JPH116917A - マスタホログラム,これを用いたカラーフィルタの製造方法 - Google Patents

マスタホログラム,これを用いたカラーフィルタの製造方法

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JPH116917A
JPH116917A JP17522797A JP17522797A JPH116917A JP H116917 A JPH116917 A JP H116917A JP 17522797 A JP17522797 A JP 17522797A JP 17522797 A JP17522797 A JP 17522797A JP H116917 A JPH116917 A JP H116917A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 露光波長より短い周期構造を含む体積ホログ
ラムによる高効率のホログラフィックカラーフィルタ
を、簡便な手法で作製し、高画素密度,高開口率のアク
ティブマトリクス型の表示を実現する。 【解決手段】 予め関数計算された1ビーム干渉用のホ
ログラムパターンが、金属膜(12)によるグレーティン
グ(18)として電子線描画により形成される。金属膜の
膜厚は、0.05〜0.20μmに設定される。グレー
ティングのデューティ比(WB/WA)は、20〜80%に
設定される。前記金属膜は、クロム層単体,もしくは、
クロム層と酸化クロム層の積層体によって形成される。
カラーフィルタは、前記マスタホログラムを用い、S偏
光を露光光として干渉露光を行うことで作製される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、カラーフィルタ
の製造に用いるマスタホログラム及びそれを用いたカラ
ーフィルタの製造方法にかかり、特に、アクティブマト
リクス型の液晶表示に好適なマスタホログラム,それを
用いたカラーフィルタの製造方法の改良に関するもので
ある。
【0002】
【背景技術と発明が解決しようとする課題】液晶を用い
た画像表示素子として、アクティブマトリクスを用いた
ものがある。透過型のタイプの概略構成は、例えば図4
に示すようになっており、液晶層900が透明電極90
2,904で挟まれた構成となっている。液晶層900
には、適宜の配向膜(図示せず)が設けられており、こ
れによって液晶層900の液晶の配向方向が所定方向と
なっている。透明電極902,904間には、各画素に
対応して設けられたトランジスタなどの能動素子906
によって、画像信号に対応した駆動電圧が印加されてい
る。この電圧によって液晶層900の配向状態が変化す
ると、矢印FQで示す入射光が変調を受け、その偏光状
態が変化する。変調後の光は、矢印FRで示すように、
透明電極902を透過する。
【0003】一方、光の入射側及び出射側には、偏光素
子908,910がそれぞれ設けられており、これらの
偏光方向は直交している。このため、光の偏光状態の変
化がコントラストの変化となり、これによって画像表示
が行われるようになる。
【0004】ところで、このような透過型のアクティブ
マトリクス方式ディスプレイでは、図4に示すように、
透明電極902と能動素子906は同一面内に配置され
る。この面内に占める透明電極902の面積比を開口率
と呼ぶ。総画素数が同一でディスプレイ面積が小さくな
ると、必然的に1画素当りの面積は小さくなる。つま
り、透明電極902と能動素子906が占める面積は小
さくなる。しかし、所定の駆動能力を保持するために
は、能動素子906として一定面積が必要であり、それ
以下にすることはできない。従って、透明電極902の
面積を小さくせざるを得ない。すると、矢印FQで示す
入射光の比率が小さくなってしまう。このような理由か
ら、プロジェクタ用のディスプレイシステムのように小
型化を図る必要がある場合には、開口率が小さくなり、
光利用率は低下して表示画像が暗くなる。
【0005】図4のようなディスプレイシステムを用い
てカラー表示を行う場合には、例えばR(赤),G
(緑),B(青)毎に設ける必要があり、装置が大型化
する。そこで、カラーディスプレイシステムを小型にす
るための手法として、いわゆる単板方式のディスプレイ
システムがある。この単板システムでは、図5に示すよ
うに、R,G,Bのマイクロフィルタが規則的に配列さ
れた吸収型や多層膜反射型のカラーフィルタ920が設
けられている。すなわち、Rの画像信号によって能動素
子906が駆動される画素にはRのマイクロフィルタが
設けられ、Gの画像信号によって能動素子906が駆動
される画素にはGのマイクロフィルタが設けられ、Bの
画像信号によって能動素子906が駆動される画素には
Bのマイクロフィルタが設けられる。
【0006】R,G,Bのマイクロフィルタは、それぞ
れR,G,Bの単色光だけを透過する。従って、例え
ば、Rのマイクロフィルタ上では、G及びBの色の光は
利用できない。G,Bのマイクロフィルタについても同
様である。結果として、入射光の1/3が原理的に利用
できる最大光量である。このように、単板システムで
も、光利用率の低下を招く。
【0007】これらの不都合を解決するため、マイクロ
レンズとアクティブマトリクスを組み合わせたディスプ
レイシステムがある。図6にはその主要部が示されてお
り、上述したカラーフィルタ920の光入射側には、マ
イクロレンズアレイ930が設けられている。マイクロ
レンズアレイ930は、R,G,Bのマイクロフィルタ
920R,920G,920Bに対応して配列された多
数のマイクロレンズ932がガラス基板934に形成さ
れた構成となっている。矢印FQ方向から入射した光
は、それぞれマイクロレンズ932で集光されて、該当
するマイクロフィルタ920R,920G,920Bに
それぞれ入射する。このような構成とすることで、開口
率の低下を防ぐことができる。
【0008】しかし、例えば20μm以下の画素ピッチ
のアクティブマトリクスを組み合わせようとすると、理
想的な集光特性を持つマイクロレンズの作製は困難とな
り、光利用率の向上を図ることは事実上困難である。
【0009】このような開口率の低下や、単板システム
における光量の低下を改善する有力な手法として、特願
平7ー315956号として出願されたカラーフィルタ
がある。これによれば、カラーフィルタを構成する体積
ホログラムは、良好な分光特性や理想的な集光特性を具
備し、通常のカラーフィルタよりも光利用率の高いディ
スプレイシステムを実現することができる。
【0010】体積ホログラムフィルタの作製法には、2
ビーム干渉法と1ビーム干渉法がある。まず、2ビーム
干渉法は、同一レーザ光を2ビームに分岐し、光露光に
よって屈折率の変化を生じる感光体,例えばデュポン社
製「OmniDex」のようなポリマ上に角度を変えて入射さ
せる。すると、2ビームの干渉パターンが生じるので、
これによる屈折率の変化によってホログラムパターンと
するものである。しかしながら、この方法は、一度の干
渉によって一つのホログラムレンズを形成するに留ま
る。このため、ホログラムレンズアレイを作製するに
は、物体光としてレンズ集光光を何度も場所を変えて感
光剤に入射させる必要がある。従って、角度や位置のア
ライメント精度やかぶり光対策について配慮する必要が
ある。また、レンズピッチの小さな無収差マイクロレン
ズを作製するのは困難であり、現実的ではない。
【0011】一方、1ビーム干渉法では、まず計算機に
よって計算された回折パターンを電子線描画装置により
表面ホログラム(マスタホログラム)として基板上に形
成する。そして、その表面ホログラムに特定角度から光
を入射し、回折パターンによって0次光と1次光を得
る。そして更に、これら0次光と1次光の干渉によっ
て、感光体に体積ホログラムを記録する。従って、0次
光と1次光の角度や位置のアライメントが不要であると
ともに、マイクロレンズアレイパターンをマスタホログ
ラム面内に必要な分だけ形成しておけば、1回の干渉で
レンズアレイパターンを感光体に転写できる。従って、
精度や量産性のいずれにおいても、体積ホログラムフィ
ルタの作製に有効な手段である。ただし、実際には、マ
スタホログラムに対してサブミクロンオーダーの加工を
大面積で行う必要があり、高度な微細加工技術が必要で
ある。
【0012】この加工手法としては、IDW'96(Int
ernational Display Workshop'96)のP345〜348に「Hol
ographic Optical Element for Projection Displays」
と題して開示されたホログラムマイクロレンズアレイの
作製法がある。これによれば、まず、電子線レジスト上
にマイクロレンズパターンを電子線描画する。そして、
このレジストパターンをマスクとして基板ガラス材をエ
ッチングすることによって、ガラス基板上に凹凸を形成
する。これら凹凸によって透過する光の位相を変調する
ことによって、1次回折光が発生する。このマスタホロ
グラムは表面ホログラムの一種で位相変調型ホログラム
を呼ばれる。ガラス基板上には凹凸しか存在しないた
め、入射した光のほぼすべてが0次光か1次光となる。
また、凹凸の段差を制御することで、0次光と1次光の
比をある程度制御できる。
【0013】ところが、このような位相変調型ホログラ
ムによって、上述した特願平7−315956号のよう
な体積ホログラムフィルタを得るマスタホログラムを作
製することは非常に困難である。例えば、ガラス基板露
光のためのランプ光の入射角を60度とし、青色帯域の
中心波長を460nm,ガラス基板の屈折率を1.52
とすると、NA(開口率)0.2のマイクロレンズアレ
イを作製する場合、必要な凹凸のパターンピッチは0.
30〜0.41μmとなる。従って、凹凸のいずれか一
ラインの幅(凹ラインの幅又は凸ラインの幅)は、その
半分の略0.15〜0.2μmとなる。このようなパタ
ーンピッチに対して0次光と1次光の比が1:1となる
凹凸の深さは、ガラス基板を用いた場合、0.35μm
程度と計算されている。すなわち、ガラス基板に対し
て、ライン幅の2倍程度の深さの凹凸加工が必要とな
る。しかし、このような条件で、ガラス基板上の凹凸の
割合(デューティ比)や深さの両方を厳密に制御するこ
とは非常に困難であり、必ずしも現実的とは言えない。
【0014】他のマスタホログラムの作製法として、1
986年応用物理学会予稿集p206,4p-L-13に「光IC用
EB描画サブミクロングレーティングのホログラフィッ
ク転写」と題して開示された振幅変調型ホログラムがあ
る。これによれば、まず、電子線描画によりマイクロレ
ンズアレイパターンを電子線レジスト上に作製する。次
に、これをマスク材として金属層をエッチングすること
で光遮光部と光透過部を作製し、周期的なスリットパタ
ーンを形成する。そして、このスリットパターンで回折
光を発生させている。
【0015】しかしながら、この手法は、微細パターン
をレジストに転写するために用いられるものであるた
め、0次光と1次光に比率はあまり考慮する必要がな
い。このため、0次光と1次光の比率が不明である。し
かし、体積ホログラムフィルタの作製には、感光体であ
るフォトポリマ内に設計通りの屈折率分布を形成する必
要があり、0次光と1次光の比率は重要な要素となる。
加えて、2次光強度が大きいと、0次光と2次光による
干渉パターンが形成されてしまうとともに、本来の設計
と異なる方向に出射する光成分が発生するため、光利用
効率が低下する。他に、光遮光部が存在することでも、
光の透過量が減少して利用効率は低下する。更に、波長
より短い周期構造では、回折効率の低下が予想される。
このような点から、露光波長より短い周期の体積ホログ
ラムフィルタの作製には一般的に用いられていない。
【0016】この発明は、以上の点に着目したもので、
その目的は、露光波長より短い周期構造を含む体積ホロ
グラムによる高効率のマイクロレンズアレイカラーフィ
ルタを、簡便な手法で作製することである。他の目的
は、高画素密度,高開口率のアクティブマトリクス型の
表示を実現することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、この発明は、カラーフィルタ(52)を作製するため
のマスタホログラム(20)であって、予め関数計算され
た1ビーム干渉用のホログラムパターンが、金属膜(1
2)によるグレーティング(18)として電子線描画によ
り形成されており、そのグレーティングのデューティ比
(WB/WA)を、20〜80%としたことを特徴とする。
主要な形態によれば、前記金属膜の膜厚は、0.05〜
0.20μmに設定される。また、前記金属膜は、クロ
ム層単体,もしくは、クロム層と酸化クロム層の積層体
によって形成される。本発明のカラーフィルタの製造方
法は、前記いずれかのマスタホログラムを用い、S偏光
を露光光として干渉露光を行うことを特徴とする。
【0018】この発明の前記及び他の目的,特徴,利点
は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。最初に、本発明の理解を容易にする
ため、図2を参照して振幅変調型マスタホログラムの作
製方法を説明する。まず、同図(A)に示すように、ま
ず、平坦性が確保できる材料,例えば石英やガラスなど
による透明基板10を用意する。そして、この透明基板
10の主面上に、クロムなどによる金属膜12を形成す
る。次に、同図(B)に示すように、金属膜12上に、
電子線レジスト14が設けられる。一方、レンズ効果を
発生させるために必要なマイクロレンズアレイパターン
を、関数計算によって予め求める。そして、この求めた
パターンを、電子線描画法によって電子線レジスト14
に転写する。すなわち、求めたマイクロレンズアレイパ
ターンに対応して、電子線を、図中に矢印FAで示すよ
うに電子線レジスト14に照射する。その後、電子線レ
ジスト14を現像すると、同図(C)に示すように、電
子線レジスト14によるマイクロレンズアレイのホログ
ラムパターン16が形成される。
【0020】次に、電子線レジスト14によるホログラ
ムパターン16をマスクとして、同図(D)に示すよう
に、透明基板10上に積層された金属膜12をエッチン
グする。このエッチングは、ウェット法でもドライ法で
も、どちらでも可能である。エッチング後に、電子線レ
ジスト14を除去すれば、同図(E)に示すように、透
明基板10上に金属によるホログラムパターン16に相
当するグレーティングパターン18が形成されたマスタ
ホログラム20が得られる。
【0021】なお、この場合において、金属膜12とし
ては、フィルタ作製時の露光波長に対して遮光性が十分
であるとともに、透明基板10に対する密着性が高く、
更には、加工性がよいことである。ところが、金属膜1
2が厚くなると、エッチング時に矢印FBで示す横方向
の広がりの制御が困難になる。このため、必要とするグ
レーティングパターン18のピッチとスペース(間隔)
のデューティ比を得るのが困難になる。なお、デューテ
ィ比は、グレーティングピッチWA,スペースWBに対
して、WB/WAで表わされる。このような加工性の点
からは、金属膜14は薄い方がよい。しかし、上述した
ように、あまり薄いと、遮光性が不十分となる。
【0022】従って、金属膜12の厚みは、このような
遮光性と加工性の相反関係を考慮して決定する。本発明
に関係して行った実験によると、金属膜12をクロムと
酸化クロムの2層構造とし、クロム0.05μm/酸化
クロム0.02μmの合計膜厚0.07μmの積層膜によ
って、514.5nm(0.5145μm)のアルゴンレ
ーザによる体積ホログラムフィルタを作製することがで
きた。金属膜厚が厚くなれば、遮光性は向上するが加工
性は低下する。このような観点から実験的に見積ると、
金属膜12の厚さは、0.05〜0.20μm程度が妥
当な範囲となる。
【0023】一方、上述したように、位相変調型ホログ
ラムのエッチング深さは0.35μmである。これと比
較すれば、本形態では1/5から1/2のエッチング深
さで済むため、より微細な周期のパターン作製が可能と
なる。なお、金属膜12の材料としては、一般的にフォ
トマスクに使用されているクロム膜や、クロムと酸化ク
ロムによる積層膜が、密着力や加工性の点で良好であり
適している。
【0024】図3には、以上のようにして得たマスタホ
ログラム20を用いて投射装置に用いるマイクロレンズ
アレイフィルタを得る様子が示されている。金属膜12
によって形成されたグレーティングパターン18に、フ
ィルタを作製する干渉露光用の光を所定の角度で照射す
ると、図3(A)に示すように、直進する0次光L0とグ
レーティングパターン18により回折される1次光L1
とが得られる。なお、回折光として、場合によっては少
量の高次光が発生することもある。
【0025】フィルタ作製時は、図3(B)に示すよう
に、ガラス基板50の表面に形成された適宜のホログラ
ム記録材料52に対向するように、マスタホログラム2
0を配置する。そして、この状態で、露光光源(図示せ
ず)から露光光を所定の角度で照射すると、図3(A)
に示したように、グレーティングパターン18によっ
て、0次光L0及び1次光L1が得られ、更にはそれらの
干渉縞がホログラム記録材料52に形成される。このた
め、ホログラム記録材料52には、干渉縞に相当する屈
折率分布,すなわち体積ホログラムレンズが形成され
る。このようにして得られるフィルタを、例えばR,
G,B毎に作製して重ね合せれば、3層のホログラムカ
ラーフィルタを得ることができる。
【0026】ところで、このように、マスタホログラム
20を用いて体積ホログラムフィルタを干渉露光で作製
する場合、0次光と1次光の光量和,0次光と1次光の
回折効率比,0次光と2次光の回折効率比の選択が重要
となってくる。まず、光量については、0次光と1次光
の光量が大きいほど露光時間を短くすることができるた
め、振動などの影響を受けず、安定した体積ホログラム
フィルタの作製が可能となる。また、0次光と1次光の
光量比率が1:1に近いほど干渉時のコントラストがと
れる。このため、屈折率差が大きくなり、回折効率の向
上を図ることができる。更に、2次光については、その
比率が小さいほど作製した体積ホログラムフィルタにお
ける2次光回折効率が低くなり、結果的に1次光の回折
効率が向上する。
【0027】次に、マスタホログラム20のグレーティ
ングパターン18におけるデューティ比WB/WA(図
2(E)参照)と回折効率の関係について説明する。フ
ィルタ作製時における露光光の波長よりグレーティング
ピッチWAが小さくなると、露光光の回折効率が激減す
る。本形態のような振幅変調ホログラムの場合、グレー
ティングピッチWAが露光波長以下になると確かに1次
光の回折効率は10%以下に低下する。しかし、本発明
に関して行った実験によると、デューティ比WB/WA
を変化させると、1次光の回折光量はあまり変化せず、
0次光の光量が大きく変化することが判明した。
【0028】図1には、その様子が示されている。同図
中、縦軸は回折効率(%),横軸はデューティ比(%)
である。「0 order」は0次光,「1st order」は1次
光,「2nd order」は2次光を表わす。グレーティング
パターン18に対する露光光(アルゴンレーザ光)の入
射角度は60度である。グレーティングピッチWAは
0.50μm,露光光波長は514.5nm(0.514
5μm)である。同図(A)はS偏光の場合、(B)はP
偏光の場合である。なお、S偏光はグレーティングパタ
ーン18に対して平行な方向に偏光面を持つ光であり、
P偏光は垂直な方向に偏光面を持つ光である。
【0029】これらのグラフから明らかなように、P,
Sいずれの偏光においても、デューティ比が変化する
と、0次光の回折効率は大きく変化しており、デューテ
ィ比が高いほど、つまりスペースWBが広がるほど、0
次光の回折効率も高くなっている。しかし、1次光の回
折効率は、さほど高くはなっていない。
【0030】次に、平均的にみて、1次光の回折効率は
S偏光よりP偏光の方が大きい。ところが、P偏光で
は、0次光と1次光の回折比率が1:1になる点,つま
り、両者のグラフが重なる点のデューティ比は20%の
付近であり、それ以上デューティ比が大きいと、0次光
の光量が1次光よりも大きい。しかし、ピッチが0.5
μm以下のグレーティングパターンでデューティ比20
%以下のものを作製することは困難である。従って、P
偏光は、体積ホログラム作製の露光光には適していな
い。
【0031】これに対し、S偏光の場合は、図1(A)
のように、50%のデューティ比で0次光と1次光の回
折比率がほぼ1:1となる。一方、回折効率は若干低下
するものの、実際には光量比率=0次光量/1次光量
が、0.5〜2以内であればグレーティングパターンの
作製が可能である。しかし、デューティ比20%以下と
80%以上のグレーティングパターンは、実際上作製は
困難である。このような点からすると、デューティ比
は、20〜80%が実用範囲となる。
【0032】以上をまとめると、デューティ比20〜8
0%のグレーティングパターンによる振幅変調型ホログ
ラムをマスタとして、S偏光を露光光として用いれば、
ピッチ0.5μm以下の体積ホログラムフィルタの作製
が可能となる。しかし、P偏光の場合では、0次光と1
次光の回折比率が1:1となるのがデューティ比20%
であり、体積ホログラムフィルタの作製には不適であ
る。
【0033】
【発明の効果】このように、本発明によれば、0.5μ
mピッチ以下の高効率のマイクロレンズアレイを持つ投
射用のホログラフィックカラーフィルタを作製すること
ができ、更には、そのフィルタを用いて高密度,高開口
率のアクティブマトリクス型の表示が可能となるという
効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一形態にかかるマスタホログラムにお
けるグレーティングデューティ比と露光光の回折効率の
関係を示すグラフである。
【図2】本発明の一形態にかかるマスタホログラムの製
造工程を示す図である。
【図3】前記マスタホログラムをカラーフィルタの製造
の様子を示す図である。
【図4】アクティブマトリクスタイプの液晶表示装置の
一例を示す図である。
【図5】アクティブマトリクスタイプの単板液晶表示装
置の一例を示す図である。
【図6】マイクロレンズとアクティブマトリクスを組み
合わせた液晶表示装置の主要部を示す図である。
【符号の説明】
10…透明基板 12…金属膜 14…電子線レジスト 16…マイクロレンズアレイのホログラムパターン 18…グレーティングパターン 20…マスタホログラム 50…ガラス基板 52…ホログラム記録材料 L0…0次光 L1…1次光

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カラーフィルタを作製するためのマスタ
    ホログラムであって、 予め関数計算された1ビーム干渉用のホログラムパター
    ンが、金属膜によるグレーティングとして電子線描画に
    より形成されており、 そのグレーティングのデューティ比を、20〜80%と
    したことを特徴とするマスタホログラム。
  2. 【請求項2】 前記金属膜の膜厚を、0.05〜0.2
    0μmとしたことを特徴とする請求項1のマスタホログ
    ラム。
  3. 【請求項3】 前記金属膜を、クロム層単体,もしく
    は、クロム層と酸化クロム層の積層体によって形成した
    ことを特徴とする請求項1又は2記載のマスタホログラ
    ム。
  4. 【請求項4】 請求項1,2又は3のいずれかに記載の
    マスタホログラムを用い、S偏光を露光光として干渉露
    光を行うことを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
JP17522797A 1997-06-16 1997-06-16 マスタホログラム,これを用いたカラーフィルタの製造方法 Expired - Lifetime JP3379390B2 (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2021503709A (ja) * 2017-10-30 2021-02-12 フェイスブック・テクノロジーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニーFacebook Technologies, Llc 高屈折率材料のh2補助傾斜エッチング

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JP2021503709A (ja) * 2017-10-30 2021-02-12 フェイスブック・テクノロジーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニーFacebook Technologies, Llc 高屈折率材料のh2補助傾斜エッチング

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