JPH1159543A - 自動二輪車の車体フレーム - Google Patents

自動二輪車の車体フレーム

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JPH1159543A
JPH1159543A JP23197497A JP23197497A JPH1159543A JP H1159543 A JPH1159543 A JP H1159543A JP 23197497 A JP23197497 A JP 23197497A JP 23197497 A JP23197497 A JP 23197497A JP H1159543 A JPH1159543 A JP H1159543A
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head pipe
tank rail
bracket
motorcycle
reinforcing bracket
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Yasunori Yamada
庸典 山田
Kazuhito Miyazaki
一仁 宮崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヘッドパイプ周りのタンクレール全体の剛性
を高めることができ、操縦安定性を向上できる自動二輪
車の車体フレームを提供する。 【解決手段】 ヘッドパイプ3から車幅方向に拡開しつ
つ車両後方に延びる左,右のタンクレール4を備えた自
動二輪車の車体フレーム2において、上記タンクレール
4を、上記ヘッドパイプ3に溶接固定された補強ブラケ
ット40と、該補強ブラケット40に溶接固定されたタ
ンクレール本体30とで構成し、上記補強ブラケット4
0を、横断面矩形で上壁40aがヘッドパイプ3側ほど
高くなる傾斜状をなす箱体とし、該箱体の前端開口41
を上記ヘッドパイプ3の側面に溶接固定し、上記タンク
レール本体30を、縦長の閉断面形状を有する筒体と
し、該筒体の前端開口38bを上記補強ブラケット40
の上壁40aの傾斜に対応するように斜め下方に傾斜さ
せ、該タンクレール本体30の傾斜開口部38b縁を上
記補強ブラケット40の上壁40aに溶接固定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動二輪車の車体
フレームに関する。
【0002】
【従来の技術】自動二輪車の車体フレームには、例えば
図25に模式的に示すように、ヘッドパイプ300から
左, 右一対のタンクレール301を車幅方向に拡開しつ
つ車両後方に延長し、該各タンクレール301の後端か
らリヤフレームを後方に延長するとともに、リヤアーム
ブラケットを下方に延長した構造のものがある。このよ
うな車体フレームでは、操縦安定性を図るうえで高いフ
レーム剛性が要求されることから、従来、上記タンクレ
ールの上記ヘッドパイプとの溶接部の剛性を高めるため
に各種の補強構造,接続構造が採用されている。
【0003】上記図25の例では、タンクレール301
のヘッドパイプ300との接合剛性を高めるために、タ
ンクレール301として、横断面「日」字形の引き抜き
材を採用し、該中央に位置する補強部301aにより該
タンクレール自体の剛性を向上するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従来の車
体フレームでは、タンクレールのヘッドパイプへの接合
部の剛性が必ずしも十分とは言えず、特に例えば急制動
時にヘッドパイプ下端部を後方に押す力(図25のF参
照)に対する剛性が十分でないといった問題がある。例
えば図25の例では、急制動時にはヘッドパイプ300
の下端を後方に押す力Fによって、タンクレール301
の左,右拡開部の前壁301bには下向きの力F1が、
後壁301cには上向きの力F2が作用することとな
る。この場合に、上記補強部301aは、これの天壁,
底壁と平行になっていることからこれらの力F1,F2
に対する抗力としてはほとんど期待できず、従って上記
急制動時に作用する力Fに対する剛性を向上できない。
【0005】本発明は上記従来の状況に鑑みてなされた
もので、ヘッドパイプ周りのタンクレールとの接合部の
剛性を高めることができる自動二輪車の車体フレームを
提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、ヘッ
ドパイプから車幅方向に拡開しつつ車両後方に延びる
左, 右のタンクレールを備えた自動二輪車の車体フレー
ムにおいて、上記タンクレールを、上記ヘッドパイプに
溶接固定された補強ブラケットと、該補強ブラケットに
溶接固定されたタンクレール本体とで構成し、上記補強
ブラケットを、横断面矩形で上面がヘッドパイプ側ほど
高くなる傾斜状をなす箱体とし、該箱体の前端開口を上
記ヘッドパイプの側面に溶接固定し、上記タンクレール
本体を、縦長の閉断面形状を有する筒体とし、該筒体の
前端開口を上記補強ブラケットの上面の傾斜に対応する
ように斜め下方に傾斜させ、該傾斜した開口の周縁を上
記補強ブラケットの上面に溶接固定したことを特徴とし
ている。
【0007】請求項2の発明は、請求項1において、上
記補強ブラケットの前端開口は上記ヘッドパイプの下端
軸受部から上端軸受部近傍に渡る高さ寸法を有してお
り、上記タンクレール本体の前端開口は、上記補強ブラ
ケットの傾斜上面に対応する傾斜開口部と、上記ヘッド
パイプの側面に対向する縦開口部とを有し、該縦開口部
が上記ヘッドパイプに溶接固定されていることを特徴と
している。
【0008】請求項3の発明は、請求項1又は2におい
て、上記補強ブラケットの後端開口は上記タンクレール
本体の底面の下側にて後方を向いており、該後端開口に
はエンジン懸架ブラケットの前端部が接合されているこ
とを特徴としている。
【0009】
【発明の作用効果】請求項1の発明によれば、上面がヘ
ッドパイプ側ほど高くなる傾斜状をなす箱体の補強ブラ
ケットの前端開口を上記ヘッドパイプに溶接し、タンク
レール本体の前端開口を上記上面の傾斜に対応するよう
斜め下方に傾斜させ、該傾斜した開口の周縁を上記補強
ブラケットの上面に溶接したので、ヘッドパイプとタン
クレールとの溶接面積を増大でき、それだけタンクレー
ル接続部の剛性を高めることができる。これにより急制
動時のヘッドパイプに作用する力に対応し得る十分な剛
性を確保できる。
【0010】ここで本発明の補強ブラケットの上面は、
図25における補強部301に対応するものである。図
25の従来例では補強部301aはタンクレール301
の天壁,底壁と平行になっており、そのため上記力F
1,F2に対する抗力が不十分であったが、本発明で
は、上記補強ブラケットの上面が斜めになっている、即
ち図25の補強部301aを斜めに配置したものに対応
しているので、上記力F1,F2に対する抗力が大幅に
増大し、その結果上記急制動時における力Fに対する剛
性を向上できるものである。
【0011】請求項2の発明では、上記補強ブラケット
の前端開口をヘッドパイプの下端軸受部から上端軸受部
近傍に渡る高さ寸法としたので、補強ブラケットのヘッ
ドパイプへの接合面積を増大でき、またタンクレール本
体の前端開口を補強ブラケットに溶接される傾斜開口部
と、ヘッドパイプに溶接される縦開口部とから構成した
ので、補強ブラケットに対するタンクレール本体の接合
面積を増大できるとともに、タンクレール本体のヘッド
パイプに対する接合面積を増大でき、その結果、タンク
レールのヘッドパイプに対する接合面積を増大でき、剛
性を向上できる効果がある。
【0012】請求項3の発明では、上記補強ブラケット
の後端開口にエンジン懸架ブラケットの前端部を接合し
たので、タンクレールをエンジン懸架ブラケットによっ
てより一層高剛性とすることができるとともに、エンジ
ン支持剛性を向上できる効果がある。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面に基づいて説明する。図1ないし図24は、本発明
の一実施形態による自動二輪車の車体フレームを説明す
るための図であり、図1,図2は自動二輪車の左側面
図,平面図、図3,図4はへッドパイプのタンクレール
部分の左側面図,平面図、図5〜図7はエンジン懸架装
置の左側面図,右側面図,平面図、図8,図9は後輪懸
架装置の左側面図,断面正面図、図10,図11はタン
クレール本体の平面図,断面図、図12〜図14は補強
ブラケットの平面図,左側面図,断面図、図15はエン
ジン懸架ブラケットの平面図、図16,図17は後輪駆
動装置の右側面図,断面背面図、図18〜図20はフロ
ントブレーキ装置の左側面図,断面正面図,一部断面左
側面図、図21,図22はフロントホイールの側面図,
断面図、図23,図24はタンデムシートの荷掛けフッ
クを示す断面図,斜視図である。なお、本実施形態でい
う前後,左右とはシートに着座した状態で見た場合の前
後,左右を意味する。
【0014】図において、1は自動二輪車であり、該自
動二輪車1の車体フレーム2は、ヘッドパイプ3に接続
された左, 右一対のタンクレール4の後端に斜め後方に
延びるリヤフレーム5を接続した概略構造のもので、上
記タンクレール4の上部には燃料タンク6が、下部には
エンジンユニット7が配設されており、上記リヤフレー
ム5の前部にはメインシート8が、後部にはタンデムシ
ート9が取り外し可能に配設されている。なお、上記燃
料タンク6の前方部分は、後述するエアクリーナ61を
覆うタンクカバー部を構成している。
【0015】また上記ヘッドパイプ3にはフロントフォ
ーク10が枢支されており、該フロントフォーク10の
上端には操向ハンドル11が、下端には前輪12が配設
されている。また上記タンクレール4の後端下部にはリ
ヤアーム13が上下揺動可能に枢支されており、該リヤ
アーム13の後端には後輪14が配設されている。
【0016】上記車体フレーム2にはカウリング15が
配設されている。このカウリング15は操向ハンドル1
1の前方を覆うアッパカバー16と、タンクレール4の
前方及び左, 右側方を覆うカウリング本体17と、エン
ジンユニット7の左, 右下方を覆うアンダカバー18と
からなるもので、上記アッパカバー16に左, 右一対の
ヘッドライト19,19が配設されており、該各ヘッド
ライト19はヘッドパイプ3に固定されたブラケット2
0に取付けられている。また上記リヤフレーム5にはサ
イドカバー21が配設されており、該サイドカバー21
は各シート8,9の左右側方,及び後輪14の上方を覆
っている。
【0017】上記タンデムシート9は、図23,図24
に示すように、底板9a上に配置されたクッション9c
を表皮9bで覆った構造のもので、該タンデムシート9
には4つの荷掛けフック22が取付けられている。この
各荷掛けフック22はナイロン等からなるフレキシブル
な幅広帯材をループ状に形成したもので、上記底板9a
にボルト22aにより締め付け固定されている。また各
荷掛けフック22にはマジックテープ等の接着布23が
固着されている。
【0018】そして上記荷掛けフック22を使用する場
合には、該荷掛けフック22をタンデムシート9の側方
に引き出し、左, 右の荷掛けフック22間にゴムロープ
24等を架け渡して荷物を固定する。また非使用時には
荷掛けフック22を上記接着布23により底板9aに貼
り付けることによりシート9の下方に収納する。
【0019】上記荷掛けフック22によれば、フレキシ
ブルな幅広帯材をループ状に形成したので、ゴムロープ
24が外れたり,タンデムシート9の表皮9bを傷付け
たりすることなく荷物を固定でき、またシート形状を制
約したりすることもない。さらに荷掛けフック22を接
着布23で底板9aに貼り付けるようにしたので、空き
スペースを利用して収納でき、嵩張ったり,外観を悪化
させたりすることはなく、さらには収納時に荷掛けフッ
ク22で取付け用ボルト22aを覆うことができ、シー
ト下方に収容した荷物を傷付けたりすることはない。
【0020】上記各タンクレール4は、ヘッドパイプ3
の接続ボス部3cから車幅方向に拡開しつつ車体後方に
斜め下方に延びる左, 右一対のタンクレール本体30,
30と、該各タンクレール本体30とヘッドパイプ3と
の間に配設された左, 右の補強ブラケット40とから構
成されており、各タンクレール本体30の後端には略垂
直下方に延びるリヤアームブラケット31が接続されて
いる。また該タンクレール本体30の後端部間,及びリ
ヤアームブラケット31の下端部同士はそれぞれ上側,
下側クロスパイプ32,33で接続固定されている。
【0021】また上記リヤフレーム5は、上側クロスパ
イプ32の左,右両端部に車体後方に斜め上向きに延び
る左, 右のシートレール34を接続するとともに、上記
タンクレール本体30の後端部に後方に斜め上向きに延
びる左, 右のバックステー35を接続し、該バックステ
ー35の後端部と上記シートレール34の後端部とを結
合した構造となっている。このシートレール34,バッ
クステー35で囲まれた空間内に不図示のバッテリ等の
エンジン補機類,電装部品等が収納されている。
【0022】上記タンクレール本体30は、主として図
10,図11に示すように、板金製のアウタレール36
とインナレール37とをもなか状に接合した縦長の閉断
面形状の筒体からなり、平面視で天面30aに対して底
面30bは車幅方向外側に偏位しており、該タンクレー
ル本体30の外側面30cの外方に拡開した部分は傾斜
面30dとなっている。また上記タンクレール本体30
の前端開口はヘッドパイプ3の接続ボス部30cに対向
する縦開口部38aと、該縦開口部38aの下端に続い
て斜め下方に傾斜して延びる傾斜開口部38bとから構
成されている。
【0023】上記補強ブラケット40は、主として図1
2〜図14に示すように、平板を横断面矩形筒状の箱体
に屈曲形成してなるものであり、これの上壁40aは側
面視で略水平をなす底壁40bに対してヘッドパイプ3
側ほど高くなるように斜め上方に傾斜している。この補
強ブラケット40の前端開口41はヘッドパイプ3の下
端軸受部3aから上端軸受部3b近傍に渡る高さ寸法を
有する縦長の長方形状をなしており、該前端開口41の
周縁はヘッドパイプ3の接続ボス部3cの側面に溶接固
定されている(図3〜図5参照)。また上記上壁40a
には軽量化を図るための複数の肉抜き孔40eが形成さ
れている。
【0024】上記補強ブラケット40の内壁40cの上
縁には上壁40aの上面より上方に突出する突出部40
dが延長形成されており、また上壁40aの外側縁部に
は棒状のストッパ板42が接合されている。上記補強ブ
ラケット40の上壁40aには上記タンクレール本体3
0の傾斜開口部38bが対向しており、該傾斜開口部3
8bの内側縁を上記突出部40dの外面に、また外側縁
をストッパ板42の外面にそれぞれ当接させることによ
り該タンクレール本体30の位置決めがなされている。
【0025】このようにして上記タンクレール本体30
の傾斜開口部38bの周縁は補強ブラケット40の上壁
40a付近に溶接固定されており、また該タンクレール
本体30の縦開口部38aの周縁は上記ヘッドパイプ3
の接続ボス部3cの上端軸受部3b付近に溶接固定され
ている。また上記左, 右の補強ブラケット40の内壁4
0c,40c間には横断面三角形状のフロントクロスパ
イプ46が架け渡して溶接固定されている(図3〜5参
照)。
【0026】即ち、上記タンクレール本体30と補強ブ
ラケット40との接合部は、図4のC−C断面図に示す
ようにタンクレール本体30と補強ブラケット40とで
日字形断面を形成しており、その中間の補強部をなす上
壁40aはヘッドパイプ側ほど高くなる傾斜面をなして
いる。このように傾斜面をなす上壁40aの存在によ
り、タンクレールのヘッドパイプ接合部の急制動時の力
に対する剛性が向上している。
【0027】上記補強ブラケット40の後端開口43は
タンクレール本体30の底面の下側にて後方に開口して
おり、該後端開口43には上記タンクレール本体30の
下面に配設されたエンジン懸架ブラケット45の前端部
が接続されている。
【0028】上記懸架ブラケット45は、主として図1
1,図15に示すように、外壁45aと内壁45bとを
底壁45cで一体に接続形成してなる横断面大略U字状
のもので、上記外壁45a,内壁45bの上端開口部は
タンクレール本体30の底壁に溶接固定されている。ま
た上記懸架ブラケット45の前部はタンクレール本体3
0の湾曲形状に沿って内側に湾曲しており、これの前端
部には嵌合口47が段付き形成されている。この嵌合口
47は補強ブラケット40の上記後端開口43内に嵌挿
されており、両者の合面周縁は溶接固定されている。
【0029】上記エンジンユニット7は、水冷式4サイ
クル並列4気筒型のものであり、図5,図6に示すよう
に、気筒軸を車体前方に少し傾斜させるとともに、クラ
ンク軸50を車幅方向に向けて上記車体フレーム23に
懸架支持されている。
【0030】上記エンジンユニット7は、シリンダブロ
ック55の後部に、上記クランク軸50と平行に配設さ
れた変速装置のメイン軸52,ドライブ軸53を収容す
る変速機ケース54を一体形成し、該シリンダブロック
55,変速機ケース54の下面にクランクケース51を
結合し、上記シリンダブロック55の上面にシリンダヘ
ッド56,ヘッドカバー57を積層結合した構成となっ
ている。
【0031】ここで上記クランク軸50とメイン軸52
とを結ぶ直線Aと気筒軸線Bとのなす角度、及びメイン
軸52とドライブ軸53とを結ぶ直線Cと上記直線Aと
のなす角度はそれぞれ鋭角をなしている。これによりエ
ンジンユニット全体の車体前後長さが短縮されており、
この短縮した分だけリヤアーム13の軸支点が前方に設
定され、その結果リヤアーム13の前後長さが延長され
ている。
【0032】また上記シリンダヘッド56とヘッドカバ
ー57との合面部分には上記クランク軸50と平行に動
弁機構を構成する2本のカム軸58が配置されている。
この各カム軸58の軸方向右端部には該カム軸58とク
ランク軸50とを連結するタイミングチェーン59が巻
回されており、該タイミングチェーン59はシリンダブ
ロック55,シリンダヘッド56の車幅方向右側壁に形
成されたチェーン室59a内に配設されている。
【0033】上記シリンダヘッド56の後壁上部には各
気筒ごとのキャブレタ60が接続されており、該キャブ
レタ60の上部には各気筒共通のエアクリーナ61が接
続されている。このエアクリーナ61は左, 右タンクレ
ール本体30,30間の燃料タンク前側に配置されてい
る。またエンジンユニット7の前方にはラジエータ62
が気筒軸と略平行に配設されている。
【0034】そして図3,図4に示すように、ステアリ
ングカバー63,第1,第2ガイド板64,65によっ
て走行風が上記エアクリーナ61に導入されるようにな
っている。上記ステアリングカバー63は上記フロント
フォーク10のヘッドパイプ3下方部分にボルト締め固
定されており、上記第1ガイド板64は左, 右の補強ブ
ラケット40の底壁40bの下面にボルト締め固定され
ている。さらにまた上記第2ガイド板65は上記フロン
トクロスパイプ46の前側斜面にボルト締め固定されて
いる。走行風は上記ステアリングカバー63の下方から
第1ガイド板64の上方を通り、ここから第2ガイド板
65の上面を通ってエアクリーナ61の吸い込み口に導
入される(図3の→印参照)。
【0035】上記第2ガイド板65の下面には複数のボ
ス部65aが下向きに一体形成されており、該各ボス部
65aにイグニッションコイル66が取付けられてい
る。また上記ガイド板65の下面にはハーネス等を係止
するクリップ部65bが形成されている。このようにボ
ス部65a,クリップ部65bを第2ガイド板65の下
面に形成したので、上面を通る走行風が遮られることは
ない。
【0036】上記エンジンユニット7はエンジン懸架装
置を構成する左, 右のタンクレール本体30,リヤアー
ムブラケット31,及び懸架ブラケット45により懸架
支持されている(図5〜図7参照)。
【0037】上記変速機ケース54の後壁上部にはボス
部70が該ケース54の左側壁から右側壁まで延びるよ
うに一体形成されている。このボス部70は、上記タン
クレール本体30,30間に架設された上側クロスパイ
プ32の両端部に突出形成された支持部32a,32a
間に配置され、この左,右の支持部32aに挿通された
貫通ボルト71により固定支持されている。なお、72
は上記ボス部70と右側の支持部32aとの間に介設さ
れた隙間寸法調整用のカラーであり、上記ボス部70の
左端面が左側の支持部32aの内端面に当接することに
よりエンジンユニットの位置決めがなされる。
【0038】また上記変速機ケース54の後壁下部には
上記同様のボス部73が一体形成されており、該ボス部
73は上記リヤアームブラケット31,31間に架設さ
れた下側クロスパイプ33の両端部に形成された支持部
33aに貫通ボルト74により締結固定されている。
【0039】上記車体左側の懸架ブラケット45はシリ
ンダヘッド56の左側壁56aを略全体的に覆う大きさ
を有し、該ブラケット45の下端部には前,後2ヵ所の
ボス部75,76が一体形成されている。この前側ボス
部75には上記シリンダヘッド56の左側壁56aの前
部がボルト締め固定されており、後側ボス部76にはシ
リンダブロック55の左側壁55aの後端部がボルト締
め固定されている。
【0040】上記右側の懸架ブラケット45´はシリン
ダヘッド56の右側壁56bの後部かつ上部のみを覆う
大きさを有し、該ブラケット45´の後端下部にはボス
部77が一体形成されている。このボス部77にはシリ
ンダブロック55の右側壁55bの後端部がボルト締め
固定されている。これにより上記エンジンユニット7は
これの左側壁55a,56aについては4箇所にて、ま
たチェーン室59aを有する右側壁55b,56bにつ
いては上記左側壁より少ない3箇所にて懸架支持されて
おり、左, 右非対称支持構造となっている。また、上記
左, 右7個所の懸架部にはエンジンを弾性部材を介する
ことなく直接フレームに取り付けるリジッド支持構造が
採用されている。
【0041】次に本実施形態の後輪懸架装置について説
明する。上記リヤアーム13は、図8,図9に示すよう
に、上記リヤアームブラケット31,31間に挿通され
たピボット軸80により上下揺動自在に支持されたピボ
ット部13の左,右両端部から左, 右のアーム部13b
を車体後方に延長し、該左,右のアーム部13b,13
bの前部同士を側面視三角形状の補強板81で接続し、
さらに該補強板81の後端と上記左,右アーム部13b
の後端とを平面視U字状の補強アーム82で接続した構
造となっている。また上記アーム部13b,13b間に
は横断面三角形状のクロスパイプ83が架設されてい
る。なお、84はチェーンカバーであり、85は泥水等
の飛散を防止するマッドガードである。
【0042】上記リヤアーム13とタンクレール4との
間にはリヤクッションユニット86が配設されている。
このクッションユニット86は緩衝器87と、該緩衝器
87の外周を囲むように配設されたコイルばね88とか
ら構成されている。この緩衝器87はシリンダ87a内
に減衰機構を有するピストンロッド87bを進退可能に
挿入した構造のものである。
【0043】上記ピストンロッド87bはリンク機構7
8を介してリヤアーム13に連結されている。このリン
ク機構78は、側面視で三角形をなすリンクプレート7
8aと前後方向に略水平に延びるリンクアーム78bと
からなり、このリンクプレート78aの頂角部は上記ク
ロスパイプ83に連結され、前角部には上記ピストンロ
ッド87bが連結され、さらに、後角部には上記リンク
アーム78bが連結され、該リンクアーム78bの前端
部は下側クロスパイプ33に連結されている。
【0044】上記コイルばね88は、ピストンロッド8
7bの下端部に固着された下側ばね座89と、上記シリ
ンダ87aの上端部に装着された上側ばね座90との間
に配設されている。この上側ばね座90は周方向に回動
可能にかつ軸方向に移動可能に配設されており、該上側
ばね座90はばね荷重調整装置として機能している。こ
の調整装置は、上側ばね座90の上面にカム部93を形
成し、該カム部93にシリンダ87aに支持された係合
ピン94を係合させて構成されている。そして上記上ば
ね座90の外周面を工具で把持して回動させると、コイ
ルばね88の静止状態での長さが変化し、これにより初
期ばね荷重を調整するようになっている。
【0045】また上記緩衝器87にはシリンダ87a内
に連通するガス筒91が接続されており、該ガス筒91
は緩衝器87の後側にこれと平行に配置されている。ま
た上記ガス筒91とシリンダ87aとの間には減衰力調
整バルブ92aが介設されており、この調整バルブ92
aを調整工具により回動させることにより緩衝器87の
減圧縮時における衰力を調整するようになっている。な
お、緩衝器87の伸び時の減衰力を調整するためのバル
ブ92bはピストンロッド87bの下端部に配設されて
おり、該バルブ92bは無荷重状態でリヤアーム13の
下方に位置し、外方から調整可能となっている。
【0046】上記緩衝器87はリヤアームブラケット3
1の後側に略垂直に起立させて配置されており、該緩衝
器87の上端に形成されたボス部87cは上側クロスパ
イプ32に突出形成された一対の支持部32b間にボル
ト95により枢支されている。
【0047】そして上記上側ばね座90はリヤアームブ
ラケット31の後側で、かつ該リヤアームブラケット3
1,バックステー35,及び補強板81で囲まれた空間
から車幅方向左, 右外方に臨む位置に配置されており、
つまり上記空間を通して車幅方向外側から調整可能の部
位に位置している。また上記減衰力調整バルブ92aは
シートレール34とバックステー35との間の空間から
車幅方向左外方に臨む位置に配置されており、同様に車
幅方向外側から調整可能となっている。
【0048】上記リヤアーム13の後端には、図16,
図17に示すように、後輪14を軸支する車軸100が
挿着されており、この車軸100は該車軸100を調整
ボルト101により前後移動させることにより後述する
チェーン112の張りを調整する目盛り付きの張力調整
部材102を介在させて上記リヤアーム13,13に固
定されている。
【0049】上記後輪14は、ハブ部103とリム部1
04と両者の間に回転方向に間隔をあけて架設された3
本の中空状スポーク部105とを鋳造により一体形成し
たもので、該リム部104の外周にタイヤ106が装着
されている。
【0050】上記ハブ部103はハブ本体107と動力
伝達部材108とからなる2分割構造のもので、該ハブ
本体107は上記車軸100により支持されるインナハ
ブ107aと上記スポーク部105が接続されたアウタ
ハブ107bと、該アウタハブ107bとインナハブ1
07aとを一体に結合する左, 右側壁部107c,10
7dとから構成されている。
【0051】上記動力伝達部材108は、上記車軸10
0により玉軸受109を介して支持されるボス部108
aと、該ボス部108aの外周に一体形成され、上記左
側壁部107cと間を開けて対向する外周壁108bと
から構成されている。
【0052】上記外周壁108bと左側壁部107cと
の対向面にはそれぞれ周方向に間隔をあけてかつ交互に
位置するように複数のリブ108c,107eが一体形
成されており、該各リブ108c,107eの間にはエ
ンジンの回転変動に伴なう駆動力による衝撃荷重が後輪
14に伝達されるのを抑制するゴムダンパ110が介設
されている。
【0053】また上記外周壁108bの外面には周方向
に間隔をあけてボス108dが形成されており、該ボス
108dにドリブンスプロケット111がボルト締め固
定されている。このプロケット111にはチェーン11
2が巻回されており、該チェーン112は上述のエンジ
ンユニット7のドライブ軸53に固着された駆動スプロ
ケット53aに巻回されている(図5参照)。これによ
りエンジン動力をチェーン112からゴムダンパ110
を介して後輪14に伝達する後輪駆動装置が構成されて
いる。
【0054】上記後輪14の右側部にはリヤブレーキ装
置が配設されている。このリヤブレーキ装置は、上記ハ
ブ本体107の左側壁部107dの外面にボルト締め固
定されたブレーキディスク113と、該ブレーキディス
ク113を油圧により不図示のピストンを介して挟持す
るパッドを内蔵したキャリパ114とを備えている。
【0055】上記キャリパ114はブラケット115に
ボルト締め固定されている。該ブラケット115のボス
部115aは、上記車軸100の右側壁部107dとア
ーム部13bとの間に装着され、ナット100aにより
アーム部13bとともに車軸100に共締め固定されて
いる。このボス部115aの外周縁にはテーパ面116
が形成されており、該テーパ面116はアーム部13b
のテーパ穴に嵌合している。これによりブレーキ反力に
よるキャリパの回転が阻止されている。なお、上記ボス
部の外周面に平坦部を形成し、該平坦部をアーム部に係
止させ、もってキャリパの回転を阻止してもよい。
【0056】上記インナハブ107aの軸方向右端部に
は該インナハブ107aの内径より大径のボス部120
が段付き状に一体形成されており、該ボス部120と車
軸100との間には玉軸受121が圧入されている。ま
た該ボス部120の玉軸受121の外端面にはサークリ
ップ122が装着されており、軸受121の圧入及びサ
ークリップ122により後輪14に作用するスラスト荷
重による該後輪14の左右方向移動が阻止されている。
【0057】一方、上記インナハブ107aの左端部に
は該インナハブ107aの内径より僅かに大きいボス部
123が一体形成されており、該ボス部123は上記ゴ
ムダンパ110と半径方向に重なっている。そしてこの
ボス部123と上記車軸100との間にはニードル軸受
124が配設されている。このようにニードル軸受12
4を配設したことにより上記ボス部123の外径はボス
部120の外径に比べて小径となっている。本実施形態
では、ハブ,スポーク,リムの各部が一体形成されたも
のを説明したが、上記ニードル軸受を設ける発明に関し
ては各部が別体,組み合わせのものであっても良い。
【0058】本実施形態の前輪懸架装置は、図18〜図
20に示す構造となっている。上記フロントフォーク1
0は左, 右のアウタチューブ10a内に減衰機構10c
を有するインナチューブ10bを挿入してなり、該アウ
タチューブ10aの下端間に上記前輪12を軸支する車
軸129が挿着されている。この各アウタチューブ10
aの下端部にはそれぞれブラケット130が固定されて
いる。このブラケット130はアウタチューブ10aの
後側にて上方に延びる後側ステー部130aと、前側に
て上方に延びる前側ステー部130bとを備えており、
この両ステー部130a,130bの上端部に前輪12
の上方を覆うフロントフェンダ12aが取付けられてい
る(図1参照)。
【0059】また上記前輪12にはフロントブレーキ装
置が配設されている。このブレーキ装置は上記前輪12
の左, 右側部に配設されたブレーキディスク126と、
上記後側ステー部130aにボルト締め固定された左,
右のキャリパ127とから構成されている。
【0060】上記左, 右の後側ステー部130aの下部
後端面には上記減衰機構10cに連通する孔132が形
成されており、該孔132内には減衰調整バルブ133
が回動可能に螺挿されている。該減衰調整バルブ133
を車体後方から調整工具により回動させることにより減
衰機構10cの減衰力を調整するようになっている。こ
のように減衰調整バルブ133を後側ステー部130a
を兼用し、該ステー部130a内に埋設したので、別部
材を介して調整バルブを取付ける場合に比べて部品コス
トを低減できるとともに重量を軽減でき、さらには外観
を向上できる。
【0061】上記前輪12は、図21,図22に示すよ
うに、上記車軸129により軸支されるハブ部135
と、タイヤ138が装着されるリム部136と、両者間
に回転方向に間隔をあけて架設された3本の中空状スポ
ーク部137とを鋳造により一体形成したものである。
上記スポーク部137の横断面形状は回転方向寸法が軸
方向寸法より長い略翼状(長円状)をなしており、これ
により剛性の向上を図りながら回転時の空気抵抗を低減
している(図21のA−A線断面図参照)。
【0062】上記スポーク部137の外端部には鋳造時
の中子を押さえると共に該スポーク部内に溜まった水を
排出するための水抜き孔140が形成されており、また
内端部には鋳造時の中子を押さえるための孔141が形
成されている。また上記アウタハブ144の各スポーク
部137の間には鋳造時の中子を押さえるための開口1
48が形成されている。
【0063】上記ハブ部135は、上記車軸129が挿
通されるインナハブ143と、上記各スポーク部137
の基部が接続されたアウタハブ144と、該アウタハブ
144及びインナハブ143の両端部同士を一体に結合
する左, 右側壁部145,145とから構成されてい
る。上記インナハブ143の両端部にはこれの内径より
大径のボス部143a,143aが段付き状に形成され
ており、この両ボス部143aと車軸129との間には
玉軸受146が圧入されている。
【0064】上記左, 右側壁部145の外面には周方向
に間隔をあけて複数の外側補強リブ147が一体に膨出
形成されている。この各外側補強リブ147はインナハ
ブ143の中心から各スポーク部137の回転方向前縁
部137a,後縁部137bに向かって直線状に延びる
放射状に配置されている。
【0065】また上記左, 右側壁部145の内面には上
記外側補強リブ147と対向する内側補強リブ151が
膨出形成されており、該内側補強リブ151はインナハ
ブ143から各側壁部145の半径方向中央付近まで延
びている。
【0066】上記左,右側壁部145の外周縁には周方
向に間隔をあけてボルトボス部149が形成されてお
り、該各ボス部149は上記各外側補強リブ147とス
ポーク部137の前,後縁部137a,137bとの境
界部に配置されている。この各ボルトボス部149に上
記ブレーキディスク126がボルト締め固定されてい
る。また上記アウタハブ144の左, 右外端縁には各ボ
ス部149を結ぶ略円形のリブ150が車幅方向に突出
形成されており、該リブ150の外端面はボス部149
の外端面より内側に位置している。
【0067】次に本実施形態の作用効果について説明す
る。本実施形態の車体フレームによれば、タンクレール
4をタンクレール本体30と、箱状の補強ブラケット4
0とから構成し、該補強ブラケット40の上壁40aを
ヘッドパイプ3側ほど高くなるように斜め上向きに傾斜
させ、該上壁40aに上記タンクレール本体30の傾斜
開口部38bを溶接するとともに、補強ブラケット40
の前端開口41の周縁をヘッドパイプ3の接続ボス部3
cに溶接したので、該ヘッドパイプ3周りのタンクレー
ル4との溶接面積を増大でき、それだけ車体フレームの
タンク接続部の剛性を高めることができる。また、タン
クレール本体30と補強ブラケット40との接合部は横
断面日字形をなし、かつその中間の補強部である上壁4
0aが前上りの傾斜をなしていることから急制動時にヘ
ッドパイプ3に作用する力に対する接合強度,剛性を向
上でき、操縦安定性を向上できる。
【0068】また上記補強ブラケット40の上壁40a
を傾斜させ、該傾斜面にタンクレール本体30の傾斜開
口部38bを対向させたので、タンクレール本体30を
複雑な形状に成形する必要がなくなり、該タンクレール
本体70のプレス成形を容易に行うことができ、製造コ
ストを抑制できる。
【0069】上記補強ブラケット40の前端開口41を
ヘッドパイプ3の下端軸受部3aから上端軸受部3bに
渡る高さ寸法に設定したので、ヘッドパイプ3への接合
面積を増大でき、この点からも剛性を向上できる。
【0070】上記タンクレール本体30の傾斜開口部3
8bを補強ブラケット40に溶接するとともに、縦開口
部38aをヘッドパイプ3に溶接したので、ヘッドパイ
プ3に対する補強ブラケット40,タンクレール本体3
0の接合強度,剛性を向上でき、ひいては車体フレーム
全体の剛性を向上できる。
【0071】さらに上記補強ブラケット40の後端開口
43をエンジン懸架ブラケット45の嵌合口47により
閉塞するとともに溶接固定したので、剛性の高い補強ブ
ラケット40により懸架ブラケット45を支持でき、そ
れだけエンジンユニット7の支持剛性を向上できる。
【0072】本実施形態の如きエンジン支持構造を採用
した場合には、エンジン自体の剛性が車両全体の剛性を
大きく左右する。エンジン支持に当たって従来は、左,
右対称に支持するのが一般的であり、そのため車両全体
の剛性が不足又は過大になる場合があった。このように
左右対称支持を前提とした場合は、最適の車両剛性を得
るには非常に長時間に渡る試行錯誤による検討が必要で
あった。また、エンジンユニットを弾性部材を介在させ
て車体フレームに取り付けた場合はエンジン自体の剛性
が車両全体の剛性に与える影響が不安定となり、この点
からも最適剛性確保が困難となる。
【0073】これに対して本実施形態のエンジン懸架装
置によれば、エンジンユニット7の左側壁56aを車体
フレーム2に4箇所にて懸架支持し、右側壁56bをこ
れより少ない3箇所にて懸架支持するという左右非対称
支持構造を採用し、しかも全ての懸架を、弾性部材を介
することなくエンジンをフレームに直接取り付けるリジ
ッド支持構造としたので、エンジン自体の剛性の車両全
体の剛性に与える影響を把握し易く、車両全体の剛性が
不足したり、逆に過大になったりすることなく、最適な
車両剛性を得ることができる。
【0074】この場合に、上記エンジンの支持にあた
り、チェーン室59aが設けられた右側壁55b,56
b側の懸架支持数を左側壁55a,56aより少なくし
たので、左,右非対称支持構造による車両剛性の最適化
をより良好に行うことができる。
【0075】
【表1】
【0076】表1は本実施形態におけるエンジン左,右
非対称支持の効果を確認するために行った実験結果を示
す。本実験は、図5,図6に示すように、エンジンユニ
ット7の左側壁55a,56aを4点(符号70,7
3,75,76)で懸架支持し、右側壁55b,56b
を3点(符号70,73,77)で支持した場合の車両
全体の剛性と左,右対称に3点(符号70,73,7
7)支持した場合、及び左,右対称に4点(符号70,
73,75,76)支持した場合の車両全体の剛性とを
試験ライダが体感的に比較して行った。また上記図5,
図6の左,右非対称支持において、左側壁の前端部支持
点a1に代えてシリンダブロック55の前部a2又はシ
リンダヘッド56の後部a3を支持した場合の剛性につ
いても比較した。
【0077】上記左, 右対称3×3点支持の場合は、コ
ーナリング時におけるライダの車両倒し込み動作(バン
クさせる動作)に対する車体の実際のバンク開始に時間
的ずれがあり、これは車両全体の剛性が低いことから生
じる応答遅れに起因するものと考えられ、本実験ではこ
の場合の剛性を100と表示した。
【0078】一方、上記左, 右4×4点支持の場合は、
上記コーナリング時のライダーの車両倒し込み動作にお
ける力が小さい場合にはバンクせず、ある一定以上の力
をかけると時間遅れなく直ちにバンク開始し、これは車
両全体の剛性が過大であることに起因するものと考えら
れ、本実験ではこの場合の剛性を140と表示した。
【0079】これに対して本実施形態のように左4点,
右3点の非対称支持構造とした場合は、ライダの倒し込
み動作に対して時間的遅れがなく、かつ倒し込み動作に
おける力の大きさに比例してバンクし、本実験ではこの
場合の剛性を116と表示し、良好な剛性が得られてい
る。また支持点をa2とした場合は、剛性は122とな
り、本実施形態と略同様の効果が得られている。さらに
支持点をa3にした場合は、剛性は108と少し低いも
のの良好な値が得られている。
【0080】なお、上記実施形態では、エジンンの左側
壁を4点支持し、右側壁をこれより少ない3点支持とし
た場合を説明したが、左,右支持点数についてはこれに
限られるものではなく、要は左, 右何れかエンジン自体
の剛性の低い側の支持数を高い側より少なく設定するこ
とにより、左,右非対称支持構造とすれば良く、これに
より車両全体の剛性が不足したり、逆に過大になったり
するのを確実に回避できる。
【0081】本実施形態の後輪懸架装置によれば、クッ
ションユニット86をリヤアームブラケット31の後側
に略垂直に起立させて配置し、該クッションユニット8
6の初期ばね荷重調整装置を構成する上側ばね座90を
リヤアームブラケット31,バックステー35,及び補
強板81で囲まれた空間を通して車幅方向外側から調整
可能の位置に配置したので、上側ばね座90を調整工具
を用いて容易に回動させることができ、初期ばね荷重調
整作業におけるメンテナンス性を向上できる。
【0082】本実施形態ではクランク軸50,メイン軸
52,ドライブ軸53の配置位置の工夫によってエンジ
ンユニット7の前後方向長さを短くしたので、それだけ
ピボット軸80を車体前方に配置でき、これによりリヤ
アームブラケット31を車体前側に位置させることが可
能となり、即ち、後輪の前端とピボット軸との間の距離
が大きくなり、クッションユニットの配置上の自由度が
大きくなったことにより上側ばね座90を上述の位置に
配置することができ、上述のメンテナンス性向上効果が
得られる。
【0083】また緩衝器87の減衰力を調整する減衰力
調整バルブ92をシートレール34とバックステー35
との空間を通して車幅方向外方から調整可能に配置した
ので、上記同様に減衰力の調整作業を容易に行うことが
できる。
【0084】本実施形態による後輪の支持構造によれ
ば、インナハブ107aのゴムダンパ110と半径方向
に重なるボス部123をニードル軸受124により支持
したので、インナハブ107aのボス部123を小径化
でき、アウタハブ107bの径を確保しながらゴムダン
パ110の容量を大きくできる。
【0085】また換言すれば、上記ボス部123を小径
化したので、必要なダンパ容量を確保しながらアウタハ
ブ107bを小径化でき、それだけ軽量化に貢献でき
る。さらにアウタハブ107bを小径化した分だけスポ
ーク部105の軸方向長さが長くなり、これにより路面
からの衝撃の吸収能力を向上できる。
【0086】上記インナハブ107aのニードル軸受1
24と反対側部分については玉軸受121で軸支すると
ともに該玉軸受121の外側面にサークリップ122を
装着したので、スラスト荷重に対する後輪14の軸方向
移動を阻止できる。
【0087】本実施形態の前輪12によれば、インナハ
ブ143とアウタハブ144とを結合する左, 右側壁部
145の外面に、該インナハブ143の中心からスポー
ク部137の前,後縁部137a,137bに延びる外
側補強リブ147を形成したので、制動時にスポーク部
137の前,後縁部137a,137bに加わる引張
力,圧縮力に対する剛性を高めることができ、ブレーキ
鳴きを抑制できる。
【0088】また上記各外側補強リブ147をインナハ
ブ143からスポーク部137の前,後縁部137a,
137bに向けて形成したので、インナハブ143の中
心部からアウタハブ144,スポーク部137に流れる
湯の通路面積を大きくでき、それだけ湯の流れがスムー
ズとなり、ひいては肉厚不良や巣の発生を防止でき、品
質に対する信頼性を向上できる。
【0089】本実施形態では、上記各側壁部145の内
面に上記外側補強リブ147と対向するように内側補強
リブ151を形成したので、スポーク部137の剛性を
さらに向上でき、ブレーキ鳴きをさらに抑制できる。
【0090】また上記各補強リブ147とスポーク部1
37との境界部にブレーキディスク126をボルト締め
固定するボス部149を形成したので、ブレーキディス
ク126の取付け強度を向上でき、また該ボス部149
がリブとしても機能することからスポーク部137の剛
性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を説明するための自動二輪
車の左側面図である。
【図2】上記自動二輪車の平面図である。
【図3】上記自動二輪車のタンクレール部分の左側面図
である。
【図4】上記タンクレール部分の平面図である。
【図5】上記自動二輪車のエンジン懸架装置を示す左側
面図である。
【図6】上記エンジン懸架装置の右側面図である。
【図7】上記エンジン懸架装置の平面図である。
【図8】上記自動二輪車の後輪懸架装置の左側面図であ
る。
【図9】上記後輪懸架装置の断面図である(図9のIX
−IX線断面図)。
【図10】上記タンクレール本体の平面図である。
【図11】上記タンクレール本体の断面図である(図3
のXI−XI線断面図)。
【図12】上記タンクレールの補強ブラケットの平面図
である。
【図13】上記補強ブラケットの側面図である。
【図14】上記補強ブラケットの断面図である(図13
のXIV−XIV線断面図)。
【図15】上記エンジン懸架装置の懸架ブラケットの平
面図である。
【図16】上記自動二輪車の後輪の右側面図である。
【図17】上記後輪の断面背面図である。
【図18】上記自動二輪車の前輪の左側面図である。
【図19】上記前輪の断面図である。
【図20】上記前輪のフロントフォークの一部断面図で
ある。
【図21】上記前輪(フロントホイール)の側面図であ
る。
【図22】上記前輪の断面図である(図21のXXII
−XXII線断面図)。
【図23】上記自動二輪車のタンデムシートの断面図で
ある。
【図24】上記タンデムシートの斜視図である。
【図25】従来の車体フレームを示す模式図である。
【符号の説明】
1 自動二輪車 2 車体フレーム 3 ヘッドパイプ 3a 下端軸受部 3b 上端軸受部 4 タンクレール 30 タンクレール本体 38a 縦開口部 38b 傾斜開口部 40 補強ブラケット 40a 上壁 41 前端開口 43 後端開口 45 エンジン懸架ブラケット

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヘッドパイプから車幅方向に拡開しつつ
    車両後方に延びる左, 右のタンクレールを備えた自動二
    輪車の車体フレームにおいて、上記タンクレールを、上
    記ヘッドパイプに溶接固定された補強ブラケットと、該
    補強ブラケットに溶接固定されたタンクレール本体とで
    構成し、上記補強ブラケットを、横断面矩形で上面がヘ
    ッドパイプ側ほど高くなる傾斜状をなす箱体とし、該箱
    体の前端開口を上記ヘッドパイプの側面に溶接固定し、
    上記タンクレール本体を、縦長の閉断面形状を有する筒
    体とし、該筒体の前端開口を上記補強ブラケットの上面
    の傾斜に対応するように斜め下方に傾斜させ、該傾斜し
    た開口の周縁を上記補強ブラケットの上面に溶接固定し
    たことを特徴とする自動二輪車の車体フレーム。
  2. 【請求項2】 請求項1において、上記補強ブラケット
    の前端開口は上記ヘッドパイプの下端軸受部から上端軸
    受部近傍に渡る高さ寸法を有しており、上記タンクレー
    ル本体の前端開口は、上記補強ブラケットの傾斜上面に
    対応する傾斜開口部と、上記ヘッドパイプの側面に対向
    する縦開口部とを有し、該縦開口部が上記ヘッドパイプ
    に溶接固定されていることを特徴とする自動二輪車の車
    体フレーム。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において、上記補強ブラ
    ケットの後端開口は上記タンクレール本体の底面の下側
    にて後方を向いており、該後端開口にはエンジン懸架ブ
    ラケットの前端部が接合されていることを特徴とする自
    動二輪車の車体フレーム。
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