JPH1161445A - 塩化鉄水溶液の電気分解処理方法 - Google Patents

塩化鉄水溶液の電気分解処理方法

Info

Publication number
JPH1161445A
JPH1161445A JP22567697A JP22567697A JPH1161445A JP H1161445 A JPH1161445 A JP H1161445A JP 22567697 A JP22567697 A JP 22567697A JP 22567697 A JP22567697 A JP 22567697A JP H1161445 A JPH1161445 A JP H1161445A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aqueous solution
electrolysis
iron chloride
cathode
solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP22567697A
Other languages
English (en)
Inventor
Takemichi Kishi
剛陸 岸
Yoshitsugu Shinomiya
吉継 四宮
Tsutomu Ishita
力 井下
Takaaki Asakuma
孝昭 朝隈
Hiroyuki Matsumoto
博行 松本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Astec Irie Co Ltd
ThyssenKrupp Nucera Japan Ltd
Original Assignee
Chlorine Engineers Corp Ltd
Astec Irie Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Chlorine Engineers Corp Ltd, Astec Irie Co Ltd filed Critical Chlorine Engineers Corp Ltd
Priority to JP22567697A priority Critical patent/JPH1161445A/ja
Publication of JPH1161445A publication Critical patent/JPH1161445A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
  • ing And Chemical Polishing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 塩化鉄水溶液中の塩素イオンを効率良く回収
し、電力コストの少ない電解処理を行うことのできる塩
化鉄水溶液の電気分解処理方法を提供する。 【解決手段】 隔膜11で仕切られたアノード室12及
びカソード室13を備えた電気分解槽10aを有する電
気分解装置10のアノード室12に第1の塩化鉄水溶液
を供給し含まれる第1鉄イオンを第2鉄イオンに酸化
し、電気分解装置10のカソード室13に第2の塩化鉄
水溶液を供給して含まれる第2鉄イオンを第1鉄イオン
に還元する塩化鉄水溶液の電気分解処理方法において、
アノード室12に供給される第1の塩化鉄水溶液の第1
鉄イオンの濃度を制御し塩素ガスの生成を抑制し、電解
液温度及び電解電流密度を含む電解条件を制御してカソ
ード室13内のカソード17への金属の析出を抑制す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は塩化鉄水溶液中の第
1鉄イオン濃度、及び第2鉄イオン濃度を効率的に調整
することのできる塩化鉄水溶液の電気分解処理方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、テレビのシャドウマスクやプリン
ト配線基板等の製造に際しては、塩化第2鉄(FeCl
3 )を含むエッチング液により銅、ニッケル等の金属を
以下の腐食反応により溶解して、加工するエッチング法
が用いられている。 2FeCl3 +Cu→2FeCl2 +CuCl2 2FeCl3 +Ni→2FeCl2 +NiCl2 この結果、エッチング液中に銅、ニッケル等の金属が溶
出すると共に、塩化第2鉄が塩化第1鉄(FeCl2
に還元されてエッチング能力の低下したエッチング廃液
が生成する。そして、エッチング廃液の処理に伴う環境
対策上、及び経済上の要請から、エッチング廃液を再生
して、リサイクルさせる方法が開発されている。
【0003】例えば、特開平1−167235号公報に
は、エッチング廃液中に鉄屑等を添加すると共に、銅等
を回収し、エッチング液を再使用する方法が提案されて
いる。さらに、特開平6−240475号公報には、ニ
ッケルを含む塩化鉄系のエッチング液を隔膜電解槽の陰
極室(カソード室)に導き、含有する金属イオンからニ
ッケル及び鉄を電析回収する工程と、隔膜を介して陽極
室(アノード室)に移動した塩素イオンを酸化して塩素
ガスを発生させる工程と、還元電析により金属イオン濃
度を減じた液を上記塩素ガスで酸化する工程とからなる
エッチング液の処理方法が記載されている。このような
従来例のエッチング廃液処理設備50は、図7に示すよ
うにエッチング廃液51から塩素ガスとエッチング処理
により腐食溶解された金属52とを分離させて塩化第1
鉄を含む処理液を抜き出すための隔膜電解槽53と、前
記処理液中に塩素ガスを溶解させて塩化第1鉄から塩化
第2鉄に酸化した再生液54を得るための塩素化装置5
5とを有している。エッチング廃液処理設備50を用い
てエッチング廃液51を処理する場合には、アスベスト
板等の隔膜56で仕切られた隔膜電解槽53にエッチン
グ廃液51を供給して、電解電圧を付与することによ
り、アノード(陽極)及びカソード(陰極)において以
下の反応を促進させる。 アノード:2Cl- →Cl2 ↑+2e- カソード:Fe3++e- →Fe2+、Mn++ne- →M↓ 即ち、アノード室においては塩素ガス(Cl2 )を生成
させると共に、カソード室では金属イオン(Fe3+、M
n+)を還元して銅、ニッケル等の金属(M)を析出さ
せ、第2鉄イオン(Fe3+)から第1鉄イオン(F
2+)への還元処理が行われる。こうして、銅、ニッケ
ル等の除去された還元処理液と塩素ガスとが得られ、次
の塩素化装置55では、還元処理液を塩素ガスを用いて
塩素化して塩化第2鉄を含む再生液54が得られるよう
になっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記特開平1−167
235号公報に示される再生方法では、エッチング廃液
中の銅イオン、ニッケルイオンを鉄屑を用いて還元する
ために、エッチング廃液中のトータルの鉄イオン濃度が
増加することになる。そして、トータルの塩素イオン濃
度は増加しないため、第1鉄イオンを第2鉄イオンに酸
化してエッチング廃液を再生するときには、新たに不足
分の塩素を補給する必要があり、エッチング廃液中の塩
素イオンをそのまま有効に活用することができないとい
う問題があった。さらに、鉄イオン濃度の増加したエッ
チング廃液を塩素化して生じる再生液は、エッチング液
に必要なレベル以上の塩化第2鉄濃度となるため、これ
を希釈して用いなくてはならず、廃液量に対して再生液
の液量が多くなり、この余剰液の処理が必要になるとい
う問題点があった。
【0005】また、前記特開平6−240475号公報
に記載の再生方法では、以下の〜に示すような問題
点があった。 隔膜電解槽53でエッチング廃液51中の塩素をガス
として回収し、不純物金属を析出させねばならないため
に、電解電圧を高く設定せねばならず、電流効率が低く
なり電力コストが増大する。 腐食性の高い塩素ガスを直接的に取り扱うために隔膜
電解槽53から塩素化装置55への塩素ガスの移送及び
その貯蔵等における安全性が問題となると共に、付帯設
備等に掛かるコストが高くなる。 塩素化装置55へ吹き込むための塩素ガスの流量、圧
力の制御、並びに廃ガスの処理等が必要になり、操業プ
ロセスが複雑になる。 ニッケル等の不純物金属を隔膜電解槽53で析出させ
て回収する際、その回収の都度、隔膜電解槽53の操業
を停止せねばならないために、その処理作業が煩雑にな
る等の操業管理面での問題点があった。
【0006】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、塩化鉄水溶液中の塩素イオンを効率良く回収
し、電力コストの少ない電気分解処理を行うことのでき
る塩化鉄水溶液の電気分解処理方法を提供することを目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う請求項1
記載の塩化鉄水溶液の電気分解処理方法は、隔膜で仕切
られたアノード室及びカソード室を備えた電気分解槽を
有する電気分解装置の前記アノード室に第1の塩化鉄水
溶液を供給して含まれる第1鉄イオンを第2鉄イオンに
酸化し、前記電気分解装置の前記カソード室に第2の塩
化鉄水溶液を供給して含まれる第2鉄イオンを第1鉄イ
オンに還元する塩化鉄水溶液の電気分解処理方法におい
て、前記アノード室に供給される第1の塩化鉄水溶液の
第1鉄イオンの濃度を制御して塩素ガスの生成を抑制
し、電解液温度及び電解電流密度を含む電解条件を制御
して前記カソード室内のカソードへの金属の析出を抑制
する。請求項2記載の塩化鉄水溶液の電気分解処理方法
は、請求項1記載の塩化鉄水溶液の電気分解処理方法に
おいて、前記第1の塩化鉄水溶液の第1鉄イオン濃度が
10〜350g/リットル、前記電解液温度が30〜1
00℃、前記電解電流密度が1〜40A/dm2 であ
る。
【0008】請求項3記載の塩化鉄水溶液の電気分解処
理方法は、請求項1又は2記載の塩化鉄水溶液の電気分
解処理方法において、前記電気分解装置には、前記アノ
ード室に第1の循環回路を介して連結されるアノード側
バッファタンクが設けられ、前記カソード室に第2の循
環回路を介して連結されるカソード側バッファタンクが
設けられ、前記第1及び第2の塩化鉄水溶液の電気分解
処理は、前記第1及び第2の循環回路をそれぞれ作動さ
せながら行われる。請求項4記載の塩化鉄水溶液の電気
分解処理方法は、請求項3記載の塩化鉄水溶液の電気分
解処理方法において、前記アノード側バッファタンク及
び前記カソード側バッファタンクは、それぞれ対となる
タンクを備え、該対となるタンクを切り換えて操業を行
う。請求項5記載の塩化鉄水溶液の電気分解処理方法
は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の塩化鉄水溶液
の電気分解処理方法において、前記第2の塩化鉄水溶液
は、第2鉄イオン濃度が40〜500g/リットルのエ
ッチング廃液であって、前記カソードへの析出を抑制す
る金属として、銅、ニッケルを含む。請求項6記載の塩
化鉄水溶液の電気分解処理方法は、請求項1〜5のいず
れか1項に記載の塩化鉄水溶液の電気分解処理方法にお
いて、前記電気分解槽における電解電圧が0.3〜5ボ
ルトである。
【0009】アノード室に供給される第1の塩化鉄水溶
液とは、第2鉄イオン濃度が、例えば50〜500g/
リットル、好ましくは200〜350g/リットルであ
り、銅、ニッケル等に対して腐食能力を有する水溶液を
いい、この他の成分として少量の第1鉄イオン及び、
銅、ニッケル等の金属イオンを有する場合も含まれる。
カソード室に供給される第2の塩化鉄水溶液とは、例え
ばシャドーマスク等をエッチング処理して得られるエッ
チング廃液であって、銅、ニッケル等の金属イオンを含
む塩化第2鉄濃度の低下した塩化鉄水溶液等をいう。電
気電解槽とは、溶液成分の移動を抑制するための隔膜に
よってアノード室(陽極室)とカソード室(陰極室)と
に分割された構造を有する槽であって、該構造を1又は
2以上有するものが含まれる。
【0010】塩素ガスの生成と、不純物金属の析出とを
抑制する電気分解条件は、電気分解槽における電解電
圧、電極の種類、電極間距離、隔膜の種類、形状、電解
液温度、電解電流密度、及び処理するエッチング廃液及
び精製液中の各イオン濃度、アノード室とカソード室間
のヘッド差、循環速度等の因子を組み合わせて得られる
条件であって、これら可能な組み合わせ条件を設定し
て、塩素ガスの発生量と不純物金属の析出量とが最も少
なくなるような条件として実験的に決定することができ
る。
【0011】第1の塩化鉄水溶液中の第1鉄イオン濃度
が10g/リットルより低くなると、第1鉄イオンから
第2鉄イオンへの酸化反応の効率が低下すると共に、カ
ソード室からアノード室に移動してくる塩素イオンが酸
化されて塩素ガスの発生する恐れがある。逆に、第1鉄
イオン濃度が350g/リットルを超えると、溶解度を
超え、結晶として析出し易くなり操業阻害の原因とな
る。第2の塩化鉄水溶液の第2鉄イオン濃度が40g/
リットルより低くなると、アノード室に移行させるため
の塩素イオンの量が不足してアノード室における精製塩
化鉄水溶液の塩素化の効率が低下すると共に、電解処理
に際して第2鉄イオンが還元され、第2鉄イオンの濃度
が低下し、銅、ニッケル等の不純物金属のイオン濃度が
相対的に高くなって、銅、ニッケルが析出し易くなる。
また、第2鉄イオン濃度が500g/リットルを超える
と、塩化第2鉄の結晶が析出し易くなり操業阻害の原因
となる。電気分解槽における電解電圧が0.3ボルトよ
り低くなると、必要な電解電圧が不足して反応が進行し
にくく、実効的な電流を流すことができない。逆に5ボ
ルトを超えると、不純物金属の析出を抑制することが困
難になる他、電力コストが上がり不経済であり、不純物
金属が析出し易くなるので好ましくない。電気分解槽に
おける電流密度が1A/dm2 より少ないと、反応に必
要な電極面積が増大して、設備が大型化し不経済であ
る。一方、電流密度が40A/dm2 を超えると、電解
電圧が上がり不純物金属が析出し易くなると共に、電力
コストが上昇して不経済である。また、電極の消耗が激
しくなって、操業が不安定となる。電解液温度が100
℃を超えると液が沸騰して安定した条件での電解ができ
なくなる。また30℃未満になると液の電気抵抗が上昇
して、銅、ニッケル等の不純物金属が析出しやすくな
リ、配管詰まり等のトラブルが発生しやすいので、電解
液温度は30〜100℃の範囲に設定することが好まし
く。また、さらに好ましい電解液温度の範囲は50〜8
0℃である。
【0012】従来における塩化鉄水溶液の電気分解槽に
おける電解処理では、アノード室で塩素ガスを発生させ
ると共に、カソード室では銅やニッケルを析出させるこ
とを狙いとしたものである。これに対して本発明は、ア
ノード室における塩素ガスの発生とカソード室における
銅、ニッケルの析出とを抑制する電解条件の下で電解電
圧を付与することにより、塩素ガスの発生に伴う電力量
を削減して、アノード室に供給される第1鉄イオンの酸
化と、カソード室における第2鉄イオンの還元とを効率
的に行なわせることを目的としている。本発明において
は、アノード室で第1鉄イオンを第2鉄イオンに酸化さ
せ、カソード室で第2鉄イオンを第1鉄イオンに還元す
る。この酸化、還元を同時に起こすことにより、以下の
理由により電解電圧を低くすることができる。前記の酸
化反応には0.77ボルトの分解電圧が、また、還元反
応には−0.77ボルトの理論分解電圧が必要となり、
アノードとカソードの反応の理論分解電圧の両者が相殺
して殆ど0ボルトになる。一方、アノード室で塩素ガス
を発生させる場合はアノード反応に1.36ボルトの分
解電圧が必要であり、還元反応の分解電圧−0.77ボ
ルトを考慮しても、0.59ボルトの理論分解電圧が必
要となる。これは、本発明の方法よりも分解電圧が原理
的には0.59ボルト以上高くなることを意味してい
る。そして、第2鉄イオンを含む塩化鉄水溶液(第2の
塩化鉄水溶液)をカソード室に供給して、第2鉄イオン
を第1鉄イオンに還元すると共に、銅、ニッケルの除去
された第1鉄イオンを含む塩化鉄水溶液(第1の塩化鉄
水溶液)をアノード室に供給して第1鉄イオンを第2鉄
イオンに酸化することにより効率的に第1及び第2の塩
化鉄水溶液中の第1鉄イオン濃度及び第2鉄イオン濃度
を調整することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつ
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。ここに図1は本発明の第1の実施の
形態に係る塩化鉄水溶液の電気分解処理方法を適用する
電気分解装置の説明図、図2は同電気分解槽における処
理パターン1の説明図、図3は同処理パターン2の説明
図、図4は同処理パターン3の説明図、図5は本発明の
第2の実施の形態に係る塩化鉄水溶液の電気分解処理方
法を適用する電気分解装置の説明図、図6(a)、
(b)はそれぞれ還元率の変化に対応する電圧及び電流
効率の変化を示すグラフである。
【0014】本発明の第1の実施の形態に係る塩化鉄水
溶液の電気分解処理方法を適用する電気分解装置10
は、図1に示すように隔膜11によってアノード室12
とカソード室13とに仕切られた電気分解槽10aを有
しており、アノード14を有するアノード室12の下部
及び上部には、それぞれアノード液供給管15、アノー
ド液抜き出し管16が設けられ、カソード17を有する
カソード室13の下部及び上部にはそれぞれ、カソード
液供給管17a、カソード液抜き出し管18が取付けら
れている。前記アノード液供給管15とアノード液抜き
出し管16との上下関係の位置、及び、カソード液供給
管17aとカソード液抜き出し管18の上下関係の位置
はそれぞれ交換しても差し支えない。なお、ここで使用
する隔膜11の種類としては、陰イオン交換膜、陽イオ
ン交換膜、あるいはポリテトラフルオロエチレン製等の
濾布の中の何れも用いることができる。例えば、陰イオ
ン交換膜は、塩素イオン等の陰イオンに対して選択透過
性を有しており、カソード室13からアノード14に向
かう陰イオンの移動を妨げることなく、しかも、不純物
金属等の陽イオンのアノード室12への侵入を阻止する
ことにより効率的にアノード室12における塩化第1鉄
の塩素化を促進させることができる。具体的な素材とし
ては、炭化水素系の第四級アンモニウム基を有する陰イ
オン交換樹脂等が適用できる。
【0015】陽イオン交換膜を隔膜11に適用した場合
には、陽イオンに対する選択透過性を有するために、ア
ノード室12からカソード17に向かう金属イオン(鉄
イオン)の移動を許容すると共に、アノード14からカ
ソード17に向かう陰イオン(塩素イオン)の移動が規
制されるので、効率的なアノード室12における塩化第
1鉄の塩素化、カソード室13における塩化第2鉄の脱
塩素化(還元)を促進させることができる。具体的な素
材としては、炭化水素系のスルホン酸基、あるいはパー
フルオロ系のスルホン酸基を有する陽イオン交換樹脂等
が使用できる。
【0016】陰陽のイオン種による選択透過性のない濾
布等の隔膜を用いる場合には、イオン種により隔膜11
内のイオンの移動が規制されることなく、しかも、アノ
ード室12、カソード室13のそれぞれに供給される塩
化鉄水溶液の流動状態をそれぞれ独立に保持できる利点
がある。また、隔膜11を設けることによって、アノー
ド室12及びカソード室13間の液面差(ヘッド)を保
持させて、不純物金属イオンのアノード室12への侵入
を防止でき、アノード室12及びカソード室13のそれ
ぞれにおける電解反応の条件を制御することが可能であ
る。具体的な隔膜用素材としては、ポリプロピレン、ポ
リエステル、アクリル樹脂、モダアクリル樹脂、ポリテ
トラフルオロエチレン、ポリ弗化ビニリデン等からなる
濾布、又は細孔を有するマイクロポーラス膜、石綿等が
使用できる。
【0017】アノード14に適用する素材には、酸化ル
テニウム被覆チタン、黒鉛、白金被覆チタン等が使用で
きる。カソード17に適用する素材には、鉄、ニッケ
ル、ニッケル合金、ステンレス、チタン、チタン合金、
黒鉛等が使用できる。また、アノード14、カソード1
7の形状としては板状、穿孔板状、棒状、簾状、エキス
パンドメタル状のもの等が使用でき、特定の形状に限定
されるものではない。
【0018】次に、前記電気分解装置10を用いる本発
明の第1の実施の形態に係る塩化鉄水溶液の電気分解処
理方法について説明する。まず、第2鉄イオンを含む第
2の塩化鉄水溶液の一例であるエッチング廃液を図示し
ないエッチング処理装置から回収する。次に、このよう
なエッチング廃液をカソード液供給管17aを介して電
気分解槽10aのカソード室13に供給すると共に、第
1鉄イオンを含む第1の塩化鉄水溶液の一例である精製
液をアノード液供給管15を介してアノード室12に供
給する。そして、アノード室12における塩素ガスの発
生と、カソード室13における銅、ニッケル等の不純物
となる金属の析出とを抑制する電解条件の下で電解電圧
を付与して電気分解処理を行う。
【0019】具体的には、電気分解槽10aにおける電
解電圧、電極(アノード14、カソード17)の種類、
電極間距離H、隔膜11の種類、形状、精製液、電解液
温度、電解電流密度、及び第1、第2の塩化鉄水溶液中
の各イオン濃度、アノード室12とカソード室13間の
ヘッド差、処理液の供給速度等の因子を特定値に設定し
て、塩素ガスの発生量と不純物金属の析出量とが最も少
なくなるようにする。例えば、電気分解槽10aにおけ
る電解液温度の場合について述べれば、電解液温度を3
0〜100℃の範囲になるように、供給するアノード
液、カソード液を予め加熱しておいたり、電解の際のジ
ュール熱を利用したり、あるいは電気分解槽10aの保
温等の手段により保持することができる。特に、電解液
を加熱することで電極板の過電圧を低下させて、銅、ニ
ッケル等の析出電位以下に抑えた条件で電解することが
可能になる。また、万一析出させた場合にも第2鉄イオ
ンの反応性が高いために、再溶解されやすくすることが
でき、電極板への析出を回避して電解電圧を下げられる
利点がある。ここで、電解液温度が100℃を超えると
液が沸騰して安定した条件での電解ができなくなる。ま
た30℃未満になると液の電気抵抗が上昇して、銅、ニ
ッケル等が析出しやすくなリ、配管詰まり等のトラブル
が発生しやすいので、電解液温度は30〜100℃の範
囲に設定する。こうして、アノード液抜き出し管16、
及びカソード液抜き出し管18からそれぞれアノード処
理液(再生液)と、カソード処理液(還元液)とを抜き
出すことができる。アノード液抜き出し管16を介して
取り出されるアノード処理液は、アノード室12に供給
される精製液中の塩化第1鉄を塩化第2鉄に酸化してな
る水溶液であって、銅、ニッケル等の金属を溶解させる
エッチング能力を有している。こうして、アノード室1
2及びカソード室13にそれぞれ精製液とエッチング廃
液とを供給して、所定の電解条件の下で電気分解処理を
行うことにより、第1鉄イオン濃度、及び第2鉄イオン
濃度の調整されたアノード処理液及びカソード処理液を
それぞれ得ることができるようになっている。なお、電
気分解処理においては、カソード17に銅、ニッケル等
の不純物金属が析出した時には必要に応じて逆方向の電
解電圧を付与させ、あるいは電解電圧を増減させて再溶
解させることも可能である。これによって、常時、不純
物金属の析出を抑制した条件で所望の電気分解処理を維
持させることができる。
【0020】本発明においては、第1の塩化鉄水溶液
(精製液)中の塩化第1鉄(FeCl2 )を塩化第2鉄
(FeCl3 )に酸化させるのに必要な塩素を、第2の
塩化鉄水溶液(エッチング廃液)中の塩素イオンのカソ
ード室13からアノード14への移動によって補給する
ことができるので、従来のようにアノード室12から塩
素ガスを取り出して、この塩素ガスの吸収反応により第
1の塩化鉄水溶液の塩素化の処理等を行う必要がなく、
電力効率を向上させることができると共に、安全及び設
備上の制約を少なくできる利点がある。
【0021】なお、前記電気分解装置10においては、
アノード室12とカソード室13との一対からなる電気
分解槽10aを単独で用いる場合について説明したが、
電気分解槽内を単数又は複数の隔膜により3、4、5、
又は6以上の区画に分割された形式のものとすることも
可能である。これによって、不純物金属イオンのカソー
ド室13からアノード室12への移行をより確実に抑制
することができる。さらには、図2〜図4に示すように
複数の例えば4基の小電気分解槽10b、10c、10
d、10eを配置して、小電気分解槽10b、10c、
10d、10eのそれぞれのアノード室12、カソード
室13に第1の塩化鉄水溶液、及び第2の塩化鉄水溶液
を供給することができ、これらの処理パターンを必要に
応じて選択し、また組み合わせることにより、それぞれ
の塩化鉄水溶液の処理をさらに効率的に行わせることも
できる。なお、図2〜図4のパターンは例を示すもので
あって、これらのパターンのみに本発明が限定されるも
のではない。図2の処理パターン1は、第2の塩化鉄水
溶液の一例であるエッチング廃液19及び、第1の塩化
鉄水溶液の一例である精製液20を4基の小電気分解槽
10b、10c、10d、10eにそれぞれ連続的に供
給して最終的に所定の第1鉄イオン濃度と第2鉄イオン
濃度とにそれぞれ調整されたアノード処理液21と、カ
ソード処理液22とを得るプロセスを示している。ここ
では、エッチング廃液19が小電気分解槽10e、10
d、10c、10bを経由して、液中の第2鉄イオンを
第1鉄イオンに順次還元すると共に、精製液20が電気
分解槽10b、10c、10d、10eを経て、液中の
塩化第1鉄から塩化第2鉄への酸化を効率的に行うこと
が可能である。
【0022】図3の処理パターン2は、エッチング廃液
19を小電気分解槽10e、10d、10c、10bの
それぞれのカソード室13に順次連続して供給すると共
に、小電気分解槽10b、10c、10d、10eのア
ノード室12のそれぞれに並列に精製液20を供給し
て、最終的にエッチング廃液19中の第2鉄イオンが還
元されてなるカソード処理液22と、第1鉄イオンから
第2鉄イオンに酸化された、即ち塩素化処理されたアノ
ード処理液21a、21b、21c、21dを得るプロ
セスを示している。この場合には、各アノード室12か
ら塩素化の程度のそれぞれ異なる4種のアノード処理液
21a、21b、21c、21dを得ることができ、必
要とする第2鉄イオンの濃度に応じた成分調整を行うこ
とができる利点がある。図4の処理パターン3は、精製
液20を4基の小電気分解槽10b、10c、10d、
10eのアノード12室に順次連続的に供給すると共
に、エッチング廃液19を小電気分解槽10e、10
d、10c、10bのカソード室13に並列に供給す
る。そして、各カソード室13から成分の異なるカソー
ド処理液22a、22b、22c、22dを得ると共
に、最終的に所望の塩化鉄濃度となるアノード処理液2
1を得るプロセスを示している。この場合には、供給す
る精製液20中の第1鉄イオン濃度、第2鉄イオン濃度
をそれぞれ調整でき、以降における不純物金属の除去効
率を最適化することが可能である。
【0023】
【実施例】ここで、図1に示す電気分解装置10を用い
る実施例1〜実施例4について表1及び表2を参照しな
がら説明する。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】実施例1においては、酸化ルテニウムによ
り被覆したチタン製の網状体(電極面が100mm×1
00mmの広さの網状体)をチタン製の板に溶接してア
ノード14として、また、チタン製の網状体をチタン製
の板に溶接してカソード17を形成した。前記網状体に
は、切れ目を等間隔に多数形成したチタン板を切れ目と
略直角の方向に引き延ばして形成される、いわゆるエキ
スパンドメタルを用いた。アノード室12、カソード室
13はそれぞれチタン製の内壁面を有した電解槽とし、
隔膜11の材料にはパーフルオロ系スルホン酸基を有す
る陽イオン交換樹脂(デュポン社製、商品名ナフィオン
N450)を使用した。そして、隔膜11と内壁面との
間にガスケットを介在させて、アノード室12とカソー
ド室13との2室構造として電気分解槽10aを形成し
た。なお、ここで電極間距離Hを6mmとし、アノード
室12とカソード室13とにおける液面の差(ヘッド)
をゼロに、即ち同レベルに設定した。この電気分解槽1
0aのカソード室13とアノード室12にそれぞれ第2
の塩化鉄水溶液の一例であるエッチング廃液(第1鉄イ
オン濃度:74g/リットル、第2鉄イオン濃度:15
8g/リットル)と、第1の塩化鉄水溶液の一例である
不純物金属の濃度を低減した精製液(第1鉄イオン濃
度:265g/リットル、第2鉄イオン濃度:1g/リ
ットル)とをそれぞれ72ミリリットル/時、79ミリ
リットル/時の供給速度で供給した。以上の状態で電流
密度5A/dm2 となる2.0ボルトの電解電圧を付与
して、電解液温度50℃で電解を行った。なお、電気分
解槽10aのカソード室13、アノード室12からそれ
ぞれ抜き出される還元液(カソード処理液)、再生液
(アノード処理液)の流量は78ミリリットル/時、7
3ミリリットル/時であった。この結果、表1の実施例
1に示すように、還元液、及び再生液中の第1鉄イオ
ン濃度及び第2鉄イオン濃度はそれぞれ243g/
リットル、25g/リットル、88g/リットル、
143g/リットルとなった。
【0027】実施例2においては、隔膜として陰イオン
交換膜(トクヤマ社製商品名ネオセプタACS)を使用
し、電解電圧を2.1ボルトとした以外は実施例1と同
様の条件でアノード室12とカソード室13からなる2
室法により、第1鉄イオン濃度:25g/リットル、第
2鉄イオン濃度:190g/リットルのエッチング廃液
と、第1鉄イオン濃度:250g/リットル、第2鉄イ
オン濃度:1g/リットルの精製液との電解を行った。
なお、エッチング廃液と、精製液のカソード室13、ア
ノード室12への供給速度はそれぞれ66ミリリットル
/時、60ミリリットル/時として、カソード室13、
アノード室12からそれぞれ抜き出される還元液、再生
液の流量は66ミリリットル/時、60ミリリットル/
時であった。この結果、表1の実施例2に示すように、
還元液、及び再生液中の第1鉄イオン濃度及び第2
鉄イオン濃度はそれぞれ180g/リットル、35
g/リットル、77g/リットル、173g/リッ
トルとなった。
【0028】実施例3においては、表2に示すように、
酸化ルテニウムにより被覆したチタン製の網状体(電極
面が100mm×100mmの広さの網状体)をチタン
製の板に溶接してアノード14として、また、チタン製
の網状体をチタン製の板に溶接してカソード17を形成
した。アノード室12、カソード室13は共にアクリル
製の枠を使用し、電気分解槽とした。隔膜用材料として
は、ユアサコーポレーション社製の細孔を有するマイク
ロポーラス膜(商品名Y−9201T)を使用した。そ
して、電極間距離Hを12mmとして、隔膜11の両側
をガスケットで挟み、アノード室12、カソード室13
との間に入れることにより、2室からなる電気分解槽1
0aを構成した。この電気分解槽10aに表2に示すエ
ッチング廃液と精製液とをそれぞれカソード室13、ア
ノード室12とをそれぞれ70ミリリットル/時、79
ミリリットル/時で供給した。但し、カソード室13の
不純物金属イオンをアノード室12へ移行させないため
にアノード室12の液面をカソード室13の液面より7
mm高くなるようにヘッドを調整した。上記の状態で電
流密度5A/dm2 となる1.5ボルトの電解電圧を付
与して、電解液温度50℃で、第1鉄イオン濃度:30
g/リットル、第2鉄イオン濃度:163g/リットル
のエッチング廃液と、第1鉄イオン濃度:150g/リ
ットル、第2鉄イオン濃度:1g/リットルの精製液と
の電解を行った。なお、カソード室13、アノード室1
2からそれぞれ抜き出される還元液、再生液の流量は7
7ミリリットル/時、72ミリリットル/時であり、表
2に示すような結果が得られた。表2の実施例3に示す
ように、還元液、及び再生液中の第1鉄イオン濃度及
び第2鉄イオン濃度はそれぞれ165g/リット
ル、28g/リットル、7g/リットル、143
g/リットルとなった。
【0029】実施例4においては、表2に示すように隔
膜としてデュポン社製マイクロポーラス膜(商品名PE
−10)を二重に張り、ヘッドを25mmとして電解電
圧を2.0ボルトに異ならせた以外は前記実施例3と略
同様の電解条件で電解を行った。なお、エッチング廃液
中の第1鉄イオン濃度と、第2鉄イオン濃度はそれぞれ
28g/リットル、181g/リットルであり、精製液
中の第1鉄イオン濃度と第2鉄イオン濃度はそれぞれ1
50g/リットル、1g/リットルである。また、エッ
チング廃液と、精製液のカソード室13、アノード室1
2への供給速度はそれぞれ68ミリリットル/時、72
ミリリットル/時として、カソード室13、アノード室
12からそれぞれ抜き出される還元液、再生液の流量は
73ミリリットル/時、67ミリリットル/時であっ
た。この結果、表2の実施例4に示すように還元液及び
再生液中の第1鉄イオン濃度及び第2鉄イオン濃度
はそれぞれ177g/リットル、32g/リット
ル、3g/リットル、148g/リットルであっ
た。
【0030】このように本実施の形態に係る塩化鉄水溶
液の電気分解処理方法では、塩素ガスの発生を抑制する
電解条件の下で電解電圧を付与するので、第2の塩化鉄
水溶液中の塩素イオンをカソード室13からアノード室
12に移動させることができ、第2の塩化鉄水溶液にお
ける塩化第1鉄の塩素化を効率的に行うことができる。
従って、塩素ガスの発生に伴う安全性、及び制御上の問
題がなく、効率的かつ経済的に第1、第2の塩化鉄水溶
液(精製液、エッチング廃液)の処理を同時に行うこと
が可能である。
【0031】続いて、本発明の第2の実施の形態に係る
塩化鉄水溶液の電気分解処理方法について説明する。第
2の実施の形態に係る塩化鉄水溶液の電気分解処理方法
を適用する電気分解装置30は図5に示すように、隔膜
31によりアノード室32とカソード室33とに仕切ら
れた電気分解槽34と、電気分解槽34のアノード35
側に対に配置された第1及び第2のタンク36、37か
らなるアノード側バッファタンクと、電気分解槽34の
カソード38側に対に配置された第3、第4のタンク3
9、40からなるカソード側バッファタンクとを有して
いる。さらに、電気分解装置30には、アノード室32
とアノード側バッファタンク36、37との間でそれぞ
れ切り換えて処理液を循環させるための第1の循環ポン
プ41を備えた第1の循環回路と、カソード室33とカ
ソード側バッファタンク39、40との間でそれぞれ切
り換えて処理液を循環させるための第2の循環ポンプ4
2を備えた第2の循環回路とを有している。
【0032】アノード室32、第1の循環ポンプ41及
び第1、第2のタンク36、37を連結する第1の循環
回路を構成する各配管には、バルブA1〜A8が設けら
れており、必要に応じてそれぞれの開閉状態を設定でき
るようになっている。バルブA1は第1のタンク36と
アノード室32とを連結する配管に配置され、バルブA
2は電解処理後に得られる第1のタンク36内の再生液
を電気分解装置30の外部に供給する配管に配置されて
いる。また、バルブA3は、アノード室32から第1の
循環ポンプ41を介して取り出される処理液を第1のタ
ンク36に供給する循環配管に配置されている。これに
よって、アノード室32→バルブA1→第1のタンク3
6→バルブA3→第1の循環ポンプ41からなる循環回
路が形成され、処理液が循環するようになっている。バ
ルブA4は精製液を第1のタンク36に取り込むための
配管に設けられている。なお、第2のタンク37におけ
るバルブA5〜A8の機能はバルブA1〜A4とそれぞ
れ同様であるので、これらの説明は省略する。
【0033】カソード室33、第2の循環ポンプ42及
び第3、第4のタンク39、40を連結する第2の循環
回路を構成する各配管には、バルブK1〜K8が設けら
れており、必要に応じてそれぞれの開閉状態を設定でき
るようになっている。バルブK1は第3のタンク39と
カソード室33とを連結する配管に配置され、バルブK
2は電解処理後に得られる第1のタンク36内の還元液
を電気分解装置30の外部に供給する配管に配置されて
いる。またバルブK3は、カソード室33から第2の循
環ポンプ42を介して取り出される処理液を第3のタン
ク39に供給する循環配管に配置されている。これによ
って、カソード室33→バルブK1→第3のタンク39
→バルブK3→第2の循環ポンプ42からなる循環回路
が形成され、処理液が循環するようになっている。ま
た、バルブK4はエッチング廃液を第3のタンク39に
取り込むための配管に設けられている。なお、第4のタ
ンク40におけるバルブK5〜K8の機能はバルブK1
〜K4とそれぞれ同様であるので、これらの説明は省略
する。
【0034】次に、前記電気分解装置30を用いるエッ
チング廃液の処理方法について説明する。まず、エッチ
ング廃液をバルブK4を介して第3のタンク39に供給
して貯留すると共に、精製液をバルブA4を介して第1
のタンク36に供給して、第1のタンク36内を精製液
の所定量で満たす。次に、第1の循環回路及び第2の循
環回路をそれぞれの循環ポンプ41、42を作動させる
ことにより、カソード室33、アノード室32にそれぞ
れエッチング廃液、精製液をバルブK1、バルブA1
(又はバルブK3、A3)を介して供給する。そして、
第3のタンク39及び第1のタンク36内にそれぞれ貯
留されたエッチング廃液及び精製液を、第2の循環ポン
プ42、第1の循環ポンプ41を用いて電気分解槽34
に循環供給させながら電気分解処理を所定時間行う。な
お、循環ポンプ41、42はそれぞれ循環流の向きを正
逆に変換可能な形式のものを使用してももよい。一方、
この電気分解処理の間、第4のタンク40、第2のタン
ク37のそれぞれにエッチング廃液、精製液を例えば連
続供給して、次の電気分解処理の操作に備えて、第4の
タンク40(カソード側バッファタンク)、及び第2の
タンク37(アノード側バッファタンク)をそれぞれの
処理液で充填しておくことができる。
【0035】ここで図6は、所定量の処理液を電気分解
槽に貯留して電気分解を行った後、電気分解後の処理液
を取り出すバッチ式電気分解条件で、電解電流を一定と
して得られる電解電圧及び電流効率と、アノード室内の
第1鉄イオンの酸化率(又はカソード室内の第2鉄イオ
ンの還元率)との関係をそれぞれ示したグラフである。
このように還元率、酸化率が大きくなるバッチ式電気分
解の後期では、電解電圧が上昇し、且つ電流効率が低下
する傾向が確認されている。処理液を電気分解槽に連続
的に供給して、オーバーフロー分の電気分解処理液を取
り出す連続式の電気分解条件の場合には、還元率又は酸
化率が100%に近くなる高電解電圧、低電流効率の状
況に保持され易くなる。即ち、電気分解槽に保持される
液量に比べて供給される処理液の量が少ないために、電
極の近傍に処理液が停滞して、電極表面へ新鮮な処理液
の供給が損なわれ、電極表面の反応を安定的に継続させ
るための処理液の移動速度を適正範囲に維持することが
困難となる。このため、反応効率が低下して電解電圧が
高くなり電力コストが上昇する傾向にある。そこで、本
発明の第2の実施の形態においては、カソード室33及
びアノード室32のそれぞれに処理液の循環流を形成し
て、電極表面における処理液の移動速度を大きくした状
態で電気分解処理を行う。これによって、電解効率を高
めることができる。さらに、カソード室33及びアノー
ド室32に連結してそれぞれ2機のタンクを配置し、2
機のタンクを待機供給状態と電気分解状態のいずれかの
状態に交互に切り換えて電気分解の操業を行うことによ
り、全体として連続的な運転が可能となり生産性の向上
を図ることができる。
【0036】以上、本発明の実施の形態を説明したが、
本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではな
く、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用
範囲である。例えば、本実施の形態においては、4基の
小電気分解槽を組み合わせて塩化鉄水溶液を処理する場
合について示したが、この基数に限定されることなく、
1基、2基、3基、5基あるいはそれ以上の数の小電気
分解槽を組み合わせることも可能である。さらに、電気
分解槽のカソード室及びアノード室にそれぞれ供給する
第2の塩化鉄水溶液、第1の塩化鉄水溶液の供給位置、
及び、カソード処理液、アノード処理液の抜き出し位置
は、本実施の形態に示した配置のものに限定されるもの
ではなく、それぞれの供給位置及び抜き出し位置の上下
関係を互いに交換することもできる。
【0037】
【発明の効果】請求項1〜6記載の塩化鉄水溶液の電気
分解処理方法においては、アノード室に供給される第1
の塩化鉄水溶液の第1鉄イオンの濃度を制御して塩素ガ
スの生成を抑制し、電解液温度及び電解電流密度を含む
電解条件を制御してカソード室内のカソードへの金属の
析出を抑制するので、第1及び第2の塩化鉄水溶液中の
それぞれの第1鉄イオン、第2鉄イオン濃度を効率的に
調整することができる。さらに、塩素ガスの発生、及び
不純物金属等の析出が抑制され、電解電圧が低くなって
電流効率を向上できると共に、塩素ガスに対する対策を
取る必要がないので設備を簡略に構成できる利点があ
る。特に、請求項2記載の塩化鉄水溶液の電気分解処理
方法においては、第1の塩化鉄水溶液の第1鉄イオン濃
度、電解液温度、電解電流密度をそれぞれ特定範囲に設
定するので、電気分解中における塩素ガスの発生と金属
の析出とをさらに効果的に抑制することができる。
【0038】また、請求項3記載の塩化鉄水溶液の電気
分解処理方法においては、第1及び第2の塩化鉄水溶液
の電気分解処理は、第1及び第2の循環回路をそれぞれ
作動させながら行われるので、カソード室及びアノード
室における電極と処理液とのそれぞれ実質的な反応速
度、流動速度を増大させることができると共に、カソー
ド室及びアノード室における各成分の濃度が均一化され
た状態で反応が維持され、全体の反応効率をさらに高め
ることができる。請求項4記載の塩化鉄水溶液の電気分
解処理方法においては、アノード側バッファタンク及び
カソード側バッファタンクは、それぞれ対となるタンク
を備え、それぞれのタンクを切り換えて操業を行うの
で、容積の比較的少ない電気分解槽であっても、大量の
処理液の循環供給が可能となると共に、それぞれ2つの
カソード側バッファタンク、アノード側バッファタンク
を待機供給状態、又は電気分解状態の何れかの状態に設
定でき、供給される第1及び第2の塩化鉄水溶液を効率
的かつ連続的に処理することができ、生産性の向上を図
ることができる。特に、請求項5記載の塩化鉄水溶液の
電気分解処理方法においては、第2の塩化鉄水溶液は、
第2鉄イオン濃度が特定範囲のエッチング廃液であっ
て、カソードへの析出を抑制する金属として、銅、ニッ
ケルを含むので、電気分解槽における酸化還元処理を効
率的に行うことができる。請求項6記載の塩化鉄水溶液
の電気分解処理方法においては、電気分解槽における電
解電圧を特定範囲とするので、カソードにおける金属の
析出をさらに効果的に抑制することが可能であり、適正
な電流効率を維持しつつ、必要な生産性を確保すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る塩化鉄水溶液
の電気分解処理方法を適用する電気分解装置の説明図で
ある。
【図2】同電気分解槽における処理パターン1の説明図
である。
【図3】同処理パターン2の説明図である。
【図4】同処理パターン3の説明図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る塩化鉄水溶液
の電気分解処理方法を適用する電気分解装置の説明図で
ある。
【図6】(a)、(b)はそれぞれ還元率の変化に対応
する電圧及び電流効率の変化を示すグラフである。
【図7】従来例におけるエッチング廃液の処理方法の説
明図である。
【符号の説明】
10 電気分解装置 10a 電気分
解槽 10b 小電気分解槽 10c 小電気
分解槽 10d 小電気分解槽 10e 小電気
分解槽 11 隔膜 12 アノード
室 13 カソード室 14 アノード 15 アノード液供給管 16 アノード
液抜き出し管 17 カソード 17a カソー
ド液供給管 18 カソード液抜き出し管 19 エッチン
グ廃液 20 精製液 21 アノード
処理液 21a アノード処理液 21b アノー
ド処理液 21c アノード処理液 21d アノー
ド処理液 22 カソード処理液 22a カソー
ド処理液 22b カソード処理液 22c カソー
ド処理液 22d カソード処理液 30 電気分解
装置 31 隔膜 32 アノード
室 33 カソード室 34 電気分解
槽 35 アノード 36 第1のタンク(アノード側バッファタンク) 37 第2のタンク(アノード側バッファタンク) 38 カソード 39 第3のタンク(カソード側バッファタンク) 40 第4のタンク(カソード側バッファタンク) 41 第1の循環ポンプ 42 第2の循
環ポンプ
フロントページの続き (72)発明者 四宮 吉継 岡山県玉野市田井3−15−29 (72)発明者 井下 力 福岡県北九州市八幡東区大谷1丁目3番1 号 株式会社アステック入江内 (72)発明者 朝隈 孝昭 福岡県北九州市八幡東区大谷1丁目3番1 号 株式会社アステック入江内 (72)発明者 松本 博行 福岡県北九州市八幡東区大谷1丁目3番1 号 株式会社アステック入江内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 隔膜で仕切られたアノード室及びカソー
    ド室を備えた電気分解槽を有する電気分解装置の前記ア
    ノード室に第1の塩化鉄水溶液を供給して含まれる第1
    鉄イオンを第2鉄イオンに酸化し、前記電気分解装置の
    前記カソード室に第2の塩化鉄水溶液を供給して含まれ
    る第2鉄イオンを第1鉄イオンに還元する塩化鉄水溶液
    の電気分解処理方法において、 前記アノード室に供給される第1の塩化鉄水溶液の第1
    鉄イオンの濃度を制御して塩素ガスの生成を抑制し、電
    解液温度及び電解電流密度を含む電解条件を制御して前
    記カソード室内のカソードへの金属の析出を抑制するこ
    とを特徴とする塩化鉄水溶液の電気分解処理方法。
  2. 【請求項2】 前記第1の塩化鉄水溶液の第1鉄イオン
    濃度が10〜350g/リットル、前記電解液温度が3
    0〜100℃、前記電解電流密度が1〜40A/dm2
    である請求項1記載の塩化鉄水溶液の電気分解処理方
    法。
  3. 【請求項3】 前記電気分解装置には、前記アノード室
    に第1の循環回路を介して連結されるアノード側バッフ
    ァタンクが設けられ、前記カソード室に第2の循環回路
    を介して連結されるカソード側バッファタンクが設けら
    れ、 前記第1及び第2の塩化鉄水溶液の電気分解処理は、前
    記第1及び第2の循環回路をそれぞれ作動させながら行
    われる請求項1又は2記載の塩化鉄水溶液の電気分解処
    理方法。
  4. 【請求項4】 前記アノード側バッファタンク及び前記
    カソード側バッファタンクは、それぞれ対となるタンク
    を備え、該対となるタンクを切り換えて操業を行う請求
    項3記載の塩化鉄水溶液の電気分解処理方法。
  5. 【請求項5】 前記第2の塩化鉄水溶液は、第2鉄イオ
    ン濃度が40〜500g/リットルのエッチング廃液で
    あって、前記カソードへの析出を抑制する金属として、
    銅、ニッケルを含む請求項1〜4のいずれか1項に記載
    の塩化鉄水溶液の電気分解処理方法。
  6. 【請求項6】 前記電気分解槽における電解電圧が0.
    3〜5ボルトである請求項1〜5のいずれか1項に記載
    の塩化鉄水溶液の電気分解処理方法。
JP22567697A 1997-08-06 1997-08-06 塩化鉄水溶液の電気分解処理方法 Pending JPH1161445A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22567697A JPH1161445A (ja) 1997-08-06 1997-08-06 塩化鉄水溶液の電気分解処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22567697A JPH1161445A (ja) 1997-08-06 1997-08-06 塩化鉄水溶液の電気分解処理方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1161445A true JPH1161445A (ja) 1999-03-05

Family

ID=16833045

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22567697A Pending JPH1161445A (ja) 1997-08-06 1997-08-06 塩化鉄水溶液の電気分解処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1161445A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009024216A (ja) * 2007-07-19 2009-02-05 Sumitomo Metal Mining Co Ltd エッチング廃液の電解酸化方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009024216A (ja) * 2007-07-19 2009-02-05 Sumitomo Metal Mining Co Ltd エッチング廃液の電解酸化方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US3764503A (en) Electrodialysis regeneration of metal containing acid solutions
US5162079A (en) Process and apparatus for control of electroplating bath composition
JPH09503956A (ja) 金属カチオンの錯体及び塩の電気透析による転化
JPH0780466A (ja) 金属イオンおよび硫酸を含有する水溶液の再生のための方法および装置
KR100256895B1 (ko) 에칭액의 처리방법
JP5125278B2 (ja) エッチング廃液の電解酸化方法
CS218296B1 (en) Method of continuous regeneration of the iron trichloride solution
JP2000510529A (ja) 生成された第一鉄イオンの酸化が電解的に行われる鋼の酸洗い工程
US4906340A (en) Process for electroplating metals
JP2005187865A (ja) 銅エッチング廃液から電解により銅を回収する方法及び装置
JPH1161445A (ja) 塩化鉄水溶液の電気分解処理方法
JP2009024186A (ja) クロムめっき液の再生方法及び装置
JPH0220712B2 (ja)
JP3282829B2 (ja) 合金製品を硝酸の不存在下に酸洗いする方法および酸洗い廃液を回収する方法並びにそのための装置
JPH1161446A (ja) エッチング廃液の再生方法
JP3478947B2 (ja) 塩化第二鉄液の再生方法
EP0483332B1 (en) Electrolytic cell for waste water treatment
JP2006219708A (ja) 塩化第二鉄による銅エッチング劣化液の電解再生方法及びその電解再生装置
Adaikkalam et al. The electrochemical recycling of printed-wiring-board etchants
JP4018831B2 (ja) エッチング廃液の処理方法
WO1993006261A1 (en) Electrowinning metals from solutions
JP4038253B2 (ja) 酸性水及びアルカリ水製造用電解槽
JPH06240475A (ja) ニッケルを含む塩化鉄系のエッチング液の処理方法
CN113667980B (zh) 一种酸性蚀刻液闭环再生的方法及系统
JPH08966A (ja) 電気透析精製法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20040622

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20041020

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070206

A02 Decision of refusal

Effective date: 20070612

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02