JPH1176248A - 血流量調節装置 - Google Patents

血流量調節装置

Info

Publication number
JPH1176248A
JPH1176248A JP9264923A JP26492397A JPH1176248A JP H1176248 A JPH1176248 A JP H1176248A JP 9264923 A JP9264923 A JP 9264923A JP 26492397 A JP26492397 A JP 26492397A JP H1176248 A JPH1176248 A JP H1176248A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
blood flow
control device
flow control
blood
adjusting
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9264923A
Other languages
English (en)
Inventor
Takahiro Tanigawa
隆洋 谷川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Terumo Corp filed Critical Terumo Corp
Priority to JP9264923A priority Critical patent/JPH1176248A/ja
Publication of JPH1176248A publication Critical patent/JPH1176248A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】簡単な操作で血流量の調整を行うことができる
血流量調節装置を提供すること。 【解決手段】血流量調節装置1は、内シャント12を挟
持する一対の挟持部材2、2と、挟持部材2、2の両端
部にそれぞれ設置された伸縮可能な一対の伸縮体3、3
とで構成されている。伸縮体3は、本体4と、該本体4
に対し軸方向に移動可能に設置されたカバー体5と、本
体4とカバー体5とをそれらが離間する方向に付勢する
バネ6と、本体4とカバー体5との間に設置されたシー
ル部材7とで構成されている。また、伸縮体3は、カバ
ー体5側に形成された爪81と、本体4側に形成され、
爪81が選択的に係合し得る凹部8a、8b、8cとで
構成されるロック機構8を有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血管または血管の
吻合部に装着して用いられ、血流量を調節する血流量調
節装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、血液透析を行う際には、十分な
血液量を確保するために、動脈と静脈とを部分的に吻合
して内シャント(血管吻合部)を作り、静脈に動脈血を
流入させることによって、静脈での血流量を増大させる
ことが行われている(ブラッドアクセス)。
【0003】しかし、動脈と静脈との血圧差からシャン
ト静脈側に多量の血液が流れ込む場合があり、そのた
め、動脈末梢側への血流量が低下し、末梢側組織の栄養
不良や壊死が生じたり、心臓への負担が大きくなること
がある。
【0004】さらに、慢性的に大量の動脈血が流れ込ん
だ静脈は、非生理的条件に対する過剰反応として、内膜
肥厚を起こして狭窄もしくは閉塞し、ブラッドアクセス
としての機能を失う。
【0005】逆に、シャント作製直後に吻合部静脈が十
分に拡張せず、血栓閉塞を起こし、必要な血流量が得ら
れなくなることもある。
【0006】これらのトラブルが発生した場合、それを
外部から解消する方法がないので、シャントを再度作製
し直さねばならず、よって、患者の負担が大きく、また
術者においても、手間がかかるという問題がある。
【0007】このようなトラブルを避けるためには、術
者が予め血流量を予測してシャントを作製することが重
要であるが、血流量は様々な要因で変化するため、現在
のところ予め血流量を正確に予測して最適なシャントを
作製することは難しい。
【0008】なお、長期的に内膜肥厚が生じて血流量が
低下した場合等に、金属性の拡張可能な管(ステント)
を血管内の目的部位に挿入して、血管内腔を拡張させる
試みがなされている。しかし、この方法では、血管内膜
に損傷、障害を与え、血栓形成や内膜肥厚を誘発し、こ
れにより再狭窄することが多く、また、拡張のみの機能
しかなく、血管内腔に挿入、留置する上での抗血栓性の
問題から、血流量を低く設定することができない。この
ように、金属製ステントを挿入、留置する方法では、血
流量を制御できず、根本的な内シャントのトラブル解消
法とはならなかった。
【0009】特に、血栓や内膜肥厚等が原因で再狭窄ま
たは再拡張を起こし、血流量が不適正となった場合で
も、外部から容易にそれを正常な状態に戻すことができ
なかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、簡単
な操作で血流量の調整を行うことができる血流量調節装
置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(10)の本発明により達成される。
【0012】(1) 血管または血管の吻合部に装着し
て用いられる体内埋め込み型の血流量調節装置であっ
て、血管または血管の吻合部を挟持する挟持部材と、前
記挟持部材による挟持の度合いを調整する調整手段とを
備えることを特徴とする血流量調節装置。
【0013】(2) 血管または血管の吻合部に装着し
て用いられる体内埋め込み型の血流量調節装置であっ
て、血管または血管の吻合部を挟持する一対の棒状の挟
持部材と、前記挟持部材による挟持の度合いを調整する
調整手段とを備え、前記調整手段は、挟持部材の両端部
にそれぞれ設置された伸縮体を有し、該伸縮体の伸縮に
より前記両挟持部材間の距離を変更するものであること
を特徴とする血流量調節装置。
【0014】(3) 前記伸縮体は、本体と、該本体に
対し移動可能に設置されたカバー体と、前記本体と前記
カバー体とをそれらが離間する方向に付勢する弾性体と
を有する上記(2)に記載の血流量調節装置。
【0015】(4) 前記本体と前記カバー体との間に
シール部材が設置されている上記(3)に記載の血流量
調節装置。
【0016】(5) 前記調整手段は、挟持部材による
挟持の度合いを少なくとも2段階に調整し得るものであ
る上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の血流量調
節装置。
【0017】(6) 前記調整手段は、血流量調節装置
が体内に埋め込まれた状態で、その調整操作を体外から
行えるよう構成されている上記(1)ないし(5)のい
ずれかに記載の血流量調節装置。
【0018】(7) 前記調整手段は、前記挟持部材に
よる挟持の度合いを一定に保持するロック機構を備える
上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の血流量調節
装置。
【0019】(8) ロック機構は、血流量調節装置が
体内に埋め込まれた状態で、そのロックの解除操作を体
外から行えるよう構成されている上記(7)に記載の血
流量調節装置。
【0020】(9) 生体組織と接触する部位が、生体
適合性ポリマーで構成されている上記(1)ないし
(8)のいずれかに記載の血流量調節装置。
【0021】(10) 生体組織と接触する部位が、多孔
質材料で構成されている上記(1)ないし(9)のいず
れかに記載の血流量調節装置。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の血流量調節装置を
添付図面に示す好適実施例に基づいて詳細に説明する。
【0023】図1は、本発明の血流量調節装置の実施例
の外観を示す斜視図、図2および図3は、それぞれ、図
1に示す血流量調節装置の部分断面側面図、図4は、図
3における伸縮体の本体の正面図、図5は、血流量調節
装置の調整操作を模式的に示す図、図6は、血流量調節
装置のロック機構のロック解除操作を模式的に示す図、
図7は、図1中のA−A線断面図である。
【0024】なお、本明細書では、図1〜図3中の下側
を「基端」、上側を「先端」、上下方向を「軸方向」と
して説明する。
【0025】図1に示すように、本発明の血流量調節装
置1は、動脈10と静脈11との吻合部である内シャン
ト12に装着して使用される体内埋め込み型の血流量調
節装置である。
【0026】この血流量調節装置1は、内シャント12
を挟持する一対の挟持部材2、2と、挟持部材2、2の
両端部にそれぞれ設置され、図1中上限方向に伸縮可能
な一対の伸縮体3、3とで構成されている。伸縮体3、
3は、挟持部材2、2による内シャント12の挟持の度
合いを調整する調整手段を構成するものである。
【0027】両挟持部材2、2は、内シャント12に接
触したとき、血管に損傷を与えないように、丸みを帯び
た形状をしており、本実施例では、横断面が円形の棒状
部材で構成されている。
【0028】また、両挟持部材2、2の長さは、内シャ
ント12を良好に挟持/開放し得る十分な長さとされ、
例えば、10〜20mm程度とすることができる。
【0029】両伸縮体3、3は、同様の構成であるた
め、以下、一方の伸縮体3について代表的に説明する。
【0030】図2および図3に示すように、伸縮体3
は、本体4と、該本体4に対し軸方向に移動可能に設置
されたカバー体5と、本体4とカバー体5とをそれらが
離間する方向に付勢するバネ(弾性体)6と、本体4と
カバー体5との間に設置されたシール部材7とで構成さ
れている。
【0031】本体4は、円柱状の基部41と、該基部4
1の先端側に形成され、基部41より外径が小さい円柱
状の軸部42とで構成されている。そして、図2〜図4
に示すように、軸部42の外周面には、軸方向に沿っ
て、3つの凹部8a、8b、8cが形成されている。
【0032】この本体4の基部41の側部には、一方の
挟持部材2の端部が固定されている。
【0033】一方、カバー体5は、頂部が天板51によ
り閉じられた円筒状の部材で構成され、本体4の軸部4
2を被包するように本体4に対し装着されている。この
カバー体5の外径は、本体4の基部41の外径とほぼ等
しく設定されている。
【0034】このカバー体5の側部には、他方の挟持部
材2の端部が固定されている。このカバー体5は、後述
するロック機構8によるロックを解除する際に、側面よ
り押圧して変形するように、適度な弾性を有しているの
が好ましい。
【0035】カバー体5の基端部内周面には、凹部8
a、8b、8cと選択的に係合し得る爪81が内側に向
かって突出形成されている。この爪81と凹部8a、8
b、8cとにより、伸縮体3の伸縮の度合い、すなわち
挟持部材2、2による内シャント12の挟持の度合いを
一定に保持するロック機構8が構成される。
【0036】本実施例では、爪81が凹部8a、8b、
8cのいずれと係合するかにより、挟持部材2、2間の
距離が変更され、挟持部材2、2による内シャント12
の挟持の度合い、すなわち内シャント12を通過する血
液の血流量を3段階に調整することができる。
【0037】なお、本体4およびカバー体5の外形形状
は、生体埋入後の周囲組織への悪影響をできるだけ少な
くすることができるようなものであるのが好ましく、そ
のために、例えば、表面は、バリや不必要な突起等のな
い平坦な面で構成し、また、角部は、丸みを帯びた形状
としたり、面取りを施したりすることができる。
【0038】本体4の先端面とカバー体5の天板51と
の間には、コイル状のバネ6が圧縮状態で挿入されてい
る。このバネ6により、本体4とカバー体5とが互いに
離間する方向(上下方向)に付勢され、すなわち、伸縮
体3が伸長するよう付勢される。
【0039】本体4の軸部42の先端部外周には、溝4
3が形成されており、この溝43内には、ゴム等の弾性
材料で構成されたシール部材(Oリング)7が嵌入され
ている。このシール部材7は、伸縮体3のバネ6が収納
されている空間に、体液等が侵入するのを防止する機能
を有するとともに、本体4に対するカバー体5の摺動抵
抗を適度な値に設定する機能を有する。
【0040】挟持部材2、本体4、カバー体5の構成材
料、特に血管やその周辺組織と接触する部位の構成材料
は、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹
脂、ポリビニル系樹脂のような樹脂材料、ステンレス
鋼、チタン等の金属材料、ヒドロキシアパタイト等のセ
ラミックスが挙げられるが、特に、少なくとも表面が生
体適合性ポリマーで構成されているのが好ましい。この
場合、素材全体を生体適合性ポリマーで構成する場合の
他、素材の表面に生体適合性ポリマーによる層(例えば
コート層)を形成してもよい。
【0041】生体適合性ポリマーの具体例としては、ポ
リプロピレン、ポリエチレン、ヒドロキシエチルメタク
リレート−スチレンブロック共重合体などが挙げられ
る。
【0042】このような生体適合性ポリマーを用いるこ
とにより、生体内において周囲の生体組織と適合し、安
定して流量調節機能を発揮することができる。
【0043】また、挟持部材2、本体4、カバー体5の
構成材料、特に血管やその周辺組織と接触する部位は、
多孔質とされているのが好ましい。これにより、細胞の
侵入等による周囲に生体組織(血管外膜およびその周囲
組織)との癒合が促進され、生体内で長期的に良好で安
定した状態で使用することが可能となる。
【0044】この場合、多孔質材料の空孔径は、好まし
くは0.5〜20μm 程度、より好ましくは10〜20
μm 程度とされる。
【0045】以上のような血流量調節装置1は、生体内
に埋め込まれた状態で、体外から血流量の調整操作を行
うことができ、特に、ロック機構によるロックおよびそ
の解除操作を容易に行うことができる。以下、血流量調
節装置1の作用について詳述する。
【0046】[1] 動脈10と静脈11とを吻合し内
シャント12を作製した後、両伸縮体3の本体4とカバ
ー体5を分離し、両挟持部材2で内シャント12を挟む
ようにそれらを装着する(図1参照)。この装着は、縫
合糸または接着剤を用いて両本体4または両カバー体5
を血管の周囲組織に固定することにより行う。
【0047】なお、このとき、両伸縮体3の爪81は、
凹部8cと係合し、両挟持部材2、2間の距離、すなわ
ち内シャント12を介して静脈11へ流れ込む血液の血
流量(以下単に「血流量」と言う)は、最大に設定され
ている(全開状態)。
【0048】[2] 次に、縫合により周囲皮膚を閉じ
る。これにより、血流量調節装置1は、生体内に埋め込
まれた状態となる。
【0049】その後、内シャント作製時の操作で損傷し
た血管内皮細胞が治癒し、静脈11が十分に発達したら
(通常、装置埋入後1〜4週間)、次のようにして血流
量調節操作を行う。
【0050】図5に示すように、体外から指等で伸縮体
3を軸方向に押圧すると、伸縮体3は、バネ6の弾性力
に抗して収縮する。それまで凹部8cと係合していた爪
81は、凹部8bと係合し、その後は、指を離してもこ
の状態が維持(ロック)される(図3参照)。この操作
を両方の伸縮体3に対し行うと、前記全開状態に比べ、
両挟持部材2、2間の距離が短くなり、内シャント12
の挟持の度合いが大きくなり、血流量が減少する(中間
状態)。
【0051】なお、このように血流量を低下させても、
図7に示すように、動脈10、静脈11および内シャン
ト12の内面は、血管内皮細胞13が向き合った状態と
なるので、血栓閉塞は生じない。
【0052】[3] さらに、両伸縮体3を体外から指
等で軸方向に押圧して収縮させ、爪81を凹部8aと係
合させる。これにより、図3に示すように、両挟持部材
2、2間の距離はさらに短くなり、内シャント12の内
面が圧閉され、血流量は0となる(閉鎖状態)。この状
態(爪81と凹部8aとの係合状態)は、ロック機構に
より維持される。
【0053】[4] 前記閉鎖状態または中間状態で、
図6に示すように、体外から指等で両伸縮体3のカバー
体5の側部を押圧すると、図3中の一点鎖線で示すよう
に、カバー体5が変形し、爪81がそれまで係合してい
た凹部8aまたは8bから外れ、ロック機構8によるロ
ックが解除される。すると、バネ6の弾性力により、カ
バー体5は、本体4に対し離間する方向に相対的に移動
し、爪81は、次の凹部8bまたは8cと係合する。そ
の後は、指を離してもこの状態が維持(ロック)され
る。
【0054】これにより、両挟持部材2、2間の距離が
長くなり、内シャント12の挟持の度合いが緩和され、
血流量が増大する。
【0055】なお、両伸縮体3の伸縮の程度は、必ずし
も一致させる必要はなく、一方の伸縮体3と他方の伸縮
体3の伸縮の程度が異なるように調整することもでき
る。
【0056】例えば、一方の伸縮体3における爪81を
凹部8aと係合させ、他方の伸縮体3における爪81を
凹部8bと係合させれば、前記閉鎖状態と前記中間状態
との間の血流量が得られ、また、一方の伸縮体3におけ
る爪81を凹部8bと係合させ、他方の伸縮体3におけ
る爪81を凹部8cと係合させれば、前記中間状態と前
記全開状態との間の血流量が得られる。このようにする
ことにより、血流量の調節段数をより細分化することが
できる。
【0057】図8は、本発明の血流量調節装置の他の実
施例を示す部分断面側面図である。同図に示す血流量調
節装置1は、1つの伸縮体3を備えている。伸縮体3の
構成は、前記と同様であるため、その説明は省略する。
【0058】また、この血流量調節装置1における挟持
部材20は、横断面が円形のU字状をなす棒状体で構成
され、その両端は、それぞれ、本体4の基部41の側部
およびカバー体5の側部に固定されている。
【0059】挟持部材20は、一対の直線部21、21
と、湾曲部22とで構成され、そのうちの少なくとも湾
曲部22は、弾性変形し得る材料で構成されている。伸
縮体3の伸縮に伴い、湾曲部22が弾性変形し、直線部
22、22間の距離(平均距離)が変更され、それらの
間に挟持された内シャント12の挟持の度合い、すなわ
ち血流量が調整される。
【0060】本発明の血流量調節装置1では、例えば次
記するように、最適な治療を行い得るよう状況に応じて
血流量を適宜減少、増大させることができる。
【0061】内シャント12を作製した場合、その血流
量が小さいほど本来の動脈と静脈の血行動態に近くな
り、非生理的条件により生じる血管の内膜肥厚を抑制す
ることができる。従って、平常時は、本血流量調節装置
1により内シャント12を圧閉して血流量を0または少
量としておき、ブラッドアクセス時(血液透析時)のよ
うに、動脈10から静脈11への血液の流入を必要とす
るときのみ、内シャント12の挟持の度合いを緩和し
て、静脈11側へ所定量の血液を流入させることができ
る。
【0062】以上述べたように、血流量調節装置1で
は、血管(またはその吻合部)の外側からそれを挟持
し、その挟持の程度を変えることにより血流量を制御す
るので、血栓形成や血管内膜の損傷等を防止することが
できる。
【0063】そして、体外から血流量の調整操作を行う
ことができるため、操作性に優れるとともに、患者の負
担が大幅に軽減される。
【0064】しかも、血流量を減少、増大のいずれへも
調整することが可能であり、そのため、患者の症状や状
況、治療の方法や条件の変更等に応じて血流量を自由に
減少、増大させることができるので、長期にわたる治療
にも適する。
【0065】また、狭窄または閉塞した血管や、過拡張
した血管に対しても、その血管外膜に本発明の血流量調
節装置1を装着することで、血栓形成や血管内膜の損傷
等の悪影響を抑制しつつ、容易にその拡張または収縮の
操作を行うことができる。
【0066】以上、本発明の血流量調節装置を図示の各
実施例に基づき説明したが、本発明は、これらに限定さ
れるものではない。
【0067】例えば、調整手段を構成する伸縮体は、そ
れ自体が例えば圧力(外力)、熱(温度変化)、電気、
磁気等が作用することにより伸縮する材料で構成された
ものでもよい。この場合には、前述したようなロック機
構を省略することができる。また、調整手段は、図示の
ごとき伸縮体によるものに限定されない。
【0068】また、血流量調節における設定段数は、図
示の実施例のような3段階に限らず、2段階または4段
階以上、あるいは無段階(連続的に変更可能)であって
もよい。
【0069】また、本発明の血流量調節装置を装着する
部位は、前述したような内シャントに限らず、内シャン
ト以外の血管の吻合部、分岐部あるいは血管の途中に装
着して使用されるものでもよい。
【0070】
【実施例】次に、本発明の具体的実施例について説明す
る。
【0071】図9は、本発明の血流量調節装置を装着し
た実験用の回路の構成を模式的に示す図である。
【0072】動脈を想定した軟質ポリ塩化ビニル製のチ
ューブ100(内径4.5mm、厚さ1mm)の途中に、静
脈を想定したラテックスゴム製のチューブ110(内径
6mm、厚さ0.1mm)を接続し、疑似内シャント120
を製造するとともに、チューブ100の内シャント12
0より上流側をローラポンプ150に装着した。
【0073】さらに、チューブ100の上流端は、ビー
カー(水供給源)130内の水中に没入させた。
【0074】また、チューブ100の下流端には、細い
軟質ポリ塩化ビニル製のチューブ140(内径3.0、
厚さ1mm)を接続し、チューブ100内に十分な水圧が
作用するようにした。
【0075】チューブ110の下流端には、水量を測定
するメスシリンダー160を設置した。
【0076】以上のような回路において、内シャント1
20に図1〜図4に示す構成の本発明の血流量調節装置
1を装着した。この血流量調節装置1の挟持部材2、伸
縮体3の本体4およびカバー体5は、それぞれ、血流量
調節装置1の挟持部材2は、表面を多孔質化したポリプ
ロピレン、伸縮体3の本体4およびカバー体5は、それ
ぞれ表面を鏡面仕上げした(表面を平滑にし、円滑な動
きをさせるため)ポリプロピレンにより構成した。ま
た、シール部材7はラテックスゴム製、バネ6は金属製
とした。 両伸縮体3の爪81が凹部8a(パターン
I)、凹部8b(パターンII)および凹部8c(パター
ンIII )のそれぞれに係合した状態で、ローラポンプ1
50を作動させて、ビーカー130から200ml/minで
送水し、各パターンに対し、チューブ110から流出す
る水の量をメスシリンダー160で測定した。その結果
を表1に示す。
【0077】
【表1】
【0078】表1に示すように、パターンI、II、III
毎に水量の変化が認められ、本発明の血流量調節装置1
により、内シャント120において、動脈(チューブ1
00)から静脈(チューブ110)への流量を調整し得
ることが確認された。
【0079】次に、実験動物(雑種成犬:30kg)の大
腿動静脈を側側吻合して内シャントを作製し、この内シ
ャント(血管吻合部)に前記と同様の血流量調節装置1
を装着し、縫合により周囲皮膚を閉じた。
【0080】体外より操作して血流量調節装置1を前記
パターンI、II、III のそれぞれに設定しつつ、血流の
状態を確認した。なお、血流状態の確認は、総頚動脈よ
りカテーテルを挿入し、その先端を内シャントの手前ま
で搬送し、X線透視下で前記カテーテルを介して血管内
にX線造影剤を注入することにより行った。
【0081】その結果、パターンI、II、III のそれぞ
れに対し、表1と同様の血流量の大小関係を確認するこ
とができた。
【0082】なお、2時間毎にパターンIとパターンII
とに切り替えつつ血流量調節装置1を10日間実験動物
の体内に留置したが、その調整操作は極めて簡単であ
り、しかも、血栓形成による閉塞や血管の内膜損傷等の
異常も認められなかった。
【0083】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の血流量調節
装置によれば、本装置の装着部位において、流路の開閉
機能により、必要時(ブラッドアクセス時等)にのみ血
液を流入させることができる。
【0084】また、流量調節機能により、例えば内シャ
ントにおいて、静脈側に最適な血流量を与えることがで
きる。
【0085】さらに、このような血流量の調節を適正に
行うことにより、血栓形成や内膜傷害等の悪影響を抑制
することができ、長期にわたる治療にも適する。特に、
構成材料の選択等により、優れた生体適合性が得られ、
生体内での安定性が高まり、長期埋入が可能となる。
【0086】また、血管またはその吻合部が再狭窄また
は再拡張した場合でも、これらに対し、再拡張や再収縮
を行うことができる。
【0087】そして、以上のような操作を体外から容易
に行うことができるので、患者や術者の負担が大幅に軽
減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の血流量調節装置の実施例の外観を示す
斜視図である。
【図2】図1に示す血流量調節装置の部分断面側面図で
ある。
【図3】図1に示す血流量調節装置の部分断面側面図で
ある。
【図4】伸縮体の本体の正面図である。
【図5】血流量調節装置の調整操作を模式的に示す図で
ある。
【図6】血流量調節装置のロック機構のロック解除操作
を模式的に示す図である。
【図7】図1中のA−A線断面図である。
【図8】本発明の血流量調節装置の他の実施例を示す部
分断面側面図である。
【図9】本発明の血流量調節装置を装着した実験用の回
路の構成を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 血流量調節装置 2 挟持部材 20 挟持部材 21 直線部 22 湾曲部 3 伸縮体 4 本体 41 基部 42 軸部 43 溝 5 カバー体 51 天板 6 バネ 7 シール部材 8 ロック機構 8a、8b、8c 凹部 81 爪 10 動脈 11 静脈 12 内シャント 13 血管内皮細胞 100 チューブ 110 チューブ 120 内シャント 130 ビーカー 140 チューブ 150 ローラポンプ 160 メスシリンダー

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 血管または血管の吻合部に装着して用い
    られる体内埋め込み型の血流量調節装置であって、 血管または血管の吻合部を挟持する挟持部材と、前記挟
    持部材による挟持の度合いを調整する調整手段とを備え
    ることを特徴とする血流量調節装置。
  2. 【請求項2】 血管または血管の吻合部に装着して用い
    られる体内埋め込み型の血流量調節装置であって、 血管または血管の吻合部を挟持する一対の棒状の挟持部
    材と、前記挟持部材による挟持の度合いを調整する調整
    手段とを備え、 前記調整手段は、挟持部材の両端部にそれぞれ設置され
    た伸縮体を有し、該伸縮体の伸縮により前記両挟持部材
    間の距離を変更するものであることを特徴とする血流量
    調節装置。
  3. 【請求項3】 前記伸縮体は、本体と、該本体に対し移
    動可能に設置されたカバー体と、前記本体と前記カバー
    体とをそれらが離間する方向に付勢する弾性体とを有す
    る請求項2に記載の血流量調節装置。
  4. 【請求項4】 前記本体と前記カバー体との間にシール
    部材が設置されている請求項3に記載の血流量調節装
    置。
  5. 【請求項5】 前記調整手段は、挟持部材による挟持の
    度合いを少なくとも2段階に調整し得るものである請求
    項1ないし4のいずれかに記載の血流量調節装置。
  6. 【請求項6】 前記調整手段は、血流量調節装置が体内
    に埋め込まれた状態で、その調整操作を体外から行える
    よう構成されている請求項1ないし5のいずれかに記載
    の血流量調節装置。
  7. 【請求項7】 前記調整手段は、前記挟持部材による挟
    持の度合いを一定に保持するロック機構を備える請求項
    1ないし6のいずれかに記載の血流量調節装置。
  8. 【請求項8】 ロック機構は、血流量調節装置が体内に
    埋め込まれた状態で、そのロックの解除操作を体外から
    行えるよう構成されている請求項7に記載の血流量調節
    装置。
  9. 【請求項9】 生体組織と接触する部位が、生体適合性
    ポリマーで構成されている請求項1ないし8のいずれか
    に記載の血流量調節装置。
  10. 【請求項10】 生体組織と接触する部位が、多孔質材
    料で構成されている請求項1ないし9のいずれかに記載
    の血流量調節装置。
JP9264923A 1997-09-11 1997-09-11 血流量調節装置 Pending JPH1176248A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9264923A JPH1176248A (ja) 1997-09-11 1997-09-11 血流量調節装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9264923A JPH1176248A (ja) 1997-09-11 1997-09-11 血流量調節装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1176248A true JPH1176248A (ja) 1999-03-23

Family

ID=17410080

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9264923A Pending JPH1176248A (ja) 1997-09-11 1997-09-11 血流量調節装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1176248A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002291886A (ja) * 2001-04-03 2002-10-08 Terumo Corp 流量調節器および液体投与セット
JP2003504166A (ja) * 1999-07-19 2003-02-04 エンドアート・エス・エイ 流量の制御法及び装置
JP2016000180A (ja) * 2014-06-12 2016-01-07 ニプロ株式会社 血流量調節装置
CN107693083A (zh) * 2017-10-31 2018-02-16 中国人民解放军第二军医大学 可调节式血管阻断器
CN107693083B (zh) * 2017-10-31 2024-05-17 中国人民解放军第二军医大学 可调节式血管阻断器

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003504166A (ja) * 1999-07-19 2003-02-04 エンドアート・エス・エイ 流量の制御法及び装置
US8506517B2 (en) 1999-07-19 2013-08-13 Allergan, Inc. Flow control method and device
US8932247B2 (en) 1999-07-19 2015-01-13 Apollo Endosurgery, Inc. Flow control method and device
JP2002291886A (ja) * 2001-04-03 2002-10-08 Terumo Corp 流量調節器および液体投与セット
JP2016000180A (ja) * 2014-06-12 2016-01-07 ニプロ株式会社 血流量調節装置
CN107693083A (zh) * 2017-10-31 2018-02-16 中国人民解放军第二军医大学 可调节式血管阻断器
CN107693083B (zh) * 2017-10-31 2024-05-17 中国人民解放军第二军医大学 可调节式血管阻断器

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7762980B2 (en) Hemodialysis access with on-off functionality
US7892247B2 (en) Devices and methods for interconnecting vessels
US6251116B1 (en) Device for interconnecting vessels in a patient
EP1626681B1 (en) Implantable medical device with constrained expansion
US20040073282A1 (en) Distally-narrowed vascular grafts and methods of using same for making artery-to-vein and artery-to-artery connections
US20040249335A1 (en) Implantable arteriovenous shunt device
US8361101B2 (en) Devices, systems and methods for controlling local blood pressure
US20130274648A1 (en) Blood flow controllers and methods
US20150223817A1 (en) Implantable flow connector
JP2002538939A (ja) 人工静脈弁および内径測定カテーテル
JP2019107527A (ja) 外科的処置とそれに使用されるデバイス
JP2012030047A (ja) 人工血管
NZ524290A (en) Distally narrowed vascular grafts and methods of using same for making artery-to-vein and artery-to-artery connections
JP5085118B2 (ja) コイル状ステントを含む人工器官およびその使用方法
JPH1176248A (ja) 血流量調節装置
JP2000279533A (ja) 血管瘤形性血管用ステントおよび血管瘤形性血管治療用器具
Burdick et al. Experience with dacron graft arteriovenous fistulas for dialysis access.
WO2023177777A1 (en) Access graft systems and methods
Chandran et al. Soft tissue replacements
CN113164245A (zh) 动静脉移植物系统、动静脉阀装置和植入动静脉移植物系统的方法
JP2022519830A (ja) 遠隔調整可能な機構ならびに関連するシステム及び方法
JPH07100210A (ja) 内挿型血管補修材
BR102014007735A2 (pt) dispositivo válvula aórtica percutânea montada em endoprótese expansível
Burg et al. KB Chandran
Bronzino et al. Soft Tissue Replacements