JPH1172613A - カラーフィルター及び液晶表示装置 - Google Patents

カラーフィルター及び液晶表示装置

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JPH1172613A
JPH1172613A JP18607898A JP18607898A JPH1172613A JP H1172613 A JPH1172613 A JP H1172613A JP 18607898 A JP18607898 A JP 18607898A JP 18607898 A JP18607898 A JP 18607898A JP H1172613 A JPH1172613 A JP H1172613A
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純司 梶田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の課題は、オーバーコート膜上に導電膜
を有するカラーフィルターにおいては導電膜にシワやク
ラックが生じにくくまたスペーサーの剥がれ等のない、
すなわち良好な表示品位が得られるカラーフィルター及
びそれを有する液晶表示装置を提供することにある。さ
らにオーバーコート膜上に導電膜を有しないカラーフィ
ルターにおいてもセルギャップの均一な、すなわち良好
な表示品位が得られるカラーフィルター及びそれを有す
る液晶表示装置を提供することにある。 【解決手段】基板上に画素を形成し、さらにオーバーコ
ート膜を形成してなるカラーフィルターにおいて、オー
バーコート膜のヤング率が200℃で、2GPa以上の
値をもつことを特徴とするカラーフィルター及びそれを
有する液晶表示装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オーバーコート膜
を有するカラーフィルターおよびかかるカラーフィルタ
ーを有する液晶表示装置に関する。
【0002】一般にカラーフィルターは、任意の色の光
を透過するパターン状の着色層からなる画素を有する。
通常、基板上に着色層が形成され、場合によりさらにオ
ーバーコート膜が形成された構成をもつ。
【0003】液晶表示装置は、液晶の電気光学応答を用
いることにより、画像や文字の表示や、情報処理などに
用いられるものであり、具体的には、パソコン、ワード
プロセッサー、ナビゲーションシステム、液晶テレビ、
ビデオなどの表示画面や、液晶プロジェクターなどに用
いられる。
【0004】
【従来の技術】従来のカラー液晶表示装置のセルの構造
は、基本的にはカラーフィルターと基板上に導電膜を形
成した対向基板からなっているものである。ここでカラ
ーフィルターの通常の製造工程としては、例えば特公平
2−1311号公報に示されているように、まず基板上
にブラックマトリクス、次いで赤(R)、緑(G)、青
(B)の画素を形成せしめ、この上に必要に応じてオー
バーコート剤を塗布、加熱硬化せしめてオーバーコート
膜を形成させるものである。オーバーコート膜形成後、
必要に応じて液晶を電界で駆動させるために必要な導電
膜が形成される。
【0005】このオーバーコート膜は、画素の段差の平
坦化、表面平滑化に機能し、液晶分子の配向の乱れを抑
制し、表示時のコントラスト比の向上をもたらし、また
画素やブラックマトリクスの保護膜として、液晶表示装
置製造工程での傷つき防止、さらにはセルへの液晶注入
後の画素から液晶への不純物拡散防止に有効である。特
に、低消費電力や高速応答性に伴うセルギャップの短間
隔化が要求される液晶表示装置に使用されるカラーフィ
ルターや、高精度のセルギャップ制御が要求される液晶
表示装置に使用されるカラーフィルター(例えば、基板
に平行な向きの電界で駆動される液晶表示装置(In−
Plane−Switching;IPS)に使用され
るカラーフィルターや強誘電性液晶や反強誘電性液晶に
使用されるカラーフィルターなど)については、特に平
坦化膜としてのオーバーコート膜形成が期待されてい
る。
【0006】また、特開平4−318816号公報に示
されているようなスペーサーを有するカラーフィルター
を製造する場合に、上記目的の他に、スペーサーの高さ
の調節、高さのばらつきの低減、スペーサーの欠落防止
等の目的でオーバーコート膜が形成されることもある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなカラーフィルターを用いて液晶表示装置を作製した
場合、オーバーコート膜上に導電膜を形成したもので
は、オーバーコート膜上の導電膜にシワまたはクラック
が起こることがあった。特に、該カラーフィルターに液
晶配向膜を塗布し、加熱処理する際に導電膜にシワやク
ラックが生じやすかった。導電膜にシワやクラックが起
きた場合、発生箇所の局所的な抵抗率が高くなり、残像
等の問題が生じたり、また導電膜のシワやクラックに追
随して、液晶配向膜にシワやクラックが発生し、液晶の
配向が乱れることで表示時のコントラストの低下等の問
題が生じ、液晶表示装置の表示品位が大きく低下する場
合があった。また、導電膜のシワやクラックに追随して
オーバーコート膜にシワ、またはクラックが生じ、上記
オーバーコートの目的、すなわち平坦化、表面平滑化、
画素から液晶への不純物拡散防止等が達成されず、表示
品位の低下が生じる場合があった。スペーサー形成後導
電膜を形成したカラーフィルターにおいては、スペーサ
ー付近のオーバーコート膜上の導電膜がクラックにより
剥がれ、液晶駆動不良が発生し、表示不良の原因となる
場合があった。また導電膜を形成した後にスペーサーを
形成したカラーフィルターにおいては、スペーサーが導
電膜に発生したシワやクラックによって剥がれ落ちセル
ギャップ不良が発生し、表示不良となる場合があった。
【0008】また一方、オーバーコート膜上に導電膜を
有しないカラーフィルターにおいても次のような問題が
生じた。すなわちオーバーコート膜を形成したカラーフ
ィルターを用いて液晶表示装置を作製すると、セルギャ
ップが不均一になることがあった。これは、パネル組工
程で、カラーフィルターと対向する基板とを固定するシ
ール剤を加熱硬化させる高温条件下で、オーバーコート
にスペーサーがめり込むことが原因であった。固定され
たスペーサーを有するカラーフィルターの場合において
は、スペーサーの上または下に形成されたオーバーコー
ト膜がパネル組工程内で大きく潰れるまたは変形する場
合があった。スペーサー部のオーバーコート膜の潰れま
たは変形により所望のスペーサーの高さより低くなるこ
とでセルギャップが狭くなり、表示品位が著しく低下す
る場合があった。
【0009】本発明の課題は、オーバーコート膜を有す
るカラーフィルターにおいて、導電膜を有するカラーフ
ィルターにおいて導電膜のシワまたはクラックが発生し
にくくスペーサーの剥がれのないカラーフィルターを提
供することにある。更に導電膜をオーバーコート膜上に
形成しないカラーフィルターにおいてもセルギャップの
不均一が発生しにくいカラーフィルターを提供すること
にある。また本カラーフィルターを用いることでこれら
の課題に起因する液晶表示装置の表示品位の低下を防止
することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明は次の構成を有する。
【0011】基板上に画素を形成し、オーバーコート膜
を形成してなるカラーフィルターにおいて、オーバーコ
ート膜のヤング率が200℃で2GPa以上の値をもつ
ことを特徴とするカラーフィルター、およびこれを有す
る液晶表示装置である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明においてはオーバーコート
膜のヤング率が200℃で2GPa以上、より好ましく
は3GPa以上、さらに好ましくは4GPa以上の値を
もつことが重要である。
【0013】これにより、オーバーコート膜上に導電膜
を有するカラーフィルターにおいて液晶配向膜塗布後の
加熱処理時に発生する、導電膜のシワやクラックを防ぐ
ことができる。
【0014】本発明者らは、温度上昇により導電膜に変
形が起こりシワやクラックが生じるメカニズムを詳細に
検討した結果、温度上昇に伴って、導電膜内部の応力が
増加することと、オーバーコート膜や画素のヤング率が
低下し柔らかくなることが原因と推定した。シワやクラ
ックを低減するには、導電膜やオーバーコート膜や画素
の、熱膨張率やヤング率等を最適化させるとよいと考え
られる。しかしながら、導電膜の場合には、その高透明
化や低電気抵抗化等と、シワやクラックを低減させる熱
膨張率やヤング率とを同時に満たすことは、非常に困難
であった。また、画素の場合には、その色特性と、熱膨
張率とヤング率とを同時に満たすことは、非常に困難で
あった。そこで本発明者らは、特に、オーバーコート膜
のヤング率に着目し、200℃で2GPa以上という高
いヤング率を有することで、シワまたはクラックが低減
されることを見出した。スペーサー形成後導電膜を形成
したカラーフィルターや、導電膜を形成した後にスペー
サーを形成したカラーフィルターにおいては、特にスペ
ーサー部およびその付近で加熱による応力がかかりやす
く、従って前述の課題として挙げた導電膜の剥がれやス
ペーサーの剥がれといった問題が発生した。かかる課題
を解決するためには、同様に200℃で2GPa以上と
高いヤング率を有するオーバーコート膜を用いることが
有効であることがわかった。
【0015】また、オーバーコート膜上に導電膜を有し
ないカラーフィルターにおいても本発明のオーバーコー
ト膜を用いることでセルギャップの均一性が、著しく向
上した。セルギャップの均一性、セルギャップの保持性
に大きく影響を与えるのがパネル組時の高温でのセルギ
ャップの安定性、セルギャップ保持性であることが解析
により判明した。さらに解析を進めた結果、オーバーコ
ートが高温で高いヤング率をもつことで、パネル組み時
の高温でのセルギャップの安定性およびセルギャップ保
持性が著しく向上することがわかった。
【0016】本発明における、オーバーコート膜のヤン
グ率は次のようにして測定することができる。すなわ
ち、ガラス基板上または金属上に形成されたオーバーコ
ート膜を、微小圧縮試験機等を用いて負荷をかけ、変位
を測定する。従って、金属ブラックマトリクスを用いた
カラーフィルターでは、額縁部(オーバーコート膜/金
属BM/ガラスの層構成をしている箇所)、画面外(オ
ーバーコート膜/ガラスの層構成をしている箇所)で測
定することが好ましい。樹脂ブラックマトリクスを用い
たカラーフィルターでは、画面外(オーバーコート膜/
ガラスの層構成をしている箇所)で測定することが好ま
しい。この負荷−変位データからオーバーコート膜のヤ
ング率を求めることができる。但し、装置によっては、
ヤング率の相対値しか測定できない場合がある。このよ
うな場合、ヤング率が既知の試料とヤング率が未知のヤ
ング率を測定し、比較すればよい。つまり、ヤング率が
2GPa以上であることを示すには、ヤング率が2GP
a以上であることが既知の試料と、ヤング率が未知のオ
ーバーコート膜を同装置で測定すればよい。ヤング率の
測定は、200℃に試料を保った後、1分〜120分の
間で行うのが好ましい。
【0017】また、フィルム状のオーバーコート膜を作
製し、非共振強制伸張振動型装置等を用いて、オーバー
コート膜のヤング率を求めることができる。
【0018】本発明において、オーバーコート膜は画素
上に形成される膜であり、主に着色被膜の保護、カラー
フィルター表面の平坦化等のため形成される。固定され
たスペーサーを有するカラーフィルターでは、さらにス
ペーサーの高さ調節等のためにも形成される。
【0019】本発明のオーバーコート膜は、具体的に
は、エポキシ膜、アクリルエポキシ膜、アクリル膜とい
ったエポキシ系高分子膜やアクリル系高分子膜、シロキ
サンポリマ系の膜、ポリイミド膜やケイ素含有ポリイミ
ド膜やポリイミドシロキサン膜といったポリイミド系高
分子膜があげられる。これらのオーバーコート膜は平坦
性、塗布性、耐熱性の点でよりすぐれているからであ
る。なかでも、、ポリイミド膜、ケイ素含有ポリイミド
膜、ポリイミドシロキサン膜等のポリイミド系高分子膜
であることが耐薬品性の観点からより好ましい。また一
方、エポキシ系高分子膜、アクリル系高分子膜は平坦性
の点から好ましい。なおオーバーコート膜を構成する材
料が感光性か非感光性かは制限されない。
【0020】ポリイミド系高分子膜を形成する方法のひ
とつとして、ポリアミック酸をイミド化して用いる方法
がある。ポリアミック酸は、通常一般式(1)で表され
る構造単位を主成分とする。
【0021】
【化1】 ここで一般式(1)のnは1〜2の数である。R1は酸
成分残基であり、R1は少なくとも2個の炭素原子を有
する3価または4価の有機基を示す。耐熱性の面から、
R1 は環状炭化水素、芳香族環または芳香族複素環を含
有し、かつ炭素数6から30の3価または4価の基が好
ましい。R1 の例として、フェニル基、ビフェニル基、
ターフェニル基、ナフタレン基、ペリレン基、ジフェニ
ルエーテル基、ジフェニルスルフォン基、ジフェニルプ
ロパン基、ベンゾフェノン基、ビフェニルトリフルオロ
プロパン基、シクロブチル基、シクロペンチル基などか
ら誘導された基が挙げられるがこれらに限定されるもの
ではない。またR2 はジアミン成分残基であり、R2
少なくとも2個の炭素原子を有する2価の有機基を示
す。耐熱性の面から、R2 は環状炭化水素、芳香族環ま
たは芳香族複素環を含有し、かつ炭素数6から30の2
価の基が好ましい。R2 の例として、フェニル基、ビフ
ェニル基、ターフェニル基、ナフタレン基、ペリレン
基、ジフェニルエーテル基、ジフェニルスルフォン基、
ジフェニルプロパン基、ベンゾフェノン基、ビフェニル
トリフルオロプロパン基、ジフェニルメタン基、シクロ
ヘキシルメタン基などから誘導された基が挙げられるが
これらに限定されるものではない。一般式(1)で表さ
れる構造単位を主成分とするポリマーはR1 、R2 がこ
れらの内各々1個から構成されていても良いし、各々2
種以上から構成される共重合体であっても良い。
【0022】基板との接着力を向上させるため耐熱性を
低下させない範囲でジアミン成分として、シロキサン構
造を有するビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジ
シロキサンなどを共重合させても良い。またアミン末端
の封止剤として無水マレイン酸などの無水物をポリイミ
ド前駆体の重合終了後に末端濃度に応じて加え、反応さ
せても良い。
【0023】このようなポリアミック酸からなる膜を、
化学処理または加熱処理し,イミド環やその他の環状構
造を有するポリマ(ポリイミド、ポリアミドイミド)と
なすことによりポリイミド膜が得られる。このほか、ポ
リアミック酸エステルなどからポリイミド膜を得ること
もできる。
【0024】ポリイミドシロキサン膜とは、ポリイミド
シロキサン前駆体被膜を加熱処理する事により作膜され
る膜のことである。該ポリイミドシロキサン前駆体を製
造する手法としては種々の手法があるが、代表的な手法
としては、分子内に少なくとも1個以上の1級アミノ基
あるいは2級以上のアルコキシ基を有するケイ素化合物
とテトラカルボン酸2無水物を有機溶剤中で反応せしめ
ることにより、もしくはこの化合物を加水分解・縮合せ
しめることにより製造することができる。
【0025】ポリイミド系高分子膜が200℃でヤング
率が2GPa以上であるためには、剛直な構造であるベ
ンゼン骨格を含有することが好ましい。このような高分
子膜を形成する方法としては、ベンゼン骨格を有するポ
リアミック酸をイミド化して用いる方法がある。
【0026】例えば、一般式(1)のR1の一部または
全部がフェニル基、ビフェニル基、またはターフェニル
基であり、R2の一部または全部がフェニル基、ビフェ
ニル基、またはターフェニル基のポリアミック酸を使用
する手法が取りうる。また、高ヤング率のポリイミドシ
ロキサン膜を形成するためにも、同様に剛直な分子骨格
を導入する手法が取りうる。
【0027】エポキシ系高分子膜としては、エポキシ化
合物と硬化剤を反応させたものを使用することができ
る。
【0028】ここで、エポキシ化合物としては、ビスフ
ェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポ
キシ化合物、フェノールノボラックエポキシ化合物、ク
レゾールノボラックエポキシ化合物、トリスヒドロキシ
フェニルメタン型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合
物、グリシジルエステル系エポキシ化合物、グリシジル
アミン系エポキシ化合物、複素環式エポキシ化合物、フ
ルオレン基含有エポキシ化合物などが使用できる 一方、硬化剤としては、アルコール、フェノール、アミ
ン、酸無水物、カルボン酸、活性水素を有する化合物な
どの通常のものが使用できる。また、オニウム塩などの
カチオン系の硬化触媒を使用しても良い。
【0029】また、エポキシ系高分子膜には、密着性な
どを高めるため、オルガノアルコキシシランを添加して
も良い。オルガノアルコキシシランの具体的な例として
は、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシ
ラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシ
シラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキ
シシラン、ビニルトリメトキシシラン、ジビニルジメト
キシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジビニルジエ
トキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニ
ルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジ
フェニルジエトキシシランなどが挙げられるが、これら
に限定されない。また、エポキシ化合物との相溶性を高
めるために、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、
γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランなどの
エポキシ基含有オルガノアルコキシシランを使用するこ
とができる。また、オルガノアルコキシシランが、エポ
キシ化合物と反応する官能基(アミン、カルボン酸な
ど)を有していても良い。これらのオルガノアルコキシ
シランは、単独で、または、複数のものを併用して使用
することができる。また、これらのオルガノアルコキシ
シランは、そのままの状態で使用できるが、加水分解
物、加水分解縮合物の状態でも使用できる。加水分解
は、オルガノアルコキシシランに水を加えて、低温で反
応させることにより行い、加水分解縮合は、オルガノア
ルコキシシランに水を加えて、加熱することにより、水
とアルコールを留去することにより行う。ここで、加水
分解、加水分解縮合には、酸触媒を添加しても良い。
【0030】エポキシ系高分子膜に使用される溶剤とし
ては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、
シクロヘキサノンなどのケトン類、ジエチルエーテル、
イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレング
リコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエ
チルエーテルなどのエーテル類、酢酸エチル、酢酸n−
ブチル、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エ
チレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチ
レングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチ
レングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチ
レングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピ
レングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピ
レングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブ
チロラクトンなどのエステル類、N,N−ジメチルホル
ムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド
類、2−ピロリドン、N−メチルピロリドンなどのピロ
リドン類などが挙げられる。
【0031】アクリル系高分子膜としては、アクリル
酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、メチルメタク
リレートなどのアルキルアクリレートまたはアルキルメ
タクリレート、環状のアクリレートまたはメタクリレー
ト、ヒドロキシエチルアクリレートまたは、メタクリレ
ートなどの内から3〜5種類程度のモノマーを用いて、
分子量5,000〜100,000程度に合成した樹脂
を用いる。樹脂を感光性にする場合には、アクリル系樹
脂と光重合性モノマー、光重合開始剤を配合した組成物
が好ましく用いられる。光重合性モノマーとしては、2
官能、3官能、多官能モノマーがあり、2官能モノマー
として、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エ
チレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコ
ールジアクリレート、トリエチレングリコールアクリレ
ートなどがあり、3官能モノマーとして、トリメチロー
ルプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールト
リアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソ
シアネートなどがあり、多官能モノマーとしてジトリメ
チロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリス
リトールペンタおよびヘキサアクリレートなどがある。
また、光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、チオキ
サントン、イミダゾール、トリアジン系などが単独もし
くは混合で用いられる。
【0032】オーバーコート膜を基板上に塗布する方法
としては、後述の着色ペースト膜の場合と同様、ディッ
プ法、ロールコータ法、スピナー法、ダイコーティング
法、ワイヤーバーによる方法などが好適に用いられ、こ
の後、オーブンやホットプレートを用いて加熱乾燥およ
び硬化を行う。加熱条件は、使用する樹脂、溶媒、オー
バーコート塗布量により異なるが、通常50〜400℃
で、1〜300分加熱することが好ましい。
【0033】こうして得られた、加熱硬化後のオーバー
コートの厚みは、凹凸のある基板上に塗布された場合、
オーバーコート剤のレベリング性により、凹部(周囲よ
り低い部分)では厚く、凸部(周囲より高い部分)では
薄くなる傾向がある。本発明においてのオーバーコート
の厚みには、特に制限がないが、前述したオーバーコー
トの目的を達成し、かつ本発明によりクラックまたはシ
ワの発生を低減させるためには、0.01〜5μm、好
ましくは0.03〜4μm、さらに好ましくは0.04
〜3μmである。
【0034】本発明でのカラーフィルターの画素の具体
的な材質としては、任意の光のみを透過するように膜厚
制御された無機膜や、染色、染料分散あるいは顔料分散
された着色樹脂膜などがある。着色樹脂膜として用いら
れる樹脂に特に制限は無く、アクリル、ポリビニルアル
コール、ポリアミド、ポリイミドなどを使用することが
できる。製造プロセスの簡便さや、耐熱性、耐光性など
の面から画素としては顔料分散された樹脂膜を用いるこ
とが好ましい。パターン形成の容易さの点からは顔料分
散された感光性のアクリル樹脂を用いることが好まし
い。しかし、耐熱性、耐薬品性の面からは、顔料分散さ
れたポリイミド膜を用いることが好ましい。
【0035】本発明でのカラーフィルターにおいては、
画素間にブラックマトリクスを配置することが望まし
い。ブラックマトリクスは、画素間の非表示部に形成さ
れた遮光膜である。ブラックマトリクスの配置により、
液晶表示装置のコントラストを向上させることができる
ことに加え、光による液晶表示装置の駆動素子の誤動作
を防止することができる。
【0036】ブラックマトリクスとしては、通常Cr、
Al、Niなどの金属、およびその酸化物、窒化物の膜
や、樹脂中に炭素系黒色顔料や金属酸化物、金属酸窒化
物等の遮光剤を分散させた樹脂膜が用いられる。これら
のブラックマトリクスは、いずれも好適に用いられる
が、低コストで製造でき、かつ低反射化が容易なことか
ら、ポリイミドやアクリルなどの樹脂中に黒色顔料など
を分散した樹脂膜からなるブラックマトリクスを用いる
ことが好ましい。
【0037】本発明での画素およびブラックマトリクス
に用いられる顔料には特に制限はないが、耐光性、耐熱
性、耐薬品性に優れた物が望ましい。代表的な顔料の具
体的な例をカラーインデックス(CI)ナンバーで示
す。黄色顔料の例としてはピグメントイエロー20、2
4、83、86、93、94、109、110、11
7、125、137、138、139、147、14
8、153、154、166、173などがあげられ
る。橙色顔料の例としてはピグメントオレンジ13、3
1、36、38、40、42、43、51、55、5
9、61、64、65などが挙げられる。赤色顔料の例
としてはピグメントレッド9、97、122、123、
144、149、166、168、177、190、1
92、215、216、224などが挙げられる。紫色
顔料の例としてはピグメントバイオレット19、23、
29、32、33、36、37、38などが挙げられ
る。青色顔料の例としてはピグメントブルー15(1
5:3、15:4、15:6など)、21,22、6
0、64などが挙げられる。緑色顔料の例としてはピグ
メントグリーン7、10、36、47などが挙げられ
る。黒色顔料の例としてはピグメントブラック7などが
挙げられる。本発明ではこれらに限定されず種々の顔料
を、単独でまたは複数を混合して使用することができ
る。なお、顔料は必要に応じて、ロジン処理,酸性基処
理,塩基性基処理などの表面処理が施されている物を使
用してもよい。
【0038】本発明で言うところの顔料が分散されたポ
リイミド膜の形成方法の一つに、顔料を分散したポリア
ミック酸溶液を基板上に塗布する方法がある。ポリアミ
ック酸は、上記(1)で表される構造単位を主成分とす
る。ポリイミド膜の力学的特性は、分子量が大きいほど
良好である。このため、ポリイミド前駆体の分子量も大
きいことが望まれる。顔料が分散されたポリアミック酸
膜を湿式エッチングによりパターン加工を行う場合、ポ
リイミド前駆体の分子量がおおき過ぎると、現像に要す
る時間が長くなり過ぎるという問題がある。このため通
常重合度は、5から1000の範囲にすることが望まし
い。
【0039】このような顔料が分散されたポリアミック
酸からなる着色膜を、化学処理または加熱処理し,イミ
ド環やその他の環状構造を有するポリマ(ポリイミド、
ポリアミドイミド)となすことにより顔料分散ポリイミ
ド膜が得られる。このほか、ポリアミック酸エステルな
どからポリイミド膜を得ることもできる。
【0040】樹脂を染色、または樹脂中に染料あるいは
顔料を分散させて得られた着色ペーストを基板上に塗布
する方法としては、ディップ法、ロールコータ法、スピ
ナー法、ダイコーティング法、ワイヤーバーによる方法
などが好適に用いられ、この後、オーブンやホットプレ
ートを用いて加熱乾燥(プリベーク)を行う。プリベー
ク条件は、使用する樹脂、溶媒、ペースト塗布量により
異なるが、通常60〜200℃で1〜60分加熱するこ
とが好ましい。
【0041】こうして得られた着色ペースト膜は、通
常、フォトリソグラフィーなどの方法を用いてパターン
加工される。すなわち、樹脂が非感光性の樹脂である場
合は、その上にフォトレジストの被膜を形成した後に、
また、樹脂が感光性の樹脂である場合は、そのままかあ
るいは酸素遮断膜を形成した後に露光現像を行い所望の
パターンにする。
【0042】必要に応じて、フォトレジストまたは酸素
遮断膜を除去した後、また、加熱し硬化させる。加熱硬
化条件は、樹脂により異なるが、前駆体からポリイミド
系樹脂を得る場合には、通常200〜300℃で1〜6
0分加熱するのが一般的である。以上のプロセスによ
り、樹脂膜からなるブラックマトリクスや画素が、基板
上に形成される。
【0043】本発明においては、固定されたスペーサー
の形成はオーバーコート膜の形成の前後どちらでも構わ
ない。特にスペーサーの剥がれを防止するためには、基
板上に画素および固定されたスペーサーを配した後、オ
ーバーコート膜を形成してなるカラーフィルターである
ことがより好ましい。オーバーコートに感光性をもたせ
た場合には、オーバーコートと固定されたスペーサーを
同時に形成することも可能である。この場合、例えば全
面のフラッシュ露光と固定されたスペーサー部分のパタ
ーン露光とを組み合わせた2重露光を行うことで達成で
きる。固定されたスペーサーとは、図1、2、4、5、
6に示されるように液晶表示装置用基板の特定の場所に
固定され、液晶表示装置を作製した際に対向基板との間
隔を支えるものである。これにより対向基板との間に、
一定のギャップが保持される。このギャップに、液晶が
注入される。固定されたスペーサーを配することによ
り、液晶表示装置の製造工程において球状スペーサーを
散布する工程を省略することができる。
【0044】固定されたスペーサーの形成される位置に
は制限はないが、表示品位の向上の点から、非表示領域
に形成されることが好ましい。非表示領域は、画像や文
字を表示する際に、常に明または暗状態に固定された領
域であるが、通常、暗状態すなわち遮光された領域であ
る。具体的には、TFT基板の配線部や、配線部上に形
成されたブラックマトリクス上、カラーフィルターのブ
ラックマトリクス上や画面外などが挙げられる。これら
の遮光された領域に本発明の固定されたスペーサーが配
置されるのが好ましい。なお、スペーサー自体が、遮光
性を示す場合には、どこに配置されてもよい。
【0045】固定されたスペーサーの形成は、フォトリ
ソグラフィーや印刷、電着や転写フィルムなどの方法に
よって行われる。スペーサーを容易に設計通りの位置に
形成でき、例えば、表示部の遮光領域に正確に配置でき
るので、フォトリソグラフィーによって形成することが
好ましい。
【0046】本発明における固定されたスペーサーの構
成には特に制限はない。画素を形成する着色材と異なる
樹脂層の単層を含んでも良いし、画素を形成する着色材
の積層または単層を含んでも良いが、製造の容易さから
画素を形成する着色層の積層または単層を含むことが好
ましい。特に、着色ペースト膜を塗布後にフォトリソグ
ラフィーなどにより、画素とスペーサーの形成を同時に
行うことが好ましい。固定されたスペーサーを有しない
カラーフィルターと同工程数で、固定されたスペーサー
をカラーフィルター上に形成することができるからであ
る。
【0047】本発明における導電膜は、ディッピング
法、化学気相成長、真空蒸着法、スパッタリング法、イ
オンプレーティング法のいずれかの方法を経て作成さ
れ、主として液晶を駆動させるために用いられるのであ
る。導電膜の形成は固定されたスペーサーの形成の前後
どちらでも構わない。本発明に使用される導電膜として
は、抵抗値が低く、透明性が高く、カラー表示特性を損
なわれないものが好ましい。代表的な導電膜の具体例を
示すと、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛、酸
化スズ等及びその合金を用いることができる。このよう
な導電膜の厚みは、0.01〜1μm、好ましくは0.
03〜0.5μmである。
【0048】画素およびオーバーコート膜を形成する基
板としては、ガラスやプラスチックを用いた透明基板や
光反射膜を形成した不透明基板が用いられる。これらの
基板上には必要に応じて、薄膜トランジスタのようなス
イッチング素子や電極パターンを形成しても良い。
【0049】本発明の導電膜およびオーバーコート膜を
有するカラーフィルターを用いて、液晶表示装置を作製
すると、オーバーコート膜のヤング率が高いために、導
電膜の応力に起因する変形量が小さくなり、導電膜にシ
ワやクラックが生じにくく、表示品位のよい液晶表示装
置を得ることができる。本発明のオーバーコート膜を有
するカラーフィルターを用いて、液晶表示装置を作製す
ると、オーバーコート膜のヤング率が高いために、セル
ギャップが均一な表示品位のよい液晶表示装置を得るこ
とができる。
【0050】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき、さらに具体
的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定さ
れるものではない。
【0051】実施例1 本実施例により得られたカラーフィルターの断面図を図
1に、液晶表示装置の断面図を図2に示す。
【0052】(カラーフィルターの作製)γ−ブチロラ
クトンとN−メチル−2−ピロリドンの混合溶媒中で、
ピロメリット酸二無水物(0.5モル当量)、3,3
´,4,4´−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水
物(0.5モル当量)、4,4´−ジアミノジフェニル
エーテル(0.95モル当量)、ビス−3−(アミノプ
ロピル)テトラメチルシロキサン(0.05モル当量)
を反応させ、ポリアミック酸溶液(ポリマー濃度20重
量%)を得た。
【0053】このポリアミック酸溶液を200g取り出
し、それにγ−ブチロラクトン186g、ブチルセロソ
ルブ64gを添加して、ポリマー濃度10重量%のポリ
アミック酸溶液を得た。
【0054】ピグメントブラック7(カーボンブラッ
ク)4g、N−メチル−2−ピロリドン40g、ブチル
セロソルブ6gをガラスビーズ100gとともにホモジ
ナイザーを用い、7000rpmで30分間分散処理
後、ガラスビーズを濾過により除去し、顔料濃度8重量
%の顔料分散液を得た。
【0055】顔料分散液30gに、前記のポリマー濃度
10重量%のポリアミック酸溶液25gを添加混合し、
黒色ペーストを作製した。本ペーストを無アルカリガラ
ス基板上に塗布後、120℃でプリベークを行い、ポリ
イミド前駆体黒色着色膜を形成した。冷却後、ポジ型フ
ォトレジストを塗布し、90℃で加熱乾燥してフォトレ
ジスト被膜を形成した。これを紫外線露光機を用いて、
フォトマスクを介して露光した。露光後、アルカリ現像
液に浸漬し、フォトレジストの現像、ポリイミド前駆体
黒色着色膜のエッチングを同時に行い、開口部を形成し
た。エッチング後、不要となったフォトレジスト層をメ
チルセルソルブアセテートにて剥離した。エッチングさ
れたポリイミド前駆体黒色着色膜を290℃に加熱して
熱硬化を行い、ポリイミドに転換して樹脂ブラックマト
リクスを形成した。
【0056】ピグメントレッド177(アントラキノン
レッド)4g、γ−ブチロラクトン40g、ブチルセロ
ソルブ6gをガラスビーズ100gとともにホモジナイ
ザーを用い、7000rpmで30分間分散処理後、ガ
ラスビーズを濾過により除去し、顔料濃度8重量%の顔
料分散液を得た。
【0057】顔料分散液30gに、前記のポリマー濃度
10重量%のポリアミック酸溶液30gを添加混合し、
赤色ぺーストを得た。
【0058】樹脂ブラックマトリクス上に赤色ペースト
を塗布し、プリベークを行い、ポリイミド前駆体赤色着
色膜を形成した。フォトレジストを用い、前記と同様な
手段により、赤色画素の形成とともに、表示画面部およ
び額縁、額縁周辺部のシール部の樹脂ブラックマトリク
ス上にスペーサーの1段目を形成し、290℃に加熱し
て熱硬化を行った。
【0059】ピグメントグリーン7(フタロシアニング
リーン)3.6g、ピグメントイエロー83(ベンジジ
ンイエロー)0.4g、γ−ブチロラクトン32g、ブ
チルセロソルブ4gをガラスビーズ120gとともにホ
モジナイザーを用い、7000rpmで30分間分散処
理後、ガラスビーズを濾過により除去し、顔料濃度10
重量%の顔料分散液を得た。
【0060】顔料分散液32gに、前記のポリマー濃度
10重量%のポリアミック酸溶液30gを添加混合し、
緑色カラーぺーストを得た。
【0061】赤色ぺーストを用いた時と同様にして、緑
色画素の形成とともに、表示画面部および額縁、額縁周
辺部のシール部の樹脂ブラックマトリクス上の赤色積層
膜上に、スペーサーの2段目を形成し、290℃に加熱
して熱硬化を行った。
【0062】前記のポリマー濃度10重量%のポリアミ
ック酸溶液60gと、ピグメントブルー15(フタロシ
アニンブルー)2.8g、N−メチル−2−ピロリドン
30g、ブチルセロソルブ10gをガラスビーズ150
gとともにホモジナイザーを用い、7000rpmで3
0分間分散処理後、ガラスビーズを濾過により除去し、
青色カラーペーストを得た。
【0063】前記と同様な手順により、青色画素の形成
とともに、表示画面部および額縁、額縁周辺部のシール
部の樹脂ブラックマトリクス上の赤色および緑色積層膜
上に、スペーサーの3段目を形成し、290℃に加熱し
て熱硬化を行った。
【0064】次に、 この基板上に、γ−アミノプロピ
ルメチルジエトキシシランの加水分解物(1モル当量)
およびp−フェニレンジアミン(0.5モル当量)と、
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無
水物(1モル当量)とを反応させることにより得られる
硬化性組成物(ポリイミドシロキサン前駆体)の溶液を
スピンコートし、280℃で40分熱処理を行い、ポリ
イミドシロキサンからなる厚さ1.0μmのオーバーコ
ート膜を形成した。
【0065】この遮光層と赤画素、緑画素、青画素を有
し、表示画面部および額縁、額縁周辺部のシール部の樹
脂ブラックマトリクス上に、スペーサーを有する無アル
カリガラス基板上に、スパッタリング法にて導電膜とし
てITO層を形成し、カラーフィルターを得た。
【0066】(ヤング率の測定)微小圧縮試験機(島津
製作所 MCTE−500)を用いて、形成されたオー
バーコートのヤング率を測定した。測定は、画面外(オ
ーバーコート膜/ガラスの層構成をしている箇所)で行
った。オーバーコート膜のヤング率は、200℃で2.
5GPaであった。
【0067】(カラー液晶表示素子の作製と評価)この
スペーサーが設けられたカラーフィルターのITO膜上
にポリイミド系の配向膜を設け、ラビング処理を施し
た。また、同様に対向する薄膜トランジスタを備えた液
晶表示素子用基板についても、ポリイミド系の配向膜を
設け、ラビング処理を施した。この2枚の基板をエポキ
シ接着材をシール剤として用いて貼り合わせた後に、シ
ール部に設けられた注入口から液晶を注入した。液晶を
注入後、注入口を封止し、さらに偏光板を基板の外側に
貼り合わせ液晶表示装置を作製した。
【0068】目視観察により、表示装置の表示品位を評
価した。表示ムラは全く認められず非常に良好であっ
た。
【0069】作製した液晶表示装置を解体し、導電膜を
観察したところ、シワやクラックは、確認できなかっ
た。
【0070】実施例2 本実施例により得られた液晶表示装置の断面図を図3に
示す。
【0071】(カラーフィルターの作製)実施例1と同
様に、ブラックマトリクス形成後、画素を形成した。但
し、実施例1とは異なり、画素の形成と同時にスペーサ
ーの形成は行わなかった。その後、オーバーコート膜を
形成した。ただし、3,3’,4,4’−ビフェニルテ
トラカルボン酸二無水物(1モル当量)の代わりに、
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無
水物(0.5モル当量)とピロメリット酸二無水物
(0.5モル当量)を反応させることにより得られる硬
化性組成物(ポリイミドシロキサン前駆体)の溶液を用
いた。オーバーコート膜形成後、ITOを製膜し、カラ
ーフィルターを得た。
【0072】(ヤング率の測定)微小圧縮試験機(島津
製作所 MCTE−500)を用いて、形成されたオー
バーコートのヤング率を測定したところ、200℃で
2.8GPaであった。
【0073】(カラー液晶表示素子の作製と評価)この
カラーフィルターを用い、実施例1と同様にして液晶表
示装置を作製した。
【0074】目視観察により、表示装置の表示品位を評
価した。表示ムラは全く認められず非常に良好であっ
た。
【0075】作製した液晶表示装置を解体し、導電膜を
観察したところ、シワやクラックは、確認できなかっ
た。
【0076】実施例3 本実施例により得られた固定されたスペーサーを有する
カラーフィルターの断面図を図4に示す。
【0077】(カラーフィルターの作製)実施例2と同
様に、ブラックマトリクス形成後、画素を形成しさらに
オーバーコート膜を形成した。ただし、3,3’,4,
4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(1モル当
量)の代わりに、3,3’,4,4’−ビフェニルテト
ラカルボン酸二無水物(0.5モル当量)とピロメリッ
ト酸二無水物(0.5モル当量)を反応させることによ
り得られる硬化性組成物(ポリイミドシロキサン前駆
体)の溶液を用いた。オーバーコート膜形成後、ITO
を製膜し、カラーフィルターを得た。さらにこれにスペ
ーサーを形成した。スペーサー形成用にポリイミド前駆
体溶液をもちいた。カラーフィルター上に塗布後、プリ
ベークを行い、ポリイミド前駆体膜を形成した。冷却
後、フォトレジストを塗布し、加熱乾燥によりフォトレ
ジスト被膜を形成した。これを紫外線露光機を用いて、
フォトマスクを介して露光した。露光後、アルカリ現像
液に浸漬し、フォトレジストの現像、ポリイミド前駆体
のエッチングを同時に行った。エッチング後、不要とな
った、フォトレジスト層をメチルセルソルブアセテート
にて剥離した。開口部を形成した後、エッチングされた
ポリイミド前駆体膜を加熱してキュアを行い、ポリイミ
ドに転換し、スペーサーを形成した。
【0078】(ヤング率の測定)微小圧縮試験機(島津
製作所 MCTE−500)を用いて、形成されたオー
バーコートのヤング率を測定したところ、実施例2と同
じ200℃で2.8GPaであった。
【0079】(カラー液晶表示素子の作製と評価)この
カラーフィルターを用い、実施例1と同様にして液晶表
示装置を作製した。
【0080】目視観察により、表示装置の表示品位を評
価した。表示ムラは全く認められず非常に良好であっ
た。
【0081】作製した液晶表示装置を解体し、導電膜を
観察したところ、シワやクラックは、確認できなかっ
た。スペーサーの剥がれ等も観察されなかった。
【0082】実施例4 本実施例により得られた固定されたスペーサーを有する
カラーフィルターの断面図を図5に示す。
【0083】(カラーフィルターの作製)実施例2と同
様にブラックマトリックス形成後、画素を形成しさらに
オーバーコート膜を形成した。オーバーコート膜は次の
ように作成した。まずトリメリット酸 65.05gを
γ−ブチロラクトン 280gに溶解した後に、γ−ア
ミノプロピルトリエトキシシラン 74.95gを添加
し、120℃で2時間加熱した。得られた溶液 20g
に、ビスフェノールA型エポキシ化合物(エポキシ当量
180〜190) 5g、ジエチレングリコールジメチ
ルエーテル 15gを加えて、室温(約23℃)で、2
時間攪拌して、熱硬化性樹脂溶液組成物を得た。得られ
た熱硬化性樹脂溶液組成物をカラーフィルターにスピン
コートし、100℃で5分、260℃で30分加熱する
ことにより、厚さ1.0μmのオーバーコートとした。
これに実施例3と同様にしてスペーサーを形成した。
【0084】(ヤング率の測定)微小圧縮試験機(島津
製作所 MCTE−500)を用いて、形成されたオー
バーコートのヤング率を測定したところ、200℃で
3.2GPaであった。
【0085】(カラー液晶表示素子の作製と評価)この
カラーフィルターを用い、実施例1と同様にして液晶表
示装置を作製した。ただし作製した液晶表示装置はIP
Sである。目視観察により、表示装置の表示品位を評価
した。セルギャップ不均一に起因する表示ムラは全く認
められず非常に良好であった。
【0086】作製した液晶表示装置を解体し、スペーサ
ー部を観察したところ、オーバーコート膜の異常な潰れ
は、確認できなかった。
【0087】比較例1 実施例1と同様な手法を用い、カラー液晶表示素子を作
成した。ただし、p−フェニレンジアミン(0.5モル
当量)の代わりに、3,4’−ジアミノジフェニルエー
テル(0.5モル当量)を用い、また3,3’,4,
4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(1モル当
量)の代わりに、3,3’,4,4’−ビフェニルテト
ラカルボン酸二無水物(0.4モル当量)と3,3’,
4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
(0.6モル当量)を用いてカラーフィルターのオーバ
ーコート膜を作成した。実施例1と同様な手法で、オー
バーコート膜の200℃におけるヤング率を測定したと
ころ1.3GPaであった。該液晶表示装置を動作した
ところ、大きく表示むらが発生し、表示品位が低下し
た。作製した液晶表示装置を解体し、導電膜を観察した
ところ、画素の端や、形成したスペーサーの周辺にクラ
ックが発生していた。
【0088】比較例2 実施例2と同様の手法で液晶表示装置を作成した。ただ
し、p−フェニレンジアミン(0.5モル当量)の代わ
りに、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(0.5
モル当量)を用い、またピロメリット酸二無水物(0.
5モル等量)の代わりに、オキシフタル酸二無水物
(0.5モル当量)を用いてオーバーコート膜を作製し
た。実施例1と同様な手法で、オーバーコート膜の20
0℃におけるヤング率を測定したところ1.5GPaで
あった。作製した液晶表示装置を動作したところ、大き
く表示むらが発生し、表示品位が低下した。作製した液
晶表示装置を解体し、導電膜を観察したところ、画素の
辺りの導電膜にクラックが確認された。
【0089】比較例3 比較例2と同様の手法で液晶表示装置を作成した。ただ
しオーバーコート膜およびITO成膜後、実施例3と同
様にスペーサーを形成した。実施例1と同様な手法で、
オーバーコート膜の200℃におけるヤング率を測定し
たところ1.5GPaであった。作製した液晶表示装置
を動作したところ、大きく表示むらが発生し、表示品位
が低下した。作製した液晶表示装置を解体し、表示むら
箇所を観察したところ、スペーサーの欠落および導電膜
の剥がれが確認された。
【0090】
【発明の効果】本発明のカラーフィルターを用いて、液
晶表示装置を作製した際、オーバーコート膜のヤング率
が高いために、オーバーコート膜上に導電膜を有するカ
ラーフィルターにおいては、導電膜の応力に起因する変
形量が小さくなり、導電膜にシワやクラックの発生を防
止でき、表示品位のよい液晶表示装置を得ることができ
る。さらにスペーサーを有するカラーフィルターにおい
ては、スペーサー付近のオーバーコート膜上の導電膜の
剥がれやスペーサーの剥がれが防止でき表示品位のよい
液晶表示装置を得ることができる。また、オーバーコー
ト膜上に導電膜を有しないカラーフィルターにおいても
セルギャップが著しく均一になり表示品位の向上を達成
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1におけるカラーフィルター基
板の断面図の一例である。
【図2】本発明の実施例1におけるカラーフィルター基
板を使用した液晶表示装置の断面図の一例である。
【図3】本発明の実施例2におけるカラーフィルター基
板を使用した液晶表示装置の断面図の一例である。
【図4】本発明の実施例3における固定されたスペーサ
ーを有するカラーフィルター基板の断面図の一例であ
る。
【図5】本発明の実施例4における固定されたスペーサ
ーを有するカラーフィルター基板の断面図の一例であ
る。
【図6】本発明の固定されたスペーサーを有するカラー
フィルター基板を使用した液晶表示装置の断面図の一例
である。
【符号の説明】
1 青画素 2 緑画素 3 赤画素 4 ブラックマトリクス 5 透明基板 6 オーバーコート膜 7 ITO膜 8 固定されたスペーサー 9 配向膜 10 画素電極 11 薄膜トランジスタ 12 液晶層 13 球状スペーサー

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に画素を形成し、オーバーコート膜
    を形成してなるカラーフィルターにおいて、オーバーコ
    ート膜のヤング率が200℃で2GPa以上の値をもつ
    ことを特徴とするカラーフィルター。
  2. 【請求項2】オーバーコート膜上に導電膜を形成してな
    ることを特徴とする請求項1記載のカラーフィルター。
  3. 【請求項3】オーバーコート膜の厚みが0.01μmか
    ら5μmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜2い
    ずれか記載のカラーフィルター。
  4. 【請求項4】オーバーコート膜がポリイミド系高分子膜
    であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のカ
    ラーフィルター。
  5. 【請求項5】ポリイミド系高分子膜がベンゼン環を含む
    分子骨格を有することを特徴とする請求項4記載のカラ
    ーフィルター。
  6. 【請求項6】オーバーコート膜がエポキシ系高分子膜で
    あることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のカラ
    ーフィルター。
  7. 【請求項7】オーバーコート膜がアクリル系高分子膜で
    あることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のカラ
    ーフィルター。
  8. 【請求項8】ブラックマトリックスを有することを特徴
    とする請求項1〜7いずれか記載のカラーフィルター。
  9. 【請求項9】ブラックマトリックスが黒色顔料を分散さ
    せてなる樹脂からなることを特徴とする請求項8記載の
    カラーフィルター。
  10. 【請求項10】画素が、顔料が分散されたポリイミドか
    らなることを特徴とする請求項1〜8いずれか記載のカ
    ラーフィルター。
  11. 【請求項11】固定されたスペーサーを有することを特
    徴とする請求項1〜10いずれか記載のカラーフィルタ
    ー。
  12. 【請求項12】基板上に画素および固定されたスペーサ
    ーを配した後、オーバーコート膜を形成してなることを
    特徴とする請求項11記載のカラーフィルター。
  13. 【請求項13】固定されたスペーサーが、画素を形成す
    る着色層の積層または単層で形成されていることを特徴
    とする請求項12記載のカラーフィルター。
  14. 【請求項14】基板上に画素およびオーバーコート膜を
    配した後、固定されたスペーサーを形成してなることを
    特徴とする請求項11記載のカラーフィルター。
  15. 【請求項15】請求項1〜14のいずれか記載のカラー
    フィルターを有することを特徴とする液晶表示装置。
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