JPH1159581A - 船体の動揺軽減装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 停船時でも縦揺れを抑止する揚力を発生さ
せ、衝撃に対する水中翼の破損を防止する。 【解決手段】 船体１底部１ａに下方へ傾斜して設けら
たシリンダー６、ピストン７およびピストンロッド８と
からなる流体シリンダー機構５と、該流体シリンダー機
構５のピストンロッド８下端に設けられた緩衝機構９
と、該緩衝機構９に取付けられたストラット２と、該ス
トラット２先端に取付けられた水中翼３と、該水中翼３
に設けられた補助翼３ａおよびその駆動機構３ｂと、を
有する船体の動揺軽減装置である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、船体の動揺軽減装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】船体の動揺は、縦揺れおよび横揺れ等各
種あり、その低減方法も従来より提案され、実用化され
ている。

【０００３】船体に取付けたフィン（水中翼）により船
体の動揺を低減する装置として、特開平７−２２８２９
２号（以下、従来技術１という）が開示されている。

【０００４】この技術は、船体の縦揺れ防止を目的と
し、縦揺れセンサー、制御系、昇降駆動機構で構成さ
れ、ストラット先端のフィンを上下動することにより縦
揺れ防止およびフインの小型化を図ったものである。

【０００５】また、角度が調整可能な揚力板を外板部に
設けて船体の動揺を低減する装置として、特開平８−１
１７８１号（以下、従来技術２という）が開示されてい
る。

【０００６】この技術は、船首部および船尾部の船体外
板部にリセスを設け、該リセス内に上下シリンダーで角
度が変化する揚力板を設けて、船体の上下動の変化に応
じて、前記揚力板の角度を変化させて縦揺れを防止する
ものである。

【０００７】さらに、先端に水中翼を有する支持アーム
の変化により船体の動揺を低減する装置として、特表平
７−５０６５４９号（以下、従来技術３という）が開示
されている。

【０００８】この技術は、船底に、先端に水中翼を有す
る支持アームの一端を枢着し、該支持アームを枢着点を
支点として変化させることにより先端の水中翼に揚力を
調整することにより、波の大小にかかわらず一定の揚力
を得ることを目的とした荒海での高速航行の船舶に関す
るものである。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
従来技術１、２、３は以下の問題点を有する。

【００１０】前記従来技術１は、水中翼が上下動するこ
とにより、航走時は縦揺れ低減にある程度機能するが、
停船時は水中翼は、ダンパーとしての機能しかないの
で、縦揺れ防止の効果は、期待できない。

【００１１】前記従来技術２は、平板状の揚力板の傾斜
を調整する方式であるので、期待どおりの揚力が得られ
ない。

【００１２】前記従来技術３は、衝撃吸収のための機構
しかなく、翼の動きは衝撃吸収の範囲にとどまる。従っ
て、停船時の船体動揺を低減するための、翼全体を駆動
するようなアクティブな制御はできない。

【００１３】本発明は、停船時でも船体動揺の低減が可
能で、かつ、損傷の少ない船体の動揺軽減装置を提供す
ることを目的とする。

【００１４】

【課題を解決するための手段】前述の課題は、船体底部
に下方へ傾斜して設けらたシリンダー、ピストンおよび
ピストンロッドとからなる流体シリンダー機構と、該流
体シリンダー機構のピストンロッド下端に設けられた緩
衝機構と、該緩衝機構に取付けられたストラットと、該
ストラット先端に取付けられた水中翼と、を有する船体
の動揺軽減装置により解決される。

【００１５】前述の手段によれば、流体シリンダー機構
のシリンダー内に船体の動揺角に応じて流体圧が作用す
るとピストンを斜め下方に押し出し、ピストンロッドに
連結されたストラットが斜め下方に押し出され、ストラ
ット先端の水中翼は、斜め下方への移動により水平成分
の移動も得ることになる。その際、水中翼の補助翼に所
定の迎角を持たせておけば、揚力を得ることができる。
この揚力が船体動揺モーメントに抗する力として作用す
る。

【００１６】

【発明の実施の形態】以下、本発明の船体の動揺軽減装
置の一実施の形態について、図面を参照しながら説明す
る。

【００１７】図１は、本発明にかかる船体の動揺軽減装
置を装備した船舶の側面図で、１は船体、２は船体１の
船首部の船底１ａから斜め下方に突出したストラット
で、ストラット２の先端には、水中翼３が取付けられて
いる。ストラット２は、船体１内から斜め下方向に往復
動する。

【００１８】図２は、本発明にかかる船体の動揺軽減装
置の側断面図で、１ａは船底であり、船体１内には、箱
状の架構４が設けられ、架構４内に、斜め下方向に流体
シリンダー機構５が設けられ、流体シリンダー機構５
は、シリンダー６、ピストン７およびピストンロッド８
とから構成されている。

【００１９】ストラット２とピストンロッド８との間に
は、緩衝機構９が設けられており、緩衝機構９は、ピス
トンロッド８の先端に取付けられた円板９ａとストラッ
ト２の後端部に取付けられた円板９ｂおよび基端が円板
９ａに固定され先端が円板９ｂを貫通したロッド９ｃで
構成されている。円板９ａと円板９ｂとの間のロッド９
ｃにはスプリング９ｄが嵌装され、また、円板９ｂはナ
ットの如きストッパー９ｅにより下方への抜け出しが防
止されている。

【００２０】また、シリンダー６は仕切り体１０および
ピストン７によりシリンダー室６ａと６ｂが形成され、
シリンダー室６ａと６ｂに油圧源１１からポート１１
ａ，１１ｂを経由して交互に油圧が流入することによ
り、ピストン７を斜め方向に往復駆動させ、水中翼３に
上下動の他、水平方向成分の力を作用させ、揚力を発生
させるものである。この揚力により、船体１が停船時で
も縦揺れを抑制するモーメントを作用させることができ
る。尚、１２は油圧源１１を波の動揺に応じて制御する
制御器である。

【００２１】１３はストラット２先端に取付けられた水
中翼３の迎角を調整する制御器で、水中翼３はストラッ
ト２の取付部１４の側方に軸で取付けられており、図示
しないが内部の駆動機構により軸を一定角度回動するこ
とにより迎角が駆動される構造となっている。

【００２２】水中翼３に波による衝撃が作用した場合
は、ストラット２の衝撃が緩衝機構９のスプリング９ｄ
により緩衝され、水中翼３を損壊することがない。

【００２３】

【発明の効果】本発明は、水中翼に対する水平方向の運
動成分を、シリンダー機構を斜めに配し、その先端にス
トラットおよび水中翼を取付けることに実現したので、
水中翼の揚力を効率良く得ることができる。

【００２４】また、本発明の構成要素である緩衝機構に
より波浪による衝撃から水中翼および装置全体を保護す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にかかる船体動揺軽減装置を装備した船
舶の側面図である。

【図２】本発明にかかる船体動揺軽減装置の側断面図で
ある。

【符号の説明】

１ 船体 １ａ 船底 ２ ストラット ３ 水中翼 ４ 架構 ５ 流体シリンダー機構 ６ シリンダー ６ａ シリンダー室 ６ａ シリンダー室 ７ ピストン ８ ピストンロッド ９ 緩衝機構 ９ａ 円板 ９ｂ 円板 ９ｃ ロッド ９ｄ スプリング ９ｅ ストッパー １０ 仕切体 １１ 油圧源 １１ａ ポート １１ｂ ポート １２ 制御器 １３ 制御器 １４ 取付け部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 船体底部に下方へ傾斜して設けらたシリ
   ンダー、ピストンおよびピストンロッドとからなる流体
   シリンダー機構と、該流体シリンダー機構のピストンロ
   ッド下端に設けられた緩衝機構と、該緩衝機構に取付け
   られたストラットと、該ストラット先端に取付けられた
   水中翼と、を有する船体の動揺軽減装置。