JPH1179747A - 経時変化のない安定性に優れたPb系金属酸化物薄膜形成用溶液 - Google Patents

経時変化のない安定性に優れたPb系金属酸化物薄膜形成用溶液

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JPH1179747A
JPH1179747A JP23961797A JP23961797A JPH1179747A JP H1179747 A JPH1179747 A JP H1179747A JP 23961797 A JP23961797 A JP 23961797A JP 23961797 A JP23961797 A JP 23961797A JP H1179747 A JPH1179747 A JP H1179747A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】経時変化のない安定性に優れたPb系金属酸化
物薄膜形成用溶液を提供する。 【解決手段】少なくともPb化合物を含む加水分解性金
属化合物と、1-アルコキシ-2-プロパノ−ル類、3-メト
キシブタノ−ル類、または1-ブトキシエタノ−ル類より
なる群から選ばれる1種または2種以上の溶媒とからな
るPb系金属酸化物薄膜形成用溶液、必要に応じて、β
-ジケトン類、β-ケトエステル類、カルボン酸類、エタ
ノ−ルアミン類,ジオ−ル類、エステル類が添加され、
上記Pb化合物が、Zr、Ti、La、Mg、Zn、Nb
等を含有する化合物であり、さらにアセチルアセトンま
たは2−エチルヘキサン酸が添加されるPb系金属酸化
物薄膜形成用溶液。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】電気的、あるいは光学的性質
により各種デバイスヘの応用が期待できる、金属酸化物
薄膜形成法に関する。更に詳しくは、PZT等のPb系
金属酸化物をゾルゲル法により形成する場合の原料であ
る金属酸化物薄膜形成用溶液に関する。
【0002】
【従来技術】Pb系金属酸化物薄膜は高い誘電率、高い
残留分極値などを有し、その優れた強誘電特性から種々
の誘電体デバイスヘの応用が期待されている。Pb系金
属酸化物薄膜作製法としては、スパッタリング法、MO
CVD法などがあるが、比較的安価で簡便に薄膜を作製
する手法として、有機金属溶液を基板に塗布するゾルゲ
ル法がある。
【0003】従来のゾルゲル溶液では扱いやすいと言う
点、比較的溶液が形成しやすいという点からエチルアル
コール、イソプロピルアルコ−ル、ブチルアルコールな
どの低級アルコ−ル類、または2−メトキシエタノ−ル
などのエチレングリコ−ル類、酢酸イソアミルなどのエ
ステル類が主に使用されてきた。Pb系ゾルゲル溶液で
使用する溶媒に関しては、メチルアルコール、エチルア
ルコール、イソプロピルアルコール、nーブチルアルコ
ール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン
等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル
類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル
類、シクロヘキサン、シクロヘキサノール等のシクロア
ルカン類、ベンゼン、トルエン等の芳香族系、クロロホ
ルム、ジクロロエタン等のハロゲン化アルキル、その他
テトラヒドロフラン、セロソルブ等が特願平5ー857
04に開示されている。またPb系ではないが、一般式
(BaxSr1-x)TiO3(0<x≦1)で表される酸
化物薄膜形成用の溶液を作製するための溶媒としては、
一般式R1OR2OH(R1は、炭素数2以上の脂肪族炭
化水素基を表し、R2は、エーテル結合を有してもよい
2価の脂肪族炭化水素基を表す。)とCH3OR2OH
(R2は、2価の脂肪族炭化水素基を表す。)で示され
るもので、R1の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1
〜4のアルキル基が好ましく、R2は、エーテル基を有
してもよい2価の脂肪族炭化水素基としては、炭素数2
〜4のアルキレン基、炭素数2〜4のアルキレン基が、
エーテル結合によって結合している全炭素数4〜8の2
価の基が好ましい。具体的には、例えば、エチレングリ
コールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエ
チルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテ
ル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレ
ングリコールのモノアルキルエーテル類、ジエチレング
リコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモ
ノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピル
エーテル等のジエチレングリコールのモノアルキルエー
テル類、1,2ープロピレングリコールモノメチルエー
テル等の1,2ープロピレングリコールモノアルキルエ
ーテル類、1,3ープロピレングリコールモノメチルエ
ーテル、1,3ープロピレングリコールモノエチルエー
テル、1,3ープロピレングリコールモノプロピルエー
テル等の1,3ープロピレングリコールのモノアルキル
エーテル類等を単独または2種以上を併用してもよい。
更に、CH3OR2OHとして、エチレングリコールモノ
メチルエーテル、1,3ープロピレングリコールモノメ
チルエーテル等を特開平7−232961号において具
体的に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし特開平5−85
704で具体的に記載されている溶媒に関しては、これ
らを用いた金属酸化物薄膜形成用溶液は一般に安定性が
課題であり、特に保存時の気温、湿度などの外的環境に
より作製された薄膜の膜厚、屈折率を始め、諸特性が大
きく左右される傾向がある、特に、溶液中の微量水分量
により諸特性のばらつきが大きくなり、同じ特性を維持
するのは極めて困難である。さらに、一回の塗布により
厚い膜をつける目的で、金属酸化物濃度の高い溶液を作
製すると、膜厚、屈折率の経過日数によるばらつきはよ
り大きくなる。
【0005】また、特開平7−232961では広範囲
の溶媒に対しての記載があるが、それらは(Bax
r1-x)TiO3(以下BSTと略す)溶液のアルコキシ
ドを用いた溶液と溶液に対する溶媒である。BST系薄
膜形成用溶液と、Pb系簿膜形成用溶液とでは一般に使
用する金属原科が異なり、使用する溶媒の性質も異なる
物が要求される。特にPb系薄膜形成用溶液において
は、Pb原料の溶解度が極めて小さいため、Pb原料を
安定的に溶解する溶媒はかなり限定される。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記のようなPb系薄膜
形成用溶液安定性の問題解決を目的として、種々の溶媒
について鋭意検討を行ったところ、1-エトキシ-2-プロ
パノ−ル等の1-アルコキシ-2-プロパノ−ル類、3-メト
キシブタノ−ル、3-メトキシ-3-メチルブタノ−ル等の3
-メトキシブタノ−ル類、1-n-ブトキシエタノ−ル等の1
-ブトキシエタノ−ル類用いたPb系金属酸化物薄膜形
成用溶液は、長期保存状態においても膜厚、屈折率の変
動が従来品と比較して極めて少なく、非常に優れた安定
性を示した。
【0007】また,上記溶媒を用いたPb系金属酸化物
簿膜形成用溶液に添加剤としてアセチルアセトンなどの
β-ジケトン類、3-オキソブタン酸エチル等のβ-ケトエ
ステル類、2-エチルヘキサン酸、2-エチル酪酸等のカル
ボン酸類、エタノールアミン、ジエタノ−ルアミン、ト
リエタノ−ルアミン等のエタノ−ルアミン類、1,3-ブ
タンジオ−ル、1,5-ベンタンジオ−ルなどのジオ−ル
類、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、
酢酸イソアミル、酢酸−2-メトキシエチル、プロピオン
酸イソブチル、n−酪酸イソプロピル、イソ吉草酸エチ
ル、乳酸エチル、ヒルビン酸エチル、メタクリル酸エチ
ル等のエステル類を微量添加することにより安定性の向
上とともに、大気中水分に対する安定性の向上が認めら
れた。
【0008】更に、これらの溶媒、添加剤を組み合わせ
チタン酸ジルコン酸鉛(以下PZTと略す)溶液を合成
し、その溶液を用いてPZT酸化物薄膜を形成し、電気
特性の測定を行ったところ、鉛濃度が6〜15重量パ−
セントであり、ジルコニウム濃度が1.0〜2.5重量
パ−セントであり、チタン濃度が0.5〜1.5重量パ
−セントであり、1-エトキシ-2-プロパノ−ルまたは3-
メトキシブタノ−ルで最終的に濃度調整した場合に、良
好な電気特性測定値(高残留分極値、高誘電率)のPZ
T酸化物薄膜が得られた。また同様な溶液合成法で金属
原科として鉛濃度が6〜15重量パ−セントであり、ラ
ンタン濃度が0.03〜0.2重量パ−セントであり、
ジルコニウム濃度が1.0〜2.5重量パ−セントであ
り、チタン濃度が0.5〜1.5重量パ−セントであ
り、1-エトキシ-2-プロパノ−ルまたは3-メトキシブタ
ノ−ルで最終的に濃度調整して作製したランタン含有チ
タン酸ジルコン酸鉛(以下PLZTと略す)溶液は優れ
た安定性を有しかつ、その溶液を用いてPLZT薄膜を
成膜したところ、優れた電気特性(高残留分極値、高誘
電率)が得られた。更に上記PZT、PLZT薄膜形成
用溶液にアセチルアセトン、2-エチルヘキサン酸から選
ばれるl種を2〜45重量パ−セント添加した場合に
は、大気中水分に対する安定性も格段に向上した。
【0009】本発明は、上記知見により得られたもので
あって、(1)少なくともPb化合物を含む加水分解性
金属化合物と、1-アルコキシ-2-プロパノ−ル額、3-メ
トキシブタノ−ル類、または1-ブトキシエタノ−ル類よ
りなる群から選ばれる1種又は2種以上の溶媒とからな
る経時変化のない安定性に優れたPb系金属酸化物薄膜
形成用溶液、(2)(1)記載の1-アルコキシ-2-プロ
パノ−ル類が、1-エトキシ-2-プロパノ−ルであり、3-
メトキシブタノ−ル類が、3‐メトキシブタノールある
いは3-メトキシ-3-メチルブタノ−ルであり、1-ブトキ
シエタノ−ル類が1-n-ブトキシエタノ−ルである経時変
化のない安定性に優れたPb系金属酸化物薄膜形成用溶
液、(3)上記Pb系金属酸化物が、チタン酸鉛(Pb
TiO3)、ジルコン酸鉛(PbZrO3)、チタン酸ジ
ルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3)、ランタン含有
チタン酸鉛((Pb,La)TiO3)、ランタン含有
ジルコン酸鉛((Pb,La)ZrO3)、ランタン含
有チタン酸ジルコン酸鉛((Pb,La)(Zr,Ti)
3)、マグネシウム含有ニオブ酸鉛(Pb(Mg1/3
2/3)O3、亜鉛含有ニオブ酸鉛(Pb(Zn1/3Nb
2/3)O3である(1)および(2)記載の経時変化のな
い安定性に優れたPb系金属酸化物薄膜形成用溶液、
(4)(1)〜(3)記載のPb系金属酸化物薄膜形成
用溶液に、β-ジケトン類、β-ケトエステル類、カルボ
ン酸類、エタノ−ルアミン類、ジオ−ル類、エステル類
を各々酸化物モル数に対して0.5〜5倍モル添加する
経時変化のない安定性に優れたPb系金属酸化物薄膜形
成用溶液、(5)β-ジケトン類が、アセチルアセトン
であり、β-ケトエステル類が、3-オキソブタン酸エチ
ルであり、カルボン酸類が、2-エチルヘキサン酸、2-エ
チル酪酸から選ばれる一種又は二種であり、エタノ−ル
アミン類がエタノ−ルアミン、ジエタノ−ルアミン、ト
リエタノ−ルアミンから選ばれる一種又は二種以上であ
り、ジオ−ル類が1,3-ブタンジオ−ル、1,5-ペンタン
ジオ−ルの一種又は二種以上であり、エステル類が酢酸
エチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸イソ
アミル、酢酸-2-メトキシエチル、プロピオン酸イソブ
チル、n-酪酸イソプロピル、酪酸エチル、イソ吉草酸エ
チル、乳酸エチル、ヒルビン酸エチル、メタクリル酸エ
チルから選ばれる一種又は二種以上である(4)記載の
経時変化のない安定性に優れたPb系金属酸化物薄膜形
成用溶液、(6)(1)〜(5)記載のPb化合物を含
む加水分解性金属化合物の鉛原料が、酢酸鉛3水和物で
あり、ジルコニウム原科が、ジルコニウムテトラノルマ
ルブトキシド、ジルコニウムテトラタ−シャリ−ブトキ
シド、ジルコニウムテトライソプロポキシドから選ばれ
る一種であり、チタン原料が、チタンテトラエトキシ
ド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラノル
マルブトキシド、チタンテトラタ−シヤリ−ブトキシド
から選ばれる一種である経時変化のない安定性に優れた
Pb系金属酸化物薄膜形成用溶液、(7)(6)記載の
Pb系金属酸化物薄膜形成用溶液中の鉛濃度が6〜15
重量パ−セントであり、ジルコニウム濃度が1.0〜
2.5重量パ−セントであり、チタン濃度が0.5〜
1.5重量パ−セントであり、1−エトキシ−2−プロ
パノール、3−メトキシブタノ−ルから選ばれる一種を
用いて濃度調整を行う経時変化のない安定性に優れたP
b系金属酸化物薄膜形成用溶液、(8)(6)記載のP
b系金属酸化物薄膜形成用溶液に、ランタンを0.03
〜0.2重量パ−セント加える経時変化のない安定性に
優れたPb系金属酸化物薄膜形成用溶液、(9)(8)
記載のランタン原科が、酢酸ランタン1.5水である経
時変化のない安定性に優れたPb系金属酸化物薄膜形成
用溶液、(10)(6)〜(9)記載のPb系金属酸化
物薄膜形成用溶液に、アセチルアセトン、2−エチルヘ
キサン酸から選ばれる一種を2〜45重量パ−セント添
加する経時変化のない安定性に優れたPb系金属酸化物
薄膜形成用溶液、に特徴を有するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。本発明のPb系金属酸化物薄膜形成剤は、
有機金属化合物を溶解する有機溶媒として、1-アルコキ
シ-2-プロパノ−ル類、3-メトキシブタノ−ル類、また
は1−ブトキシエタノ−ル類よりなる群から選ばれる1
種又は2種以上の混合溶媒を用いることを特徴とする。
本発明において、1-アルコキシ-2-プロパノール類と
しては、1-メトキシ-2-プロパノ−ル、1-エトキシ-2-プ
ロパノ−ル、1-プロポキシ-2-プロパノ−ル、1-n-ブト
キシ-2-プロパノ−ル、1-イソフ゛トキシ-2-プロパノ−
ル、1-セカンダリ−ブトキシ-2-プロパノ−ル、1-タ−
シャリ−ブトキシ-2-プロパノ−ル等が挙げられ、これ
らのうち、特に、1-エトキシ-2-プロパノ−ルが好まし
い。また3-メトキシブタノ−ル類としては、3-メトキシ
ブタノ−ル、3-メトキシ-3-メチルブタノ−ル、3-メト
キシ-3-エチルブタノ−ル、3-メトキシ-3-プロピルブタ
ノ−ル、3-メトキシ-2-メチルブタノ−ル、3-メトキシ-
2-エチルブタノ−ル、3-メトキシ-2-プロピルブタノ−
ル、3-メトキシ-1-メチルブタノ−ル、3-メトキシ-1-
エチルブタノ−ル、3-メトキシ-1-プロピルブタノ−ル
等が拳げられ、これらのうち、特に、3-メトキシブタノ
−ル、3-メトキシ-3-メチルブタノ−ルが好ましい。ま
た1-ブトキシエタノ−ル類としては1-n-ブトキシエタノ
−ル、1-イソブトキシエタノ−ル、1-セカンダリ−ブト
キシエタノ−ル、1-タ−シャリ−ブトキシエタノ−ル等
が挙げられ、これらのうち、特に、1-n-ブトキシエタノ
−ルが好ましい。 本発明においては、有機溶媒とし
て、これら3種類の溶媒の2つ以上の混合溶媒を用いる
場合、その混合割合には特に制眼はなく、任意の混合比
を採用することがてきる。
【0011】本発明においては、上記特定の有機溶媒を
用いることから、有機金属化合物には特に制限を受け
ず、Pb系金属酸化物薄膜を構成する金属元素の金属ア
ルコキシド、例えば、ブトキシド、エトキシド、プロポ
キシド、イソプロポキシド、2-メトキシエトキシド、2-
エトキシエトキシド、1-エトキシ-2-プロポキシド、イ
ソアミルアルコキシド等および金属カルボン酸塩、2,2-
ジメチル酪酸塩、3,3-ジメチル酪酸塩、2,3-ジメチル酪
酸塩、3-メチルペンタン酸塩、3,3-ジメチルペンタン酸
塩、2,3-ジメチルペンタン酸塩、3-エチルヘキサン酸塩
などその他、アセチルアセトン金属錯体、ヒドロキシア
セトン金属錯体等の有機金属化合物の中から任意の組合
せで用いることができる。本発明のPb系金属酸化物薄
膜形成剤は、前記特定の有機溶剤に対して、この様な有
機金属化合物を、所定の組成比で、金属酸化物薄膜形成
体中の金属の酸化物換算の合計濃度が5〜15重量パ−
セントとなるように溶解させることにより調整すること
ができる。
【0012】尚、本発明で形成されるPb系金属酸化物
薄膜としてはチタン酸鉛(PT)、チタン酸ジルコン酸
鉛、(PZT)、ランタン含有チタン酸ジルコン酸鉛
(PLZT)、ランタン含有チタン酸鉛(PLT)、ラ
ンタン含有ジルコン酸鉛(PLZ)、マグネシウム含有
ニオブ酸鉛(PMN)等が挙げられる。
【0013】また、上記溶媒に溶解して作製するPb系
金属酸化物薄膜形成剤には、以下に記載する安定化剤を
所定量添加することにより長期保存に対する安定性が向
上するだけでなく、大気中水分に対する安定性が著しく
向上し、湿度の高い環境下においても、膜厚、屈折率の
ばらつきが押さえられる効果がある。安定化剤として
は、アセチルアセトン、べンゾイルアセトン、ジべンゾ
イルアセトン、ジイソブチルメタン、ジビパロイルメタ
ン、3−メチルペンタン−2,4−ジオン、2,2−ジメ
チルペンタン−3,5−ジオン等のβ-ジケトン類、3−
オキソブタン酸エチル等のβ−ケトエステル類、2−エ
チルヘキサン酸、2−エチル酪酸等のカルボン酸類、エ
タノ−ルアミン、ジエタノ−ルアミン、トリエタノ−ル
アミン、2−(メチルアミン)エタノ−ル等のエタノ−
ルアミン類、1,3−ブタンジオ−ル、1,5−ペンタ
ンジオールなどのジオ−ル類、酢酸エチル、酢酸イソプ
ロピル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、酢酸−2−
メトキシエチル、プロピオン酸イソブチル、n−酪酸イ
ソプロピル、酪酸エチル、イソ吉草酸エチル、乳酸エチ
ル、ヒルビン酸エチル、メタクリル酸エチル等のエステ
ル類が挙げられるが、その中でも特にアセチルアセト
ン、2−エチルヘキサン酸が望ましい。安定化剤の添加
量は、薄膜形成用溶液中の酸化物モル数に対して0.0
5〜10倍モル、好ましくは0.5〜5倍モルである。
安定化剤は添加量が多すぎると安定性の低下が危惧さ
れ、少なすぎると安定化剤の効果が得られない。
【0014】このような本発明の金属酸化物薄膜形成剤
により金属酸化物薄膜を形成するには、スピンコート法
により、Pt、Si、Pt/Ti/SiO2/Si、Pt
/Ta/SiO2/Si、Pt/SiO2/Si、Ru/
RuO2/SiO2/Si、RuO2/Si、RuO2/Ru
/SiO2/Si、Ir/IrO2/Si、Pt/Ir/
IrO2/Ir、Pt/IrO2/Si等の基板上に本発
明の金属酸化物薄膜形成剤を塗布し、乾燥(仮焼成)及
び本焼成を行う。なお,1回の塗布では、所望の膜厚が
得られない場合には、塗布、乾燥の工程を複数回繰り返
し行った後、本焼成を行う。ここで、乾燥は、150〜
400℃で行われ、本焼成は450〜800℃で30分
〜2時間程度行われる。このようにして形成される金属
酸化物薄膜の厚さは、通常の場合、300〜5000Å
程度である。
【0015】また,本発明においては、任意のPb系金
属化合物を任意の組成比で混合し、上述した溶媒に溶解
することにより任意の組成を有するPb系金属酸化物薄
膜を得ることができるが、特にPZT薄膜形成用溶液、
あるいはPLZT薄膜形成用溶液において、各金属成分
の添加量を制御し、ある特定の組成を有する薄膜形成用
溶液を作製した場合、その溶液は高い安定性を有すると
共に、その溶液を用いて塗布成膜したPZT、あるいは
PLZT薄膜は優れた電気的特性を有する物となる。優
れた電気的特性とはこの場合、高い比誘電率(ε)を有
すること、強誘電特性を測定したときに高い残留分極値
(Pr)を有すること、さらに電界を印可したときにリ
ーク電流値が小さいこと等が挙げられる。これらの特性
値は形成したPb系酸化物薄膜の膜組成に大きく依存
し、従って薄膜形成用溶液を作製する場合、目的の組成
の膜が得られるように金属原料の添加量を制御すること
が重要となる。
【0016】今回の発明においては溶液中鉛濃度が6〜
15重量パーセントであり、ジルコニウム濃度が1.0
〜2.5重量パーセントであり、チタン濃度が0.5〜
1.5重量パーセントであり、1−エトキシ−2−プロ
パノール、3−メトキシブタノールから選ばれる一種を
用いて濃度調整を行う場合が特に望ましい。また、この
PZT薄膜形成用溶液にランタンを0.03〜0.2重
量パーセント加えて、PLZT薄膜形成剤としてもよ
い。さらにこれらのPZT、PLZT溶液に安定化剤と
して特にアセチルアセトン、2−エチルヘキサン酸から
選ばれる一種を2〜45重量パーセント添加しても良
い。
【0017】またこの場合、鉛原科が酢酸鉛3水和物で
あり、ジルコニウム原科がジルコニウムテトラノルマル
ブトキシド、ジルコニウムテトラターシャリーブトキシ
ド、ジルコニウムテトライソプロポキシドから選ばれる
一種であり、チタン原料がチタンテトラエトキシド、チ
タンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブ
トキシド、チタンテトラターシャリーブトキシドから選
ばれる一種であることが望ましい。ランタン原料として
は酢酸ランタン1.5水であることが望ましい。これら
の金属原料の範囲内では特に優れた電気的性質を有する
PZT薄膜、PLZT薄膜が得られる。
【0018】以上のようにして形成したPb系金属酸化
物形成用溶液は、優れた安定性を有しかつ、溶液中の金
属組成を調整することにより優れた電気特性を有するP
b系金属酸化物薄膜を得ることができる。
【0019】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をよ
り具体的に説明する。 [実施例1]酢酸鉛3水和物11.99gを1−エトキ
シ−2−プロパノールに溶解し、共沸脱水を行い溶液中
の水分を除去した後、ジルコニウムテトラノルマルブト
キシド6.75g、チタンテトライソプロポキシド3.
97gを順次溶解させ、140℃での加熱環流を一時間
行い、最終的に1−エトキシ−2−プロパノ−ルで濃度
調整を行うことにより10wt%PZT(110/52
/48)溶液100gを合成した。この溶液を気温25
℃、湿度45%のクリ−ンル−ム内にて保存した場合の
経過日数に対する成膜時の膜厚測定、屈折率測定を行っ
た結果を表1に示す。尚、成膜はシリコン基板上に溶液
を滴下し、500rpm×3sec、3000rpm×
15sec、の条件でスピンコ−ト塗布し、続いて40
0℃のホットプレ−ト上にて10min焼成する事によ
り行った。膜厚、屈折率はエリプソメ−タ−を用いて測
定した。
【0020】
【表1】 この結果から、1−エトキシ−2−プロパノールを溶媒
として使用したPZT薄膜形成用溶液は経過日数に対す
る膜厚、屈折率変化が少なく、長期安定性に優れている
といえる。
【0021】[実施例2]酢酸鉛3水和物11.99g
を3−メトキシブタノールに溶解し、共沸脱水を行い溶
液中の水分を除去した後、ジルコニウムテトラノルマル
ブトキシド6.75g、チタンテトライソプロポキシド
3.97gを順次溶解させ、140℃での加熱環流を一
時間行い、最終的に3−メトキシブタノールで濃度調整
を行うことにより10wt%PZT(110/52/4
8)溶液を100g合成した。この溶液を気温25℃、
湿度45%のクリーンルームにて保存した場合の経過日
数に対する成膜時の膜厚測定、屈折率測定を行った結果
を表2に示す。尚、成膜はシリコン基板上に溶液を滴下
し、500rpm×3sec、3000rpm×15s
ecの条件でスピンコート塗布し、続いて400℃のホ
ットプレート上にて100min焼成する事により行っ
た。膜厚、屈折率はエリプソメーターを用いて測定し
た。
【0022】
【表2】 この結果から、3−メトキシブタノールを溶媒として使
用したPZTゾルゲル溶液は経過日数に対する膜厚、屈
折率変化が極めて少なく、長期安定性に優れていると言
える。
【0023】[実施例3]溶媒を3-メトキシ-3-メチ
ルブタノールに変更した以外は実施例1,2と同様なプ
ロセスで合成した10wt%PZT(110/52/4
8)溶液を気温25℃、湿度45%のクリ−ンルームに
て保存した場合の経過日数に対する成膜時の膜厚測定、
屈折率測定を行った結果を表3に示す。
【0024】
【表3】 この結果から、3−メトキシ3−メチルブタノールを溶
媒として使用したPZTゾルゲル溶液は経過日数に対す
る膜厚、屈折率変化が極めて少なく、長期安定性に優れ
ているといえる。
【0025】[実施例4]溶媒を1−n−ブトキシエタ
ノールに変更した以外は実施例1,2と同様なプロセス
で合成した10wt%PZT(110/52/48)溶
液を気温25℃、湿度45%のクリ−ンルームにて保存
した場合の経過日数に対する成膜時の膜厚測定、屈折率
測定を行った結果を表4に示す。
【0026】
【表4】 この結果から、1−n−ブトキシエタノールを溶媒とし
て使用したPZTゾルゲル溶液は経過日数に対する膜
厚,屈折率変化が極めて少なく、長期安定性に優れてい
るといえる。
【0027】[実施例5]酢酸鉛3水和物23、87
g、酢酸ランタン0.22gを1−エトキシ−2−プロ
パノールに溶解し、共沸脱水を行い溶液中の水分を除去
した後、ジルコニウムテトラノルマルブトキシド13.
44g、チタンテトライソプロポキシド7.91gを順
次溶解させ、140℃での加熱環流を一時間行い、最終
的に1−エトキシ−2−プロパノールで濃度調整を行う
ことにより20wt%PLZT(110/1/52/4
8)溶液を100g合成した。この溶液を気温25℃、
湿度45%のクリーンルームにて保存した場合の経過日
数に対する成膜時の膜厚測定、屈折率測定を行った結果
を表5に示す。尚、成膜はシリコン基板上に溶液を滴下
し、500rpm×3sec、3000rpm×15s
ecの条件でスピンコート塗布し、統いて400℃のホ
ットプレート上にて10min焼成することにより行っ
た。膜厚、屈折率はエリプソメーターを用いて測定し
た。
【0028】
【表5】 この結果から、1−エトキシ−2−プロパノールを溶媒
として使用したPLZTゾルゲル溶液は20wt%の高
濃度溶液を作製した場合にも経過日数に対する膜厚、屈
折率変化が極めて少なく、長期安定性に優れているとい
える。
【0029】[実施例6]溶媒を3−メトキシブタノー
ルに変更した以外は実施例5と同様なプロセスで合成し
た20wt%PLZT(110/1/52/48)溶液
を気温25℃、湿度45%のクリーンルームにて保存し
た場合の経過日数に対する成膜時の膜厚測定、屈折率測
定を行った結果を表6に示す。
【0030】
【表6】 この結果から、3−メトキシブタノールを溶媒として使
用したPZTゾルゲル溶液は20wt%の高濃度溶液を
作製した場合にも経過日数に対する膜厚、屈折率変化が
極めて少なく、長期安定性に優れているといえる。
【0031】[実施例7]溶媒を3-メトキシ-3-メチ
ルブタノールに変更した以外は実施例5と同様なプロセ
スにて合成した20wt%PLZT(110/1/52
/48)溶液を気温25℃、湿度45%のクリーンルー
ムにて保存した場合の経過日数に対する成膜時の膜厚測
定、屈折率測定を行った結果を表7に示す。
【0032】
【表7】 この結果から、3−メトキシ-3-メチルブタノ−ルを溶
媒として使用したPLZTゾルゲル溶液は20wt%の
高濃度溶液を作製した場合にも経過日数に対する膜厚、
屈折率変化が極めて少なく、長期安定性に優れていると
言える。
【0033】[実施例8]溶媒を1−n−ブトキシエタ
ノールに変更した以外は実施例5と同様なプロセスで合
成した20wt%PLZT(110/1/52/48)
溶液を気温25℃、湿度45%のクリーンルームにて保
存した場合の経過日数に対する成膜時の膜厚測定、屈析
率測定を行った結果を表8に示す。
【0034】
【表8】 この結果から、1−n−ブトキシエタノールを溶媒とし
て使用したPLZTゾルゲル溶液は20wt%の高濃度
溶液を作製した場合にも経過日数に対する膜厚、屈析率
変化が極めて少なく、長期安定性に優れているといえ
る。
【0035】[実施例9]実施例1おいて、140℃加
熱環流の前に添加剤としてアセチルアセトンを5.76
g添加し、その後に加熱環流を行い、最終的に1−エト
キシ−2−プロパノールを用いて濃度調整を行い、10
wt%PZT(110/52/48)を合成した。得ら
れたゾルゲル液を実施例1と同様にシリコン基板上に成
膜し、経過日数に対する膜厚、屈折率測定結果を表9に
示す。
【0036】
【表9】 この結果から、1−エトキシ−2−プロパノールを溶媒
として使用し、添加剤としてアセチルアセトンを添加し
たPZT溶液は経時変化が極めて少なく、長期安定性に
優れているといえる。またさらに、上記溶液を湿度65
%に設定したクリーンルーム内において保存し、同様に
成膜を行い、膜厚、屈折率変化を測定したが、膜厚、屈
折率とも湿度45%で保存した場合とほぽ同じ値を示し
た。この結果から、添加剤を加えることにより長期安定
性に優れているだけでなく、水分に対する安定性も向上
していることが明らかとなった。
【0037】[実施例10〜24]実施例9と同様な手
法で表10に示す酸化物溶液を表11に示す溶媒、添加
剤の組み合わせで合成し、シリコンウエハ上に成膜し、
経過日数に対する膜厚、屈折率をそれぞれ測定した結果
を表12に示す。これらの結果から溶媒と添加剤の組み
合わせ考慮することにより安定性に優れたPb系酸化物
薄膜形成用溶液が作製可能であることが分かる。
【0038】
【表10】
【0039】
【表11】
【0040】
【表12】
【0041】(比較例1)次いで、比較のために、従来
技術として、酢酸鉛3水和物11.99gを2−メトキ
シエタノ−ルに溶解し、共沸脱水を行い溶液中の水分を
除去した後、ジルコニウムテトラノルマルブトキシド
6.75g、チタンテトライソプロポキシド3.97g
を順次溶解させ、140℃での加熱環流を一時間行い、
最終的に2−メトキシエタノ−ルで濃度調整を行うこと
により10wt%PZT(110/52/48)溶液を
100g合成した。この溶液を気温25℃、湿度45%
のクリ−ンル−ムにて保存した場合の経過日数に対する
成膜時の膜厚測定、屈折率測定を行った結果を表13に
示す。尚、成膜はシリコン基板上に溶液を滴下し、50
0rpm×3sec、3000rpm×15secの条
件でスピンコ−ト塗布し、続いて400℃のホットプレ
−ト上にて10min焼成する事により行った。膜厚、
屈折率はエリプソメータ−を用いて測定した。
【0042】
【表13】 この結果から、従来用いていた2−メトキシエタノール
を溶媒として用いた場合には経過日数に対する膜厚、屈
折率のばらつきが大きく、長期安定性に問題があるとい
える。
【0043】(比較例2)次いで、比較のために、従来
技術として、酢酸鉛3水和物23.87g、酢酸ランタ
ン0.22gをイソプロピルアルコ−ルに溶解し、共沸
脱水を行い溶液中の水分を除去した後、ジルコニウムテ
トラノルマルブトキシド13.44g、チタンテトライ
ソプロポキシド7.91gを順次溶解させ、140℃で
の加熱環流を一時間行い、最終的にイソプロピルアルコ
−ルで濃度調整を行うことにより20wt%PLZT
(110/1/52/48)溶液を100g合成した。
この溶液を気温25℃、湿度45%のクリーンルームに
て保存した場合の経過日数に対する成膜時の膜厚測定、
屈折率測定を行った結果を表14に示す。尚、成膜はシ
リコン基板上に溶液を滴下し、500rpm×3se
c、3000×15secの条件でスピンコート塗布
し、続いて400℃のホットプレート上にて10min
焼成することにより行った。膜厚、屈折率はエリプソメ
ーターを用いて測定した。
【0044】
【表14】 この結果から、イソプロピルアルコ−ルを溶媒として使
用したPLZTゾルゲル溶液は20wt%の高濃度溶液
を作製した場合には経過日数に対する膜厚、屈折率変化
が大きく、長期安定性に問題があるといえる。
【0045】(比較例3)次いで、比較のために、従来
技術として、比較例1において、140℃加熱環流の前
に添加剤としてアセチルアセトンをPZT酸化物モル数
の2倍モル5.76g添加し、その後に加熱環流を行
い、最終的に2−メトキシエタノールを用いて濃度調整
を行い、10wt%PZT(110/52/48)を合
成した。得られたゾルゲル液を比較例1と同様にシリコ
ンウエハ上に成膜し、経過日数に対する膜厚、屈折率測
定結果を表15に示す。
【0046】
【表15】 この結果から、2−メトキシエタノールを溶媒として使
用し、添加剤としてアセチルアセトンを添加したPZT
溶液は経過日数に対する膜厚、屈折率のばらつきが大き
く、長期安定性に問題があるといえる。
【0047】[実施例25]実施例1で合成した10w
t%PZT(110/52/48)溶液をPt/Ti/
SiO2/Si基板上に5回成膜し、600℃1時間大
気中で焼成した後スパッタリングによりPt上部電極を
形成し、電気特性を測定したところ、比誘電率1000
であり、強誘電特性測定時(印可電圧5V)の残留分極
値は30μCcm-2の値が得られた。
【0048】[実施例26]実施例5で合成した20w
t%PLZT(110/1/52/48)溶液をPt/
Ti/SiO2/Si基板上に2回成膜し、600℃1
時間大気中で焼成した後スパッタリングにより、Pt上
部電極を形成し、電気特性を測定したところ、比誘電率
950であり、強誘電特性測定時(印可電庄5V)の残
留分極値は33μCcm-2の値が得られた。
【0049】
【発明の効果】溶媒を検討することにより、安定性の優
れたPb系金属酸化物薄膜形成用溶液を得ることが可能
となり、更に安定化剤としての添加剤を微量添加するこ
とにより安定性、耐大気中水分の著しく向上する溶液の
得られることが明らかとなった。また、本発明の溶液を
用いて、誘電体膜を形成したところ、優れた強誘電体特
性を示した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松浦 正弥 埼玉県大宮市北袋町1丁目297番地 三菱 マテリアル株式会社総合研究所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくともPb化合物を含む加水分解性金
    属化合物と、1-アルコキシ-2-プロパノ−ル類、3-メト
    キシブタノ−ル類、または1-ブトキシエタノ−ル類より
    なる群から選ばれる1種または2種以上の溶媒とからな
    る経時変化のない安定性に優れたPb系金属酸化物薄膜
    形成用溶液。
  2. 【請求項2】請求項1記載の1-アルコキシ-2-プロパノ
    −ル類が、1-エトキシ-2-プロパノ−ルであり、3-メト
    キシブタノ−ル類が、3-メトキシブタノ−ルあるいは3-
    メトキシ-3-メチルブタノ−ルであり、1-ブトキシエタ
    ノ−ル類が、1-n-ブトキシエタノ−ルであることを特徴
    とする経時変化のない安定性に優れたPb系金属酸化物
    薄膜形成用溶液。
  3. 【請求項3】上記Pb系金属酸化物が、チタン酸鉛(P
    bTiO3)、ジルコン酸鉛(PbZrO3)、チタン酸
    ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3)、ランタン含
    有チタン酸鉛((Pb,La)TiO3)、ランタン含有
    ジルコン酸鉛((Pb,La)ZrO3)、ランタン含有
    チタン酸ジルコン酸鉛((Pb,La)(Zr,Ti))
    3)、マグネシウム含有ニオブ酸鉛(Pb(Mg1/3
    b/2/ 3)O3、亜鉛含有ニオブ酸鉛(Pb(Zn1/3
    2/3)O3である請求項1および2記載の経時変化のな
    い安定性に優れたPb系金属酸化物薄膜形成用溶液。
  4. 【請求項4】請求項1〜3記載のPb系金属酸化物薄膜
    形成用溶液に、β-ジケトン類、β-ケトエステル類、カ
    ルボン酸類、エタノ−ルアミン類、ジオ−ル類、エステ
    ル類を、各々Pb系金属酸化物モル数に対して0.5倍
    〜5倍モル添加することを特徴とする経時変化のない安
    定性に優れたPb系金属酸化物薄膜形成用溶液。
  5. 【請求項5】β-ジケトン類が、アセチルアセトンであ
    り、β-ケトエステル類が、3-オキソブタン酸エチルで
    あり、カルボン酸類が、2-エチルヘキサン酸、2-エチル
    酪酸から選ばれる−種又は二種であり、エタノ−ルアミ
    ン類がエタノ−ルアミン、ジエタノ−ルアミン、トリエ
    タノ−ルアミン、2−(メチルアミル)エタノ−ルから
    選ばれる一種又は二種以上であり、ジオ−ル類が1,3−
    ブタンジオ−ル、1,5-ペンタンジオ−ルの一種又は二
    種以上であり、エステル類が酢酸エチル、酢酸イソプロ
    ピル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、酢酸-2-メト
    キシエチル、プロピオン酸イソブチル、n-酪酸イソプロ
    ピル、酪酸エチル、イソ吉草酸エチル、乳酸エチル、ヒ
    ルビン酸エチル、メタクリル酸エチルから選ばれる一種
    又は二種であることを特徴とする請求項4記載の経時変
    化のない安定性に優れたPb系金属酸化物薄膜形成用溶
    液。
  6. 【請求項6】請求項1〜5記載のPb化合物を含む加水
    分解性金属化合物の鉛原料が、酢酸鉛3水和物であり、
    ジルコニウム原科が、ジルコニウムテトラノルマルブト
    キシド、ジルコニウムテトラタ−シャリ−ブトキシド、
    ジルコニウムテトライソプロポキシドから選ばれる一種
    であり、チタン原料が、チタンテトラエトキシド、チタ
    ンテトライソプロポキシド、チタンテトラノルマルブト
    キシド、チタンテトラタ−シヤリ−ブトキシドから選ば
    れる一種であることを特徴とする経時変化のない安定性
    に優れたPb系金属酸化物薄膜形成用溶液。
  7. 【請求項7】請求項6記載のPb系金属酸化物薄膜形成
    用溶液中の鉛濃度が6〜15重量パ−セントであり、ジ
    ルコニウム濃度が1.0〜2.5重量パーセントであ
    り、チタン濃度が0.5〜1.5重量パーセントであ
    り、1-エトキシ-2-プロパノ−ル、3-メトキシブタノ−
    ルから選ばれる一種を用いて濃度調整を行うことを特徴
    とする経時変化のない安定性に優れたPb系金属酸化物
    薄膜形成用溶液。
  8. 【請求項8】請求項6記載のPb系金属酸化物薄膜形成
    用溶液に、ランタンを0.03〜0.2重量パ−セント
    加えることを特徴とする経時変化のない安定性に優れた
    Pb系金属酸化物薄膜形成用溶液。
  9. 【請求項9】請求項8記載のランタン原科が、酢酸ラン
    タン1.5水であることを特徴とする経時変化のない安
    定性に優れたPb系金属酸化物薄膜形成用溶液。
  10. 【請求項10】請求項6〜9記載のPb系金属酸化物薄
    膜形成用溶液に、アセチルアセトン、2−エチルヘキサ
    ン酸から選ばれる一種を2〜45重量パ−セント添加す
    ることを特徴とする経時変化のない安定性に優れたPb
    系金属酸化物薄膜形成用溶液。
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