JPH1179712A - 無機酸化物微粉末の製造方法 - Google Patents

無機酸化物微粉末の製造方法

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JPH1179712A
JPH1179712A JP25426997A JP25426997A JPH1179712A JP H1179712 A JPH1179712 A JP H1179712A JP 25426997 A JP25426997 A JP 25426997A JP 25426997 A JP25426997 A JP 25426997A JP H1179712 A JPH1179712 A JP H1179712A
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Takayoshi Sasaki
高義 佐々木
Jun Watanabe
遵 渡辺
Masanori Iida
正紀 飯田
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Ishihara Sangyo Kaisha Ltd
National Institute for Research in Inorganic Material
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Abstract

(57)【要約】 【課題】無機酸化物ゾルから無機酸化物微粉末を得る方
法として凍結乾燥法があが、この方法では分散性に優れ
た微粉末が得られるものの、生成物に比較してひじょう
に大量の水を凍結し真空乾燥することから、これに費や
すエネルギーはばく大であった。 【解決手段】無機酸化物ゾルに有機増粘剤を添加してゾ
ルをゲル化し、次にこのゲルを500℃以上の温度で焼
成して先ず水を蒸発し、次に有機増粘剤を燃焼させて無
機酸化物粒子の二次凝集を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無機酸化物ゾルに
有機増粘剤を添加し、ついで500℃以上の温度で焼成
することにより、無機酸化物微粉末を製造する方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】これまで無機酸化物ゾルから無機酸化物
微粉末を製造する方法として、無機酸化物のゾルを凍結
乾燥する方法などが知られている。しかしながら、凍結
乾燥法では、ゾル濃度を希薄にすればそれだけ分散性に
優れた微粉末が得られるものの、生成物に比較して非常
に大量の水を凍結し真空乾燥することから、これに費や
すエネルギーはばく大であり、分散性と経済性の両立が
とれなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、分散性に優
れた無機酸化物微粉末を工業的かつ経済的に製造する方
法を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、かかる課題
について鋭意研究を重ねた結果、無機酸化物ゾルに有機
増粘剤を添加して系内で有機ゲルを形成し、ついでこの
ゲルを焼成することにより、ゲル中の水を蒸発させ、引
き続き有機物を焼き尽くして、無機酸化物の二次凝集を
抑えながらゾル中の無機粒子を微粉末として回収し得る
ことを見い出し、この知見に基づいて本発明をなすに至
った。すなわち本発明は、無機酸化物ゾルに有機増粘剤
を添加し、ついで500℃以上の温度で焼成して無機酸
化物微粉末を製造する方法である。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明においては、先ず、無機酸
化物ゾルに有機増粘剤を添加してゾル中の無機粒子を均
一に分散させた状態でゲル化する。本発明において用い
られる無機酸化物ゾルは、乾燥または焼成により目的と
する酸化物になるようなものであり、例えば、酸化チタ
ン微粉末を得ようとする場合には、酸化チタンゾルまた
は水酸化チタンゾルを用いる。その他、目的とする酸化
物微粉末により、酸化亜鉛ゾル、酸化鉄ゾル、シリカゾ
ル、アルミナゾル或いはそれぞれの水酸化物ゾルなどが
用いられる。なお本発明でいう酸化物とは、酸化物の
他、水和酸化物、含水酸化物、水酸化物などを総称した
ものをいう。また、無機酸化物ゾルの一次粒子の形状
は、粒状(球状)、針状(棒状)、薄片状(板状)、紡
錘状など、あらゆる形状のものを用いることができる。
ゾルの固形分濃度は普通1〜30重量%のものが適当で
ある。これより固形分濃度が小さくなり過ぎると後記す
る焼成工程での熱源、装置等で経済的でなくなり、また
大きくなり過ぎると無機粒子の分散が不安定となるので
好ましくない。
【0006】本発明において用いられるゾル中の無機酸
化物は、その粒子が粒状の場合は、粒子径が0.005
〜0.2μmのものであり、薄片状の場合は、縦の長さ
が0.1〜100μm、横の長さが0.1〜100μ
m、厚みが0.0005〜0.2μmのものであり、針
状の場合は、長軸の長さが0.1〜10μmであり、軸
比が5〜50のものであり、紡錘状の場合は、長軸の長
さが0.01〜1μmであり、軸比が2〜10のもので
ある。一般に、無機酸化物ゾルには、ゾルの安定化剤、
pH調節剤等の成分が添加されているが、本発明におい
ては、このような成分を含んでいてもそのまま使用する
ことができる。
【0007】本発明において用いられる有機増粘剤は、
例えば、ステアリン酸、ステアリルアミン、ゼラチン、
ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコールな
どがあげられるが、これらはゾルに添加することによ
り、ゾルを構成する無機物粒子の分散性を損なわずに、
ゾルをゲル化するようなものであり、ゾルの種類、形態
などによって選択する必要がある。例えば、酸性水酸化
チタンゾルに対しては、ステアリルアミンなどが、水酸
化鉄ゾルに対しては、水酸化鉄粒子が電荷反発により分
散していることから、アルキルセルロース化合物や高分
子多糖類などの非イオン性の有機増粘剤が用いられる。
【0008】本発明方法において、有機増粘剤は無機酸
化物粒子の各粒子間に存在して各粒子の二次凝集を防ぐ
作用をする。すなわち、ゾルに有機増粘剤を添加してゾ
ルをゲル化し、得られたゲルを焼成すると先ず水が蒸発
する。次に、ゲルを構成する無機物粒子間に存在する該
有機増粘剤は、無機物粒子の二次凝集を防ぎつつ徐々に
燃焼して(燃え尽きて)二次凝集の少ない無機物微粉末
を得ることができる。従って、粒子と粒子を接触させな
いために十分な量の有機増粘剤を配合することが望まし
いが、逆に多く配合しすぎると、生産効率、コストの点
で好ましくない。有機増粘剤は、無機酸化物ゾルの固形
分の体積基準で50〜1000%、好ましくは100〜
300%の範囲で配合するのが望ましい。また、有機増
粘剤は、焼成により水より後に燃え尽きる必要があるこ
とから沸点が100℃を越えるもの、望ましくは200
℃以上の引火点をもつものが適している。更には、灰分
が少ないものがよい。灰分としては、1%以下、望まし
くは0.01〜0.1%である。有機増粘剤をゾルに添
加する際に、ゾルを例えば40〜90℃に加熱しながら
添加して該増粘剤のゾルとの混合を促進することができ
る。
【0009】本発明においては無機粒子が均一に分散し
ているゲルを焼成して無機粒子を微粉末として回収す
る。焼成は、500℃以上の温度で、普通500〜12
00℃、望ましくは600〜800℃で行う。本発明に
おいては、ゾル粒子が均一に分散された状態でゲル化さ
れ、ゲル中の粒子は個々の粒子間に有機増粘剤が介在し
ており、焼成によって、先ず水が蒸発し、次に該有機増
粘剤が燃え尽きるので、二次凝集の少ない微粉末を容易
に得ることができる。
【0010】次に、実施例によって本発明をさらに詳し
く説明するが、これらは本発明を限定するものではな
い。
【実施例】
実施例1 ビーカーにTiO2として重量基準で5%の濃度の薄片状の
チタニアゾル(一次粒子の寸法:長軸の長さ5μm、短
軸の長さ4μm、厚み0.001μm、分散安定剤とし
て3.6重量%のアミノメチルプロパノールを含有)を
入れ、この中にステアリン酸をチタニアに対して体積基
準で100%添加し、攪拌してゲル化させた後ルツボに
移し、電気炉に入れ、650℃で1時間焼成して本発明
の薄片状二酸化チタン微粉末を得た。このものの電子顕
微鏡写真を図1として示す。図1より、二次凝集の少な
い厚み30nm前後の薄片状酸化チタン粒子が得られた
ことがわかる。この微粉末を、手の甲に少量とってのば
してみたところ、肌でののびは良好であった。
【0011】実施例2 上記実施例1において、増粘剤としてステアリン酸に代
えてステアリルアミンをチタニアに対して体積基準で1
00%添加すること以外は同様にして本発明の薄片状二
酸化チタン微粉末を得た。この微粉末は、実施例1と同
様に肌でののびは良好であった。
【0012】実施例3 上記実施例1において、500℃で1時間焼成すること
以外は同様にして本発明の薄片状二酸化チタン微粉末を
得た。この微粉末は、実施例1と同様に肌でののびは良
好であった。
【0013】実施例4 上記実施例2において薄片状チタニアゾルに代えて粒状
チタニアゾル(一次粒子の寸法:平均粒形30nm、分
散安定剤として塩酸を含有)を用いたこと以外は同様に
して本発明の粒状二酸化チタン微粉末を得た。このもの
の電子顕微鏡写真を図2として示す。図2より、二次凝
集の少ない30nm前後の二酸化チタン粒子が得られた
ことがわかる。また、実施例1と同様に、肌でののびは
良好であった。
【0014】比較例1 上記実施例1で使用した薄片状のチタニアゾルを650
℃で1時間乾燥、焼成した後、コロプレックスミルを用
いて粉砕して、比較試料とした。このものの電子顕微鏡
写真を図3として示す。図3より、厚み300nm前後
の板状粒子が観られることから、薄片状チタニアゾル粒
子が重なる様に二次凝集して焼結したことがわかる。こ
の粉末について、実施例1と同様にして、肌でのびを調
べたところ、ザラツキがあって、のびは悪かった。
【0015】
【発明の効果】本発明においては、無機酸化物ゾル中に
有機増粘剤を添加してゲル化することにより、無機物粒
子間に該増粘剤を介在させてゲル中で無機物粒子を均一
に安定して存在させ、次に焼成することにより、先ず水
を蒸発させ、次に該増粘剤を燃焼させるので、無機物粒
子は二次凝集の少ない微粉末として回収することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法により得た薄片状酸化チタン粉末
の走査型電子顕微鏡写真を示す。
【図2】本発明の方法により得た酸化チタン粉末の走査
型電子顕微鏡写真を示す。
【図3】薄片状チタニアゾルをそのまま焼成して得た板
状酸化チタン粉末の走査型電子顕微鏡写真を示す。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機酸化物ゾルに有機増粘剤を添加し、
    ついで500℃以上の温度で焼成することを特徴とする
    無機酸化物微粉末の製造方法。
  2. 【請求項2】 無機酸化物ゾルが酸化チタン、酸化亜
    鉛、酸化鉄、酸化珪素或いは酸化アルミニウムのゾルで
    ある請求項1に記載の無機酸化物微粉末の製造方法。
  3. 【請求項3】 無機酸化物ゾルが水酸化チタン、水酸化
    亜鉛、水酸化鉄、水酸化珪素或いは水酸化アルミニウム
    のゾルである請求項1に記載の無機酸化物微粉末の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 無機酸化物ゾルが薄片状酸化チタン、粒
    状酸化チタン、針状酸化チタン或いは紡錘状酸化チタン
    のゾルである請求項1に記載の無機酸化物微粉末の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 無機酸化物ゾルが薄片状水酸化チタン、
    粒状水酸化チタン、針状水酸化チタン或いは紡錘状水酸
    化チタンのゾルである請求項1に記載の無機酸化物微粉
    末の製造方法。
  6. 【請求項6】 有機増粘剤が高級カルボン酸である請求
    項1に記載の無機酸化物微粉末の製造方法。
  7. 【請求項7】 有機増粘剤が高級アルキルアミンである
    請求項1に記載の無機酸化物微粉末の製造方法。
  8. 【請求項8】 有機増粘剤が蛋白質誘導体である請求項
    1に記載の無機酸化物微粉末の製造方法。
  9. 【請求項9】 有機増粘剤がアルキルセルロース化合物
    である請求項1に記載の無機酸化物微粉末の製造方法。
  10. 【請求項10】 500〜1200℃の温度で加熱する
    請求項1に記載の無機酸化物微粉末の製造方法。
  11. 【請求項11】 有機増粘剤を無機酸化物に対し体積基
    準で50〜1000重量%添加する請求項1に記載の無
    機酸化物微粉末の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2007105705A1 (ja) * 2006-03-14 2007-09-20 Ishihara Sangyo Kaisha, Ltd. 可視光応答型光触媒及びその製造方法並びにそれを用いた光触媒コート剤、光触媒分散体

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