JPH1180902A - 耐高温エロージョン・コロージョン性に優れた高Cr合金および高Cr合金部材 - Google Patents
耐高温エロージョン・コロージョン性に優れた高Cr合金および高Cr合金部材Info
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Abstract
・コロージョン性に優れた、特にごみ焼却炉ボイラ用の
高Cr合金および高Cr合金部材を提供する。 【解決手段】 高Cr合金および高Cr合金部材の合金の組
成を、C:0.5 〜1.5%、Si:1.0〜4.0%、Mn:0.5〜2.0%、C
r:35 〜60% 、必要によりNi:3〜15% を含有し、残部Co
および/ またはFeおよび不可避的不純物からなり、かつ
35≦Cr/C≦90とすることである。
Description
コロージョン性に優れた高Cr合金乃至高Cr合金部材に関
し、特にごみ焼却炉ボイラ用に好適な耐高温エロージョ
ン・コロージョン性に優れた高Cr合金乃至高Cr合金部材
に関するものである。
る廃熱をエネルギー源として有効利用するために、廃熱
を熱源としたボイラを設置して、発電を行う例が多い。
このごみ焼却炉ボイラのうちでも、特に流動床式ごみ焼
却炉のボイラは、焼却炉内の流動層内に鋼管製の伝熱管
を直接装入して熱回収を行うので、焼却炉から出る排ガ
スから熱回収を行うよりも、エネルギー効率を格段に高
くできる点で優れている。しかし、この流動床式ごみ焼
却炉は、けい砂などの固体粒子を流動化させて形成した
流動床乃至流動層の内部で、ごみの焼却を行う形式の焼
却炉である。したがって、焼却炉の流動層内に直接装入
された伝熱管などのボイラ部材は、ごみの焼却に伴い発
生するHCl ガスや溶融塩化物塩および/ またはSOx ガス
や溶融硫化物塩の存在によって、非常に過酷な高温腐食
(高温コロージョン) 環境下にある。また、流動層内
は、この高温コロージョンだけではなく、高温の流動砂
が常に循環しており、特に流動砂の流速の大きい場合に
は、その流速の2 〜3 乗に比例して、流動砂により伝熱
管が激しい磨耗、即ち高温エロージョンを受ける。
る、ごみ焼却炉ボイラ用合金乃至伝熱管を含めたごみ焼
却炉ボイラ用部材には、前記高温エロージョンおよび高
温コロージョンの両方に対する耐磨耗性および耐食性
(以下、耐高温エロージョン・コロージョン性と言う)
を有することが必要である。
ージョン性を高めた合金は、従来から種々提案されてい
る。例えば、特公昭58-6779 号公報では、耐磨耗性およ
び溶接性鉄−ニッケル−コバルトベース合金として、10
% までのMo、W 、20〜33%Cr、0.6 〜1.7%Si、0.9 〜1.5
%C 、1.0%以下B を含む合金が提案されている。特公昭6
4-7145 号公報では、耐磨耗性および耐食性ニッケルベ
ース合金として、20〜35%Cr 、1 〜8%Si、1.7 〜3.5%C
を含みM7C3型の炭化物を形成させたNi合金が提案されて
いる。特開昭55-154542 号公報では、ニッケル−コバル
ト−クロム合金として、基本的に20〜47%Ni 、6 〜35%C
o 、18〜36%Cr 、0.6 〜2.5%C 、0.5 〜2.5%Siを含むFe
合金が提案されている。また、特公平2-36359 号公報で
は、6.0〜14.0%Cr 、0.8 〜2.4%B 、0.5 〜5.0%Si、0.5
〜15%W、10〜40%Co を含むFe−Co合金が提案されてい
る。更に、特開昭61-169174 号公報では、20% 以上のCr
を含有するCo基合金の肉盛り層を備えたボイラ用部材が
提案されている。また、特開昭63-10097号公報では、0.
7 〜3.0%C 、2%以下Si、2%以下Mn、23〜32%Cr 、1〜7%M
o、3 〜6.5%W 、3%以下Ni、5%以下Feを含有する肉盛り
用耐熱Co基合金が提案されている。また、特開平1-2736
93号公報では、0.01〜0.50%C、0.1 〜2.0%Si、35〜60%C
r 、0.5 〜4.0%Al+Ti、0.01〜0.2%N に加えて、更にM
n、V 、Nb、Mo、W 、Feを含有するNi乃至Co基合金肉盛
り溶接材料が提案されている。更に、特許第2561567 号
公報では、0.02〜0.1%C 、1 〜5%Si、5%以下Mn、10〜20
%Cr 、30〜50%Ni 、0.5 〜3%Mo、10〜40%Co 、0.5 〜5%
W を含有するごみ焼却炉ボイラ用Fe合金が提案されてい
る。
み焼却に伴う廃熱を利用した発電の高効率化のために、
ボイラ部材の使用温度は500 ℃以上の高温になり、使用
環境が、より過酷になっている。このため、このような
環境下では、前記従来合金では後に詳述する通り、使用
寿命が短いことが問題となっている。例えば、前記特許
第2561567 号公報のごみ焼却炉ボイラ用Fe合金は、蒸気
温度で500 ℃まで使用可能(500℃以上は使用不可能) で
あることが明記されている。したがって、使用温度が50
0 ℃以上のより高温下での、耐高温エロージョン・コロ
ージョン性に優れるごみ焼却炉ボイラ用合金乃至ボイラ
用部材が求められていたが、この特性を有する合金が、
今まで実用化されておらず、ごみ焼却炉ボイラの効率を
高めることには限界があったというのが実情である。
ものであって、その目的は、使用温度が500 ℃以上の耐
高温エロージョン・コロージョン性に優れた、特にごみ
焼却炉ボイラ用の高Cr合金および高Cr合金部材を提供し
ようとするものである。
に、本発明の要旨は、高Cr合金の組成を、C:0.5 〜1.5
%、Si:1.0〜4.0%、Mn:0.5〜2.0%、Cr:35 〜60% 、必要
によりNi:3〜15% を含有し、残部Coおよび/ またはFeお
よび不可避的不純物からなり、かつCr量とC 量との比を
35≦Cr/C≦90とすることである。
用鋼管などの表面に被覆した高Cr合金部材とすれば、耐
高温エロージョン・コロージョン性に優れる、特にごみ
焼却炉ボイラなどの用途の高Cr合金部材とすることがで
きる。
式ごみ焼却炉ボイラにおける耐高温エロージョン・コロ
ージョン性と、C およびCrとの関係について鋭意検討し
た結果、耐高温エロージョン性および耐高温コロージョ
ン性の両特性を満足するためには、Cr/Cの規定が重要で
あることを知見した。前記従来技術においても、C がCr
などとともにM7C3、M23C6 炭化物を形成して耐高温エロ
ージョン性に効果があるとともに、Crが耐高温コロージ
ョン性に効果があることは公知である。にも拘らず、こ
のC とCrとを共に含有させた前記従来技術において、耐
高温エロージョン・コロージョン性を満足することがで
きなかったのは、以下の理由による。即ち、従来の高Cr
合金のように耐高温エロージョン性を向上させるため
に、C 含有量を0.5%以上と高くした場合、C とCrがM
7C3、M23C6 炭化物を形成してCrが消費される。この
際、元々のCr含有量が低いと、合金マトリックス中の、
特に粒界に析出した前記炭化物に沿った部分( 前記炭化
物にCrが消費された部分) のCr量が他の部分よりも減少
して、この炭化物に沿った部分の耐高温コロージョン性
を確保するためのCrの絶対量が不足することになる。こ
のため、特に粒界に析出した前記炭化物に沿った部分の
粒界腐食が生じることになる。そして、この粒界腐食が
生じた場合には、上記圧力を受け持つのに有効なボイラ
部材の肉厚が減少することになり、実際にボイラ部材の
肉厚を減肉したのと同じことになってしまい、ボイラ部
材の寿命を著しく縮めることとなる。
ックス中の、特に粒界に析出した前記炭化物に沿った部
分( 前記炭化物にCrが消費された部分) のCr量を確保す
る必要があり、C 含有量乃至C とCrが炭化物を形成して
Crが消費される量に見合ったCr含有量が必要となる。し
たがって、本発明では、Cr含有量(35 〜60%)とともに、
Cr量とC 量との比Cr/Cを規定した(35 ≦Cr/C≦90) 。
では、C 含有量が1.7 % 以上であるにも拘らず、Cr含有
量が35% 以下と低いために、Cr/Cは最高でも21程度しか
なく、C とCrが形成する前記炭化物によって耐高温エロ
ージョン性は優れるものの、特に粒界に析出した前記炭
化物に沿った部分のCr量が不足して、この炭化物に沿っ
た部分の耐高温コロージョン性が劣ることとなる。ま
た、特開平1-273693号公報の合金では、逆に、Cr含有量
は35% 以上あるにも拘らず、C 含有量が0.50% 以下と低
いためにCr/Cは最低でも70程度となり、Crによる耐高温
コロージョン性は優れるものの、C とCrが形成する前記
炭化物量が不足して、耐高温エロージョン性が劣ること
となる。また、特公平2-36359 号公報では、Cr含有量自
体が6.0 〜14.0% と低く、耐高温エロージョン性と耐高
温コロージョン性の両方とも劣っている。
明者らは、Ni、Mo、W のごみ焼却炉ボイラ用部材の使用
環境における挙動について検討した。そして、この結
果、ごみ焼却炉ボイラ用部材の500 ℃を越える高温域の
溶融塩化物塩と溶融硫化物塩の混在した非常に過酷な腐
食環境下では、これらの成分は、合金中に存在すると、
却って合金の耐高温コロージョン性を阻害することを知
見した。特にNiは、前記腐食環境下におけるS の濃度が
高い場合には、著しく耐食性を劣化させる。したがっ
て、本発明ではMo、W を含まず、不純物レベル以下に規
制するとともに、合金中のNiの量を適切に制御する。
はNi基合金であり、特開昭55-154542 号公報の合金で
は、ニッケル−コバルト−クロム合金としてNiを20〜47
% と多量に含み、また、特開昭63-10097号公報の合金で
は、Moを1 〜7%、W を3 〜6.5%と多量に含んでいる。更
に、特許第2561567 号公報の合金でも、Niを30〜50% 、
Moを0.5 〜3%、W を0.5 〜5%含んでいる。したがって、
前記ごみ焼却炉ボイラ用部材の500 ℃を越える高温域の
溶融塩化物塩と溶融硫化物塩の混在した非常に過酷な腐
食環境下では、これら従来技術の合金は、必然的に耐高
温コロージョン性が劣ることとなる。
500 ℃を越える高温使用環境では、高Cr-Fe-Co系合金で
問題となるσ脆化相の生成を防止する必要がある。この
点、本発明では、CrとC とのバランスの適正化(Cr/C ≦
90) と、σ脆化相の生成を促進するMo、W の規制によっ
て、また更に、必要により最低限のNi含有(3〜15%)によ
って、このσ脆化相の生成を防止する。この点、Mo、W
を含む特公昭58-6779号公報、特公平2 -36359号公報、
特開昭63-10097号公報、特許第2561567 号公報、あるい
はNi含有量も少ない乃至含有しない特開昭61-169174 号
公報の合金では、前記環境においてσ脆化相が必然的に
生成し、使用中の熱応力または高温エロージョンによっ
て、合金材の割れの原因となるとともに、脆化によって
Crが前記炭化物と同様に消費されるため、耐食性も劣化
する。
る、C 、Si、Mn、Cr、およびNiの量的範囲の意義につい
て説明する。まず、C はCoおよび/ またはFe合金マトリ
ックス中で、CrとM7C3、M23C6 炭化物を形成して合金の
耐高温エロージョン・コロージョン性を向上させる。こ
の効果を発揮させるためには、C の含有量が0.5%以上必
要であるが、一方でC の含有量が1.5%を越えると、前記
炭化物量が過剰となって、却って合金の脆化を招く。し
たがって、C の含有量は0.5 〜1.5%の範囲とする。
ス中で、CrとM7C3、M23C6 炭化物を形成して合金の耐高
温エロージョン性を向上させる。Crが35% 未満では、C
の含有量が低い場合でも、生成炭化物の絶対量が不足し
て、耐高温エロージョン性が不足する。またCrの含有量
が60% を越えると、耐高温エロージョン性は却ってやや
低下するとともに、前記炭化物量が過剰となって合金の
脆化を招く。したがって、C の含有量は35〜60% の範囲
とする。更に、前記した通り、耐高温エロージョン性を
向上させるために、C 含有量を高くした場合、C とCrが
M7C3、M23C6 炭化物を形成してCrが消費されるが、この
時Cr含有量が低いと、合金マトリックス中の、特に粒界
に析出した前記炭化物に沿った部分のCr量が他の部分よ
りも減少して、この炭化物に沿った部分の耐高温コロー
ジョン性を確保するためのCrの絶対量が不足することに
なる。これを防止し、合金マトリックス中の、特に粒界
に析出した前記炭化物に沿った部分のCr量を確保するた
めに、C 含有量乃至C とCrが炭化物を形成してCrが消費
される量に見合ったCr含有量として、Cr量とC 量との比
Cr/Cを35以上とする必要がある。また、一方C の含有量
が低く、Cr含有量が高い場合には、前記σ脆化相が生成
しやすくなり、合金の脆化が顕著になるので、このσ脆
化相の生成を防止するために、Cr/Cの上限は90以下と規
定する。したがって、Cr/Cは35〜90の範囲とする。
ールを形成することにより、合金の耐高温コロージョン
性を向上させる。また、Co乃至Fe基合金溶製時の脱酸剤
としても必要である。この効果を発揮させるためには、
1.0 % 以上の含有が必要であるが、一方4.0%を越える含
有は、前記σ脆化相が生成しやすくなり、合金の脆化が
顕著になる。したがって、Siの含有量は1.0 〜4.0%の範
囲とする。
硬さを向上させ、耐高温エロージョン性を向上させるた
めに有効である。この効果を発揮させるためには、0.5%
以上の含有が必要であるが、一方2%を越える含有は合金
の脆化を招く。したがって、Mnの含有量は0.5 〜2%の範
囲とする。
て、C 含有量を低くして、耐高温コロージョン性向上を
重視した合金組成にした場合には、σ脆化相が生成し合
金が脆化しやすくなる可能性がある。したがって、この
σ脆化相の生成を防止する必要がある場合には、Niを3
〜15% 選択的に含有させることが好ましい。このNiの効
果を発揮させるためには、3%以上のNiの含有が必要であ
るが、一方15% を越える含有は、前記した通り、S によ
る腐食が激しい環境下では、合金の耐高温コロージョン
性を劣化させる。したがって、Niを含有させる場合の含
有量は3 〜15% の範囲とする。
乃至Feについて、Co基合金を選択した場合、Coの効果に
より、Fe基合金の場合よりも、耐高温エロージョン・コ
ロージョン性は向上する。しかし、本発明高Cr合金で
は、前記C 、Si、Mn、Cr、およびNiなどの成分調整によ
り、Fe基合金としても、従来合金より耐高温エロージョ
ン・コロージョン性は優れている。したがって、Coは高
価であるので、コストと耐高温エロージョン・コロージ
ョン性との兼ね合いで、即ち、例えばごみ焼却炉ボイラ
の耐高温エロージョン・コロージョン性の要求性能に応
じて、Co基合金かFe基合金かを選択するとともに、Coと
Feとを混合した合金とする場合には、CoとFeとの量的な
割合を調整する。
では基本的に不純物であり、できるだけ少ない方が好ま
しい。このうち、特にMo、W は、前記した通り、本発明
高Cr合金乃至高Cr合金部材の500 ℃を越える高温腐食環
境下では、合金の耐食性を著しく劣化させるとともに、
σ脆化相の生成を促進する作用があるので、可能な限り
低く抑えるべきである。
の溶解、鋳造方法が使用可能であるが、その中でも合金
の酸化を抑制しつつ、使用部材形状に近い形状( ニアネ
ットシェイプ) に鋳造可能な方法が好ましい。具体的に
は、公知の真空溶解乃至不活性ガス雰囲気下などの非酸
化性雰囲気下で、本発明成分範囲内に合金を溶製し、鋳
造のまま乃至必要に応じて加工を行い、直接ごみ焼却炉
ボイラなどの部材に適用することが可能である。
形加工が必要な形状乃至複雑な形状が必要な部材には、
コストや部材への成形性などを考慮して、本発明高Cr合
金を鋼管や鋼板などの鋼材の表面に被覆乃至外層を形成
して、クラッド (複合) 鋼管やクラッド鋼板などの高Cr
合金部材とするのが好ましい。耐高温エロージョン・コ
ロージョン性は、基本的にごみ焼却炉ボイラの部材の表
面部分の特性の問題であるので、前記高Cr合金部材とし
ても、耐高温エロージョン・コロージョン性の効果は十
分発揮できる。この本発明高Cr合金を鋼管や鋼板の表面
に被覆乃至外層を形成し、高Cr合金部材を製造する方法
は、溶射、肉盛り溶接、粉末押出、遠心鋳造+拡管など
の公知の手法が適宜選択できる。なお、粉末押出法によ
る場合は、鋼管や鋼板の周囲に本発明合金の粉末層を形
成した複合ビレットを形成して押し出す。また、遠心鋳
造+拡管法による場合は、本発明高Cr合金を遠心鋳造し
て外層を形成しておき、その中に鋼管 (伝熱管用) を挿
入して、マンドレルあるいは液圧などで拡管する。
較例合金を、真空溶解にて10kgのインゴットに溶製し
た。この鋳造したままのインゴットから、外径20φ×厚
さ10mmの試験片を切り出し、この試験片を用いて、ごみ
焼却炉ボイラの模擬環境下で耐高温エロージョン・コロ
ージョン性の試験を実施した。図1 に試験装置の概略を
模式的に示す。図1 において、試験装置は、平均粒子サ
イズ500 μm のけい砂6 を底部に堆積するとともに、模
擬ガス5 の吹き込み口4 を上部に有する炉1 と、この炉
1 を囲んで配置されて炉内を加熱するヒータ3a、3b、3
c、および炉1 の側面に設けられたモーター7 と、モー
ター7 から炉1 内に挿入された回転軸8 と、この回転軸
8 の先端に設けられた試験片2 の固定治具9 とからな
る。図1 の試験装置を用いた試験方法乃至条件は、炉1
内の温度を600 ℃に加熱し (試験温度) 、試験片2 を5m
/secの回転速度で回転させ、底部に堆積したけい砂6 層
と炉内とを順次連続的に、繰り返し通過暴露させなが
ら、15%O2-5%CO2-2%H2O-2000ppmCO-1000ppmSO2-1000ppm
HCl-残部N2の模擬ガス5 を炉内に吹き込んで、流動床式
ごみ焼却炉の疑似炉内乃至流動層 (床) を形成した。こ
の条件での試験を連続して120hr 行い、試験後の試験片
の、減肉速度から耐高温エロージョン性を、粒界腐食状
況から耐高温コロージョン性を、またシャルピー試験か
ら合金の靱性 (脆化の程度) を評価した。この結果を表
2 に示す。
面スケールを除去した後、マイクロメーターで試験片の
外径を測定し、試験前の試験片の外径との比較で減肉量
を求めた上、この減肉量を試験時間で除して減肉速度を
求めた。また、粒界腐食 (μm)は、前記表面スケールを
除去した試験片の断面を光学顕微鏡で観察し、粒界腐食
の深さを測定した。更に、シャルピー試験は、ごみ焼却
炉ボイラ内 (前記試験装置の炉内) の高温に合わせ、60
0 ℃におけるシャルピー吸収エネルギー(J) を求めた。
は、減肉速度が0.19μm/hr以下であり、耐高温エロージ
ョン性に優れていることが分かる。また、粒界腐食は17
0 μm 以下であり、耐高温コロージョン性に優れている
ことが分かる。更に、シャルピー吸収エネルギーは14J
以上であり、合金の脆化が少なく靱性に優れていること
が分かる。この発明例の中でも、No.18 などのように、
他の発明例よりもC 含有量が高い例ほど減肉速度が小さ
く耐高温エロージョン性に優れている。また、No.13 な
どのように、他の発明例よりもCr/Cが高いほど粒界腐食
の深さが小さく耐高温コロージョン性に優れている。更
に、このNo.13 はNiを含有しているため、シャルピー吸
収エネルギーが高く、合金の脆化が少なく靱性に優れて
いる。
例No.1〜12は、本発明高Cr合金組成範囲をはずれている
ため、耐高温エロージョン性、耐高温コロージョン性、
合金の靱性のいずれか乃至いずれにおいても、発明例よ
りも劣っている。より具体的には、比較例No.1、11、12
はC 含有量が本発明範囲の上限乃至下限よりはずれてい
る。比較例No.5はSi含有量が本発明範囲の上限をはずれ
ている。比較例No.1、2 、5 、8 、11、12はCr含有量が
本発明範囲の上限乃至下限よりはずれている。また、比
較例No.4、7 、10は本発明で規制すべきMo、W を実質量
含んでいる。更に、比較例No.1、3 、5 、8 〜10、12は
Cr/Cが本発明範囲の上限乃至下限よりはずれている。こ
れら比較例の中でも、特にCr/Cが高いNo.1、3 はσ脆化
相が生成し、特にC 含有量が高いNo.12 は炭化物量が多
くなりすぎ、各々特に靱性が著しく低くなっている。ま
た、特にCr/Cが低いNo.5、8 、10は、粒界のCr量が不足
し、粒界腐食の深さが大きく、特に耐高温コロージョン
性に劣っている。更に、特にC 含有量が低いNo.1は炭化
物量が少なすぎて、特に耐高温エロージョン性に劣って
いる。したがって、以上の結果から、本発明高Cr合金組
成の、C 、Si、Mn、Cr、Cr/CおよびNiの量的範囲規定の
意義が明らかである。
ように耐高温エロージョン・コロージョン性に優れてい
るので、特にごみ焼却炉ボイラ用、更には流動床式ごみ
焼却炉ボイラ用の伝熱管等に好適に用いられる。実施例
の結果からすると、例えば、流動床式ごみ焼却炉ボイラ
用の伝熱管(鋼製伝熱管の外側に被覆) とした場合、比
較例に比して、伝熱管の寿命を約1.5 〜3 倍延ばすこと
が可能となる。したがって、この用途以外にも、類似の
使用環境で、前記焼却炉ボイラと同様の耐高温エロージ
ョン・コロージョン性が求められる、鋳造金型、鋳造や
圧延ロール、ブロア、スクリューコンベア、バルブ、カ
ッターやパンチ刃先、等の各種用途に、好適に用いるこ
とが出来る。
乃至高Cr合金部材によれば、使用温度が500 ℃以上の、
より厳しい高温エロージョン乃至コロージョン環境下に
あっても、優れた耐高温エロージョン・コロージョン性
や靱性を発揮する。したがって、流動床式等のごみ焼却
炉ボイラ伝熱管などの部材を、著しく高寿命化すること
が可能で、ごみ焼却炉ボイラを従来よりも一層効率化す
ることができる等の優れた効果を奏する。
ロージョン・コロージョン性試験装置の概略を示す模式
図である。
ヒータ 4:吹き込み口 5:模擬ガス 6:
けい砂 7:モーター 8:回転軸 9:
固定治具
Claims (8)
- 【請求項1】 合金成分として、C:0.5 〜1.5%、Si:1.0
〜4.0%、Mn:0.5〜2.0%、Cr:35 〜60% を含有し、残部Co
および/ またはFeと不可避的不純物からなり、かつCr量
とC 量との比が35≦Cr/C≦90であることを特徴とする耐
高温エロージョン・コロージョン性に優れた高Cr合金。 - 【請求項2】 合金成分として、更にNi:3〜15% を含有
する請求項1に記載の耐高温エロージョン・コロージョ
ン性に優れた高Cr合金。 - 【請求項3】 前記高Cr合金がごみ焼却炉ボイラ用であ
る請求項1または2に記載の耐高温エロージョン・コロ
ージョン性に優れた高Cr合金。 - 【請求項4】 前記ごみ焼却炉ボイラが流動床式ごみ焼
却炉ボイラである請求項1乃至3のいずれか1項に記載
の耐高温エロージョン・コロージョン性に優れた高Cr合
金。 - 【請求項5】 請求項1または2の高Cr合金を、鋼材の
表面に被覆した耐高温エロージョン・コロージョン性に
優れた高Cr合金部材。 - 【請求項6】 前記鋼材が鋼管である請求項5に記載の
耐高温エロージョン・コロージョン性に優れた高Cr合金
部材。 - 【請求項7】 前記部材がごみ焼却炉ボイラ用である請
求項5または6に記載の耐高温エロージョン・コロージ
ョン性に優れた高Cr合金部材。 - 【請求項8】 前記ごみ焼却炉ボイラが流動床式ごみ焼
却炉ボイラである請求項7に記載の耐高温エロージョン
・コロージョン性に優れた高Cr合金部材。
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---|---|---|---|
JP23842097A JP3899168B2 (ja) | 1997-09-03 | 1997-09-03 | 耐高温エロージョン・コロージョン性に優れた高Cr合金および高Cr合金部材 |
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Cited By (3)
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