JPH1172039A - 圧縮着火式内燃機関 - Google Patents
圧縮着火式内燃機関Info
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Abstract
を抑制する。 【解決手段】 機関の運転領域を低負荷側の第1の運転
領域Fと高負荷側の第2の運転領域Gとに分割する。機
関の運転状態が第1の運転領域Fにあるときには圧縮上
死点前50度以前に一回だけ燃焼噴射Iを行う。機関の
運転状態が第2の運転領域Gにあるときには噴射時期領
域IIにおいて最大噴射量の30パーセント以下の第1回
目の燃料噴射I1 を行うと共にほぼ圧縮上死点において
第2回目の燃料噴射I2 を行う。
Description
に関する。
に噴射された燃料の分散度合が燃焼に大きな影響を与え
る。即ち、燃焼室全体に燃料が分散せしめられると単位
容積当りの発熱量が低くなるために燃焼温度が低くな
り、斯くしてNOX の発生しないおだやかな燃焼が行わ
れる。また、燃料粒子の周りには十分な空気が存在する
ために煤も発生しなくなる。そこで燃焼室内全体に噴射
燃料を分散させるために圧縮上死点前60度よりも前の
圧縮行程中に燃料を噴射するようにした圧縮着火式内燃
機関が公知である(特開平7−317588号公報参
照)。
抗が大きくなるために噴射燃料が燃焼室内全体に広がり
ずらくなり、従って、この圧縮着火式内燃機関では燃料
室内の圧力が低い圧縮上死点前60度以前に燃料を噴射
するようにしている。
焼室内全体に噴射燃料を分散させるようにした場合、燃
料噴射量が少ないときにはNOX およびHCが発生しな
いおだやかな燃料が行われる。しかしながら燃料噴射量
が多くなるとたとえ燃焼室内全体に噴射燃料を分散させ
るようにしても燃料が早期に着火し出し、一旦燃料が早
期に着火すると燃焼室内の温度が上昇するために燃料は
更に早期に着火するようになる。その結果、燃焼が次第
に激しくなり、ノッキングが発生するばかりでなく多量
のNOX および煤が発生することになる。
燃料噴射量が多くなると着火時期をおだやかな燃焼の得
られる着火時期に制御しえなくなる。この場合、もし着
火時期をおだやかな燃焼の得られる着火時期に制御しえ
ればNOX および煤の発生量の少ないおだやかな燃焼を
得ることができる。本発明の目的は着火時期をおだやか
な燃焼の得られる着火時期に制御することのできる圧縮
着火式内燃機関を提供することにある。
に1番目の発明では、燃焼室内に燃料を噴射するように
した圧縮着火式内燃機関において、機関の運転領域を低
負荷側の第1の運転領域と高負荷側の第2の運転領域と
に分割し、機関の運転状態が第1の運転領域にあるとき
には圧縮上死点前50度以前に少くとも一回だけ燃料噴
射を行って噴射燃料を燃焼せしめ機関の運転状態が第2
の運転領域にあるときには噴射しても燃焼を生じない量
の第1回目の燃料を圧縮行程後半の予め定められた噴射
時期領域において噴射し、該予め定められた噴射時期領
域よりも遅い時期に第2回目の燃料を噴射して第1回目
の燃料および第2回目の燃料を燃焼させるようにしてい
る。
機関の運転状態が第2の運転領域にあるときに噴射して
も燃焼を生じない第1回目の燃料量が最大噴射量の30
パーセント以下である。3番目の発明では1番目の発明
において、予め定められた噴射時期領域がほぼ圧縮上死
点前90°からほぼ圧縮上死点前20°である。
予め定められた噴射時期領域は機関回転数が高くなるほ
ど圧縮下死点側となる。5番目の発明では1番目の発明
において、機関の運転状態が第2の運転領域にあるとき
に最大噴射量に対する第1回目の燃料噴射量の割合が小
さくなるほど同一の機関回転数に対する予め定められた
噴射時期領域の巾が大きくなる。
機関の運転状態が第2の運転領域にあるときに機関回転
数が高くなるにつれて第1回目の燃料噴射時期が早めら
れる。7番目の発明では1番目の発明において、機関の
運転状態が第2の運転領域にあるときにほぼ圧縮上死点
又は圧縮上死点後に第2回目の燃料噴射が行われる。
機関の運転状態が第2の運転領域にあるときに空燃比を
ほぼ理論空燃比に制御する空燃比制御手段を具備してい
る。9番目の発明では8番目の発明において、空燃比制
御手段は再循環排気ガス量を制御することによって空燃
比をほぼ理論空燃比に制御するようにしている。10番
目の発明では8番目の発明において、機関排気通路内に
三元触媒を配置している。
体、2はシリンダブロック、3はシリンダヘッド、4は
ピストン、5は燃焼室、6は電気制御式燃料噴射弁、7
は吸気弁、8は吸気ポート、9は排気弁、10は排気ポ
ートを夫々示す。吸気ポート8は対応する吸気枝管11
を介してサージタンク12に連結され、サージタンク1
2は吸気ダクト13を介して排気ターボチャージャ14
のコンプレッサ15に連結される。一方、排気ポート1
0は排気マニホルド16および排気管17を介して排気
ターボチャージャ14の排気タービン18に連結され、
排気タービン18の出口は三元触媒19を内蔵した触媒
コンバータ20に連結される。また、排気マニホルド1
6内には空燃比センサ21が配置される。
は排気ガス再循環(以下、EGRと称す)通路22を介
して互いに連結され、EGR通路22内には電気制御式
EGR制御弁23が配置される。各燃料噴射弁6は燃料
供給管24を介して燃料リザーバ、いわゆるコモンレー
ル25に連結される。このコモンレール25内へは電気
制御式の吐出量可変な燃料ポンプ26から燃料が供給さ
れ、コモンレール25内に供給された燃料は各燃料供給
管24を介して燃料噴射弁6に供給される。コモンレー
ル25にはコモンレール25内の燃料圧を検出するため
の燃料圧センサ27が取付けられ、燃料圧センサ27の
出力信号に基づいてコモンレール25内の燃料圧が目標
燃料圧となるように燃料ポンプ26の吐出量が制御され
る。
ータからなり、双方向性バス31によって互いに接続さ
れたROM(リードオンリメモリ)32、RAM(ラン
ダムアクセスメモリ)33、CPU(マイクロプロセッ
サ)34、入力ポート35および出力ポート36を具備
する。空燃比センサ21の出力信号は対応するAD変換
器37を介して入力ポート35に入力される。また、燃
料圧センサ27の出力信号も対応するAD変換器37を
介して入力ポート35に入力される。アクセルペダル4
0にはアクセルペダル40の踏込み量Lに比例した出力
電圧を発生する負荷センサ41が接続され、負荷センサ
41の出力電圧は対応するAD変換器37を介して入力
ポート35に入力される。更に入力ポート35にはクラ
ンクシャフトが例えば30°回転する毎に出力パルスを
発生するクランク角センサ42が接続される。一方、出
力ポート36は対応する駆動回路38を介して燃料噴射
弁6、EGR制御弁23および燃料ポンプ26に接続さ
れる。
している。図2に示されるように空燃比センサ21は空
気過剰率λ、即ち空燃比に応じた出力電流Iを発生し、
従って空燃比センサ21の出力電流Iから空燃比を求め
ることができる。この出力電流Iは電圧に変換されて対
応するAD変換器37に入力される。図1に示す実施例
では噴射燃料をできるだけ均一に燃焼室5内に分散させ
るために燃料噴射弁6は多数のノズル口を有するホール
ノズルからなる。このような燃料噴射弁6を用いて噴射
燃料を燃焼室5内に分散させると噴射量および噴射時期
にによって噴射燃料が燃焼する場合と、噴射燃料が燃焼
しない場合とがあることが判明した。そこでまず初めに
このことについて図3(A)、(B)および図4
(A)、(B)を参照しつつ説明する。
(B)において縦軸はクランク角を示しており、横軸は
機関回転数Nを示している。また、図3(A)は最大噴
射量の5パーセントの燃料を噴射した場合を示してお
り、図3(B)は最大噴射量の10パーセントの燃料を
噴射した場合を示しており、図4(A)は最大噴射量の
20パーセントの燃料を噴射した場合を示しており、図
4(B)は最大噴射量の30パーセント以上の燃料を噴
射した場合を示している。
(A)、(B)においてIはこの領域の噴射時期でもっ
て燃料噴射が行われると従来より行われている通常の燃
焼が行われる噴射時期領域を示しており、IIはこの領域
の噴射時期でもって燃料噴射が行われると燃焼が生じな
い噴射時期領域を示しており、III はこの領域の噴射時
期でもって燃料噴射が行われるとNOX および煤のほと
んど発生しない噴射時期領域を示している。
度と燃料粒子の温度に依存している。簡単に云うと燃料
粒子の密度が比較的小さいときには燃料粒子の温度が高
くなれば燃焼が行われ、燃料粒子の温度が低ければ燃料
が行われない。これに対して燃料粒子の密度が高くなる
と燃料粒子の温度にかかわらずに燃焼が行われる。この
ように燃料粒子の密度が高くなると燃料粒子の温度にか
かわらずに燃焼が行われるがこのときには燃焼が爆発的
となり、多量のNOX が発生すると共に煤が発生する。
即ち、噴射燃料が化学反応を生ずるのは燃料室5内に温
度が700°K以上のときである。ほぼBTDC30度
前では燃焼室5内の温度は700°K以下となってお
り、従ってほぼBTDC30度前に燃料噴射が行われる
と噴射燃料は化学反応を生ずることなく燃焼室5内に分
散することになる。次いでピストン4が上昇し、燃焼室
5内の温度が一定温度以上になると燃料粒子周りの蒸発
燃料が酸素と結合する。もう少し詳しく言うと直鎖炭化
水素の末端炭素を酸素ラジカルが攻撃し、直鎖炭化水素
の末端にアルデヒド基が形成され、次いでこのアルデヒ
ド基が水酸基となる。
と、即ち、燃料粒子の密度が高いと燃料粒子は周囲の燃
料粒子の蒸発燃料の酸化反応熱を受けて高温となる。そ
の結果、燃料粒子内の炭化水素が水素分子H2 や炭素C
に熱分解される。この熱分解により発生した水素分子H
2 は爆発的に燃焼して高温を発生し、斯くしてNOX が
発生することになる。一方、熱分解により炭素Cが発生
するとこれら炭素同志が結合し、その一部がすすとして
排出されることになる。このように燃料粒子の密度が高
いとたとえ燃料粒子が化学反応を生ずることなく燃焼室
5内に分散せしめられても燃料粒子内の炭化水素の熱分
解作用に起因してNOX やすすが発生することになる。
が行われると噴射燃料はただちに化学反応を生じ、燃料
粒子内の炭化水素が熱分解される。その結果、NOX お
よび煤が発生することになる。即ち、燃料粒子の密度が
高いとき、云い換えると燃料噴射量が多いときにはいつ
噴射してもNOX および煤が発生することになる。これ
に対して燃料粒子の密度が低いときには全く状況が異な
る。そこで次に燃料粒子の密度が低いとき、即ち燃料噴
射量が最大噴射量の30パーセント以下であって燃料粒
子が分散せしめられているときの燃焼について、即ち図
3(A)、(B)および図4(A)、(B)の噴射時期
領域III において燃料噴射が行われた場合について説明
する。
よる燃焼室5内の圧力Pの変化を示している。図5から
わかるように燃焼室5内の圧力Pはほぼ圧縮上死点前B
TDC60度を越えると急速に上昇する。これは吸気弁
7の開弁時期とは無関係であっていかなる往復動式内燃
機関であっても燃焼室5内の圧力Pは図5に示されるよ
うに変化する。燃焼室5の圧力Pが高くなると空気抵抗
が大きくなるために噴射燃焼は広範囲に分散せず、噴射
燃料を広範囲に分散させるためには燃焼室5内の圧力P
が低いときに燃料噴射を行うことが必要となる。
(B)に示されるように噴射時期領域III はほぼBTD
C50度前であり、従って噴射時期領域III において燃
料噴射が行われると燃料粒子は広範囲に分散されること
になる。また、このときの燃料噴射量は最大噴射量の3
0パーセント以下であり、従って燃焼室5内における燃
料粒子の密度はかなり小さくなっている。
粒子間の間隔が広くなっている。従って燃料粒子周りの
蒸発燃料が酸素と結合したときに各燃料粒子は周囲の燃
料粒子の蒸発燃料の酸化反応熱をあまり受けず、斯くし
て各燃料粒子は熱分解しない。その結果、水素分子H2
や炭素Cはほとんど発生しない。次いで圧縮行程が進
み、燃料粒子の温度が高くなると各燃料粒子の蒸発燃料
がほぼ同時に燃焼を開始する。
時に燃焼を開始すると局所的に高温となることがなく、
また燃料粒子が分散されているために単位容積当りの発
熱量は低くなる。その結果、燃焼温が全体的に低くな
り、斯くしてNOX の発生しないおだやかな燃焼が行わ
れる。また、燃料粒子の周りには十分な空気が存在する
ために煤も発生しなくなる。
図4(A)は夫々燃料噴射量が最大噴射量の5パーセン
ト、10パーセントおよび20パーセントのときを示し
ており、このとき噴射時期領域III において燃料噴射を
行えばNOX および煤の発生しないおだやかな燃焼が得
られる。また、図4(B)は燃料噴射量が最大噴射量の
30パーセント以上のときを示しているが噴射時期領域
III において燃料噴射したときにNOX および煤の発生
しないおだやかな燃焼が得られるのは燃料噴射量が最大
噴射量のほぼ50パーセントまでである。燃料噴射量が
最大噴射量のほぼ50パーセントを越えると燃料粒子が
分散されていても燃料粒子の密度が高くなるためにNO
X および煤が発生する。
パーセント以下の場合には噴射時期領域III において燃
料噴射を行えばNOX および煤の発生しないおだやかな
燃焼が得られることになる。図3(A)、(B)および
図4(A)、(B)に示されるように噴射時期領域III
の最も遅い噴射時期、即ち図3(A)、(B)および図
4(A)、では噴射時期領域III と噴射時期領域IIの境
界Y、図4(B)では噴射時期領域III と噴射時期領域
Iの境界XYは噴射量にかかわらずほぼ同じ時期であ
る。即ち、境界Y,XYは機関回転数Nが600r.p.m
のときにはBTDC50度付近であり、機関回転数Nが
高くなるにつれて圧縮下死点側となり、機関回転数Nが
4000r.p.m のときにはBTDC90度程度となる。
即ち、噴射燃料が分散するには時間を要し、従って噴射
燃料を分散させるためには、即ち燃料粒子の密度を小さ
くするためには機関回転数Nが高くなるにつれて噴射時
期を早めなければならない。また、機関回転数Nが高く
なるほど燃料粒子の加熱時間が短かくなり、従って燃料
粒子が着火するのに必要な十分の熱を燃料粒子に与える
には機関回転数Nが高くなるにつれて噴射時期を早めな
ければならない。従って図3(A)、(B)および図4
(A)、(B)に示されるように境界Y,XYは機関回
転数Nが高くなるにつれて圧縮下死点側となる。
(A)、(B)および図4(A)、(B)に示されるよ
うに明瞭に表われず、従って境界Y,XYは噴射時期領
域III の最も遅い噴射時期のおおよその時期を表わして
いる。次に噴射時期領域IIについて説明する。前述した
ように噴射時期領域IIにおいて最大噴射量のほぼ30パ
ーセント以下の燃料を噴射すると燃焼が行われない。
前では燃焼室5内の温度は700°K以下となってお
り、従って噴射時期領域IIにおいて燃料噴射を行うと噴
射燃料は化学反応を生じない。また、噴射時期領域IIで
は噴射時期領域III に比べて燃焼室5内の圧力Pが高く
なっているので噴射時期領域III に比べれば燃料粒子の
分散度合は低下する。しかしながら燃料噴射量が最大噴
射量の30パーセント以下なので燃料粒子の分散度合が
多少低下しても燃料粒子の密度は比較的小さい。このよ
うに燃料粒子の密度が小さいと燃料粒子間の間隔が広く
なり、斯くして前述したように各燃料粒子は周囲の燃料
粒子の蒸発燃料の酸化反応熱をあまり受けないために熱
分解を生じない。従って爆発的な燃焼が生じることがな
い。
の酸化反応が行われると直鎖炭化水素の末端に水酸基が
生成される。次いでピストン4が上昇すると水酸基をも
つ直鎖炭化水素、即ち酸素を含んだ燃えやすい炭化水素
の量が増大する。しかしながら噴射時期領域IIは噴射時
期領域III に比べて噴射時期が遅く、従って噴射時期領
域IIにおいて噴射された燃料粒子の温度は着火に到るほ
ど高くならない。従って酸素を含んだ燃えやすい炭化水
素の量が増大しても燃焼は開始されない。
酸素を含んだ燃えやすい炭化水素の量が増大した状態で
圧縮上死点となる。次いでこのまま何もしなければ燃料
は着火せず、失火することになる。図3(A)、(B)
および図4(A)に示されるように噴射時期領域IIの最
も遅い噴射時期、即ち噴射時期領域IIと噴射時期領域I
の境界Xは境界Yとほぼ平行をなす。即ち、噴射時期領
域IIの巾、云い換えると境界Xと境界Yの巾は機関回転
数Nにかかわらずにほぼ一定となる。また、図3
(A)、(B)および図4(A)に示されるように境界
Xと境界Yの巾は最大噴射量に対する噴射量の割合が増
大するにつれて狭くなり、図4(B)に示されるように
噴射量が最大噴射量の30パーセント以上になると噴射
時期領域IIは消滅する。
であるときには図3(A)に示されるように機関回転数
Nが600r.p.m のときの境界XはほぼBTDC20度
であって境界Xと境界Yの巾はほぼ30クランク角度か
らほぼ40クランク角度であり、噴射量が最大噴射量の
10パーセントであるときには図3(B)に示されるよ
うに機関回転数Nが600r.p.m のときの境界Xはほぼ
BTDC30度であって境界Xと境界Yの巾はほぼ20
クランク角度からほぼ30クランク角度であり、噴射量
が最大噴射量の20パーセントであるときには図4
(A)に示されるように機関回転数Nが600r.p.m の
ときの境界はほぼBTDC40度であって境界Xと境界
Yの巾はほぼ10クランク角度からほぼ15クランク角
度であり、噴射量が最大噴射量の30パーセント以上で
あるときには図4(B)に示されるように噴射時期領域
IIは消滅する。
大きくなり、従って燃料噴射量が増大したときには燃料
粒子の分散度合が大きくなければ燃焼が生じる。燃料粒
子の分散度合は噴射時期が早くなるほど大きくなり、従
って噴射時期領域IIの巾は噴射量が増大するほど小さく
なる。また、噴射時期領域IIは機関回転数Nが高くなる
ほど低負荷側となる。即ち、前述したように噴射燃料が
分散するには時間を要し、機関回転数Nが高くなるほど
噴射時期を早くしないと燃料粒子の分散度合が小さくな
らない。従って噴射時期領域IIは機関回転数Nが高くな
るほど低負荷側となる。
的明瞭に表われる。一方、噴射時期領域Iにおいて燃料
噴射が行われると従来より行われている通常の燃焼が行
われる。即ち、噴射時期領域Iでは燃焼室5内の圧力P
(図5)が高く、従って噴射燃料が十分に分散しないた
めに燃料粒子の密度が高くなる。その結果、燃料粒子が
熱分解し、爆発的燃焼を生じて多量NOX および煤が発
生する。
30パーセント以下であれば噴射時期領域IIにおいて燃
料噴射を行うと燃焼が生じない。これに対し燃料噴射量
が最大噴射量の30パーセント以上になるとどの燃料噴
射領域においても噴射燃料は燃焼し、この場合図4
(B)に示れるように噴射時期領域がIとIII のみにな
る。
ると燃料噴射量が最大噴射量の30パーセント以下のと
きには噴射時期領域が、爆発的燃焼の行われる噴射時期
領域Iと、NOX およびすすの発生しないおだやかな燃
焼が行われる噴射時期領域III と、噴射時期領域IとII
I の間の燃焼が生じない噴射時期領域IIとに分かれる。
一方、燃料噴射量が最大噴射量の30パーセント以上で
あってほぼ50パーセント以下のときには噴射時期領域
が噴射時期領域Iと噴射時期領域III に分かれ、燃料噴
射量がほぼ50パーセント以上のときには全噴射時期領
域において従来より行われている通常の燃焼が行われ
る。
(A)に示される噴射時期領域IIは圧縮比およびEGR
率(=EGRガス量/(吸入空気量+EGRガス量))
の影響も受ける。即ち、機関の圧縮比が高くなると図3
(A)、(B)および図4(A)に示される噴射時期領
域IIでは燃焼室5内の圧力が高くなるために燃料粒子が
分散しずらくなり、しかも燃焼室5内のガス温も高くな
る。従って図3(A)、(B)および図4(A)に示さ
れる噴射時期領域IIにおいて燃料噴射を行うと燃料粒子
が熱分解を生じ、斯くして着火することになる。従って
機関の圧縮比が高くなると燃焼の生じない噴射時期領域
IIは消滅する。
子周りの酸素の密度が小さくなり、その結果燃料粒子の
蒸発燃料の酸化反応熱が低くなるために燃料粒子の分散
度合が多少小さくなっても燃料粒子が熱分解しなくな
る。従ってEGR率が高い場合には多少機関の圧縮比を
高くしても燃焼を生じない噴射時期領域IIが存在する。
図6における実線Eは図3(A)、(B)および図4
(A)に示されるような燃焼の生じない噴射時期領域II
が存在する機関圧縮比の上限値を示している。図6に示
されるようにEGR率が零のときに燃焼が生じない噴射
時期領域IIが存在する機関圧縮比の上限値Eはほぼ1
6.0であり、このとき 機関圧縮比がほぼ16.0より
も大きくなると燃焼が生じない噴射時期領域IIが存在し
なくなる。
在する機関圧縮比の上限値EはEGR率が高くなるほど
大きくなる。また、圧縮着火を生じさせるには機関の圧
縮比はほぼ12.0以上にする必要がある。従って燃焼
の生じない噴射時期領域IIが存在する機関圧縮比の範囲
は図6においてハッチングで示す範囲となる。前述した
ように噴射時期領域IIにおいて最大噴射量の30パーセ
ント以下の燃料を噴射すると圧縮上死点付近では燃焼室
5内に酸素を含んだ燃えやすい炭化水素がかなり生成さ
れる。このとき燃焼は生じておらず、従ってこのとき再
度燃料噴射を行うと燃料粒子は燃焼することなく燃焼室
5内に分散される。燃料粒子が分散され、温度上昇する
といずれかの箇所において燃料粒子が熱分解する。燃料
粒子が熱分解すると生成された水素分子H2 が燃焼し、
その結果燃焼室5内全体の圧力が上昇するために燃焼室
5内全体の温度が上昇する。
5内全体に分散している、酸素を含んだ燃えやすい炭化
水素が同時に燃焼を開始し、それによって第2回目に噴
射された燃料粒子が燃焼せしめられる。このように燃焼
室5内全体において同時に燃焼が開始されると局所的に
燃焼温が高くなることがなく、燃焼室5内の燃焼温は全
体的に低くなるためにNOX の発生が抑制される。ま
た、第2回目に噴射された燃料は分散せしめられた後に
燃焼せしめられるので燃料粒子の周りには十分な量の空
気が存在し、斯くして煤の発生も抑制されることにな
る。
下の第1回目の燃料を噴射時期領域IIにおいて噴射し、
その後ほぼ圧縮上死点又は圧縮上死点後に第2回目の燃
料を噴射するとNOX および煤の発生量の少ないおだや
かな燃焼を得ることができる。ところで前述したように
噴射時期領域III において燃料噴射を行うとNOX およ
び煤がほとんど発生せず、噴射時期領域III において燃
料噴射をした場合の方が噴射時期領域IIにおいて噴射
し、次いでほぼ圧縮上死点又は圧縮上死点後に燃料噴射
を行うようにした場合に比べてNOX および煤の発生量
が少なくなる。従ってできる限り噴射時期領域III にお
いて燃料噴射することが好ましい。しかしながら前述し
たように噴射時期領域III において燃料噴射を行ったと
きにNOXおよび煤がほとんど発生しなくなるのは燃料
噴射量が最大噴射量のほぼ50パーセント以下のときで
ある。
関の運転領域を低負荷側の第1の運転領域Fと高負荷側
の第2の運転領域Gとに分割し、機関の運転状態が運転
領域Fであるときには噴射時期領域III において少くと
も一回燃料を噴射するようにし、機関の運転状態が運転
領域Gであるときには最大噴射量の30パーセント以下
の第1回目の燃料を噴射時期領域IIにおいて噴射し、そ
の後ほぼ圧縮上死点又は圧縮上死点後に第2回目の燃料
を噴射するようにしている。
噴射に先立って少量の燃料を噴射する、いわゆるパイロ
ット噴射を行うようにしている。このパイロット噴射は
通常、図3(A)、(B)および図4(A)に示される
噴射時期領域Iにおいて行われ、従ってパイロット噴射
された燃料は自ら着火する。これに対して本発明では噴
射時期領域IIにおいて噴射された燃料は自ら着火しな
い。従って噴射時期領域IIにおける噴射作用と従来のパ
イロット噴射作用とは明瞭に区別しうる。なお、図7に
おいて縦軸Qは全燃料噴射量を示しており、横軸Nは機
関回転数を示している。
1500r.p.m のときの運転領域Fにおける燃料噴射I
と運転領域Gにおける第1回目の燃料噴射I1 および第
2回目の燃料噴射I2 の噴射時期を示しており、図8
(B)は運転領域Gにおける第1回目の燃料噴射I1 の
噴射時期を示している。なお、図8(A)の横軸Qは全
燃料噴射量を表しており、図8(B)の横軸Nは機関回
転数を表わしている。
域FにおけるθSおよびθEは夫々燃料噴射Iの噴射開
始時期および噴射完了時期を示しており、運転領域Gに
おけるθS1およびθE1は第1回目の燃料噴射I1 の
噴射開始時期および噴射完了時期を夫々示しており、運
転領域GにおけるθS2およびθE2は第2回目の燃料
噴射I2 の噴射開始時期および噴射完了時期を夫々示し
ている。また、図8(A)、(B)はコモンレール25
内の燃料圧が或る一定圧に維持されている場合を示して
おり、従って図8(A)、(B)において燃料噴射量は
噴射期間に比例している。
実施例では燃料噴射Iの噴射完了時期θEがほぼ圧縮上
死点前BTDC70度に固定されており、従ってこの実
施例ではBTDC70度付近において一回燃料噴射が行
われる。無論、この場合、燃料噴射Iを二回に分けて行
うこともできる。一方、図8(B)に示されるように運
転領域Gにおける第1回目の燃料噴射I 1 は噴射時期領
域II内において比較的境界Xに近い時期に行われ、従っ
て第1回目の燃料噴射I1 の時期は機関回転数Nが高く
なるほど早められる。なお、図8(A)、(B)に示す
実施例では第1回目の燃料噴射I1 の噴射量が最大噴射
量の10パーセントとされている。また、図8(A)、
(B)に示す実施例では第2回目の燃料噴射I2 の噴射
開始時期θS2が圧縮上死点(TDC)に固定されてい
る。
セルペダル40の踏込み量Lと機関回転数Nの関数であ
り、この全燃料噴射量Qは図9(A)に示すようなマッ
プの形で予めROM32内に記憶されている。一方、運
転領域Gにおける第1回目の燃料噴射I1 の噴射量Q1
は全燃料噴射量Qと機関回転数Nの関数であり、この噴
射量Q1も図9(B)に示すようなマップの形で予めR
OM32内に記憶されている。また、第1回目の燃料噴
射I1 の噴射開始時期θS1も全燃料噴射量Qと機関回
転数Nの関数であり、この噴射開始時期θS1も図9
(C)に示すようなマップの形で予めROM32内に記
憶されている。
図10を参照するとまず初めにステップ50において図
9(A)に示すマップから全燃料噴射量Qが算出され、
次いでステップ51において機関の運転状態が図7の運
転領域Fであるか否かが判別される。機関の運転状態が
運転領域Fであるときにはステップ52に進んで全燃料
噴射量Q等に基づき燃料噴射Iの噴射開始時期θSが算
出される。これに対して機関の運転状態が運転領域Fで
ないとき、即ち図7の運転領域Gであるときにはステッ
プ53に進んで、図9(B)に示すマップから第1回目
の燃料噴射I1の噴射量Q1が算出される。次いでステ
ップ54において図9(C)に示すマップから第1回目
の燃料噴射I1 の噴射開始時期θS1が算出される。次
いでステップ55では噴射量Q1および噴射開始時期θ
S1等に基づいて第1回目の燃料噴射I1 の噴射完了時
期θE1が算出される。次いでステップ56では全燃料
噴射量Qおよび噴射量Q1等に基づいて第2回目の燃料
噴射I2 の噴射完了時期θE2が算出される。
述したように運転領域FではNOX および煤がほとんど
発生しない。一方、運転領域GではNOX および煤の発
生量は少ないものの、若干のNOX および煤が発生す
る。この実施例では運転領域GにおいてはNOX および
煤、即ちHCが大気に放出されるのを阻止するために図
11においてλ2で示されるように空気過剰率λが1.
0に制御される。即ち、空燃比が理論空燃比に制御され
る。空燃比が理論空燃比に制御されるとNOX およびH
Cは三元触媒19において良好に浄化され、斯くしてN
OX およびHCが大気に放出されるのを阻止することが
できる。
することによって空燃比が理論空燃比に制御される。空
燃比を理論空燃比にするのに必要なEGR制御弁23の
基本開度Gθ2は全燃料噴射量Qと機関回転数Nの関数
となり、この基本開度Gθ2は図12に示すようなマッ
プの形で予めROM32内に記憶されている。通常の圧
縮着火式内燃機関においてEGRガス量を制御すること
により空燃比を理論空燃比に維持することは不可能であ
る。しかしながら本発明における運転領域Gでは前述し
たようにほぼ圧縮上死点付近において第1回目の燃料噴
射I1により酸素を含有した炭化水素が生成されてい
る。従ってEGRガス量を制御することにより空燃比を
理論空燃比に維持しても炭化水素自身が酸素を含有して
いるので第2回目の燃料噴射I2 が開始されたときに燃
料が良好に着火し、燃焼せしめられる。
は図11においてλ1で示されるように空気過剰率λは
1.0よりも大きな値に維持され、しかも空気過剰率λ
は全燃料噴射量Qが増大するにつれて低下せしめられ
る。運転領域Fにおける目標空気過剰率λ1は実際には
燃料噴射量Qと機関回転数Nの関数であり、この目標空
気過剰率λ1は図13(A)に示すようなマップの形で
予めROM32内に記憶されている。また、空気過剰率
λをこの目標空気過剰率λ1とするのに必要なEGR制
御弁23の基本開度Gθ1は燃料噴射量Qおよび機関回
転数Nの関数であり、この基本開度Gθ1も図13
(B)に示すようなマップの形で予めROM32内に記
憶されている。
を参照するとまず初めにステップ60において図9
(A)に示すマップから全燃料噴射量Qが算出される。
次いでステップ61では機関の運転状態が図7に示され
る運転領域Fにあるか否かが判別される。機関の運転状
態が運転領域Fにあるときにはステップ62に進む。ス
テップ62では全燃料噴射量Q等に基づいて噴射開始時
期θSが算出される。次いでステップ63では図13
(A)に示すマップから目標空気過剰λ1が算出され、
次いでステップ64では図13(B)に示すマップから
EGR制御弁23の基本開度Gθ1が算出される。次い
でステップ65では空燃比センサ21により検出された
空気過剰率λが目標空気過剰率λ1よりも大きいか否か
が判別される。λ>λ1のときにはステップ66に進ん
で補正値Δθ1に一定値αが加算され、次いでステップ
68に進む。これに対しλ≦λ1のときにはステップ6
7に進んで補正値Δθ1から一定値αが減算され、次い
でステップ68に進む。ステップ68では基本開度Gθ
1に補正値Δθ1を加算することによって最終的なEG
R制御弁23の開度Gθが算出される。
態が運転領域Fでないと判断されたとき、即ち機関の運
転状態が運転領域Gであるときにはステップ69に進ん
で図9(B)に示すマップから第1回目の燃料噴射I1
の噴射量Q1 が算出される。次いで、ステップ70にお
いて図9(C)に示すマップから第1回目の燃料噴射I
1 の噴射開始時期θS1が算出される。次いでステップ
71では噴射量Q1および噴射開始時期θS1等に基づ
いて第1回目の燃料噴射I1 の噴射完了時期θE1が算
出される。次いでステップ72では全燃料噴射量Qおよ
び噴射量Q1等に基づいて第2回目の燃料噴射I2 の噴
射完了時期θE2が算出される。
プからEGR制御弁23の基本開度Gθ2が算出され
る。次いでステップ74では空燃比センサ21により検
出された空気過剰率λが1.0よりも大きいか否かが判
別される。λ>1.0のときにはステップ75に進んで
補正値Δθ2に一定値βが加算され、次いでステップ7
7に進む。これに対しλ≦1.0のときにはステップ7
6に進んで補正値Δθ2から一定値βが減算され、次い
でステップ77に進む。ステップ77では基本開度Gθ
2に補正値Δθ2を加算することによって最終的なEG
R制御弁23の開度Gθが算出される。
生を抑制することができる。
る。
す図である。
る。
Claims (10)
- 【請求項1】 燃焼室内に燃料を噴射するようにした圧
縮着火式内燃機関において、機関の運転領域を低負荷側
の第1の運転領域と高負荷側の第2の運転領域とに分割
し、機関の運転状態が第1の運転領域にあるときには圧
縮上死点前50度以前に少くとも一回だけ燃料噴射を行
って噴射燃料を燃焼せしめ機関の運転状態が第2の運転
領域にあるときには噴射しても燃焼を生じない量の第1
回目の燃料を圧縮行程後半の予め定められた噴射時期領
域において噴射し、該予め定められた噴射時期領域より
も遅い時期に第2回目の燃料を噴射して第1回目の燃料
および第2回目の燃料を燃焼させるようにした圧縮着火
式内燃機関。 - 【請求項2】 機関の運転状態が第2の運転領域にある
ときに噴射しても燃焼を生じない第1回目の燃料量が最
大噴射量の30パーセント以下である請求項1に記載の
圧縮着火式内燃機関。 - 【請求項3】 上記予め定められた噴射時期領域がほぼ
圧縮上死点前90°からほぼ圧縮上死点前20°である
請求項1に記載の圧縮着火式内燃機関。 - 【請求項4】 上記予め定められた噴射時期領域は機関
回転数が高くなるほど圧縮下死点側となる請求項1に記
載の圧縮着火式内燃機関。 - 【請求項5】 機関の運転状態が第2の運転領域にある
ときに最大噴射量に対する第1回目の燃料噴射量の割合
が小さくなるほど同一の機関回転数に対する上記予め定
められた噴射時期領域の巾が大きくなる請求項1に記載
の圧縮着火式内燃機関。 - 【請求項6】 機関の運転状態が第2の運転領域にある
ときに機関回転数が高くなるにつれて第1回目の燃料噴
射時期が早められる請求項1に記載の圧縮着火式内燃機
関。 - 【請求項7】 機関の運転状態が第2の運転領域にある
ときにほぼ圧縮上死点又は圧縮上死点後に第2回目の燃
料噴射が行われる請求項1に記載の圧縮着火式内燃機
関。 - 【請求項8】 機関の運転状態が第2の運転領域にある
ときに空燃比をほぼ理論空燃比に制御する空燃比制御手
段を具備した請求項1に記載の圧縮着火式内燃機関。 - 【請求項9】 上記空燃比制御手段は再循環排気ガス量
を制御することによって空燃比をほぼ論理空燃比に制御
する請求項8に記載の圧縮着火式内燃機関。 - 【請求項10】 機関排気通路内に三元触媒を配置した
請求項8に記載の圧縮着火式内燃機関。
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