JPH116476A - 粘性流体の圧送システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 固化可能な粘性流体の圧送に適した従来より
効率的なシステムを得ることを主目的とする。 【解決手段】 円筒形容器内に収容されている固化可能
な粘性流体を容器に直結されたポンプ装置によって吸い
上げて送り出す圧送システムにおいて、容器の内壁面に
粘性流体付着防止手段を設けることによって、粘性流体
の液面上に載置され、ポンプチューブ吸引口に連通して
粘性流体が導入される穴を備えたポンププレートの容器
からの引き抜きを容易にした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えば内装施工な
どに用いられる各種接着剤や、パテ、シーリング材等の
固化可能な粘性流体をポンプで圧送するシステムに関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】内装施工の分野では、壁紙貼り用の糊な
どの各種接着剤、パテやシーリング材など、乾燥状態で
固化可能な部材は、保存や搬送および使用時にはほとん
ど粘性流体である。通常、このような粘性流体は、大容
量単位でドラム缶やペール缶等に保管されている在庫か
ら、容器に小分けされて搬送されたり、ライン設備の装
置へ供給されて使用に供される。

【０００３】このような粘性流体を供給するシステムと
しては、従来から、ドラム缶等の円筒形容器に直結して
中身を吸い出すポンプ装置を利用した圧送システムが用
いられている。これは、例えばプランジャーポンプ装置
をドラム缶上に設置し、プランジャーのシリンダ先端の
吸引口から缶内に収容されている粘性流体を吸い上げて
送り出すものであるが、空気を混入することなく効率良
く粘性流体を吸い上げるために、シリンダ先端の吸引口
に粘性流体の露出表面を常に覆うためのポンププレート
が取り付けられている。

【０００４】このポンププレートは、ドラム缶の内径と
ほぼ一致する外径を有し、中央にシリンダ先端の吸引口
と連通する穴が形成されている。このポンププレートを
粘性流体の露出表面上に載置することによって粘性流体
を容器内に密閉でき、ポンプ駆動による吸い上げに伴う
表粘性流体の面低下に従ってプレートも容器にあの陰圧
作用とポンプ装置の自重とで下降しつつ流体表面に対し
て加圧作用する。

【０００５】従って、プレート下面と流体表面とは常に
密着し、プレートによって押圧される粘性流体はプレー
ト中央に集められ易くなり、空気の混入が生じることな
く効率的な粘性流体の吸引が促進される。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記のようなポンププ
レートを備えた従来の圧送システムでは、ドラム缶内の
粘性流体を全て吸い上げて圧送が終了した後に、ドラム
缶の底に達しているポンププレートを引き上げて取り出
さなければならない。

【０００７】しかしながら、通常はドラム缶の内壁面に
は、粘性流体が付着し残り、しかも乾燥して固化してし
まい、ドラム缶内径を狭めてしまう。これによってドラ
ム缶内でのポンププレートの上昇が妨げられ、取り出し
が困難である。場合によってはドラム缶内壁の付着固化
物を削り取らなければならないこともあり、作業性の効
率に悪影響を及ぼす。

【０００８】また、使用後のドラム缶を再利用するに
は、内壁面に付着している固化物を除去しなければなら
ず、そのための時間や手間等が必要とされるが、作業性
の効率化やコスト低減が望まれる中で、この固化物除去
の問題は大きい。また、ドラム缶を使い捨てとする場合
には、数量の増加に伴って保管や廃棄物処理等の問題は
コスト的にも環境的にも無視できないものとなる。

【０００９】本発明は、上記問題点に鑑み、固化可能な
粘性流体の圧送に適した従来より効率的なシステムを得
ることを主目的とする。また、本発明は、粘性流体の圧
送後のポンププレートの引き上げが容易となる圧送シス
テムを得ることを目的とする。また、本発明は、粘性流
体が収容されるの容器の再利用を容易とする粘性流体の
圧送システムを得ることを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項１に記載の発明に係る粘性流体の圧送システ
ムでは、内部に固化可能な粘性流体を収容した円筒形容
器と、該容器に直結して前記粘性流体を吸い上げて送り
出すポンプ装置と、前記容器の上部開口から内部へ挿入
されるポンプチューブの先端に設けられ、中央にポンプ
チューブ吸引口に連通する穴が形成されると共に前記容
器の内径より小さい外径を持ち、前記粘性流体の液面上
に載置されるポンププレートと、を備えた粘性流体の圧
送システムであって、前記容器の内壁面に、粘性流体付
着防止手段を設けたものである。

【００１１】また、請求項２に記載の発明に係る粘性流
体の圧送システムでは、請求項１に記載の圧送システム
において、記粘性流体付着防止手段は、前記容器内壁面
に着脱可能に設置される高分子フィルムを備えたもので
ある。

【００１２】また、請求項３に記載の発明に係る粘性流
体の圧送システムでは、請求項２に記載の圧送システム
において、前記高分子フィルムは、前記容易内から一体
に取り出し可能な袋状であるものである。

【００１３】本発明においては、容器の内壁面に粘性流
体付着防止手段を設けることによって、容器内に収容さ
れていた粘性流体が全て吸い上げられて空になった後
に、容器内壁面に付着固化物が生じないため、ポンププ
レートの引き上げがスムーズに行え、付着固化物を削り
取るような面倒な作業も必要なくなる。

【００１４】粘性流体付着物としては、例えば、請求項
２に記載したように、容器内壁面を高分子フィルムで覆
う構成が簡便である。即ち、粘性流体は高分子フィルム
を介して容器内に収容されるので、粘性流体はドラム缶
内壁面に接することはない。

【００１５】従って、粘性流体が全て吸い上げられて空
になった後に、高分子フィルム表面に付着固化物が生じ
ていても、着脱可能である高分子フィルムを取り外すだ
けでフィルムごと付着固化物を除去することができる。
高分子フィルム取り外し後の容器内壁面は未使用時とほ
ぼ同様に清浄な状態であるので、ポンププレートの引き
抜きが容易であるだけでなく、容器の再利用が容易であ
る。

【００１６】さらに、この高分子フィルムを、請求項３
に記載した如く、一体に取り出し可能な袋状のものとす
れば、粘性流体の吸い上げ終了後にこの袋を引き抜くだ
けで、袋ごとポンププレートも表面付着固化物も一度で
容器内から取り除くことができる。この場合、粘性流体
が内部に残っていても、またプレートの穴内に吸い上げ
きれないで残っている粘性流体も、袋ごと取り出せるの
で、別途に利用できる。

【００１７】なお、本発明の圧送システムに用いられる
ポンプ装置としては、粘性流体を吸い上げ送り出せるも
のであれば良く、既存の装置、例えばプランジャーポン
プやモーノポンプも利用可能である。

【００１８】プランジャーポンプは、空圧シリンダ装置
で駆動される往復動プランジャにより粘性流体を吸引吐
出できる。また、回転容積型の一軸偏心ネジポンプであ
るモーノポンプは、雌ねじに当たるステーター内部に雄
ねじに当たるローターを装着して形成される連続した螺
旋状の密閉空間に粘性流体を満たし、ローターを回転さ
せてステーター内でこれを往復運動させることによっ
て、空間容積内の流体を無限ピストン運動により吸引側
から吐出側へ無脈動で移送させることができる。

【００１９】

【発明の実施の形態】本発明の実施の形態の一例とし
て、以下に、粘性流体付着防止手段として袋状のポリエ
チレン製フィルム（以下、ポリ袋と記す）を利用し、ド
ラム缶内の接着剤を圧送する場合のシステムを図１をも
って説明する。

【００２０】即ち、円筒状のドラム缶１内に、ポリ袋２
を設置し、このポリ袋２内に接着剤３を収容する。この
とき、ポリ袋２のずり落ちの可能性がある場合には、こ
れを防止するために縁止めを行ってもよい。

【００２１】本実施形態のドラム缶１内の接着剤３の圧
送においては、図１に示すように、ポンプ装置としてシ
リンダ式プランジャーポンプを用いるものであり、プラ
ンジャーポンプ本体Ｐに直結するシリンダ４（ポンプチ
ューブ）先端の吸引口５から接着剤３を吸い上げる。

【００２２】シリンダ４の先端には、ドラム缶１の内径
より若干小さい外径を持つポンププレート６が取り付け
られており、このポンププレート６の中央に形成されて
いる穴７がシリンダ４先端の吸引口５に連通している。
従って、このポンププレート６をドラム缶１の上端部開
口に蓋するように嵌挿することによって同時にポンプ本
体Ｐのドラム缶１上への設置が行われる。

【００２３】ポンププレート６の嵌挿によってドラム缶
１内は密閉状態となるが、通常、接着剤３の上面はドラ
ム缶１の上端より低くなっているため、当初はプレート
６下面と接着剤３上面との間に空気層が生じる。そこ
で、ポンププレート６に備えられたエアー抜き部Ａで前
記空気を抜きながらプレート６を下降させ、接着剤３上
面に到達させる。

【００２４】このように、プレート６下面が接着剤３上
面とが密着された状態でポンプ本体９の駆動を開始すれ
ば、接着剤３はポンププレートの穴７および吸引口５か
らシリンダ４を介して外部へ移送される。接着剤３の吸
い上げ移送が進むに従って、ドラム缶１内の陰圧とポン
プ装置全体の自重によってポンププレート６も接着剤３
の上面と共に下降していく。

【００２５】吸引作業中は常に、接着剤３は密閉状態の
ままポンププレート６によって押圧され続けるため、接
着剤３はプレート中央部、即ち穴７内に向かって集めら
れ、ポンプによる吸い上げは容易となり、効率の良い吸
い上げ作業が行われる。

【００２６】ドラム缶１内の接着剤３の移送が終了した
ら、ポリ袋２ごとポンププレート６、シリンダ４及びポ
ンプ本体Ｐをドラム缶１内から引き抜く。このとき、ポ
リ袋１内に接着材３が残っていても、そのまま同時に取
り出されるので、その接着剤は別途に使用できる。

【００２７】このように、本実施形態においては、ドラ
ム缶１内のものをポリ袋２ごと取り出せるので、ポリ袋
表面に接着剤の固化物が付着していても、またポンププ
レートの穴７やシリンダ４内に吸い上げきれなかった接
着剤が残っていても、ドラム缶１内に何も残すことなく
全て取り除くことができる。従って、ポリ袋２が取り出
された後のドラム缶１は、ほとんど未使用状態と変わら
ず、再び利用することができる。

【００２８】なお、本発明の粘性流体付着防止手段とし
ては、上記実施形態におけるポリ袋に限るものではな
く、容器壁面への粘性流体の付着を防ぐものであれば広
く利用可能である。例えば、内壁面にコーティングを施
して固化物が容易に滑り落ちるような容器とすれば、ポ
ンププレートの取り出しも容易であると共に、簡単な水
洗浄程度で容器を再利用可能とすることができる。

【００２９】あるいは、容器内壁面に樹脂を塗布してフ
ィルム層を形成しておき、このフィルム層を剥がすこと
によってその表面に付着した固化物が除去できる構成で
もよい。ただし、粘性流体付着防止手段は、その取り外
しの際にポンププレートも同時に取り出せるものが作業
が簡便でより望ましい。

【００３０】なお、いずれの形態においても、高分子フ
ィルムは、吸い上げ作業中のポンププレートの下降に伴
うプレート側壁との摺接に対して剥がれや破損の生じな
い十分な強度をもつように材質や厚み等の設計は適宜設
定する。

【００３１】また、上記実施の形態においては、ドラム
缶に収容された接着剤の圧送の場合について説明した
が、本発明の圧送システムは、これに限定されるもので
なく、ドラム缶以外でも例えばペール缶などの様々な筒
形容器に関して有効である。従って、ポンププレートの
サイズ等の設計は、目的の粘性流体が収容される容器の
サイズに応じて適宜選択すればよい。

【００３２】さらに、粘性流体も、接着剤に限らず、パ
テやシーリング材など、固化可能な粘性を持つ流体に関
して本発明の圧送システムは有効であることは言うまで
もない。

【００３３】

【発明の効果】以上説明したとおり、本発明の粘性流体
の圧送システムによれば、容器の内壁面に粘性流体付着
防止手段を設けることによって、従来のように粘性流体
の圧送後に壁面の付着固化物がポンププレートの引き上
げを妨げることがなく、且つ容器の再利用が容易とな
り、作業工程全体の効率化が図れるという効果がある。

【００３４】特に、粘性流体付着防止手段としてポリ袋
を用いた場合は、ポリ袋の取り外し、即ち付着固化物だ
けでなく残った粘性流体および吸い上げきれなかった粘
性流体の除去と同時にポンププレートも取り外せるた
め、より作業が簡便となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施の形態による粘性流体圧送シス
テムの概略構成図である。

【符号の説明】

１：ドラム缶 ２：ポリ袋 ３：接着剤 ４：シリンダ ５：吸引口 ６：ポンププレート ７：穴 Ａ：エアー抜き部 Ｐ：ポンプ本体

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内部に固化可能な粘性流体を収容した円
   筒形容器と、 該容器に直結して前記粘性流体を吸い上げて送り出すポ
   ンプ装置と、 前記容器の上部開口から内部へ挿入されるポンプチュー
   ブの先端に設けられ、中央にポンプチューブ吸引口に連
   通する穴が形成されると共に前記容器の内径より小さい
   外径を持ち、前記粘性流体の液面上に載置されるポンプ
   プレートと、を備えた粘性流体の圧送システムであっ
   て、 前記容器の内壁面に、粘性流体付着防止手段を設けたこ
   とを特徴とする粘性流体の圧送システム。
2. 【請求項２】 前記粘性流体付着防止手段は、前記容器
   内壁面に着脱可能に設置される高分子フィルムを備えた
   ものであることを特徴とする請求項１に記載の粘性流体
   の圧送システム。
3. 【請求項３】 前記高分子フィルムは、前記容器内から
   一体に取り出し可能な袋状であることを特徴とする請求
   項２に記載の粘性流体の圧送システム。