JPH1183872A - 光ファイバプローブ、その製造方法及び薄膜形成方法 - Google Patents

光ファイバプローブ、その製造方法及び薄膜形成方法

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JPH1183872A
JPH1183872A JP9262923A JP26292397A JPH1183872A JP H1183872 A JPH1183872 A JP H1183872A JP 9262923 A JP9262923 A JP 9262923A JP 26292397 A JP26292397 A JP 26292397A JP H1183872 A JPH1183872 A JP H1183872A
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film
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慎 芦野
Genichi Otsu
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光ファイバプローブや光集積回路等が形成さ
れるガラス基材上に平滑な金属薄膜を形成し、特定波長
の励起光によって共鳴的に表面プラズモンが励起される
ようにする。 【解決手段】 光ファイバプローブやガラス基材上にゲ
ルマニウム膜5を成膜した後、この上に金または銀より
なる金属薄膜6を成膜する。成膜法としては、蒸着法等
が用いられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバの一端
に先鋭部が形成され、この先鋭部が金属薄膜によって被
覆された光ファイバプローブ及びその製造方法に関す
る。また、例えば光集積回路等が形成されるガラス基材
上に金属薄膜を成膜するための薄膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光通信、光情報処理システムの高速化、
大容量化の進展には光デバイスの小型化、高集積化が必
要不可欠である。しかし、デバイスを光の半波長サイズ
以下に縮小することができたとしても、光の回折限界か
らそのデバイス内部に伝搬光を閉じこめることは不可能
である。
【0003】こうした光の回折限界からくる制約を解消
するために、近接場の概念の導入が有効である。
【0004】すなわち、物体表面に全反射条件下で光が
照射されると、この物体表面からの距離が光の波長より
も小さい、極めて近接した領域(近接場)にエバネッセ
ント光と称される電磁波が生ずる。この近接場での光強
度は極めて微小であるが、その光強度を増大させること
ができれば例えば非線形光学現象と組み合わせることに
よってナノメートルサイズの光機能デバイスを実現する
ことができる。
【0005】また、近接場で生じるエバネッセント光
は、物体の、特に光の波長よりも小さい構造を測定する
のにも用いることができる。このような測定を行うシス
テムは近接場光学顕微鏡と称され、例えば図9に示すよ
うな構成とされる。
【0006】この顕微鏡は、全反射条件下で物体にレー
ザ光が照射されることにより生じたエバネッセント光3
0を、プローブ32のナノメートルサイズとなされた先
鋭部31の先端によって散乱させる。この図で示す顕微
鏡では、プローブが光ファイバで構成されており、プロ
ーブ32の先鋭部31によって散乱された光は当該先鋭
部を通じて光ファイバのコアに導かれる。そして、コア
内に導かれた光は、光ファイバのもう一方の端部(出射
端)から出射し、検出器により検出される。
【0007】また、以上に説明した近接場光学顕微鏡
は、物体上に生成したエバネッセント光をプローブによ
って集めることからコレクションモードと称される。こ
の他に近接場光学顕微鏡としては、プローブの先端に生
じさせたエバネッセント光によって物体を局所的に照ら
して光学画像を得るイルミネーションモードや、プロー
ブの先端に生じせしめたエバネッセント光で物体を局所
的に照らすとともに、プローブの先端によって散乱させ
た光をプローブを通じて検出するイルミネーション・コ
レクションモードが知られている。
【0008】ところで、エバネッセント光を用いる光デ
バイスを実現したり、近接場光学顕微鏡での検出感度を
向上させるためには近接場での光強度を増大させる技術
が必要となる。そのような技術のための手法としては、
例えば表面プラズモンとエバネッセント光との相互作用
による方法がある。表面プラズモンは、金属表面電子の
プラズマ振動の量子であり、波長は空気中の伝搬光に比
べて短く、エバネッセント光と強く相互作用する。そし
て、この表面プラズモンが共鳴的に励起されると、表面
の極近傍に光パワーが集中する。このような表面プラズ
モンは、通常、平坦な金属表面上を伝搬する伝搬モード
に対応して存在するが、伝搬光の波長サイズよりも小さ
な金属微粒子や金属薄膜上の突起部の表面に局在する局
在モードもある。このような局在モードの場合では、近
接場での光強度を2桁から5桁程度にまで増大させるこ
とができる。
【0009】このような表面プラズモンが光デバイス上
で励起されるようにするには、ガラス基材の所定領域に
金属薄膜を設け、この金属薄膜に励起光が入射されるよ
うな機構を持たせれば良い。また、近接場光学顕微鏡の
光ファイバプローブの場合には先鋭部を金属薄膜で覆
い、コアを通じて励起光を先鋭部に導くようにするか、
あるいは金属薄膜に外部から光が入射されるようにす
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ガラス
基材や光ファイバプローブに金属薄膜を直接蒸着形成し
た場合、形成される蒸着膜は粒径が30nm〜100n
m程度の微粒子の集団で構成され、各微粒子同士は密着
性が低いため、結果として粒径サイズ程度の表面粗さを
もった金属薄膜が形成されてしまう。
【0011】このような表面粗さをもった金属薄膜の場
合、表面プラズモンの局在モードが金属薄膜表面の個々
の突起部に励起される可能性がある。そして、個々の突
起部では形状によって表面プラズモンの励起光波長が異
なることから、複数の場所でそれぞれに固有の励起光波
長に対して局在モードが発生することになる。こうした
場合、プローブにおいては空間分解能が損なわれ、励起
光に対する感度も非常に低いものとなる。
【0012】この対策として、熱を加えながら蒸着を行
うことによって金属薄膜を構成する微粒子の粒径サイズ
を大きくすることも考えられるが、そうすると、ガラス
と金属とは密着性が低いために却って金属薄膜表面の凹
凸が増加し、形状が不均一になる。
【0013】そこで、本発明はこのような従来の実情に
鑑みて提案されたものであり、先鋭部が平滑な金属薄膜
で覆われ、表面プラズモンが共鳴的に励起される光ファ
イバプローブ及びその製造方法を提供することを目的と
する。また、光集積回路等が形成されるガラス基材上に
平滑な金属薄膜が形成できる薄膜形成方法を提供するこ
とを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は上述の目的を達
成するために完成されたものである。
【0015】すなわち、本発明の光ファイバプローブ
は、コアの周りにクラッドが設けられてなる光ファイバ
の一端に、先細り状の先鋭部が形成され、上記先鋭部
に、ゲルマニウム膜が形成され、この上に金または銀よ
りなる金属薄膜が形成されていることを特徴とするもの
である。
【0016】また、本発明の光ファイバプローブの製造
方法は、光ファイバの一端に形成された先細り状の先鋭
部に、ゲルマニウム膜を成膜した後、この上に金または
銀よりなる金属薄膜を成膜することを特徴とするもので
ある。
【0017】さらに、本発明の薄膜形成方法は、ガラス
基材上に、ゲルマニウム膜を成膜した後、この上に金ま
たは銀よりなる金属薄膜を成膜することを特徴とするも
のである。
【0018】光ファイバプローブの先鋭部に、ゲルマニ
ウム膜を介して金または銀よりなる金属薄膜を成膜する
と、先鋭部上に平滑な金属薄膜が形成される。このよう
にして形成された金属薄膜は膜表面が平滑であるため、
励起光を入射させたときに、表面プラズモンの局在モー
ドが複数の場所で励起されるのが抑えられ、先端部にお
いて共鳴的に表面プラズモンが励起される。したがっ
て、この表面プラズモンとエバネッセント光とを相互作
用させると近接場の光強度が大きく増大する。
【0019】また、ガラス基板上の場合にも、ゲルマニ
ウム膜を介して金または銀よりなる金属薄膜を成膜する
と、平滑な金属薄膜が形成される。このようにして形成
された金属薄膜も膜表面が平滑であるため、励起光を入
射させたときに、表面プラズモンの局在モードが複数の
場所で励起されるのが抑えられ、共鳴的に表面プラズモ
ンが励起される。したがって、この表面プラズモンとエ
バネッセント光とを相互作用させると近接場の光強度が
大きく増大する。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な実施の形
態について説明する。
【0021】本発明の光ファイバプローブは、図1に示
すようにコア1の周りにクラッド2が設けられてなる光
ファイバ3よりなり、コア1の一端がクラッド2から突
出し、この突出部が円錐状に先鋭化されることで先鋭部
4が形成されている。上記コア1及びクラッド2は、例
えばSiO2系ガラスよりなり、F、GeO2、B23
の添加によってコア1よりもクラッド2の屈折率が低く
なるように組成制御されている。また、先鋭部先端の曲
率半径は、エバネッセント光を検出するためには例えば
10nm以下とされる。
【0022】そして、この光ファイバプローブでは特
に、上記先鋭部4に先端部から根本部に亘ってゲルマニ
ウム膜5が形成され、その上に金属薄膜6が形成されて
いる。この金属薄膜6は、他の金属よりもプラズモンの
励起効率が高い金または銀によって構成され、ゲルマニ
ウム膜5を介して先鋭部4に設けられることによって、
先鋭部4上に直接設けられるのに比べて平滑な表面で形
成されている。
【0023】以上のように構成された光ファイバプロー
ブでは、後端部から励起光を導入し、コア1を通じて先
鋭部4に導くと、先鋭部4の外側にエバネッセント光が
生じるとともに金属薄膜6上に表面プラズモンが励起さ
れる。あるいは、この光ファイバプローブの金属薄膜6
に外部から励起光を入射させると金属薄膜6上に表面プ
ラズモンが励起される。
【0024】このとき、この光ファイバプローブでは、
金属薄膜表面が平滑であるため、表面プラズモンの局在
モードがこの金属薄膜上の複数箇所で励起されるのが抑
えられ、先端部においてのみ表面プラズモンの局在モー
ドが共鳴的に励起される。したがって、この局在型の表
面プラズモンの共鳴的な励起とエバネッセント光の相互
作用によって近接場の光強度を大きく増大することがで
き、エバネッセント光を利用して物体形状を測定する場
合に、高い検出感度と空間分解能を得ることができる。
また、この光ファイバプローブでは、このように共鳴的
に局在型の表面プラズモンを生じさせることができるの
で、プローブ先端の極微小域に閉じ込められた光によっ
て非線形材料を微小領域毎に光機能化することができ
る。したがって、この光ファイバプローブによれば、様
々な機能を有する光デバイスの開発が可能になる。
【0025】このような光ファイバプローブを製造する
には、コアの周りにクラッドが設けられた光ファイバを
用意し、この光ファイバの一端に先鋭部4を形成する。
【0026】先鋭部4の形成は例えば化学エッチングに
よって行う。この場合、エッチング液としてはクラッド
2のエッチング速度がコア1のエッチング速度よりも大
きくなるようなエッチング液を用い、このエッチング液
に光ファイバの一端を所定時間浸漬する。
【0027】エッチング液に光ファイバの一端を浸漬す
ると、光ファイバの先端側ではクラッドのエッチング速
度がコアのエッチング速度よりも大きいので、クラッド
の方がコアよりも先にエッチングされ、コアがクラッド
から突出してくる。
【0028】また、光ファイバの外周面側では、外周面
に露出しているクラッド2がエッチングされるととも
に、クラッドがエッチングされることによって先端側か
らコアの外周面が露出しはじめ、この外周面に露出した
コアも引き続きエッチングされる。このとき、コアの外
周面は先端側から露出することによって、先端側にいく
程エッチング量が多くなり、直径が減少する。したがっ
て、このエッチングを一定時間続けることにより、コア
1の一端にクラッド2から突出した円錐状の先鋭部4が
形成される。
【0029】なお、エッチング液としては、具体的には
フッ化アンモニウム、フッ化水素及び水よりなる緩衝フ
ッ化水素溶液等が用いられる。
【0030】このようにして先鋭部4を形成した後、こ
の先鋭部4にゲルマニウム膜5を成膜し、さらにこの上
に金または銀よりなる金属薄膜6を成膜する。このゲル
マニウム膜5と金属薄膜6の成膜方法としては、スパッ
タリング法や蒸着法等の物理的気相成長法等が用いら
れ、被着粒子の直進性が高いことから蒸着法を用いるの
が望ましい。
【0031】ゲルマニウム膜5に対して金属薄膜6の成
膜を行うと、金属の蒸発粒子はガラスに対するよりもゲ
ルマニウムに対して強く密着するので、凹凸が少なく、
強度の高い金属薄膜6が形成される。なお、例えば蒸着
法によって成膜を行う場合、蒸着中あるいは蒸着後に加
熱を行うようにしても良い。加熱によって、金属薄膜を
構成する金属粒子の粒径が大きくなるとともにゲルマニ
ウム膜と金属薄膜との界面で合金化が促進され、より平
滑な金属薄膜6が形成できる。
【0032】以上、光ファイバプローブの一例を説明し
たが、本発明の光ファイバプローブの形態はこれに限る
ものではない。例えば、図2に示すようにクラッド2の
端面が、外周部から内周部に亘って傾斜する傾斜面とさ
れていても良い。この場合にも、先鋭部にゲルマニウム
膜5を介して金または銀よりなる金属薄膜6を形成する
ことによって金属薄膜が平滑な表面で形成され、先端部
において共鳴的に表面プラズモンが励起される。
【0033】次に、本発明の薄膜形成方法について説明
する。
【0034】この薄膜形成方法は、例えば光集積回路が
形成されるガラス基材上に表面プラズモンを励起するた
めの金属薄膜を成膜するのに用いられる手法であり、ガ
ラス基材上にゲルマニウム膜を成膜し、その上に金また
は銀よりなる金属薄膜を成膜する。
【0035】ゲルマニウム膜と金属薄膜の成膜方法とし
ては、スパッタリング法や蒸着法等の物理的気相成長法
等が用いられる。
【0036】ゲルマニウム膜に対して金属薄膜の成膜を
行うと、金属の蒸発粒子はガラスに対するよりもゲルマ
ニウムに対して強く密着するので、凹凸が少なく、強度
の高い金属薄膜が形成される。
【0037】なお、ゲルマニウム膜、金属薄膜の成膜を
例えば蒸着法によって行う場合、蒸着中あるいは蒸着後
に加熱を行うようにしても良い。加熱によって、金属薄
膜を構成する金属粒子の粒径が大きくなるとともゲルマ
ニウム膜と金属薄膜との界面で合金化が促進され、より
平滑な金属薄膜が形成できる。
【0038】このように平滑な金属薄膜が形成されたガ
ラス基材では、金属薄膜が形成された側とは反対側の面
から励起光を導入し、当該ガラス基材と金属薄膜の界面
で全反射させると、ガラス基材の外側でエバネッセント
光が生じるとともに金属薄膜上に表面プラズモンが励起
される。このとき、この金属薄膜は平滑に形成されてい
るので、励起光を入射させたときに表面プラズモンの局
在モードが複数の場所で励起されるのが抑えられ、表面
プラズモンが共鳴的に励起される。したがって、この表
面プラズモンとエバネッセント光の相互作用によって近
接場の光強度を大きく増大することができる。
【0039】なお、この薄膜形成方法は、光集積回路に
限らずガラス基材上に金または銀よりなる金属薄膜を形
成する工程を有する、あらゆる製造分野で使用すること
ができる。この薄膜形成方法によれば、いずれの場合に
も平滑な金属薄膜が形成され、特性に優れた製品を得る
ことができる。
【0040】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について実験
結果に基づいて説明する。
【0041】実施例1 この実施例は平坦なガラス基材上に金属薄膜を形成した
例である。
【0042】まず、平坦なガラス基板を用意し、このガ
ラス基板上に、蒸着法によってゲルマニウム膜を膜厚1
nmで成膜し、その上に金または銀よりなる金属薄膜を
膜厚30nmで成膜した。
【0043】そして、この金属薄膜の密着性を、JIS
R 3255に規定されるスクラッチ法で求められる
臨界荷重値及びこの臨界荷重値より得られるベンジャミ
ン・ウェーバー力によって評価した。また、比較とし
て、ガラス基板上に直接形成された金属薄膜についても
同様にして密着性の評価を行った。その結果を表1、表
2に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】表1、表2に示すように、ゲルマニウム膜
上に成膜された金属薄膜は、ガラス基板上に直接成膜さ
れた金属薄膜に比べて、臨界荷重値及びベンジャミン・
ウェーバー力が大きい。
【0047】このことから、ガラス基板上にゲルマニウ
ム膜を介して金属薄膜を成膜すると、密着性の高い金属
薄膜が形成できることがわかった。
【0048】なお、ゲルマニウム膜を設けることによる
表面プラズモンの励起条件への影響を調べるために、全
反射減衰法に基づき、金属薄膜が形成された側とは反対
側の面から、シングルモードのレーザ光(p偏光)を全
反射の臨界角以上で入射させ、その入射角に対する反射
光強度の変化を求めることで表面プラズモンの励起条件
を調べた。
【0049】その結果、励起条件は、ゲルマニウム膜の
膜厚が1nm以下の範囲ではゲルマニウム膜を設けた場
合と設けない場合とでほとんど変わらず、ゲルマニウム
膜による励起効率の劣化は認められないことが確認され
た。
【0050】実施例2 この実施例は光ファイバプローブの先鋭部上に金属薄膜
を形成した例である。
【0051】光ファイバを用意し、この光ファイバの一
端を、フッ化アンモニウムとフッ化水素及び水よりなる
緩衝フッ化水素溶液によってエッチングし、先に図1で
示したような先鋭部を形成した。なお、先鋭部先端の曲
率半径は10nm以下である。
【0052】そして、この光ファイバの先鋭部に、フィ
ラメントによる輻射加熱下、蒸着法によって膜厚1.1
nmのゲルマニウム膜を成膜し、その上に膜厚40nm
の金よりなる金属薄膜を成膜した。蒸着条件は以下の通
りである。
【0053】 真空チャンバの真空度:5×10-4Pa ゲルマニウム膜の成膜速度:2〜3nm/分 金属薄膜の成膜速度:10〜20nm/分 なお、この蒸着に際しては、先鋭部のどの面に対しても
均質に蒸着が行われるように、光ファイバを回転機構上
に取り付けられた保持台に保持し、中心軸を回転軸とし
て回転させるようにした。
【0054】そして、このようにしてゲルマニウム膜
と、金属薄膜を蒸着形成した後、光ファイバを、輻射加
熱下で約3時間放置した。
【0055】このようにして作製された光ファイバプロ
ーブの走査顕微鏡写真を図3、図4に示す。また、比較
として光ファイバの先鋭部に直接金属薄膜を成膜した光
ファイバプローブの走査顕微鏡写真を図5、図6に示
す。なお、これら走査顕微鏡写真において、図4は図3
の白枠内を拡大したものであり、図6は図5の白枠内を
拡大したものである。
【0056】まず、図3、図4を見ると、先鋭部上にゲ
ルマニウム膜を介して成膜された金属薄膜は粒子の粒径
が大きく表面に凹凸が少ないのがわかる。また、金属薄
膜が成膜された状態の先鋭部は、先端部の曲率半径が約
40nmであり、先端形状が理想的な半円球状になって
いた。
【0057】これに対して、図5、図6を見てわかるよ
うに、先鋭部に直接成膜された金属薄膜は粒子の粒径が
小さく表面に多数の凹凸が形成されている。
【0058】このことから、光ファイバプローブの先鋭
部上にゲルマニウム膜を介して金属薄膜を成膜すると、
密着性が高く凹凸の少ない金属薄膜が形成できることが
わかった。
【0059】次に、先鋭部にゲルマニウム膜と金の薄膜
を形成した実施例2の光ファイバプローブで励起される
表面プラズモンのモードを、図7に示す評価システムを
用いて調べた。
【0060】この評価システムは、直角プリズム10に
光を導入するための照射系11と、プリズム10に生じ
たエバネッセント光を検出するための検出系12よりな
り、照射系11は色素レーザ光源(色素:ローダミン6
G)13、チョッパー14、ハーフミラー15、反射ミ
ラー16、偏光子17によって構成され、検出系12は
光ファイバプローブ18と光電子増倍管19によって構
成されている。
【0061】この評価システムでは、光源13から出射
した色素レーザ光は、ハーフミラー15によって一部が
パワーメータ20側に反射される。この反射したレーザ
光は偏光子21によってp偏光成分とされた後、パワー
メータ20で光強度が検出される。一方、ハーフミラー
15を透過したレーザ光は反射ミラー16によって偏光
子17側に曲げられ、p偏光成分のみが偏光子17を通
過する。偏光子17を通過したp偏光はプリズム10内
に導入され、一面10aにおいて空気との界面で全反射
し、その際にプリズムの外側でエバネッセント光が発生
する。
【0062】一方、光ファイバプローブ18は、p偏光
が全反射するプリズム10の一面10aに対して光の波
長よりも狭い距離(約5nm)まで接近して配置され
る。プリズム10で生じたエバネッセント光は、この光
ファイバプローブ18の先鋭部22から取り込まれ、伝
搬光に変換される。伝搬光は、コアを通じて光ファイバ
の後端に接続された光電子増倍管19に導入され、電気
信号に変換されて光強度がロックイン検出される。
【0063】なお、上記色素レーザ光源13は波長可変
とされており、ここではこのレーザ波長を570〜63
0nmの範囲で変化させた。各波長での強度の半値幅は
約0.16nmである。但し、波長を操作する際には、
パワーメータ20で検出される光強度が一定になるよう
に色素レーザ光源13の出力を制御した。プリズム10
への入射光強度は約140μWである。
【0064】また、プローブ−プリズム間の間隔は、プ
ローブ−プリズム間のシェアフォースが一定となるよう
にプローブを位置制御する回路を組むことで約5nmに
維持されるようにした。
【0065】このような評価システムに実施例2で作製
された光ファイバプローブを組み込み、プリズムに入射
させる光の波長と、光ファイバプローブで検出される光
強度の関係を調べた。その結果を図8に示す。図8中、
各プロットは実測値であり、実線はそのフィッティング
曲線である。
【0066】図8からわかるように、先鋭部にゲルマニ
ウム膜と金の薄膜を形成した実施例2の光ファイバプロ
ーブで検出される光強度は、プリズムに入射させた光の
波長に依存して変化し、587nm付近にピークが存在
する。
【0067】一方、比較として、ゲルマニウム膜と金属
薄膜のいずれも設けていない光ファイバプローブについ
ても同様の評価を行ったが、この場合の検出強度は入射
光の波長に依存せず、いずれの波長においても同じ程度
の検出強度になった。
【0068】ここで、先鋭部にゲルマニウム膜と金の薄
膜を形成した光ファイバプローブにおいて検出強度に波
長依存性が見られるのは、この光ファイバプローブ先端
で、特定波長において局在型の表面プラズモンが共鳴的
に励起され、近接場の光強度が増大するからである。
【0069】すなわち、球形の金属微粒子に発生する表
面プラズモンの局在モードは理論的には εm=(ω)=−ε0(n+1)/1 ω :励起光の周波数 εm(ω):金属の誘電率 ε0 :誘電体の誘電率、 n :自然数 で与えられるこの式に金の誘電率を代入すると共鳴時の
励起光波長は約480nmと算出される。
【0070】また、金属粒子が回転楕円体である場合の
表面プラズモンの共鳴条件は、 1+(εm−1)A=0 で与えられ、長軸と短軸の比率が3:1であるときには
A=0.1となり、この場合の共鳴時の励起光波長は約
593nmとなる。さらに、理論解析結果では共鳴時の
励起光波長は530nm程度である。
【0071】一方、実施例2で作製された光ファイバプ
ローブで測定された検出強度のピークは約587nmで
あり、この波長は金属粒子が回転楕円体である場合の共
鳴時の励起光波長に近い値である。
【0072】つまり、この作製された光ファイバプロー
ブでは、入射光の波長が約587nmであるときに、回
転楕円体の金属粒子上に生ずるのと同じようなモードで
表面プラズモンが共鳴的で励起され、これによって近接
場の光強度が増大されたものと示唆される。なお、この
場合、近接場における光強度の増強度は、理論的な計算
によって3.3×103と見積もられる。
【0073】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明では、光ファイバプローブの先鋭部や光集積回路等が
形成されるガラス基材上に、ゲルマニウム膜を形成し、
この上に金属薄膜を形成する。このようにゲルマニウム
膜上に形成された金属薄膜は表面が非常に平滑であるの
で、表面プラズモンの局在モードが複数の箇所で励起さ
れるのが抑えられ、共鳴的に表面プラズモンが励起され
る。したがって、このような光ファイバプローブや光集
積回路では、表面プラズモンによって近接場の光強度を
大きく増大することができ、エバネッセント光の検出に
おける感度や空間分解能が向上できるとともに各種光デ
バイスにおいてエバネッセント光による動作を行うこと
が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した光ファイバプローブの一例を
示す要部概略断面図である。
【図2】本発明を適用した光ファイバプローブの他の例
を示す要部概略断面図である。
【図3】光ファイバプローブの先鋭部に、ゲルマニウム
膜を介して成膜された金属薄膜の金属組織を示す走査顕
微鏡写真である。
【図4】図3の走査顕微鏡写真を一部拡大した走査顕微
鏡写真である。
【図5】光ファイバプローブの先鋭部に、直接成膜され
た金属薄膜の金属組織を示す走査顕微鏡写真である。
【図6】図5の走査顕微鏡写真を一部拡大した走査顕微
鏡写真である。
【図7】表面プラズモンのモードを調べるために用いた
評価システムの構成を示す模式図である。
【図8】励起光の波長と、光ファイバプローブによって
検出された光強度の関係を示す特性図である。
【図9】近接場光学顕微鏡の原理を示す模式図である。
【符号の説明】
1 コア、2 クラッド、3 光ファイバ、4 先鋭
部、5 ゲルマニウム膜、6 金属薄膜

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コアの周りにクラッドが設けられてなる
    光ファイバの一端に、先細り状の先鋭部が形成され、 上記先鋭部に、ゲルマニウム膜が形成され、この上に金
    または銀よりなる金属薄膜が形成されていることを特徴
    とする光ファイバプローブ。
  2. 【請求項2】 光ファイバの一端に形成された先細り状
    の先鋭部に、ゲルマニウム膜を成膜した後、この上に金
    または銀よりなる金属薄膜を成膜することを特徴とする
    光ファイバプローブの製造方法。
  3. 【請求項3】 ゲルマニウム膜及び金属薄膜の成膜方法
    が、蒸着法であることを特徴とする請求項2記載の光フ
    ァイバプローブの製造方法。
  4. 【請求項4】 ガラス基材上に、ゲルマニウム膜を成膜
    した後、この上に金または銀よりなる金属薄膜を成膜す
    ることを特徴とする薄膜形成方法。
  5. 【請求項5】 ゲルマニウム膜及び金属薄膜の成膜方法
    が、蒸着法であることを特徴とする請求項4記載の薄膜
    形成方法。
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