JPH1168144A - 受光素子およびその製造方法 - Google Patents

受光素子およびその製造方法

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JPH1168144A
JPH1168144A JP9229219A JP22921997A JPH1168144A JP H1168144 A JPH1168144 A JP H1168144A JP 9229219 A JP9229219 A JP 9229219A JP 22921997 A JP22921997 A JP 22921997A JP H1168144 A JPH1168144 A JP H1168144A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速の光応答をする受光素子において本来の
光電流よりも非常に遅い応答をする光電流成分(テール
カレント)を低減した受光素子を実現する。 【解決手段】 n型InP半導体基板101上に低濃度
n型InGaAs光吸収層102および低濃度n型In
P窓層103が順次積層されている。窓層103には島
状にZn等のp不純物が拡散された拡散領域104が形
成されており、拡散領域104上にはリング状の負電極
105が形成されている。一方、拡散領域104外の窓
層103上には絶縁膜106が堆積されており、絶縁膜
106上のパッド107と負電極105は配線108に
よって接続されている。さらに、拡散領域104を取り
囲んで、配線108とは重ならないように絶縁膜106
上に遮光膜109が形成されている。ここで、パッド1
07と配線108と遮光膜109は同時に蒸着された金
属薄膜をパターニングしたものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高速の光応答をす
る受光素子において本来の光電流よりも非常に遅い応答
をする光電流成分(テールカレント)を低減した受光素
子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在広く用いられている高速の受光素子
として、シリコンあるいは化合物半導体を材料とするp
inフォトダイオードがある。一般のpinフォトダイ
オードでは、高濃度のn型半導体基板上に低濃度のn型
半導体を結晶成長し、この低濃度のn型半導体の途中ま
でp型不純物を拡散して島状の拡散領域を形成してい
る。特にInGaAs/InP等の化合物半導体を用い
たpinフォトダイオードでは、低濃度のn型半導体を
2層に分け、半導体基板側に禁制帯幅の小さい光吸収
層、その上に禁制帯幅の大きい窓層を形成して、窓層に
p型不純物を拡散する。このp型拡散領域の下にある光
吸収層が、入射光に応じて光電流を発生する受光部とし
て機能する。より具体的には、p型拡散領域の下にある
低濃度n型半導体層で光励起された電子−正孔対が電界
によって分離され、電子が高濃度n型半導体基板に、正
孔がp型拡散領域に到達することで光電流となる。
【0003】一方、受光部以外に光が入射した場合にも
低濃度n型半導体層で電子−正孔対は発生するが、ここ
には電界が存在しないので正孔は拡散によって移動して
いく。低濃度n型半導体層中の正孔の寿命時間は長いの
で、長時間拡散した後p型拡散領域に到達する正孔も存
在する。このとき発生する光電流は、本来の受光部で発
生する光電流よりも非常に遅い応答をすることになる。
この非常に応答の遅い光電流成分はテールカレントと呼
ばれ、受光素子の用途によっては大きな問題となる。
【0004】以上述べたように、テールカレントの原因
は受光部以外の領域で電子−正孔対が発生することにあ
るので、その対策としては金属薄膜等の遮光膜で受光部
以外の領域を覆うということが考えられる。これはシリ
コンpinフォトダイオードでは一般に用いられている
技術であるが、化合物半導体のpinフォトダイオード
にも同様の遮光膜を導入することが考案されている。こ
の技術は、例えば特開平3−276769号公報に開示
されており、その構成を図4に示す。
【0005】n型InP基板401上にn型InPバッ
ファ層402、n型InGaAs光吸収層403、n型
InP窓層404がこの順序で積層して形成されてい
る。また、基板401裏面には正電極405が形成され
ている。窓層404の一部にはp型不純物を拡散した拡
散領域406が形成され、拡散領域406を形成後に半
絶縁性InPキャップ層407が結晶成長される。キャ
ップ層407には貫通孔が形成され、そこにp型InG
aAs導電性埋込み部408が結晶成長される。
【0006】導電性埋込み部408に引き続いて結晶成
長されたp型InGaAsによってキャップ層407上
に配線層409およびワイヤボンディング部410が形
成される。配線層409と露出したキャップ層407上
にはSiN等の絶縁膜411が形成される。最後にTi
/Au等の金属薄膜を蒸着・パターニングして、ワイヤ
ボンディング部410上にはパッド412を形成し、絶
縁膜411上には遮光膜413を形成する。本従来例で
は、受光領域414以外の領域は、基本的に金属薄膜で
覆われた構造となるので、テールカレントが低減され
る。また、半絶縁性InPキャップ層407は、配線層
409およびワイヤボンディング部410と、窓層40
4の間の層間容量を低減するためのものである。
【0007】テールカレントを低減する第2の方法とし
て、受光部以外の領域にもp型不純物を拡散するという
ものがある。この構成は、例えばY. Kuhara他 "Charact
erization and theoretical analysis of second-order
intermodulation distortion of InGaAs/InP p-i-n ph
otodiode modules for fiber-optic CATV"、ジャーナル
・オブ・ライトウェーヴ・テクノロジ(Journal of Lig
htwave Technology)誌、15巻(1997年)、63
6頁〜641頁に開示されている。これを図5に示す
が、n型InP基板501上にn型InPバッファ層5
02、n型InGaAs光吸収層503、n型InP窓
層504が結晶成長されている。窓層504のうち、島
状拡散領域505とこれを取り囲む外部拡散領域506
にはZnが拡散され、p型となっている。島状拡散領域
505の上には負電極507がリング状に形成され、基
板501の裏面には正電極508が形成されている。負
電極507の内側の窓層504上には反射防止膜509
が堆積されており、外側には保護膜510が堆積されて
いる。島状拡散領域505の下の光吸収層503が受光
部となるが、外部拡散領域506の下の光吸収層503
で発生した正孔は外部拡散領域に吸い込まれるので、テ
ールカレントの原因となることはない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】テールカレントを低減
するために金属遮光膜を使うという方法に関しては、図
4に示す構造ではワイヤボンディング部・配線層とパッ
ド・遮光膜に別々の薄膜を用いており、製造工程が複雑
になるという課題がある。これについては、パッド・配
線・遮光膜を同一の金属薄膜で形成することも可能であ
るが、より一般的な課題としてパッドと遮光膜がワイヤ
ボンディング時にショートするという点がある。一般
に、pinフォトダイオードを高速動作させるためには
素子容量の低減が必要であり、パッドの面積はできるだ
け小さくする方が望ましい。
【0009】また、遮光効果を高めるためには、遮光膜
とパッド・配線の間隙を小さくする必要がある。ところ
が、パッド面積が小さく、パッドと遮光膜の間隙が小さ
い場合には、パッドにワイヤをボンディングする際のワ
イヤ先端のつぶれが遮光膜に達し、パッドと遮光膜がシ
ョートしてしまう危険性が高くなる。ワイヤボンディン
グではなく、フリップチップボンディングでpinフォ
トダイオードを実装する場合にも、フォトダイオードチ
ップと配線基板の位置ずれで同様の問題が生じる。
【0010】また、パッド・配線と遮光膜に同一の金属
薄膜を用いた場合、製造上の課題もある。一般に、化合
物半導体プロセスで金属薄膜のパターン形成を行う場
合、フォトレジストでパターン形成した半導体基板全面
に金属薄膜を蒸着し、この後フォトレジストを溶媒中に
溶融させてその上の金属薄膜を除去する、いわゆるリフ
トオフ法が用いられることが多い。しかし、リフトオフ
で狭い間隙のあるパターンを形成するのは容易ではな
く、間隙に金属薄膜が残存する可能性が高い。すなわ
ち、遮光効果を高めるためにパッド・配線と遮光膜の間
隙を小さくすると、製造歩留りが低下するという課題が
ある。
【0011】一方、受光部以外の領域にもp型不純物を
拡散するという方法では、島状拡散領域と外部拡散領域
の間に一定の間隔を設ける必要があり、ここに入射した
光によってテールカレントを生じるという課題がある。
島状拡散領域と外部拡散領域は同じp型なので、両者か
ら低濃度n型の窓層に対して伸びる空乏層がつながると
電気的にショート状態となる。また、空乏層が完全につ
ながらなくても、半導体表面にチャンネルが形成されて
リーク電流が流れるという現象も発生するので、島状拡
散領域と外部拡散領域は20μm程度離す必要がある。
島状拡散領域と外部拡散領域の間の光吸収層で生成され
た正孔はテールカレントの原因となるので、この外部拡
散領域によってテールカレントの低減はできてもテール
カレントを完全に無くすことはできない。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明では上記課題を解
決するために以下のように受光素子を構成あるいは製造
する。
【0013】第1の構成は、半導体基板と、前記半導体
基板上に順次積層された光吸収層および窓層と、前記窓
層に島状に形成された拡散領域と、前記拡散領域上に形
成された負電極と、前記窓層上に形成された絶縁膜と、
前記拡散領域以外の前記絶縁膜上に形成されたパッド
と、前記負電極と前記パッドを接続する前記絶縁膜上に
形成された配線と、前記拡散領域を取り囲んで前記配線
とは重ならないように前記絶縁膜上に形成された遮光膜
とを有する。ここで、パッドと配線と遮光膜が同一の金
属薄膜によって形成されており、前記配線と前記遮光膜
の間隙は拡散領域の近傍では5μm以下であり、前記パ
ッドと前記遮光膜の間隔は20μm以上であってもよ
い。
【0014】本構成の要点は、拡散領域上の負電極とこ
れと離れた位置にあるパッドを配線によって接続し、拡
散領域を取り囲んで形成された遮光膜と配線の間隙は極
力小さくするのに対し、パッドと遮光膜の間隔は大きく
するという点にある。遮光膜と配線の間隙を5μm以下
と小さくすれば、十分な遮光効果が得られる。一方、パ
ッドは本来の受光部(拡散領域)から離れた位置にある
ので、遮光膜との間隔を小さくする必要はない。パッド
と遮光膜の間隔を20μm以上と大きくすれば、ワイヤ
ボンディング時あるいはフリップチップボンディング時
にパッドと遮光膜がショートすることはない。
【0015】第2の構成は、半導体基板と、前記半導体
基板上に順次積層された光吸収層および窓層と、前記窓
層に形成された概ね円形の受光拡散領域と、前記受光拡
散領域と接して形成された前記受光拡散領域よりも面積
の小さい付加拡散領域と、前記付加拡散領域上に形成さ
れた負電極と、前記窓層上に形成された絶縁膜と、前記
受光拡散領域および前記付加拡散領域以外の前記絶縁膜
上に形成されたパッドと、前記負電極と前記パッドを接
続する前記絶縁膜上に形成された配線と、前記受光拡散
領域および前記付加拡散領域を取り囲んで前記配線とは
重ならないように前記絶縁膜上に形成された遮光膜とを
有する。ここで、パッドと配線と遮光膜が同一の金属薄
膜によって形成されており、前記配線と前記遮光膜の間
隙は拡散領域の近傍では5μm以下であり、前記パッド
と前記遮光膜の間隔は20μm以上であってもよい。
【0016】本構成は、基本的には第1の構成と同じで
あるが、拡散領域を受光拡散領域と付加拡散領域に分け
た点に特徴がある。受光拡散領域は概ね円形であり、本
来の受光部として機能する。一方、付加拡散領域は絶縁
膜上の配線パターンと受光拡散領域の間に間隔を空ける
ために設けている。第1の構成では、拡散領域から窓層
および光吸収層に水平に広がる空乏層に重なるように遮
光膜を形成することで、この部分でのテールカレントの
発生を完全に抑圧できる。ただ、配線を絶縁膜上に引き
出す部分では、遮光膜と配線の間にわずかに隙間ができ
るので、この部分でテールカレントが発生する。このテ
ールカレントは遮光膜を用いない場合に比べるとはるか
に小さく、実用上問題とならない場合も多いが、第2の
構成ではさらにテールカレントを低減できる。第2の構
成は、受光拡散領域からパッド側に突き出す形で付加拡
散領域を形成し、この部分から配線を絶縁膜上に引き出
す。入射光は基本的に受光部に位置合せされるので、ビ
ーム広がり、位置ずれ、散乱等で入射光が受光部外に照
射される場合も、一般に受光部から離れるほどその光量
は小さくなると考えられる。従って、配線を絶縁膜上に
引き出す部分を受光部から離すことで、テールカレント
をさらに低減することができる。
【0017】上記第1および第2の構成の製造方法とし
て、半導体基板上に光吸収層および窓層を順次結晶成長
する工程と、前記窓層に島状に不純物を拡散して拡散領
域を形成する工程と、前記窓層上に第1の絶縁膜を堆積
する工程と、前記第1の絶縁膜をエッチングして前記拡
散領域上に開口部を形成する工程と、前記第1の絶縁膜
および前記開口部上に第2の絶縁膜を堆積する工程と、
前記第2の絶縁膜上にフォトレジストを塗布してパター
ニングする工程と、前記フォトレジストをマスクとして
前記第2の絶縁膜をエッチングする工程と、金属薄膜を
蒸着する工程と、前記フォトレジストによって前記金属
薄膜をリフトオフする工程とを用いる。ここで、拡散領
域上にある負電極と、前記拡散領域以外の第1の絶縁膜
上にあるパッドと、前記負電極と前記パッドを接続する
前記第1の絶縁膜上にある配線と、前記拡散領域を取り
囲む前記配線とは重ならない前記第1の絶縁膜上にある
遮光膜とを金属薄膜をリフトオフする工程によって一括
形成してもよい。
【0018】本製造方法の要点は、パッド・配線と窓層
の間を電気的に絶縁するとともに、その層間容量を低減
するための第1の絶縁膜の他に、リフトオフ時にスペー
サとして機能する第2の絶縁膜を用いるということにあ
る。フォトレジストのみで金属薄膜をリフトオフしよう
とすると、特に金属薄膜の主成分がAuである場合には
フォトレジストが完全に金属で覆われてしまい、狭い間
隙をリフトオフできない。これに対して、第2の絶縁膜
上にフォトレジストパターンを形成し、これをマスクに
して第2の絶縁膜をエッチングした後に金属薄膜を蒸着
すると、第2の絶縁膜とフォトレジストの界面で金属薄
膜の段切れが生じ、狭い間隙でも容易にリフトオフする
ことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態につい
て、図1から図3を用いて説明する。
【0020】(実施の形態1)図1(A)は受光素子の
断面図、(B)はその平面図である。n型InP半導体
基板101上に低濃度n型InGaAs光吸収層102
および低濃度n型InP窓層103が順次積層されてい
る。窓層103には島状にZn等のp不純物が拡散され
た拡散領域104が形成されており、拡散領域104上
には一部が欠けたリング状の負電極105が形成されて
いる。負電極105を完全なリングとせず、一部を欠け
させておくのは、実施の形態3で述べる製造方法におい
て、負電極105の内側の金属薄膜のリフトオフを容易
にするためである。
【0021】一方、拡散領域104外の窓層103上に
は例えば厚さ30nmのSiNと厚さ500nmのSi
O2を積層した絶縁膜106が堆積されている。ここ
で、SiNは受光素子の暗電流を低減するパッシベーシ
ョン効果があり、SiO2はSiNよりも誘電率が低い
ので層間容量を低減する効果がある。絶縁膜106上に
はパッド107が形成され、負電極105とパッド10
7は絶縁膜106上に形成された配線108によって接
続されている。さらに、拡散領域104を取り囲んで、
配線108とは重ならないように絶縁膜106上に遮光
膜109が形成されている。ここで、パッド107と配
線108と遮光膜109は同時に蒸着されたTi/Pt
/Au等の金属薄膜をパターニングしたものである。
【0022】さらに、負電極105も同じ金属薄膜で形
成してもよい。ここで、配線108と遮光膜109の間
隙は拡散領域104の近傍では5μm以下とし、パッド
107と遮光膜109の間隔は20μm以上とすること
が望ましい。また、半導体基板101の裏面には正電極
110が蒸着されている。
【0023】本受光素子では、拡散領域104上の負電
極105と、これと離れた位置にあるパッド107を配
線108によって接続し、拡散領域104を取り囲んで
形成された遮光膜109と配線108の間隙は極力小さ
くするのに対し、パッド107と遮光膜109の間隔は
大きくしている。遮光膜109と配線108の間隙を5
μm以下と小さくすれば、十分な遮光効果が得られる。
一方、パッド107は本来の受光部(拡散領域104)
から離れた位置にあるので、遮光膜109との間隔を小
さくする必要はない。パッド107と遮光膜109の間
隔を20μm以上と大きくすれば、ワイヤボンディング
時あるいはフリップチップボンディング時にパッド10
7と遮光膜109がショートすることはない。
【0024】(実施の形態2)図2(A)は受光素子の
断面図、(B)はその平面図である。n型InP半導体
基板201上に低濃度n型InGaAs光吸収層202
および低濃度n型InP窓層203が順次積層されてい
る。窓層203には島状にZn等のp不純物が拡散さ
れ、概ね円形の受光拡散領域204と、これと接する受
光拡散領域204よりも面積の小さい付加拡散領域20
5が形成されている。付加拡散領域205上には円形の
負電極206が形成されている。
【0025】一方、受光拡散領域204および付加拡散
領域205外の窓層203上には例えば厚さ30nmの
SiNと厚さ500nmのSiO2を積層した絶縁膜2
07が堆積されている。絶縁膜207上にはパッド20
8が形成され、負電極206とパッド208は絶縁膜2
07上に形成された配線209によって接続されてい
る。さらに、受光拡散領域204および付加拡散領域2
05を取り囲んで、配線209とは重ならないように絶
縁膜207上に遮光膜210が形成されている。ここ
で、パッド208と配線209と遮光膜210は同時に
蒸着されたTi/Pt/Au等の金属薄膜をパターニン
グしたものである。
【0026】さらに、負電極206も同じ金属薄膜で形
成してもよい。ここで、配線209と遮光膜210の間
隙は付加拡散領域205の近傍では5μm以下とし、パ
ッド208と遮光膜210の間隔は20μm以上とする
ことが望ましい。また、半導体基板201の裏面には正
電極211が蒸着されている。
【0027】本受光素子は、基本構成は実施の形態1の
受光素子と同じであるが、拡散領域を受光拡散領域20
4と付加拡散領域205に分けた点に特徴がある。受光
拡散領域204は概ね円形であり、本来の受光部として
機能する。一方、付加拡散領域205は絶縁膜207上
の配線209と受光拡散領域204の間に間隔を空ける
ために設けている。実施の形態1の受光素子では、拡散
領域104から窓層103および光吸収層102に水平
に広がる空乏層に重なるように遮光膜109を形成する
ことで、この部分でのテールカレントの発生を完全に抑
圧できる。ただ、配線108を絶縁膜106上に引き出
す部分では、遮光膜109と配線108の間にわずかに
隙間ができるので、この部分でテールカレントが発生す
る。このテールカレントは遮光膜109を用いない場合
に比べるとはるかに小さく、実用上問題とならない場合
も多いが、実施の形態2の受光素子ではさらにテールカ
レントを低減できる。
【0028】この受光素子では、受光拡散領域204か
らパッド208側に突き出す形で付加拡散領域205を
形成し、この部分から配線209を絶縁膜207上に引
き出す。入射光は基本的に受光部に位置合せされるの
で、ビーム広がり、位置ずれ、散乱等で入射光が受光部
外に照射される場合も、一般に受光部から離れるほどそ
の光量は小さくなると考えられる。従って、配線208
を絶縁膜207上に引き出す部分を受光部から離すこと
で、テールカレントをさらに低減することができる。
【0029】(実施の形態3)図3(A)〜(D)は、
実施の形態1に示した受光素子の製造方法を示す断面図
である。まず、図3(A)に示すように半導体基板30
1上に光吸収層302および窓層を順次結晶成長し、窓
層303に島状に不純物を拡散して拡散領域304を形
成する。次に、図3(B)のように窓層303上に第1
の絶縁膜305を堆積後、これをエッチングして拡散領
域304上に開口部を形成するする。さらに、第1の絶
縁膜305およびその開口部上に第2の絶縁膜306を
堆積する。第1の絶縁膜305としては、例えば厚さ3
0nmのSiNと厚さ500nmのSiO2の積層膜を
用い、第2の絶縁膜306としては厚さ200nm前後
のSiNを用いる。この後、図3(C)のように第2の
絶縁膜306上にフォトレジスト307を塗布してパタ
ーニングし、このフォトレジスト307をマスクとして
第2の絶縁膜306をエッチングする。最後に、図3
(D)のように金属薄膜308を蒸着し、フォトレジス
ト307によって金属薄膜308をリフトオフする。
【0030】この金属薄膜308によって、拡散領域3
04上の負電極309、拡散領域304以外の第1の絶
縁膜305上にあるパッド310、負電極309とパッ
ド310を接続する第1の絶縁膜305上にある配線3
11、および拡散領域304を取り囲む配線311とは
重ならない遮光膜312とが一括形成される。図1に示
した受光素子と同じ構造にするためには第2の絶縁膜3
06を除去する必要があるが、第2の絶縁膜306をそ
のまま残して反射防止膜として用いることもできる。こ
の場合は、第2の絶縁膜の厚さを光学長が受光波長の4
分の1となるようにしておく。
【0031】本製造方法では、パッド310・配線31
1と窓層303の間を電気的に絶縁するとともに、その
層間容量を低減するための第1の絶縁膜305の他に、
リフトオフ時にスペーサとして機能する第2の絶縁膜3
06を用いるということにある。フォトレジスト307
のみで金属薄膜308をリフトオフしようとすると、特
に金属薄膜の主成分がAuである場合にはフォトレジス
ト307が完全に金属で覆われてしまい、狭い間隙をリ
フトオフできない。これに対して、第2の絶縁膜306
上にフォトレジスト307でパターンを形成し、これを
マスクにして第2の絶縁膜306をエッチングした後に
金属薄膜308を蒸着すると、第2の絶縁膜306とフ
ォトレジスト307の界面で金属薄膜308の段切れが
生じ、狭い間隙でも容易にリフトオフすることができ
る。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、遮光膜によってテール
カレントを低減するpinフォトダイオードに対して、
ワイヤボンディングあるいはフリップチップボンディン
グの際にパッドと遮光膜がショートすることのない受光
素子を実現できる。
【0033】また、パッド・配線と遮光膜を同一の金属
薄膜で形成する構造で、テールカレントを大幅に低減す
ることができる。
【0034】さらに、本発明の受光素子の製造方法によ
れば、パッド・配線と遮光膜を同一の金属薄膜のリフト
オフで形成する際に、狭い間隙のあるパターンの形成が
容易になり、製造歩留りが高くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の受光素子の断面図およ
び平面図
【図2】本発明の実施の形態2の受光素子の断面図およ
び平面図
【図3】本発明の実施の形態3の受光素子の製造方法を
示す断面図
【図4】従来の受光素子の断面図および平面図
【図5】従来の受光素子の断面図
【符号の説明】
101 半導体基板 102 光吸収層 103 窓層 104 拡散領域 105 負電極 106 絶縁膜 107 パッド 108 配線 109 遮光膜 201 半導体基板 202 光吸収層 203 窓層 204 受光拡散領域 205 付加拡散領域 206 負電極 207 絶縁膜 208 パッド 209 配線 210 遮光膜 301 半導体基板 302 光吸収層 303 窓層 304 拡散領域 305 第1の絶縁膜 306 第2の絶縁膜 307 フォトレジスト 308 金属薄膜

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体基板と、前記半導体基板上に順次
    積層された光吸収層および窓層と、前記窓層に島状に形
    成された拡散領域と、前記拡散領域上に形成された負電
    極と、前記窓層上に形成された絶縁膜と、前記拡散領域
    以外の前記絶縁膜上に形成されたパッドと、前記負電極
    と前記パッドを接続する前記絶縁膜上に形成された配線
    と、前記拡散領域を取り囲んで前記配線とは重ならない
    ように前記絶縁膜上に形成された遮光膜とを有すること
    を特徴とする受光素子。
  2. 【請求項2】 パッドと配線と遮光膜が同一の金属薄膜
    によって形成されており、前記配線と前記遮光膜の間隙
    は拡散領域の近傍では5μm以下であり、前記パッドと
    前記遮光膜の間隔は20μm以上であることを特徴とす
    る請求項1記載の受光素子。
  3. 【請求項3】 半導体基板と、前記半導体基板上に順次
    積層された光吸収層および窓層と、前記窓層に形成され
    た概ね円形の受光拡散領域と、前記受光拡散領域と接し
    て形成された前記受光拡散領域よりも面積の小さい付加
    拡散領域と、前記付加拡散領域上に形成された負電極
    と、前記窓層上に形成された絶縁膜と、前記受光拡散領
    域および前記付加拡散領域以外の前記絶縁膜上に形成さ
    れたパッドと、前記負電極と前記パッドを接続する前記
    絶縁膜上に形成された配線と、前記受光拡散領域および
    前記付加拡散領域を取り囲んで前記配線とは重ならない
    ように前記絶縁膜上に形成された遮光膜とを有すること
    を特徴とする受光素子。
  4. 【請求項4】 パッドと配線と遮光膜が同一の金属薄膜
    によって形成されており、前記配線と前記遮光膜の間隙
    は付加拡散領域の近傍では5μm以下であり、前記パッ
    ドと前記遮光膜の間隔は20μm以上であることを特徴
    とする請求項3記載の受光素子。
  5. 【請求項5】 半導体基板上に光吸収層および窓層を順
    次結晶成長する工程と、前記窓層に島状に不純物を拡散
    して拡散領域を形成する工程と、前記窓層上に第1の絶
    縁膜を堆積する工程と、前記第1の絶縁膜をエッチング
    して前記拡散領域上に開口部を形成する工程と、前記第
    1の絶縁膜および前記開口部上に第2の絶縁膜を堆積す
    る工程と、前記第2の絶縁膜上にフォトレジストを塗布
    してパターニングする工程と、前記フォトレジストをマ
    スクとして前記第2の絶縁膜をエッチングする工程と、
    金属薄膜を蒸着する工程と、前記フォトレジストによっ
    て前記金属薄膜をリフトオフする工程とを有することを
    特徴とする受光素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 拡散領域上にある負電極と、前記拡散領
    域以外の第1の絶縁膜上にあるパッドと、前記負電極と
    前記パッドを接続する前記第1の絶縁膜上にある配線
    と、前記拡散領域を取り囲む前記配線とは重ならない前
    記第1の絶縁膜上にある遮光膜とを金属薄膜をリフトオ
    フする工程によって一括形成することを特徴とする請求
    項5記載の受光素子の製造方法。
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