JPH1161547A - 酵素による生糸の柔軟化方法 - Google Patents

酵素による生糸の柔軟化方法

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JPH1161547A
JPH1161547A JP26477797A JP26477797A JPH1161547A JP H1161547 A JPH1161547 A JP H1161547A JP 26477797 A JP26477797 A JP 26477797A JP 26477797 A JP26477797 A JP 26477797A JP H1161547 A JPH1161547 A JP H1161547A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】生糸を柔軟化するに当たり、生糸のセリシン層
にタンパク分解酵素を含浸させた後に、当該酵素の働き
を活性化させる条件を与えて、セリシンを生糸から脱落
させる事なく分解せしめて、生糸を恒久的に柔軟化する
ことで、生絹織物の織り欠点を解決しようとするもので
ある。 【解決手段】絹織物の原料である生糸に、酵素を含浸さ
せてセリシン層に酵素を飽充させた後、生糸の水分率を
150重量%から200重量%に搾液し、ただちに該生
糸を加熱蒸気に接触せしめるか、あるいはビニール袋に
密閉して外部から加熱して蒸し、酵素を活性化させてセ
リシンを分解促進せしめて、所期の柔軟機能を付与す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は絹織物の原料である
生糸を、柔軟化するための加工方法に関する。さらに詳
しくは、絹繊維が保有する自然の官能特性を維持したま
ま、絹織物により優れた柔軟な風合と肉厚感を付与する
織り方は、タテ糸に乾いた生糸を、ヨコ糸には水を含浸
させて柔軟にした生糸を使用しているが、水を含浸させ
た生糸は、製織中に生糸から水分が放散して徐々に硬化
し、従来より絹長繊維から構成される布帛の消費性能の
問題点の一つとして指摘されてきた、いわゆる織段やヒ
ケ等に起因する織物欠点を生じ易かった。
【0002】本発明は絹織物の原料である生糸の柔軟加
工方法に関するものでり、従来からの水による生糸の柔
軟化法と異なり、酵素を使用することにより乾燥状態で
生糸の柔軟性を大幅に改善するものであり、所望される
用途に応じた絹織物を欠点を生じる事なく、製織性の向
上を図るものである。
【0003】
【従来の技術】絹織物はその独特の風合と色相の優雅さ
などから、古くから高級衣料素材として広く賞用されて
きたことは周知である。絹織物の原料は生糸で、生糸は
絹繊維の本体となる二本のフィブロインと呼ばれる繊維
構成物質を、セリシンと呼ぶ膠状物質が包む蛋白質の二
重構造からなり、前者が75から80重量%、後者が2
5から20重量%から構成されており、このセリシン
は、絹の本質のフィブロインと異なり、硬い性状を有し
ている。生糸を織物の原料として使用する場合には、水
または油剤に漬け込んで、セリシンを柔軟にしてから使
用するのが常法である。
【0004】すなわち、水または油剤に漬け込んだ生糸
は、一時的にセリシン層が柔軟になり、生絹製織時の緯
糸の打ち込みが容易になり、織物が織り易くなる。しか
し、水などで柔らかくした生糸は、時間が経つにつれて
セリシン層から徐々に水分が放出され、セリシン層の水
分が少なくなると硬くなり、緯糸の打ち込みが不均一に
なり、やがて織り段やヒケ等の織物欠点が生じる原因に
なっている。これらの生絹織物の、織りの欠点を解決す
るためには、水の柔軟方法に替わり、乾いた状態の生糸
でも、柔軟性を保持する加工法を見いだす必要があっ
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、今まで行っ
ていた水による生糸の柔軟処理に替えて、酵素により生
糸を恒久的に柔軟化することで、これらの生絹織物の織
り欠点を解決しようとするものである。その概要は、タ
ンパク質を分解する酵素を、生糸のセリシン層に含浸さ
せた後に、当該酵素の働きを活性化させる条件を与え
て、セリシンを生糸から脱落させる事なく分解せしめ
て、乾燥状態で柔軟化させる方法である。本発明の柔軟
化処理に使用されるタンパク質分解酵素は、セリンが活
性中心のいわゆるアルカリプロテアーゼ、中性タイプ、
酸性タイプのプロテアーゼ、さらにはパパイン酵素に代
表されるSHタイプの酵素が使用される。
【0006】もともと、生絹織物の酵素加工は、元来生
糸の構成成分であるセリシンと呼ぶ膠状の物質を溶解除
去するために行われる、いわゆる絹の酵素精練が主で、
これはセリシンの除去を目的とした加工方法で、数多く
の研究事例があり既に公知の事実である。しかし、本発
明は従来から行われている酵素精練と異なり、生糸のセ
リシン中に酵素を固定化し、当該酵素で硬質のセリシン
を分解させて柔軟化せしめるもので、分解されたセリシ
ンはそのまま引き続き繊維上に残り、生糸の構成成分を
成すものである。従って、本発明法で処理された生糸の
重量減少は、僅かなものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は絹織物の原料で
ある生糸の柔軟加工方法に関するものでり、従来からの
水による生糸の柔軟化法と異なり、酵素を使用すること
により、乾いた状態の生糸の柔軟性を大幅に改善するも
のであり、所望される用途に応じた、いわゆる織段やヒ
ケ等に起因する絹織物を欠点を生じる事なく、製織性の
向上を図るものである。
【0008】次に本法の酵素による生糸の柔軟化法を述
べると、次のとおりである即ち蛋白分解酵素としてアル
カリプロテアーゼやニュートラーゼ等を使用する場合に
は、酵素剤と該酵素の働きを活性化するpH調整剤、並
びに酵素の浸透を良くする非イオン界面活性剤を水に溶
かした30℃の液に生糸を浸漬して、セリシンの中に酵
素を飽充させた後、水分率を150ないし200重量%
に脱水し、直ちに当該生糸をビニール袋にいれて密閉す
る。さらにビニール袋を、酵素の反応を活性化させる最
適温度になるように加熱した乾燥機中に入れて、2ない
し3時間加温処理すると、その間にセリシンが酵素によ
り分解される。加温処理後は、生糸を取り出して脱水し
自然乾燥すると、乾燥後の生糸は酵素によってセリシン
が分解されて柔らかくなり、風合いの優れた生糸が得ら
れる。
【0009】この場合アルカリプロテアーゼには多くの
種類があり、各々酵素は最適の作用pHを有し、最高の
効果を発揮させるためには、酵素の種類に応じてpHを
調整する必要がある。一般的には炭酸水素ナトリウム、
または炭酸ナトリウムなどの弱アルカリ剤を適量使用し
てpHを調整する。ニュートラーゼなどの中性活性タイ
プの酵素を使用する場合はは、pHが中性で効果を発揮
するために、必ずpHを7付近に設定する必要がある。
加熱する温度は酵素により異なるので、必ず使用する酵
素の最適温度に設定することが重要な条件になる。 分
解に要する加熱時間は2ないし3時間である。
【0010】またパパインやブロメラインなどのSH型
の酵素を使用する場合には、pHを中性付近に調整し、
かつ該酵素の働きを活性化させる賦活剤を使用する。賦
活剤としては、この場合ハイドロサルファイト、重亜硫
酸ソーダ、チオ硫酸ソーダなど還元剤が有効であり、賦
活剤の最適使用量は、使用する賦活剤の種類により異な
るが、ハイドロサルファイトでは使用した酵素の2倍量
程度、また重亜硫酸ソーダ、チオ硫酸ソーダでは3倍量
使用するのが適当である。当該酵素による生糸の柔軟化
法は、パパイン酵素及び該酵素を活性化させる、ハイド
ロサルファイトなどの賦活剤、並びに酵素の浸透を良く
する非イオン界面活性剤を水に溶かした30℃の液に生
糸を浸漬して、セリシンの中に酵素を飽充させた後、水
分率を150ないし200重量%に脱水し、直ちに蒸気
を当てて酵素を活性化させてセリシンを分解させる。
【0011】蒸気で処理後に生糸を取り出して脱水し自
然乾燥すると、乾燥後の生糸は酵素によってセリシンが
分解されて柔らかくなり、風合いの優れた生糸が得られ
る。この時に使用する蒸気は、ボイラーからの生の蒸気
を直接当てるのではなく、適当な大きさの浴槽の下部に
水を入れ、その水を熱して沸騰させて発生した蒸気を当
てて酵素反応を促進させる。蒸気に当てる時間はおおよ
そ15ないし20分程度で十分である。
【0012】また、酵素を短時間の内にセリシンの中に
均一に浸透保持させるためには、界面活性剤の併用が特
に有効である。当該酵素の加工には、非イオン系の界面
活性剤が優れた効果を発揮する。その他にアニオン系の
界面活性剤があるが、アルカリプロテアーゼや、パパイ
ン酵素等の活性を阻害する物もあり、本発明では使用を
避けたほうがよい。界面活性剤の使用量は、溶液1リッ
トルあたり1ccで十分である。
【0013】次に31中の生糸を使用して、表1に示し
た処理方法により柔軟加工を行なったときの柔らかさ
を、初期引張抵抗(g/d)で表したものである。
【0014】表に示したとおり、水で浸漬した生糸が一
番柔らかいが、乾燥すると元の生糸の硬さに戻るが、酵
素で処理した生糸は経時的に変化がなく、乾燥状態で初
期の柔らかさを保ち、本発明の有効性が確認できた。こ
うして得られた生糸は、通常の織り行程で乾きヨコ糸と
して使用する事により、絹繊維が保有する柔軟な風合い
と肉厚感を付与する織物を得る事ができる。
【0015】
【実施例】次に、本発明の加工方法の実施例について説
明する。 実施例 1 通称31中生糸を、アルカラーゼ2、5L(ノボノルデ
ィスクバイオインダストリー社製酵素)10部、炭酸水
素ナトリウム5部、非イオン界面活性剤1部を水1リッ
トル中に溶かした30℃の弱アルカリ液に10分間浸漬
して、セリシンの中に酵素を飽充させた後、水分率を1
50重量%に脱水し、直ちに当該生糸をビニール袋にい
れて密閉し、55℃に加熱した乾燥機中に入れて2時間
加温処理した。 加温処理後、生糸を取り出して脱水し
自然乾燥した。乾燥後の生糸は柔軟性に富み、風合いの
優れた生糸が得られた。
【0016】実施例 2 通称31中生糸を、パパイン酵素(和光純薬社製)5
部、ハイドロサルファイト10部、非イオン界面活性剤
1部を、水1リットル中に溶かした30℃の液に10分
間浸漬して、セリシンの中に酵素を飽充させた後、水分
率を150重量%に脱水し、直ちに水を沸騰させて発生
した蒸気に当て20分間加熱処理した。加熱処理後、生
糸を取り出して脱水し自然乾燥した。乾燥後の生糸は柔
軟性に富み、風合いの優れた生糸が得られた。
【0017】実施例 3 通称31中生糸を、ニュートラーゼ(ノボノルディスク
バイオインダストリー社製酵素)10部、非イオン界面
活性剤1部を水1リットル中に溶かした30℃の中性液
に10分間浸漬して、セリシンの中に酵素を飽充させた
後、水分率を180重量%に脱水し、直ちに当該生糸を
ビニール袋にいれて密閉し、45℃に加熱した乾燥機中
に入れて3時間加温処理した。加温処理後、生糸を取り
出して脱水し自然乾燥した。乾燥後の生糸は柔軟性に富
み、風合いの優れた生糸が得られた。
【0018】
【発明の効果】絹織物の原料である生糸中に、タンパク
質を分解する酵素を含浸させた後、当該酵素の働きを活
性化させる条件を与えて、セリシンを生糸から脱落させ
る事なく分解せしめて、生糸を恒久的に柔軟化させ、生
絹織物のいわゆる織段やヒケ等織り欠点を解決しようと
するものである。酵素による柔軟かは、従来からの水に
よる生糸の柔軟化法と異なり、酵素を使用することによ
り、乾いた状態で生糸の柔軟化を安定的に改善するもの
であり、所望される用途に応じた、優れた柔軟な風合と
肉厚感を付与する絹織物を欠点を生じる事なく、製織性
が向上する事が確認できた。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】生糸を酵素を含む液に浸漬して、セリシン
    層に当該酵素を飽充させた後、生糸の水分率を150重
    量%から200重量%に搾液し、ただちに該生糸を加熱
    蒸気に接触せしめるか、あるいはビニール袋に密閉して
    外部から加熱して蒸し、酵素を活性化させてセリシンを
    分解促進せしめて、柔軟化させることを特徴とする生糸
    の柔軟化方法。
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