JPH1164296A - 光吸収測定方法及び光吸収測定装置 - Google Patents

光吸収測定方法及び光吸収測定装置

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JPH1164296A
JPH1164296A JP9216073A JP21607397A JPH1164296A JP H1164296 A JPH1164296 A JP H1164296A JP 9216073 A JP9216073 A JP 9216073A JP 21607397 A JP21607397 A JP 21607397A JP H1164296 A JPH1164296 A JP H1164296A
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light absorption
gas
acoustic signal
flow rate
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JP9216073A
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Kajiro Ushio
嘉次郎 潮
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 精度の良い音響測定を行うことができる光吸
収測定方法及び装置を提供する。 【解決手段】特定ガスの雰囲気中でサンプルに光を照射
したときの光吸収に起因するサンプルの体積変化により
発生する音響信号を測定することで、サンプルの光吸収
を測定する光吸収測定装置において、前記雰囲気中にあ
るガスの少なくとも一成分の濃度をモニタする雰囲気モ
ニタ機構と、前記音響信号を測定する音響検知素子と、
前記特定ガスの導入流量を制御する流量可変機構を有す
るガス導入系と、前記雰囲気モニタ機構、前記音響検知
素子及び前記流量可変機構に接続され、前記雰囲気モニ
タ機構で検知した結果及び前記音響検知素子で検知した
ガス導入時の雑音音響信号に基づいて、特定ガスの流量
を決定し、前記流量可変機構を調整する判定部と、を備
えた光吸収測定装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光吸収測定にかか
る方法と装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】様々な光応用技術の進展に伴い、光学計
測の要求は益々高度化している。特に近年の傾向として
は、可視光に比べ非常に長い、あるいは短い波長の光で
の物性評価に関心が集まっていることが挙げられる。特
に超短波長の光では、各種エキシマレーザなどが微細加
工やリソグラフィに用いられ、そのための光学素子の計
測評価が不可欠になりつつある。
【0003】光学素子などで要求される重要な評価項目
の重要なもののひとつに、光の吸収測定がある。光の吸
収測定は一般に、光学的に直接測定する方法(光強度を
光センサで検出する方式)がとられているが、現在のと
ころこの方法には限界がある。殊に、光源光が短波長
(200nm以下)の場合に、安定した光源や光量測定
法が確立されておらず、特に微小な吸収量(微小な光量
差)をみる場合に大きく安定性が低下する。
【0004】また、エキシマレーザなどのパルスレーザ
を用いると、その検出にあたって、光センサの応答速度
が遅いことに起因する問題点が生じることもある。さら
に、光吸収量のみを光学的方法で分離測定することは困
難であり、必ず表面等での散乱量を含んだ値として検出
される。このような観点から、従来の光学的方法によら
ない、微小な光吸収量を測定する方法がいくつか提案、
実行されている。その多くは、光の吸収を無輻射遷移で
ある熱として計測する方式である。
【0005】代表的な方法は、カロリメトリとして知ら
れている、サンプルの光吸収による温度上昇を熱電対な
どの温度計測手段で直接測定する方法である。また、温
度上昇によりサンプルあるいはその近傍雰囲気に生じた
変形とその緩和によって生ずる音響信号を検出し、そこ
から光吸収量を逆算する光音響測定法と呼ばれる方法も
ある。更に最近では、吸収加熱により生ずるサンプルあ
るいはその近傍の屈折率分布や、変位を光によって検出
(光ビームの偏向や、光路差検出など)する方式も盛ん
に行われている。
【0006】この中で、音響測定を行う光音響測定法
(以下、光音響法と略称する場合がある)は比較的簡便
に行なえ、測定感度も高いことから、液体、粉体、薄膜
材料などに広く試みられている。この方法では、サンプ
ル又はその近傍雰囲気における断続光の照射による加熱
冷却で生じた体積変化である音響を、マイクロフォン
や、サンプル又はそのホルダーにとりつけた圧電素子ト
ランスデューサなどにより、電気信号に変換して検出す
る。信号の強度又は位相などの解析により物質の無輻射
遷移に関するさまざまな情報を得ることができるが、音
響波の大きさは通常、熱エネルギー、すなわち光吸収量
に比例しているため、(詳しい理論は例えば論文J.App
l.Phys, vol.47,No1, pp64. J.Appl.Phys, vol.51,No6,
pp3343. Can.J.Phys,vol.64,pp147 など)一般的には
ここから光の吸収量を算出できる。この方法によれば、
微小な吸収であっても、光強度の大きなものを用いるこ
とによって検出信号量を大きくでき、感度のよい測定が
可能になる。
【0007】上記したように、光音響法は、物質の無輻
射遷移過程の解析などの分析方法として用いられるとと
もに、光吸収量の測定法として、その感度の良さや測定
の簡便性の点から注目されている。光学計測(測定)を
行うにあたっては、その測定雰囲気を制御する必要があ
る場合がある。測定雰囲気の制御は一般に、物質との相
互作用の大きい短波長の光に対してより必要とされる度
合いが大きい。即ち、例えば、200nm以下のよう
な、短波長の光を用いた測定においては、空気中の酸素
が吸収をおこす(ラディカルの生成や、オゾン生成など
による)ため、一般的には、計測(測定)装置の少なく
とも光路部分を不活性ガス(通常は窒素)でパージする
必要がある。
【0008】また、光学特性に影響を及ぼすようなガス
発生源が近傍に存在する測定系や、湿度の影響が無視で
きない精密測定のような場合も、その測定雰囲気を制御
する必要がある。測定雰囲気の制御を必要とする光学系
において、その雰囲気を制御する方法として、通常、測
定装置にガス導入機構(ガス導入系)を設け、光学系内
に不活性な圧力ガスを導入して、その雰囲気を不活性な
雰囲気に置換することが一般的である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】一方、光吸収量を光音
響法で測定する場合、留意しなければならないこととし
て、雑音の問題がある。雑音の原因はいくつかあり、電
磁雑音や、機械的雑音のほか、散乱光、迷光による雑音
もある。前述したようなガス導入機構を設けた測定系に
おいては、ガス導入時に生ずる音響が測定値に及ぼす影
響は少なくない。即ち、不活性な圧力ガスがガス導入口
(ガスの吹き出し口)から導入されるときに、笛のなる
原理で、音響が発生し、ガス導入口が音響検知素子から
離れた位置に設けられている場合であっても、音響検知
素子(マイクロフォンや圧電素子)により検知されてし
まうという問題点がある。
【0010】本発明者は、測定光がArFエキシマレー
ザで、圧電素子により音響信号を検出する接触式の音響
測定において、測定雰囲気を窒素パージする(ArFエ
キシマレーザ波長193nmは、空気中で吸収される)
ために、ガス導入口から窒素を導入した場合に、その導
入時の発生音響が、大きく測定に影響する(吸収量換算
で1%以上)ことを実際に確認している。また、マイク
ロフォンにより光音響を検出する音響測定においては、
接触式のそれに比べて、さらにガス導入時に発生する音
響雑音の影響を大きく受ける。
【0011】また、測定光が、長パルス光、連続光の場
合は、短パルス光に比べて雑音の影響を受けやすい。そ
こで、本発明は、このような問題点に鑑みてなされたも
のであり、精度の良い音響測定を行うことができる光吸
収測定方法及び装置を提供することを目的する。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、第一に、「特
定ガスの雰囲気中でサンプルに光を照射したときの光吸
収に起因するサンプルの体積変化により発生する音響信
号を測定することで、サンプルの光吸収を測定する光吸
収測定方法において、前記音響信号の測定中は、特定ガ
スの導入流量を、前記音響信号測定の雑音音響信号が許
容上限値以下となるように調整することを特徴とする光
吸収測定方法(請求項1)」を提供する。
【0013】また、本発明は、第二に、「特定ガスの雰
囲気中でサンプルに光を照射したときの光吸収に起因す
るサンプルの体積変化により発生する音響信号を測定す
ることで、サンプルの光吸収を測定する光吸収測定装置
において、前記雰囲気にあるガスの少なくとも一成分の
濃度をモニタする雰囲気モニタ機構と、前記音響信号を
測定する音響検知素子と、前記特定ガスの導入流量を制
御する流量可変機構を有するガス導入系と、前記雰囲気
モニタ機構、前記音響検知素子及び前記流量可変機構に
接続され、前記雰囲気モニタ機構で検知した結果及び前
記音響検知素子で検知したガス導入時の雑音音響信号に
基づいて、特定ガスの流量を決定し、前記流量可変機構
を調整する判定部と、を備えた光吸収測定装置(請求項
2)」を提供する。
【0014】また、本発明は、第三に、「前記判定部
は、前記雰囲気モニタ機構により雰囲気ガス中の少なと
も一成分濃度を検知し、測定雰囲気が、音響測定不可の
領域に入った場合に、「測定中止」の指示を出す機能、
或いは自動的に測定を中止する機能、又はガス導入時に
発生する音響を検知して、要求測定感度に応じて設定さ
れた雑音音響信号値以上になった場合に、「測定中止」
の指示を出す機能、或いは自動的に測定を中止する機能
を有することを特徴とする請求項2記載の光吸収測定装
置(請求項3)」を提供する。
【0015】また、本発明は、第四に、「特定ガスの雰
囲気中でサンプルに光を照射したときの光吸収に起因す
るサンプルの体積変化により発生する音響信号を測定す
ることで、サンプルの光吸収を測定する光吸収測定装置
において、前記特定ガスを導入するガス導入系に、ガス
導入時に発生する音響信号を低減する、或いは音響信号
を変換する機構を設けたことを特徴とする光吸収測定装
置(請求項4)」を提供する。
【0016】また、本発明は、第五に、「前記ガス導入
時に発生する音響信号を低減する機構が、細孔体である
ことを特徴とする請求項4記載の光吸収測定装置(請求
項5)」を提供する。
【0017】
【発明の実施形態】以下、本発明にかかる光吸収測定装
置とその測定方法の実施形態を図面を参照しながら説明
する。図1は、本発明にかかる第1実施形態の光吸収測
定装置を示す概略断面図である。
【0018】実施形態の光吸収測定装置のチャンバー1
2内には、光源1からのエキシマレーザーの光量を調節
する光量調整光学系(ズームレンズ)2、スリット3、
リレーレンズ4、光量調整されたエキシマレーザーを参
照光と測定光に分離する分岐光路用反射板5、測定光を
サンプル8上に集光させる集光光学系7、参照光を受光
する光量モニタセンサー6、音響検知素子10(圧電素
子など)が取り付けられたサンプルホルダー9、サンプ
ルを透過した測定光を吸収するビームストップ11が設
置されている。
【0019】また、光吸収測定装置のチャンバー12内
はいくつか(三つ)の部屋に分割され、各部屋にガス導
入系13が設けられている。 その導入系13には、ガ
ス流量を制御する流量可変機構14が設けられている。
また、各部屋には測定光学系の雰囲気をモニターする雰
囲気モニタ機構16が設けられている。
【0020】具体的には、流量可変機構14として、流
量可変バルブがもうけられている。雰囲気モニタ機構1
6として酸素濃度センサ(ジルコニアセンサ)が設けら
れている。音響測定に際し、音響信号について再現性の
よいサンプルのセッティング方法をとる必要がある。そ
の一例としては次に述べる液中配置による方法が挙げら
れる。
【0021】サンプルの液中配置による方法において使
用されるサンプルホルダ−9は、図2に示すようにサン
プルホルダ−にV字溝が形成されている。サンプル8の
一部がV字溝によって保持され、その溝中には音響伝搬
のマッチング材となる液体21が注入され、サンプル8
とホルダー9との隙間を充填する。このように溝の中で
サンプル8は、常に一定の位置に配置される。
【0022】マッチング材21として絶縁性の溶媒であ
るアイソパー(商品名、エッソ社製)が用いられる。ア
イソパーは液体インクの溶媒などに用いられるもので、
粘度が低く、気泡ができにくく、かつ揮発性も低い。ま
た、音響検知素子10はホルダー9に接着材で強固に固
定されており、音響整合がとられている。音響検知素子
10としては、圧電材料であるPZT(ジルコン酸チタ
ン酸鉛)に、アルミナの受信板を付けた形のセンサが用
いられる。
【0023】したがって、前述したサンプルホルダー9
に保持されたサンプル8の光吸収測定は、サンプル8の
液中に配置されていない部分に光が照射され、発生した
音響がサンプル8から液体20へ、液体20からホルダ
ー9へ、ホルダ−9から音響検知素子10へと伝わって
測定される。この構成にすることで、一般的に固体と固
体との接触圧着などで問題になる空隙がなくなり、音響
インピーダンスの整合が良好になり、音響伝搬条件の再
現性が非常に良くなる。
【0024】次に本発明にかかる光吸収測定装置の作用
について説明する。図示した光吸収測定装置において
は、光源1からの光は、光量調整光学系2により光量
(照射光強度)を変化させ、スリット3と、リレーレン
ズ4を通過した光は、分岐光路用反射板5により参照光
と測定光に分離される。照射光強度は参照光を用いて光
量モニタセンサー6でモニタし、測定光は集光光学系7
によりサンプル8に照射される(スリット像が結像され
る)。サンプル8から発生した音響は音響検知素子10
により検知され、音響信号(電圧)としてアンプ17に
送られる。
【0025】音響信号の波形信号は、適当な取得時間選
択とフィルタリングが行なわれて、機械的雑音や電磁雑
音が除かれ、メイン共振周波数付近の波長のみが選択
(FFTによる)される。その選択された音響信号成分
のみが真の値である。要するには、光量モニタセンサー
6でモニタされた参照光の照射光量と測定光をサンプル
8に照射したときに発生する音響信号との相関から光吸
収量を算出するシステムである。音響信号強度(電圧
値)と光量は比例し、その比例係数が吸収量の指標とな
る。また、参照光の照射光量は、事前にサンプル面での
光量との比例関係が確認され、その係数が求められてい
る。
【0026】いくつかの部屋に分けられたチャンバー1
2内は、各部屋ごとに設けられたガス導入系13から、
ガス15が導入される。チャンバー12内の空気を窒素
に置換開始する場合は、できるだけ短時間で置換を行う
ために、流量が最大になるように、流量可変機構14を
設定し、チャンバー12内の酸素濃度が所定の値以下に
なるまで、ガスを導入し続ける。
【0027】酸素濃度が所定の値以下になったことを、
雰囲気モニター機構16で確認し、光音響測定を開始す
る前に、光音響測定の雑音とならない程度に流量可変機
構14により流量を調整し、窒素導入し続けた状態で光
音響測定を行う、という方法が最も簡単な方法である。
(請求項1) 流量を小さくした場合、本来の目的であるチャンバー1
2内の雰囲気制御が充分に行えないと不都合である。そ
こで、チャンバー12内の各部屋に設けられた雰囲気モ
ニタ機構16により測定雰囲気を監視し、その測定結果
に基づいて、ガス導入の流量を流量可変機構14により
制御し、酸素濃度が所定の値以下に保たれた状態で測定
が行えるようにする。
【0028】つまり、測定光がArFエキシマレーザの
場合におけるチャンバー12内の窒素置換については、
各部屋に配置された雰囲気モニタ機構16により、各部
屋の酸素濃度を監視し、その濃度を一定値(例えば、1
%等)以下に保つように、流量を制御すると同時に、ガ
ス導入時に発生する音響も測定し、要求測定感度(これ
は通常吸収量の小さいものほど大きくなる)に応じて雑
音音響を抑えるように流量を制御する。装置の構成とし
ては、雰囲気モニタ機構16、音響検知素子10及び流
量可変機構14に接続され、雰囲気モニタ機構からの信
号19及び音響信号20のうち導入時の雑音音響信号に
基づいて導入流量を決定し、流量可変機構14を制御す
る判定部18を設ける。(請求項2) さらに、判定部は、測定雰囲気が、音響測定不可の領域
に入った場合(例えば上の例で、酸素濃度が所定の値よ
り大きくなった場合)に、「測定中止」の指示を出す機
能、或いは自動的に測定を中止する機能を併せて設ける
ことが好ましい。
【0029】また、酸素濃度を一定値以下に保つように
適宜変化させる、或いは酸素濃度が所定の値以上になっ
た場合は、流量を大きくして、窒素置換を促進させる
が、ガス導入時に発生する音響を検知して、要求測定感
度(これは通常吸収量の小さいものほど大きくなる)に
応じて設定された雑音音響値以上になった場合に、「測
定中止」の指示を出す機能、或いは自動的に測定を中止
する機能を設けることが好ましい。(請求項3) 図3は、本発明にかかる第2の実施形態の光吸収測定装
置のガス導入系の概略断面図である。
【0030】ある周波数成分を選別検知するような場合
など、その検出周波数の強度を低減できれば測定上の問
題はない。この観点で発生音響の周波数を変換する機構
を設けることも有効な方策である。(請求項4) 導入口に細孔体(マフラーと呼ばれることもある。)を
設けたガス導入系にすることなどは、ひとつの方法であ
る。(請求項5) 光音響測定における音響低減に際しては、全体としての
音を小さくする、即ち音響エネルギーの絶対値を小さく
することは必ずしも必要ない。
【0031】以上、測定光がArFエキシマレーザで、
圧電素子により光音響を検出する接触式の光音響測定に
ついて述べたが、測定光として連続光を用いるものや、
マイクロフォンによる光音響測定などにも適用可能であ
る。
【0032】
【実施例】
〔実施例1〕図1に示す本発明にかかる第1実施形態の
光吸収測定装置を用いて光音響測定を行なった。光源1
は、波長193nmのArFエキシマレーザで、パルス
幅は約20nsecである。サンプル8は酸化物の薄膜を1
μm以下に形成した、30mmΦで厚さ2mmの円形ペ
レット状の石英ガラス基板(測定波長光をいずれも透
過)である。
【0033】ArFエキシマレーザ(波長193nm)
は、空気中の酸素によって吸収されるため、測定光学系
は全体として窒素パージされたチャンバー12内で行う
必要がある。チャンバー12内を窒素パージされた雰囲
気にするために、チャンバー12内を三つの部屋に分割
して各部屋に各々独立に設けたガス導入系13から圧力
窒素(液体窒素の気化)15を導入した。各導入系13
には流量制御用のバルブ14が設けられており、サンプ
ル8をセットし、チャンバー12内の窒素置換を開始す
る際は、流量を最大(例えば、100ml/sec)に
設定する。
【0034】この際、各部屋に設けられた酸素濃度をモ
ニタするためのセンサ(ジルコニアセンサ)16によ
り、監視する。酸素濃度が所定の濃度(0.5%に設定
した)以下になったところで、窒素導入流量を、流量制
御用のバルプを絞って、酸素濃度上昇がみられない範囲
に減少させて、導入し続けた。この状態で音響測定を行
ったところ、導入雑音は殆ど他の雑音(振動等の機械雑
音が主でこの例では吸収量約0.01%に相当した。)
と比べて無視できる程度に抑えることができた。
【0035】〔比較例1〕サンプル8をセットし、流量
を最大(例えば、100ml/sec)に設定して全チ
ャンバー12内の窒素置換を開始したところ、チャンバ
ー全体の酸素濃度が約0.2%(ジルコニアセンサの検
知限界)以下に約10分で到達した。この状態のまま、
光音響測定を行うと、導入時に発生する雑音が、測定周
波数成分で大きく観測された。雑音は絶対量として、こ
の例の光源光量においては、吸収量約0.5%に相当し
た。
【0036】〔実施例2〕図1に示す本発明にかかる第
1実施形態の光吸収測定装置を用いて光音響測定を行な
った。酸素濃度モニタ16とアンプ17はコンピュータ
18に接続され、酸素濃度値19と音響信号20が取り
込まれる。
【0037】また、ガス導入系13に設けられた流量可
変バルブ14にはモータが設けられ、モータはコンピュ
ター18に接続されている。従って、ガス導入流量はコ
ンピュ−タ18によりモータを駆動することにより、調
整することができる。音響測定中は、酸素濃度モニタか
らの信号19と、音響信号(測定周波数成分値)20
(いずれもデジタル値)を適宜コンピュータ18に取り
込み、酸素濃度及び雑音音響の値があらかじめコンピュ
−タ18内に設定しておいた設定値以下になるように、
コンピュータ18からの制御で、流量可変バルブ14に
設けられたモータを駆動させることにより流量可変バル
ブ14を調節し、流量を調整した。この機構により、測
定中の窒素導入制御が自動で行えるようになった。
【0038】さらに、この構成に、酸素濃度、雑音音響
いずれかが設定値以上になった場合、コンピュータ18
からビープ音と、警告メッセージを発生させるようなプ
ログラムを加えたところ、不適当な状況での計測が行わ
れることを防止することができた。 〔実施例3〕図1に示す本発明にかかる第1実施形態の
光吸収測定装置のチャンバー12を三つに分割して各部
屋に設けられたガス導入系13のガス導入口に、図3に
示すような、セラミクス細孔体23と、金属細孔体24
の二重の構造からなるマフラーを設置した。
【0039】このことにより、比較的流量を大きくした
状態でも、窒素導入時の雑音を、測定周波数成分におい
て問題にならない程度に制御することができた。即ち、
細かい導入時の流量制御が不要になった。
【0040】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれはガス導入に
よる雰囲気制御を伴う光音響吸収計測において、導入時
に発生する雑音の影響を簡便に除くことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる実施形態の光吸収測定装置の概
略断面図である。
【図2】本発明にかかる実施形態の光吸収測定装置のサ
ンプルのセッティング方法を示す概念図である。
【図3】本発明にかかる第2実施形態の光吸収測定装置
のガス導入系のガス(窒素)導入口の概要断面図であ
る。
【符号の説明】
1・・・光源(ArFエキシマレーザ) 2・・・光量調整光学系 3・・・スリット 4・・・リレーレンズ 5・・・ビームスプリッター 6・・・光量モニタ(バイプラナ光電管) 7・・・集光光学系(対物レンズ) 8・・・サンプル(石英ガラス) 9・・・サンプルホルダー 10・・・音響検知素子(PZT) 11・・・ビームトラップ 12・・・チャンバー 13・・・ガス導入系 14・・・流量可変機構(流量可変バルブ) 15・・・ガス(窒素) 16・・・雰囲気モニター機構(酸素濃度センサ(ジル
コニアセンサ)) 17・・・アンプ及び周波数選別装置(FFT) 18・・・コンピュータ 19・・・酸素濃度信号 20・・・音響信号 21・・・マッチング液 22・・・ビームスポット 23・・・セラミック細孔体 24・・・金属細孔体

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】特定ガスの雰囲気中でサンプルに光を照射
    したときの光吸収に起因するサンプルの体積変化により
    発生する音響信号を測定することで、サンプルの光吸収
    を測定する光吸収測定方法において、 前記音響信号の測定中は、特定ガスの導入流量を、前記
    音響信号測定の雑音音響信号が許容上限値以下となるよ
    うに調整することを特徴とする光吸収測定方法。
  2. 【請求項2】特定ガスの雰囲気中でサンプルに光を照射
    したときの光吸収に起因するサンプルの体積変化により
    発生する音響信号を測定することで、サンプルの光吸収
    を測定する光吸収測定装置において、 前記雰囲気中にあるガスの少なくとも一成分の濃度をモ
    ニタする雰囲気モニタ機構と、 前記音響信号を測定する音響検知素子と、 前記特定ガスの導入流量を制御する流量可変機構を有す
    るガス導入系と、 前記雰囲気モニタ機構、前記音響検知素子及び前記流量
    可変機構に接続され、前記雰囲気モニタ機構で検知した
    結果及び前記音響検知素子で検知したガス導入時の雑音
    音響信号に基づいて、特定ガスの流量を決定し、前記流
    量可変機構を調整する判定部と、を備えた光吸収測定装
    置。
  3. 【請求項3】前記判定部は、前記雰囲気モニタ機構によ
    り雰囲気ガス中の少なとも一成分濃度を検知し、測定雰
    囲気が、音響測定不可の領域に入った場合に、「測定中
    止」の指示を出す機能、或いは自動的に測定を中止する
    機能、又はガス導入時に発生する音響を検知して、要求
    測定感度に応じて設定された雑音音響信号値以上になっ
    た場合に、「測定中止」の指示を出す機能、或いは自動
    的に測定を中止する機能を有することを特徴とする請求
    項2記載の光吸収測定装置。
  4. 【請求項4】特定ガスの雰囲気中でサンプルに光を照射
    したときの光吸収に起因するサンプルの体積変化により
    発生する音響信号を測定することで、サンプルの光吸収
    を測定する光吸収測定装置において、 前記特定ガスを導入するガス導入系に、ガス導入時に発
    生する音響信号を低減する、或いは音響信号を変換する
    機構を設けたことを特徴とする光吸収測定装置。
  5. 【請求項5】前記ガス導入時に発生する音響信号を低減
    する機構が、細孔体であることを特徴とする請求項4記
    載の光吸収測定装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022019494A1 (ko) * 2020-07-23 2022-01-27 삼성전자 주식회사 오디오 모듈을 이용하여 가스를 측정하는 전자 장치 및 방법

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