JPH1161053A - 清浄化した金属表面に金属を接着する金属・ゴム複合製品の製造方法 - Google Patents

清浄化した金属表面に金属を接着する金属・ゴム複合製品の製造方法

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JPH1161053A
JPH1161053A JP21618297A JP21618297A JPH1161053A JP H1161053 A JPH1161053 A JP H1161053A JP 21618297 A JP21618297 A JP 21618297A JP 21618297 A JP21618297 A JP 21618297A JP H1161053 A JPH1161053 A JP H1161053A
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Toshiaki Imaeda
稔明 今枝
Takanori Sugiura
隆典 杉浦
Naoki Katayama
直樹 片山
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Sumitomo Riko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決課題】 金属・ゴム複合製品の製造において、有
機溶剤型接着剤を水性接着剤に代えることにより環境衛
生及び安全面等での改善を図るとともに、従来、水性接
着剤を用いる場合に問題となっていた、単位時間当たり
の生産性の低下及びエネルギーコストの増大という問題
を解消し、安全で効率的な金属・ゴム複合製品の製造方
法を提供することを目的とする。 【解決手段】 清浄化処理した金属表面に接着剤を用い
てゴムを接着する金属・ゴム複合製品の製造方法におい
て、清浄化処理工程に引き続いて該工程により温度の高
められた金属表面に水性接着剤を塗布する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属・ゴム複合製
品の製造方法、特に水性接着剤を用いた金属・ゴム複合
製品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】金属・ゴム複合製品の製造では、(a)接
着剤を使用しないで金属と未加硫ゴムとを加硫・成形工
程で直接接着する直接加硫接着、(b)非加硫接着剤を用
いて接着する間接接着、及び(c)加硫接着剤を用いて加
硫・接着する間接加硫接着が行なわれている。直接加硫
接着はスチールラジアルタイアの製造等で用いられてい
るが、金属表面に黄銅めっきや亜鉛めっきが必要であ
る。このため、一般には、間接接着または間接加硫接着
が行なわれている。
【0003】一般に、接着プロセスでは、被着材表面の
状態が接着性に大きく影響する。このため、接着に先立
ち被着面の清浄化処理が必須である。これらの処理を含
む従来の接着プロセスの典型的な例を図1に示す。図1
に示す通り、一般に、清浄化処理は、洗浄及び研磨から
選択される処理のうち1つ以上を含む。洗浄は被着面上
のイオン性汚れ(例えば塩類)の除去を目的とする水性
洗浄と、グリースやオイル等の油脂汚れの除去を目的と
する脱脂とを含む。研磨は、水性洗浄や脱脂では除きき
れない異物の除去及び被着面の粗面化による接着面積や
投錨効果の増加を目的とする。
【0004】清浄化処理では、本来の洗浄、研磨の後、
不要な洗浄剤や研磨材あるいはこれらの処理により発生
した異物を除去するため、その本来の処理に続いて、湯
洗及び熱風乾燥を行なう必要がある。この結果、清浄化
処理完了時では被着面は一般に高温となる。ところが、
従来、金属・ゴムの接着剤による接着は、塩化ゴム系
(ハロゲン化ゴム)、イソシアネート、フェノール系や
クロロスルホン化ポリエチレン系接着剤等、有機溶剤を
溶媒とする接着剤を用いて行なわれているため、そのま
ま接着剤を塗布すると接着時中の有機溶剤が急速に気化
し接着剤層に欠陥を生じたり、成膜が不均一になったり
する。このため、清浄化処理後、乾燥雰囲気下で放冷し
た後、接着剤塗布工程に導入する。接着剤塗布工程では
接着剤の塗布を行なうとともに溶剤を蒸発させて接着剤
層を乾燥させる。しかる後、ゴムと接合して金属・ゴム
複合体を形成する。間接加硫接着では、接合工程にてま
たはその後、加熱加硫して接着プロセスを完了させる。
【0005】有機溶剤系接着剤を用いた接着プロセス
は、比較的容易に均一な接着層を形成できるという特長
を有するが、ハロゲン化炭化水素等の有機溶剤を大量に
放出するため、作業の安全性、労働衛生面、あるいはオ
ゾン層の破壊等の環境への影響という面で問題が大き
い。法令上も有機溶剤の使用は制限される傾向にある。
このため、最近では、水性接着剤への転換が進められて
いる。しかしながら、水性接着剤は、溶媒である水の蒸
発潜熱が有機溶剤に比べて大きいため乾燥に時間が掛か
り、単位時間当たりの処理量が限定される。このため、
水性接着剤を用いた場合は、清浄化した金属材料を50
〜100℃の恒温室に保持し、接着剤塗布・乾燥工程の
処理能力に応じてプロセスを進める必要があるなど、プ
ロセス全体の生産性が低下する。接着剤の乾燥時間を短
縮するため乾燥工程をより高温にすることなども考えら
れるが、かかる方策はエネルギーコストの増大を招く。
また、接着層の部分的な過熱あるいは不均一な乾燥をも
たらす場合がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、金属・ゴム
複合製品の製造において、有機溶剤型接着剤を水性接着
剤に代えることにより環境衛生及び安全面等での改善を
図るとともに、従来、水性接着剤を用いる場合に問題と
なっていた、単位時間当たりの生産性の低下及びエネル
ギーコストの増大という問題を解消し、安全で効率的な
金属・ゴム複合製品の製造方法を提供することを目的と
する。
【0007】
【課題解決の手段】本発明者らは上記課題を解決すべく
鋭意検討した結果、従来、放冷工程等により隔てられて
いた被着面の清浄化処理工程と接着剤の塗布工程とを直
結することによって、金属とゴムの接着プロセスの効率
化が達成できることを見出し本発明を完成するに至っ
た。
【0008】すなわち、本発明は、下記の金属・ゴム複
合製品の製造方法を提供する。 (1)清浄化した金属表面に接着剤を用いてゴムを接着
する金属・ゴム複合製品の製造方法において、清浄化処
理に引き続いて該処理により温度の高められた金属表面
に水性接着剤を塗布することを特徴とする金属・ゴム複
合製品の製造方法。(2)金属表面温度を50〜100
℃に高めた状態で水性接着剤を塗布する前記1に記載の
金属・ゴム複合製品の製造方法。 (3)清浄化処理が、脱脂処理、ブラスト処理、ウエッ
トブラスト処理のいずれかまたはこれらの組み合わせで
ある前記1または2に記載の金属・ゴム複合製品の製造
方法。 (4)脱脂処理がアルカリ脱脂である前記3に記載の金
属・ゴム複合製品の製造方法。 (5)清浄化処理における金属表面の温度上昇が湯洗に
よるものである前記3に記載の金属・ゴム複合製品の製
造方法。 (6)清浄化処理における金属表面の温度上昇が湯洗及
び熱風乾燥によるものである前記3に記載の金属・ゴム
複合製品の製造方法。 (7)水性接着剤が水性エマルジョン接着剤である前記
1乃至6のいずれかに記載の金属・ゴム複合製品の製造
方法。 (8)水性エマルジョン接着剤が、ハロゲン化エラスト
マー、フェノール樹脂またはエポキシ樹脂を水中に乳化
させてなるものである前記7に記載の金属・ゴム複合製
品の製造方法。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明における被着面の清浄化
は、接着剤塗布の目的に適い最終段階で温度上昇を伴う
湯洗または乾燥工程を含むものであれば特に限定されな
いが、典型的には、図2に示す通り、水性洗浄、溶剤脱
脂若しくは研磨のいずれか、またはその1以上の処理の
組み合わせによる。以下、各処理について説明する。
【0010】(I)洗浄 洗浄工程は、従来法と同様に、被着面上のイオン性汚れ
(例えば塩類)の除去を目的とする水性洗浄と、グリー
スやオイル等の油脂汚れの除去を目的とする脱脂とを含
む。水性洗浄は脱イオン水またはポリオキシエチレンア
ルキルエーテル、アルキルベンゼンスルフォン酸塩等の
界面活性剤等の水溶性洗浄剤による。脱脂は、通常はア
ルカリ脱脂または溶剤脱脂による。アルカリ脱脂は、ア
ルカリ溶液を用いて被着面(金属表面)上のオイル・グ
リース等の油脂分あるいはイオン性の汚染等の水溶性汚
れを除くことを目的とする。アルカリとしては苛性ソー
ダ、リン酸ソーダ、ケイ酸ソーダ、炭酸ソーダ等が用い
られる。アルカリ脱脂液の濃度は通常2〜10wt%程
度である。
【0011】なお、従来の脱脂法では、不燃性溶剤であ
るパークレン、トリエタン等の塩素系有機溶剤が用いら
れてきたが、これらの塩素系有機溶剤は前述の通り使用
が制限される傾向にあり、近年では、アルカリ脱脂や石
油溶剤系脱脂が主流となりつつある。しかし、石油溶剤
系脱脂剤は引火性があり、かつ人体への影響を考えると
アルカリ脱脂剤が良い。洗浄方法は既知のいずれの方法
を利用してもよい。例えば、浸漬、撹拌、超音波洗浄、
洗浄液の吹き付け、布等による拭き取り等を挙げること
ができる。これらの方法を組み合わせてもよい。洗浄
後、水洗し、さらに湯洗を経て熱風乾燥する。処理温度
及び保持時間については第(III)項において述べる。
【0012】(II)研磨 研磨は、前述の通り、洗浄工程で除去できなかった被着
面上の付着物を取り除くのと併せて、表面を適度に粗面
化することにより接着面積や投錨効果の増加を図るもの
である。この工程も従来の金属・ゴム複合方法における
研磨工程と同様に行なえばよい。研磨に用いる手段の例
としては、サンドペーパー(80〜320番研磨紙)、
バフ、ベルトサンダー、サンドブラスト、ショットブラ
スト、グリットブラスト、ワイヤーブラシ、高圧液体等
が挙げられる。いずれを用いてもよいが、無機物の粉体
または粒体を高速当射するブラスト法が好ましい。使用
する研磨材としては、スチール、アルミナ、グリーンカ
ーボンランダム、シリカ、ガラス、氷等が挙げられる。
【0013】研磨は一般的には大気中で行なうが、アル
カリ洗浄液等の液中でのブラスト処理(ウエットブラス
ト)も有効である。この場合、アルカリとしては苛性ソ
ーダ、リン酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩等が用いられる。ア
ルカリ液の濃度は通常2〜10wt%程度である。ウェ
ットブラスト処理後、水洗し、さらに湯洗あるいは蒸気
浴を経て熱風乾燥する。なお、接着プロセスでは、上記
の清浄化処理に加えて、被着面の接着剤に対する親和性
向上や防錆を目的として化成処理を行なうこともある
が、例えば、ステンレス鋼等は本来防錆性に優れてお
り、また、金属・ゴム複合製品の用途によっては防錆性
が要求されない場合もある。本発明はこのように化成処
理を含まない接着プロセスで特に有用である。
【0014】(III)接着剤塗布工程温度制御 従来の金属・ゴム複合製品の製造方法では、清浄化処理
後、被着材は一度放冷され、接着剤乾燥工程の処理能力
に応じて接着剤塗布工程に導かれていたが、本発明にお
いては、清浄化処理の後、被着材をそのまま接着剤塗布
工程に導入する。かかる構成を採ることにより、水性接
着剤の定着が迅速に進行し、かつ、エネルギー効率が著
しく改善される。接着剤塗布工程に導入する際の温度
は、好ましくは50〜100℃、より好ましくは70〜
90℃とする。温度が低過ぎると水性接着剤の乾燥・定
着が迅速に進行しない。温度が高すぎると、水分蒸発が
急速に起こって接着剤層に欠陥を生じたり、接着剤層の
部分的な過熱をもたらす場合がある。上記の温度は、前
述の清浄化処理工程での湯洗あるいは熱風乾燥の温度及
び加熱時間を調整することにより制御することができ
る。なお、従来の有機溶媒系接着剤では、被着面に水分
が残留していると当該部分への接着剤の乗りが低下して
接着剤層が不均一になるという問題があったが、本発明
では水性接着剤を用いるため、若干の水分は接着剤塗布
に影響しない。
【0015】塗布方法 接着剤の塗布は、常法にしたがい行なう。例えば、浸漬
法、フローガンやスプレーガン等を用いた吹き付け法、
ローラーやブレード等を用いた塗り付け法、刷毛等を用
いたその他の塗布法等が挙げられる。塗布厚は、通常5
〜20μm(乾燥時)程度である。
【0016】接着剤 本発明で用いられる水性接着剤の種類は特に限定されな
いが、有機溶剤の少ない水性エマルジョン接着剤が好ま
しい。一液型でも二液型のいずれでもよい。水性エマル
ジョン接着剤は界面活性剤を用いて高分子成分を乳化さ
せてなる接着剤である。ゴム−金属の接着においては、
高分子成分としてハロゲン化エラストマー、フェノール
樹脂及びエポキシ樹脂等を含む接着剤が特に有用であ
る。ハロゲン化エラストマーの例としては塩化ゴム、ク
ロロスルホン化ポリエチレン、臭素化塩素化ポリブタジ
エン等が挙げられる。フェノール樹脂としては、ノボラ
ック型、レゾール型及び各種の変性フェノール樹脂が含
まれる。高分子成分は、通常、接着剤中の基本成分の1
0〜70重量%である。10重量%未満であると十分な
接着効果が得られない。70重量%を超えて用いても他
の成分との協働による十分な作用が得られない。なお、
ここで基本成分とは、水やセロソルブ等の溶媒成分を除
く固形分の全体を意味している。
【0017】接着剤は各種の副成分、充填剤、増粘剤、
架橋剤、その他の添加剤・副成分を含むことができる。
充填剤の例としては、炭酸カルシウム、ジークライト、
シリカ、カオリンクレー、硫酸バリウム等が挙げられ
る。増粘剤の例としてはポリアクリル酸、シリカ、ベン
トナイト等が挙げられる。架橋剤の例としては多価金属
塩、ポリイソシアナート化合物、ポリエポキシ化合物、
ポリアミド化合物、ニトロソ化合物等が挙げられる。副
成分の例としては、酸化チタン、酸化鉛、酸化亜鉛等の
金属酸化物、カーボンブラック、ポリイミド化合物、イ
ソシアナート等が挙げられる。
【0018】固体含有量は、通常、約10〜70重量
%、好ましくは約30〜50重量%である。10重量%
未満であると接着剤塗布時に液だれが生じたり、十分な
厚みが得られない。あるいは十分な接着効果が得られ
ず、接着剤の乾燥にも長時間を要することになる。70
重量%を超えるとエマルジョンとして安定しない。な
お、このような接着剤は市販品を用いることができる。
例えば、ロード・コーポレーション(Lord Corporatio
n)やケメタル社(Chemetall GmbH)等より販売されてい
るケムロック805、メガム23500を含むプライマーあ
るいはケムロック8200、メガム23800を含むカバーコー
ト、PCT/US92/10248に記載されているクロロスルホン化
ポリエチレンを基材とする水性接着剤等が挙げられる。
【0019】乾燥 塗布した接着剤は、ゴムとの接合に先立ち乾燥させて溶
剤(水分)を除く。乾燥方法は種々知られているが、い
ずれを用いてもよい。例えば、熱風乾燥、電気や赤外線
ヒーターによる乾燥等が有用である。本発明の方法によ
れば、被着面が予め50℃以上の温度を有しているた
め、乾燥時間あるいは投入するエネルギー量を従来法の
30〜70%程度に低減することができる。
【0020】(IV)接着工程 以上の処理を経た被着面にゴムを接触させ、圧力及び/
または加熱により接着工程を完了させる。圧力は通常、
5〜30MPa程度であり、140〜200℃程度に加
熱する。3分〜1時間程度保持する。未加硫ゴムを用い
る場合は、上記の工程は、例えば、半融解状態のゴムを
被着面に射出成形することにより実施される。圧力成
形、トランスファー成形、オートクレーブ成形によって
もよい。本発明により複合し得るゴムと金属の種類は特
に限定されない。ゴム材料の例としては天然ゴム、ポリ
クロロプレン、ポリブタジエン、ブチルゴム、アクリロ
ニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、エ
チレンプロピレンゴム等が挙げられる。金属材料の例と
しては、鉄、鋼(ステンレス鋼を含む。)、鉛、アルミ
ニウム、銅、黄銅、モネルメタル、ニッケル、亜鉛等の
普通構造用金属が挙げられる。
【0021】
【実施例】以下、実施例、参考例及び比較例により本発
明を具体的に説明する。なお、以下の実施例・比較例で
は下記の接着剤を用いた。供試接着剤 (1)水性接着剤(実施例) ロードコーポレーション社製 ケムロック8007、ケムロ
ック8210を用いた。これは二液型水性加硫接着剤であ
り、第一液は主としてフェノール樹脂を含有し、第二液
は主としてハロゲン化エラストマーを含有する。 (2)有機溶剤系接着剤(参考例) ロードコーポレーション社製 ケムロック205、ケム
ロック220を用いた。これは第一液はフェノール樹
脂、第二液は塩化ゴムを主成分として含有する。
【0022】接着性評価方法 接着性の評価は、JIS K6301に準じ、図3に示すφ35
mmの平面部(被着 面)を有するスチール(SS4
1)製金具対(1,2)の間にゴム3を複合し、図中の
矢印方向に引張り速度100mm/分で引張り、破断時
点での引張り強さ及び破断状態の観察により行なった。
破断状態は、各部位における破断発生の割合を観察して
評価する。例えば、「R100」は破断が100%ゴム
層内で進行したことを示す。「RmMn」は破断のm%
がゴム層内で、n%がゴム層と金属層との界面で進行し
たことを示す。「RmCPn」は破断のm%がゴム層内
で、n%が接着層の下層(第一液)と上層(第二液)と
の界面で進行したことを示す。
【0023】実施例1 図3のスチール製金具対を室温で5wt%のケイ酸ソー
ダ複合アルカリ水溶液でスプレー脱脂を行うと同時に、
被着面をアルミナ製ブラスト材(平均粒径:0.2mm)
でウェットブラスト処理し、水洗し、しかる後、80℃
の温水を用いて2分間湯洗し、90℃の熱風で2分間乾
燥させた。引き続いて、上記の被着面に前記水性接着剤
の第一液をスプレー塗布し、60℃の恒温乾燥機内に3
分間保持して薬液を乾燥させ、次いで第二液を同様にス
プレー塗布し、同じく60℃の恒温乾燥機内に3分間保
持して薬液を乾燥させた。乾燥後の接着剤層の厚さは約
15μmであった。その後、JIS硬度60の天然ゴム
コンパウンドを上記被着面上にトランスファー成形し、
150℃で30分間15MPaの圧力下に維持して加硫
接着させた(ゴム層厚:15mm)。得られたテストピ
ースを上記破断試験により評価したところ、破断引張り
強さは9.8MPaであり、破断は100%ゴム層で発生
した(R100)。
【0024】参考例1〜2 実施例1の表面清浄化処理の最終段階における湯洗及び
熱風乾燥の後、被着材を乾燥容器内に保持して20℃程
度まで放冷した後、水性接着剤に代えて前記の有機溶剤
系接着剤を塗布した他は実施例1と同様にしてテストピ
ース(参考例1)を作製し、破断試験を行なった。破断
引張り強さは9.2MPaであり、破断は100%ゴム層
中で発生していた。なお、参考例1において湯洗及び熱
風乾燥を行なわなかった場合(参考例2)は、破断引張
り強さは4.9MPaに低下し、破断の20%がゴム層と
金属との界面で発生していた。実施例1と参考例1の結
果から、本発明の方法によれば、有機溶剤系接着剤を用
いた従来の接着プロセスと同等以上の接着性能を実現で
きることがわかる。また、参考例2の結果から、有機溶
媒系接着剤では乾燥による金具表面の水分除去が不可欠
であることも確認された。
【0025】実施例2〜3、比較例1 湯洗温度、エア乾燥温度条件を表1に示すように変更し
た他は実施例1と全く同様にテストピースを作成し、破
断試験を行なった。
【0026】
【表1】
【0027】実施例2〜3の結果から、本発明の方法に
従えば、熱風乾燥を行なわなくても湯洗のみで良好な接
着ができることがわかる。但し、湯洗温度が低すぎると
その効果は低下する(比較例1)。
【0028】比較例2 実施例1と同じ条件で表面清浄化処理した後、被着材を
乾燥容器内で20℃程度まで放冷した。しかる後、第1
液塗布後の乾燥時間を変えた他は実施例1と同様にして
複数のテストピースを作製し、それぞれの破断強度を測
定した。その結果、本発明と同水準の接着強度に至るま
での乾燥時間は6分であり、本発明に従えば、接着剤乾
燥に要する時間が大幅に短縮でき、エネルギー効率が改
善されることが確認できた。
【0029】
【発明の効果】本発明の金属・ゴム複合製品の製造方法
は、被着面の清浄化処理工程と接着剤塗布工程とを連続
化することにより、従来、水性接着剤において問題であ
ったエネルギーコストの増大という問題を解消する。こ
の結果、発火の危険がなく、労働環境衛生面で優れてお
り、オゾン層破壊物質を放出しないため地球環境を害す
ることがなく、環境基準にも適合する水性接着剤を用
い、なおかつ、経済性にも優れた金属・ゴム複合製品の
製造方法を提供する。また、アルカリ脱脂や石油系炭化
水素溶剤による脱脂において投入される熱エネルギーを
有効に利用することが可能になった。さらに、従来の方
法では、清浄化処理後接着剤塗布の間に被着面に汚染物
質が付着するおそれがあったが、本発明の方法ではかか
る問題点も解消される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来法による接着プロセスを表わすブロック
図。
【図2】 本発明による接着プロセスを表わすブロック
図。
【図3】 接着試験に用いるテストピースを模式的に示
した断面図。
【符号の説明】
1,2 金属材料(被着材) 3 ゴム層

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 清浄化した金属表面に接着剤を用いてゴ
    ムを接着する金属・ゴム複合製品の製造方法において、
    清浄化処理に引き続いて該処理により温度の高められた
    金属表面に水性接着剤を塗布することを特徴とする金属
    ・ゴム複合製品の製造方法。
  2. 【請求項2】 金属表面温度を50〜100℃に高めた
    状態で水性接着剤を塗布する請求項1に記載の金属・ゴ
    ム複合製品の製造方法。
  3. 【請求項3】 清浄化処理が、脱脂処理、ブラスト処
    理、ウエットブラスト処理のいずれかまたはこれらの組
    み合わせである請求項1または2に記載の金属・ゴム複
    合製品の製造方法。
  4. 【請求項4】 脱脂処理がアルカリ脱脂である請求項3
    に記載の金属・ゴム複合製品の製造方法。
  5. 【請求項5】 清浄化処理における金属表面の温度上昇
    が湯洗によるものである請求項3に記載の金属・ゴム複
    合製品の製造方法。
  6. 【請求項6】 清浄化処理における金属表面の温度上昇
    が湯洗及び熱風乾燥によるものである請求項3に記載の
    金属・ゴム複合製品の製造方法。
  7. 【請求項7】 水性接着剤が水性エマルジョン接着剤で
    ある請求項1乃至6のいずれかに記載の金属・ゴム複合
    製品の製造方法。
  8. 【請求項8】 水性エマルジョン接着剤が、ハロゲン化
    エラストマー、フェノール樹脂またはエポキシ樹脂を水
    中に乳化させてなるものである請求項7に記載の金属・
    ゴム複合製品の製造方法。
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