JPH1175858A - 新規核酸及びそれを用いた病原性キサントモナス・カンペストリスの検出方法 - Google Patents

新規核酸及びそれを用いた病原性キサントモナス・カンペストリスの検出方法

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JPH1175858A
JPH1175858A JP9257513A JP25751397A JPH1175858A JP H1175858 A JPH1175858 A JP H1175858A JP 9257513 A JP9257513 A JP 9257513A JP 25751397 A JP25751397 A JP 25751397A JP H1175858 A JPH1175858 A JP H1175858A
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JP
Japan
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xanthomonas campestris
nucleic acid
acid fragment
probe
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JP9257513A
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Tomonori Nishino
友規 西野
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Japan Tobacco Inc
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6876Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes
    • C12Q1/6888Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes for detection or identification of organisms
    • C12Q1/689Nucleic acid products used in the analysis of nucleic acids, e.g. primers or probes for detection or identification of organisms for bacteria

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 環境中に存在する様々な試料から、イネ科植
物に病原性を示すキサントモナス・カンペストリスを効
率良く、かつ、迅速に検出する手段を提供すること。 【解決手段】 配列表の配列番号1で示される塩基配列
を有する核酸断片、この断片を標識した病原性キサント
モナス・カンペストリス検出用プローブ及びこの断片中
の連続する15〜50塩基から成る塩基配列を有する核
酸から成る、病原性キサントモナス・カンペストリス検
出用プライマーを提供した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規核酸及びそれ
を用いた病原性キサントモナス・カンペストリスの検出
又は同定方法並びに該方法に用いられるプローブ及びプ
ライマーに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、細菌(ここでは植物病原細菌を含
めたすべての細菌を指す)の同定には糖・有機酸の資化
性等の生化学的検査(細菌学的性質の検査)が主に用い
られている。しかし、この方法は迅速・簡便な方法とは
いえず、煩雑で時間を要し、さらには熟練を必要とする
ものであった。また、簡易同定・迅速な検出方法とし
て、16SリボゾームRNAの塩基配列の違いによる同
定方法が従来技術として知られているが、この方法によ
って細菌の種以下の分類項(パソバーなど)を判定する
ことは困難であった。
【0003】また、キサントモナス・カンペストリスに
属する細菌の簡易同定方法としては、菌体構成脂肪酸あ
るいは菌体構成タンパク質を分析する方法が知られてい
るが、これらの方法は再現性を得ることが難しく、特に
イネ科植物に対して病原性を示すキサントモナス・カン
ペストリスを区別することは困難であった。
【0004】さらに、イネ科植物に対して病原性を示す
キサントモナス・カンペストリスが植物中、土壌中、水
中などの自然環境中に存在するか否かを検出するために
は、自然環境中の試料(植物、土壌、河川水など)を寒
天培地上に塗抹した後に培養し、単コロニーを得、得ら
れた単コロニーが目的とするキサントモナス・カンペス
トリスであるか否かを上記の従来技術等を用いて確かめ
る必要があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、環境
中に存在する様々な試料から、イネ科植物に病原性を示
すキサントモナス・カンペストリスを効率良く、かつ、
迅速に検出する手段を提供することである。さらにま
た、本発明の目的は、検出したキサントモナス・カンペ
ストリスをパソバー又は菌株のレベルで区別・同定する
手段を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願発明者は、後述する
方法により、イネ科植物に病原性を示すキサントモナス
・カンペストリスの染色体DNA中に存在するが、イネ
科植物に病原性を示さないキサントモナス・カンペスト
リスや他の細菌には存在しない、病原性キサントモナス
・カンペストリスに特異的な染色体DNAの領域を同定
することに成功し、本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明は、配列表の配列番号1
に示される塩基配列、又は該塩基配列において1若しく
は複数個の塩基が欠失、置換、付加若しくは挿入された
塩基配列であってイネ科植物に対する病原性を有するキ
サントモナス・カンペストリスの検出能を有する塩基配
列を有する核酸断片を提供する。また、本発明は、該本
発明の核酸断片を標識して成る、イネ科植物に対する病
原性を有するキサントモナス・カンペストリスの検出又
は同定用プローブを提供する。さらに、本発明は、上記
本発明の核酸断片の塩基配列を検出することから成る、
イネ科植物に対する病原性を有するキサントモナス・カ
ンペストリスの検出方法を提供する。さらに、本発明
は、検体DNAを制限酵素で切断し、切断断片を電気泳
動により分離した後、上記本発明のプローブとハイブリ
ダイズさせ、ハイブリダイズしたプローブを検出するこ
とから成る、イネ科植物に対する病原性を有するキサン
トモナス・カンペストリスの検出又は同定方法を提供す
る。さらに、本発明は、上記本発明の核酸断片中の連続
する15〜50塩基から成る塩基配列を有する核酸から
成る、イネ科植物に対する病原性を有するキサントモナ
ス・カンペストリス検出用プライマーを提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】本願発明者はイネ科植物に対して
病原性を示すキサントモナス・カンペストリス(本明細
書において、単に「病原性キサントモナス・カンペスト
リス」ということがある)に特異的な塩基配列を発見す
るために、キサントモナス・カンペストリス・パソバー
・ポアMB218株(NRR−B−18078)の染色
体の制限酵素断片を多数クローニングした。そして、キ
サントモナスおよびプセウドモナスに属する細菌の染色
体DNAに対して、クローニングした染色体DNA断片
をプローブとしてサザンブロット・ハイブリダイゼーシ
ョンを繰り返し行った。その結果、本発明者はキサント
モナス・カンペストリス・パソバー・ポアMB218株
(NRR−B−18078)の染色体より、制限酵素S
alIで切り出すことができる1220bpの塩基配列
(以後S7断片と呼ぶ)を見いだすに至った。なお、キ
サントモナス・カンペストリス・パソバー・ポアMB2
18株(NRR−B−18078)は、米国NRRLに
NRR−B−18078の受託番号で寄託されており、
自由に分譲されるものである。
【0009】本発明者が見出したS7断片はイネ科植物
に対して病原性を示すキサントモナス・カンペストリス
であるキサントモナス・カンペストリス・パソバー・ポ
ア、キサントモナス・カンペストリス・パソバー・グラ
ミニス(X.c.pv.graminis)、キサント
モナス・カンペストリス・パソバー・フレイ(X.c.
pv.phlei)、キサントモナス・カンペストリ
ス・パソバー・アルヘナセリ(X.c.pv.arrh
enatheri)、キサントモナス・カンペストリス
・パソバー・トランスルーセンス(X.c.pv.tr
anslucens)、キサントモナス・カンペストリ
ス・パソバー・ウンドゥロサ(X.c.pv.undu
losa)、キサントモナス・カンペストリス・パソバ
ー・ホルデイ(X. c.pv.hordei)の染色
体DNAに対しては相同性を有しているが、他のイネ科
植物に対し非病原性のキサントモナス属細菌およびプセ
ウドモナス(Pseudomonas)属細菌の染色体
DNAに対しては相同性を有していない。
【0010】S7断片の塩基配列を配列表の配列番号1
に示す。なお、本発明の核酸は、後で詳しく述べるよう
に、病原性キサントモナス・カンペストリスの検出及び
/又は同定に用いることができるものであるが、S7断
片の塩基配列、すなわち、配列番号1に示される塩基配
列において1若しくは複数個の塩基が欠失、置換、付加
若しくは挿入された塩基配列であってイネ科植物に対す
る病原性を有するキサントモナス・カンペストリスの検
出能を有するものも本発明に含まれる。ここで、「イネ
科植物に対する病原性を有するキサントモナス・カンペ
ストリスの検出能を有する」とは、病原性キサントモナ
ス・カンペストリスの染色体DNA中の領域とハイブリ
ダイズするが、イネ科植物に対する非病原性キサントモ
ナス・カンペストリス及び他の細菌その他の生物の染色
体DNAとはハイブリダイズしないことを意味する。ハ
イブリダイゼーションを達成するためには、配列番号1
で示される塩基配列と60%以上、さらに好ましくは8
0%以上、さらに好ましくは95%以上のホモロジーを
有していることが好ましい。また、ハイブリダイゼーシ
ョンを達成するために配列番号1で示される塩基配列の
全領域が不要であることは明らかであり、該塩基配列の
一部であって、イネ科植物に対する非病原性キサントモ
ナス・カンペストリスや他の生物のDNAとハイブリダ
イズしないものも当然本発明の範囲に含まれる。さら
に、配列表に示されている塩基配列は、規則により一本
の鎖の塩基配列だけを記載するが、本発明の核酸には、
記載された一本鎖に加え、この一本鎖の相補鎖及び二本
鎖並びにこれらの塩基配列において1若しくは複数個の
塩基が欠失、置換、付加若しくは挿入された塩基配列で
あって病原性キサントモナス・カンペストリスの検出能
を有するものも包含される。なぜなら、これらの核酸も
病原性キサントモナス・カンペストリスの染色体DNA
とハイブリダイズするから、病原性キサントモナス・カ
ンペストリスの検出及び/又は同定に用いることができ
るからである。また、本発明の核酸は、DNAでもRN
Aでもよいが、DNAの方が安定性が高いので好まし
い。
【0011】本発明の核酸は、キサントモナス・カンペ
ストリス・パソバー・ポアMB218株(NRR−B−
18078)の染色体DNAをSalIで消化し、常法によ
りクローニングすることにより得ることができる。ま
た、本発明によりS7断片の塩基配列が明らかにされた
ので、キサントモナス・カンペストリス・パソバー・ポ
アMB218株(NRR−B−18078)の染色体D
NAを鋳型とするPCRにより容易に調製することもで
きる。
【0012】上記した、本発明の核酸は、病原性キサン
トモナス・カンペストリスに特異的なものであるので、
該核酸を検出することにより、病原性キサントモナス・
カンペストリスを検出することができる。
【0013】このような方法により病原性キサントモナ
ス・カンペストリスを検出する方法として、本発明の核
酸を標識したプローブを用いる方法がある。核酸を標識
してプローブとする方法は、この分野において周知であ
り、そのためのキットも市販されている。本発明の核酸
を標識して得られる本発明のプローブと検体DNAとを
アニーリングしてハイブリダイズするか否かを調べるこ
とにより、病原性キサントモナス・カンペストリスを検
出することができる。
【0014】この場合、検体DNAを先ず制限酵素で切
断し、電気泳動後、プローブとハイブリダイズさせる
と、後述の実施例に具体的に示されるように、病原性キ
サントモナス・カンペストリスの各パソバー間で、プロ
ーブとハイブリダイズする断片の長さが異なっている
(制限酵素断片長多型)。従って、本発明のプローブを
用いて制限酵素断片長多型解析(以下「RFLP解析」
と呼ぶ)を行うことにより、病原性キサントモナス・カ
ンペストリスのパソバーを簡便かつ迅速に区別、すなわ
ち同定することが可能になる。
【0015】RFLP解析に供試される細菌から染色体
DNAが抽出され、制限酵素で切断される。染色体DN
Aの抽出方法は既知のいずれの方法を用いても構わな
い。抽出された染色体DNAの切断に使用する制限酵素
は多数用いるのが理想であるが、EcoRI、EcoR
V、SalI、PstIの4種類を主に使用する。
【0016】切断された染色体DNAのDNA断片は、
例えばアガロースゲル電気泳動等の電気泳動により分離
された後、本発明のプローブとサザンブロット・ハイブ
リダイゼーションが行われる。アガロースゲル電気泳動
を採用する場合、分離に使用されるアガロースゲルのア
ガロース濃度は0.4 %から2.0 %まで使用可能である
が、0.7 %が最も好ましい。転写に使用される膜はDN
Aを確実に結合させうる性能を有しているものであれ
ば、特にこれを限定しない。ハイブリダイゼーション反
応の条件は、一般によく用いられる条件で構わないが、
ホルムアミドを含まない反応溶液を用いて例えば68℃
で16時間ハイブリダイゼーション反応を行うことが好
ましい。
【0017】本発明により、病原性キサントモナス・カ
ンペストリスに特異的な染色体DNA領域の塩基配列が
明らかになったので、この領域を特異的に増幅させるP
CR等の核酸増幅法によっても病原性キサントモナス・
カンペストリスを検出することができる。すなわち、自
然環境中の試料(植物、土壌、河川水など)に対して、
本発明の核酸断片上の塩基配列をプライマーとして用い
てPCR反応を行うことにより、病原性キサントモナス
・カンペストリスが自然環境中に存在するか否かを迅速
かつ簡便に調査することができる。PCRを行う方法は
この分野において周知であり、そのためのキット及び装
置も市販されている。本発明は、この核酸増幅法に用い
られるプライマーを提供する。
【0018】本発明のプライマーは、上記した本発明の
核酸断片中の連続する15〜50塩基から成る塩基配列
を有する核酸から成る。塩基数は好ましくは20〜30
である。プライマーは、本発明の核酸断片上のいずれの
領域にあるものであってもよい。好ましいフォワード側
プライマーとして配列表の配列番号2に示される塩基配
列を有する、25塩基から成るもの(以下、「S7−1
1プライマー」)、好ましいリバース側プライマーとし
て配列番号3に示される塩基配列を有する、25塩基か
ら成るもの(以下、S7−12プライマー」)を挙げる
ことができるが、これらに限定されるものではない。S
7断片を鋳型DNAとし、S7−11プライマー及びS
7−12プライマーのセットを用いてPCRを行うと、
309塩基から成る領域が増幅される。本発明のプライ
マーは、化学合成により容易に調製することができる。
【0019】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づきより具体的に
説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定される
ものではない。
【0020】実施例1 S7断片の単離及び塩基配列決
定並びに病原性キサントモナス・カンペストリスのRF
LP キサントモナス・カンペストリス・パソバー・ポアMB
218株(NRR−B−18078)の染色体DNAを
常法により抽出し、SalIで切断した。得られた各断
片をクローニングし、市販のキット(Boehring
er Mannheim社製の「DIG DNA La
beling Kit」)を用いて各断片を標識した。
【0021】一方、キサントモナス・カンペストリス・
パソバー・ポア、キサントモナス・カンペストリス・パ
ソバー・グラミニス、キサントモナス・カンペストリス
・パソバー・フレイ、キサントモナス・カンペストリス
・パソバー・アルヘナセリ、キサントモナス・カンペス
トリス・パソバー・トランスルーセンス、キサントモナ
ス・カンペストリス・パソバー・ウンドゥロサ、キサン
トモナス・カンペストリス・パソバー・ホルデイ、キサ
ントモナス・カンペストリス・パソバー・カンペストリ
ス、プセウドモナス・グルメからDNAを抽出し、抽出
したDNAを4種類の制限酵素EcoRI、EcoR
V、SalI、PstIで別々に切断した。3マイクロ
グラムの切断されたDNA断片を、0.7%濃度のアガロー
スを用いたアガロースゲル電気泳動法により分離した
後、標識した上記の各断片をプローブとしてサザンブロ
ットハイブリダイゼーションを行った。ブロティング・
メンブレンには、PALL社製のバイオダインAを用
い、シグナルの検出にはBoehringer Man
nheim社製の「DIG Luminescent
Detection Kit for Nucleic
Acids」を使用した。また、ハイブリダイゼーシ
ョン反応は、Boehringer Mannheim
社の説明書である「The DIG System U
ser’s Guide for Filter Hy
bridization」に従い68℃下、16時間行
った。なお、上記細菌のうち、イネ科植物に対する非病
原性キサントモナス・カンペストリスはキサントモナス
・カンペストリス・パソバー・カンペストリスであり、
その他のキサントモナス・カンペストリスは病原性キサ
ントモナス・カンペストリスである。
【0022】その結果、キサントモナス・カンペストリ
ス・パソバー・ポアMB218株(NRR−B−180
78)の染色体より、制限酵素SalIで切り出された
S7断片をプローブとした場合は、全ての病原性キサン
トモナス・カンペストリスのDNAとハイブリダイズし
たがイネ科植物に対する非病原性キサントモナス・カン
ペストリス及びプセウドモナス・グルメのDNAとはハ
イブリダイズしなかった。これにより、病原性キサント
モナス・カンペストリスに特異的なDNA断片であるS
7断片が得られた。S7断片の塩基配列を市販のDNA
シーケンサーで決定した。その塩基配列が上記のように
配列番号1に示されている。
【0023】S7断片をプローブとして用いた場合の、
各制限酵素で切断したときのサザンブロットの結果を図
1ないし図4に示す。図1は、EcoRIで染色体DN
Aを切断したときのRFLPパターン、図2は、Eco
RVで染色体DNAを切断したときのRFLPパター
ン、図3は、SalIで染色体DNAを切断したときの
RFLPパターン、図4は、PstIで染色体DNAを
切断したときのRFLPパターンである。図1〜4中の
各レーンの細菌は下記表1に示す通りである。図1〜4
に示されるように、病原性キサントモナス・カンペスト
リスはパソバーのレベルで全て異なったRFLPパター
ンを示した。以上の結果から、S7断片をDNAプロー
ブとして用いてRFLP解析を行うことにより、病原性
キサントモナス・カンペストリスをパソバーあるいは菌
株のレベルで区別・同定することが可能であった。
【0024】
【表1】
【0025】実施例2 病原性キサントモナス・カンペ
ストリス・パソバー・ポアJT−P482株の環境中か
らの検出 JT−P482株の懸濁液(2.0×104 、2.0×
103 、2.0×102 コロニー・フォーミング・ユニ
ット/ミリリットル;cfu/ml)、河川水、池水、
殺菌蒸留水に対して上記S7−11プライマー及びS7
−12プライマーを用いたPCR反応を行い、イネ科に
属し芝地の雑草であるスズメノカタビラに対して病原性
を示すJT−P482株を特異的に検出できるか否かを
調査した。Bio−Rad社製の「InstaGene
(登録商標)DNA Purification Ma
trix」を用いて0.1mlのサンプルからDNAを
抽出した後、エタノール沈殿によりDNAを回収した。
得られたDNAに対して表2に示した条件でPCR反応
を行った後、0.01mlの反応溶液を2.0%濃度の
アガロースゲルに対して電気泳動を行った。
【0026】
【表2】 *;宝酒造株式会社製LA PCR Kit Ver. 2 を使用。
【0027】その結果を図5に示した。図5中の各レー
ンは、表3に示す細菌についての結果を示すものであ
る。
【0028】
【表3】
【0029】このようにイネ科に病原性を示す植物病原
細菌であるキサントモナス・カンペストリス・パソバー
・ポアJT−P482株を予め加えておいたサンプルか
らのみ特異的な約300bpのDNA断片が増幅され、
イネ科に病原性を示す植物病原細菌であるキサントモナ
ス・カンペストリスが存在している可能性の低い河川
水、池水、殺菌蒸留水からは特異的な約300bpのD
NA断片は増幅されなかった。以上の結果から、本発明
のS7断片上の塩基配列をプライマーとするPCR反応
を行うことによって、自然環境中に存在するイネ科に病
原性を示す植物病原細菌であるキサントモナス・カンペ
ストリスを迅速に検出することが可能である。
【0030】
【発明の効果】本発明により、イネ科植物に対して病原
性を示すキサントモナス・カンペストリスを迅速かつ簡
便に高い精度で区別・同定することが可能となる。例え
ば、本発明はイネ科植物の病気の診断に利用することが
できる。迅速に病気の診断が行えるということは、すな
わち早期の治療が可能となる。また、自然環境のような
複雑な微生物叢から、特定の細菌(イネ科植物に対して
病原性を示す細菌)の消長を追うことが可能である。す
なわち、病原細菌の環境中における密度を知ることによ
り、イネ科植物の病気の予防が可能である。
【0031】また、本発明により、イネ科植物に対して
病原性を示す、日本には存在しない植物病原細菌が種
子、苗等に付着し、日本国内に侵入することを未然に発
見し、これを防ぐことが可能となる。本明細書で記載し
たキサントモナス・カンペストリスに属する植物病原細
菌の中で、キサントモナス・カンペストリス・パソバー
・カンペストリス、キサントモナス・カンペストリス・
パソバー・ポアエ、キサントモナス・カンペストリス・
パソバー・ホルデイ、キサントモナス・カンペストリス
・パソバー・トランスルーセンスを除く植物病原細菌
は、日本国内ではその存在が確認されていない。また、
キサントモナス・カンペストリス・パソバー・ホルデイ
及びキサントモナス・カンペストリス・パソバー・トラ
ンスルーセンスにおいても牧草であるオーチャードグラ
ス及びプロムグラスの病原菌として報告があるのみで、
主要作物であるオオムギの病原菌としての報告は日本で
はない。従って、上記のイネ科植物に対して病原性を示
すキサントモナス・カンペストリスを、本発明により迅
速に検出、同定することは植物防疫上、重要である。
【0032】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:1220 配列の型:核酸 鎖の数:両形態 トポロジー:直鎖状 配列 GTCGACAGGC GCTTGGCGCA ATACATGGCA TCGTCGGCAT GCGCCAGCAA GGCCTCGGCG 60 CTGTCGGCAT GCTCCGGATA CAGGCTGATG CCGATGCTCA CGCCGAGCCG CAGCGTGTCC 120 TCACCGGCGA TCGCGGGCCG TTCGAAGGCT TCGATCAGCG CCGTGGCGGT CGCCGCGGCA 180 TAGGCGTCGC TGCTCAATCC GGTCAGCACC GCCACGAACT CGTCGCCGCC GTAACGCGCC 240 ACCGTGACGT GCGCATCGAC GATCTCGCCG ATGCGTTCGG CGGCCAGGCG CAGGAAGCGG 300 TCGCCGGTGG CGTGTCCGAG CAGATCGTTG ATCTGCTTGA ACTCGTTGAG ATCCAGGAAC 360 AGCACGGCGA TGCGGTGGTG TTGCGCGTGC GCGGTGGTGA TCGCCAGATT GAGCCGTTCG 420 AACAGCAGTT CGCGGTTCGG CAGGCCGGTC AACGGGTCGC GCTTGGCCTG GCGGTTGGCG 480 TCGTCCAGCG CCAGTTGGTA GGTGACCACC TGCGCCTGGG CGCGCAGCGT GGTCAACACC 540 AGGCGTTCGT TGGCCGCTTT CAGGTCGGTG GCAAGCCCGT GCAATCCATT GTCCTTCAGT 600 GCGATCAGAT CCGTCTGCAG CCGGTCCAGT TCCAGCCGCG CAAGCAGCGA CTGGCGGCGC 660 AGCTGCGACA GCTCGAGCCT GGCCGCGTCG ATGGTGGGTT GTTCGGGGGG CGTATGCATG 720 CCGGCTCAAC CCGTGTCGAG GATGTCGTGC GTGCCGGCCT TGCGCATCGG CCGGCCGCCG 780 AGCAGGCCTT CCTGCTGCGG CAGCGCCGCG CCGATGCGGA TGCCGTCGTC GTCGATCCGG 840 AACTCGCGCA GCGCATCCGA ATGCGCGCTG GCGCGGACCT TGACCACCGC CATCACCCGG 900 CGCAAGCGGC TGTCCACCTC GATATAGCGT TGCACGATGA TCGCATCGGT CATGAACGCA 960 GTGCCGTAGG GACTGAAGCG TAGATCGGTG TAGCGGTCCT CCAGCTCGGA GGTCATCAGC 1020 ACGGTGACGC CGGTCGCGCC CAATGCCACC ACCATGCGCG ACAGCGATTC GCGGAAGTCC 1080 TCGCGGAACG TCGGCGCCAA CGCCAGCTCG AACGCCGACA GCGAATCGAT CACCACGCGG 1140 GTGGCGTCGA GCCGCCCGAT TTCCGCGACC AGCAGCAGCA AGATCTCGTC GATCGACAGG 1200 TCCGGCGCGC GGCTGTCGAC 1220
【0033】配列番号:2 配列の長さ:25 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列 CAATCCGGTC AGCACCGCCA CGAAC 25
【0034】配列番号:3 配列の長さ:25 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列 ACCTACCAAC TGGCGCTGGA CGACG 25
【図面の簡単な説明】
【図1】EcoRIで各種細菌の染色体DNAを切断
し、S7断片をプローブとしてサザンブロットハイブリ
ダイゼーションを行ったときのRFLPパターンを示す
図である。
【図2】EcoRVで各種細菌の染色体DNAを切断
し、S7断片をプローブとしてサザンブロットハイブリ
ダイゼーションを行ったときのRFLPパターンを示す
図である。
【図3】SalIで各種細菌の染色体DNAを切断し、
S7断片をプローブとしてサザンブロットハイブリダイ
ゼーションを行ったときのRFLPパターンを示す図で
ある。
【図4】PstIで各種細菌の染色体DNAを切断し、
S7断片をプローブとしてサザンブロットハイブリダイ
ゼーションを行ったときのRFLPパターンを示す図で
ある。
【図5】本発明のプライマーを用いて、環境中の各種検
体をPCRにかけて得られた増幅産物の電気泳動図の模
式図である。

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列表の配列番号1に示される塩基配
    列、又は該塩基配列において1若しくは複数個の塩基が
    欠失、置換、付加若しくは挿入された塩基配列であって
    イネ科植物に対する病原性を有するキサントモナス・カ
    ンペストリスの検出能を有する塩基配列を有する核酸断
    片。
  2. 【請求項2】 配列表の配列番号1に示される塩基配列
    又は該配列の一部であって、イネ科植物に対する病原性
    を有するキサントモナス・カンペストリスの検出能を有
    する塩基配列を有する請求項1記載の核酸断片。
  3. 【請求項3】 配列表の配列番号1に示される塩基配列
    を有する請求項2記載の核酸断片。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項に記載
    の核酸断片を標識して成る、イネ科植物に対する病原性
    を有するキサントモナス・カンペストリスの検出又は同
    定用プローブ。
  5. 【請求項5】 前記核酸断片は、請求項2記載の核酸断
    片である請求項4記載のプローブ。
  6. 【請求項6】 前記核酸断片は、請求項3記載の核酸断
    片である請求項5記載のプローブ。
  7. 【請求項7】 イネ科植物に対する病原性を有するキサ
    ントモナス・カンペストリスは、キサントモナス・カン
    ペストリス・パソバー・ポア、キサントモナス・カンペ
    ストリス・パソバー・グラミニス、キサントモナス・カ
    ンペストリス・パソバー・フレイ、キサントモナス・カ
    ンペストリス・パソバー・アルヘナセリ、キサントモナ
    ス・カンペストリス・パソバー・トランスルーセンス、
    キサントモナス・カンペストリス・パソバー・ウンドゥ
    ロサ又はキサントモナス・カンペストリス・パソバー・
    ホルデイである請求項4ないし6のいずれか1項に記載
    のプローブ。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし3のいずれか1項に記載
    の核酸断片の塩基配列を検出することから成る、イネ科
    植物に対する病原性を有するキサントモナス・カンペス
    トリスの検出方法。
  9. 【請求項9】 検体DNAを制限酵素で切断し、切断断
    片を電気泳動により分離した後、請求項4ないし7のい
    ずれか1項に記載のプローブとハイブリダイズさせ、ハ
    イブリダイズしたプローブを検出することから成る、イ
    ネ科植物に対する病原性を有するキサントモナス・カン
    ペストリスの検出又は同定方法。
  10. 【請求項10】 前記制限酵素はEcoRI、EcoR
    V、SalI又はPstIである請求項9記載の方法。
  11. 【請求項11】 請求項1ないし3のいずれか1項に記
    載の核酸断片中の連続する15〜50塩基から成る塩基
    配列を有する核酸から成る、イネ科植物に対する病原性
    を有するキサントモナス・カンペストリス検出用プライ
    マー。
  12. 【請求項12】 前記核酸断片は、請求項2記載の核酸
    断片である請求項11記載のプライマー。
  13. 【請求項13】 前記核酸断片は、請求項3記載の核酸
    断片である請求項12記載のプライマー。
  14. 【請求項14】 塩基数が20〜30である請求項11
    ないし13のいずれか1項記載のプライマー。
  15. 【請求項15】 配列表の配列番号2に示される塩基配
    列を有する請求項14記載のプライマー。
  16. 【請求項16】 配列表の配列番号3に示される塩基配
    列を有する請求項14記載のプライマー。
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