JP3460580B2 - ホログラムレンズの製造方法 - Google Patents

ホログラムレンズの製造方法

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JP3460580B2
JP3460580B2 JP14251698A JP14251698A JP3460580B2 JP 3460580 B2 JP3460580 B2 JP 3460580B2 JP 14251698 A JP14251698 A JP 14251698A JP 14251698 A JP14251698 A JP 14251698A JP 3460580 B2 JP3460580 B2 JP 3460580B2
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敬一 前野
哲広 山崎
鉄二 鈴木
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ホログラムを利用
した回折型レンズアレイ及びその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】ホログラムを利用した回折型レンズアレ
イをカラーフィルタとして用いたカラー表示装置は、通
常のカラーフィルタを用いたものと比較して、光の利用
効率が高いという利点を備えている。例えば、特開平2
−500937号公報には、ストライプターゲットの前
面にR,G,Bのホログラフィレンズを垂直方向に多段
配置し、各レンズからターゲット面に焦点を結ぶことに
よって高い読出光効率が得られるようにしたカラー表示
装置が開示されている。
【0003】ホログラムレンズアレイは、例えば図5に
示すような方法で製造される。なお、この例は、収束光
用レンズの場合である。同図に示すように、EB(電子
ビーム)によって作製した凸レンズ構成のEB格子50
が用意される。具体的には、R(赤)用のEB格子50
R,G(緑)用のEB格子50G,B(青)用のEB格
子50Bは、空間光変調素子(図6参照)の画素配列に
対応してガラス基板12の主面12A上に設けられてい
る。例えば、基板12の主面12Aにクロム層を形成
し、これに所定パターンを電子ビームで露光すること
で、EB格子50R,50G,50Bのクロムパターン
が形成され、これらによってEBマスタ50が形成され
ている。このEBマスタ50には、界面における屈折率
差の影響を低減するためのマッチングオイル52を挟ん
でガラス基板16が対向しており、その主面側にはホロ
グラム記録材料14が設けられている。
【0004】露光光Lは、所定の角度でガラス基板12
側からEBマスタ50に入射する。入射光の一部は、そ
のままEBマスタ50を透過して0次光L0となる。R
用のEB格子50Rによって回折したRの1次回折光L
1Rは、0次光L0と干渉して干渉縞を形成する。この干
渉縞に対応して、ホログラム記録材料14にRのホログ
ラムレンズ14Rが形成される。G用のEB格子50G
によって回折したGの1次回折光L1Gは、0次光L0と
干渉して干渉縞を形成する。この干渉縞に対応して、ホ
ログラム記録材料14にGのホログラムレンズ14Gが
形成される。同様に、B用のEB格子50Bによって回
折したBの1次回折光L1Bは、0次光L0と干渉して干
渉縞を形成する。この干渉縞に対応して、ホログラム記
録材料14にBのホログラムレンズ14Bが形成され
る。このような多重露光により、R,G,Bのホログラ
ムレンズ14R,14G,14Bがホログラム記録材料
14に多重記録される。
【0005】このようにして作製したホログラムレンズ
アレイを使用したカラー表示装置は、例えば図6のよう
に構成されている。同図において、前記のように作製し
たホログラムレンズアレイ30は、ガラス基板16の主
面16A側に形成されている。このホログラムレンズア
レイ30の主面30A側には、必要に応じて設けられる
スペーサガラス32を介して、光変調素子34が設けら
れている。光変調素子34は、透明電極36と画素電極
38の間に変調体40を挟んだ構成となっている。画素
電極38は、R,G,B用の画素38R,38G,38
Bによって構成されており、これらの画素38R,38
G,38Bは、規則的に配列されている。すなわち、ホ
ログラムレンズアレイ30中のR,G,Bの各レンズと
一対一で対応している。そして、R画素38RはRの画
像信号によって駆動されており、G画素38GはGの画
像信号によって駆動されており、B画素38BはBの画
像信号によって駆動されている。また、変調体40は、
配向膜40A,40Bの間に液晶層40Cを挟んだ構成
となっている。
【0006】次に、上述したカラー表示装置の作用を説
明する。ハロゲンランプ(図示せず)などから出力され
た白色光42は、ホログラムレンズアレイ30に予め設
定された角度で入射する。R成分の光はRのホログラム
レンズ14Rによって集光し、透明電極36及び変調体
40を透過して焦点となるR画素38Rに入射する(矢
印FR参照)。同様に、G成分の光はGのホログラムレ
ンズ14Gよって集光し、透明電極36及び変調体40
を透過して焦点となるG画素38Gに入射する(矢印F
G参照)。B成分の光はBのホログラムレンズ14Bに
よって集光し、透明電極36及び変調体40を透過して
焦点となるB画素38Bに入射する(矢印FB参照)。
【0007】一方、画素電極38の各画素38R,38
G,38Bは、上述したようにR,G,Bの画像信号に
基づいてそれぞれ駆動されており、透明電極36と画素
電極38との間に画像信号に相当する電圧が印加されて
いる。このため、この電圧の程度に応じた偏光変調が入
射光に対して変調体40で行われる。Rの画像信号に基
づくRの光の偏光変調はR画素38Rによって行われ、
Gの画像信号に基づくGの光の偏光変調はG画素38G
によって行われ、Bの画像信号に基づくBの光の偏光変
調はB画素38Bによって行われる。変調後の光は、画
素電極38で反射され、変調体40,透明電極36,ガ
ラス基板32を通過してホログラムレンズアレイ30に
再び入射する。そして、ホログラムレンズアレイ30を
透過したR,G,Bの光がスクリーン(図示せず)に投
影され、カラー画像が表示される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ホログラム
レンズを作製するときは、上述したように、EBマスタ
とホログラム媒体とをマッチングオイルを介して密着さ
せる。このため、EBマスタからの光の焦点距離を、ホ
ログラムレンズの仕上がりの焦点距離と同一にしてしま
うと、記録されたホログラムレンズの焦点距離がオイル
層の厚み分だけ変動してしまう。具体的には、上述した
収束光の場合はレンズ焦点距離は長くなり、発散光の場
合は逆に短くなる。本発明は、以上の点に着目したもの
で、オイル層によるホログラムレンズの焦点距離の変化
を良好に回避して、色再現などの画質の向上を図ること
を、その目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、この発明は、凸レンズの電子ビーム格子が形成され
たマスタとホログラム媒体との間にオイル層を形成し、
前記マスタの上方から平行光による露光を行い、前記マ
スタによって回折される収束光によって、前記ホログラ
ム媒体にホログラムレンズを形成するホログラムレンズ
の製造方法において、前記収束光を前記マスタに露光し
た時の前記マスタの焦点距離をL、前記ホログラム媒体
に形成された前記ホログラムレンズの焦点距離をh、前
記オイル層の厚みをα、前記オイル層の屈折率をnとす
るとき、前記ホログラムレンズの焦点距離hを得るため
の前記マスタの焦点距離Lが、L=h十α×nの関係を
有することを特徴とする。
【0010】他の発明は、凹レンズの電子ビーム格子が
形成されたマスタとホログラム媒体との間にオイル層を
形成し、前記マスタの上方から平行光による露光を行
い、前記マスタによって回折される発散光によって、前
記ホログラム媒体にホログラムレンズを形成するホログ
ラムレンズの製造方法において、前記発散光を前記マス
タに露光した時の前記マスタの焦点距離をL、前記ホロ
グラム媒体に形成された前記ホログラムレンズの焦点距
離をh、前記オイル層の厚みをα、前記オイル層の屈折
率をnとするとき、前記ホログラムレンズの焦点距離h
を得るための前記マスタの焦点距離Lが、L=h−α×
nの関係を有することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。図1(A)には、収束光を利用して
ホログラムレンズを作製する場合の様子が示されてい
る。同図において、EBマスタ10とホログラム媒体1
4の間には、上述したようにオイル層12が形成されて
いる。EBマスタ10としては、収束光の場合、凸レン
ズ構成のEB格子が使用される。このEB格子によって
決まるマスタ表面からの焦点距離をLとする。αはオイ
ル層12の厚みで、オイル層12の屈折率はnである。
この図1(A)の方法で形成されたホログラムレンズ3
0の仕上がりの焦点距離を、図1(B)に示すようにh
とする。
【0012】一方、EBマスタ10とホログラム媒体1
4を直結し、オイル層12の厚みαをゼロとした状態で
露光してホログラムレンズ30を形成したと仮定する
と、図2に示すように、ホログラムレンズ30の空気中
焦点距離hは、EBマスタ10からの空気中レンズ焦点
距離Lと一致する。すなわち、L=hとなる。しかしな
がら、実際上は、図1に示したように、EBマスタ10
とホログラム媒体14を良好に密着させるため、EBマ
スタ10とホログラム媒体14の間にオイル層12が必
要となる。従って、その厚みαが仕上がりのホログラム
レンズ30の焦点距離に影響を与える。図1の例では、
(A)及び(B)を比較すれば明らかなように、L>hで
あり、仕上がりの空気中レンズ焦点距離hが短くなって
しまう。
【0013】ここで、この短くなった分L−hは、オイ
ル層12の厚みαを空気中に換算することで求められ、
「オイル層の厚みα×オイル屈折率n」となる。従っ
て、EBマスタ10によって回折される収束光の空気中
レンズ焦点距離Lは、ホログラムレンズ30の仕上がり
空気中焦点距離hに対し、「L=h+α×n」で表され
ることになる。
【0014】次に、図3,図4を参照して、発散光を利
用してホログラムレンズ30を作製する場合を説明す
る。EBマスタ10とホログラム媒体14の間には、図
3(A)のようにオイル層12が形成されている。EB
マスタ10としては、発散光の場合、凹レンズ構成のE
B格子が使用される。このEB格子によって決まるマス
タ表面までの空気中レンズ焦点距離を同様にLとする。
オイル層12の厚みはα,屈折率はnである。この図3
(A)の方法で形成されたホログラムレンズ30の仕上
がりの空気中レンズ焦点距離を、図3(B)に示すよう
にhとする。
【0015】一方、EBマスタ10とホログラム媒体1
4を直結し、オイル層12の厚みαをゼロとした状態で
露光してホログラムレンズ30を形成したと仮定する
と、図4に示すように、ホログラムレンズ30の空気中
焦点距離hは、EBマスタ10からの空気中レンズ焦点
距離Lと一致する。すなわち、L=hとなる。しかしな
がら、前記の場合と同様にEBマスタ10とホログラム
媒体14の間にオイル層12が存在するため,その厚み
αが仕上がりのホログラムレンズ30の空気中焦点距離
hに影響を与える。この場合は、図3(A),(B)を比
較すれば明らかなように、L<hであり、仕上がりの空
気中レンズ焦点距離hが長くなってしまう。
【0016】ここで、この長くなった分h−Lは、オイ
ル層12の厚みαを空気中に換算することで求められ、
「オイル層の厚みα×オイル屈折率n」となる。従っ
て、EBマスタ10によって回折される収束光の空気中
レンズ焦点距離Lは、ホログラムレンズ30の仕上がり
焦点距離hに対し、「L=h−α×n」で表されること
になる。
【0017】このように、本形態によれば、EBマスタ
側から回折する光の空気中レンズ焦点距離が、オイル層
を考慮して設定される。このため、オイル層によるホロ
グラムレンズの仕上がり焦点距離の変動が回避され、良
好な仕上がり焦点となり、色再現などの画質が向上す
る。
【0018】なお、前記形態は、R,G,Bのホログラ
ムレンズをホログラム媒体に多重形成した場合である
が、ホログラム媒体を複数積層し、各層にR,G,Bの
ホログラムレンズをそれぞれ形成するような場合にも本
発明は適用可能である。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
電子ビーム格子が形成されたマスタ側から回折する光の
焦点距離が、オイル層の厚み及び屈折率を考慮して設定
される。このため、オイル層によるホログラムレンズの
焦点距離の変化が良好に回避され、色再現などの画質の
向上を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】収束光の場合の露光時と投影時の様子を示す図
である。
【図2】オイル層がない場合の露光時の様子を示す図で
ある。
【図3】発散光の場合の露光時と投影時の様子を示す図
である。
【図4】オイル層がない場合の露光時の様子を示す図で
ある。
【図5】ホログラム作製時の様子を示す図である。
【図6】ホログラムレンズアレイによるフィルタを使用
したカラー表示装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
10…EBマスタ 11…露光光 12…オイル層 14…ホログラム媒体 14R,14G,14B…ホログラムレンズ 16…ガラス基板 30…ホログラムレンズアレイ 32…スぺーサガラス 34…空間光変調素子 36…透明電極 38…画素電極 40…変調体 42…照明光 50…EBマスタ 50R,50G,50B…EB格子 52…マッチングオイル L0…0次光 L1R,L1G,L1B…1次回折光 L…EBマスタによって回折される収束光の空気中レン
ズ焦点距離 h…ホログラムレンズの焦点距離 α…オイル層の厚み n…オイル層の屈折率
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−230377(JP,A) 特開 昭64−68785(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 5/32

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】凸レンズの電子ビーム格子が形成されたマ
    スタとホログラム媒体との間にオイル層を形成し、前記
    マスタの上方から平行光による露光を行い、前記マスタ
    によって回折される収束光によって、前記ホログラム媒
    体にホログラムレンズを形成するホログラムレンズの製
    造方法において、 前記収束光を前記マスタに露光した時の前記マスタの焦
    点距離をL、前記ホログラム媒体に形成された前記ホロ
    グラムレンズの焦点距離をh、前記オイル層の厚み
    α、前記オイル層の屈折率をnとするとき、前記ホログ
    ラムレンズの焦点距離hを得るための前記マスタの焦点
    距離Lが、 L=h十α×n の関係を有することを特徴とするホログラムレンズの製
    造方法。
  2. 【請求項2】凹レンズの電子ビーム格子が形成されたマ
    スタとホログラム媒体との間にオイル層を形成し、前記
    マスタの上方から平行光による露光を行い、前記マスタ
    によって回折される発散光によって、前記ホログラム媒
    体にホログラムレンズを形成するホログラムレンズの製
    造方法において、 前記発散光を前記マスタに露光した時の前記マスタの焦
    点距離をL、前記ホログラム媒体に形成された前記ホロ
    グラムレンズの焦点距離をh、前記オイル層の厚み
    α、前記オイル層の屈折率をnとするとき、前記ホログ
    ラムレンズの焦点距離hを得るための前記マスタの焦点
    距離Lが、 L=h−α×n の関係を有することを特徴とするホログラムレンズの製
    造方法。
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