JPH1159586A - 舟艇立体自動格納装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 舟艇を高密度で効率よく立体的に格納し、そ
の格納および出庫を自動的に迅速に行う。 【解決手段】 舟艇Ａが搭載されたパレット４を複数段
且つ複数列に格納する、パレット昇降用垂直通路Ｃの形
成された一端が水面上方に張出す格納庫１と、格納庫１
の各支柱２に高さ方向に所定間隔をあけ相対向させて回
動可能に軸着された複数段のパレット支持アーム５と、
パレット４が載置されていないときには、最下段のアー
ムは斜め上向きに、他のアームは鉛直上向きとし、パレ
ット４が載置される毎に、その一段上のアームが鉛直上
向き方向から斜め上向き角度に変位するようにしたアー
ム自動回動機構と、格納庫１の長さ方向および幅方向に
水平移動可能で、舟艇の搭載されたパレット４を把持し
昇降可能な吊り具１８を有する自動クレーン１４とから
なっている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、モータボート等
のような多数の舟艇を立体的に自動格納するための、舟
艇立体自動格納装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、マリーンスポーツの一つとして、
モータボート等のようなレジャー用の小型舟艇が人気を
呼んでをり、その需要が増大している。このような小型
舟艇の保管は、従来、海岸や湖沼の岸壁およびその付近
に平置きすることによって行われていた。しかしなが
ら、多数の小型舟艇を保管するためには、広い敷地を必
要とするため、近年、岸壁やその付近に広い面積の保管
場所が少なくなり、水面上に不法係留するものさえ生ず
るようになった。

【０００３】このような問題を解決するために、各種の
立体格納装置が提案されており、例えば、特開平２−２
７９８７８号公報には、舟艇を収納するラックが多層に
配置された格納庫と、格納庫のラック開口と対面する面
上に沿って水平移動可能な走行クレーンと、昇降手段を
介して走行クレーンに取り付けられ、ラック開口方向に
延びるガイド軸と、ガイド軸に沿ってラック内に進退可
能なフォーク状の舟艇支持手段とからなり、フォーク状
の舟艇支持手段が水面上からラック最上階位置まで昇降
可能になっている舟艇格納装置（以下、先行技術とい
う）が開示されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】先行技術によれば、多
数隻の小型舟艇を、平置きのような広い敷地を必要せず
に立体的に且つ自動的に格納することができる。

【０００５】しかしながら、先行技術には次のような問
題がある。即ち、格納すべき舟艇は、走行クレーンに昇
降可能に取付けられたキャリアに設けられているガイド
軸に沿って、ラック内に進退可能なフォーク部材に搭載
され、フォーク部材をガイド軸に沿ってラック内に挿入
しそしてこれを下降させることにより、各ラックに設け
られた台座上に舟艇を降ろし、次いで、フォーク部材を
退出させることにより行われている。

【０００６】そのために、舟艇を格納する格納庫の各ラ
ックは、舟艇が搭載されたフォーク部材の進退およびそ
のラック間における上下降のために、相当高さの広い空
間が必要になる結果、格納庫全体の高さを高くしなけれ
ばならず、格納庫全体積あたりの舟艇格納効率が悪い。

【０００７】また、フォーク部材は、ガイド軸と共に海
面下に没入して舟艇の底面下に挿入された後、海面上に
引き上げる作業が常時行われるため、その駆動機構に海
水が付着し錆等が発生しやすく、従って、これを防止す
るための洗浄装置が必要になる等、その構造およびメン
テナンスが複雑になる問題がある。

【０００８】従って、この発明の目的は、上述した問題
を解決し、舟艇を高密度で効率よく立体的に格納するこ
とができ、且つ格納および出庫が自動的に行われ、その
メンテナンスも容易な、舟艇の立体自動格納装置を提供
することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】請求項１に記載の本発明
の舟艇立体自動格納装置は、その上に舟艇が搭載された
パレットを、複数段且つ複数列に格納するための、前記
パレットの昇降用垂直通路が形成された一端側が水面上
方に張り出した格納庫と、前記格納庫の各支柱間に、高
さ方向に所定間隔をあけ相対向させて回動可能に軸着さ
れた複数段のパレット支持アームと、前記パレット支持
アームを、パレットが搭載されていないときには、最下
段のアームは斜め上向きにそして他のアームは鉛直上向
きとなし、パレットが載置される毎に、その一段上のア
ームが、鉛直上向き方向から斜め上向き角度に変位する
ようにしたアーム自動回動機構と、前記格納庫内をその
長さおよび幅方向に水平移動可能で、且つ、前記舟艇の
搭載されたパレットを把持して昇降可能な吊り具を有す
る自動クレーンとからなっていることに特徴を有するも
のである。

【００１０】請求項２に記載の発明は、前記アーム自動
回動機構が、前記支柱に軸着された複数段のパレット支
持アームの各々に取り付けられたクランクアームと、前
記クランクアームを連鎖状に連結するコネクティングロ
ッドと、前記クランクアームおよび前記パレット支持ア
ームを、鉛直上向き方向に回動させるモーメントを作用
させる回動力付与機構とからなっていることに特徴を有
するものである。

【００１１】請求項３に記載の発明は、前記格納庫の、
水面上に張り出したパレット昇降用垂直通路の下方に、
パレットが載置され、水面上の舟艇の舟底に前記パレッ
トが当接し、これを上方に引き上げるパレット昇降機構
が設けられていることに特徴を有するものである。

【００１２】

【発明の実施の形態】次に、この発明の装置を図面を参
照しながら説明する。図１はこの発明の装置の一実施態
様を示す概略正面図、図２は図１の平面図、図３は図１
の部分拡大正面図、図４はその側面図である。図面に示
すように、この発明の装置においては、海岸や湖沼等の
岸壁２５に、舟艇を複数層且つ複数列に立体的に格納す
るための格納庫１が、その一端側を水面の上方に張り出
して設置されている。

【００１３】格納庫１は、格納すべき舟艇Ａが搭載され
るパレット４の幅方向および長さ方向に所定間隔をあけ
て立設された所定高さの複数本の支柱２と、パレット幅
方向の支柱２間を相互に連結し、舟艇Ａの搭載されたパ
レットＡが格納され得る高さの間隔をあけて取付けられ
た複数段の梁材３とからなる枠体によって構成されてお
り、所定間隔をあけて立設された複数本の支柱２間によ
って、複数の格納区画Ｂが形成されている。

【００１４】格納庫１の水面上方に張り出した一端側に
は、水面上の舟艇Ａをパレット４と共に昇降させるため
の昇降用垂直通路Ｃが形成されており、そして、格納庫
１の最上段には、その長さ方向にわたって、舟艇Ａが搭
載されたパレット４を水平移動させるための水平移動用
通路Ｄが形成されている。

【００１５】各格納区画Ｂには、複数本の支柱２の梁材
３が取り付けられた各段毎に、舟艇Ａが搭載されたパレ
ット４を載置するためのパレット支持アーム５が、相対
向して回動可能に軸着されている。

【００１６】パレット支持アーム５には、パレットが搭
載されていないときに、最下段のアームは斜め上向き
に、他のアームは鉛直上向きとなし、パレット４が載置
される毎に、その一段上のアームが、鉛直上向き方向か
ら斜め上向き角度に変位する機能を付与するアーム自動
回動機構が設けられている。

【００１７】アーム自動回動機構を、図５に支柱の拡大
部分正面図で、図６に図５のＡ矢視図で説明する。図５
および図６に示すように、パレット支持アーム５は、各
格納区画Ｂの支柱２に軸６により回動可能に複数段にわ
たって軸着されており、各軸６にはクランクアーム７が
取付けられている。

【００１８】クランクアーム７は、相互にコネクティン
グロッド８によって、一定の摺動代が与えられた状態で
連鎖状に連結されている。即ち、クランクアーム７の他
端にはピンによってコネクティングロッド８の他端が軸
着され、そして、クランクアーム７の一端部に取付けら
れたボス９には、クランクアーム７の軸線と直交する貫
通孔を有するこま１０が回動可能に軸着されており、こ
ま１０の貫通孔には、コネクティングロッド８の上部が
摺動可能に挿入されている。

【００１９】クランクアーム７と支柱２との間には、ク
ランクアーム７およびパレット支持アーム５を、鉛直上
向き方向に回動させる回動力付与機構としてスプリング
１１が取付けられ、スプリング１１によってクランクア
ーム７の一端が引張られる結果、アーム５に鉛直上向き
方向に回動させるモーメントが付与されている。

【００２０】支柱２の内側には、クランクアーム７の下
面に当接するストッパ１２が取付けられており、ストッ
パ１２によって、クランクアーム７の回動をアーム５が
鉛直上向き方向になる位置に規制している。また、支柱
２の外側には、アーム５上にパレット４が載置されてい
ない初期状態のときに、最下段のアーム５を２５°以上
の角度には回動させず、上向きに傾斜した状態で保持し
ておくためのストッパ１３が取付けられている。

【００２１】従って、最下段のアーム５は、斜め上向き
の角度から水平方向まで約２５°の範囲で、そして、最
下段以外のアーム５は、鉛直上向き角度から水平方向ま
で約９０°の範囲でそれぞれ回動可能になっており、ア
ーム５にパレット４が載置されていない初期状態のとき
には、最下段のアーム５はストッパ１３により約６５°
の角度で上向きに傾斜し、第２段のアーム５以上は、ス
プリング１１の引張り力によって、支柱２に沿い鉛直上
向きの状態になっている。

【００２２】最下段のアーム５にパレット４が載置され
ると、その重量によってアーム５はスプリング１１の弾
力に抗して水平状態になると共に、第２段のアーム５
は、コネクティングロッド８を介し、最下段のクランク
アーム７により押し回され、鉛直上向き方向から約６５
°の斜め上向き角度に変位し、次のパレット４の載置に
備えた状態になる。

【００２３】以下同様に、第２段のアーム５上にパレッ
ト４が載置されると第３段のアーム５が鉛直上向き方向
から約６５°の斜め上向き角度に変位し、また、第３段
のアーム５上にパレット４が載置されると第４段のアー
ム５が鉛直上向き方向から約６５°の斜め上向き角度に
変位し、各々次のパレット４の載置に備えた状態にな
る。

【００２４】格納庫１の上端幅方向両側端には、その長
さ方向に自動クレーン１４の移動用レール１５、１５が
敷設されている。自動クレーン１４は、レール１５、１
５間にわたる、その両端下面に取り付けられた車輪１７
によって走行可能なガーダ１６と、ガーダ１６上をこれ
に沿って格納庫１の幅方向に走行可能なクラブ１９とか
らなっており、クラブ１９には、ウインチ２０によって
昇降可能な吊り具１８が設けられている。

【００２５】吊り具１８は、パレット４の幅とほぼ同じ
間隔をあけ且つパレット４の長さ方向に２対設けられ、
各々その軸線を中心として回転可能になっている。吊り
具１８の下端には、パレット４をその幅方向両側から把
持する爪２１が固定されている。なお、パレット４に
は、その上に搭載される舟艇Ａの幅方向両側を支持する
ための支持部材２４が設けられている。

【００２６】各支柱２間に形成された格納区画Ｂ、およ
び、格納庫１の水面上に張り出した昇降用垂直通路Ｃに
は、吊り具１８の外側面に取付けられたガイドローラ２
３が当接し、吊り具１８の昇降を案内するための２本の
垂直な吊り具ガイド２２が設けられている。

【００２７】格納庫１の水面上方に位置する昇降用垂直
通路Ｃの下方の岸壁２５には、岸壁２５の近くに位置す
る舟艇Ａの舟底に当接しこれを上方に引き上げるため
の、パレット支持台２７を有する、例えば油圧シリンダ
機構からなるパレット昇降装置２６が設けられている。

【００２８】次に、この発明の装置の作動について説明
する。格納すべき舟艇Ａを、格納庫１の水面上に張り出
した昇降用垂直通路Ｃの下方の水面に移動し、予めパレ
ット４が水中の支持台２７上に載置されたパレット昇降
装置２６を上昇させ、支持台２７上のパレット４を舟艇
Ａの舟底に当接させて、これを格納庫１の昇降用垂直通
路Ｃの下端まで上昇させる。

【００２９】次いで、自動クレーン１４およびそのクラ
ブ１９を移動させて、これを格納庫１の昇降用垂直通路
Ｃの上方に位置させ、ウインチ２０によって吊り具１８
を昇降用垂直通路Ｃ内に吊り降ろし、吊り具１８を回転
させその下端の爪２１によって、パレット昇降装置２６
の支持台２７上に載置されているパレット４を、その幅
方向両側から把持する。

【００３０】次いで、ウインチ２０によって吊り具１８
を上昇させる。その結果、吊り具１８に把持された舟艇
Ａの搭載されたパレット４は、吊り具１８のガイドロー
ラ２３が当接する吊り具ガイド２２に案内されて、格納
庫１の最上段に形成された水平移動用通路Ｄまで上昇す
る。

【００３１】次いで、自動クレーン１４を水平移動し、
吊り具１８に把持されたパレット４を、支柱２間の格納
すべき区画Ｂ上に位置させた上、吊り具１８を吊り降ろ
し、舟艇Ａの搭載されたパレット４を、支柱２に軸着さ
れ約６５°の角度で上向きに傾斜している最下段のアー
ム５上に吊り降ろす。

【００３２】かくして、舟艇Ａの搭載されたパレット４
は、その重力により水平状態になったアーム５によって
支持され、格納区画Ｂ内に格納される。なお、このとき
支柱２に軸着された第２段のアーム５は、コネクティン
グロッド８によって鉛直上向き方向から約６５°の斜め
上向き角度に変位し、次のパレット４の載置に備えた状
態になる。

【００３３】以下、同様の方法により、舟艇Ａの搭載さ
れたパレット４は、格納区画Ｂのパレット４に軸着され
たアーム５により支持されて次々に格納され、その格納
区画Ｂが満杯になったときには、支柱２間の次の格納区
画Ｂに、上記と同様の方法によって格納される。かくし
て、舟艇Ａの搭載されたパレット４を、複数列の格納区
画Ｂに複数段にわたって格納することができる。

【００３４】格納された舟艇Ａを出庫させる場合は、上
記入庫動作と逆の順序で各格納区画Ｂのアーム５に格納
されている舟艇Ａを出庫させればよい。なお、出庫すべ
き舟艇Ａが、格納区画Ｂの下部のアーム５に格納されて
いる場合には、その上部に格納されている、舟艇Ａが搭
載されたパレット４を、一時的に空いている格納区画Ｂ
に移動し退避させておく。

【００３５】上述した、舟艇Ａの搭載されたパレット４
の格納および出庫は、コンピュータにより制御されすべ
て自動的に行われる。

【００３６】

【発明の効果】以上述べたように、この発明の装置によ
れば、舟艇はパレットと共に格納区画のアーム上にその
上方から吊り降ろされて格納されるので、フォーク部材
を進退させて格納するような先行技術に比べて、狭い空
間に高密度で効率よく立体的に格納することができ、且
つ、その格納および出庫をコンピュータによって自動的
に且つ迅速に行うことができ、そのメンテナンスも容易
である等、多くの工業上優れた効果がもたらされる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の装置の一実施態様を示す概略正面図
である。

【図２】図１の平面図である。

【図３】図１の部分拡大正面図である。

【図４】図３の側面図である。

【図５】アーム自動回動機構を示す支柱の拡大部分正面
図である。

【図６】図５のＡ矢視図である。

【符号の説明】

Ａ 舟艇 Ｂ 格納区画 Ｃ 昇降用垂直通路 Ｄ 水平移動用通路 １ 格納庫 ２ 支柱 ３ 梁材 ４ パレット ５ パレット支持アーム ６ 軸 ７ クランクアーム ８ コネクティングロッド ９ ボス 10 こま 11 スプリング 12 ストッパ 13 ストッパ 14 自動クレーン 15 レール 16 ガーダ 17 車輪 18 吊り具 19 クラブ 20 ウインチ 21 爪 22 吊り具ガイド 23 ガイドローラ 24 支持部材 25 岸壁 26 パレット昇降装置 27 パレット支持台

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 その上に舟艇が搭載されたパレットを、
   複数段且つ複数列に格納するための、前記パレットの昇
   降用垂直通路が形成された一端側が水面上方に張り出し
   た格納庫と、 前記格納庫の各支柱に、高さ方向に所定間隔をあけ相対
   向させて回動可能に軸着された複数段のパレット支持ア
   ームと、 前記パレット支持アームを、パレットが載置されていな
   いときには、最下段のアームは斜め上向きにそして他の
   アームは鉛直上向きとなし、パレットが載置される毎
   に、その一段上のアームが、鉛直上向き方向から斜め上
   向き角度に変位するようにしたアーム自動回動機構と、 前記格納庫の長さおよび幅方向に水平移動可能で、且
   つ、前記舟艇の搭載されたパレットを把持して昇降可能
   な吊り具を有する自動クレーンとからなっていることを
   特徴とする、舟艇立体自動格納装置。
2. 【請求項２】 前記アーム自動回動機構は、前記支柱に
   軸着された複数段のパレット支持アームの各々に取り付
   けられたクランクアームと、前記クランクアームを連鎖
   状に連結するコネクティングロッドと、前記クランクア
   ームおよび前記パレット支持アームを、鉛直上向き方向
   に回動させるモーメントを作用させる回動力付与機構と
   からなっている、請求項１記載の装置。
3. 【請求項３】 前記格納庫の、水面上に張り出したパレ
   ット昇降用垂直通路の下方に、パレットが載置され、水
   面上の舟艇の舟底に前記パレットが当接し、これを上方
   に引き上げるパレット昇降機構が設けられている、請求
   項１または２記載の装置。