JPH1161391A - 薄膜形成方法および薄膜形成装置 - Google Patents

薄膜形成方法および薄膜形成装置

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JPH1161391A
JPH1161391A JP24034097A JP24034097A JPH1161391A JP H1161391 A JPH1161391 A JP H1161391A JP 24034097 A JP24034097 A JP 24034097A JP 24034097 A JP24034097 A JP 24034097A JP H1161391 A JPH1161391 A JP H1161391A
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JP
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emission spectrum
cathode
thin film
arc
intensity
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JP24034097A
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English (en)
Inventor
Satoshi Otani
聡 大谷
Naoto Okazaki
尚登 岡崎
Hiroshi Murakami
浩 村上
Haruo Hiratsuka
治男 平塚
Kiyoshi Ogata
潔 緒方
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissin Electric Co Ltd
Original Assignee
Nissin Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 密着性および平滑性の高い薄膜を容易にかつ
安定性良く形成することができる薄膜形成方法および装
置を提供する。 【解決手段】 ボンバード工程中のアーク式蒸発源20
のアークプラズマ26の発光スペクトル強度を分光光度
計44によって測定し、その測定結果に基づいて、アー
ク式蒸発源20の陰極22を構成する元素の内の一つが
発する発光スペクトルの強度と窒素が発する発光スペク
トルの強度との比(発光スペクトル強度比)を演算回路
50によって求め、その演算結果に基づいて、制御装置
52によって流量調節器36を制御して真空容器2内に
導入する窒素ガス8の流量を制御することによって、当
該発光スペクトル強度比を一定の範囲内に保ってボンバ
ード工程を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、アーク式蒸発源
を用いたアーク式イオンプレーティング法によって、工
具等の基体の表面に薄膜を形成する薄膜形成方法および
装置に関し、より具体的には、基体の表面に形成される
薄膜の密着性と平滑性とを両立させる手段に関する。
【0002】
【従来の技術】アーク式蒸発源で蒸発させる陰極物質に
は、陰極近傍に生じるアークプラズマによってイオン化
された陰極物質イオンがかなりの割合で含まれており、
この陰極物質イオンを電界によって基体に引き込んで基
体表面に薄膜を形成するアーク式イオンプレーティング
法は、薄膜の密着性が高い、成膜速度が大きい等の利点
を有しており、工具や金型等の表面にセラミックス薄膜
を被覆する手段として従来から用いられている。例え
ば、田畑三郎、黄燕清著「真空技術による高機能コーテ
ィング」、昭和62年12月22日、日刊工業新聞社、
204頁参照。膜の密着性が高いのは、陰極物質中に含
まれている陰極物質イオンを、負バイアス電圧等による
電界によって基体に引き込んで衝突させることができる
からである。成膜速度が大きいのは、アーク放電を利用
して陰極を溶解させるからである。
【0003】このようなアーク式イオンプレーティング
法による薄膜形成装置(これはアーク式イオンプレーテ
ィング装置とも呼ばれる)の従来例を図10に示す。こ
の装置は、真空排気装置4によって真空に(例えば1×
10-4Torr程度以下の圧力に)排気される真空容器
2を備えている。この真空容器2の例えば天井部には、
ガス導入手段としてガス導入口6が設けられており、こ
のガス導入口6から真空容器2内に反応性ガス、具体的
には窒素ガス8が導入される。
【0004】真空容器2内には、被処理物である基体1
0を保持するホルダ12が設けられている。このホルダ
12および基体10には、直流のバイアス電源16か
ら、例えば−数百V〜−1000V程度の負のバイアス
電圧Vbが印加される。14は、電気絶縁機能を有する
軸受部である。基体10に対する処理の均一性を高める
ために、ホルダ12およびその上の基体10を矢印Cの
ように回転させる場合もある。
【0005】真空容器2の壁面には、ホルダ12上の基
体10に向くように、1台以上の(この例では基体10
を囲む4台(2台のみ図に表れている)であるが、これ
に限らない)アーク式蒸発源20が取り付けられてい
る。各アーク式蒸発源20は、絶縁物28によって真空
容器2から絶縁された陰極22を有しており、この陰極
22とこの例では陽極を兼ねる真空容器2との間のアー
ク放電によって陰極22を溶解させて陰極物質24を蒸
発させると共に当該陰極22の前方近傍にアークプラズ
マ(アーク放電によるプラズマ)26を生成する。各陰
極22には、直流のアーク電源30からアーク電流Ia
がそれぞれ供給される。陰極22としては通常はTi等
の金属または合金が用いられる。陰極物質24には、ア
ークプラズマ26によってイオン化された陰極物質イオ
ンがかなりの割合で含まれている。
【0006】成膜に際しては、通常は、成膜工程に先立
ってボンバード工程を行う。
【0007】ボンバード工程では、ホルダ12に基体1
0を保持して、真空容器2内を十分に(例えば1×10
-4Torr以下の圧力に)真空排気した後、必要に応じ
て真空容器2内に窒素ガス8を導入すると共に、バイア
ス電源16からホルダ12を通じて基体10に比較的大
きい、例えば−1000V程度のバイアス電圧Vbを印
加する。その状態で、各アーク式蒸発源20を動作させ
て、その各陰極22から陰極物質24を蒸発させてそれ
に含まれている陰極物質イオンを負バイアス電圧によっ
て基体10に向けて加速して衝突させる。この陰極物質
イオンの衝突(ボンバード)によって、基体10がスパ
ッタされてその表面が清浄化、活性化されると同時に、
基体10が加熱される。
【0008】上記ボンバード工程に続いて、成膜工程に
入る。即ち、バイアス電源16から基体10に印加する
バイアス電圧Vbをボンバード工程時よりも下げて、例
えば−200V程度に下げて、陰極物質イオンによるス
パッタ作用を小さくし、真空容器2内に窒素ガス8を導
入しながら、基体10に対する成膜を行う。このとき、
各陰極22から蒸発させた陰極物質24に含まれている
陰極物質イオン(例えばTiイオン)が、基体10に印
加した負バイアス電圧によって基体10に向けて加速さ
れて衝突すると共に、周りの窒素ガス8と化学反応し
て、基体10の表面に化合物薄膜、より具体的には陰極
物質24の窒化物から成る薄膜(例えばTiN薄膜)が
形成される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記ボンバード工程
を、真空容器2内に窒素ガス8を導入せずに、圧力が例
えば1×10-4Torr以下という高真空雰囲気中で行
うと、基体10の清浄化、活性化および加熱の効果は優
れているものの、陰極22の表面(蒸発面)で粗大な溶
融部が発生して、陰極22から蒸発する陰極物質24中
に、ドロップレットと呼ばれる粗大粒子が多く含まれる
ようになる。このドロップレットは、容易に基体10に
飛来してその表面に付着する。このドロップレットは、
後の成膜工程で形成する薄膜の厚さ(通常は3μm前
後)より遙かに大きく、また高さが5μm以上もあるド
ロップレットも少なくない。
【0010】このようなドロップレットが基体10に付
着すると、基体表面の平滑性(換言すれば面粗度。以下
同じ)ひいてはその上に形成する薄膜の平滑性が悪化
し、薄膜被覆品の機械的特性、光学的特性等が悪化す
る。例えば、工具等のように当該薄膜被覆品が他の物体
と接触状態で使用される場合に、凸状のドロップレット
の部分に大きな点荷重が加わり、そこから薄膜の破壊、
剥離が起こりやすくなり、薄膜ひいては薄膜被覆品の寿
命が短くなる。
【0011】これに対して、ボンバード工程時に真空容
器2内に窒素ガス8を導入することによって、薄膜の平
滑性を改善することができる。これは、陰極22の表面
に元の陰極22よりも融点の高い窒化物層(例えばTi
N層)が形成され、この窒化物層によって、陰極22の
蒸発面にアーク放電の陰極点が多数生じてアーク電流I
aが多くの陰極点に分散されるので、陰極表面での粗大
溶融部の広がりが抑えられ(これらの効果はポイゾニン
グ効果と呼ばれる)、これによって陰極22から発生す
るドロップレットを低減することができるからである。
【0012】ところが、ボンバード工程時に窒素ガス8
を真空容器2内に導入することによって薄膜の平滑性を
改善することはできるものの、現状では、密着性および
平滑性の高い薄膜を容易にかつ安定性良く形成すること
はできない。なぜなら、真空容器2内に導入する窒素ガ
ス8の流量が少ないと、陰極表面での窒化物層の形成が
少なくなってドロップレット低減効果が低下して薄膜の
平滑性が悪化し、逆に窒素ガス8の導入量が多いと、真
空容器2内のガス圧が上昇して基体10に向けて飛行す
る陰極物質イオンが途中で窒素ガス分子と衝突および反
応する確率が高くなって、陰極物質イオンの基体10へ
の入射量や入射エネルギーが減少し、それによって基体
表面の清浄化、活性化および加熱の効果が低下し、ひい
ては薄膜の密着性が低下するので、窒素ガス流量の適正
な範囲はごく限られた狭い流量範囲にしかないからであ
る。
【0013】例えば、図11に示すように、アーク式蒸
発源20の陰極22がチタン(Ti)、陰極22に流す
アーク電流Ia(これはアーク式蒸発源1台当たりのア
ーク電流である。以下同じ)が80Aの場合は、薄膜の
密着性および平滑性が両立する窒素ガス流量(真空容器
2内に導入する窒素ガス流量。以下同じ)は、AB間、
即ち約8〜22sccmという狭い範囲である。従来
は、このように狭い適正範囲内において窒素ガスの流量
を一定に保って(制御して)ボンバード工程を行ってい
た。なお、この出願においては、薄膜の密着性は、スク
ラッチ試験によるスクラッチ強度(N)で評価し、薄膜
の平滑性は、膜表面の平均粗さRa(μm)で評価して
いる。
【0014】ところが、アーク電流Iaを変化させる
と、適正窒素ガス流量も変化する。例えば、図12に示
すように、アーク電流Iaを140Aにすると、適正窒
素ガス流量は、AB間、即ち約22〜50sccmとな
る。
【0015】図11および図12の横軸を真空容器2内
の圧力で表したグラフを図13および図14にそれぞれ
示す。図13の場合の適正圧力範囲は約1.1×10-4
〜5×10-4Torrであり、図14の場合の適正圧力
範囲は約2.5×10-4〜1.0×10-3Torrであ
る。これらの図は、真空容器2内の圧力で管理しても、
窒素ガス流量で管理する場合と同様に、適正な圧力はア
ーク電流Iaによって異なることを示している。
【0016】このような問題は、アーク式蒸発源20の
陰極22が上記チタン以外の場合も同様に存在する。陰
極22がチタンアルミニウム合金(TiAl。Alの含
有率は75原子%)の場合の例を図15〜図18に示
し、陰極22がクロム(Cr)の場合の例を図19〜図
22に示す。これらの図は、上記図11〜図14にそれ
ぞれ対応している。
【0017】図15の場合の適正窒素ガス流量範囲は約
8〜30sccm、図16の場合のそれは約28〜50
sccm、図17の場合の適正真空容器内圧力は約1.
5×10-4〜6×10-4Torr、図18の場合のそれ
は約6×10-4〜1.6×10-3Torrである。
【0018】図19の場合の適正窒素ガス流量範囲は約
6〜15sccm、図20の場合のそれは約19〜48
sccm、図21の場合の適正真空容器内圧力は約7×
10-5〜5×10-4Torr、図22の場合のそれは約
5×10-4〜2.2×10-3Torrである。
【0019】また、アーク電流Iaだけでなく、ボンバ
ード工程時に使用するアーク式蒸発源20の台数や配置
を変化させた場合も同様であり、適正窒素ガス流量範囲
や適正真空容器内圧力範囲は、アーク式蒸発源20の使
用台数や配置によって異なってしまう。
【0020】更に、大きさや形状の異なる二つの真空容
器2を用いて、それにアーク式蒸発源20を同数取り付
けた場合においても、同一の窒素ガス流量を与えている
にも拘わらず、薄膜の密着性および平滑性が大きく異な
る結果が得られた。これは、真空容器2の内壁の影響
で、ガス吸着を起こす度合いが、真空容器2の内壁面積
に依存していることによるものと考えられる。このこと
は、真空容器2の内壁面積の問題のみにとどまらず、具
体的な生産機や生産工程においては、真空容器2内への
基体10の充填率(真空容器2内にどの程度の割合で基
体10を収納するかということ)による内壁面積の変化
が起こることは言うまでもなく、それによって薄膜の特
性にも影響が出て来るのは明らかである。
【0021】上記問題を回避するため、従来は、製品へ
の成膜に先駆けて、製品成膜の場合と同等の真空容器内
面積、ホルダ12への基体10の装着位置、基体10の
充填率等を考慮して、窒素ガス流量等の設定を厳密に行
っていたけれども、それには多くの時間と労力および多
額のコストを要し、ひいては成膜製品のコストを大きく
押し上げる結果となる。しかも、成膜に使用する基体1
0は現実的には1種類ではなく、基体10はその形状、
寸法等に応じて様々な表面積を持っているので、そのよ
うな様々な表面積を持つ基体10の種類ごとに窒素ガス
流量を設定することは容易ではない。
【0022】このように、窒素ガス流量や真空容器内圧
力を一定範囲に保つ従来の成膜方法では、密着性および
平滑性の高い薄膜を容易にかつ安定性良く形成すること
は困難であり、従って生産機への適用も容易ではない。
【0023】そこでこの発明は、密着性および平滑性の
高い薄膜を容易にかつ安定性良く形成することができる
薄膜形成方法および装置を提供することを主たる目的と
する。
【0024】
【課題を解決するための手段】この発明に係る薄膜形成
方法の一つは、前記ボンバード工程中の前記アークプラ
ズマの発光スペクトル強度を測定し、前記陰極構成元素
の内の一つが発する発光スペクトルの強度と窒素が発す
る発光スペクトルの強度との比を一定の範囲内に保って
ボンバード工程を行うことを特徴としている。
【0025】ボンバード工程に用いるアーク式蒸発源の
台数やボンバード工程中のアーク電流等の条件が変化す
ることは、アークプラズマの発生箇所数、アークプラズ
マの大きさや密度等が変化することであり、これらが変
化しても薄膜の密着性および平滑性を良好に保つために
は、前述したように薄膜形成装置の多様な状態や薄膜形
成の多様な仕様に対して、従来技術のように窒素ガス流
量や真空容器内圧力そのものを固定するのではなく、こ
の発明に係る方法のように、アークプラズマの発光スペ
クトル強度を測定し、その情報を元に例えば窒素ガス流
量やアーク電流をダイナミックに変化させることによっ
て、陰極構成元素の内の一つが発する発光スペクトルの
強度と窒素が発する発光スペクトルの強度との比(発光
スペクトル強度比)を一定の範囲内に保ってボンバード
工程を行うことによって、密着性および平滑性の高い薄
膜を容易にかつ安定性良く形成できることが確かめられ
た。
【0026】この発明に係る薄膜形成装置の一つは、前
記ガス導入手段から真空容器内に導入する窒素ガスの流
量を制御する流量調節器と、前記アーク式蒸発源が生成
するアークプラズマの発光スペクトル強度を測定する分
光光度計と、この分光光度計で測定した、前記陰極構成
元素の内の一つが発する発光スペクトルの強度と窒素が
発する発光スペクトルの強度との比を求める演算手段
と、陰極物質イオンを負バイアス電圧を印加した基体に
入射させて基体表面の清浄化および基体の加熱を行うボ
ンバード工程中に、前記演算手段で求めた発光スペクト
ル強度比が一定の範囲内に納まるように、前記流量調節
器を制御して前記真空容器内に導入する窒素ガスの流量
を制御する制御手段とを備えることを特徴としている。
【0027】この薄膜形成装置によれば、分光光度計で
測定した発光スペクトル強度に基づいて前記発光スペク
トル強度比を演算手段によって求め、その発光スペクト
ル強度比がボンバード工程中に一定の範囲内に納まるよ
うに窒素ガス流量を制御手段によってダイナミックに制
御することができるので、ボンバード工程中の前記発光
スペクトル強度比を自動的にかつ正確に制御することが
できる。その結果、密着性および平滑性の高い薄膜を容
易にかつ安定性良く形成することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】図1は、この発明に係る薄膜形成
方法を実施する薄膜形成装置の一例を示す図である。図
10の従来例と同一または相当する部分には同一符号を
付し、以下においては当該従来例との相違点を主に説明
する。
【0029】この薄膜形成装置は、前述したガス導入口
6に接続された流量調節器36と、この流量調節器36
に接続された窒素ガス源34とを備えており、これらに
よって、真空容器2内に窒素ガス8を導入するガス導入
手段32を構成している。流量調節器36は、後述する
制御装置52による制御に基づいて、窒素ガス源34か
ら真空容器2内に導入する窒素ガス8の流量を制御す
る。
【0030】この薄膜形成装置は、更に、分光光度計4
4、記憶装置48、演算回路50および制御装置52等
を備えている。
【0031】分光光度計44は、前述したアーク式蒸発
源20が生成するアークプラズマ26の発光スペクトル
強度を測定する。アーク式蒸発源20は、前述したよう
に、この例では真空容器2の側面に合計で4台取り付け
ているけれども、4台のアーク式蒸発源20は通常は互
いに同じ仕様であるから、この例では1台の分光光度計
44を設けて、4台の内の任意の1台のアーク式蒸発源
20を代表とし、そのアークプラズマ26を当該分光光
度計44で測定するようにしている。そのために、真空
容器2に観測窓38を設け、そこに分光光度計44用の
受光部40を取り付け、両者間を光ファイバ42で接続
している。
【0032】分光光度計44は、例えば、株式会社ユニ
ソク製の型式MD800であり、測定の際の最大分解能
を0.0125nm/1div、計測時間を25ms/
1div、積算回数を5回に設定した。測定環境は室温
である。また、受光部40として、波長200nm〜8
00nmまでの測定感度が平均感度指数±10%、暗電
流による測定誤差が500cps以下の空冷式光電子検
出器を用い、任意の1台のアーク式蒸発源20の陰極2
2からその蒸発面の法線方向に距離Z=80mm±5m
m離れた位置のアークプラズマ26を、立体角θ=5°
±1°の範囲で側面より測定するように配置している。
【0033】この分光光度計44によって、ボンバード
工程中に、陰極22を構成する元素の内の一つが発する
発光スペクトル強度IK と、真空容器2内に窒素ガス8
として導入された窒素が発する発光スペクトルの強度I
N とをそれぞれ測定し、この例ではそれらIK 、IN
A/D変換器によってA/D変換して、記憶装置48に
それぞれ格納(記憶)する。陰極22を構成する元素の
内の一つというのは、例えば陰極22が単一の金属から
成る場合はその金属、陰極22が合金から成る場合はそ
の合金を構成する元素の内の一つ、という意味である。
記憶装置48を用いるのは、この例では1台の分光光度
計44で、陰極構成元素の発光スペクトル強度IK と窒
素の発光スペクトル強度IN とを順次測定するため、両
方の測定結果IK 、IN を一旦格納しておくためであ
る。陰極構成元素や窒素が発する発光スペクトルには、
何種類かの波長がそれぞれ存在するので、それらの内で
も発光強度の特に強い波長の発光スペクトルを測定する
のが好ましく、そのようにすれば発光スペクトルの測定
が容易かつ正確になる。
【0034】陰極22の材質、その測定元素と好ましい
測定波長および窒素の好ましい測定波長の組み合わせの
例を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】なお分光光度計44は1台のアーク式蒸発
源20のアークプラズマ26しか観測しないけれども、
基体10の処理(ボンバード工程等)に実際に使用する
台数(例えば4台)のアーク式蒸発源20を全て定常状
態に動作させた状態で測定を行うのが好ましい。そのよ
うにすれば、実際の処理と同じ条件で測定が可能にな
り、測定がより正確になる。
【0037】上記のようにして記憶装置48に格納した
二つの発光スペクトルの強度IK およびIN を用いて、
演算回路50によって、両者の比(発光スペクトル強度
比)IN /IK を求める。
【0038】そして、この発光スペクトル強度比IN
K を制御装置52に取り込む。制御装置52は、ボン
バード工程中に、この比IN /IK が一定の範囲内に納
まるように、この例ではD/A変換器54を介して前記
流量調節器36を制御して、真空容器2内に導入する窒
素ガス8の流量を制御する。具体的には、発光スペクト
ル強度比IN /IK が低下した場合は、アークプラズマ
26中の窒素成分が不足しているから窒素ガス流量を増
大させ、当該比IN /IK が上昇した場合は、アークプ
ラズマ26中の窒素成分が過多だから窒素ガス流量を減
少させる。
【0039】更に、この制御装置52によって、上記の
ように流量調節器36を制御して真空容器2内に導入す
る窒素ガス8の流量を制御するのと併せて、D/A変換
器56を介して前記4台のアーク式蒸発源20用の4台
のアーク電源30を全て同じように制御して、各アーク
式蒸発源20(より具体的にはその陰極22)に供給す
るアーク電流Iaを制御し、それによってボンバード工
程中の前記発光スペクトル強度比IN /IK が一定の範
囲内に納まるようにしても良い。具体的には、発光スペ
クトル強度比IN /IK が低下した場合は、アークプラ
ズマ26中の陰極成分が相対的に多過ぎるのだからアー
ク電流Iaを減少させ、当該比IN /IK が上昇した場
合は、アークプラズマ26中の陰極成分が相対的に少な
過ぎるのだからアーク電流Iaを増大させる。
【0040】このようにアーク電流Iaの制御を併用す
ることは、必須ではないけれども、併用すれば、このア
ーク電流制御によってアークプラズマ26中の陰極成分
を増減させることができるので、これと窒素ガス流量制
御との両方によって、発光スペクトル強度比IN /IK
の制御可能範囲が増大し、窒素ガス流量制御だけでは上
記比IN /IK を一定範囲内に納めるのが困難な場合に
もそれを解決することが可能になる。
【0041】なお、上記観測窓38から制御装置52ま
でおよびD/A変換器56を、各アーク式蒸発源20に
ついてそれぞれ設けて、各アーク電源30をそれぞれ制
御するようにしても良い。その場合、流量調節器36
は、どれか一つの制御装置52で制御すれば良い。従っ
てD/A変換器54は1台で良い。但し、各アーク式蒸
発源20は通常は互いに同じ仕様であるので、この実施
例のように観測窓38からD/A変換器56までを一組
だけ設けて上記のように制御することは可能であり、そ
れの方が構成および制御が簡単になる。
【0042】また、上記記憶装置48から制御装置52
までを、一つのコンピュータで構成しても良い。
【0043】アーク式蒸発源20の数は、この例のよう
に4台に限らず、1台以上で任意である。
【0044】各アーク式蒸発源20の陰極22には、通
常は前述したように金属または合金が用いられる。アー
ク式蒸発源20が複数台ある場合は、通常は全ての陰極
22に同じ材質が用いられる。この陰極22に、例えば
元素周期表の4A族(Ti、Zr、Hf)、5A族
(V、Nb、Ta)もしくは6A族(Cr、Mo、W)
の金属(いわゆる高融点金属)またはこれらの金属を一
つ以上含む合金(例えばTiAl)を用いれば、基体1
0の表面に、これらの金属または合金の窒化物膜である
硬質セラミックス膜を形成することができる。
【0045】上記のようにして、前述した発光スペクト
ル強度比IN /IK を一定の範囲内に保ってボンバード
工程を行った後に成膜工程を行うと、具体例は後で詳述
するけれども、多数の基体10をバッチ処理する場合は
もとより、基体10の形状や充填率等の異なる場合で
も、更には真空容器2の形状や大きさ等に依存せずに、
密着性および平滑性の高い薄膜を安定して形成すること
が可能になることが確かめられた。その結果、窒素ガス
流量一定制御のボンバード工程を採用する従来法で薄膜
形成された製品に欠けていた品質の安定性、製品製造の
信頼性が向上し、ひいては製品の歩留まりが向上し、生
産性が向上する。しかも、発光スペクトル強度比IN
K を一定の範囲内に納めることは、例えば前述したよ
うに真空容器2内に導入する窒素ガス8の流量制御によ
って、あるいはそれとアーク電流Iaの制御の併用によ
って、簡単に行うことができるので、ボンバード工程時
に厳密な条件設定を必要とする前述した従来技術に比べ
て遙かに容易である。
【0046】表1に示した番号1の組み合わせで、アー
ク電流Iaを80Aとしてボンバード工程時の発光スペ
クトル強度比IN /ITi(IN は、窒素の波長357.
69nmの発光スペクトル強度。ITiは、Tiの波長3
34.188nmの発光スペクトル強度。以下同じ)を
変化させた場合に得られた窒化チタン(TiN)薄膜の
特性の測定結果を図2に示す。この場合も、従来技術の
場合と同様、薄膜の密着性をスクラッチ強度(N)で評
価し、薄膜の平滑性を膜表面の平均粗さRa(μm)で
評価した(図3〜図9、表2〜表4においても同様)。
なお、この発光スペクトル強度比IN /ITiは、分光光
度計44における暗電流による測定誤差500cpsを
それぞれの発光スペクトル強度値より差し引いた発光ス
ペクトル強度IN とITiとの比である(以下においても
同様)。陰極22には純度99%以上のTiを用いた。
【0047】この図2から、AB間、即ち 0.007≦IN /ITi≦2.2 の範囲で、薄膜の密着性および平滑性の両方が高い(良
好である)ことが分かる。従って、表1に示した番号1
の組み合わせの場合は、上記比IN /ITiをこの範囲内
に保ってボンバード工程を行えば良く、この薄膜形成方
法はそのようにするものである。
【0048】図2と同じ条件で、アーク電流Iaだけを
140Aに増加したときの測定結果を図3に示す。アー
ク電流Iaを増加させたのは、基体10の充填率を増大
させ、ボンバードによる同一基体加熱温度を得るためで
ある(以下においても同様)。この図に示すように、ア
ーク電流Iaを増加させても、密着性と平滑性を両立さ
せる発光スペクトル強度比IN /ITiの範囲は0.00
7〜2.2であり、図2の場合と変わらない。このこと
は、発光スペクトル強度比IN /ITiを一定の範囲内に
納めれば、基体10の充填率に依らず、密着性および平
滑性に優れた薄膜を安定して形成することができること
を表している。
【0049】次に、表1に示した番号2の組み合わせ
で、アーク電流Iaを80Aとしてボンバード工程時の
発光スペクトル強度比IN /ITiを変化させた場合に得
られた窒化チタンアルミニウム(TiAlN)薄膜の特
性の測定結果を図4に示し、アーク電流Iaを140A
に増加したときの測定結果を図5に示す。この場合、陰
極22には、Alを75原子%含むTiAl合金を用い
たが、Alの含有率を40原子%から90原子%まで変
化させても、図4および図5とほぼ同じ結果が得られ
た。
【0050】この図4および図5から、AB間、即ち 0.2≦IN /ITi≦1.0 の範囲で、薄膜の密着性および平滑性の両方が高いこと
が分かる。従って、表1に示した番号2の組み合わせの
場合は、上記比IN /ITiをこの範囲に保ってボンバー
ド工程を行えば良く、この薄膜形成方法はそのようにす
るものである。
【0051】陰極22が合金の場合、その構成元素のど
れが発する発光スペクトルの強度を測定しても良い。例
えば上記のようなチタンアルミニウム合金の場合、表1
に示した番号3の組み合わせのように、チタンの代わり
にアルミニウムの発光スペクトルの強度を測定しても良
い。
【0052】この番号3の組み合わせで、アーク電流I
aを80Aとしてボンバード工程時の発光スペクトル強
度比IN /IAl(IAlは、Alの波長309nmの発光
スペクトル強度)を変化させた場合に得られた窒化チタ
ンアルミニウム薄膜の特性の測定結果を図6に示し、ア
ーク電流Iaを140Aに増加したときの測定結果を図
7に示す。陰極22のAl含有率は上記と同じである。
【0053】この図6および図7から、AB間、即ち 0.6≦IN /IAl≦1.0 の範囲で、薄膜の密着性および平滑性の両方が高いこと
が分かる。従って、表1に示した番号3の組み合わせの
場合は、上記比IN /IAlをこの範囲に保ってボンバー
ド工程を行えば良く、この薄膜形成方法はそのようにす
るものである。
【0054】次に、表1に示した番号4の組み合わせ
で、アーク電流Iaを60Aとしてボンバード工程時の
発光スペクトル強度比IN /ICr(ICrは、Crの波長
359.5nmの発光スペクトル強度)を変化させた場
合に得られた窒化クロム(CrN)薄膜の特性の測定結
果を図8に示し、アーク電流Iaを120Aに増加した
ときの測定結果を図9に示す。陰極22には、純度99
%以上のCrを用いた。
【0055】この図8および図9から、AB間、即ち 1.0≦IN /ICr≦1.2 の範囲で、薄膜の密着性および平滑性の両方が高いこと
が分かる。従って、表1に示した番号4の組み合わせの
場合は、上記比IN /ICrをこの範囲に保ってボンバー
ド工程を行えば良く、この薄膜形成方法はそのようにす
るものである。
【0056】なお、成膜工程時のバイアス電圧Vbにつ
いて言えば、アーク式蒸発源20の陰極22の前面付近
には、陰極物質イオンの集まった正電位のクラウドが形
成され、基体10に印加するバイアス電圧Vbが0Vで
あっても、この正電位クラウドによる電位差によって陰
極物質イオンが基体10に向けて加速されるので、成膜
工程時に基体10に印加するバイアス電圧Vbは0Vで
も良い。
【0057】
【実施例】図1に示した薄膜形成装置(アーク式蒸発源
20は4台)を用いて、陰極22をTiとし、基体10
を高速度工具鋼のドリルとして、その表面にTiN薄膜
を形成した結果を表2に示す。基体の充填率が大幅に異
なる2種類のロットについて比較を行った。基体10の
数に応じて、ボンバードによる同一加熱温度を確保する
ために、アーク電流Iaの設定を変えている。表中の比
較例は、ボンバード工程の「制御方法」に示すように、
従来技術に従って、ボンバード工程中に窒素ガス流量を
一定に制御したものである。実施例は、この発明に従っ
て、ボンバード工程中に発光スペクトル強度比IN /I
Tiを一定に制御したものである。この発光スペクトル強
度比の制御は、この実施例では、アーク電流Iaを固定
しておいて、流量調節器36の制御による窒素ガス導入
量の制御によって行った。得られた薄膜の密着性は、前
記と同様、スクラッチ強度で評価した。平滑性は、前記
と同様、平均表面粗さで評価した。従って平滑性は、そ
の値が大きいほど悪いことになる。
【0058】
【表2】
【0059】この表2に示すように、基体の充填率が異
なる場合に、ボンバードによる同一加熱温度を確保する
ためにはアーク電流を変えざるを得ないが、従来技術で
は、前述したように、アーク電流を変えると薄膜の密着
性と平滑性の両方を満たす窒素ガス流量が変化してしま
う。このため、比較例のように同一の窒素ガス流量でボ
ンバード工程を実施した場合、基体を120本充填した
ロット番号2は、薄膜の平滑性が極端に悪く不良となっ
た。これを回避するためには、従来技術では前述したよ
うに、厳密な条件設定を行う必要があり、多くの時間、
労力、費用等がかかる。これに対して、実施例のように
ボンバード工程中の発光スペクトル強度比IN /ITi
一定に保つと、基体充填率の異なったロット番号3およ
び4の両方とも、不良の発生はなく、薄膜の密着性およ
び平滑性の両方が良好であった。
【0060】次に、表2の場合と同様にして、陰極22
をAlを75原子%含むTiAlとし、基体10を複数
本の超硬合金のドリルとして、その表面にTiAlN薄
膜を形成した結果を表3に示す。
【0061】
【表3】
【0062】この例の場合も、比較例ではロット番号2
の薄膜の平滑性が極端に悪くなったのに対して、実施例
ではロット番号3および4の両方とも、薄膜の密着性お
よび平滑性の両方が良好であった。
【0063】更に、表2の場合と同様にして、陰極22
をCrとし、基体10を複数本のステンレスのシャフト
として、その表面にCrN薄膜を形成した結果を表4に
示す。
【0064】
【表4】
【0065】この例の場合も、比較例ではロット番号2
の薄膜の平滑性が極端に悪くなったのに対して、実施例
ではロット番号3および4の両方とも、薄膜の密着性お
よび平滑性の両方が良好であった。
【0066】
【発明の効果】この発明は、上記のとおり構成されてい
るので、次のような効果を奏する。
【0067】請求項1記載の薄膜形成方法によれば、陰
極構成元素の内の一つが発する発光スペクトルの強度と
窒素が発する発光スペクトルの強度との比を一定の範囲
内に保ってボンバード工程を行うので、密着性および平
滑性の高い薄膜を容易にかつ安定性良く形成することが
できる。その結果、薄膜形成の信頼性、得られた薄膜特
性の安定性が向上し、ひいては薄膜形成品の歩留まりが
向上し、更には生産性も向上する。
【0068】請求項2ないし5記載の薄膜形成方法によ
れば、陰極構成元素および窒素が発する発光スペクトル
の内で、発光強度の特に強い波長の発光スペクトルを測
定するので、発光スペクトルの測定が容易かつ正確にな
り、ひいては発光スペクトル強度比の制御も容易かつ正
確になる。
【0069】請求項6記載の薄膜形成装置によれば、分
光光度計で測定した発光スペクトル強度に基づいて発光
スペクトル強度比を演算手段によって求め、その発光ス
ペクトル強度比がボンバード工程中に一定の範囲内に納
まるように窒素ガス流量を制御手段によって制御するこ
とができるので、ボンバード工程中の発光スペクトル強
度比を自動的にかつ正確に制御することができる。その
結果、密着性および平滑性の高い薄膜を容易にかつ安定
性良く形成することができる。
【0070】請求項7記載の薄膜形成装置によれば、窒
素ガス流量制御とアーク電流制御とを併用することがで
きるので、発光スペクトル強度比の制御可能範囲が増大
し、窒素ガス流量制御だけでは発光スペクトル強度比を
一定範囲内に納めるのが困難な場合にも、それをアーク
電流制御の併用によって解決することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る薄膜形成方法を実施する薄膜形
成装置の一例を示す図である。
【図2】陰極がチタン、アーク電流が80Aの場合のボ
ンバード工程時の発光スペクトル強度比に対する薄膜特
性の一例を示す図である。
【図3】陰極がチタン、アーク電流が140Aの場合の
ボンバード工程時の発光スペクトル強度比に対する薄膜
特性の一例を示す図である。
【図4】陰極がチタンアルミニウム合金、アーク電流が
80Aの場合のボンバード工程時の発光スペクトル強度
比に対する薄膜特性の一例を示す図である。
【図5】陰極がチタンアルミニウム合金、アーク電流が
140Aの場合のボンバード工程時の発光スペクトル強
度比に対する薄膜特性の一例を示す図である。
【図6】陰極がチタンアルミニウム合金、アーク電流が
80Aの場合のボンバード工程時の発光スペクトル強度
比に対する薄膜特性の他の例を示す図である。
【図7】陰極がチタンアルミニウム合金、アーク電流が
140Aの場合のボンバード工程時の発光スペクトル強
度比に対する薄膜特性の他の例を示す図である。
【図8】陰極がクロム、アーク電流が60Aの場合のボ
ンバード工程時の発光スペクトル強度比に対する薄膜特
性の一例を示す図である。
【図9】陰極がクロム、アーク電流が120Aの場合の
ボンバード工程時の発光スペクトル強度比に対する薄膜
特性の一例を示す図である。
【図10】従来の薄膜形成装置の一例を示す図である。
【図11】陰極がチタン、アーク電流が80Aの場合の
ボンバード工程時の窒素ガス導入量に対する薄膜特性の
一例を示す図である。
【図12】陰極がチタン、アーク電流が140Aの場合
のボンバード工程時の窒素ガス導入量に対する薄膜特性
の一例を示す図である。
【図13】陰極がチタン、アーク電流が80Aの場合の
ボンバード工程時の真空容器内圧力に対する薄膜特性の
一例を示す図である。
【図14】陰極がチタン、アーク電流が140Aの場合
のボンバード工程時の真空容器内圧力に対する薄膜特性
の一例を示す図である。
【図15】陰極がチタンアルミニウム合金、アーク電流
が80Aの場合のボンバード工程時の窒素ガス導入量に
対する薄膜特性の一例を示す図である。
【図16】陰極がチタンアルミニウム合金、アーク電流
が140Aの場合のボンバード工程時の窒素ガス導入量
に対する薄膜特性の一例を示す図である。
【図17】陰極がチタンアルミニウム合金、アーク電流
が80Aの場合のボンバード工程時の真空容器内圧力に
対する薄膜特性の一例を示す図である。
【図18】陰極がチタンアルミニウム合金、アーク電流
が140Aの場合のボンバード工程時の真空容器内圧力
に対する薄膜特性の一例を示す図である。
【図19】陰極がクロム、アーク電流が60Aの場合の
ボンバード工程時の窒素ガス導入量に対する薄膜特性の
一例を示す図である。
【図20】陰極がクロム、アーク電流が120Aの場合
のボンバード工程時の窒素ガス導入量に対する薄膜特性
の一例を示す図である。
【図21】陰極がクロム、アーク電流が60Aの場合の
ボンバード工程時の真空容器内圧力に対する薄膜特性の
一例を示す図である。
【図22】陰極がクロム、アーク電流が120Aの場合
のボンバード工程時の真空容器内圧力に対する薄膜特性
の一例を示す図である。
【符号の説明】
2 真空容器 8 窒素ガス 10 基体 12 ホルダ 16 バイアス電源 20 アーク式蒸発源 22 陰極 24 陰極物質 26 アークプラズマ 30 アーク電源 32 ガス導入手段 36 流量調節器 44 分光光度計 48 記憶装置 50 演算回路 52 制御装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平塚 治男 京都府京都市右京区梅津高畝町47番地 日 新電機株式会社内 (72)発明者 緒方 潔 京都府京都市右京区梅津高畝町47番地 日 新電機株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アーク放電によって陰極を溶解させて陰
    極物質を蒸発させると共に当該陰極の前方近傍にアーク
    プラズマを生成するアーク式蒸発源を用いて、窒素ガス
    雰囲気中において、基体に負のバイアス電圧を印加した
    状態で、前記アークプラズマによってイオン化された陰
    極物質イオンを基体に入射させて基体表面の清浄化およ
    び基体の加熱を行うボンバード工程と、 前記アーク式蒸発源を用いて、窒素ガス雰囲気中におい
    て、前記基体に0または負のバイアス電圧を印加した状
    態で、前記ボンバード工程後の基体の表面に、前記陰極
    物質の窒化物から成る薄膜を形成する成膜工程とを備え
    る薄膜形成方法において、 前記ボンバード工程中の前記アークプラズマの発光スペ
    クトル強度を測定し、前記陰極構成元素の内の一つが発
    する発光スペクトルの強度と窒素が発する発光スペクト
    ルの強度との比を一定の範囲内に保ってボンバード工程
    を行うことを特徴とする薄膜形成方法。
  2. 【請求項2】 前記陰極がチタンから成り、チタンの3
    34.188nmの波長の発光スペクトルの強度ITi
    対する窒素の357.69nmの波長の発光スペクトル
    の強度IN の比IN /ITiを、0.007以上2.2以
    下に保ってボンバード工程を行う請求項1記載の薄膜形
    成方法。
  3. 【請求項3】 前記陰極がチタンアルミニウム合金から
    成り、チタンの334.188nmの波長の発光スペク
    トルの強度ITiに対する窒素の357.69nmの波長
    の発光スペクトルの強度IN の比IN /ITiを、0.2
    以上1.0以下に保ってボンバード工程を行う請求項1
    記載の薄膜形成方法。
  4. 【請求項4】 前記陰極がチタンアルミニウム合金から
    成り、アルミニウムの309nmの波長の発光スペクト
    ルの強度IAlに対する窒素の357.69nmの波長の
    発光スペクトルの強度IN の比IN /IAlを、0.6以
    上1.0以下に保ってボンバード工程を行う請求項1記
    載の薄膜形成方法。
  5. 【請求項5】 前記陰極がクロムから成り、クロムの3
    59.5nmの波長の発光スペクトルの強度ICrに対す
    る窒素の357.69nmの波長の発光スペクトルの強
    度IN の比IN /ICrを、1.0以上1.2以下に保っ
    てボンバード工程を行う請求項1記載の薄膜形成方法。
  6. 【請求項6】 真空に排気される真空容器と、この真空
    容器内に窒素ガスを導入するガス導入手段と、前記真空
    容器内に設けられていて基体を保持するホルダと、この
    ホルダに保持された基体に負のバイアス電圧を印加する
    バイアス電源と、前記真空容器に、その内部のホルダに
    保持される基体に向けて取り付けられていて、アーク放
    電によって陰極を溶解させて陰極物質を蒸発させると共
    に当該陰極の前方近傍にアークプラズマを生成するアー
    ク式蒸発源と、このアーク式蒸発源にアーク電流を供給
    するアーク電源とを備える薄膜形成装置において、 前記ガス導入手段から真空容器内に導入する窒素ガスの
    流量を制御する流量調節器と、前記アーク式蒸発源が生
    成するアークプラズマの発光スペクトル強度を測定する
    分光光度計と、この分光光度計で測定した、前記陰極構
    成元素の内の一つが発する発光スペクトルの強度と窒素
    が発する発光スペクトルの強度との比を求める演算手段
    と、陰極物質イオンを負バイアス電圧を印加した基体に
    入射させて基体表面の清浄化および基体の加熱を行うボ
    ンバード工程中に、前記演算手段で求めた発光スペクト
    ル強度比が一定の範囲内に納まるように、前記流量調節
    器を制御して前記真空容器内に導入する窒素ガスの流量
    を制御する制御手段とを備えることを特徴とする薄膜形
    成装置。
  7. 【請求項7】 前記制御手段は、前記流量調節器を制御
    して真空容器内に導入する窒素ガスの流量を制御すると
    共に、前記アーク電源を制御して前記アーク式蒸発源に
    供給するアーク電流を制御し、それによってボンバード
    工程中の前記発光スペクトル強度比が一定の範囲内に納
    まるようにするものである請求項6記載の薄膜形成装
    置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2000056947A1 (fr) * 1999-03-23 2000-09-28 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Procede d'evaporation a arc sous vide, systeme d'evaporation a arc sous vide et outil de coupe rotatif

Cited By (2)

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WO2000056947A1 (fr) * 1999-03-23 2000-09-28 Sumitomo Electric Industries, Ltd. Procede d'evaporation a arc sous vide, systeme d'evaporation a arc sous vide et outil de coupe rotatif
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