JPH1169974A - 固定化酵素担体および固定化酵素 - Google Patents

固定化酵素担体および固定化酵素

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JPH1169974A
JPH1169974A JP28894497A JP28894497A JPH1169974A JP H1169974 A JPH1169974 A JP H1169974A JP 28894497 A JP28894497 A JP 28894497A JP 28894497 A JP28894497 A JP 28894497A JP H1169974 A JPH1169974 A JP H1169974A
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carrier
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immobilized enzyme
reaction
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Hiroshi Nakamura
弘史 中村
Toshio Yajima
敏夫 矢島
Fusao Kondo
房男 近藤
Yoshihisa Koyaizu
敬久 小柳津
Yutaka Ito
裕 伊藤
Akinori Uno
彰記 宇野
Nobuhiro Mori
信博 森
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Original Assignee
Lion Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い反応活性を有し、且つ、耐久性に優れた
固定化酵素と、このような固定化酵素に好適な固定化酵
素担体を提供する。 【解決方法】 xMgO・Al2 3 (但し、x=1〜
200)で表される化合物を200〜1000℃で焼成
し、アルミニウムとマグネシウムとの複合酸化物を主成
分とする多孔性無機材料からなる固定化酵素担体を得
た。酵素としてリパーゼ等の脂質分解酵素を使用し、シ
クロヘキサノン等の有機溶媒中で前記酵素を含む水溶液
と前記固定化酵素担体とを接触させながら水分を留去す
ることにより酵素を固定化し、固定化酵素を得た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酵素を触媒とする
生化学反応の工業的な実施に有用な固定化酵素および固
定化酵素担体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、食品や医薬品製造等の分野で酵素
を利用した生化学反応が工業的に実施されている。その
ような生化学反応の一例としては、リパーゼ等の脂質分
解酵素を利用したエステルの合成および交換反応が挙げ
られる。エステル合成反応は、アルコールと脂肪酸から
のアルコール脂肪酸エステルの合成や、モノグリセリ
ド、糖エステルのような多価アルコール脂肪酸エステル
の合成等に利用され、また、エステル交換反応は大豆
油、オリーブ油、パーム油等の植物油脂や、牛脂、魚油
等の動物油脂等の食品用加工油脂の改質等に利用され、
共に重要な反応である。
【0003】しかし、酵素水溶液を、上記エステル合成
および交換反応等のような水分の制限された系でのみ進
行する反応に利用する場合、酵素を溶媒中に均一に混合
・分散させることが困難であるうえに、水に依存する副
反応が併発するという問題があった。この問題を解決す
るため、酵素を水不溶性担体に固定化して使用する方法
が採用されている。この固定化酵素によれば、有機溶媒
中の酵素反応が可能であるだけでなく、酵素の回収・再
利用による触媒コストの低減、酵素の安定性の向上、反
応時間の短縮、反応器の小型化等が図れるという利点が
ある。
【0004】固定化酵素担体としては、多孔性陰イオン
交換樹脂およびマクロポーラス樹脂(特開昭60−98
984号公報、特開平1−501120号公報)、フェ
ノール樹脂(特開昭61−20268号公報)、陽イオ
ン交換樹脂(特開平3−64185号公報)、キレート
樹脂(特開平1−262795号公報)等の有機材料、
または、多孔性ガラス、ムライト質やコーディライト質
等の多孔性セラミックスや、ケイ酸マグネシウム質のセ
ピオライト(特開昭63−91083号公報)等の無機
材料が用いられている。
【0005】また、酵素の固定化方法としては、担体を
酵素水溶液中に一定時間浸漬して酵素を吸着させた後、
担体を濾別し、洗浄、乾燥する方法が一般的であり(特
表平4−501664号公報)、その他には、担体を分
散させた有機溶媒中に酵素水溶液を滴下し、水分の共存
下で一定時間攪拌して酵素を固定化した後、担体を濾別
し、洗浄、乾燥する方法(特公平7−12310号公
報)が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】反応活性が高く、耐久
性に優れた固定化酵素を得るために、固定化酵素担体に
できるだけ多くの酵素が確実に吸着することが求められ
る。
【0007】このような観点から、担体には、できるだ
け大きな比表面積が要求される。多孔性ガラスビーズ
は、比表面積が70〜80m2 /gと比較的大きく、担
体として好適ではあるが、製造工程が複雑で高価なもの
となるため工業的使用には適当ではない。
【0008】また、前述のような従来の固定化方法で
は、酵素の固定化率および得られる固定化酵素の耐久性
の向上に限界があり、また、水分の乾燥操作中に酵素が
失活するおそれがあった。よって、高い耐久性および反
応活性を有する固定化酵素を確実に得ることは困難であ
った。
【0009】本発明は、優れた耐久性と高い反応活性と
を有する固定化酵素、および、このような固定化酵素に
好適な固定化酵素担体を得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の固定化酵素担体は、アルミニウムとマグネ
シウムとの複合酸化物を主成分とする多孔性無機材料か
らなることを特徴とする。この固定化酵素担体は、前記
複合酸化物がモル%で表示して下記組成を有することが
好ましい。
【0011】 MgO : 50〜99.5 % Al2 3 : 0.5〜50 % 但し、MgOは、好ましくは50〜90%であり、Al
2 3 は好ましくは10〜50%である。
【0012】また、本発明の固定化酵素担体の別の側面
は、下記式(1)もしくは下記式(2)で示される化合
物、または前記化合物の水和物を主成分とする多孔性無
機材料を焼成して得られることを特徴とする。
【0013】 xMgO・Al2 3 (1) Mg1-y ・Aly (OH)2 (Q)y/2 (2) 但し、x=1〜200、好ましくは1〜100、更に好
ましくは1〜8であり、y=0.01〜0.6、好まし
くは0.02〜0.6、更に好ましくは0.2〜0.6
であり、QはCO3 、SO4 、2NO3 または2CH3
COOである。
【0014】なお、前記式(1)または前記式(2)に
より示される化合物の水和物は、例えば、下記式により
示される化合物である。
【0015】 xMgO・Al2 3 ・nH2 O (3) Mg1-y ・Alt (OH)2 (Q)y/2 ・mH2 O (4) 但し、x、yおよびQは前記と同様であり、m、nは、
化合物に含まれる水分子を結晶水として示したときの配
位数に相当し、前記化合物に化学的、構造的に含まれる
水分子を示す妥当な範囲であれば特に制限されない。
【0016】本発明の固定化酵素担体は、比表面積が大
きく、酵素の固定化に適当な大きさの細孔を多数有す
る。また、機械的強度、耐熱性、耐溶媒性および耐久性
に優れるという利点を有する。
【0017】また、前記固定化酵素担体においては、前
記焼成を200〜1000℃の温度範囲で行うことが好
ましく、このような構成にしたことにより担体として好
適な細孔孔径および比表面積を得ることができる。
【0018】前記目的を達成するため、本発明の固定化
酵素の第一の構成は、前記式(1)〜(4)(但し、
x、yおよびQは前記と同様である。)のいずれかで示
される化合物を主成分とする多孔性無機材料を焼成して
得られる固定化酵素担体に、酵素を固定化したことを特
徴とする。このような構成にしたことにより、耐久性に
優れ、酵素吸着量が多く、反応活性の高い固定化酵素と
することができる。
【0019】また、前記目的を達成するため、本発明の
固定化酵素の第二の構成は、固定化酵素担体と酵素を含
む水溶液とを有機溶媒中で接触させながら水分を留去す
ることにより、前記固定化酵素担体に前記酵素を固定化
したことを特徴とする。このような構成にしたことによ
り、酵素と固定化担体との結合の強化と酵素の固定化率
の向上が実現し、耐久性および反応活性に優れた固定化
酵素とすることができる。更に、特公平7−12310
号公報に記載の方法のように、水分を共存させたままの
状態で固定化を行い、その後濾別、洗浄等をするのでは
ないので、酵素活性低下のおそれも小さい。また、乾燥
工程等を省略でき、生産効率を向上できる。
【0020】また、前記第二の固定化酵素における固定
化酵素担体としては、前記本発明の第一の固定化酵素に
含まれるものと同様の固定化酵素担体、マクロポーラス
型吸着樹脂もしくはマクロポーラス型イオン交換樹脂、
または、活性アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシ
ウム、酸化マグネシウム、珪藻土およびゼオライトから
選ばれる少なくとも1種の無機材料を使用することが好
ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の第一の固定化酵素は、好
ましくは、上記(1)式もしくは(2)式で示される化
合物、または上記(3)式もしくは上記(4)式で表さ
れるような前記化合物の水和物を主成分とする多孔性無
機材料を焼成して得られるアルミニウム・マグネシウム
複合酸化物を固定化酵素担体として用いて酵素を固定化
したものである。
【0022】この固定化酵素担体の材料である上記無機
材料は、不定形またはMgOの岩塩型結晶構造を保持し
た構造等をとる。本発明の固定化担体の材料としては、
特に限定されるわけではないが、結晶構造が不定形であ
るものほど焼成物の比表面積を大きくできるため好まし
い。組成は結晶構造に大きく影響し、アルミニウムの含
有率の高いものが結晶構造を不定形とするために好まし
く、xは1〜8、yは0.2〜0.6とすることが最も
好ましい。
【0023】上記無機材料は、固体触媒の調製法として
一般に知られる含浸法、共沈法、沈着法等によって得ら
れる分散粒子を必要に応じて洗浄した後、噴霧乾燥等の
方法で乾燥・造粒することにより製造できる。また、合
成吸着剤として市販されているものでもよく、そのよう
な市販品としてはキョーワード300、同300AS
(2.5MgO・Al2 3 ・mH2 O)、同500
(Mg0.75 ・Al0.25 (OH)2 (CO3 0.125
0.5H2 O)、同1000(Mg0.7 ・Al0.3(O
H)2 (CO3 0.15 ・0.54H2 O)、および同
2000(Mg0.7Al0.3 1.15 )(以上、協和化学
工業株式会社製:「キョーワード」は登録商標)等や、
合成ハイドロタルサイト(協和化学工業株式会社製、富
田製薬株式会社製)等が挙げられる。また、上記材料に
は粉末状、顆粒状、塊状等の種々の形態のものがある
が、必要に応じて粒径調節のための粉化または造粒、粒
度調整のための篩分等を行えばいずれの外観でも使用可
能であり、必要ならば含水率調整のための乾燥等を行っ
てから使用してもよい。
【0024】上記無機材料は、好ましくは焼成炉で回分
あるいは連続方式で焼成される。焼成の過程において上
記無機材料は、300〜400℃で物理吸着または化学
吸着されている水分子が脱離し、比表面積の増大を伴っ
て酸化物へ転移する。比表面積は400℃付近で極大
(キョーワード300AS焼成物の場合は330m2
g前後)を示す。更に温度が高くなると酸化物の結晶化
が進行し、700℃以上では比表面積はやや低減(同3
00AS焼成物の場合は250m2 /g前後)するもの
の、粒子の焼結により強度が著しく向上する。
【0025】担体の強度向上のため焼成は重要な工程で
あるが、その焼成温度によっては酵素の固定化に必要な
細孔を損なうおそれがある。したがって焼成温度は、本
担体を用いた固定化酵素の使用目的・条件等にもよる
が、200〜1000℃、好ましくは500〜1000
℃、より好ましくは750〜950℃とする。1000
℃を超える温度では焼結収縮が進行して細孔が閉塞し、
また、200℃未満の温度では上記無機材料に吸着して
いる水分の脱離が不十分であり、いずれの場合において
も焼成物の比表面積が小さくなるため好ましくない。な
お、焼成時間は1〜5時間程度が適当である。
【0026】焼成後、担体粒子径を調整するため、粉砕
工程を行ってもよい。粒子径が小さいほど反応の際に基
質溶液との接触面積が広くなり、酵素の活性発現率が高
くなるが、粒子径があまりに小さいと酵素の回収・再利
用が困難になるため、粒子径は一般に、数十〜千μm程
度が適当である。更に、固定化酵素の使用目的や条件等
を考慮して、例えば攪拌槽で反応を行う場合、液相中で
の固定化酵素の分散を重視する時は粒子径を50μm前
後から500μm前後、反応後の固定化酵素の分離操作
を重視する時は粒子の沈降性をよくするため、より大き
い粒子径とすることが好ましい。
【0027】このようにして得られたアルミニウム・マ
グネシウム複合酸化物は、優れた機械的強度、耐熱性、
耐溶媒性を有し、更に、酵素を固定化するのに適した孔
径20nm以上の細孔を十分に備え、極めて大きな比表
面積を有するため、固定化できる酵素量が多い。一般
に、酵素吸着量が多い程優れた反応活性を示すことが多
く、よって本発明の担体は反応活性の高い固定化酵素を
得るのに好適な担体である。また、この担体は固定化酵
素の使用目的に応じて容易に表面状態を調整することが
可能である。細孔の孔径および比表面積は焼成条件によ
り調整でき、孔径10〜60nm、比表面積80〜35
0m2 /gとすることが好ましい。
【0028】上記の本発明の固定化酵素担体は、従来の
有機材料からなる担体が有していた機械的強度、耐熱
性、耐溶媒性における欠点を解消するものである。ま
た、本発明の固定化酵素担体は80m2 /g以上の比表
面積を得ることが可能であり、この点においても、ムラ
イト質やコーディライト質の多孔性セラミックスの比表
面積が1m2 /g前後であることや、セピオライトにお
いては、焼成時に原石が含有する不純物によって細孔の
閉塞が生じて比表面積の減少を招くことを考えれば、こ
れら従来使用されていた担体に比べ、反応活性の高い固
定化酵素を作製するうえで非常に好適な担体であるとい
える。
【0029】上記の固定化酵素担体に酵素水溶液を接触
させて酵素を固定化することにより本発明の第一の固定
化酵素が得られる。酵素の固定化は、上記担体を酵素水
溶液中に浸漬する従来の方法で行ってもよいが、後述す
る本発明の第二の固定化酵素の製造における固定化方法
を採用すれば、より確実に酵素の固定化率および耐久性
を向上させることができて好ましい。
【0030】本発明の第二の固定化酵素は、有機溶媒中
で酵素の固定化を行うことにより得られるものである。
その固定化は、まず固定化酵素担体を有機溶媒中に懸濁
させ、そこへ酵素水溶液を添加し、混合しながら減圧す
ること等により水分を留去する方法で行う。この減圧脱
水は酵素水溶液の添加と同時に行っても、添加終了後に
行っても構わないが、液相中の水分濃度の調整が容易で
あることから前者がより好ましい。
【0031】固定化酵素担体としては、特に限定される
ものではなく、マクロポーラス樹脂や各種の多孔性無機
材料を使用することができ、特に、担体の有する細孔の
孔径が数十〜数百nmの範囲であるものが、酵素の固定
化時の拡散および反応時の基質との接触が有効に起こる
ため好ましい。粒子径については、前述の本発明の第一
の固定化酵素と同様に数十〜千μm程度が適当であり、
好ましくは200〜1000μmである。また、比表面
積は、より多くの酵素を固定化できるよう、50m2
g以上であることが好ましい。
【0032】担体として用いるマクロポーラス樹脂とし
ては、吸着樹脂またはイオン交換樹脂として市販されて
いるものを使用することができる。そのような市販品と
しては、吸着樹脂としては、レバチットOC1062
(バイエルジャパン株式会社製:「レバチット」は登録
商標)、ダイヤイオンHP20、ダイヤイオンHP2M
G、セパビーズSP207(以上、三菱化学株式会社
製:「ダイヤイオン」および「セパビーズ」は登録商
標)、デュオライトS−876(ローム・アンド・ハー
ス・カンパニー製:「デュオライト」は登録商標)等が
挙げられる。また、イオン交換樹脂としては、ダウエッ
クスMWA−1、ダウエックス88(以上、ザ・ダウ・
ケミカル・カンパニー製:「ダウエックス」は登録商
標)、アンバーライトIRA−904、アンバーライト
200C(以上、ローム・アンド・ハース・カンパニー
製:「アンバーライト」は登録商標)、ダイヤイオンH
PA25、ダイヤイオンHPK25(以上、三菱化学株
式会社製:「ダイヤイオン」は登録商標)等が挙げられ
る。
【0033】また、担体として使用できる無機材料とし
ては、前述した本発明のアルミニウム・マグネシウム複
合酸化物の固定化酵素担体を使用することが好ましい。
その他にも活性アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネ
シウム、酸化マグネシウム、珪藻土またはゼオライトが
担体として好適である。
【0034】有機溶媒としては、脂肪族炭化水素、芳香
族炭化水素、ケトン類、アルコール類、エーテル類、含
窒素化合物、エステル類を用いることが好ましい。溶媒
は酵素を失活させにくいものが好ましく、具体的には、
脂肪族炭化水素としてはデカン、芳香族炭化水素として
はエチルベンゼン、ケトン類としてはシクロヘキサノ
ン、ヘプタノン、オクタノン、ノナノン、ジイソブチル
ケトン、イソプロピルケトン、γ−ブチロラクトン、ア
ルコール類ではt−ブタノール、エーテル類ではジオキ
サン、含窒素化合物ではβ−ピコリン、エステル類では
脂肪酸メチルエステルが好ましい。
【0035】脱水操作は酵素の活性に悪影響を及ぼさな
いよう、酵素の種類にもよるが、0〜80℃、好ましく
は0〜50℃で行う。また、減圧脱水時の圧力は、水分
を蒸発できる程度であれば特に限定されるものではな
く、温度によっても変わるが、例えば30℃では10T
orr以下が適当である。吸着時間は水分の蒸発に要す
る時間で換言され、特に限定されるものではないが、5
分〜2時間程度が適当である。
【0036】また、この固定化酵素を反応に使用する
際、有機溶媒中から固定化酵素を一旦濾別回収し、必要
に応じて溶媒を真空蒸発させてから使用してもよいが、
固定化に用いる有機溶媒に適当なものを選択すれば、固
定化酵素を有機溶媒中に懸濁させた状態で溶媒ごと使用
することもできる。この後者の方法によれば、濾過、乾
燥等の諸工程を省略することができる。
【0037】水分が少ない有機溶媒中で固定化した固定
化酵素は、酵素タンパクのコンホメーションが剛直であ
るため熱安定性が高く、また酵素と担体との結合も強い
ため、耐久性に優れ、酵素の固定化率も高い。また、酵
素固定化時に同時に脱水を行うことにより、従来の水溶
液中での固定化方法における複雑で長時間を要する乾燥
工程等を省略することができ、生産効率が向上すると共
に、乾燥工程における酵素の失活も回避できる。
【0038】本発明の第一および第二のいずれの固定化
酵素においても、酵素と固定化担体の使用割合(重量
比)は固定化担体1部に対して酵素0.05〜0.5部
が好ましいが、特にこれに限定されるものではない。ま
た、固定化酵素に含まれる水分量は、担体重量に対し5
%以下が好ましい。固定化する酵素は固定化酵素を使用
する反応に応じて適宜選択でき、特に限定されるもので
はないが、例えばエステルの合成および交換反応には、
脂質分解酵素であるリパーゼ、ホスホリパーゼ、コレス
テロールエステラーゼ等の各種エステラーゼが使用でき
る。リパーゼとしては、キャンディダ(Candid
a)属、アルカリゲネス(Alkaligenes)
属、リゾプス(Rizopus)属、アスペルギルス
(Aspergillus)属、ペニシリウム(Pen
icillium)属、シュードモナス(Pseudo
monas)属、ムコール(Mucor)属、ジオトリ
カム(Geotrichum)属等の微生物や、動物の
臓器や植物の種子から得られたもの等が挙げられ、水溶
液状のノボザイム525(Novo Nordisk社
製)や、粉末状のリパーゼAL、PL、QL(名糖産業
製)、リパーゼPS、A、M(天野製薬製)、Lipo
protein Lipase(東洋紡製)等の市販品
を純水または緩衝液に溶解して使用できる。ホスホリパ
ーゼとしてはストレプトマイセス(Streptmyc
es)属由来のホスホリパーゼD、ホスホリパーゼCや
酵母由来のホスホリパーゼA等が挙げられ、コレステロ
ールエステラーゼとしてはキャンディダ(Candid
a)属由来のもの等が挙げられる。
【0039】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。
【0040】(実施例1−1)キョーワード300AS
(協和化学工業株式会社製)を950℃で2時間焼成
し、比表面積107m2 /g、細孔径20〜40nmの
多孔構造を有するアルミニウム・マグネシウム複合酸化
物を得た。攪拌器、温度計、酵素水溶液滴下ロートおよ
び真空排気管を備えた300mlの4つ口フラスコに、
溶媒としてシクロヘキサノン100gを仕込んだ後、担
体として上記アルミニウム・マグネシウム複合酸化物4
gを攪拌しながら仕込み、25℃で10分間、懸濁状態
を保持した。次いで、系内を30Torrの減圧状態に
保ちながら、リパーゼを2%含む酵素水溶液(Novo
Nordisk社製、Novozym−525)4g
を10分間で滴下し、攪拌しながら、水分が留出しなく
なるまで酵素を担体に固定化した。
【0041】この固定化酵素の活性を測定するため、固
定化時に水分と共に留出したシクロヘキサノンの一部
(12g相当)を上記フラスコへ補充した後、カプリン
酸メチルエステル96gとメチルグルコシド20gを仕
込み、70℃、25Torrでエステル交換反応を行
い、反応開始から2時間経過後に基質メチルグルコシド
のメチルグルコシドエステルへの転化率を測定したとこ
ろ、85%であった。
【0042】(実施例1−2)担体の原料として、キョ
ーワード500(協和化学工業株式会社製)を用いた以
外は実施例1−1と同様に焼成、固定化およびエステル
交換反応を行ったところ、反応開始から2時間経過後の
転化率は76%であった。
【0043】(実施例1−3)溶媒を、表1に示すよう
に変化させた以外は実施例1−1と同様の操作によりリ
パーゼを固定化した後、固定化酵素と溶媒を濾別して、
湿り状態で得られた固定化酵素沈殿物を真空乾燥器で室
温乾燥し、乾燥粉末4.4gを得た。この固定化酵素の
活性を測定するため、上記乾燥粉末全量を用いて実施例
1−1と同様のエステル交換反応を行い、反応開始から
2時間経過後の転化率を測定した結果を表1に示す。
【0044】
【表1】溶媒種類 転化率(%) γ−ブチロラクトン 75 デカン 60 エチルベンゼン 65 1,4−ジオキサン 78 2-ヘプタノン 83 t-ブタノール 72 β-ピコリン 70カプリン酸メチル 65 (実施例1−4)担体原料の焼成温度を種々変化させた
以外は、実施例1−1と同様に酵素の固定化およびエス
テル交換反応を行い、反応開始から2時間経過後の転化
率を測定した。結果を表2に示す。
【0045】
【表2】担体焼成温度(℃) 転化率(%) 750 85 500 77200 72 (実施例1−5)担体の使用量を2gにした以外は実施
例1−1と同様に酵素の固定化およびエステル交換反応
を行ったところ、反応開始から2時間後の転化率は84
%であった。
【0046】(実施例1−6)本発明による固定化酵素
の耐久性を評価するため、実施例1−1と同様に酵素の
固定化およびエステル交換反応を行い、転化率が95%
になるまで反応を続けた後、30℃まで冷却して撹拌を
停止し固定化酵素を沈降させ、上澄の反応液を抜き出し
た。沈降分離した固定化酵素(反応液の一部を含む)を
再度使用して、同様のエステル交換反応および沈降分離
操作を繰り返し、固定化酵素の耐久性を評価した。な
お、固定化酵素の耐久性は基質メチルグルコシドのメチ
ルグルコシドエステルへの転化率が95%に到達するま
での所要時間で判定した。結果を表3に示す。
【0047】
【表3】
【0048】1回目の反応においては、反応溶液中に固
定化されていない酵素が残留していることが考えられる
ため、2回目以降の反応について比較すると、反応所要
時間の増加は殆ど無く、この固定化酵素が優れた耐久性
を有することが示された。
【0049】(実施例1−7)担体として、天然粘土の
一種であるスメクタイト(主成分;シリカ、マグネシ
ア)粉末を600℃で2時間焼成したものを用いた以外
は実施例1−1と同様に固定化酵素を調製し、エステル
交換反応を行ったところ、反応開始から2時間経過後の
転化率は45%であった。
【0050】(比較例1−1)担体として珪藻土(セラ
イト社製、Celite 545)を用い、リパーゼ水
溶液中で固定化を行った。操作手順は、50ml三角フ
ラスコに、2%リパーゼ水溶液Novozym−525
を10g仕込み、イオン交換水10gで希釈した後、C
elite 545を4g添加し、室温で3時間マグネ
チックスターラー撹拌条件下で担体への固定化を行っ
た。次いで、濾紙濾過を行い、真空乾燥器中で室温乾燥
し、固定化酵素4.5gを得た。濾液中に移行した酵素
タンパク量を測定したところ、固定化に使用した全酵素
量のほぼ60%であり、リパーゼの固定化率は約40%
であった。
【0051】上記固定化酵素の活性を測定するため、シ
クロヘキサノン100gにカプリン酸メチルエステル9
6g、メチルグルコシド20gおよび上記固定化酵素全
量を仕込み、70℃、25Torrでエステル交換反応
を行い、反応開始から2時間経過後に生成したメチルグ
ルコシドエステルを測定したところ、転化率は25%で
あった。
【0052】(比較例1−2)多孔性樹脂にリパーゼを
固定化した市販の固定化酵素Novozym−435
(Novo Nordisk社製)3gを使用して実施
例1−6と同様に繰り返し反応における耐久性を評価し
た。結果を表4に示す。
【0053】
【表4】
【0054】表4に示すように、反応の繰り返しに伴う
所要時間の増加が著しく、活性の大幅な低下が認められ
た。
【0055】(実施例2−1)攪拌器、温度計、酵素水
溶液滴下ロートおよび真空排気管を備えた500ml4
つ口フラスコに、溶媒としてシクロヘキサノン300g
を仕込んだ後、担体としてマクロポーラス型吸着樹脂で
あるレバチットOC1062(バイエルジャパン株式会
社製)7.5g(乾燥重量)を攪拌しながら仕込んだ。
次いで、系内を30℃、15Torrに保ちながら、リ
パーゼを2%含む酵素水溶液(NovoNordisk
社製、Novozym 525)15gを10分間で滴
下し、圧力を10Torrに下げ、水分が留出しなくな
るまで攪拌しながら酵素を担体に固定化した。次に固定
化酵素と溶媒を濾別して、湿り状態で得られた固定化酵
素沈殿物を真空乾燥器で室温乾燥し、乾燥状態の固定化
酵素8.3gを得た。
【0056】この固定化酵素に対し、0.159Mのト
リブチリン乳化液20mlに所定量のリパーゼ溶液を加
えて、pH7.0、30℃の条件下で加水分解反応を5
分間行い、生成した酪酸の量を測定して固定化酵素の活
性を評価したところ、11KLU/gであった。ここ
で、酵素活性を評価するために使用する単位KLU(K
ilo Lipase Unit)は、上記と同様の反
応条件において1分間に1mmolの酪酸を生成させる
ことのできる酵素量を1KLUとして定義するものであ
る。
【0057】(実施例2−2)担体として塩基性炭酸マ
グネシウム(和光純薬社製)を使用した以外は、実施例
2−1と同様にして固定化酵素を調製し、活性を測定し
たところ、15KLU/gであった。
【0058】(実施例2−3)2%リパーゼ水溶液とし
て、粉末状のリパーゼQL(名糖産業株式会社製)を純
水に溶解させたものを使用した以外は実施例2−1と同
様に、レバチットOC1062に酵素を固定化し、得ら
れた固定化酵素の活性を測定したところ、7KLU/g
であった。
【0059】(実施例2−4)担体として塩基性炭酸マ
グネシウム(和光純薬社製)を使用した以外は、実施例
2−3と同様にして固定化酵素を調製し、活性を測定し
たところ、9KLU/gであった。
【0060】(実施例2−5)攪拌器、温度計、酵素水
溶液滴下ロートおよび真空排気管を備えた500ml4
つ口フラスコに、溶媒としてシクロヘキサノン300g
を仕込んだ後、担体としてマクロポーラス型吸着樹脂で
あるレバチットOC1062を7.5g(乾燥重量)攪
拌しながら仕込んだ。次いで、系内を30℃、15To
rrに保ちながら、リパーゼを2%含む酵素水溶液No
vozym 525を15g、10分間で滴下し、水分
が留出しなくなるまで攪拌しながら酵素を担体に固定化
した。上記フラスコからシクロヘキサノン240gを抜
き出した後、カプリン酸メチルエステル79gとメチル
グルコシド30gを仕込み、70℃、25Torrでエ
ステル交換反応を行い、反応開始から2時間経過後に基
質メチルグルコシドのメチルグルコシドエステルへの転
化率を測定し、酵素活性を評価したところ、転化率は7
5%であった。
【0061】(実施例2−6)担体としてマクロポーラ
ス型イオン交換樹脂であるダウエックスMWA−1(ザ
・ダウ・ケミカル・カンパニー製)を使用した以外は、
実施例2−5と同様に固定化酵素の調製およびエステル
交換反応を行い、反応開始から2時間経過後の転化率を
測定したところ、転化率は72%であった。
【0062】(実施例2−7)担体として塩基性炭酸マ
グネシウム(和光純薬社製)を使用した以外は、実施例
2−5と同様に固定化酵素の調製およびエステル交換反
応を行い、反応開始から2時間経過後の転化率を測定し
たところ、転化率は80%であった。
【0063】(実施例2−8)担体として、表5に示す
各種の無機材料を使用した以外は実施例2−5と同様に
固定化酵素の調製およびエステル交換反応を行った。反
応開始から2時間経過後の転化率を測定した結果を表5
に示す。
【0064】
【表5】 担体種類 転化率(%) 活性アルミナ (水澤化学工業社製 DN−1A) 73 炭酸カルシウム (和光純薬工業社製) 67 酸化マグネシウム(富田製薬社製 トミタ−AD500) 80 珪藻土 (セライト社製 Celite 545) 65 ゼオライト (東ソー社製 ゼオラムF−9) 50 (実施例2−9)溶媒を種々変化させた以外は実施例2
−1と同様に、レバチットOC1062に酵素を固定化
し、乾燥状態で8.3gの固定化酵素を得た。固定化酵
素の活性を測定するため、上記固定化酵素の全量を、攪
拌器、温度計、酵素水溶液滴下ロートおよび真空排気管
を備えた500ml4つ口フラスコに、シクロヘキサノ
ン60g、カプリン酸メチルエステル79g、メチルグ
ルコシド30gとともに仕込み、70℃、25Torr
でエステル交換反応を行い、反応開始から2時間経過後
の転化率を測定した。結果を表6に示す。
【0065】
【表6】溶媒種類 転化率(%) γ-ブチロラクトン 70 デカン 62 エチルベンゼン 76 1,4-ジオキサン 73 2-ヘプタノン 76 t-ブタノール 75 β-ピコリン 68カプリン酸メチル 65 (実施例2−10)担体として塩基性炭酸マグネシウム
を使用した以外は、実施例2−9と同様に固定化酵素の
調製およびエステル交換反応を行い、反応開始から2時
間経過後の転化率を測定した。結果を表7に示す。
【0066】
【表7】溶媒種類 転化率(%) γ-ブチロラクトン 82 デカン 65 エチルベンゼン 75 1,4-ジオキサン 77 2-ヘプタノン 80 t-ブタノール 75 β-ピコリン 70カプリン酸メチル 60 (実施例2−11)担体の使用量を3.7gにした以外
は実施例2−5と同様に、レバチットOC1062への
酵素の固定化およびエステル交換反応を行ったところ、
反応開始から2時間後の転化率は69%であった。
【0067】(実施例2−12)担体として塩基性炭酸
マグネシウムを使用した以外は、実施例2−11と同様
に固定化酵素の調製およびエステル交換反応を行ったと
ころ、反応開始から2時間後の転化率は74%であっ
た。
【0068】(実施例2−13)本発明による固定化酵
素の耐久性を評価するため、実施例2−5と同様に、レ
バチットOC1062への酵素の固定化およびエステル
交換反応を行い、転化率が95%になるまで反応を続け
た後、30℃まで冷却して撹拌を停止し固定化酵素を沈
降させ、上澄の反応液を抜き出した。沈降分離した固定
化酵素(反応液の一部を含む)を再度使用して、同様の
エステル交換反応および沈降分離操作を繰り返し、固定
化酵素の耐久性を評価した。なお、固定化酵素の耐久性
は基質メチルグルコシドのメチルグルコシドエステルへ
の転化率が95%に到達するまでの所要時間で判定する
こととし、その結果を表8にまとめた。
【0069】
【表8】
【0070】1回目は溶媒中に固定化されていない酵素
が残存しているものと考えられるため2回目以降の反応
について比較すると、反応所要時間の増加は殆ど無く、
優れた耐久性を示した。
【0071】(実施例2−14)担体として塩基性炭酸
マグネシウムを使用した以外は、実施例2−13と同様
に固定化酵素の調製および繰り返しエステル交換反応を
行い、固定化酵素の耐久性を評価した。結果を表9に示
す。
【0072】
【表9】
【0073】(比較例2−1)50ml三角フラスコ
に、2%リパーゼ水溶液Novozym 525を15
g仕込み、イオン交換水15gで希釈した後、レバチッ
トOC1062を7.5g(乾燥重量)添加し、室温で
3時間マグネチックスターラー撹拌条件下で担体への固
定化を行った。次いで、濾紙濾過を行い、真空乾燥器中
で室温乾燥し、乾燥状態の固定化酵素8.0gを得た。
【0074】この固定化酵素の活性を、実施例2−1と
同様の方法で測定したところ、6KLU/gであった。
【0075】(比較例2−2)担体として塩基性炭酸マ
グネシウムを用いた以外は、比較例2−1と同様に固定
化酵素の調製および活性評価を行ったところ、この固定
化酵素の活性は7KLU/gであった。
【0076】(比較例2−3)50ml三角フラスコ
に、0.3gの粉末状のリパーゼQLと7.5gのレバ
チットOC1062とを仕込み、シクロヘキサノン30
gを加え、室温で3時間マグネチックスターラー撹拌条
件下で担体への固定化を行った。次いで、濾紙濾過を行
い、真空乾燥器中で室温乾燥し、乾燥状態の固定化酵素
7.8gを得た。この固定化酵素の活性を実施例2−1
と同様の方法で測定したところ、0.1KLU/gであ
った。
【0077】(比較例2−4)担体として塩基性炭酸マ
グネシウムを用いた以外は、比較例2−3と同様に固定
化酵素の調製および活性評価を行ったところ、この固定
化酵素の活性は0.1KLU/gであった。
【0078】(比較例2−5)比較例2−1と同様の操
作によってレバチットOC1062に酵素を固定化して
固定化酵素を調製した。固定化酵素の活性を測定するた
め、得られた固定化酵素を、攪拌器、温度計、酵素水溶
液滴下ロートおよび真空排気管を備えた500ml4つ
口フラスコに、シクロヘキサノン60g、カプリン酸メ
チルエステル79g、メチルグルコシド30gとともに
仕込み、70℃、25Torrでエステル交換反応を行
ったところ、反応開始から2時間経過後の転化率は45
%であった。
【0079】(比較例2−6)担体としてダウエックス
MWA−1を用いた以外は比較例2−5と同様に固定化
およびエステル交換反応を行った。反応開始から2時間
経過後の転化率を測定したところ、40%であった。
【0080】(比較例2−7)担体として塩基性炭酸マ
グネシウムを使用した以外は、比較例2−5と同様に固
定化酵素の調製およびエステル交換反応を行った。反応
開始から2時間経過後の転化率を測定したところ52%
であった。
【0081】(比較例2−8)担体として活性アルミナ
DN−1A(水澤化学工業株式会社製)を用いた以外は
比較例2−5と同様に固定化酵素の調製およびエステル
交換反応を行ったところ、反応開始2時間後の転化率は
43%であった。
【0082】(比較例2−9)比較例2−5と同様に、
レバチットOC1062に酵素を固定化して調製した固
定化酵素を使用した以外は実施例2−13と同様にし
て、繰り返し反応における耐久性を評価した。結果を表
10に示す。
【0083】
【表10】
【0084】(比較例2−10)比較例2−5と同様
に、塩基性炭酸マグネシウムに酵素を固定化して調製し
た固定化酵素を使用した以外は実施例2−13と同様に
して、繰り返し反応での耐久性を評価した。結果を表1
1に示す。
【0085】
【表11】
【0086】表10および11に示すように、水溶液中
で固定化した固定化酵素は、反応の繰り返しに伴う所要
時間の増加が著しく、活性の大幅な低下が認められた。
【0087】
【発明の効果】本発明の固定化酵素担体は、比表面積が
大きく、酵素の固定化に適当な大きさの細孔を多数有
し、且つ、機械的強度、耐熱性、耐溶媒性に優れるた
め、反応活性が高く、耐久性に優れた固定化酵素を作製
するうえで好適な担体である。また、本発明によれば、
酵素水溶液と担体とを有機溶媒中で接触させながら水分
を留去して酵素を固定化することにより、酵素と担体と
の結合が強化でき、固定化酵素の耐久性および固定化率
を向上させることができる。また、固定化後の濾過およ
び乾燥操作等を省略できるため酵素活性低下のおそれが
少なく、工業的に極めて合理的なプロセスの構築が可能
になるという利点がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小柳津 敬久 東京都墨田区本所一丁目3番7号ライオン 株式会社内 (72)発明者 伊藤 裕 東京都墨田区本所一丁目3番7号ライオン 株式会社内 (72)発明者 宇野 彰記 東京都墨田区本所一丁目3番7号ライオン 株式会社内 (72)発明者 森 信博 東京都墨田区本所一丁目3番7号ライオン 株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウムとマグネシウムとの複合酸
    化物を主成分とする多孔性無機材料からなることを特徴
    とする固定化酵素担体。
  2. 【請求項2】 前記複合酸化物がモル%で表示して下記
    組成を有する請求項1に記載の固定化酵素担体。 MgO : 50〜99.5 % Al2 3 : 0.5〜50 %
  3. 【請求項3】 下記式(1)もしくは下記式(2)で示
    される化合物、または前記化合物の水和物を主成分とす
    る多孔性無機材料を焼成して得られることを特徴とする
    固定化酵素担体。 xMgO・Al2 3 (1) Mg1-y ・Aly (OH)2 (Q)y/2 (2) 但し、x=1〜200、y=0.01〜0.6であり、
    QはCO3 、SO4 、2NO3 または2CH3 COOで
    ある。
  4. 【請求項4】 前記多孔性無機材料を200〜1000
    ℃の温度範囲で焼成して得られる請求項3に記載の固定
    化酵素担体。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の固定化
    酵素担体に酵素を固定化した固定化酵素。
  6. 【請求項6】 固定化酵素担体と酵素を含む水溶液とを
    有機溶媒中で接触させながら水分を留去することによ
    り、前記固定化酵素担体に前記酵素を固定化した請求項
    5に記載の固定化酵素。
  7. 【請求項7】 固定化酵素担体と酵素を含む水溶液とを
    有機溶媒中で接触させながら水分を留去することによ
    り、前記固定化酵素担体に前記酵素を固定化したことを
    特徴とする固定化酵素。
  8. 【請求項8】 前記固定化酵素担体が、マクロポーラス
    型吸着樹脂またはマクロポーラス型イオン交換樹脂であ
    る請求項7に記載の固定化酵素。
  9. 【請求項9】 前記固定化酵素担体が、活性アルミナ、
    炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウ
    ム、珪藻土およびゼオライトからなる群より選ばれる少
    なくとも1つの無機材料である請求項7に記載の固定化
    酵素。
  10. 【請求項10】 前記酵素が、脂質分解酵素である請求
    項5〜9のいずれかに記載の固定化酵素。
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JP2002519056A (ja) * 1998-07-06 2002-07-02 ダブリュー・アール・グレース・アンド・カンパニー−コーン バイオレメディエーション用の非マクロポーラス型無機支持体
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