JPH1182489A - 玉軸受 - Google Patents
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- JPH1182489A JPH1182489A JP9238268A JP23826897A JPH1182489A JP H1182489 A JPH1182489 A JP H1182489A JP 9238268 A JP9238268 A JP 9238268A JP 23826897 A JP23826897 A JP 23826897A JP H1182489 A JPH1182489 A JP H1182489A
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Abstract
面で生じるクリープを抑えることを目的とする。 【解決手段】 アンギュラー軸受において、内輪の肩部
外開きが生じないように、内輪寸法の諸元を最適化し、
それによって内輪と軸との間に生じる滑り現象を防止し
ている。
Description
用いられる玉軸受の改良に関するものである。
には複列玉軸受が多く使われている。例えば、図1に示
すような自動車ホイール用軸受では、回転速度は比較的
低いものの、自動車重量を直接受けるため、大きなラジ
アル荷重を受ける。また、自動車が急旋回する場合、自
動車に働く加速度により、さらに大きなラジアル、アキ
シアル、モーメント荷重を受ける。したがって、できる
だけコンパクトでかつ負荷容量の大きい軸受が採用され
ている。自動車ホイール用軸受の軸受荷重を減らし、耐
久性を上げるために、玉間距離(軸受間距離)をできる
だけ長くとり、作用点間距離を長くする設計が行われて
いる。したがって、図2に示す内輪3の肩部3aの長さ
Lは短くなる。この傾向は、特にシールが肩部3aにつ
いていないタイプで顕著である。自動車ホイール用軸受
では、軸の肩部根元に設けられた隅との干渉を防ぐため
に比較的大きな逃げ3cを設けている。
しめしろで軸に取付けられ、内輪に荷重を受けて回転す
ると、内輪と軸との間で、円周方向の有害な滑りを生じ
ることがある。クリープと呼ばれる軌道輪のこの滑り現
象は、はめあい面にしめしろが不足している場合、荷重
点が円周方向に移動することにより、軌道輪が軸又はハ
ウジングに対して、円周方向に位置のずれを生じる現象
である。内輪回転のホイール用軸受では、内輪と軸が回
転方向にずれるクリープが問題となる場合がある。クリ
ープが生じると、軸および内輪のはめあい面で滑りによ
る磨耗損傷が生じる。このため、内輪と軸とのはめあい
が緩くなり異音が生じたり、内輪損傷がひどくなれば軸
受の短寿命化、内輪の割損、内輪と軸の焼き付きの原因
となる場合がある。
に大きなしめしろを持たせるとともに、内輪を軸方向に
押さえる軸力を大きくすることが考えられる。しかし、
軸受内輪に働く円周方向の引っ張り応力のため、しめし
ろを大きくするには限界がある。また、しめしろを大き
くすると軸受の取り付けが難しくなる。さらに、軸力を
増加させる場合には、軸力を与えるネジ部およびナット
部の剛性が問題になるとともに、軸力管理も困難にな
る。そこで、本発明は軸受の最適設計により、内輪と軸
のはめあい面で生じるクリープを抑えることを目的とす
る。
て、内輪の肩部外開きが生じないように、内輪寸法の諸
元を最適化し、それによって内輪と軸との間に生じる滑
り現象を防止している。外開きを防止することにより、
内輪の浮き上がりを防止することができるので、内輪と
軸との接触面圧の低下を防止できる。従って、クリープ
を抑えることができ、アンギュラー軸受の寿命も長くな
る
装置において、内輪と軸をはめあわせた時に、溝底近傍
を含む内輪の中央はめあい部における内輪の浮き上がり
を防止し接触面圧が低下しないようにしている。アンギ
ュラー軸受組立装置において、内輪に軸力あるいは玉荷
重が作用した場合、該内輪のはめあい面肩側端部を中心
(図11(a)のP点)に、該肩側端部が外に傾くモー
メント(図11(a)で破線の様に変形する)に対し、
内に傾くモーメントが大きくなっていることが望まし
い。このためアンギュラー軸受組立装置において、内輪
肩部の長さLと、内輪側面逃げ部の軸方向長さrx と
が、rx ≦L≦10rx の関係を満たしていることが好
ましい。アンギュラー軸受組立装置において、内輪側面
逃げ部と内輪内径面が交わる点より軸方向外側部分の断
面積Sと、内輪肩部から軸方向内側および半径方向内側
に削りとったときの削除部分の断面積S1とが、0.1
S≦S1≦0.5Sの関係を満たすことが好ましい。内
輪肩部の高さhと玉径Da とが0.45Da ≦h≦0.
9Da の関係を満たすことが好ましい。アンギュラー軸
受組立装置において、内輪外周の軸方向内側の端面の面
取り部の高さC1と、内輪内周の軸方向内側の端面の面
取り部の高さC2とが0≦C2/C1≦1の関係を満た
すことが好ましい。内輪の軸方向内側の端面の傾きθが
0.5〜5°であることが好ましい。玉の中心から、該
玉と内輪の外周の接点を通って、内輪の内径面に向かう
直線と、該内輪内径面との交点と内輪軸方向外側の端面
との距離aと、内輪側面逃げ部の軸方向長さrx とが、
rx ≦a≦Lの関係を満たすことが好ましい。アンギュ
ラー軸受組立装置において、内輪側面逃げ部の半径方向
の長さry と、内輪内径はめあい部から玉と内輪の接触
点までの長さiが、0.75i≦ry≦1.25iの関
係を満たすことが好ましい。アンギュラー軸受組立装置
において、内輪の厚みtと内輪内径dとが、0.075
d≦t≦0.2dの関係を満たすことが好ましい。
いては、今井の研究(今井正也“ころがり軸受のクリー
プについて 第2報、かたいはめあいの場合”潤滑、第
4巻、第6号(1959)、pp307−312。)が
ある。彼等の研究によれば、クリープは、はめあい面で
生じる円周方向せん断応力が、はめあい面での接触面圧
に摩擦係数を乗じた値を上回るとクリープが生じる。し
たがって、はめあい面での接触面圧をできるだけ大きく
することがクリープには効果的である。そこで、FEM
(有限要素法)を用いて、自動車ホイール用軸受の詳細
なはめあい面解析を実施した。図2を参照すると、はめ
あい面の接触面圧は、内輪端部の逃げ3cと内輪内径面
が交わる点であるところのP点では局部的に高いもの
の、しだいに低下して溝底に対応するF近傍で最小値を
示した。P点近傍での接触面圧の低下を図3に示す。内
輪3端部に逃げ3cがあると内輪肩部3aの軸方向位置
で内輪3と軸が接触しないため、P点に対して外開き
(図2では時計回り)にモーメントが作用する。そのた
め、端面は外側に傾くとともに、はめあい面で内輪が浮
き上がり、接触面圧が低下することになる。したがっ
て、接触面圧が低い領域で滑りやすくなることが分かっ
た。クリープを防止するためには、はめあい面における
内輪の浮き上がりによる接触面圧の低下を防ぐことが必
要である。
して説明する。図3は、肩の長さLを変えたときの溝底
の面圧を示す。シールが軸受外部にある場合、すなわ
ち、軸受ユニットの外でシールする場合であって、1≦
L/rx ≦20のとき、FEM計算結果より、溝底の接
触面圧は、L/rx =0.5付近で最も小さな値とな
る。ここで、Lは、内輪肩部3aの面取りを施さない
で、図2の断面において内輪溝3gを外周側に、内輪肩
部3aを軸方向に、内輪端部3jを外周側にそれぞれ延
長して、交差した2点の距離である。rx は、内輪側面
逃げ部の軸方向長さである。また、溝底の面圧とは、図
2の断面において、玉10の中心Oから内輪内周に垂直
におろした線が内輪内周と交わる点における内輪3と軸
2の接触面圧のことである。
メントの大きさによって溝底面圧が変わるので、モーメ
ントの大きさは主にLとrx の長さによって決まるから
である。L/rx =0.5付近で最小になる理由は以下
のとおりである。P点より外側の肩部は、P点に対して
外開きのモーメントを生じさせ、P点より内側の肩部
は、P点に対して内側に傾くモーメントを生じさせる。
1<L/rx の場合では、L/rx =1のときと比較し
てP点に対して内側に傾くモーメントが大きくなり、外
開きになるモーメントと相殺されるために、内輪は外側
に開かない。また、L/rx が0に近い値(0.1や
0.2)のとき、P点より外側の肩部の断面積は小さく
なり、P点に対して外開きのモーメントは小さくなる、
これらから、0≦L/rx ≦1の範囲で、P点に対する
外開きモーメントと内側に傾くモーメントの差が最も大
きくなる。今回の計算例では、L/rx =0.5付近で
外開きモーメントと内側に開くモーメントとの差が最も
大きくなるために、溝底の面圧(PF)/軸受中央の面
圧(PC)すなわちPrが最少となる。
が減少しているため、rx ≦Lとなることが好ましい。
特に、シールが軸受内部にある場合には、L寸法に余裕
ができるため、2≦L/rx となることが好ましい。さ
らに、L寸法を大きくすると、軸受剛性が下がるため、
L/rx ≦10が現実的である。ここで、軸受中央の面
圧は、図2で内輪内周端面左側の面取り3eと内輪内径
3fとが交わる点よりもわずかに内側(図2で右側)で
の内輪と軸の接触面圧をいう。3eと3fが交わる点で
はエッジロードが立つ可能性があるので、エッジロード
の立たない位置での接触面圧(内輪端面から軸方向面取
り長さの2倍の位置での接触面圧)を軸受中央の面圧と
したものである。10<L/rx とすると、軸受剛性が
低下する理由は以下のとおりである。内輪の軸方向長さ
には制限があるのでL寸法を大きくすると、アウター列
の玉と、インナー列の玉の距離が短くなる。タイヤには
横方向路面反力がかかるので、軸受にはモーメントがか
かる。玉間距離が短いほど軸受にかかる荷重が大きくな
り、軸受剛性が低下するのである。
内径端部の軸方向面取り長さrx より長くしている。こ
れによりF点近傍での面圧低下を防ぐことができる。P
点を中心に肩部が外開きになると破線のようにF点が浮
上がり、F点における溝底面圧が減少する(図11
(b))。肩部の長さLが内輪内径端部の軸方向面取り
長さrx より短いと、P点より外側の肩部はP点に対し
て外開きのモーメントを生じさせるが、Lを長くするこ
とでP点に対して内側に傾くモーメントを発生させる。
したがって、内輪の浮き上がりによる面圧低下を防ぐこ
とができる。P点より軸方向外側にある肩部は、P点に
対し、外開きのモーメントを生じさせ、逆にP点より軸
方向内側の肩部は内側に傾くモーメントを生じさせる。
L/rx が大きくなることは、L寸法に対しrx が小さ
くなる、つまり、P点より軸方向外側にある肩部の断面
積が小さくなり、P点に対する外開きモーメントが小さ
くなるということである。しかし、Lが小さくなり、P
点の外側の断面積が小さくなる場合、すなわち、L/r
x が小さくなる場合は、P点に対する外開きモーメント
が小さくなり、図3の溝底の面圧が小さくならない。従
って、L/rx =0.2では、(PF/PC)は0.8
程度になる。L/rx =0.5程度で、(PF/PC)
は最低になり、L/rx が増加するに従って、(PF/
PC)は大きくなり、L/rx 3.0近傍以上で一定
になり、(PF/PC)からみれば、好ましい領域にな
る。しかし、L/rx が10を超えると、作用点間距離
の寸法を小さく設計せざるを得ず、軸受ユニットの剛性
(曲げ)が低下し、寿命が短くなる。1≦L/rxとし
たのは、L/rx を1未満にすると、L/rx =0.5
付近で(PF/PC)が小さく、不安定になるため、1
≦L/rx として、(PF/PC)が上昇するか、安定
して高い領域にあるようにした。
照して説明する。本実施例では、肩部を端面側から削り
取って、L/rx =1としている。削りとる割合が大き
いほど溝底の面圧が上がる。P点に対して外開きのモー
メントを減少させるには、P点より外側の部分を削り取
るのがよい。図4において、P点より外側の断面積Sに
対して、どれだけの領域を削り取るかによって、モーメ
ントの減少量が決まるのである。ここで、削りとる割合
とは、内輪3の点Pから外側の部分の断面積をS、削り
取る部分の断面積をS1としたときの比S1/Sであ
る。S1は、内輪肩部の端面外周側から削り取る。本実
施例の効果は、特に削りとる割合が、50%以下、すな
わち、S1/S≦0.5で効果が大きい。また、0.5
<S1/Sとなると肩部の強度が低下する。また、削り
取る領域が多くなると内輪肩部の軸方向の厚みが減少
し、内輪の強度が低下し、0<S1/S<0.1の範囲
では、図5から分かるように、削りとっても、あまり効
果的でない。また、溝底面圧が低下する限度として、
0.8≦(PF/PC)となるのが好ましいので、0.
1≦S1/Sとした。
ている。この場合、肩部によって生じる外開きモーメン
トを軽減させる効果がある。肩部3aの長さLは、内輪
内径端部の軸方向逃げ3cの長さrx より大きい。ここ
で、P点より軸方向内側肩部3a−2の高さを高くし、
外側3a−1での高さを低くすると外開きのモーメント
が低減されるとともに内向きのモーメントが増大される
ので内輪の浮き上がりによる面圧低下を防ぐことができ
る。軸方向に段差ではなく傾きをもたせ、3a−1部の
高さを低くしても同様の効果が得られる。
て説明する。本実施例では、第1実施例の条件 1.0
≦L/rx ≦10に加えて、0.45≦h/Da≦0.
9としている。FEM計算結果より、P点での接触面圧
は、h/Daが大きいほど高くなるため、h/Daは大
きいほどよい。P点の面圧を高くすることは、P点とF
点の間の領域の面圧も高くすることを意味するので、ク
リープ防止のためには、この値は高い方が良い。しか
し、玉が肩を乗りあげないためには、0.45≦h/D
aが望ましい。さらに、外輪と干渉しないためには、h
/Da≦0.9が良い。また、好ましくは、この時1≦
L/rx ≦10であることが望ましい。ここで、h/D
aを用いて規定したのは、hの大きさが、Daに最も依
存するからである。
0,2.0)において、0.2≦h/Da ≦1の範囲で
は溝底の面圧はほぼ一定の値を示し、溝底の面圧を増大
させる効果はない。しかし、h/Da を大きくしていく
と、P点での接触面圧は増大する。1≦L/rx ≦10
の範囲に限定せずに、L/rx <1の範囲で(h/D
a )を大きくすると、P点での接触面圧は増大するが、
逆に溝底の面圧は減少する。本実施例では、肩部の長さ
Lが、内輪内径端部の軸方向面取り長さrx より大き
く、かつ、肩部3aの高さhを高くすることによって、
はめあい面接触面圧を増加させている。肩部の高さh
は、コスト、およびシール付き軸受の場合はシールの大
きさでほぼ決まり、玉と内輪溝との接触領域がはみ出さ
ないような最小の高さで設計されている。現在、溝底部
3gから肩部までの高さhは玉径Da との関係で設計さ
れているが、さらに肩部高さhを高くし、玉径の0.4
5倍から0.9倍とすることで、はめあい部における内
輪浮き上がりを抑制し、接触面圧低下の防止に効果的な
ことがFEM解析により判明した。肩部の高さは、外輪
との干渉により制限される。この効果は、肩部の長さL
が内輪内径端部の軸方向面取り長さrx より長い場合に
のみ有効であり、逆にrx の方が短い場合は、逆効果に
なる。
施例では、0≦(C2/C1)≦1としている。ここ
で、C1は図2で内輪外周端面左側の面取り部3dの高
さ、C2は内輪内周端面左側の面取り部3eの高さであ
る。軸力が内輪端部にかかるとP点回り外開きにモーメ
ントが働く。(C2/C1)=1のとき、C1、C2と
もに面取りをしない時とほぼ等しい外開きモーメントが
P点にかかる。C2/C1<1の時は、軸力が内輪端面
の中心よりも内周側に多くの軸力がかかるため、C2/
C1=1のときと比べて外開きモーメントが小さくな
る。したがって、C2/C1≦1が好ましい。本実施例
は内輪側面面取り部3dの長さC1が内輪側面面取り部
3eの長さC2より長い場合の例である。内輪には軸方
向に軸力が加えられ、内輪が固定されている。この軸力
の作用位置kをできるだけ軸に近づけることで、P点回
りのモーメントを小さくさせることができる。したがっ
て、内輪の浮き上がりによる接触面圧の低下を防ぐこと
ができる。
施例は内輪端面3hに傾きを持たせた例である。この点
が第4実施例と異なる。傾きは内輪端面の傾きθによっ
て表す。本実施例の場合も第4実施例と同様にP点回り
のモーメントを低減できるため、内輪浮き上がりによる
接触面圧の低下を防ぐことができる。3hで接触する他
の部材も3hの傾きにあわせた傾きを持たせるとP点回
りに内向きのモーメントとなり効果は大きくなる。作用
点の位置が内輪内径に近づくことになるので第4実施例
と同じ作用効果が生ずる。θは0.5〜5°であること
が好ましい。この角度θは内径側から外径側に向けて形
成される角度を言う。本実施例は、第4実施例と同様、
0≦(C2/C1)<1としている。軸力が内輪端部に
かかるとP点回りに外開きにモーメントが働く。(C2
/C1)=1のとき、C1、C2ともに面取りをしない
ときとほぼ等しい外開きモーメントがP点にかかる。
(C2/C1)<1の時は、軸力が内輪端面の中心より
も内周側に多くの軸力がかかるので、(C2/C1)=
1のときと比べて外開きモーメントが小さくなる。した
がって、(C2/C1)<1が好ましい。
施例では、1≦(L/rx )≦10において、rx ≦a
≦Lの場合を示す。図2において、玉10の中心Oか
ら、玉と内輪外側の接点を通って、内輪内径面に向かう
直線と、内輪内径面との交点Aが軸方向内側(左側)に
あるほど、ラジアル荷重が大きくなる。ここで、寿命比
L0 を定義する。 L0 =(C0 /P0 )3 ...(1) ここで、C0 は基本動定格荷重(kgf)、P0 は動等
価荷重(kgf)である。 C0 =fc (cosα)0.7 z 2/3 Da 1.8 ...(2) ここで、fc は軸受各部の形状、加工精度および材料に
よって定まる係数で、アンギュラ軸受では通常5〜6の
値をとる。zは玉数である。rx を一定にしてaを増し
ていくこと、つまり、a/rx を大きくしていくこと
は、αを小さくしていくことである。ここで、αは玉1
0と内輪3の接触角である。αが小さくなると、(2)
式より、C0 は大きくなる。しかし、αが小さくなる
と、ラジアル成分が大きくなり、P0 は大きくなる。C
0 とP0 を比較すると、今回の計算例ではP0 の影響の
方が強く、L0 は短くなる。面圧が大きくなり寿命は逆
行する。また、aを大きくすることは、Lも大きくする
ことになり、作用点間距離が短くなり、外力に対してモ
ーメントが大きくなり、P0 が増し寿命が短くなる。
又、aが小さくなることは、スラスト成分が大となり、
外開きが大となる。1.0≦(a/rx )でなければな
らない。
ればなるほど、作用点間距離は短くなる。車が旋回する
とタイヤには横方向路面反力がかかり、軸受にはモーメ
ントがかかる。作用点間距離が短い程、モーメントによ
る軸受荷重は増大する。軸受荷重が増大すると、軸受寿
命が低下するので好ましくない。したがって、作用点間
距離が短くなるのはよくない。a≦Lが好ましい作用点
間距離である。FEM計算結果より、転動体荷重がかか
る場合、A点がP点よりも内側にあればあるほど溝底の
面圧が高くなる。しかし、A点が内側にあるほどラジア
ル荷重が大きくなるために軸受寿命が短くなる。図7の
例では、L/rx =1.5のときを示している。a/r
x が大きくなると軸受寿命が短くなる。a/rx =1.
5のとき、すなわち、a=Lまでの範囲が好ましい。a
<rx の範囲で転動体荷重がかかると、P点に対して外
開きのモーメントがかかるため、溝底の面圧が低下す
る。それに対して、rx ≦aの範囲ではP点に対して内
側に傾くようにモーメントがかかる。したがって、rx
<aすなわち1≦(a/rx )が好ましい。以上より、
rx ≦a≦Lの範囲が好ましい。
位置Bを結んだ直線OBと内輪内径面3fとが交わる位
置Aの軸受端面からの距離aが内輪内径端部の軸方向面
取り3bの長さrx より長い場合の実施例である。この
場合、玉からの接触荷重によりP点回りに内向きのモー
メントが発生する。したがって、内輪に浮き上がりがあ
り接触面圧が低下していても、玉からの荷重によりはめ
あい面における接触面圧を増やしクリープを防ぐことが
できる。なお、肩部の長さLが内輪内径端部の軸方向面
取り長さrx よリ大きく、かつrx ≦a≦Lの場合、効
果がさらに大きくなる。
側面面取り部3cの長さry と、内輪内径部3fから玉
と内輪の接触点Qまでの長さiが0.75i≦ry ≦
1.25iの関係を満たす例である。内輪端部3jから
加わる軸力はなるべくP点から距離が離れている方が、
P点回り内向きのモーメントが大きくなり内輪浮き上が
りによる接触面圧低下を防ぐことができる。したがっ
て、肩部3aに近い3jの上部から軸力を加えるのが有
効である。しかしながら、この内向きモーメントが大き
すぎると内輪溝部3gが変形し、接触点Qが変化した
り、玉荷重が増大する危険が生じる。この不具合を防ぐ
には、軸力を接触点Qの近傍から上部3j−1で加える
ことが有効である。これにより、大きな軸力を3j−1
から加えても、溝部3gの変形は小さくなる。軸あるい
は内輪を押さえる部材に逃げを設けて軸受端面3jの当
たり位置を変えるのはコストの面から現実的でなく、内
輪側面面取り部3cの長さryを大きくすることで当た
り位置を3j−1に変えることが妥当である。コストと
加工精度を考えると0.75i≦ry ≦1.25iの範
囲が効果とコストの面で現実的である。
ど接触面圧が高くなる。しかし、大きすぎると軸方向の
変形量が大きくなり溝Rが小さくなり、玉との接触領域
が広がる。摩擦トルクも大きくなる。Q点近傍がよい
が、接触角の公差範囲を考慮すると±25%が現実的で
ある。軸力一定でry /iを大きくすると、内輪肩外周
は軸方向内側に傾くために溝Rが小さくなる。そのため
に、玉と内輪とが干渉する領域が広がり、玉にかかる荷
重も増える。
厚みは、図9および図10を参照すると、0.075≦
t/d≦0.2としている。ここで、tは内輪の厚み、
dは内輪内径を示す。ここで、(内輪の厚さt)+(玉
径Da)=一定としてt=0のときの寿命比を1とし
た。また、P0 も一定とした。FEM計算結果より、内
輪の厚みが厚いほど接触面圧は高くなる。t/d<0.
075の範囲では、面圧が急激に減少している。これ
は、内輪の厚みが薄くなるほど、内輪自体の剛性が低下
するために、P点回りの外開きモーメントによって、肩
部が外側にそる割合が大きくなり、溝底の面圧が低下す
るのである。内輪の厚みを厚くするには、軸受の内外形
寸法が決められているので、玉径を小さくしなければな
らない。しかし、玉径を小さくすると、軸受の剛性が下
がり、寿命も下がるため、限度がある。寿命は、0.2
<t/dで急激に減少している。内輪が薄いと内輪自身
の剛性が下がるのである程度の厚みが必要である。t/
dが大きい程、軸と内輪の嵌合面圧(軸受中央の面圧)
が高くなる。0.8≦PC/PFである必要がある。従
って、これを満たすのは0.075≦t/dでなければ
ならない(浮き上がり防止)。また、0.2<t/dと
なると、設計上Da を小さくせざるを得ず、C0 (基本
動定格荷重)が下がり、(2)式の軸受の性能低下にな
り寿命が短くなる。したがって、0.075≦t/d≦
0.2とした。
外開きモーメントを減らし、内側に傾くモーメントを増
やすことで、内輪の浮き上がりを防ぎ接触面圧の低下を
防ぐことができ、したがって、クリープを防止すること
ができる。
る。
面圧を示す図である。
溝底面圧の関係を示す図である。
を示す図である。
係を示す図である。
である。
を示す図である。
比を示す図である。
側端部の変形状態を示す図である。
Claims (1)
- 【請求項1】 アンギュラー軸受において、内輪の肩部
外開きが生じないように、内輪寸法の諸元を最適化し、
それによって内輪と軸との間に生じる滑り現象を防止し
たことを特徴とするアンギュラー軸受。
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