JPH1175209A - オートキャンセラ - Google Patents

オートキャンセラ

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JPH1175209A
JPH1175209A JP9235284A JP23528497A JPH1175209A JP H1175209 A JPH1175209 A JP H1175209A JP 9235284 A JP9235284 A JP 9235284A JP 23528497 A JP23528497 A JP 23528497A JP H1175209 A JPH1175209 A JP H1175209A
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JP
Japan
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magnetic field
elements
atomic
δtx
canceller
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Withdrawn
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JP9235284A
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English (en)
Inventor
Takao Mizushima
隆夫 水嶋
Teruhiro Makino
彰宏 牧野
Yoshihiro Sudou
能啓 須藤
Shinichi Sasagawa
新一 笹川
Yuichi Ubunai
雄一 生内
Akihisa Inoue
明久 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Alps Alpine Co Ltd
Original Assignee
Alps Electric Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型にすることが可能であり、かつ地磁気に
よる磁力線の方位を精密に測定できる磁気センサを備え
たオートキャンセラを提供する。 【解決手段】 外部磁界の磁力線と逆向きで大きさが等
しいキャンセル磁界をブラウン管4に印加するキャンセ
ルコイル5と、磁気センサ2によって検出された前記外
部磁界による磁力線の方位に基づいてキャンセル磁界の
大きさを制御する制御部3とを具備してなり、磁気セン
サ2は、Fe、Co、Niのうちの1種または2種以上
を主成分とし、Zr、Nb、Ta、Hf、Mo、Ti、
Vのうちの1種または2種以上の元素とBを含み、ΔT
x=Tx−Tg(式中、Txは結晶化開始温度、Tgは
ガラス遷移温度を示す)の式で表される過冷却液体の温
度間隔ΔTxが20K以上である軟磁性金属ガラス合金
からなる磁気インピーダンス効果素子を備えてなること
を特徴とするオートキャンセラ1を採用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブラウン管を備え
たディスプレイ等に備えられる磁気センサを具備してな
るオートキャンセラに関するものであり、特に、Fe基
軟磁性金属ガラス合金からなる磁気インピーダンス効果
素子を備えた磁気センサを具備してなるオートキャンセ
ラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、CAD画像情報の緻密化に伴っ
て、ブラウン管を備えたディスプレイ(以下、CRTデ
ィスプレイと略す。)のシャドウマスク孔のピッチの緻
密化が進んでいる。例えば、画面サイズが14インチの
CRTディスプレイにおいては、0.28mm/ピッチ
となっている。このような高緻密画面では、ブラウン管
内の電子ビームが地磁気等の外部磁界の影響を受け、本
来通過すべき軌跡から外れて、画像の移動、色純度劣化
による色むらの発生といった画質低下が生じるという課
題がある。そこで、最近のCRTディスプレイには、地
磁気の影響を打ち消すために、地磁気による磁力線と逆
向きで等しい大きさの磁界(キャンセル磁界)をブラウ
ン管に印加するキャンセルコイルと、キャンセル磁界の
大きさを制御するための制御部を備えたオートキャンセ
ラが具備されているのが一般的である。制御部には、地
磁気の方位を検出するための磁気センサが備えられてい
る。
【0003】従来のオートキャンセラの制御部には、磁
気センサとして、その動作原理上安定性に優れ、磁界の
検出感度も10-7〜10-6G程度と高いフラックスゲー
トセンサーが備えられている。しかし、このフラックス
ゲートセンサーは、環状の磁心と、この磁心に巻回して
磁場を印加する励磁巻線と、磁心の磁束密度を検出する
検出巻線とからなる構造であるため、形状が塊状とな
り、オートキャンセラの小型化が図れないという課題が
ある。
【0004】一方、別の磁気センサとして、磁気抵抗素
子(以下、MR素子と略す)を用いた磁気センサは、2
つのMR素子をそれぞれに印加される電流の電流路が互
いに直交するように同一平面内に配置し、これら2つの
MR素子をブリッジ等に接続することにより外部磁界に
よる磁力線の方位を検出するもので、形状が平面状であ
り、オートキャンセラの小型化を図ることが可能であ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のMR素
子を用いた磁気センサは、外部磁界の強度の変化による
MR素子自身の固有抵抗に対する抵抗変化率が3〜6%
程度と小さく、抵抗変化が鋭敏ではないので、地磁気等
の外部磁界による磁力線の精密な方位測定を行うことが
困難であり、キャンセルコイルよって発生させるキャン
セル磁界の大きさを最適化できないために、オートキャ
ンセラを正常に作動させることができないという課題が
あった。
【0006】本発明は上述の課題を解決するためになさ
れたものであって、その形状を小型にすることが可能で
あり、かつ地磁気による磁力線の方位を精密に測定でき
る磁気センサを備えたオートキャンセラを提供すること
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は以下の構成を採用した。本発明のオート
キャンセラは、外部磁界の磁力線と逆向きで大きさが等
しいキャンセル磁界をブラウン管に印加するキャンセル
コイルと、磁気センサによって検出された前記外部磁界
による磁力線の方位に基づいてキャンセル磁界の大きさ
を制御する制御部とを具備してなるオートキャンセラに
おいて、前記磁気センサは、外部磁界の検出手段とし
て、Fe、Co、Niのうちの1種または2種以上の元
素を主成分とし、Zr、Nb、Ta、Hf、Mo、T
i、Vのうちの1種または2種以上の元素とBを含み、
ΔTx=Tx−Tg(式中、Txは結晶化開始温度、T
gはガラス遷移温度を示す)の式で表される過冷却液体
の温度間隔ΔTxが20K以上である軟磁性金属ガラス
合金からなる磁気インピーダンス効果素子を備えてなる
ことを特徴とする。また、本発明において、前記組成に
対してZrまたはHfを必ず含み、ΔTxが25K以上
であることを特徴とするものであっても良い。
【0008】本発明のオートキャンセラは、先に記載の
オートキャンセラであって、前記磁気センサは、前記外
部磁界による磁力線のX軸方向の成分の検出手段である
第1の磁気インピーダンス効果素子と、前記外部磁界に
よる磁力線のY軸方向の成分の検出手段である第2の磁
気インピーダンス効果素子とを備えてなることを特徴と
する。また、本発明のオートキャンセラは、先に記載の
オートキャンセラであって、前記第1、2の磁気インピ
ーダンス効果素子が、それぞれに印加される交流電流の
電流路が互いに直交するように同一平面内に配置された
ことを特徴とする。更に、本発明のオートキャンセラ
は、先に記載のオートキャンセラであって、前記第1、
2の磁気インピーダンス効果素子には、それぞれに印加
される交流電流の電流路に沿ってバイアス磁化を印加す
るための巻線が巻回されたことを特徴とする。
【0009】更に、本発明のオートキャンセラは、先に
記載のオートキャンセラであって、前記軟磁性金属ガラ
ス合金は、ΔTxが60K以上であり、下記の組成で表
されるものであることを特徴とすることを特徴とする。 (Fe1-a-bCoaNib100-x-yxy 但し、0≦a≦0.29、0≦b≦0.43、5原子%
≦x≦20原子%、10原子%≦y≦22原子%であ
り、MはZr、Nb、Ta、Hf、Mo、Ti、Vのう
ちの1種または2種以上からなる元素である。また、本
発明は、前記(Fe1-a-bCoaNib100-x-yxy
る組成式において0.042≦a≦0.29、0.042
≦b≦0.43の関係にされてなることを特徴とするも
のでも良い。
【0010】更に、本発明のオートキャンセラは、先に
記載のオートキャンセラであって、前記軟磁性金属ガラ
ス合金は、ΔTxが60K以上であり、下記の組成で表
されるものであることを特徴とすることを特徴とする。 (Fe1-a-bCoaNib100-x-y-zxyz 但し、0≦a≦0.29、0≦b≦0.43、5原子%
≦x≦20原子%、10原子%≦y≦22原子%、0原
子%≦z≦5原子%であり、MはZr、Nb、Ta、H
f、Mo、Ti、Vのうちの1種または2種以上からな
る元素、TはCr、W、Ru、Rh、Pd、Os、I
r、Pt、Al、Si、Ge、C、Pのうちの1種また
は2種以上からなる元素である。また、本発明は、前記
(Fe1-a-bCoaNib100-x-y-zxyzなる組成
式において0.042≦a≦0.29、0.042≦b≦
0.43の関係にされてなるものでも良い。
【0011】次に、本発明のオートキャンセラにおいて
は、前記元素Mが(M'1-cM"c)で表され、M'はZr
またはHfのうちの1種または2種であり、M"はN
b、Ta、Mo、Ti、Vのうちの1種または2種以上
からなる元素であり、0≦c≦0.6であることを特徴
とするものでも良い。更に、前記軟磁性金属ガラス合金
の前記組成において、cが0.2≦c≦0.4の範囲であ
ることを特徴とするものでも良く、前記cが0≦c≦
0.2の範囲であることを特徴としても良い。更に、本
発明のオートキャンセラは、前記軟磁性金属ガラス合金
の前記組成において、aが0.042≦a≦0.25、b
が0.042≦b≦0.1であることを特徴としても良
い。本発明のオートキャンセラは、前記軟磁性金属ガラ
ス合金に427〜627℃で熱処理が施されてなること
を特徴とするものでも良い。更に、前記軟磁性金属ガラ
ス合金の前記組成において元素Bの50%以下をCで置
換しても良い。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図1及び図2において、オートキ
ャンセラ1には、外部磁界の磁力線と逆向きで大きさが
等しいキャンセル磁界をブラウン管4に印加するため
に、ブラウン管4のフェイス(画面)6の周囲に巻回さ
れた導線からなるキャンセルコイル5と、磁気センサ2
によって検出された前記外部磁界による磁力線の方位に
基づいてキャンセル磁界の大きさを制御する制御部3と
が備えられている。キャンセルコイル5の両端5aは、
制御部3に接続されている。
【0013】また、図2において、磁気センサ2には、
外部磁界のX軸方向の成分の検出手段である第1の磁気
インピーダンス効果素子(以下、MI素子と略す)12
と、X軸方向に垂直なY軸方向の外部磁界の成分の検出
手段である第2のMI素子13とが備えられている。磁
気インピーダンス効果素子(MI素子)とは、磁気イン
ピーダンス効果(Magneto-Impedance Effect)を有する
素子である。磁気インピーダンス効果とは、ワイヤ状ま
たはリボン状の磁性体に電源からMHz帯域の交流電流
を印加し、この状態で磁性体の長手方向から外部磁界を
印加すると、外部磁界が数ガウス程度の微弱磁界であっ
ても、磁性体の両端に素材固有のインピーダンスによる
電圧が発生し、その振幅が外部磁界の強度に対応して数
十%の範囲で変化する、すなわちインピーダンス変化を
起こす現象をいう。第1、2のMI素子12、13は、
Fe、Co、Niのうちの1種または2種以上を主成分
とする軟磁性金属ガラス合金からなり、その形状は平面
視略矩形で所定の厚みを有するものである。第1、2の
MI素子12、13は、それぞれに印加される交流電流
の電流路の方向が互いに直交するように平面14に配置
されている。即ち、第1、2のMI素子12、13は、
それぞれの長手方向の向きが互いに直交するように配置
されている。第1、2のMI素子12、13の形状は、
図2においては板状であるが、これに限られることはな
く、棒状、薄帯(リボン)状、ワイヤ状、線状、線状の
成形体の複数本を撚り合わせたもの等であっても良い。
【0014】第1、2のMI素子12、13には、第
1、2のMI素子12、13に印加される交流電流の電
流路の方向に沿って、即ち、第1、2のMI素子12、
13の長手方向に沿ってバイアス磁化を印加するための
巻線15、16が巻回されている。巻線15、16の両
端は、巻線端子15a、16aを介して、外部巻線用導
線15b、16bに接続されている。第1、2のMI素
子12、13の長手方向の両端12a、13aには、出
力電流を取り出すための出力導線17、18、19が接
続されている。導線17、19は、出力端子17a、1
9aを介して、出力用外部導線17b、19bに接続さ
れている。また、導線18の両端は、第1のMI素子1
2の端部12aと第2のMI素子13の端部13aとに
接続されている。また、導線18は、出力端子18aを
介して、出力用外部導線18bに接続されている。更
に、第1、2のMI素子12、13のそれぞれの長手方
向の両端12a、13aには、図示しない交流電流を印
加するための導線が接続されている。
【0015】上述のオートキャンセラ1の動作は次の通
りである。図2において、磁気センサ2の第1、2のM
I素子12、13には、図示しない導線からMHz帯域
の交流電流が印加されている。このとき、第1、2のM
I素子12、13のそれぞれの両端12a、13aに
は、それぞれの素子に固有のインピーダンスによる電圧
が発生している。図2に示すように、地磁気等の外部磁
界による磁力線の方向を任意とし、この磁力線が第1の
MI素子12に印加されると、第1のMI素子12の両
端に発生するインピーダンスは、この磁力線の第1のM
I素子12の長手方向に対して平行な成分(X軸方向の
成分)の大きさに対応したものとなる。同様に、この磁
力線が第2のMI素子13に印加されると、第2のMI
素子13の両端に発生するインピーダンスは、この磁力
線の第2のMI素子13の長手方向に対して平行な成分
(Y軸方向の成分)の大きさに対応したものとなる。即
ち、第1、2のMI素子12、13に対して、地磁気に
よる磁力線の方向が変化すると、これに対応して第1、
2のMI素子12、13のインピーダンスが変化し、第
1、2のMI素子12、13から出力される電圧値が変
化することになる。このようにして、磁気センサ2にお
いては、出力端子17a、18aから、地磁気のX軸方
向の成分の大きさに対応した電圧値を示す出力電流が取
り出され、出力端子19a、18aから、地磁気のY軸
方向の成分の大きさに対応した電圧値を示す出力電流が
取り出される。これらの出力電流は、外部出力導線17
b、18b、19bを介して制御部3内の図示しない処
理部に送られる。処理部では、得られた出力電流に基づ
いて地磁気による磁力線の方位が測定される。
【0016】更に、制御部3においては、地磁気の大き
さが地球上でほぼ一定であることから、磁気センサ2に
よって検出された地磁気の磁力線の方位に基づいて、ブ
ラウン管4のフェイス(画面)6の鉛直方向に対する地
磁気の磁力線の成分の大きさが測定される。この大きさ
に対応した電流を制御部3からキャンセルコイル5に印
加して、地磁気の磁力線と逆向きで大きさが等しいキャ
ンセル磁界を発生させることにより、地磁気による磁力
線が打ち消されてブラウン管4の電子ビームへの影響が
取り除かれ、画像の移動、色純度劣化による色むらを修
正する。
【0017】従来のMR素子の磁気検出感度が0.1
Oe程度であるのに対し、磁気インピーダンス効果を有
する素子(MI素子)は、10-5 Oe程度の磁気を検
出することが可能である。特に、本発明の第1、2のM
I素子12、13に、コルピッツ発振回路などの自己発
振回路等を接続して数〜数十MHzの交流電流を印加し
た場合には、分解能が約10-6 Oeの高感度で外部磁
界を安定に検出できるので、微弱な外部磁界の検出が可
能になる。従って、第1、2のMI素子12、13の形
状を、長手方向の長さを短くしてMI素子固有のインピ
ーダンスを小さくするような形状とした場合においても
良好な磁気検出感度が得られるので、オートキャンセラ
1の小型化を図ることが可能となる。
【0018】また、上述したように、本発明のオートキ
ャンセラ1の磁気センサ2には、第1、2のMI素子1
2、13にバイアス磁化を印加するための巻線15、1
6が備えられている。本発明に係る第1、2のMI素子
12、13は、図3(a)に示すように、外部磁界ゼロ
を中心に外部磁界の絶対値に依存して正負方向にほぼ対
称的に出力電圧の変化(インピーダンス変化)を示す。
【0019】磁気センサ2の第1、2のMI素子12、
13にバイアス磁化を印加しない場合には、図3(b)
に示すように、外部磁界による磁力線の方向を第1のM
I素子12の長手方向に対して0〜90゜に変化させる
と、第1のMI素子12からの出力電圧が低下する。ま
た、外部磁界による磁力線の方向を90〜180゜に変
化させると、第1のMI素子12からの出力電圧が上昇
する。このとき、0゜と180゜における出力電圧の電
圧値は同一となり、磁力線の方向を正確に測定すること
ができない。
【0020】第1、2のMI素子12、13にバイアス
磁化を印加した場合には、図3(c)に示すように、外
部磁界に対するインピーダンスが直線的に変化する領域
を使用することになり、外部磁界による磁力線の方向を
0〜180゜に変化した場合でも、MI素子からの出力
電圧の変化が線形的であり、外部磁界の方向を正確に測
定できる。
【0021】第1、2のMI素子12、13に印加する
バイアス磁化の大きさは、絶対値で0.1〜2 Oeの
範囲であることが好ましい。バイアス磁化の大きさが、
0.1 Oe以下若しくは2 Oe以上の範囲では、外部
磁界に対するインピーダンス変化が線形変化でないので
好ましくない。従って、バイアス磁化を印加するための
巻線15、16に印加するバイアス電流は、数mAの直
流電流で十分である。
【0022】第1、2のMI素子12、13を構成する
軟磁性金属ガラス合金は、Fe、Co、Niのうちの1
種または2種以上を主成分とし、ΔTx=Tx−Tg
(式中、Txは結晶化開始温度、Tgはガラス遷移温度
を示す)の式で表される過冷却液体領域の温度幅ΔTx
が20K以上、組成によっては40〜60K以上という
顕著な温度間隔を示すので、徐冷による成形が可能とな
り、比較的肉厚のリボン状や線状の成形体を作成するこ
とが可能となる。
【0023】高い磁気インピーダンス効果を有しなが
ら、しかも20K以上のΔTxを有する軟磁性金属ガラ
ス合金を得るために、この軟磁性金属ガラス合金に、Z
r、Nb、Ta、Hf、Mo、Ti、Vのうちの1種ま
たは2種以上とBとを含有させる。より具体的に例示す
ると、本発明では、その組成が、 (Fe1-a-bCoaNib100-x-yxy の一般式で表記することができ、この一般式において、
0≦a≦0.29、0≦b≦0.43、5原子%≦x≦2
0原子%、10原子%≦y≦22原子%なる関係が好ま
しく、MはZr、Nb、Ta、Hf、Mo、Ti、Vの
うちの1種又は2種以上からなる元素である。前記の組
成において、ZrまたはHfを必ず含み、ΔTxが25
K以上であることが好ましい。また、前記の組成におい
て、ΔTxが60K以上であることがより好ましい。更
に、前記(Fe1-a-bCoaNib100-x-yxyなる一
般式において0.042≦a≦0.29、0.042≦b
≦0.43の関係にされてなることが好ましい。
【0024】次に、本発明に係る他の軟磁性金属ガラス
合金は、その組成が、(Fe1-a-bCoaNib
100-x-y-zxyzの一般式で表記することができ、こ
の一般式において、0≦a≦0.29、0≦b≦0.4
3、5原子%≦x≦20原子%、10原子%≦y≦22原
子%、0原子%≦z≦5原子%であり、MはZr、N
b、Ta、Hf、Mo、Ti、Vのうちの1種又は2種
以上からなる元素、TはCr、W、Ru、Rh、Pd、
Os、Ir、Pt、Al、Si、Ge、C、Pのうちの
1種又は2種以上の元素である。また、本発明は、前記
(Fe1-a-bCoaNib100-x-y-zxyzなる 一般
式において0.042≦a≦0.29、0.042≦b≦
0.43の関係にされてなるものでも良い。次に、前記
元素Mが(M'1-cM"c)で表され、M'はZrまたはH
fのうちの1種または2種であり、M"はNb、Ta、
Mo、Ti、Vのうちの1種または2種以上からなる元
素であり、0≦c≦0.6であることを特徴とするもの
でも良い。更に、前記組成においてcが0.2≦c≦0.
4の範囲であることを特徴とするものでも良く、前記c
が0≦c≦0.2の範囲であることを特徴としても良
い。更に本発明において、0.042≦a≦0.25、
0.042≦b≦0.1であることを特徴としても良い。
【0025】本発明において、軟磁性金属ガラス合金に
427℃(700K)〜627℃(900K)で熱処理
が施されてなることを特徴とするものでも良い。この範
囲の温度で熱処理がなされたものは、高い透磁率を示
す。なお、加熱後の冷却時に急冷すると、結晶相が析出
してアモルファス化できないので、熱処理後の冷却速度
はできるだけ遅いものとする必要があり、加熱後に徐冷
するか焼き鈍しするなどの処理が好ましい。また、前記
の組成において原子Bの50%以下をCで置換しても良
い。
【0026】「組成限定理由」本発明の軟磁性金属ガラ
ス合金においては、主成分であるFeを多く含む成分系
においてΔTxが大きくなり易く、Feを多く含む成分
系においてCo含有量とNi含有量を適正な値とするこ
とで、ΔTxの値を60K以上にすることができる。具
体的には、50K〜60KのΔTxを確実に得るために
は、Coの組成比を示すaの値を0≦a≦0.29、N
iの組成比を示すbの値を0≦b≦0.43の範囲、6
0K以上のΔTxを確実に得るためには、Coの組成比
を示すaの値を0.042≦a≦0.29、Niの組成比
を示すbの値を0.042≦b≦0.43の範囲とするこ
とが好ましい。また、前記の範囲内において、良好な磁
気インピーダンス効果を得るためには、Coの組成比を
示すaの値を0.042≦a≦0.25の範囲とすること
が好ましく、Niの組成比を示すbの値を0.042≦
b≦0.1の範囲とすることがより好ましい。
【0027】MはZr、Nb、Ta、Hf、Mo、T
i、Vのうちの1種又は2種以上からなる元素である。
これらはアモルファスを生成させるために有効な元素で
あり、5原子%以上、20原子%以下の範囲が好まし
く、5原子%以上、15原子%以下の範囲がより好まし
い。これら元素Mのうち、特にZrまたはHfが有効で
ある。ZrまたはHfは、その一部をNb等の元素と置
換することができるが、置換する場合の組成比cは、0
≦c≦0.6の範囲であると、高いΔTxを得ることがで
きるが、特にΔTxを80以上とするには0.2≦c≦
0.4の範囲が好ましい。
【0028】Bは、高いアモルファス形成能があり、本
発明では10原子%以上、22原子%以下の範囲で添加
する。この範囲を外れると、Bが10原子%未満である
と、ΔTx が消滅するために好ましくなく、22原子%
よりも大きくなるとアモルファスが形成できなくなるた
めに好ましくない。より高いアモルファス形成能と良好
な磁気インピーダンス効果を得るためには、16原子%
以上、20原子%以下とすることがより好ましい。
【0029】前記の組成系に更に、Tで示される、C
r、W、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Al、
Si、Ge、C、Pのうちの1種又は2種以上の元素を
添加することもできる。本発明ではこれらの元素を0原
子%以上、5原子%以下の範囲で添加することができ
る。これらの元素は主に耐食性を向上させる目的で添加
するもので、この範囲を外れると、アモルファス形成能
が劣化するために好ましくない。
【0030】本発明に係る軟磁性金属ガラス合金からな
る第1、2のMI素子12、13は、溶製してから鋳造
法により、或いは単ロールもしくは双ロールによる急冷
法によって、更には液中紡糸法や溶液抽出法によって、
バルク状、薄帯(リボン)状、線状体等の種々の形状と
して製造される。これらの製造法によって、従来の非晶
質合金によるリボン状のMI素子に比べての10倍以上
の厚さと形の大きさの第1、2のMI素子12、13を
得ることができるので、オートキャンセラ1に用いる場
合においても、第1、2のMI素子12、13の形状の
自由度が高い故に、磁気センサ2の設計、製造が容易に
なる。
【0031】これらの方法により得られた前記の組成の
軟磁性金属ガラス合金は、室温において軟磁気特性(So
ft magnetism)を有している。この軟磁気特性は427
℃〜627℃の範囲内の熱処理を施すことによって更に
改善される。このため、オートキャンセラ1への応用に
有用なものとなる。
【0032】上述のオートキャンセラ1の磁気センサ2
には、Fe、Co、Niのうちの1種または2種以上を
主成分とし、Zr、Nb、Ta、Hf、Mo、Ti、V
のうちの1種または2種以上の元素とBを含み、ΔTx
=Tx−Tg(式中、Txは結晶化開始温度、Tgはガ
ラス遷移温度を示す)の式で表される過冷却液体の温度
間隔ΔTxが20K以上である軟磁性金属ガラス合金か
らなるMI素子を備えており、外部磁界の変化に対する
インピーダンスの変化が大きいので、地磁気のような微
弱な外部磁界を検出することができる。また、本発明に
係る第1、2のMI素子12、13は、外部磁界の検出
感度が高いので、第1、2のMI素子12、13の大き
さを小さくすることが可能となり、オートキャンセラ1
を小型化できる。更に、本発明に係る第1、2のMI素
子12、13は、鋳造法、単ロール法、双ロール法等に
より、従来の非晶質合金に比べて板厚が大きい成形体を
容易に得られるので、オートキャンセラ1に用いる場合
においても、第1、2のMI素子12、13の形状の自
由度が高い故に、磁気センサ2の設計が容易になり、更
に第1、2のMI素子12、13の加工等が容易であ
り、オートキャンセラ1の製造が容易になると共に、製
造コストを低減できる。
【0033】上述のオートキャンセラ1の磁気センサ2
には、外部磁界のX軸方向の成分の検出手段である第1
のMI素子12と、Y軸方向の外部磁界の成分の検出手
段である第2のMI素子13とを備え、第1、2のMI
素子12、13は、それぞれに印加される交流電流の電
流路が互いに直交するように同一平面14内に配置さ
れ、第1、2のMI素子12、13に印加される交流電
流の電流路に沿ってバイアス磁化を印加する巻線15、
16が巻回されたものであるので、地磁気による磁力線
の方位を正確に測定することが可能となり、キャンセル
コイル5により発生させるキャンセル磁界の大きさを最
適にすることができる。
【0034】また、上述の第1、2のMI素子12、1
3は、外部磁界が−2 Oe〜+2Oe程度の微弱磁界
の範囲において、出力電圧の値の変化が穏やかであると
共に出力電圧の値の変化が線形的で定量性が良好である
ので、方位センサ1の外部磁界による磁力線の方位測定
の精度をより高くすることが可能となり、キャンセル磁
界の大きさを最適にすることができる。また、外部磁界
の方位を測定するための出力電圧を処理する回路構成が
比較的簡単になり、オートキャンセラ1の製造コストを
下げることができる。更に、第1、2のMI素子12、
13に印加するバイアス磁化は最大でも2Oe程度と小
さくて済むので、バイアス磁化を印加するための回路構
成を簡単にすることができる。
【0035】上述のオートキャンセラ1は、軟磁性金属
ガラス合金である第1、2のMI素子12、13に、4
27℃〜627℃の範囲内の熱処理が施されたものであ
り、良好な軟磁気特性を示し、磁気インピーダンス効果
を向上させることができるので、地磁気のような微弱な
外部磁界を検出することが容易に行える。
【0036】
【実施例】以下、実施例によって詳細に説明する。 (実施例1)Fe、Co、Ni、Zr、Nbの単体純金
属と純ボロン結晶をArガス雰囲気中において混合しア
ーク溶解して母合金を製造した。次に、この母合金をル
ツボで溶解し、アルゴンガス雰囲気中において40m/
Sで回転している銅ロールにルツボ下端の0.4mm径
のノズルから射出圧力0.39×105Paで吹き出して
急冷する単ロール法を実施することにより、幅0.4〜
1mm、厚さ13〜22μmの金属ガラス合金薄帯の試
料を製造した。得られた試料は、示差走査熱量測定(D
SC)により分析した。
【0037】図4は、各々Fe60Co3Ni7Zr
1020、Fe56Co7Ni7Zr1020、Fe49Co14
7Zr1020、Fe46Co17Ni7Zr1020なる組成
の金属ガラス合金薄帯試料のDSC曲線を示す。また、
図5には、Fe56Co7Ni7Zr8Nb220なる組成の
金属ガラス合金薄帯試料のDSC曲線を示す。これらの
いずれの試料においても、温度を上昇させてゆくことで
広い過冷却液体領域が存在することを確認でき、その過
冷却液体領域を超えて加熱することで結晶化することが
明らかになった。過冷却液体領域の温度間隔ΔTxは、
ΔTx=Tx−Tgの式で表されるが、図4に示すTx−T
gの値はいずれの試料でも60Kを超え、64〜68K
の範囲になっている。過冷却液体領域を示す実質的な平
衡状態は、発熱ピークによる結晶化を示す温度より少し
低い596℃(869K)〜632℃(905K)の広
い範囲で得られた。
【0038】図6は、(Fe1-a-bCoaNib70Zr
1020なる組成系におけるΔTx(=Tx−Tg)の値に
対するFeとCoとNiのそれぞれの含有量依存性を示
す三角組成図である。図6に示す結果から明らかなよう
に、(Fe1-a-bCoaNib70Zr1020なる組成系
の全ての範囲においてΔTxの値は25Kを超えてい
る。一方、ΔTxに関しては、Feを多く含む組成系に
おいて大きな値になっていることがわかり、ΔTxを6
0K以上にするには、Co含有量を3原子%以上、20
原子%以下、Ni含有量を3原子%以上、30原子%以
下にすることが好ましいことがわかる。 なお、(Fe
1-a-bCoaNib70Zr1020なる組成式においてC
o含有量を3原子%以上にするには、(Fe1-a-bCoa
Nib)を70原子%とするので、Coの組成比aが0.
042以上、Co含有量を20原子%以下にするには、
Coの組成比aが0.29以下となる。また、同様にN
i含有量を3原子%以上にするにはNiの組成比bが
0.042以上、30原子%以下にするには、Niの組
成比bが0.43以下となる。
【0039】(実施例2)実施例1と同様にして、厚さ
が20〜195μmのFe56Co7Ni7Zr4Nb620
なる組成の急冷薄帯を作製した。急冷薄帯の厚みは、単
ロール法において、るつぼ内の合金溶湯をノズルからロ
ールに吹き付ける際に、るつぼのノズル径、ノズル先端
とロール表面との距離(ギャップ)、ロールの回転数、
射出圧力及び雰囲気圧力等を適当に調整することによっ
て調整した。得られた急冷薄帯をX線回折により分析し
た。結果を図7に示す。図7から、板厚20〜195μ
mの薄帯にあっては、いずれも2θ=38〜52゜にハ
ローなパターンを有しており、アモルファス単相組織を
有していることがわかる。
【0040】(実施例3)実施例1と同様にして、Fe
56Co7Ni7Zr10-xNbx20(x=0,2,4,6,8,
10原子%)なる組成の急冷薄帯を作製した。得られた
急冷薄帯について、急冷のままの状態の試料および52
7℃(800K)の温度で5分間熱処理した試料の飽和
磁束密度(Bs)、保磁力(Hc)、1kHzにおける
透磁率(μe)、磁歪(λs)のNb含有量依存性を図
8示す。 飽和磁束密度(Bs)は、急冷状態および熱
処理後の試料ともに、Nbを添加するに従い低下し、N
bを含まない試料が0.9(T)以上、Nbを2原子%
含む試料では約0.75(T)であった。透磁率(μe)
の値は、急冷状態の試料にあっては、Nbを含まない試
料が5031、Nbを2原子%含む試料が2228であ
り、Nbを10原子%含む試料においては906に低下
した。しかし、熱処理を施すことにより透磁率(μe)
は格段に向上し、特にNbを2原子%含む試料において
は、25000程度の透磁率(μe)を得ることができ
る。保磁力(Hc)に関し、急冷状態の試料にあって
は、Nbを含まない試料とNbを2原子%含む試料はい
ずれも50A/m(=0.625 Oe)と低い値であっ
た。特にNbが2原子%以下の試料は、5A/m(=
0.0625 Oe)と非常に良好な値を示している。熱
処理を施すと、Nbを4原子%以上含む試料においても
優れた保磁力(Hc)を得ることが可能となる。以上の
ように、この系の合金試料にあっては、良好な軟磁気特
性を得るためには、Nbは0以上、2原子%以下の範囲
がより好ましいことがわかる。このようにして、飽和磁
束密度が大きく、保磁力が小さく、更に透磁率が高いと
いう軟磁気特性に優れた金属ガラス合金を得ることが可
能となり、この合金からなるMI素子を用いてオートキ
ャンセラを作製した場合には、微弱な地磁気の検出が可
能となり、方位測定の精度をより高くできると予想され
る。
【0041】(実施例4)次に、Fe、Co、Ni、Z
r、NbおよびBのそれぞれ所定量を秤量混合し、減圧
Ar雰囲気下においてこれらの原料を高周波誘導加熱炉
で溶融し、原子組成比がFe56Co7Ni7Zr6Nb4
20となる組成物のインゴットを製造した。このインゴッ
トをルツボ内に入れて溶融し、ノズルの先端から回転し
ているロールに溶湯を吹き出して急冷する単ロール法に
よって、減圧Ar雰囲気下で厚さ20μmの急冷リボン
を得た。このリボンから、長さ6mm、幅0.1mm〜
0.2mm、厚さ20μmの試料を切り出してMI素子
とした。
【0042】上記のMI素子を図9に示す磁界検知回路
に挿入し、3MHzの交流電流を印加した状態で、MI
素子の長さ方向に外部磁界Hexを印加し、外部磁界Hex
(Oe)と発生した出力電圧(mV)との関係を調べ
た。増幅率は10倍に設定した。測定結果を図10に示
す。更に、図11は、実施例4のMI素子と、従来のF
78Si1913および(Fe6Co9472.5Si12.5
15 の組成のMI素子とを比較するために、外部磁界He
x(Oe)と発生した出力電圧(mV)との関係をそれ
ぞれ調べた結果を示す。
【0043】図9に示す磁界検知回路は、ブロックA,
BおよびCからなり、それぞれ、高周波電源部、外部磁
界(Hex)検知部および増幅出力部である。MI素子
(Mi)は外部磁界検知部(B)に挿入されている。高
周波電源部(A)は、高周波交流電流を発生し外部磁界
検知部(B)に供給するための回路であってその方式は
特に限定されない。ここでは一例として、安定化コルビ
ッツ発振回路を採用したものを掲げる。自己発振方式で
はこの他に磁気変調を利用した振幅変調(AM)、周波
数変調(FM)、または位相変調(PM)をかけて磁界
感知作動をさせることもできる。外部磁界検知部(B)
はMI素子(Mi)と復調回路とからなり、高周波電源
部(A)から供給された高周波交流電流により待機状態
とされたMI素子が外部磁界(Hex)に感応して発生
したインピーダンス変化を、復調回路により復調し、増
幅出力部(C)に伝送する。増幅出力部(C)は差動増
幅回路と出力端子とを有する。この出力端子からMI素
子からの出力電圧(mV)を得る。
【0044】図10において、実施例4のMI素子は、
−4 Oe〜+4 Oe程度の微弱磁界帯域において、出
力電圧の値が高く、かつ線形性に優れる領域があるため
に良好な定量性を示す。従って、このようなMI素子を
オートキャンセラに使用した場合には、地磁気のような
微弱な外部磁界の検出が可能となり、外部磁界によるM
I素子からの出力電圧を処理して外部磁界の方位を測定
するための回路構成を簡単にできる。また、バイアス磁
化は、絶対値で2 Oe程度の磁化をかければよいの
で、バイアス磁化を印加するための回路構成も簡単にで
きる。
【0045】また、図11において、実施例4のMI素
子は、従来のFe78Si1913の組成のMI素子よりも
出力電圧の電圧値が高く、外部磁界の検出感度が高いこ
とがわかる。更に、実施例4のMI素子は、微弱磁界の
範囲内(−2 Oe〜+2 Oe)で従来の(Fe6Co
9472.5Si12.515 の組成のMI素子よりも出力電
圧の立ち上がりが緩やかであるので、定量性が良好とな
り、これを用いた磁気センサの回路構成が容易となる。
【0046】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
オートキャンセラは、Fe、Co、Niのうちの1種ま
たは2種以上を主成分とし、Zr、Nb、Ta、Hf、
Mo、Ti、Vのうちの1種または2種以上の元素とB
を含み、ΔTx=Tx−Tg(式中、Txは結晶化開始
温度、Tgはガラス遷移温度を示す)の式で表される過
冷却液体の温度間隔ΔTxが20K以上である軟磁性金
属ガラス合金からなるMI素子を備えており、外部磁界
の変化に対する検出感度が高いので、微弱な地磁気を検
出することができると共に、MI素子の大きさを小さく
することが可能となり、オートキャンセラを小型化でき
る。更に、本発明に係るMI素子は、加工性に優れるリ
ボン状または線状のMI素子を容易に得ることができる
ので、オートキャンセラの設計、製造を容易にすると共
に、製造コストを低減できる。
【0047】また、本発明のオートキャンセラは、外部
磁界のX軸方向の成分の検出手段である第1のMI素子
と、Y軸方向の外部磁界の成分の検出手段である第2の
MI素子とを備え、第1、2のMI素子は、それぞれに
印加される交流電流の電流路が互いに直交するように同
一平面内に配置され、MI素子に印加される交流電流の
電流路に沿ってバイアス磁化を印加する巻線が巻回され
たものでありバイアス磁化を印加できるので、地磁気の
ような外部磁界による磁力線の方位を正確に測定するこ
とが可能となり、キャンセルコイルにより発生させるキ
ャンセル磁界の大きさを最適にすることにより、オート
キャンセラを正常に動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態であるオートキャンセラ
を示す斜視図である。
【図2】 本発明の実施の形態であるオートキャンセラ
の磁気センサを示す平面図である。
【図3】 本発明の実施の形態であるMI素子の外部磁
界と出力電圧との関係を示す図であって、(a)はMI
素子の外部磁化と出力電圧との関係を示すグラフであ
り、(b)は外部磁界の磁力線の方向をMI素子の長手
方向に対して0〜180゜の範囲で変化させたときの外
部磁界と出力電圧との関係を示すグラフであり、(c)
はMI素子のバイアス磁化をかけて(b)と同様にの外
部磁界の磁力線の方向を変化させたときの外部磁界と出
力電圧との関係を示すグラフである。
【図4】 実施例1におけるFe60Co3Ni7Zr10
20、Fe56Co7Ni7Zr1020、Fe49Co14Ni7
Zr1020、Fe46Co17Ni7Zr1020なる各組成
の金属ガラス合金薄帯試料のDSC曲線を示す図であ
る。
【図5】 実施例1におけるFe56Co7Ni7Zr8
220なる組成の金属ガラス合金薄帯試料のDSC曲
線を示す図である。
【図6】 実施例1における(Fe1-a-bCoaNib
70Zr1020なる組成系におけるΔTx(=Tx−Tg)
の値に対するFeとCoとNiのそれぞれの含有量依存
性を示す三角組成図である。
【図7】 Fe56Co7Ni7Zr4Nb620なる組成の
急冷薄帯の種々の板厚におけるX線回折パターンを示す
図である。
【図8】 Fe56Co7Ni7Zr10-xNbx20(x=
0,2,4,6,8,10原子%)なる組成の試料の飽和磁
束密度(Bs)、保磁力(Hc)、1kHzにおける透
磁率(μe)、磁歪(λs)のNb含有量依存性を示す
図である。
【図9】 実施例4のMI素子を用いた磁気検知回路を
示す回路図である。
【図10】 実施例4のMI素子の外部磁化と出力電圧
との関係を示すグラフである。
【図11】 実施例4および従来のMI素子の外部磁化
と出力電圧との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 オートキャンセラ 2 磁気センサ 3 制御部 4 ブラウン管 5 キャンセルコイル 6 フェイス(画面) 12 第1のMI素子 13 第2のMI素子 14 平面 15 バイアス磁化を印加するための巻線 16 バイアス磁化を印加するための巻線 17 出力導線 18 出力導線 19 出力導線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 牧野 彰宏 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 須藤 能啓 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 笹川 新一 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 生内 雄一 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 (72)発明者 井上 明久 宮城県仙台市青葉区川内元支倉35番地 川 内住宅11−806

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外部磁界の磁力線と逆向きで大きさが等
    しいキャンセル磁界をブラウン管に印加するキャンセル
    コイルと、 磁気センサによって検出された前記外部磁界による磁力
    線の方位に基づいてキャンセル磁界の大きさを制御する
    制御部とを具備してなるオートキャンセラにおいて、 前記磁気センサは、外部磁界の検出手段として、Fe、
    Co、Niのうちの1種または2種以上の元素を主成分
    とし、Zr、Nb、Ta、Hf、Mo、Ti、Vのうち
    の1種または2種以上の元素とBを含み、ΔTx=Tx
    −Tg(式中、Txは結晶化開始温度、Tgはガラス遷
    移温度を示す)の式で表される過冷却液体の温度間隔Δ
    Txが20K以上である軟磁性金属ガラス合金からなる
    磁気インピーダンス効果素子を備えてなることを特徴と
    するオートキャンセラ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のオートキャンセラであ
    って、 前記磁気センサは、前記外部磁界による磁力線のX軸方
    向の成分の検出手段である第1の磁気インピーダンス効
    果素子と、 前記外部磁界による磁力線のY軸方向の成分の検出手段
    である第2の磁気インピーダンス効果素子とを備えてな
    ることを特徴とするオートキャンセラ。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のオートキャンセラであ
    って、 前記第1、2の磁気インピーダンス効果素子が、それぞ
    れに印加される交流電流の電流路が互いに直交するよう
    に同一平面内に配置されたことを特徴とするオートキャ
    ンセラ。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載のオートキャンセラであ
    って、 前記第1、2の磁気インピーダンス効果素子には、それ
    ぞれに印加される交流電流の電流路に沿ってバイアス磁
    化を印加するための巻線が巻回されたことを特徴とする
    オートキャンセラ。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載のオートキャンセラであ
    って、前記軟磁性金属ガラス合金は、ΔTxが60K以
    上であり、下記の組成で表されるものであることを特徴
    とするオートキャンセラ。 (Fe1-a-bCoaNib100-x-yxy 但し、0≦a≦0.29、0≦b≦0.43、5原子%
    ≦x≦20原子%、10原子%≦y≦22原子%であ
    り、MはZr、Nb、Ta、Hf、Mo、Ti、Vのう
    ちの1種または2種以上からなる元素である。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載のオートキャンセラであ
    って、前記軟磁性金属ガラス合金は、ΔTxが60K以
    上であり、下記の組成で表されるものであることを特徴
    とするオートキャンセラ。 (Fe1-a-bCoaNib100-x-y-zxyz 但し、0≦a≦0.29、0≦b≦0.43、5原子%
    ≦x≦20原子%、10原子%≦y≦22原子%、0原
    子%≦z≦5原子%であり、MはZr、Nb、Ta、H
    f、Mo、Ti、Vのうちの1種または2種以上からな
    る元素、TはCr、W、Ru、Rh、Pd、Os、I
    r、Pt、Al、Si、Ge、C、Pのうちの1種また
    は2種以上からなる元素である。
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