幅を広
くし、リングスリット等の偏心が生じてもリングスリッ
トの像が位相膜からはみ出さなければ、位相差観察は可
能である。
像のコントラストの低下を招くことになる。よって、リ
ングスリット等の偏心による機械的誤差を許容し、位相
差像のコントラスト低下を最低限に抑える位相膜の膜幅
を求めることにより、位相差顕微鏡のイニシャライズフ
リーか実現できる。位相膜の膜幅をT、リングスリット
の内径をRi、外径をRoとし、リングスリットの結像
光学系への投影倍率をβとする時、以下の条件を満足す
ることにより、リングスリットの偏心等による機械的誤
差によるリングスリットと位相膜の位置ずれを無くし、
位相差観察を可能にする。
ない最低限のレベルを確保できる。 2<T/[β(Ro−Ri)]<3.5 …(2) (2)式(条件式)の下限を下回ると、リングスリット
等の偏心による機械的誤差を、非常に小さくする必要が
あり、位相差顕微鏡の生産性を著しく低下させる。
機械的誤差の影響は小さくなるが、位相差像のコントラ
ストの低下を招き、位相差像の品位が低下してしまう。
従って、位相膜の幅を上記(2)式の範囲に設定するこ
とにより、イニシャライズフリーの位相差顕微鏡を実現
することができる。
リットの共通化とイニシャライズフリーの実現方法につ
いて、説明してきた。上記2つの方法は排他的なもので
はなく、同時に満たすことができる。よって、上記で説
明した2つの方を組台わせることにより、対物レンズの
倍率変換に伴うリングスリットの交換と観察開始時のリ
ングスリット調整を必要としない位相差顕微鏡が可能に
なる。
るルーチンワーク用倒立型位相差顕微鏡に用いることに
より、作業性を大幅に改善することが可能になる。 [第1実施形態]図1は本発明の第1実施形態で倒立型
顕微鏡の全体図を示すもので、(a)はその正面図であ
り、(b)はその右側面図である。図2は図1の光学系
のみを示す概略図である。内部に光源(図示せず)を有
するランプハウス1と、また内部に後述するコンデンサ
レンズ13を収納したコンデンサ筒2からなる照明光学
系3は、L形の照明支柱4の上端部側に支持されてい
る。照明支柱4の下端部側は観察物体(標本)14を載
置する標本載置台(ステージ)5の後端部に固定され、
標本載置台5は顕微鏡本体6に固定されている。
って、後述するコンデンサレンズの前側焦点位置の近傍
には、光軸Oに対して直交する方向にスライド可能にス
ライダ7が配設され、このスライダ7の中央部には後述
するリングスリット12が配設されている。
鏡筒8が垂直線に対して所定角度傾斜した状態で固定さ
れ、また顕微鏡本体6にはレボルバ10がピント合わせ
のための上下動かつ対物レンズ交換のための回転が可能
なように支持され、レボルバ10には倍率の異なる例え
ば10x,20x,40xの複数の対物レンズ11が取
り付けられ、さらに対物レンズ11の後側焦点位置近傍
に後述する位相膜15が配置されている。次に、以上述
べた実施形態における、リングスリット及び位相膜の中
心径条件と、リングスリット及び位相膜の幅条件につい
て具体的に説明する。
に対して共通のリングスリットを使用すると、解像力ま
たはコントラストの低下が生じるが、これについて、具
体的に検討する。なお、使用する対物レンズの倍率範囲
は、前述と同様の10倍〜40倍とする。
>図3(a)は、図2の位相膜15およびリングスリッ
ト12の投影像12iを示す概略図である。ここで、C
a はリングスリット投影像12iの位相膜15からのは
み出しに対する外側余裕量であり、Cb はリングスリッ
ト投影像12iの位相膜15からのはみ出しに対する内
側余裕量であり、dは位相膜15上でのリングスリット
投影像12iの偏心量を示している。
説明するための図で、図7(a)は対物レンズ11の瞳
と、リングスリット12の像を示し、Rinは瞳半径を1
としたときのリングスリット12の像の内半径、Rout
はリングスリット12の外半径を示している。図7
(b)は対物レンズ11の瞳と、位相膜15を示し、r
inは瞳半径を1としたときの位相膜15の内半径、rou
t は外半径を示している。
ついて、10倍用、20倍用、40倍用の各リングスリ
ットを使用した場台のMTFを計算した結果を、図4
(a)に示す。計算の条件は、図4(b)に示されてい
る。また、対物レンズのNA=0.3、λ=550nm
としている。
りの高倍率用のリングスリットを使用すると、リングス
リット像12i及び位相膜15が瞳径の外形に近づき、
コントラストの低下が生じる。
ットに対して20倍用リングスリットではMTF値がほ
ぼ同程度であるが、40倍用リングスリットではMTF
の値が大きく低下している。従つて、10倍対物レンズ
に対して20倍用リングスリットが使用の限度であると
いえる。20倍用リングスリットの中心半径は、図4
(b)から0.51[=(0.48+0.54)/2]
であるので、マージンを見込んで、リングスリットの上
限値を0.55とする。
ついて、同様に10倍用、20倍用の各リングスリット
を使用した場合のMTFを計算した結果を、図5(a)
に示す。計算条件は、図5(b)に示されている。ま
た、対物レンズのNA=0.55、λ=550nmとし
ている。40倍対物レンズを装着した状態でそれより低
倍率用のリングスリットを使用すると、リングスリット
像12i及び位相膜15が瞳径の中心に近づき、解像力
の低下が生じる。
ットに対して、20倍用、10倍用の各リングスリット
とも多少の解像力の低下があるが、どちらも大幅な低下
ではなく、両方とも使用可能であるといえる。
5(b)から0.22[=0.22十0.24)/2]
であるが、この値は40倍対物レンズに対する値であ
る。先に決めた上限値と比較可能にするために、最低倍
率である10倍対物レンズに対する値に換算すると、図
4(b)を参照して0.41[=(0.38+0.4
4)/2]となるので、この値にマージンを見込んで、
リングスリットの下限値を0.35とする。
R、対物レンズの瞳径をIとしたとき、使用する各対物
レンズに対して共通使用するリングスリットが、 0.35<R/I<0.55 を満たしていれば、実用上支障ないレベルの観察像を得
ることができるといえる。
ズ倍率を10倍、20倍、40倍としたが、これと異な
る倍率であっても同様に適用できる。例えば最低倍率が
2倍または4倍といった場合、その最低倍率の対物レン
ズを基準にすればよく、高倍率側についても同様であ
る。
械的条件>イニシャライズフリーを実現するためのリン
グスリット及び位相膜の幅条件について、まず、リング
スリット像が位相膜からはみ出ないための機械的条件に
ついて説明する。
グスリット12および位相膜15の投影像15iを示す
概略図である。ここで説明する機械誤差の寸法関係は、
図3(b)のようにリングスリット12上に各対物レン
ズの位相膜の投影像15iを投影して説明する。ここ
で、Ro、Riは、それぞれリングスリットの外半径、
内半径を示している。
いて説明する。リングスリット12の外半径Ro は1
0.5mm、リングスリット12の内半径Ri は8.8
mmであり、リングスリット12の各対物レンズ11の
位相膜15への投影倍率は、10倍の対物レンズ(10
x)で0.2、20倍の対物レンズ(20x)で0.1
4、40倍の対物レンズ(40x)で0.07と縮小投
影になっている。
15iの間の投影時に影響する機械的誤差は、 観察光軸と照明光軸のずれが0.30mm(光軸調整を
行った値) リングスリットスライダ7とリングスリット12の中心
のずれが0.1mm レボルバ10の各対物レンズ11の取り付けねじ穴のず
れが0.015mm 対物レンズ11の取り付けねじと対物レンズの光軸のず
れが0.0lmm これらを累積すると0.425mmとなり、リングスリ
ット12上に直接効く機械的誤差である。この場合の直
接機械的誤差0.425mmである。
のずれが0.03mmであり、これをリングスリット1
2上に投影して換算すると、40倍の換算0.429m
m(0.03/0.07=0.429)となる。この結
果、投影換算機械的誤差は0.429mmとなる。
mとなり、この誤差があってもリングスリット12が位
相膜15の投影像15iからはみ出さないためには、
0.854×2=1.708mmの余裕が必要となっ
て、リングスリット位置での位相膜増の幅は、1.7+
1.708=3.408mmとなり、前述のリングスリッ
ト12の幅1.7mmの2倍に相当する。(10.5−
8.8=1.7)それゆえ、リングスリット位置での位
相膜像の幅はリングスリット12の幅の2倍以上、また
はリングスリット12の幅が該位相膜像15の幅の半分
以下である必要がある。
学的条件>リングスリット幅に対して位相膜幅が大きす
ぎると像のコントラストが低下する。図6に、位相膜の
幅を大きくしたときのMTFの計算結果を示す。図6
で、Aは理想の膜幅値、Bは位相膜像15iの幅がリン
グスリット12の幅の3.5倍の値でのMTFである。
図6のBの状態を超えると、コントラスト低下が無視で
きなくなり、性能上好まし<ないといえる。従って、リ
ングスリツト位置での位相膜像15iの幅が、リングス
リット12の幅の3.5倍以下である必要がある。これ
らの結果をまとめると、前述の(2)式が、初期の位置
調節を不要とするための多件となる。
態は、リングスリット12がスライダ7によりスライド
可能に構成した場合であるが、図8は本発明の第2実施
形態で倒立型顕微鏡の全体図を示すもので、(a)はそ
の正面図であり、(b)はその右側面図であり、(c)
はリングスリット12の部分を水平方向に切断した断面
図である。図8から明らかなように、第1の実施形態と
同様にコンデンサレンズ13の前側焦点位置近傍に配置
されたリングスリット12は、光軸Oに挿脱可能にリン
グスリット枠121を設け、リングスリット枠121に
直接取り付けたものである。この場合、リングスリット
枠121の外径122は、受け側の内径と嵌合する寸法
に形成され、また図8(c)の紙面の縦方向つまりリン
グスリット枠121の奥行き方向はストッパ123によ
り位置決めされるようになっている。以上述べた点以外
の構成は、前述の第1実施形態と同一である。
施形態のスライダ7を用いた構成に比べて照明支柱4の
周りの顕微鏡操作スペースを縮小でき、コンパクトで取
扱いが容易な顕微鏡を構成できるという利点を有する。
顕微鏡について説明したが、正立型顕微鏡であっても同
様に実施でき、作用効果も倒立型顕微鏡と同様な作用効
果が得られる。また、対物レンズ11は3個組合わせた
ものをあげたが、これに限らず2個あるいは4個以上で
あっても同様に実施できる。
以外に、次の請求項もすべて含まれる。 [請求項4] 光源と、該光源からの光を観察物体に照
射する照明光学系と、観察物体を拡大投影する拡大光学
系を有し、前記照明光学系の瞳位置にリングスリットを
配置し、前記リングスリットと前記観察物体を介して略
共役な位置に位相膜が配置されている位相差顕微鏡にお
いて、前記拡大光学系は複数の倍率の異なる対物レンズ
を有し、前記複数の対物レンズに対し、同一のリングス
リットを使用することを特徴とする位相差顕微鏡。
化率が約4倍以下であることを特徴とする請求項4記載
の位相差顕微鏡。 [請求項6] 前記照明光学系の略瞳位置に配置された
共通のリングスリットの中心径が以下の(3)式(条件
式)を満足することを特徴とする請求項4または請求項
5記載の位相差顕微鏡。
瞳面に投影された像の中心半径を表し、Iは最低倍率の
対物レンズの瞳の半径を表す。
察物体に照射する照明光学系と、観察物体を拡大投影す
る拡大光学系を有し、前記照明光学系の瞳位置にリング
スリットを配置し、前記リングスリットと観察物体を介
して略共役な位置に位相膜が配置されている位相差顕微
鏡において、前記位相膜の膜幅をT、リングスリットの
内径をRi、外径をRoとし、リングスリットの結像光
学系への投影倍率をβとする時、以下の(4)式(条件
式)を満足することを特徴とする位相差顕微鏡。
射する照明光学系と、観察物体を拡大投影する拡大光学
系を有し、前記照明光学系の瞳位置にリングスリットを
配置し、前記リングスリットと観察物体を介して略共役
な位置に位相膜が配置されている位相差顕微鏡におい
て、前記拡大光学系は複数の倍率の異なる対物レンズを
有し、前記複数の対物レンズに対し、同一のリングスリ
ットを使用することを特徴とする位相差顕微鏡。
化率が約4倍以下であることを特徴とする請求項7また
は8記載の位相差顕微鏡。 [請求項10] 前記照明光学系の略瞳位置に配置され
た共通のリングスリットの中心径が以下の(5)式(条
件式)を満足することを特徴とする請求項7〜請求項9
のいずれかに記載の位相差顕微鏡。
瞳面に投影された像の中心半径を表し、Iは最低倍率の
対物レンズの瞳の半径を表す。
前記リングスリットの内径をRi、外径をRoとし、前
記リングスリットの結像光学系への投影倍率をβとする
時、以下の(6)式(条件式)を満足すること特徴とす
る請求項10記載の位相差顕微鏡。 2<T/[β(Ro−Ri)]<3.5 …(6)
が得られる位相差顕微鏡を提供できる。 (1)リングスリットの径及び位相膜の膜幅をそれそれ
最適に設定することにより、位相差顕微鏡(特に培養細
胞の育成状況観察用の位相差顕微鏡)における、リング
スリットの共通化とイニシャライズフリーの仕様を満足
することができ、位相差観察における倍率変化時の操作
性及び作業効率を改善することができる。 (2)培養細胞を入れている培養容器への異物の落下を
無くすこともでき、培養細胞観察状の諸問題を解決する
ことができる。
顕微鏡の外観図。
図。
影像を説明するための概略図。
顕微鏡の外観図。
図。
Claims (3)
- 【請求項1】 光源と、該光源からの光を観察物体に照
射する照明光学系と、観察物体を拡大投影する拡大光学
系を有し、前記照明光学系の瞳位置にリングスリットを
配置し、前記リングスリットと前記観察物体を介して略
共役な位置に位相膜が配置されている位相差顕微鏡にお
いて、 同一のリングスリットを用いて異なる倍率の拡大光学系
に対し、位相差観察が可能な構成としたことを特徴とす
る位相差顕微鏡。 - 【請求項2】 光源と、該光源からの光を観察物体に照
射する照明光学系と、観察物体を拡大投影する拡大光学
系を有し、前記照明光学系の瞳位置にリングスリットを
配置し、前記リングスリットと観察物体を介して略共役
な位置に位相膜が配置されている位相差顕微鏡におい
て、 前記照明光学系に配置されるリングスリットが挿脱可能
であり、リングスリットを照明光学系に挿入した際に、
リングスリットの対物レンズの瞳面近傍に投影された像
が、対物レンズの瞳面近傍に配置された位相膜からはみ
出さない構成としたことを特徴とする位相差顕微鏡。 - 【請求項3】光源と、該光源からの光を観察物体に照射
する照明光学系と、観察物体を拡大投影する拡大光学系
を有し、前記照明光学系の瞳位置にリングスリットを配
置し、前記リングスリットと観察物体を介して略共役な
位置に位相膜が配置されている位相差顕微鏡において、 照明光学系に配置されるリングスリットが挿脱可能であ
り、前記リングスリットは異なる倍率の拡大光学系に対
し同一であり、前記リングスリットを照明光学系に挿入
した際に、前記リングスリットのそれぞれ異なる倍率の
拡大光学系の瞳面近傍に投影された像が、それぞれの拡
大光学系の瞳近傍に配置された位相膜からはみ出さない
構成としたことを特徴とする位相差顕微鏡。
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