JPH1177501A - ガラス板端部の加工方法 - Google Patents

ガラス板端部の加工方法

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Publication number
JPH1177501A
JPH1177501A JP24146297A JP24146297A JPH1177501A JP H1177501 A JPH1177501 A JP H1177501A JP 24146297 A JP24146297 A JP 24146297A JP 24146297 A JP24146297 A JP 24146297A JP H1177501 A JPH1177501 A JP H1177501A
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JP
Japan
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grindstone
polishing
polished
glass plate
edge
Prior art date
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Application number
JP24146297A
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English (en)
Inventor
Yukifumi Oketani
幸史 桶谷
Takahiro Murakami
隆弘 村上
Arata Kakihara
新 柿原
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AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
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Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Glass Co Ltd filed Critical Asahi Glass Co Ltd
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Publication of JPH1177501A publication Critical patent/JPH1177501A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Grinding And Polishing Of Tertiary Curved Surfaces And Surfaces With Complex Shapes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】ガラス板のエッジ強度を高める。 【解決手段】ガラス板1の端面を単一の砥石2cを用い
て1回で研磨仕上げする。またはガラス板の端面を平均
砥粒径が160μm以下でそれぞれ砥粒径が異なる複数
個の砥石を用いて研磨仕上げする。さらに、稜部を平均
砥粒径が45μm以下の砥石2a、2bで研磨し、稜部
研磨面の最大クラック深さが0.065mm以下となる
ように研磨仕上げする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はガラス板端部の研磨
加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ガラス板を切断した後、ガラス板の切断
端面を研削していない状態では、ガラス板のエッジ部に
応力が負荷されると稜部(ガラス板表面と端面との間の
境界の角部)、特に切断の際にホイールカッターやダイ
ヤモンドカッターで切線(切断溝)を入れた部分より破
壊が起こる。また、8mm以上、特に10mmを超える
厚板ガラスは切断時に切断端面がガラス板の表面部に対
して垂直な面にならず斜めに切断される場合がある。
【0003】特に端面が露出するガラス扉等に用いる建
築用のガラス板においては、端面の仕上りを充分良好に
するとともに充分な強度を保つ必要がある。
【0004】そこで従来より、特に建築用のガラス板を
製造する場合、強度や外観品質を充分に向上させるため
に、平均砥粒径の大きな砥石から順次小さな砥石を用い
てガラス板の端部を研磨加工していた。
【0005】すなわち、建築用のガラス板は、その用途
に応じて端面が露出するように使用される場合が多い
(例えば上記のガラス扉)。そのため、最終的には端面
の仕上げを平均砥粒径の小さい砥石で行うことが求めら
れる。一方で、全般に建築用のガラス板の厚みは厚く、
ガラス板を所定寸法に切断する際の切線をガラス板の表
面に設けた後に折り割りする切断によれば、切断された
ガラス板の端面がガラス板の表面に対して垂直にならな
い(上述)。
【0006】したがって、ガラス板の端面の仕上りを良
好するにあたっては、まずこの端面をガラス板表面に対
して垂直にする処理が必要であった。そのため、まず端
面を表面に対して垂直になるように研削効率のよい平均
砥粒径の大きい砥石を用いて、ガラス板端部の余剰部分
を削り落とし、その後、順次平均砥粒径の小さいものに
砥石を変えていき端面を研削することにより、端面の仕
上りを良好なものとしている。
【0007】図8は従来のガラス板端部の研磨加工方法
の配置構成図である。
【0008】研磨すべきガラス板1が矢印Aのように搬
送され、その搬送路に沿って、複数個(図の例では6
個)の端面研磨用カップ型砥石2および端面両側の稜部
研磨用の2個のカップ型砥石2a、2bが連続的に一直
線上に配設される。複数個並んだ端面研磨用の砥石2
は、最初にガラス板の表面に対し端面を垂直な面とする
ために、平均砥粒径が大きく研削効率の高い#80番
(平均砥粒径230μm)の砥石が配設され、この後順
番に砥粒径を小さくして、例えば#100番(平均砥粒
径190μm)、#120番(平均砥粒径160μ
m)、#140番(平均砥粒径140μm)、#170
番(平均砥粒径120μm)と並べ、最後に必要とする
仕上げ面(粗摺り仕上げ、磨き仕上げ、つや出し仕上げ
等)に応じた砥粒径の番手の砥石が配設される。図は粗
摺り仕上げ用の#200番(平均砥粒径100μm)の
砥石を用いている。なお、磨き仕上げでは#500番
(平均砥粒径45μm)、つや出し仕上げでは#800
番(平均砥粒径30μm)の砥石が通常用いられる。
【0009】このような端面研磨用の複数の砥石2の後
に、2個の稜部研磨用の砥石2a、2bがそれぞれ稜部
を研磨するように回転軸を傾斜させて配置される。これ
らの稜部研磨用の砥石2a、2bとしては#270番
(平均砥粒径65μm)の砥石が用いられていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来のガラス板端部の加工方法では、最初に平均砥粒径の
大きな砥石(#80、#100等)でガラス板の端面が
研磨されるため、この端面に、平均砥粒径が小さな砥石
の場合に比べ大きなクラック(研磨きず)が発生する。
このクラックの一部は、後続の平均砥粒径が小さな砥石
で研磨した際にその砥粒が衝突し、小さな砥粒によるク
ラックが重畳する状態となって、クラックがさらに深く
進行してガラス板の端面内部に残留する。これらの深い
クラックは、ガラスエッジの強度品質を低下させる。
【0011】さらに、このような端面研磨によるクラッ
クの中で、特に稜部近傍のクラックは、稜部の研磨時に
砥粒の衝突によりクラックがさらに深く進展して強度品
質をさらに低下させる。このような深いクラックがある
と、ガラス板に大きな応力が作用したときに、このクラ
ックを起点としてガラス板が破壊する原因となる。
【0012】本発明は上記従来技術の欠点に対処してな
されたものであって、簡単な構造で特殊な研磨ホイール
を用いることなく、研磨表面のクラックの深さを抑えて
ガラス板のエッジ強度を増大させるガラス板端部の加工
方法の提供を目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明では、ガラス板の端面を、その最終仕上げに
対応した平均砥粒径の砥石のみを用いて研削し、端面の
最大クラック深さが0.09mm以下となるように研磨
仕上げするガラス板端部の加工方法を提供する。
【0014】この方法によれば、ガラス板の端面が最終
仕上げ用の小さな砥粒径の砥石で研磨されるため、大き
なクラックは発生しない。また単一の砥石で1回の研磨
工程で研磨するため、後工程の研磨によりクラックが進
展することはなく、最初に生じた浅いクラックのみが端
面に残留する。したがって、ガラス板の端面の強度が低
下することがなくなる。
【0015】この場合、平均砥粒径が100μm以下の
砥石(#200番より細かい砥石)を用いることが好ま
しい。これにより、大きなクラックの発生が充分防止さ
れる。
【0016】ガラス板の端面の最大クラック深さが0.
09mm以下となるように研磨仕上げする。これによ
り、クラック先端の応力集中が抑えられ、エッジ強度が
増大する。
【0017】クラックの長さ(深さ)をa、ガラス板の
破壊応力をσとすると、 K=σy(πa)1/2 となる。ただし、Kは材質により定まる破壊靱性値であ
り、yは形状により定まる係数である。すなわち、ある
クラック長さaに対し、応力を徐々に増加して上式がK
を超えるとガラス板が破壊する。したがって、ガラス板
として必要な強度σに対し、上式をK以下とするような
許容クラック長さaが定まる。通常の建築用のガラス板
としては、このクラック長さaは0.09mmであり、
クラック長さをこれ以下に抑えることにより、ガラス板
の強度を充分に保つことができる。
【0018】研磨工程において、このようなクラックの
長さに影響するファクターとしては、(1)研磨面を冷
却して研磨効率を上げるための研削水の有無、(2)砥
石の摩耗状態や表面の凹凸状態による研磨抵抗、(3)
砥石の回転速度、(4)ガラス板の送り速度等がある。
これらを適宜選定することにより、クラック長さを所望
の範囲内に抑えることができる。
【0019】さらに本発明では、ガラス板の端面を平均
砥粒径が160μm以下でそれぞれ砥粒径が異なる複数
個の砥石を用いて研磨仕上げするガラス板端部の加工方
法を提供する。
【0020】ガラス板の端面を、平均砥粒径が大きい砥
石から順次小さい砥石を用いて研削することにより研磨
仕上げするガラス板端部の加工方法において、平均砥粒
径が大きい砥石から小さい砥石へ順次用いるにあたり、
最初に用いる砥石を平均砥粒径が160μm以下のもの
とすることを特徴とするガラス板端部の加工方法。
【0021】この構成においては、端面は複数個の砥石
を用いて複数回の研磨工程により研磨されるが、最初の
砥石の平均砥粒径が160μm以下(#120番より細
かい砥石)であるため、これにより発生するクラックは
非常に浅いクラックである。したがって、その後さらに
細かい砥粒径の砥石で研削しても、大きな応力集中が起
こる程にクラックが深く進展することはなく、エッジは
充分高い強度に保たれる。
【0022】さらに好ましくは、端面の最大クラック深
さが0.09mm以下となるように研磨仕上げする。こ
れにより、前述のように、クラック先端の応力集中が抑
えられ、エッジ強度が増大する。
【0023】さらに本発明においては、前述のように端
面を研磨した後、ガラス板の稜部を平均砥粒径が45μ
m以下の砥石で研磨し、稜部研磨面の最大クラック深さ
が0.065mm以下となるように研磨仕上げするガラ
ス板端部の加工方法を提供する。
【0024】この方法においては、破壊起点となりやす
いガラス板の稜部を研磨によって表面の最大クラック深
さを0.065mm以下に仕上げるので、稜部に存在す
るクラックへの応力集中を低減させることができる。ま
た、平均砥粒径が45μm以下の砥石(#500番より
細かい砥石)で研磨すると、稜部のクラックは非常に浅
いため、端面の研磨によって発生した稜部近傍の端面の
クラック(稜部の研磨後、端面と稜部の境部分にある端
面のクラック)と重なっても、クラックが深く進展する
ことはなく、ガラス端部の強度低下が回避される。さら
に、前述の本発明の端面の研磨と合わせて行うことによ
り、ガラスエッジ全体の強度を増大させることができ
る。
【0025】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の形態に係る
砥石の配置構成図である。この実施の形態においては、
矢印Aのように搬送されるガラス板1に対し、その端面
が単一のカップ型砥石2cにより1回の研磨工程により
研磨仕上げされる。この単一の砥石2cとしては、粗摺
り仕上げ用の#200番(平均砥粒径100μm)の砥
石またはこれよりさらに細かい砥粒の砥石が用いられ
る。この端面研磨用砥石2cの後に両側の稜部を研磨す
るための砥石2a、2bがそれぞれ回転軸を傾けて配設
される。これらの稜部研磨用の砥石2a、2bとして
は、#500番(平均砥粒径45μm)またはそれより
細かい砥粒の砥石、例えば#600番(平均砥粒径40
μm)の砥石が用いられる。
【0026】図2は本発明の別の実施の形態に係る砥石
の配置構成図である。この実施の形態においては、端面
研磨用として複数(図の例では2個)の砥石2c、2d
が並べて用いられる。最初の砥石2cは#120番(平
均砥粒径160μm)またはそれより細かい番手の砥石
が用いられる。2番目(最後)の砥石2dはさらに細か
い砥粒径であって、最終仕上げに対応した番手の砥石
(図の例では粗摺り仕上げ用の#200番)が用いられ
る。これらの端面研磨用の砥石2c、2dの後に、図1
の実施の形態と同様に、端面研磨後にその両端側の稜部
を研磨するための2個の砥石2a、2bが配設される。
【0027】図3は、前述の図1の実施の形態におけ
る、単一の端面研磨用のカップ型砥石2cによる研磨状
態を示す。図示したように、カップ型砥石2cは、砥粒
層3を円板4上に装着し、その中心に回転軸5を設けた
ものである。砥粒層3は、前述のように、平均砥粒径が
100μm以下の砥粒により形成されている。このよう
な単一の砥石2cを用いて、ガラス板1の端面1aを1
回の工程で研磨する。なお、1cはガラス平面を示し、
1bは稜部(ガラス板の表面1cと端面1aとの間の境
界の角)を示す。この端面研磨工程においては、端面1
aの最大クラック深さが0.09mmに仕上げられる。
これにより、ガラス板の端部に応力が負荷された場合
に、クラックにおける応力集中の作用を少なく抑えるこ
とができる。
【0028】図4は、前述の図2の実施の形態におけ
る、複数の端面研磨用のカップ型砥石2c、2dによる
研磨状態を示す。最初に図の(A)に示すように、砥石
2cによりガラス板1の端面1aが研磨される。この砥
石2cの砥粒層3は、前述のように、平均砥粒径が16
0μm以下の砥粒で形成されている。次に、(B)に示
すように、平均砥粒径が最初の砥石2cより細かい砥粒
層3からなるカップ型砥石2dにより、ガラス板1の端
面1aが研磨される。このように砥粒径を段階的に順次
小さくして、複数回(図の例では2回)の研磨工程によ
り、端面1aを研磨仕上げする。この実施の形態におい
ても、前述の図3の場合と同様に、端面1aの最大クラ
ック深さが0.09mmに仕上げられる。これにより、
ガラス板の端部に応力が負荷された場合に、クラックに
おける応力集中の作用を少なく抑えることができる。
【0029】図5は、前述の図1および図2の実施の形
態による端面研磨の後、板ガラス端部の強度的に弱い部
分である稜部1b(図3、図4参照)をカップ型砥石2
a(2b)を用いて研磨する工程を示している。図示し
たように、端面1aに対してカップ型砥石2a(2b)
の回転軸5を傾斜させ、平均砥粒径が45μm以下(番
手#500番以下)で形成された砥粒層3により、前記
稜部1bのみを研磨する。この研磨加工を行った稜部研
磨面1dは、表面の最大クラックが0.065mm以下
に仕上げられるので、ガラスエッジに応力が負荷された
場合、稜部研磨面に形成されたクラックへの応力集中を
少なく抑えることができる。また、端面1aの研磨面よ
りも稜部研磨面1dの方が、表面の最大クラック深さが
浅いため、特に負荷が作用しやすい稜部の相対的強度を
高めることができる。
【0030】稜部の研磨加工については、前述のカップ
型砥石による研磨方法に限定されるものではなく、例え
ば、図6に示すような、円筒の両端に円錐状の砥粒層3
aを設けた筒状砥石6を用いた研磨方法や、図7に示す
ような、バフ磨き方式(研磨用ベルト7の研磨面を被加
工物に接触させて研磨を行う方式)による研磨方法、ま
たはこれらを併用する研磨方法であってもよい。いずれ
の場合にも、前述の本発明の実施の形態による端面の研
磨加工をした後、稜部研磨面の最大クラック深さが0.
065mm以下に仕上げてあればよい。
【0031】
【実施例】以下本発明のさらに具体的な実施例について
説明する。呼称厚8mmのフロートガラスに対し、送り
速度0.7m/minで、以下のように3種類の実施例
サンプルと1種類の比較例サンプルを加工した。なお、
各サンプルは、それぞれ同じ仕様のものを60枚用意
し、以下に示す強度評価に供した。
【0032】実施例1:平均砥粒径が100μm(#2
00番)のカップ型砥石のみで端面を研磨し、さらに稜
部を平均砥粒径が60μm(#300番)のカップ型砥
石で研磨した。
【0033】実施例2:平均砥粒径が160μm(#1
20番)のカップ型砥石によって端面の研磨を開始し、
この後カップ型砥石の平均砥粒径を段階的に細かくして
いき、最終的に100μm(#200番)のカップ型砥
石の研磨により仕上げ、さらに稜部を平均砥粒径が60
μm(#300番)のカップ型砥石で研磨した。
【0034】実施例3:平均砥粒径が160μm(#1
20番)のカップ型砥石によって端面の研磨を開始し、
この後カップ型砥石の平均砥粒径を段階的に細かくして
いき、最終的に100μm(#200番)のカップ型砥
石の研磨により仕上げ、さらに稜部を平均砥粒径が45
μm(#500番)のカップ型砥石で研磨した。
【0035】比較例1:初めに平均砥粒径が230μm
(#80番)のカップ型砥石によって端面の研磨を行
い、この後カップ型砥石の平均砥粒径を段階的に細かく
していき、最終的に100μm(#200番)のカップ
型砥石の研磨により仕上げ、さらに稜部を平均砥粒径が
60μm(#300番)のカップ型砥石で研磨した。
【0036】加工後、強度評価のために、サンプルの加
工辺を長辺とした長さ100cm、高さ10cmのフロ
ートガラスを各条件ごとに60枚容易した。強度実験
は、室温16〜21℃、相対湿度45〜55%の条件
で、サンプルの加工辺の中央30cm部分に均一な引張
り応力を載荷できる荷重スパン30cm、支持スパン9
0cmの4点曲げ試験によって行った。強度実験ととも
に加工後の加工表面の最大クラック深さの測定と最大高
さの測定を行った。
【0037】クラック深さの測定は、加工面を砥石によ
り加工を行った際に、砥粒が進行する方向に対して垂直
方向(実際はガラス平面と平行)にガラス端部を切断
し、切断面をSEM(電子走査顕微鏡)で観察して測定
した。切断面の測定幅は10mmとした。最大高さの測
定は、JIS B0601に準拠して行った。それらの
結果を表1に示す。また強度実験での破壊起点の割合を
表2に示す。表中、3σn-1 下限値は、1/1000の
破壊確率を意味するもので、3σn-1 下限値で示す応力
がガラス板に与えられた場合に、約1000枚のうち1
枚のガラス板に割れが発生することを意味する。
【0038】
【表1】
【0039】
【表2】
【0040】表1から分るように、従来の加工方法(比
較例1)と比べ、実施例1では平均破壊応力が46kg
f/cm2 増加し(1.09倍の増加)、破壊応力3σ
n-1下限値は73kgf/cm2 増加した(約1.2倍
の増加)。
【0041】また、実施例2では、従来の加工方法(比
較例1)と比べ、平均破壊応力が26kgf/cm2
加し(1.05倍の増加)、破壊応力3σn-1 下限値は
68kgf/cm2 増加した(約1.2倍の増加)。
【0042】すなわち、単一の砥石で仕上げた場合や、
平均砥粒径が大きな(#80番等)砥石を用いることな
く、平均砥粒径が160μm(#120番)の砥石から
順番に小さな砥粒径の複数個の砥石を用いて研磨した場
合には、最終の仕上げ砥石が同一であっても、エッジ強
度が増加することが確認された。
【0043】また、実施例3では、従来の加工方法(比
較例1)に比べ、平均破壊応力が95kgf/cm2
加し(約1.2倍の増加)、破壊応力3σn-1 下限値は
137kgf/cm2 増加した(約1.4倍の増加)。
【0044】また、表2から分るように、実施例1およ
び2では、稜部研磨面が破壊起点となった割合は、前者
が57%、後者が63%であり、ともに稜部研磨面が破
壊起点となる割合が多い。すなわち、平均砥粒径が端面
研磨用の砥石より細かい60μm(#300番)の砥石
を用いて稜部を研磨しても、端面に比べ強度的に弱い。
【0045】これに対し、実施例3では、稜部を実施例
1および2よりもさらに平均砥粒径が細かい45μm
(#500番)の砥石で研磨しているため、相対的に実
施例1および2に比べ稜部研磨面の強度品質が向上して
いる。このことは、表2からも確認される。すなわち、
実施例3では、稜部研磨面の破壊起点の割合が21%で
端面の破壊起点の割合が79%と逆転している。すなわ
ち、稜部を平均砥粒径が45μm(#500番)の砥石
で研磨することにより、飛躍的にエッジ強度品質を向上
させることができる。
【0046】さらに前述の表1から分るように、実施例
1では、従来の加工方法(比較例1)に比べ、端面での
最大クラック深さが36μm減少した。また、実施例2
では、同じく端面での最大クラック深さが、従来の加工
方法(比較例1)に比べ、44μm減少した。稜部の最
大クラック深さについても、実施例3では、従来の加工
方法(比較例1)に比べ、56μm減少した。
【0047】以上の結果から、単一の砥石で仕上げた場
合や、平均砥粒径が160μm(#120番)の砥石か
ら研磨を始め複数個の砥石を用いて仕上げた場合には、
平均砥粒径が230μm(#80番)の砥石から研磨を
始めた従来方法に比べ、仕上げ砥石の平均砥粒径が同じ
であっても、端面の加工表面の最大クラック深さが減少
することが確認された。
【0048】また、稜部についても、従来方法による平
均砥粒径が60μm(#300番)の砥石に代えて、平
均砥粒径が45μm(#500番)の細かい砥石を用い
て研磨することにより、稜部研磨面の最大クラック深さ
が減少することが確認された。このように、クラック深
さが減少することにより、クラック先端への応力集中が
緩和され、エッジ強度が増大する。
【0049】研磨加工装置についてみると、平均砥粒径
の大きな砥石が不要となるため、砥石および駆動用のモ
ータを削減することができ、構成を簡素化し装置の小型
化や設備の稼働コストの低減を図ることができる。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ガラス板の端面を仕上げ用の砥石のみを用いて研磨する
か、または平均砥粒径の小さい砥石から研磨を開始して
複数の砥石を用いて研磨することにより、仕上げ砥石の
平均砥粒径が同一であっても、加工表面に形成されるク
ラックを小さく抑え、かつクラック深さの進展を抑え
て、エッジ強度を高めることができる。
【0051】また、強度的に弱い稜部を平均砥粒径が細
かい砥石によって研磨することにより、稜部研磨面のク
ラックを小さく抑え、かつ端面との境界部分のクラック
の進展を抑えてエッジ強度品質を飛躍的に向上させるこ
とができる。
【0052】さらに研磨加工装置についても、平均砥粒
径の大きな砥石が不要となるため、砥石および駆動用の
モータを削減することができ、構成を簡素化し装置の小
型化や設備の稼働コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る砥石の配置構成図。
【図2】本発明の別の実施の形態に係る砥石の配置構成
図。
【図3】図1の実施の形態に係るカップ型砥石による研
磨状態の概略断面図。
【図4】図2の実施の形態に係るカップ型砥石による研
磨状態の概略断面図。
【図5】本発明による稜部研磨状態の概略断面図。
【図6】本発明による稜部研磨状態の別の形態の概略断
面図。
【図7】本発明による稜部研磨状態のさらに別の形態の
概略断面図。
【図8】従来のガラス板端部加工方法の砥石の配置構成
図。
【符号の説明】
1:ガラス板 1a:端面 1b:稜部 1c:表面 1d:稜部研磨面 2、2a、2b、2c、2d:カップ型砥石 3:砥粒層 4:円板 5:回転軸 6:筒状砥石 7:研磨用ベルト

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラス板の端面を、その最終仕上げに対応
    した平均砥粒径の砥石のみを用いて研削し、端面の最大
    クラック深さが0.09mm以下となるように研磨仕上
    げするガラス板端部の加工方法。
  2. 【請求項2】平均砥粒径が100μm以下の砥石を用い
    た請求項1記載のガラス板端部の加工方法。
  3. 【請求項3】ガラス板の端面を、平均砥粒径が大きい砥
    石から順次小さい砥石を用いて研削することにより研磨
    仕上げするガラス板端部の加工方法において、平均砥粒
    径が大きい砥石から小さい砥石へ順次用いるにあたり、
    最初に用いる砥石を平均砥粒径が160μm以下のもの
    とすることを特徴とするガラス板端部の加工方法。
  4. 【請求項4】端面の最大クラック深さが0.09mm以
    下となるように研磨仕上げする請求項3記載のガラス板
    端部の加工方法。
  5. 【請求項5】ガラス板の稜部を平均砥粒径が45μm以
    下の砥石で研磨し、稜部研磨面の最大クラック深さが
    0.065mm以下となるように研磨仕上げする請求項
    1〜4のいずれかに記載のガラス板端部の加工方法。
  6. 【請求項6】ガラス板が建築用ガラス板である請求項1
    〜5のいずれかに記載のガラス板端部の加工方法。
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