JPH1161323A - 高強度ダクタイル鋳鉄およびその熱処理方法 - Google Patents
高強度ダクタイル鋳鉄およびその熱処理方法Info
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- JPH1161323A JPH1161323A JP24775697A JP24775697A JPH1161323A JP H1161323 A JPH1161323 A JP H1161323A JP 24775697 A JP24775697 A JP 24775697A JP 24775697 A JP24775697 A JP 24775697A JP H1161323 A JPH1161323 A JP H1161323A
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- cast iron
- strength
- ductile cast
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 ダクタイル鋳鉄およびその熱処理方法に関
し、高い抗折力と大きな伸びを備えるダクタイル鋳鉄を
得ること。 【解決手段】 少なくとも珪素を３．２乃至４．５重量
％含有するダクタイル鋳鉄に、焼き入れ焼き戻し処理を
施すことによって初析フェライトとトルースタイトの析
出した生地組織を有する高強度ダクタイル鋳鉄および、
少なくとも珪素を３．２乃至４．５重量％含有するダク
タイル鋳鉄に対して、焼き入れ温度を８５０〜９５０℃
に保持した後油冷すると共に焼き戻し温度を４５０〜５
５０℃に保持した後空冷する高強度ダクタイル鋳鉄の熱
処理方法である。
し、高い抗折力と大きな伸びを備えるダクタイル鋳鉄を
得ること。 【解決手段】 少なくとも珪素を３．２乃至４．５重量
％含有するダクタイル鋳鉄に、焼き入れ焼き戻し処理を
施すことによって初析フェライトとトルースタイトの析
出した生地組織を有する高強度ダクタイル鋳鉄および、
少なくとも珪素を３．２乃至４．５重量％含有するダク
タイル鋳鉄に対して、焼き入れ温度を８５０〜９５０℃
に保持した後油冷すると共に焼き戻し温度を４５０〜５
５０℃に保持した後空冷する高強度ダクタイル鋳鉄の熱
処理方法である。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】この発明は、高い抗折力と大きな
伸びを備えるダクタイル鋳鉄およびその熱処理方法に関
する。
伸びを備えるダクタイル鋳鉄およびその熱処理方法に関
する。
【０００２】
【従来の技術】ダクタイル鋳鉄が、高い抗折力と耐摩耗
性を必要とされる場合には、焼き入れ焼き戻し処理をす
るか、またはＡＤＩ処理を施して使われていた。焼き入
れ焼き戻しの熱処理は、生地組織をトルースタイトにし
て硬度と強度を上昇させたものであり、ＡＤＩ処理は、
ダクタイル鋳鉄の生地組織をベイナイト化し、強度及び
伸びを上昇させたものである。しかしながら、現状のダ
クタイル鋳鉄の焼入れ焼戻しの熱処理では、抗折力と伸
びが小さく、肉薄の部材に使用することができず、他
方、ＡＤＩ処理は熱処理コストが高く実用的ではなかっ
た。従来のダクタイル鋳鉄の化学成分と物性値を表１と
表２に示す。
性を必要とされる場合には、焼き入れ焼き戻し処理をす
るか、またはＡＤＩ処理を施して使われていた。焼き入
れ焼き戻しの熱処理は、生地組織をトルースタイトにし
て硬度と強度を上昇させたものであり、ＡＤＩ処理は、
ダクタイル鋳鉄の生地組織をベイナイト化し、強度及び
伸びを上昇させたものである。しかしながら、現状のダ
クタイル鋳鉄の焼入れ焼戻しの熱処理では、抗折力と伸
びが小さく、肉薄の部材に使用することができず、他
方、ＡＤＩ処理は熱処理コストが高く実用的ではなかっ
た。従来のダクタイル鋳鉄の化学成分と物性値を表１と
表２に示す。
【０００３】
【表１】
【０００４】
【表２】
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】このため、薄肉部材に
おいて、ＡＤＩ処理と同等の抗折力と伸びを有するダク
タイル鋳鉄の開発が求められていた。
おいて、ＡＤＩ処理と同等の抗折力と伸びを有するダク
タイル鋳鉄の開発が求められていた。
【０００６】本願発明は、ダクタイル鋳鉄に含有される
珪素の量に着目し，高硬度を有するトルースタイトと靱
性の高い初析フェライトを組み合せ析出させる点に着眼
点がある。
珪素の量に着目し，高硬度を有するトルースタイトと靱
性の高い初析フェライトを組み合せ析出させる点に着眼
点がある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記事情に鑑
みなされたものであり、少なくとも珪素を３．２乃至
４．５重量％含有するダクタイル鋳鉄に、焼き入れ焼き
戻し処理を施すことによって初析フェライトとトルース
タイトの析出した生地組織を有する高強度ダクタイル鋳
鉄および、少なくとも珪素を３．２乃至４．５重量％含
有するダクタイル鋳鉄に対して、焼き入れ温度を８５０
〜９５０℃に保持した後油冷すると共に焼き戻し温度を
４５０〜５５０℃に保持した後空冷する高強度ダクタイ
ル鋳鉄の熱処理方法である。
みなされたものであり、少なくとも珪素を３．２乃至
４．５重量％含有するダクタイル鋳鉄に、焼き入れ焼き
戻し処理を施すことによって初析フェライトとトルース
タイトの析出した生地組織を有する高強度ダクタイル鋳
鉄および、少なくとも珪素を３．２乃至４．５重量％含
有するダクタイル鋳鉄に対して、焼き入れ温度を８５０
〜９５０℃に保持した後油冷すると共に焼き戻し温度を
４５０〜５５０℃に保持した後空冷する高強度ダクタイ
ル鋳鉄の熱処理方法である。
【０００８】
【発明の実施の形態】本発明における高強度ダクタイル
鋳鉄は、組成の化学成分と好適な焼き入れ焼き戻しの熱
処理によって高い抗折力を付与することができるもので
ある。本発明における高強度ダクタイル鋳鉄の化学成分
を表３に示す。
鋳鉄は、組成の化学成分と好適な焼き入れ焼き戻しの熱
処理によって高い抗折力を付与することができるもので
ある。本発明における高強度ダクタイル鋳鉄の化学成分
を表３に示す。
【０００９】
【表３】
【００１０】珪素が３．２乃至４．５重量パーセント含
有させたダクタイル鋳鉄を温度８５０〜９５０℃で焼入
れすると、初析フェライトとマルテンサイトと残留オー
ステナイトを析出させることができる。更に、珪素の含
有量が高いために焼入れ性も上昇する。焼入れ後の生地
組織である初析フェライトとマルテンサイトと残留オー
ステナイトの混合組織は温度４５０〜５５０℃で焼戻し
処理を行うことにより、高硬度のトルースタイト組織と
靱性の高いフェライト組織に変化させ、強度が高く大き
な伸びを有する高強度ダクタイル鋳鉄が得られるのであ
る。この熱処理における条件としては、初析フェライト
を１０〜４０％析出させることが肝要であり、材料の化
学成分である炭素（Ｃ）と（Ｓｉ）の含有量によっても
変化するものである。また、抗折力・たわみ（伸び）・
硬度などの物性値は、トルースタイトとフェライトの割
合いによって変化するものである。
有させたダクタイル鋳鉄を温度８５０〜９５０℃で焼入
れすると、初析フェライトとマルテンサイトと残留オー
ステナイトを析出させることができる。更に、珪素の含
有量が高いために焼入れ性も上昇する。焼入れ後の生地
組織である初析フェライトとマルテンサイトと残留オー
ステナイトの混合組織は温度４５０〜５５０℃で焼戻し
処理を行うことにより、高硬度のトルースタイト組織と
靱性の高いフェライト組織に変化させ、強度が高く大き
な伸びを有する高強度ダクタイル鋳鉄が得られるのであ
る。この熱処理における条件としては、初析フェライト
を１０〜４０％析出させることが肝要であり、材料の化
学成分である炭素（Ｃ）と（Ｓｉ）の含有量によっても
変化するものである。また、抗折力・たわみ（伸び）・
硬度などの物性値は、トルースタイトとフェライトの割
合いによって変化するものである。
【００１１】
【実施例】高い抗折力と大きな伸びを必要とする部材の
ひとつであるゴムクローラの芯金に使用する材料をテス
トピースにしたテストデータを示す。表４はテストピー
ス１から６の化学成分を示す。
ひとつであるゴムクローラの芯金に使用する材料をテス
トピースにしたテストデータを示す。表４はテストピー
ス１から６の化学成分を示す。
【００１２】
【表４】
【００１３】テストピース１は従来のＦＣＤ４５０相当
の化学成分を有するダクタイル鋳鉄であり、テストピー
ス６は珪素量を４．５９重量％含むダクタイル鋳鉄であ
る。テストピース２から４は珪素量を３．２乃至４．５
重量％の範囲内で変えて鋳鉄品を鋳造し、テストピース
を製作した。該テストピースは、摂氏８８０度に７０分
間保持し、油冷して焼入れしたものを摂氏５００℃に２
時間保持した後、空冷する焼き戻しの熱処理を行った。
熱処理を行うことにより、鋳鉄の組織は高硬度のトルー
スタイトと靱性の高いフェライトにさせる。テストピー
ス１のＦＣＤ４５０相当のダクタイル鋳鉄の組織には、
初析フェライトが全く析出せず、高硬度のトルースタイ
ト組織が析出した。 テストピース６の珪素量を４．５
９重量％含むダクタイル鋳鉄には、高硬度のトルースタ
イト組織とフェライト組織が析出したが、フェライト組
織の割合がトルースタイト組織より多いものであった。
これに対して珪素量が３．２乃至４．５重量％になされ
たテストピース２から５は、そのいずれも初析フェライ
トとトルースタイトが析出し、析出した初析フェライト
の面積割合いがトルースタイトの面積割合いに対して１
０〜４０％であった。
の化学成分を有するダクタイル鋳鉄であり、テストピー
ス６は珪素量を４．５９重量％含むダクタイル鋳鉄であ
る。テストピース２から４は珪素量を３．２乃至４．５
重量％の範囲内で変えて鋳鉄品を鋳造し、テストピース
を製作した。該テストピースは、摂氏８８０度に７０分
間保持し、油冷して焼入れしたものを摂氏５００℃に２
時間保持した後、空冷する焼き戻しの熱処理を行った。
熱処理を行うことにより、鋳鉄の組織は高硬度のトルー
スタイトと靱性の高いフェライトにさせる。テストピー
ス１のＦＣＤ４５０相当のダクタイル鋳鉄の組織には、
初析フェライトが全く析出せず、高硬度のトルースタイ
ト組織が析出した。 テストピース６の珪素量を４．５
９重量％含むダクタイル鋳鉄には、高硬度のトルースタ
イト組織とフェライト組織が析出したが、フェライト組
織の割合がトルースタイト組織より多いものであった。
これに対して珪素量が３．２乃至４．５重量％になされ
たテストピース２から５は、そのいずれも初析フェライ
トとトルースタイトが析出し、析出した初析フェライト
の面積割合いがトルースタイトの面積割合いに対して１
０〜４０％であった。
【００１４】表５はテストピース１から６の物性値のテ
スト値を示す。
スト値を示す。
【００１５】
【表５】
【００１６】テストピースの物性値の測定は、図１に示
すごとく直径５０mmスパン３６０mmの受け台４を用い、
幅１２０mmの芯金押さえ治具１にテストピース２を取り
付けボルト３で固定し、受け台４の上に置き抗折テスト
をおこなった。
すごとく直径５０mmスパン３６０mmの受け台４を用い、
幅１２０mmの芯金押さえ治具１にテストピース２を取り
付けボルト３で固定し、受け台４の上に置き抗折テスト
をおこなった。
【００１７】その結果である表５を表６のグラフに示
す。
す。
【００１８】
【表６】
【００１９】テストピース１およびテストピース６では
抗折力が３７００乃至３８００kgであり、伸びに相当す
るたわみは約１２mmとなった。したがって、珪素の含有
量が３．２乃至４．５重量％の範囲を外れると、十分な
抗折力とたわみが得られないのである。一方、テストピ
ース２から５はいずれも抗折力が４０００kg以上とな
り、たわみも１３．５mm以上となった。
抗折力が３７００乃至３８００kgであり、伸びに相当す
るたわみは約１２mmとなった。したがって、珪素の含有
量が３．２乃至４．５重量％の範囲を外れると、十分な
抗折力とたわみが得られないのである。一方、テストピ
ース２から５はいずれも抗折力が４０００kg以上とな
り、たわみも１３．５mm以上となった。
【００２０】
【発明の効果】本発明は叙上の構成により、抗折力が高
く且つたわみが大きいため、使用時の衝撃などによる割
れを防止すると共に薄肉化して製品重量を低減させるこ
とができると言う著功を奏する。
く且つたわみが大きいため、使用時の衝撃などによる割
れを防止すると共に薄肉化して製品重量を低減させるこ
とができると言う著功を奏する。
【図１】 抗折テストの概要図
１・・・・・芯金押さえ治具 ２・・・・・テストピース ３・・・・・取り付けボルト ４・・・・・受け台
Claims (3)
- 【請求項１】 少なくとも珪素を３．２乃至４．５重量
％含有するダクタイル鋳鉄に、焼き入れ焼き戻し処理を
施すことによって初析フェライトとトルースタイトの析
出した生地組織を有する高強度ダクタイル鋳鉄。 - 【請求項２】 前記初析フェライトとトルースタイトの
析出した割合いは、初析フェライトの面積割合いがトル
ースタイトの面積割合いに対して、１０〜４０％である
請求項１記載の高強度ダクタイル鋳鉄。 - 【請求項３】 少なくとも珪素を３．２乃至４．５重量
％含有するダクタイル鋳鉄に対して、焼き入れ温度を８
５０〜９５０℃に保持した後油冷すると共に焼き戻し温
度を４５０〜５５０℃に保持した後空冷する高強度ダク
タイル鋳鉄の熱処理方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP24775697A JPH1161323A (ja) | 1997-08-27 | 1997-08-27 | 高強度ダクタイル鋳鉄およびその熱処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP24775697A JPH1161323A (ja) | 1997-08-27 | 1997-08-27 | 高強度ダクタイル鋳鉄およびその熱処理方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH1161323A true JPH1161323A (ja) | 1999-03-05 |
Family
ID=17168204
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP24775697A Pending JPH1161323A (ja) | 1997-08-27 | 1997-08-27 | 高強度ダクタイル鋳鉄およびその熱処理方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH1161323A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2009541591A (ja) * | 2006-07-03 | 2009-11-26 | ツァナルディ・フォンデリエ・ソシエタ・ペル・アチオニ | 球状鋳鉄製の機械部品の製造方法 |
| CN104878280A (zh) * | 2015-05-06 | 2015-09-02 | 柳州科尔特锻造机械有限公司 | 球墨铸铁磨球淬火工艺方法 |
| CN115233084A (zh) * | 2021-04-23 | 2022-10-25 | 日照东昌铸业股份有限公司 | 一种高强度球墨铸铁及其制备方法 |
-
1997
- 1997-08-27 JP JP24775697A patent/JPH1161323A/ja active Pending
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2009541591A (ja) * | 2006-07-03 | 2009-11-26 | ツァナルディ・フォンデリエ・ソシエタ・ペル・アチオニ | 球状鋳鉄製の機械部品の製造方法 |
| CN104878280A (zh) * | 2015-05-06 | 2015-09-02 | 柳州科尔特锻造机械有限公司 | 球墨铸铁磨球淬火工艺方法 |
| CN115233084A (zh) * | 2021-04-23 | 2022-10-25 | 日照东昌铸业股份有限公司 | 一种高强度球墨铸铁及其制备方法 |
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