JPH115533A - ブレーキ力制御装置、及びブレーキ力制御方法 - Google Patents
ブレーキ力制御装置、及びブレーキ力制御方法Info
- Publication number
- JPH115533A JPH115533A JP17522397A JP17522397A JPH115533A JP H115533 A JPH115533 A JP H115533A JP 17522397 A JP17522397 A JP 17522397A JP 17522397 A JP17522397 A JP 17522397A JP H115533 A JPH115533 A JP H115533A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- brake
- wheel
- braking force
- force control
- control device
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Landscapes
- Regulating Braking Force (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 鉄道車両等の車輪に作用するブレーキ力を正
確に制御し得る装置及び方法を提供する。 【解決手段】 制輪子214の押し付け位置における車
輪回転方向への接線方向に発生する摩擦力により車輪2
40が接線方向の逆方向であるブレーキ方向に受けるブ
レーキ力Bを検出するブレーキ反力検出器8と、ブレー
キ力Bを監視し、車輪240の回転中心から制輪子21
4の押し付け位置までの半径方向距離に検出ブレーキ力
Bを乗じて得られる算出ブレーキトルクを目標ブレーキ
トルク値Bi にフィードバック制御を行うCPU1を備
えた。
確に制御し得る装置及び方法を提供する。 【解決手段】 制輪子214の押し付け位置における車
輪回転方向への接線方向に発生する摩擦力により車輪2
40が接線方向の逆方向であるブレーキ方向に受けるブ
レーキ力Bを検出するブレーキ反力検出器8と、ブレー
キ力Bを監視し、車輪240の回転中心から制輪子21
4の押し付け位置までの半径方向距離に検出ブレーキ力
Bを乗じて得られる算出ブレーキトルクを目標ブレーキ
トルク値Bi にフィードバック制御を行うCPU1を備
えた。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄道車両等の車輪
の踏面等に制輪子を押し付けて制動を行うブレーキ装置
において、制輪子から車輪等へ付与されるブレーキ力を
制御するブレーキ力制御装置、及びブレーキ力制御方法
に関するものである。
の踏面等に制輪子を押し付けて制動を行うブレーキ装置
において、制輪子から車輪等へ付与されるブレーキ力を
制御するブレーキ力制御装置、及びブレーキ力制御方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、鉄道車両等のブレーキ装置とし
て、レールに接触する車輪の外周面である踏面、又は車
輪とともに回転するディスク(以下、「ブレーキディス
ク」という。)の平板状表面(以下、「制動面」とい
う。)に、制輪子と呼ばれる部材を押し付けることによ
り車輪の回転を制動する形式のものが知られている。以
下、車輪踏面に制輪子を押し付ける方式のブレーキを
「踏面ブレーキ」といい、ブレーキディスクの制動面に
制輪子を押し付ける方式のブレーキを「ディスクブレー
キ」という。このようなブレーキ装置は、例えば、圧縮
空気をシリンダ内に導きピストンを出入させる駆動源
と、複数のリンクを含みピストンと制輪子とを連結し梃
子原理により制輪子に押付力を付与するリンク機構等を
備えている。
て、レールに接触する車輪の外周面である踏面、又は車
輪とともに回転するディスク(以下、「ブレーキディス
ク」という。)の平板状表面(以下、「制動面」とい
う。)に、制輪子と呼ばれる部材を押し付けることによ
り車輪の回転を制動する形式のものが知られている。以
下、車輪踏面に制輪子を押し付ける方式のブレーキを
「踏面ブレーキ」といい、ブレーキディスクの制動面に
制輪子を押し付ける方式のブレーキを「ディスクブレー
キ」という。このようなブレーキ装置は、例えば、圧縮
空気をシリンダ内に導きピストンを出入させる駆動源
と、複数のリンクを含みピストンと制輪子とを連結し梃
子原理により制輪子に押付力を付与するリンク機構等を
備えている。
【0003】上記したブレーキ装置においては、制輪子
が車輪又はブレーキディスクに押し付けられる位置の円
における車輪やブレーキディスクの接線方向のうち、車
輪回転方向とは逆方向となる接線の方向に摩擦力(以
下、「ブレーキ力」という。)が発生し車輪に付与され
る。ピストンによる制輪子押付力をPとすると、この制
輪子押付力Pにより発生するブレーキ力Bは、 B=f。×P により与えられる。ここに、f。は、制輪子と車輪踏面
との間、又は制輪子とブレーキディスク制動面との間の
摩擦係数である。上記のブレーキ力により、レール上で
車輪を転動させようとする回転力が低減されるため、車
両の移動速度が減速されたり、あるいは車両が停止す
る。
が車輪又はブレーキディスクに押し付けられる位置の円
における車輪やブレーキディスクの接線方向のうち、車
輪回転方向とは逆方向となる接線の方向に摩擦力(以
下、「ブレーキ力」という。)が発生し車輪に付与され
る。ピストンによる制輪子押付力をPとすると、この制
輪子押付力Pにより発生するブレーキ力Bは、 B=f。×P により与えられる。ここに、f。は、制輪子と車輪踏面
との間、又は制輪子とブレーキディスク制動面との間の
摩擦係数である。上記のブレーキ力により、レール上で
車輪を転動させようとする回転力が低減されるため、車
両の移動速度が減速されたり、あるいは車両が停止す
る。
【0004】上記のブレーキ力が小さいと、列車の減速
性能が弱く、旅客ホームの所定の停止位置をオーバーラ
ンしたり、緊急に停車すべき場合に所定の閉塞区間内で
停止できず先行列車に追突するというおそれもあり、鉄
道運営上及び安全上の問題となる。
性能が弱く、旅客ホームの所定の停止位置をオーバーラ
ンしたり、緊急に停車すべき場合に所定の閉塞区間内で
停止できず先行列車に追突するというおそれもあり、鉄
道運営上及び安全上の問題となる。
【0005】一方、上記のブレーキ力が所定値よりも大
きいと、車輪の回転力を低減させる度合が大きくなりす
ぎ、列車の走行速度よりも車輪の外周速度の方が小さく
なってしまうため、レールと車輪との間で滑りが生じ
る。ブレーキ力がさらに大きくなって車輪の回転力より
も大きくなると、車輪の回転が停止した状態でレール上
を滑走することになる。このような滑走が生じると、車
輪の踏面の一部が略平面状に摩耗する。このため、車輪
の摩耗部によりレールが打撃され、列車の乗り心地が悪
化する。また、この打撃は、レールと車輪の双方の損傷
の原因となる。
きいと、車輪の回転力を低減させる度合が大きくなりす
ぎ、列車の走行速度よりも車輪の外周速度の方が小さく
なってしまうため、レールと車輪との間で滑りが生じ
る。ブレーキ力がさらに大きくなって車輪の回転力より
も大きくなると、車輪の回転が停止した状態でレール上
を滑走することになる。このような滑走が生じると、車
輪の踏面の一部が略平面状に摩耗する。このため、車輪
の摩耗部によりレールが打撃され、列車の乗り心地が悪
化する。また、この打撃は、レールと車輪の双方の損傷
の原因となる。
【0006】したがって、鉄道車両等においては、車輪
に作用するブレーキ力を正確に検出し制御することが最
も重要な課題の一つとなっていた。
に作用するブレーキ力を正確に検出し制御することが最
も重要な課題の一つとなっていた。
【0007】しかし、上記した従来のブレーキ装置にお
いては、例えば踏面ブレーキの場合には、車輪踏面が円
筒面ではなく円錐面であることから、リンク機構の各リ
ンクに軸力だけでなく、曲げモーメントやねじりモーメ
ント等が複雑に作用し、ブレーキ力のみを正確に検出す
ることは困難であった。
いては、例えば踏面ブレーキの場合には、車輪踏面が円
筒面ではなく円錐面であることから、リンク機構の各リ
ンクに軸力だけでなく、曲げモーメントやねじりモーメ
ント等が複雑に作用し、ブレーキ力のみを正確に検出す
ることは困難であった。
【0008】一方、ディスクブレーキの場合には、制動
面に押し付けられる制輪子に、押付力(圧縮力)が制輪
子押付方向に作用するほか、摩擦力であるブレーキ力の
反力が制輪子押付方向の直角方向に作用することに伴
い、制輪子を把持する部材やリンク機構の各リンクに軸
力だけでなく、曲げモーメント等が作用し、この場合も
ブレーキ力のみを正確に検出することは困難であった。
面に押し付けられる制輪子に、押付力(圧縮力)が制輪
子押付方向に作用するほか、摩擦力であるブレーキ力の
反力が制輪子押付方向の直角方向に作用することに伴
い、制輪子を把持する部材やリンク機構の各リンクに軸
力だけでなく、曲げモーメント等が作用し、この場合も
ブレーキ力のみを正確に検出することは困難であった。
【0009】このため、従来は、制輪子押付力を発生さ
せるシリンダ内の空気圧を監視することによりブレーキ
制御を行っていた。
せるシリンダ内の空気圧を監視することによりブレーキ
制御を行っていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ブレー
キ力は、上述したように、制輪子押付力と摩擦係数との
積で決定される。そして、摩擦係数は、制輪子の材質
や、摩擦面における水分や油分その他の物質の有無等に
より変動する。このため、シリンダ内の空気圧の監視に
よるブレーキ制御においては、制輪子押付力は把握でき
るが、実際に車輪に作用しているブレーキ力を正確に把
握することはできず、例えば、同じ制輪子押付力であっ
ても、条件によってブレーキ力が異なる場合がある、と
いう問題があった。
キ力は、上述したように、制輪子押付力と摩擦係数との
積で決定される。そして、摩擦係数は、制輪子の材質
や、摩擦面における水分や油分その他の物質の有無等に
より変動する。このため、シリンダ内の空気圧の監視に
よるブレーキ制御においては、制輪子押付力は把握でき
るが、実際に車輪に作用しているブレーキ力を正確に把
握することはできず、例えば、同じ制輪子押付力であっ
ても、条件によってブレーキ力が異なる場合がある、と
いう問題があった。
【0011】本発明は上記の問題を解決するためになさ
れたものであり、本発明の解決しようとする課題は、鉄
道車両等の車輪に作用するブレーキ力を正確に制御し得
る装置及び方法を提供することにある。
れたものであり、本発明の解決しようとする課題は、鉄
道車両等の車輪に作用するブレーキ力を正確に制御し得
る装置及び方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明に係るブレーキ力制御装置は、鉄道車両の車
輪の踏面又は前記車輪とともに回転するディスクに制輪
子を押し付けることにより前記車輪の回転を制動するブ
レーキ装置において、前記制輪子の押し付けに伴い、前
記制輪子の押し付け位置における車輪回転方向への接線
方向に発生する摩擦力により前記車輪が前記接線方向の
逆方向であるブレーキ方向に受けるブレーキ力を検出し
検出ブレーキ力として出力するブレーキ力検出手段と、
前記検出ブレーキ力を監視し、前記車輪の回転中心から
前記制輪子の押し付け位置までの半径方向距離に前記検
出ブレーキ力を乗じて得られる算出ブレーキトルクを目
標ブレーキトルク値に追従又は維持させるようにフィー
ドバック制御を行うブレーキ力制御手段を備えたことを
特徴とする。
め、本発明に係るブレーキ力制御装置は、鉄道車両の車
輪の踏面又は前記車輪とともに回転するディスクに制輪
子を押し付けることにより前記車輪の回転を制動するブ
レーキ装置において、前記制輪子の押し付けに伴い、前
記制輪子の押し付け位置における車輪回転方向への接線
方向に発生する摩擦力により前記車輪が前記接線方向の
逆方向であるブレーキ方向に受けるブレーキ力を検出し
検出ブレーキ力として出力するブレーキ力検出手段と、
前記検出ブレーキ力を監視し、前記車輪の回転中心から
前記制輪子の押し付け位置までの半径方向距離に前記検
出ブレーキ力を乗じて得られる算出ブレーキトルクを目
標ブレーキトルク値に追従又は維持させるようにフィー
ドバック制御を行うブレーキ力制御手段を備えたことを
特徴とする。
【0013】上記において、好ましくは、前記車輪の軸
に作用する垂直荷重である軸重を検出し検出軸重として
出力する軸重検出手段を備え、前記ブレーキ力制御手段
は、演算又は検索を含む処理により得られた粘着係数に
前記検出軸重を乗じて得られる算出粘着力に前記車輪の
回転中心から前記踏面までの半径方向距離を乗じて得ら
れる算出粘着トルクよりも小さい値となるように、前記
目標ブレーキトルク値を設定する。
に作用する垂直荷重である軸重を検出し検出軸重として
出力する軸重検出手段を備え、前記ブレーキ力制御手段
は、演算又は検索を含む処理により得られた粘着係数に
前記検出軸重を乗じて得られる算出粘着力に前記車輪の
回転中心から前記踏面までの半径方向距離を乗じて得ら
れる算出粘着トルクよりも小さい値となるように、前記
目標ブレーキトルク値を設定する。
【0014】また、上記において、好ましくは、環境条
件から前記粘着係数を算出する粘着係数演算手順を記憶
した演算手順記憶手段と、制御時点での環境条件に基き
前記演算手順記憶手段に記憶された前記粘着係数演算手
順から対応する粘着係数演算手順を選択する演算手順選
択手段と、前記演算手順記憶手段から選択された前記粘
着係数演算手順に基き前記粘着係数を算出する粘着係数
演算手段を有する。
件から前記粘着係数を算出する粘着係数演算手順を記憶
した演算手順記憶手段と、制御時点での環境条件に基き
前記演算手順記憶手段に記憶された前記粘着係数演算手
順から対応する粘着係数演算手順を選択する演算手順選
択手段と、前記演算手順記憶手段から選択された前記粘
着係数演算手順に基き前記粘着係数を算出する粘着係数
演算手段を有する。
【0015】また、上記において、好ましくは、前記ブ
レーキ力制御手段は、環境条件に対応する前記粘着係数
の値の数表を記憶した数表記憶手段と、制御時点での環
境条件に基き前記数表記憶手段に記憶された前記数表か
ら対応する値を検索し又は前記数表内の近似値に補正演
算を施すことによって前記粘着係数を得る粘着係数値検
索補正手段を有する。
レーキ力制御手段は、環境条件に対応する前記粘着係数
の値の数表を記憶した数表記憶手段と、制御時点での環
境条件に基き前記数表記憶手段に記憶された前記数表か
ら対応する値を検索し又は前記数表内の近似値に補正演
算を施すことによって前記粘着係数を得る粘着係数値検
索補正手段を有する。
【0016】また、上記において、好ましくは、前記ブ
レーキ力制御手段は、前記鉄道車両の移動速度と前記車
輪の外周速度との差である差速度に基いて、前記車輪の
滑走の有無を判別し、滑走と判別した場合には、前記設
定された目標ブレーキトルク値をさらに小さい値に変更
する。
レーキ力制御手段は、前記鉄道車両の移動速度と前記車
輪の外周速度との差である差速度に基いて、前記車輪の
滑走の有無を判別し、滑走と判別した場合には、前記設
定された目標ブレーキトルク値をさらに小さい値に変更
する。
【0017】また、上記において、好ましくは、前記ブ
レーキ力制御手段は、前記滑走と判別した場合の環境条
件を記憶する滑走時条件記憶手段と、前記滑走時条件記
憶手段の内容に基いて学習を行い、前記車輪の外周に作
用する力である車輪外周作用力を推定する車輪外周作用
力推定手段を有する。
レーキ力制御手段は、前記滑走と判別した場合の環境条
件を記憶する滑走時条件記憶手段と、前記滑走時条件記
憶手段の内容に基いて学習を行い、前記車輪の外周に作
用する力である車輪外周作用力を推定する車輪外周作用
力推定手段を有する。
【0018】また、上記において、好ましくは、前記ブ
レーキ力制御手段は、環境条件から前記粘着係数を算出
する粘着係数演算手順を記憶した演算手順記憶手段と、
前記推定された車輪外周作用力のうち前記滑走が発生し
ない領域内での最大値に基き前記粘着係数演算手順を変
更する演算手順変更手段と、前記変更された粘着係数演
算手順と制御時点での環境条件に基き前記粘着係数を算
出する粘着係数演算手段を有する。
レーキ力制御手段は、環境条件から前記粘着係数を算出
する粘着係数演算手順を記憶した演算手順記憶手段と、
前記推定された車輪外周作用力のうち前記滑走が発生し
ない領域内での最大値に基き前記粘着係数演算手順を変
更する演算手順変更手段と、前記変更された粘着係数演
算手順と制御時点での環境条件に基き前記粘着係数を算
出する粘着係数演算手段を有する。
【0019】また、上記において、好ましくは、前記ブ
レーキ力制御手段は、各種環境条件に対応する前記粘着
係数の値の数表を記憶した数表記憶手段と、前記推定さ
れた車輪外周作用力のうち前記滑走が発生しない領域内
での最大値に基き前記数表記憶手段における前記数表の
値を変更する記憶値変更手段と、制御時点での環境条件
に基き前記変更された数表記憶手段の数表から対応する
値を検索し又は前記数表内の近似値に補正演算を施すこ
とによって前記粘着係数を得る粘着係数値検索手段を有
する。
レーキ力制御手段は、各種環境条件に対応する前記粘着
係数の値の数表を記憶した数表記憶手段と、前記推定さ
れた車輪外周作用力のうち前記滑走が発生しない領域内
での最大値に基き前記数表記憶手段における前記数表の
値を変更する記憶値変更手段と、制御時点での環境条件
に基き前記変更された数表記憶手段の数表から対応する
値を検索し又は前記数表内の近似値に補正演算を施すこ
とによって前記粘着係数を得る粘着係数値検索手段を有
する。
【0020】また、上記において、好ましくは、前記ブ
レーキ力制御手段は、前記鉄道車両の車輪のうち回転速
度が最大の車輪の外周速度を以て前記移動速度と決定す
る。
レーキ力制御手段は、前記鉄道車両の車輪のうち回転速
度が最大の車輪の外周速度を以て前記移動速度と決定す
る。
【0021】また、上記において、好ましくは、前記ブ
レーキ力制御手段は、前記鉄道車両の外部の位置に関す
る情報である位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報に基き前記移動速度を算出する移動速度演
算手段を有する。
レーキ力制御手段は、前記鉄道車両の外部の位置に関す
る情報である位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記位置情報に基き前記移動速度を算出する移動速度演
算手段を有する。
【0022】また、上記において、好ましくは、前記ブ
レーキ力制御手段は、前記差速度が特定の値を超え、か
つ、前記移動速度に対する前記差速度の比が特定の比を
超えた場合に滑走と判別する。
レーキ力制御手段は、前記差速度が特定の値を超え、か
つ、前記移動速度に対する前記差速度の比が特定の比を
超えた場合に滑走と判別する。
【0023】また、上記において、好ましくは、前記環
境条件は、天候、前記制輪子の材質、前記鉄道車両の移
動速度、前記移動速度と前記車輪の外周速度との差のう
ちのいずれか又はこれらの適宜の組合わせを含む。
境条件は、天候、前記制輪子の材質、前記鉄道車両の移
動速度、前記移動速度と前記車輪の外周速度との差のう
ちのいずれか又はこれらの適宜の組合わせを含む。
【0024】また、上記において、好ましくは、作動用
の流体に圧力を付与し供給する流体供給手段と、前記流
体供給手段から供給される流体を収容するシリンダと、
前記シリンダ内において往復運動可能に配設されたピス
トンを有し、前記シリンダ内に前記流体を注入し密閉す
ることにより前記ピストンに圧力を作用させて駆動し前
記制輪子の押し付けを行うブレーキ駆動源と、開放又は
閉塞可能に構成されるとともに、前記流体供給手段と前
記ブレーキ駆動源との間に配置され、前記開放の度合で
ある開度を調整することにより前記シリンダ内における
前記流体の圧力を制御する弁を備え、前記ブレーキ力制
御手段は、前記弁の開度を調整することにより前記フィ
ードバック制御を行う。
の流体に圧力を付与し供給する流体供給手段と、前記流
体供給手段から供給される流体を収容するシリンダと、
前記シリンダ内において往復運動可能に配設されたピス
トンを有し、前記シリンダ内に前記流体を注入し密閉す
ることにより前記ピストンに圧力を作用させて駆動し前
記制輪子の押し付けを行うブレーキ駆動源と、開放又は
閉塞可能に構成されるとともに、前記流体供給手段と前
記ブレーキ駆動源との間に配置され、前記開放の度合で
ある開度を調整することにより前記シリンダ内における
前記流体の圧力を制御する弁を備え、前記ブレーキ力制
御手段は、前記弁の開度を調整することにより前記フィ
ードバック制御を行う。
【0025】また、上記課題を解決するため、本発明に
係るブレーキ力制御方法は、鉄道車両の車輪の踏面又は
前記車輪とともに回転するディスクに制輪子を押し付け
ることにより前記車輪の回転を制動するブレーキ装置に
おいて、前記制輪子の押し付けに伴い、前記制輪子の押
し付け位置における車輪回転方向への接線方向に発生す
る摩擦力により前記車輪が前記接線方向の逆方向である
ブレーキ方向に受けるブレーキ力を検出し、前記ブレー
キ力を監視し、前記車輪の回転中心から前記制輪子の押
し付け位置までの半径方向距離に前記ブレーキ力を乗じ
て得られる算出ブレーキトルクを目標ブレーキトルク値
に追従又は維持させるようにフィードバック制御を行う
ことを特徴とする。
係るブレーキ力制御方法は、鉄道車両の車輪の踏面又は
前記車輪とともに回転するディスクに制輪子を押し付け
ることにより前記車輪の回転を制動するブレーキ装置に
おいて、前記制輪子の押し付けに伴い、前記制輪子の押
し付け位置における車輪回転方向への接線方向に発生す
る摩擦力により前記車輪が前記接線方向の逆方向である
ブレーキ方向に受けるブレーキ力を検出し、前記ブレー
キ力を監視し、前記車輪の回転中心から前記制輪子の押
し付け位置までの半径方向距離に前記ブレーキ力を乗じ
て得られる算出ブレーキトルクを目標ブレーキトルク値
に追従又は維持させるようにフィードバック制御を行う
ことを特徴とする。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るブレーキ力制
御装置の実施形態について、図面を参照しながら詳細に
説明する。
御装置の実施形態について、図面を参照しながら詳細に
説明する。
【0027】(1)第1実施形態 図1は、本発明の第1実施形態であるブレーキ力制御装
置の全体構成を示すブロック図である。
置の全体構成を示すブロック図である。
【0028】図1に示すように、このブレーキ力制御装
置100は、鉄道車両(図示せず)の車輪240の踏面
240aに制輪子214を押し付けることにより車輪2
40の回転を制動するブレーキ装置200において、制
輪子214が車輪240の踏面240aに押し付けられ
る位置の円における車輪240の接線方向のうち、車輪
回転方向とは逆方向となる接線の方向に発生し車輪24
0に付与される摩擦力であるブレーキ力を制御する装置
である。
置100は、鉄道車両(図示せず)の車輪240の踏面
240aに制輪子214を押し付けることにより車輪2
40の回転を制動するブレーキ装置200において、制
輪子214が車輪240の踏面240aに押し付けられ
る位置の円における車輪240の接線方向のうち、車輪
回転方向とは逆方向となる接線の方向に発生し車輪24
0に付与される摩擦力であるブレーキ力を制御する装置
である。
【0029】ブレーキ力制御装置100の説明に先立
ち、このブレーキ力制御装置100によりブレーキ力の
制御を行うブレーキ装置200の構成と作用について、
その概略を説明する。
ち、このブレーキ力制御装置100によりブレーキ力の
制御を行うブレーキ装置200の構成と作用について、
その概略を説明する。
【0030】このブレーキ装置200は、圧縮空気を生
成する空気圧縮機(コンプレッサ)201と、生成され
た圧縮空気を貯留する元空気タンク202と、圧縮空気
を送る空気配管203と、圧縮空気を通過させ又は遮断
させる弁204と、ブレーキシリンダ205と、ブレー
キシリンダ205内に収容されるとともに空気出入口2
05aから出入する圧縮空気により往復運動を行うピス
トン206と、ヒンジピン208,ピストンアーム20
7,ヒンジピン209,梃子リンク210,梃子支点ヒ
ンジピン211,ヒンジピン212,制輪子把持部材2
13,梃子支点軸支部材215,リニアベアリング21
6等の複数のリンク要素からなりピストン206と制輪
子214とを連結するリンク機構と、鋳鉄又は合成材等
によって形成されるとともに内壁面が車輪240の踏面
240aに密着可能な略円筒凹面状に形成された制輪子
214と、一端が梃子支点軸支部材215に接続すると
ともに他端がブレーキ反力検出器8(後述)に接続する
軸力担持部材217と、一端がブレーキ反力検出器8に
接続するとともに他端が鉄道車両(図示せず)の台車枠
220のブレーキ反力検出器支持部220cに支持され
る軸力担持部材219を備えている。また、軸力担持部
材217と219の間には、後述するブレーキ反力検出
器8が設けられている。
成する空気圧縮機(コンプレッサ)201と、生成され
た圧縮空気を貯留する元空気タンク202と、圧縮空気
を送る空気配管203と、圧縮空気を通過させ又は遮断
させる弁204と、ブレーキシリンダ205と、ブレー
キシリンダ205内に収容されるとともに空気出入口2
05aから出入する圧縮空気により往復運動を行うピス
トン206と、ヒンジピン208,ピストンアーム20
7,ヒンジピン209,梃子リンク210,梃子支点ヒ
ンジピン211,ヒンジピン212,制輪子把持部材2
13,梃子支点軸支部材215,リニアベアリング21
6等の複数のリンク要素からなりピストン206と制輪
子214とを連結するリンク機構と、鋳鉄又は合成材等
によって形成されるとともに内壁面が車輪240の踏面
240aに密着可能な略円筒凹面状に形成された制輪子
214と、一端が梃子支点軸支部材215に接続すると
ともに他端がブレーキ反力検出器8(後述)に接続する
軸力担持部材217と、一端がブレーキ反力検出器8に
接続するとともに他端が鉄道車両(図示せず)の台車枠
220のブレーキ反力検出器支持部220cに支持され
る軸力担持部材219を備えている。また、軸力担持部
材217と219の間には、後述するブレーキ反力検出
器8が設けられている。
【0031】上記のような構成により、このブレーキ装
置200は、圧縮空気を元空気タンク202から空気配
管203,弁204を経てブレーキシリンダ205内に
導き、ピストン206を出入させ、リンク機構が梃子原
理によりピストン206の突出動作を制輪子214の押
付動作に変換し、車輪240の踏面240aにブレーキ
力を付与するものである。ブレーキ装置は、圧縮空気以
外の他の作動用流体、例えば油等の液体を用いる形式の
ものであってもよい。
置200は、圧縮空気を元空気タンク202から空気配
管203,弁204を経てブレーキシリンダ205内に
導き、ピストン206を出入させ、リンク機構が梃子原
理によりピストン206の突出動作を制輪子214の押
付動作に変換し、車輪240の踏面240aにブレーキ
力を付与するものである。ブレーキ装置は、圧縮空気以
外の他の作動用流体、例えば油等の液体を用いる形式の
ものであってもよい。
【0032】次に、ブレーキ力制御装置100の構成に
ついて、さらに詳細に説明する。このブレーキ力制御装
置100は、CPU(Central Processing Unit :中央
演算処理装置)1と、ROM(Read Only Memory:読出
し専用メモリ)2と、RAM(Random Access Memory:
随時書込み読出しメモリ)3と、軸重検出器4と、ブレ
ーキ弁駆動部5と、空気圧検出器6と、入力・表示部7
と、ブレーキ反力検出器8を備えて構成されている。
ついて、さらに詳細に説明する。このブレーキ力制御装
置100は、CPU(Central Processing Unit :中央
演算処理装置)1と、ROM(Read Only Memory:読出
し専用メモリ)2と、RAM(Random Access Memory:
随時書込み読出しメモリ)3と、軸重検出器4と、ブレ
ーキ弁駆動部5と、空気圧検出器6と、入力・表示部7
と、ブレーキ反力検出器8を備えて構成されている。
【0033】上記のうちCPU1は、ブレーキ力制御装
置100の各部を統括し、各種演算やプログラム実行等
の処理を行う部分である。また、ROM2は、CPU1
の実行するプログラムや報知情報等を格納した記憶装置
である。このROM2のかわりにハードディスク又は他
の形式の記憶装置を用いてもよく、これらの記憶装置は
読出し専用のものだけでなく1回又は複数回書込み可能
なものであってもよい。また、RAM3は、CPU1に
より演算されたデータ等を一時記憶する記憶装置であ
る。このRAM3のかわりにハードディスク又は他の形
式の記憶装置を用いてもよい。
置100の各部を統括し、各種演算やプログラム実行等
の処理を行う部分である。また、ROM2は、CPU1
の実行するプログラムや報知情報等を格納した記憶装置
である。このROM2のかわりにハードディスク又は他
の形式の記憶装置を用いてもよく、これらの記憶装置は
読出し専用のものだけでなく1回又は複数回書込み可能
なものであってもよい。また、RAM3は、CPU1に
より演算されたデータ等を一時記憶する記憶装置であ
る。このRAM3のかわりにハードディスク又は他の形
式の記憶装置を用いてもよい。
【0034】また、軸重検出器4は、ロードセル等の荷
重検出センサ(図示せず)を有しており、鉄道車両(図
示せず)の車輪240の車軸230に作用する荷重を検
出し、CPU1に送る。また、ブレーキ反力検出器8
は、ロードセル等の荷重検出センサ(図示せず)を有し
ており、軸力担持部材217と219との間に作用する
軸力を検出し、ブレーキ反力としてCPU1に送る。ブ
レーキ反力と方向が逆で値が同一の力がブレーキ力とな
る。また、空気圧検出器6は、圧力検出センサ(図示せ
ず)を有しており、ブレーキ装置200の空気配管20
3内の空気圧を検出し、CPU1に送る。また、ブレー
キ弁駆動部5は、サーボ増幅器(図示せず。後述。)
と、ソレノイドやステッピングモータ等のアクチュエー
タ(図示せず)を有しており、CPU1の制御を受け、
ブレーキ装置200の弁204の開放の度合である「開
度」を調節する。そして、入力・表示部7は、スイッ
チ,ボタン,キーボード等の入力手段(図示せず)と、
CRT(Cathod Ray Tube :ブラウン管表示装置)や液
晶表示装置等の表示手段を有しており、CPU1に操作
指令を与えたり、データ等を入力したり、あるいはCP
U1からの情報を画像又は文字等で表示する。また、こ
の入力・表示部7は、鉄道車両(図示せず)の他の検出
機構や制御機構にも接続されており、ブレーキ力制御の
対象となる鉄道車両の他の諸データを、入力・表示部7
を介してCPU1に送ることができるようになってい
る。
重検出センサ(図示せず)を有しており、鉄道車両(図
示せず)の車輪240の車軸230に作用する荷重を検
出し、CPU1に送る。また、ブレーキ反力検出器8
は、ロードセル等の荷重検出センサ(図示せず)を有し
ており、軸力担持部材217と219との間に作用する
軸力を検出し、ブレーキ反力としてCPU1に送る。ブ
レーキ反力と方向が逆で値が同一の力がブレーキ力とな
る。また、空気圧検出器6は、圧力検出センサ(図示せ
ず)を有しており、ブレーキ装置200の空気配管20
3内の空気圧を検出し、CPU1に送る。また、ブレー
キ弁駆動部5は、サーボ増幅器(図示せず。後述。)
と、ソレノイドやステッピングモータ等のアクチュエー
タ(図示せず)を有しており、CPU1の制御を受け、
ブレーキ装置200の弁204の開放の度合である「開
度」を調節する。そして、入力・表示部7は、スイッ
チ,ボタン,キーボード等の入力手段(図示せず)と、
CRT(Cathod Ray Tube :ブラウン管表示装置)や液
晶表示装置等の表示手段を有しており、CPU1に操作
指令を与えたり、データ等を入力したり、あるいはCP
U1からの情報を画像又は文字等で表示する。また、こ
の入力・表示部7は、鉄道車両(図示せず)の他の検出
機構や制御機構にも接続されており、ブレーキ力制御の
対象となる鉄道車両の他の諸データを、入力・表示部7
を介してCPU1に送ることができるようになってい
る。
【0035】次に、上記したブレーキ力制御装置100
の作用について説明を行う。図2は、図1に示すブレー
キ力制御装置における制御手順を示すメインフローチャ
ート図である。また、図3は、図2に示すメインフロー
チャートにおける環境条件設定サブルーチンの手順を示
すフローチャート図である。また、図4は、図2に示す
メインフローチャートにおける粘着係数演算手順選択・
演算サブルーチンの手順を示すフローチャート図であ
る。また、図5は、図2に示すメインフローチャートに
おける滑走判別サブルーチンの手順を示すフローチャー
ト図である。また、図6は、図2に示すフローチャート
におけるフィードバック制御の制御系の構成を示すブロ
ック線図である。
の作用について説明を行う。図2は、図1に示すブレー
キ力制御装置における制御手順を示すメインフローチャ
ート図である。また、図3は、図2に示すメインフロー
チャートにおける環境条件設定サブルーチンの手順を示
すフローチャート図である。また、図4は、図2に示す
メインフローチャートにおける粘着係数演算手順選択・
演算サブルーチンの手順を示すフローチャート図であ
る。また、図5は、図2に示すメインフローチャートに
おける滑走判別サブルーチンの手順を示すフローチャー
ト図である。また、図6は、図2に示すフローチャート
におけるフィードバック制御の制御系の構成を示すブロ
ック線図である。
【0036】まず、ブレーキ力制御装置100内のCP
U1は、フィードバック制御の目標値となる目標ブレー
キ力Bi を設定する(図2におけるステップS1)。こ
の設定値に基き、図6に示すブロック線図のようなフィ
ードバック制御が行われる。
U1は、フィードバック制御の目標値となる目標ブレー
キ力Bi を設定する(図2におけるステップS1)。こ
の設定値に基き、図6に示すブロック線図のようなフィ
ードバック制御が行われる。
【0037】次に、CPU1は、軸重検出器4が検出し
た車軸230の軸重Wを取り込むとともに、ブレーキ反
力検出器8で検出されたブレーキ反力から極性符号を逆
にして得られるブレーキ力Bを取り込む(ステップS
2)。また、このとき同時に、入力・表示部7を介し
て、鉄道車両(図示せず)の並進速度VC を取り込み、
かつ、ブレーキ力制御を行う対象となる車輪240の外
周点の回転方向への接線方向速度(以下、「車輪外周速
度」という。)VP を、入力・表示部7を介して取り込
む。VP は、対象となる車軸に回転数センサ等を設けて
おけば把握できる。
た車軸230の軸重Wを取り込むとともに、ブレーキ反
力検出器8で検出されたブレーキ反力から極性符号を逆
にして得られるブレーキ力Bを取り込む(ステップS
2)。また、このとき同時に、入力・表示部7を介し
て、鉄道車両(図示せず)の並進速度VC を取り込み、
かつ、ブレーキ力制御を行う対象となる車輪240の外
周点の回転方向への接線方向速度(以下、「車輪外周速
度」という。)VP を、入力・表示部7を介して取り込
む。VP は、対象となる車軸に回転数センサ等を設けて
おけば把握できる。
【0038】また、上記の車両速度VC は、例えば、鉄
道車両の車輪のうち回転速度が最大の車輪の外周速度に
より設定される。この移動速度VC は、他の方法によっ
ても把握可能である。例えば、鉄道車両の外部の位置に
漏洩同軸ケーブル(LCX)等を配置して漏洩する電波
等により外部の位置情報を取得する位置情報取得手段を
備え、この位置情報と経過時間等に基いて移動速度VC
を算出する移動速度演算手段を備えてもよい。
道車両の車輪のうち回転速度が最大の車輪の外周速度に
より設定される。この移動速度VC は、他の方法によっ
ても把握可能である。例えば、鉄道車両の外部の位置に
漏洩同軸ケーブル(LCX)等を配置して漏洩する電波
等により外部の位置情報を取得する位置情報取得手段を
備え、この位置情報と経過時間等に基いて移動速度VC
を算出する移動速度演算手段を備えてもよい。
【0039】あるいはまた、人工衛星を利用して鉄道車
両の自己位置を把握するGPS(Global Positioning S
ystem :汎地球測位システム)を利用し、人工衛星から
直接に、あるいは外部の通信手段を介して間接的に自己
位置又は外部位置の情報を取得する位置情報取得手段を
備え、この位置情報と経過時間等に基いて移動速度VC
を算出する移動速度演算手段を備えてもよい。GPSで
は、地球の上空約20,200キロメートルの軌道上
に、1周約12時間で周回する24個のナブスター(NA
VSTAR )と呼ばれる人工衛星が配置され、これらの人工
衛星からの電波には、測位情報と絶体時間情報が含まれ
ている。このため、専用のGPSアンテナによってこれ
らの電波を受信し、専用のGPS受信機によって検波を
行えば、GPS受信機の地球上における3次元の座標位
置データ、すなわち、経度や緯度等の平面位置データと
標高データが、ディジタルデータとして検出できる。G
PSのうち、RTK(Real Time Kinematic )方式と呼
ばれるものは、GPS受信機側が移動中であっても、2
〜3cm程度の高い精度が得られるので、このRTK方
式を採用するのが望ましい。
両の自己位置を把握するGPS(Global Positioning S
ystem :汎地球測位システム)を利用し、人工衛星から
直接に、あるいは外部の通信手段を介して間接的に自己
位置又は外部位置の情報を取得する位置情報取得手段を
備え、この位置情報と経過時間等に基いて移動速度VC
を算出する移動速度演算手段を備えてもよい。GPSで
は、地球の上空約20,200キロメートルの軌道上
に、1周約12時間で周回する24個のナブスター(NA
VSTAR )と呼ばれる人工衛星が配置され、これらの人工
衛星からの電波には、測位情報と絶体時間情報が含まれ
ている。このため、専用のGPSアンテナによってこれ
らの電波を受信し、専用のGPS受信機によって検波を
行えば、GPS受信機の地球上における3次元の座標位
置データ、すなわち、経度や緯度等の平面位置データと
標高データが、ディジタルデータとして検出できる。G
PSのうち、RTK(Real Time Kinematic )方式と呼
ばれるものは、GPS受信機側が移動中であっても、2
〜3cm程度の高い精度が得られるので、このRTK方
式を採用するのが望ましい。
【0040】その後は、CPU1は、図6に示すよう
に、検出されたブレーキ力Bを目標ブレーキ力Bi と比
較(減算)し、制御偏差e(=Bi −B)を算出する。
この制御偏差eは、ブレーキ弁駆動部5内のサーボ増幅
器(図示せず)に送られ、弁204が駆動できる程度の
値まで増幅され、操作信号C1 となって弁204に出力
される。これにより、検出されたブレーキ力Bが目標ブ
レーキ力Bi よりも大きい場合には目標ブレーキBi に
合致させるためにブレーキ力Bを弱めるように弁204
の開度(操作量)C2 が設定され、検出されたブレーキ
力Bが目標ブレーキ力Bi よりも小さい場合には目標ブ
レーキBi に合致させるためにブレーキ力Bを強めるよ
うに弁204の開度C2 が設定される。この結果、ブレ
ーキシリンダ205のアーム出入口205bからのピス
トン206の突出量C3 が増減調節され、車輪踏面24
0aに対する制輪子214の押付力が増減調節されて、
ブレーキ力が増減調節される。このブレーキ力はブレー
キ反力検出器8により検出されたブレーキ反力の逆値と
してCPU1が検出し、ブレーキ力Bをフィードバック
する。このような制御により、ブレーキ力Bが目標ブレ
ーキ力Bi に合致するまでフィードバックが行われる。
に、検出されたブレーキ力Bを目標ブレーキ力Bi と比
較(減算)し、制御偏差e(=Bi −B)を算出する。
この制御偏差eは、ブレーキ弁駆動部5内のサーボ増幅
器(図示せず)に送られ、弁204が駆動できる程度の
値まで増幅され、操作信号C1 となって弁204に出力
される。これにより、検出されたブレーキ力Bが目標ブ
レーキ力Bi よりも大きい場合には目標ブレーキBi に
合致させるためにブレーキ力Bを弱めるように弁204
の開度(操作量)C2 が設定され、検出されたブレーキ
力Bが目標ブレーキ力Bi よりも小さい場合には目標ブ
レーキBi に合致させるためにブレーキ力Bを強めるよ
うに弁204の開度C2 が設定される。この結果、ブレ
ーキシリンダ205のアーム出入口205bからのピス
トン206の突出量C3 が増減調節され、車輪踏面24
0aに対する制輪子214の押付力が増減調節されて、
ブレーキ力が増減調節される。このブレーキ力はブレー
キ反力検出器8により検出されたブレーキ反力の逆値と
してCPU1が検出し、ブレーキ力Bをフィードバック
する。このような制御により、ブレーキ力Bが目標ブレ
ーキ力Bi に合致するまでフィードバックが行われる。
【0041】また、CPU1は、上記のようにして検出
された車両速度VC と車輪外周速度VP とから差速度V
S を、式VS =VC −VP により算出する(ステップS
3)。
された車両速度VC と車輪外周速度VP とから差速度V
S を、式VS =VC −VP により算出する(ステップS
3)。
【0042】次に、CPU1は、環境条件設定サブルー
チンS4を実行し、ブレーキ力制御に関する環境条件を
設定する。環境条件設定サブルーチンの内容については
後述する。
チンS4を実行し、ブレーキ力制御に関する環境条件を
設定する。環境条件設定サブルーチンの内容については
後述する。
【0043】次に、CPU1は、粘着係数演算手順選択
・演算サブルーチンS5を実行し、粘着係数μを算出す
る。粘着係数演算手順選択・演算サブルーチンの内容に
ついては後述する。
・演算サブルーチンS5を実行し、粘着係数μを算出す
る。粘着係数演算手順選択・演算サブルーチンの内容に
ついては後述する。
【0044】次に、CPU1は、ステップS6に移行
し、目標ブレーキ力Bi が、上記のようにして検出され
た軸重Wと粘着係数μとの積以下であるか否かを判別す
る。
し、目標ブレーキ力Bi が、上記のようにして検出され
た軸重Wと粘着係数μとの積以下であるか否かを判別す
る。
【0045】上記の判別ステップS6において、Bi ≦
μ×Wの場合には、滑走判別サブルーチンS7を実行す
る。また、判別ステップS6において、Bi >μ×Wの
場合には、「滑走」のおそれがあるため、ステップS8
に移行し、目標ブレーキ力Bi を現時点よりもさらに小
さい値に変更設定し、その後ステップS1に戻る。
μ×Wの場合には、滑走判別サブルーチンS7を実行す
る。また、判別ステップS6において、Bi >μ×Wの
場合には、「滑走」のおそれがあるため、ステップS8
に移行し、目標ブレーキ力Bi を現時点よりもさらに小
さい値に変更設定し、その後ステップS1に戻る。
【0046】上記のように、このブレーキ力制御装置1
00においては、制輪子214の押し付けに伴い、制輪
子214の押し付け位置における車輪回転方向への接線
方向(以下、「車輪接線方向」という。)に発生する摩
擦力により制輪子214が車輪接線方向の逆方向(以
下、「ブレーキ方向」という。)に受ける反力であるブ
レーキ力Bを検出して監視し、ブレーキ力Bを目標ブレ
ーキ力Bi に追従又は維持させるようなフィードバック
制御が行われる。また、目標ブレーキ力Bi は、検出さ
れた軸重Wに粘着係数μを乗じて得られる算出粘着力以
下の値に設定される。また、粘着係数μは、環境条件に
応じて、CPU1が選択又は演算する。また、CPU1
は、ブレーキ力制御の対象となっている車輪240が滑
走状態にあるか否かを判別する。
00においては、制輪子214の押し付けに伴い、制輪
子214の押し付け位置における車輪回転方向への接線
方向(以下、「車輪接線方向」という。)に発生する摩
擦力により制輪子214が車輪接線方向の逆方向(以
下、「ブレーキ方向」という。)に受ける反力であるブ
レーキ力Bを検出して監視し、ブレーキ力Bを目標ブレ
ーキ力Bi に追従又は維持させるようなフィードバック
制御が行われる。また、目標ブレーキ力Bi は、検出さ
れた軸重Wに粘着係数μを乗じて得られる算出粘着力以
下の値に設定される。また、粘着係数μは、環境条件に
応じて、CPU1が選択又は演算する。また、CPU1
は、ブレーキ力制御の対象となっている車輪240が滑
走状態にあるか否かを判別する。
【0047】次に、上記のように制御する理由につい
て、図10を参照しつつ説明する。図10は、図1に示
すブレーキ制御装置における速度と車輪外周作用力との
関係を示す図であり、図10(A)は差速度と車輪外周
作用力との関係を、図10(B)は車両速度と車輪外周
作用力との関係を、それぞれ示している。
て、図10を参照しつつ説明する。図10は、図1に示
すブレーキ制御装置における速度と車輪外周作用力との
関係を示す図であり、図10(A)は差速度と車輪外周
作用力との関係を、図10(B)は車両速度と車輪外周
作用力との関係を、それぞれ示している。
【0048】また、車両速度VC と車輪外周速度VP と
から求められる差速度VS (=VC−VP )を横軸にと
ると、車輪の外周に作用する車輪外周作用力Fは、図1
0(A)に示すように曲線になる。ここで、車輪外周作
用力とは、車輪を駆動してレール上で転動させる力、あ
るいは車輪に制動を与えて停止させようとする力等であ
る。また、差速度VS が零でない値をとるということ
は、車輪とレールとの間に「滑り」があることを意味し
ている。
から求められる差速度VS (=VC−VP )を横軸にと
ると、車輪の外周に作用する車輪外周作用力Fは、図1
0(A)に示すように曲線になる。ここで、車輪外周作
用力とは、車輪を駆動してレール上で転動させる力、あ
るいは車輪に制動を与えて停止させようとする力等であ
る。また、差速度VS が零でない値をとるということ
は、車輪とレールとの間に「滑り」があることを意味し
ている。
【0049】そして、図10(A)に示すように、差速
度VS が零から増大していくと、車輪外周作用力Fも、
それにつれて増大する。すなわち、差速度VS があるこ
とによって、車輪に駆動力や制動力が作用することを意
味している。これは、レールが理論のような完全な剛体
ではなく、車輪が載ることによりわずかに変形するため
である。
度VS が零から増大していくと、車輪外周作用力Fも、
それにつれて増大する。すなわち、差速度VS があるこ
とによって、車輪に駆動力や制動力が作用することを意
味している。これは、レールが理論のような完全な剛体
ではなく、車輪が載ることによりわずかに変形するため
である。
【0050】そして、差速度VS がV1 に達すると、車
輪外周作用力Fは値F1 以上に増大できなくなり、差速
度VS だけが増大していく。この状態は、車輪がレール
との間で全面的に滑りを生じていることになり、車両の
加速時であれば「空転」という現象となり、減速時であ
れば「滑走」という現象となる。
輪外周作用力Fは値F1 以上に増大できなくなり、差速
度VS だけが増大していく。この状態は、車輪がレール
との間で全面的に滑りを生じていることになり、車両の
加速時であれば「空転」という現象となり、減速時であ
れば「滑走」という現象となる。
【0051】上記の図10(A)において零点から点P
1 までの領域を「粘着領域」と呼び、図において点P1
より右側の領域を「すべり領域」と呼ぶ。また、F1
は、「粘着力」とも呼ばれる。鉄道車両において制動を
行う場合には、車輪外周作用力Fが粘着領域の範囲内の
状態(以下、「粘着状態」という。)となるようにブレ
ーキ力を作用させる必要がある。そのようにブレーキ制
御を行わないと、車輪とレールとの間の滑りが極度に増
大し、車輪が停止した状態でレール上を滑走(スキッ
ド)してしまい、車輪の踏面が局部的に平面状にすり減
る「フラット」と呼ばれる損傷が発生するからである。
このフラットが生じると、車輪の回転に伴ってフラット
部分がレール面を周期的に打撃するハンマリングが起こ
り、レールと車輪の双方をさらに傷める結果となる。
1 までの領域を「粘着領域」と呼び、図において点P1
より右側の領域を「すべり領域」と呼ぶ。また、F1
は、「粘着力」とも呼ばれる。鉄道車両において制動を
行う場合には、車輪外周作用力Fが粘着領域の範囲内の
状態(以下、「粘着状態」という。)となるようにブレ
ーキ力を作用させる必要がある。そのようにブレーキ制
御を行わないと、車輪とレールとの間の滑りが極度に増
大し、車輪が停止した状態でレール上を滑走(スキッ
ド)してしまい、車輪の踏面が局部的に平面状にすり減
る「フラット」と呼ばれる損傷が発生するからである。
このフラットが生じると、車輪の回転に伴ってフラット
部分がレール面を周期的に打撃するハンマリングが起こ
り、レールと車輪の双方をさらに傷める結果となる。
【0052】踏面ブレーキの場合は、車輪踏面(レール
に対する車輪外周面)に制輪子を押し付けてブレーキ力
を付与するため、付与されたブレーキ力が車輪外周作用
力となる。このため、踏面ブレーキの場合は、ブレーキ
力がF1 以下になるように制御すればよい。また、この
最大の車輪外周作用力F1 を軸重Wで除した値F1 /W
を粘着係数μと定義する。粘着係数μとは、車輪踏面と
レールとの間に働く一種の摩擦係数に他ならない。すな
わち、粘着係数μが把握されれば、乗客数の増減などに
よって軸重Wが変動しても、F1 =μ×Wによって値F
1 を算出できるから、踏面ブレーキの場合には、ブレー
キ力Bが、B≦μ×Wの条件を満足するようにブレーキ
制御を行えばよいことになる。
に対する車輪外周面)に制輪子を押し付けてブレーキ力
を付与するため、付与されたブレーキ力が車輪外周作用
力となる。このため、踏面ブレーキの場合は、ブレーキ
力がF1 以下になるように制御すればよい。また、この
最大の車輪外周作用力F1 を軸重Wで除した値F1 /W
を粘着係数μと定義する。粘着係数μとは、車輪踏面と
レールとの間に働く一種の摩擦係数に他ならない。すな
わち、粘着係数μが把握されれば、乗客数の増減などに
よって軸重Wが変動しても、F1 =μ×Wによって値F
1 を算出できるから、踏面ブレーキの場合には、ブレー
キ力Bが、B≦μ×Wの条件を満足するようにブレーキ
制御を行えばよいことになる。
【0053】しかし、ディスクブレーキの場合には、車
輪外周位置とブレーキ位置が異なるから、一般には、車
輪の回転中心から制輪子の押し付け位置(ブレーキ位
置)までの半径方向距離にブレーキ力を乗じて得られる
「ブレーキトルク」という値で管理すればよい。すなわ
ち、車輪中心から車輪外周までの半径をRとし、車輪中
心から制輪子押し付け位置までの半径をrとしたとき、
B×r≦μ×W×Rとなるようにブレーキ力Bを制御す
ればよい。この場合、B×rを「ブレーキトルク」、B
i ×rを「目標ブレーキトルク」、μ×W×Rを「算出
粘着トルク」という。また、上式において、踏面ブレー
キの場合はR=rであるから、B≦μ×Wとなる。
輪外周位置とブレーキ位置が異なるから、一般には、車
輪の回転中心から制輪子の押し付け位置(ブレーキ位
置)までの半径方向距離にブレーキ力を乗じて得られる
「ブレーキトルク」という値で管理すればよい。すなわ
ち、車輪中心から車輪外周までの半径をRとし、車輪中
心から制輪子押し付け位置までの半径をrとしたとき、
B×r≦μ×W×Rとなるようにブレーキ力Bを制御す
ればよい。この場合、B×rを「ブレーキトルク」、B
i ×rを「目標ブレーキトルク」、μ×W×Rを「算出
粘着トルク」という。また、上式において、踏面ブレー
キの場合はR=rであるから、B≦μ×Wとなる。
【0054】上記の粘着係数μの値が定数であれば、計
測等により値を定め、これにより常に最適なブレーキ制
御が可能となる。しかし、粘着係数μは、各種のパラメ
ータにより変化する値である。粘着係数μは、まず車両
速度VC に依存し、一般に、車両速度VC が高いほど粘
着係数μの値は低くなる。このことを図示したのが図1
0(B)である。図に示すように、車両速度VC 以外の
他のパラメータを一定としたとき、車輪外周作用力F1
(=μ×W)の値は、車両速度VC が高くなるほど小さ
くなる。このことは、図10(A)のグラフにおいて
は、車両速度が高くなると、車輪外周作用力Fの曲線が
図において破線で示すように下方に移行することを意味
し、車両速度が低くなると、車輪外周作用力Fの曲線が
図において一点鎖線で示すように上方に移行することを
意味している。
測等により値を定め、これにより常に最適なブレーキ制
御が可能となる。しかし、粘着係数μは、各種のパラメ
ータにより変化する値である。粘着係数μは、まず車両
速度VC に依存し、一般に、車両速度VC が高いほど粘
着係数μの値は低くなる。このことを図示したのが図1
0(B)である。図に示すように、車両速度VC 以外の
他のパラメータを一定としたとき、車輪外周作用力F1
(=μ×W)の値は、車両速度VC が高くなるほど小さ
くなる。このことは、図10(A)のグラフにおいて
は、車両速度が高くなると、車輪外周作用力Fの曲線が
図において破線で示すように下方に移行することを意味
し、車両速度が低くなると、車輪外周作用力Fの曲線が
図において一点鎖線で示すように上方に移行することを
意味している。
【0055】また上記した車輪とレールとの粘着現象
は、一種の摩擦現象であるから、レール表面に水、油、
落葉、サビ等が存在することによって粘着係数μの値は
変化する。例えば、雨天時のようにレール上に水が存在
する場合には、滑りやすくなることから、粘着係数μの
値は低下する。油滴や落葉やサビの場合も同様である。
逆に、レール上に砂粒子等が存在する場合には、滑りに
くくなるため、粘着係数μの値は増大する。
は、一種の摩擦現象であるから、レール表面に水、油、
落葉、サビ等が存在することによって粘着係数μの値は
変化する。例えば、雨天時のようにレール上に水が存在
する場合には、滑りやすくなることから、粘着係数μの
値は低下する。油滴や落葉やサビの場合も同様である。
逆に、レール上に砂粒子等が存在する場合には、滑りに
くくなるため、粘着係数μの値は増大する。
【0056】また、ブレーキ力は、制輪子が車輪等に押
し付けられ、制輪子と車輪等の摩擦を介して車輪に付与
される。このため、車輪等と制輪子との間の摩擦係数が
問題になる。この摩擦係数は、制輪子の材質、あるいは
車両速度に依存する。図10(B)において、曲線Aは
鋳鉄で形成された制輪子における摩擦力を示している。
この鋳鉄制輪子の場合は、速度がある程度高い領域で
は、摩擦力は車輪の粘着力F1 よりもかなり小さいが、
低速域では、粘着力F1 よりも大きくなることがあり、
車輪の滑走が不可避である場合があるということがわか
る。一方、図10(B)において、曲線Bは合成樹脂と
鉄粉等からなる合成制輪子の場合である。この合成制輪
子の場合は、全ての速度域において、摩擦力は車輪の粘
着力F1 よりも小さく、その値は車輪粘着力F1 に近
く、かつ車輪粘着力F1 の曲線とほぼ平行に変化してい
ることがわかる。したがって、合成制輪子の場合(曲線
Bの場合)には、制輪子押付力を適当に制御すれば、滑
走のおそれは少ない、ということになる。
し付けられ、制輪子と車輪等の摩擦を介して車輪に付与
される。このため、車輪等と制輪子との間の摩擦係数が
問題になる。この摩擦係数は、制輪子の材質、あるいは
車両速度に依存する。図10(B)において、曲線Aは
鋳鉄で形成された制輪子における摩擦力を示している。
この鋳鉄制輪子の場合は、速度がある程度高い領域で
は、摩擦力は車輪の粘着力F1 よりもかなり小さいが、
低速域では、粘着力F1 よりも大きくなることがあり、
車輪の滑走が不可避である場合があるということがわか
る。一方、図10(B)において、曲線Bは合成樹脂と
鉄粉等からなる合成制輪子の場合である。この合成制輪
子の場合は、全ての速度域において、摩擦力は車輪の粘
着力F1 よりも小さく、その値は車輪粘着力F1 に近
く、かつ車輪粘着力F1 の曲線とほぼ平行に変化してい
ることがわかる。したがって、合成制輪子の場合(曲線
Bの場合)には、制輪子押付力を適当に制御すれば、滑
走のおそれは少ない、ということになる。
【0057】上記のことから、環境条件設定サブルーチ
ンS4においては、図3に示すような手順が実行され
る。まず、入力・表示部7等から車両の走行する区間等
の天候条件の入力又は変更があったか否かが判別される
(ステップS41)。この結果、特に入力又は変更がな
い場合にはステップS43に移行するが、天候条件の入
力又は変更があった場合には、ステップS42におい
て、天候条件を設定する。これは、雨天等の入力によ
り、後述する粘着係数演算手順選択・演算サブルーチン
において、粘着係数の値の設定等を行うための基礎とな
る。
ンS4においては、図3に示すような手順が実行され
る。まず、入力・表示部7等から車両の走行する区間等
の天候条件の入力又は変更があったか否かが判別される
(ステップS41)。この結果、特に入力又は変更がな
い場合にはステップS43に移行するが、天候条件の入
力又は変更があった場合には、ステップS42におい
て、天候条件を設定する。これは、雨天等の入力によ
り、後述する粘着係数演算手順選択・演算サブルーチン
において、粘着係数の値の設定等を行うための基礎とな
る。
【0058】ステップS43では、入力・表示部7等か
ら制輪子材質条件の入力又は変更があったか否かが判別
される。この結果、特に入力又は変更がない場合にはメ
インフローチャートに戻るが、制輪子材質条件の入力又
は変更があった場合には、ステップS44において、制
輪子材質条件を設定する。これは、制輪子材質の入力に
より、後述する粘着係数演算手順選択・演算サブルーチ
ンにおいて、粘着係数の値の設定等を行うための基礎と
なる。これらの天候条件や制輪子材質条件等を含む環境
条件は、RAM3に記憶される。
ら制輪子材質条件の入力又は変更があったか否かが判別
される。この結果、特に入力又は変更がない場合にはメ
インフローチャートに戻るが、制輪子材質条件の入力又
は変更があった場合には、ステップS44において、制
輪子材質条件を設定する。これは、制輪子材質の入力に
より、後述する粘着係数演算手順選択・演算サブルーチ
ンにおいて、粘着係数の値の設定等を行うための基礎と
なる。これらの天候条件や制輪子材質条件等を含む環境
条件は、RAM3に記憶される。
【0059】また、粘着係数演算手順選択・演算サブル
ーチンS5においては、図4に示すような手順が実行さ
れる。まず、上記した環境条件で設定された天候条件、
制輪子材質条件、及び車両速度VC 、及び差速度VS の
値が入力される(ステップS51)。次に、ステップS
52において、粘着係数μが、差速度VS (=VC −V
P )の関数μ(VS )の一つとしてCPU1により選択
される。この粘着係数関数μ(VS )は、例えば、粘着
領域を μ=a×VS (a:正の実数) という一次式に簡素化して表現したり、あるいは、 μ=a。・x+a1・x +a2・x2+…+an・xn
(ai :実数) というn次曲線の式として表現したり、あるいは、すべ
り領域を μ=−b×VS +c(b,c:正の実数) という一次式に簡素化して表現したりするものである。
この粘着係数関数μ(VS )は、各パラメータに応じて
一又は複数用意され、ROM2にデータとして格納され
ている。
ーチンS5においては、図4に示すような手順が実行さ
れる。まず、上記した環境条件で設定された天候条件、
制輪子材質条件、及び車両速度VC 、及び差速度VS の
値が入力される(ステップS51)。次に、ステップS
52において、粘着係数μが、差速度VS (=VC −V
P )の関数μ(VS )の一つとしてCPU1により選択
される。この粘着係数関数μ(VS )は、例えば、粘着
領域を μ=a×VS (a:正の実数) という一次式に簡素化して表現したり、あるいは、 μ=a。・x+a1・x +a2・x2+…+an・xn
(ai :実数) というn次曲線の式として表現したり、あるいは、すべ
り領域を μ=−b×VS +c(b,c:正の実数) という一次式に簡素化して表現したりするものである。
この粘着係数関数μ(VS )は、各パラメータに応じて
一又は複数用意され、ROM2にデータとして格納され
ている。
【0060】次に、選択された粘着係数関数μ(VS )
に現時点の差速度VS をCPU1が代入する(ステップ
S53)。これにより、現時点の粘着係数μの値が算出
される(ステップS54)。このμ値が、上記したメイ
ンフローチャートのステップS6において用いられる。
に現時点の差速度VS をCPU1が代入する(ステップ
S53)。これにより、現時点の粘着係数μの値が算出
される(ステップS54)。このμ値が、上記したメイ
ンフローチャートのステップS6において用いられる。
【0061】次に、滑走判別サブルーチンにおいては、
図5に示すような手順が実行される。まず、差速度VS
が特定の値a1 を超えたか否かが判別される(ステップ
S71)。この結果、該当しなければステップS74に
移行して「非滑走」と判別され、メインフローチャート
に戻るが、該当する場合には、ステップS72に移行
し、車両速度VC に対する差速度VS の比VS /VC が
特定の比a2 を超えたか否かが判別される。この結果、
該当しなければステップS74に移行して「非滑走」と
判別し、メインフローチャートに戻るが、該当する場合
には、ステップS73に移行して「滑走」と判別された
後にステップS8に移行し、フィードバック制御の目標
値である目標ブレーキ力Bi 又は目標ブレーキトルク値
を現時点よりもさらに小さい値に変更する。
図5に示すような手順が実行される。まず、差速度VS
が特定の値a1 を超えたか否かが判別される(ステップ
S71)。この結果、該当しなければステップS74に
移行して「非滑走」と判別され、メインフローチャート
に戻るが、該当する場合には、ステップS72に移行
し、車両速度VC に対する差速度VS の比VS /VC が
特定の比a2 を超えたか否かが判別される。この結果、
該当しなければステップS74に移行して「非滑走」と
判別し、メインフローチャートに戻るが、該当する場合
には、ステップS73に移行して「滑走」と判別された
後にステップS8に移行し、フィードバック制御の目標
値である目標ブレーキ力Bi 又は目標ブレーキトルク値
を現時点よりもさらに小さい値に変更する。
【0062】上記の特定値a1 としては、例えば、定め
られた速度値(km/h)が用いられる。また、上記の
特定比a2 としては、例えば、定められた比率(%)が
用いられる。
られた速度値(km/h)が用いられる。また、上記の
特定比a2 としては、例えば、定められた比率(%)が
用いられる。
【0063】したがって、差速度VS が特定の値を超
え、かつ、移動速度VC に対する差速度VS の比が特定
の比a2 を超えた場合に「滑走」と判別され、この2条
件のうち一つでも合致しない場合には「非滑走」と判別
される。
え、かつ、移動速度VC に対する差速度VS の比が特定
の比a2 を超えた場合に「滑走」と判別され、この2条
件のうち一つでも合致しない場合には「非滑走」と判別
される。
【0064】本実施形態では、上記のような手順によ
り、鉄道車両等の車輪に作用するブレーキ力を正確に制
御することができる。
り、鉄道車両等の車輪に作用するブレーキ力を正確に制
御することができる。
【0065】(2)第2実施形態 次に、本発明の第2実施形態について説明を行う。図7
は、本発明の第2実施形態であるブレーキ力制御装置に
おける粘着係数値検索・補正サブルーチンの手順を示す
フローチャート図である。
は、本発明の第2実施形態であるブレーキ力制御装置に
おける粘着係数値検索・補正サブルーチンの手順を示す
フローチャート図である。
【0066】この第2実施形態のブレーキ力制御装置
は、ハードウェアの構成は上記した第1実施形態と同様
である。第2実施形態のブレーキ力制御装置が第1実施
形態のブレーキ力制御装置と異なる点は、その制御方法
にある。第2実施形態のブレーキ力制御装置において
は、図2に示したメインフローチャートにおける粘着係
数演算手順選択・演算サブルーチンのかわりに、図7に
示す粘着係数値検索・補正サブルーチンが実行される。
は、ハードウェアの構成は上記した第1実施形態と同様
である。第2実施形態のブレーキ力制御装置が第1実施
形態のブレーキ力制御装置と異なる点は、その制御方法
にある。第2実施形態のブレーキ力制御装置において
は、図2に示したメインフローチャートにおける粘着係
数演算手順選択・演算サブルーチンのかわりに、図7に
示す粘着係数値検索・補正サブルーチンが実行される。
【0067】この粘着係数値検索・補正サブルーチンS
15においては、まず、上記した環境条件で設定された
天候条件、制輪子材質条件、及び車両速度VC 、及び差
速度VS の値が入力される(ステップS151)。次
に、ステップS152において、現時点の差速度VS に
対応する粘着係数値μが、ROM2内に格納された数表
の中から検索される。この粘着係数値表は、各パラメー
タに応じて一又は複数用意されている。次に、数表から
粘着係数値μが検索されたか否かが判別される(ステッ
プS153)。この結果、粘着係数値μが検索された場
合には、ステップS156に移行して現時点の粘着係数
値として検索された値を設定した後にメインフローチャ
ートに戻る。しかし、上記の判別ステップS153にお
いて、数表中に同一のVS 値がなかったため粘着係数値
μが検索できなかった場合には、次にステップS154
に移行し、粘着係数値μが数表の近似値から内挿又は外
挿が可能か否かが判別される。この結果、粘着係数値μ
が数表の近似値から内挿又は外挿が可能な場合には、ス
テップS155に移行し、近似値から内挿又は外挿の補
正演算を行って粘着係数値μを得る。次に、ステップS
156に移行して現時点での粘着係数値μを設定した後
にメインフローチャートに戻る。
15においては、まず、上記した環境条件で設定された
天候条件、制輪子材質条件、及び車両速度VC 、及び差
速度VS の値が入力される(ステップS151)。次
に、ステップS152において、現時点の差速度VS に
対応する粘着係数値μが、ROM2内に格納された数表
の中から検索される。この粘着係数値表は、各パラメー
タに応じて一又は複数用意されている。次に、数表から
粘着係数値μが検索されたか否かが判別される(ステッ
プS153)。この結果、粘着係数値μが検索された場
合には、ステップS156に移行して現時点の粘着係数
値として検索された値を設定した後にメインフローチャ
ートに戻る。しかし、上記の判別ステップS153にお
いて、数表中に同一のVS 値がなかったため粘着係数値
μが検索できなかった場合には、次にステップS154
に移行し、粘着係数値μが数表の近似値から内挿又は外
挿が可能か否かが判別される。この結果、粘着係数値μ
が数表の近似値から内挿又は外挿が可能な場合には、ス
テップS155に移行し、近似値から内挿又は外挿の補
正演算を行って粘着係数値μを得る。次に、ステップS
156に移行して現時点での粘着係数値μを設定した後
にメインフローチャートに戻る。
【0068】一方、上記した判別ステップS154にお
いて、粘着係数値μが数表の近似値から内挿も外挿もで
きず算出できないと判別された場合には、ステップS1
57に移行し、このような不能がn回目か否かを判別す
る。このnの値はあらかじめ設定する。そして、このよ
うな不能がn回目ではない場合には、再度ステップS1
51に戻って上記の手順を再度行う。一方、上記の判別
ステップS157において、このような不能がn回目で
あると判別された場合には、CPU1は「エラー」と判
別し、ブレーキ力制御の操作者、例えば機関士や運転士
に視覚的又は聴覚的に報知する。
いて、粘着係数値μが数表の近似値から内挿も外挿もで
きず算出できないと判別された場合には、ステップS1
57に移行し、このような不能がn回目か否かを判別す
る。このnの値はあらかじめ設定する。そして、このよ
うな不能がn回目ではない場合には、再度ステップS1
51に戻って上記の手順を再度行う。一方、上記の判別
ステップS157において、このような不能がn回目で
あると判別された場合には、CPU1は「エラー」と判
別し、ブレーキ力制御の操作者、例えば機関士や運転士
に視覚的又は聴覚的に報知する。
【0069】したがって、この第2実施形態では、上記
のような手順により、鉄道車両等の車輪に作用するブレ
ーキ力を正確に制御することができる。
のような手順により、鉄道車両等の車輪に作用するブレ
ーキ力を正確に制御することができる。
【0070】(3)第3実施形態 次に、本発明の第3実施形態について説明を行う。図8
は、本発明の第3実施形態であるブレーキ力制御装置に
おける車輪外周作用力推定サブルーチンの手順を示すフ
ローチャート図である。
は、本発明の第3実施形態であるブレーキ力制御装置に
おける車輪外周作用力推定サブルーチンの手順を示すフ
ローチャート図である。
【0071】この第3実施形態のブレーキ力制御装置
は、ハードウェアの構成は上記した第1実施形態とほぼ
同様であるが、粘着係数関数μ(VS )がROM2では
なくRAM3に格納されている点が異なっている。第3
実施形態のブレーキ力制御装置が第1実施形態のブレー
キ力制御装置と最も異なる点は、その制御方法にある。
第3実施形態のブレーキ力制御装置では、図2に示した
メインフローチャートにおいて、滑走判別サブルーチン
の実行後に引き続いて図8に示す車輪外周力推定サブル
ーチンが実行される。
は、ハードウェアの構成は上記した第1実施形態とほぼ
同様であるが、粘着係数関数μ(VS )がROM2では
なくRAM3に格納されている点が異なっている。第3
実施形態のブレーキ力制御装置が第1実施形態のブレー
キ力制御装置と最も異なる点は、その制御方法にある。
第3実施形態のブレーキ力制御装置では、図2に示した
メインフローチャートにおいて、滑走判別サブルーチン
の実行後に引き続いて図8に示す車輪外周力推定サブル
ーチンが実行される。
【0072】この車輪外周力推定サブルーチンS9にお
いては、図8に示すような手順が実行される。まず、上
記した環境条件で設定された天候条件、制輪子材質条
件、及び車両速度VC 、及び差速度VS の値が入力され
る(ステップS91)。次に、ステップS92におい
て、CPU1にソフトウェアとして構成されたニューラ
ルネットワークにより、これまでに滑走判定サブルーチ
ンS7で「滑走」と判別された場合の各環境条件に基い
て「学習」が行われる。この結果、次のステップS93
においては、一種の「逆演算」を行うことにより、環境
条件と滑走・非滑走の事実から、粘着係数関数μ(VS
)を推定する。次に、推定された粘着係数関数μ(VS
)と同様の環境条件における粘着係数関数としてRA
M3内に格納されているものを、今回学習により推定さ
れた関数に変更する(ステップS94)。これにより、
メインフローチャートにおける次回のサイクルでは、C
PU1は、変更された粘着係数関数μ(VS )を含む一
又は複数の粘着係数関数の中から該当するものを選択
し、その時点の差速度VS を代入することにより粘着係
数μ値を算出する。
いては、図8に示すような手順が実行される。まず、上
記した環境条件で設定された天候条件、制輪子材質条
件、及び車両速度VC 、及び差速度VS の値が入力され
る(ステップS91)。次に、ステップS92におい
て、CPU1にソフトウェアとして構成されたニューラ
ルネットワークにより、これまでに滑走判定サブルーチ
ンS7で「滑走」と判別された場合の各環境条件に基い
て「学習」が行われる。この結果、次のステップS93
においては、一種の「逆演算」を行うことにより、環境
条件と滑走・非滑走の事実から、粘着係数関数μ(VS
)を推定する。次に、推定された粘着係数関数μ(VS
)と同様の環境条件における粘着係数関数としてRA
M3内に格納されているものを、今回学習により推定さ
れた関数に変更する(ステップS94)。これにより、
メインフローチャートにおける次回のサイクルでは、C
PU1は、変更された粘着係数関数μ(VS )を含む一
又は複数の粘着係数関数の中から該当するものを選択
し、その時点の差速度VS を代入することにより粘着係
数μ値を算出する。
【0073】したがって、この第3実施形態では、上記
のような手順により、鉄道車両等の車輪に作用するブレ
ーキ力を正確に制御することができるうえ、粘着係数関
数μ(VS )を学習によって更新し、この更新された粘
着係数関数を選択するようにしたので、制御の精度がさ
らに向上するという利点がある。
のような手順により、鉄道車両等の車輪に作用するブレ
ーキ力を正確に制御することができるうえ、粘着係数関
数μ(VS )を学習によって更新し、この更新された粘
着係数関数を選択するようにしたので、制御の精度がさ
らに向上するという利点がある。
【0074】次に、上記したニューラルネットワークに
ついて、その概要を説明する。図9は、図8に示すフロ
ーチャートにおけるニューラルネットワークを説明する
図であり、図9(A)はニューロンモデルの論理構成図
を、図9(B)はニューラルネットワークの構成を示す
概念ブロック図を、それぞれ示している。
ついて、その概要を説明する。図9は、図8に示すフロ
ーチャートにおけるニューラルネットワークを説明する
図であり、図9(A)はニューロンモデルの論理構成図
を、図9(B)はニューラルネットワークの構成を示す
概念ブロック図を、それぞれ示している。
【0075】このニューラルネットワークは、人間の脳
における脳細胞と神経線維とからなるニューロンの回路
網を単純化して模擬し、人間等の脳における情報処理機
能の再現をねらったものである。図示はしないが、人間
の脳における1個のニューロンは、脳細胞体と、脳細胞
体に接続する1本の長い軸索である神経線維から構成さ
れている。また、神経線維の終端には、シナプスと呼ば
れる構造体が形成されている。脳細胞体は、多くの樹状
突起を有しており、この樹状突起と隣接する他のニュー
ロンのシナプスとが微少間隙を配して対向し、この間を
各種の化学物質(「情報伝達物質」と呼ばれる。)が移
動することにより情報の伝達が行われる、といわれてい
る。
における脳細胞と神経線維とからなるニューロンの回路
網を単純化して模擬し、人間等の脳における情報処理機
能の再現をねらったものである。図示はしないが、人間
の脳における1個のニューロンは、脳細胞体と、脳細胞
体に接続する1本の長い軸索である神経線維から構成さ
れている。また、神経線維の終端には、シナプスと呼ば
れる構造体が形成されている。脳細胞体は、多くの樹状
突起を有しており、この樹状突起と隣接する他のニュー
ロンのシナプスとが微少間隙を配して対向し、この間を
各種の化学物質(「情報伝達物質」と呼ばれる。)が移
動することにより情報の伝達が行われる、といわれてい
る。
【0076】ニューラルネットワークでは、上記したニ
ューロンを、例えば図9(A)のようなモデルによって
表現している。すなわち、図9(A)において、x1 ,
x2,…,xn が入力であり、上記したシナプスに相当
し、その結合の度合が重み係数k1 ,k2 ,…,kn で
表される。このニューロンモデルNの出力yは、i番目
の入力xi と重み係数ki を乗じたxi ×ki の値に対
してiが1からnまでの総和(以下、「積和」とい
う。)を求め、その総和の値がある設定した値以上とな
る場合に出力yを与える処理(以下、「しきい値処理」
という。)を行うようになっている。
ューロンを、例えば図9(A)のようなモデルによって
表現している。すなわち、図9(A)において、x1 ,
x2,…,xn が入力であり、上記したシナプスに相当
し、その結合の度合が重み係数k1 ,k2 ,…,kn で
表される。このニューロンモデルNの出力yは、i番目
の入力xi と重み係数ki を乗じたxi ×ki の値に対
してiが1からnまでの総和(以下、「積和」とい
う。)を求め、その総和の値がある設定した値以上とな
る場合に出力yを与える処理(以下、「しきい値処理」
という。)を行うようになっている。
【0077】次に、上記のようなニューロンモデルを用
いたニューラルネットワークの一例の構成を、図9
(B)を参照しつつ説明する。図に示すように、このニ
ューラルネットワークは、階層構造になっている。図の
例では、5個の入力x1 〜x5 を持つ5個のニューロン
モデルN11〜N15からなる入力層L1 と、5個のニュー
ロンモデルN21〜N25からなる中間層L2 と、5個のニ
ューロンモデルN31〜N35からなる出力層L3 を備えて
構成されている。このような構成により、中間層L2 で
は、入力パターンxi と重み係数のk1iとの積和演算が
なされ、しきい値処理が行われることにより、中間層L
2 の出力となる。また、出力層L3 では、中間層L2 の
出力が入力となりそのパターンと重み係数のk2iとの積
和演算がなされ、しきい値処理が行われることにより、
出力層L3 の出力となる。このように、入力パターンx
i が与えられると、各層間の結合の重み係数kによる変
換により、次段の層Lへの出力パターンが伝達される。
いたニューラルネットワークの一例の構成を、図9
(B)を参照しつつ説明する。図に示すように、このニ
ューラルネットワークは、階層構造になっている。図の
例では、5個の入力x1 〜x5 を持つ5個のニューロン
モデルN11〜N15からなる入力層L1 と、5個のニュー
ロンモデルN21〜N25からなる中間層L2 と、5個のニ
ューロンモデルN31〜N35からなる出力層L3 を備えて
構成されている。このような構成により、中間層L2 で
は、入力パターンxi と重み係数のk1iとの積和演算が
なされ、しきい値処理が行われることにより、中間層L
2 の出力となる。また、出力層L3 では、中間層L2 の
出力が入力となりそのパターンと重み係数のk2iとの積
和演算がなされ、しきい値処理が行われることにより、
出力層L3 の出力となる。このように、入力パターンx
i が与えられると、各層間の結合の重み係数kによる変
換により、次段の層Lへの出力パターンが伝達される。
【0078】このようなニューラルネットワークにおい
て、それぞれの入力パターンに対応して、異なる出力パ
ターンが得られれば、その出力パターンから逆に入力パ
ターンを対応づけることが可能となり、入力パターンを
識別することができる。この入力パターンと出力パター
ンの対応づけは、各層間の結合の重み係数kを調整する
ことにより行われる。この結合の重み係数kの調整は、
学習システム11により行われる。
て、それぞれの入力パターンに対応して、異なる出力パ
ターンが得られれば、その出力パターンから逆に入力パ
ターンを対応づけることが可能となり、入力パターンを
識別することができる。この入力パターンと出力パター
ンの対応づけは、各層間の結合の重み係数kを調整する
ことにより行われる。この結合の重み係数kの調整は、
学習システム11により行われる。
【0079】すなわち、図9(B)において、入力パタ
ーンx1 〜x5 が与えられたとき、その結果として出力
パターンz1 〜z5 が出力される。この場合、各層間の
結合の重み係数kの調整が正しくないと、誤った出力パ
ターンが出力される。このため、正しい出力パターン
(以下、「教師信号」という。)t1 〜t5 を付与し、
誤った出力パターンz1 〜z5 と正しい教師信号t1 〜
t5 との差信号を用いて、重み更新部12,13が、結
合の重み係数kを増減調整する。上記のように構成する
ことにより、制御対象の逆システムを推定することがで
きる。
ーンx1 〜x5 が与えられたとき、その結果として出力
パターンz1 〜z5 が出力される。この場合、各層間の
結合の重み係数kの調整が正しくないと、誤った出力パ
ターンが出力される。このため、正しい出力パターン
(以下、「教師信号」という。)t1 〜t5 を付与し、
誤った出力パターンz1 〜z5 と正しい教師信号t1 〜
t5 との差信号を用いて、重み更新部12,13が、結
合の重み係数kを増減調整する。上記のように構成する
ことにより、制御対象の逆システムを推定することがで
きる。
【0080】上記した各実施形態において、ブレーキ反
力検出器8とCPU1は、ブレーキ力検出手段を構成し
ている。また、CPU1は、ブレーキ力制御手段に相当
している。また、軸重検出器4は軸重検出手段に相当し
ている。また、第1実施形態におけるROM2は、演算
手順記憶手段に相当しており、ROM2内に記憶された
粘着係数関数μ(VS )は粘着係数演算手順に相当して
いる。また、第1実施形態におけるCPU1は、演算手
順選択手段又は粘着係数演算手段に相当している。ま
た、第2実施形態におけるROM2は、数表記憶手段に
相当している。また、第2実施形態におけるCPU1
は、粘着係数値検索補正手段に相当している。また、第
3実施形態におけるRAM3は、滑走時条件記憶手段又
は演算手順記憶手段に相当している。また、第3実施形
態におけるCPU1は、車輪外周作用力推定手段又は演
算手順変更手段若しくは粘着係数演算手段に相当してい
る。また、上記したブレーキ装置200において、空気
圧縮機201と元空気タンク202と空気配管203
は、流体供給手段を構成している。
力検出器8とCPU1は、ブレーキ力検出手段を構成し
ている。また、CPU1は、ブレーキ力制御手段に相当
している。また、軸重検出器4は軸重検出手段に相当し
ている。また、第1実施形態におけるROM2は、演算
手順記憶手段に相当しており、ROM2内に記憶された
粘着係数関数μ(VS )は粘着係数演算手順に相当して
いる。また、第1実施形態におけるCPU1は、演算手
順選択手段又は粘着係数演算手段に相当している。ま
た、第2実施形態におけるROM2は、数表記憶手段に
相当している。また、第2実施形態におけるCPU1
は、粘着係数値検索補正手段に相当している。また、第
3実施形態におけるRAM3は、滑走時条件記憶手段又
は演算手順記憶手段に相当している。また、第3実施形
態におけるCPU1は、車輪外周作用力推定手段又は演
算手順変更手段若しくは粘着係数演算手段に相当してい
る。また、上記したブレーキ装置200において、空気
圧縮機201と元空気タンク202と空気配管203
は、流体供給手段を構成している。
【0081】なお、本発明は、上記各実施形態に限定さ
れるものではない。上記各実施形態は、例示であり、本
発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的
に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、
いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含され
る。
れるものではない。上記各実施形態は、例示であり、本
発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的
に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、
いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含され
る。
【0082】例えば、上記した各実施形態のブレーキ力
制御装置においては、「踏面ブレーキ」形式の鉄道車両
用ブレーキ装置の制御を行うブレーキ力制御装置を例に
挙げて説明したが、本発明はこれには限定されず、他の
構成のブレーキ装置の制御を行うブレーキ力制御装置、
例えば、鉄道車両の車輪とともに回転するディスクに制
輪子を押し付けることにより車輪の回転を制動するブレ
ーキ装置の制御を行う「ディスクブレーキ」形式のブレ
ーキ力制御装置であってもよい。
制御装置においては、「踏面ブレーキ」形式の鉄道車両
用ブレーキ装置の制御を行うブレーキ力制御装置を例に
挙げて説明したが、本発明はこれには限定されず、他の
構成のブレーキ装置の制御を行うブレーキ力制御装置、
例えば、鉄道車両の車輪とともに回転するディスクに制
輪子を押し付けることにより車輪の回転を制動するブレ
ーキ装置の制御を行う「ディスクブレーキ」形式のブレ
ーキ力制御装置であってもよい。
【0083】また、上記した各実施形態のブレーキ力制
御装置においては、軸重検出手段として、ロードセル等
の荷重検出センサを有する軸重検出器4を例に挙げて説
明したが、本発明はこれには限定されず、他の構成の軸
重検出手段、例えば、鉄道車両の台車と車体間に配設さ
れる空気ばねの内圧を検出する圧力検出手段と、この内
圧から軸重を算出する演算手段とを有するもの等であっ
てもよい。
御装置においては、軸重検出手段として、ロードセル等
の荷重検出センサを有する軸重検出器4を例に挙げて説
明したが、本発明はこれには限定されず、他の構成の軸
重検出手段、例えば、鉄道車両の台車と車体間に配設さ
れる空気ばねの内圧を検出する圧力検出手段と、この内
圧から軸重を算出する演算手段とを有するもの等であっ
てもよい。
【0084】また、上記した第1実施形態のブレーキ力
制御装置においては、演算手順として、式で表現される
ものを例に挙げて説明したが、本発明はこれには限定さ
れず、他の種類の演算手順、例えば、他の関数を用いた
式、所定の手順により収斂値を得る繰り返し演算、統計
的手法や確率等を用いた複合的な演算、式では表現でき
ないプログラムにより演算を行い近似値を得る近似計
算、粘着係数のグラフ等から図形的に粘着係数を求める
手順、変化の度合と初期条件とから微分方程式を解いて
求める手順等のいずれか若しくはこれらの適宜の組合わ
せであってもよい。要は、あるVS 値に対応するμ値が
得られる「写像」であれば、どのようなものであっても
よい。
制御装置においては、演算手順として、式で表現される
ものを例に挙げて説明したが、本発明はこれには限定さ
れず、他の種類の演算手順、例えば、他の関数を用いた
式、所定の手順により収斂値を得る繰り返し演算、統計
的手法や確率等を用いた複合的な演算、式では表現でき
ないプログラムにより演算を行い近似値を得る近似計
算、粘着係数のグラフ等から図形的に粘着係数を求める
手順、変化の度合と初期条件とから微分方程式を解いて
求める手順等のいずれか若しくはこれらの適宜の組合わ
せであってもよい。要は、あるVS 値に対応するμ値が
得られる「写像」であれば、どのようなものであっても
よい。
【0085】また、上記各実施形態においては、環境条
件として、天候条件、制輪子の材質、鉄道車両の移動速
度VC 、移動速度VC と車輪外周速度VP との差速度V
S の組合わせを例に挙げて説明したが、本発明はこれに
は限定されず、これらのいずれかでもよいし、あるいは
これらのうちの適宜の組合わせであってもよい。また、
他の環境条件、例えば、レール上の残存物(例えば、
水,油,落葉等)の存在の有無、レール上残存物の種
類、量等を含んでもよい。あるいは、レールのサビの有
無とその量等を条件化してもよい。
件として、天候条件、制輪子の材質、鉄道車両の移動速
度VC 、移動速度VC と車輪外周速度VP との差速度V
S の組合わせを例に挙げて説明したが、本発明はこれに
は限定されず、これらのいずれかでもよいし、あるいは
これらのうちの適宜の組合わせであってもよい。また、
他の環境条件、例えば、レール上の残存物(例えば、
水,油,落葉等)の存在の有無、レール上残存物の種
類、量等を含んでもよい。あるいは、レールのサビの有
無とその量等を条件化してもよい。
【0086】また、上記各実施形態においては、ブレー
キ力検出手段を構成する要素であるブレーキ反力検出器
8及びその検出機構として、図1に示す構成のものを例
に挙げて説明したが、本発明はこれには限定されず、他
の構成のブレーキ力検出手段であってもよい。要は、純
粋にブレーキ力を検出し得る検出手段であれば、どのよ
うなものであってもよいのである。
キ力検出手段を構成する要素であるブレーキ反力検出器
8及びその検出機構として、図1に示す構成のものを例
に挙げて説明したが、本発明はこれには限定されず、他
の構成のブレーキ力検出手段であってもよい。要は、純
粋にブレーキ力を検出し得る検出手段であれば、どのよ
うなものであってもよいのである。
【0087】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
制輪子の押し付け位置における車輪回転方向への接線方
向に発生する摩擦力により車輪が接線方向の逆方向であ
るブレーキ方向に受けるブレーキ力を検出し、ブレーキ
力を監視し、車輪の回転中心から制輪子の押し付け位置
までの半径方向距離に検出ブレーキ力を乗じて得られる
算出ブレーキトルクを目標ブレーキトルク値にフィード
バック制御を行うように構成したので、鉄道車両等の車
輪に作用するブレーキ力を正確に制御することができ
る。
制輪子の押し付け位置における車輪回転方向への接線方
向に発生する摩擦力により車輪が接線方向の逆方向であ
るブレーキ方向に受けるブレーキ力を検出し、ブレーキ
力を監視し、車輪の回転中心から制輪子の押し付け位置
までの半径方向距離に検出ブレーキ力を乗じて得られる
算出ブレーキトルクを目標ブレーキトルク値にフィード
バック制御を行うように構成したので、鉄道車両等の車
輪に作用するブレーキ力を正確に制御することができ
る。
【図1】本発明の第1実施形態であるブレーキ力制御装
置の全体構成を示すブロック図である。
置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すブレーキ力制御装置における制御手
順を示すメインフローチャート図である。
順を示すメインフローチャート図である。
【図3】図2に示すメインフローチャートにおける環境
条件設定サブルーチンの手順を示すフローチャート図で
ある。
条件設定サブルーチンの手順を示すフローチャート図で
ある。
【図4】図2に示すメインフローチャートにおける粘着
係数演算手順選択・演算サブルーチンの手順を示すフロ
ーチャート図である。
係数演算手順選択・演算サブルーチンの手順を示すフロ
ーチャート図である。
【図5】図2に示すメインフローチャートにおける滑走
判別サブルーチンの手順を示すフローチャート図であ
る。
判別サブルーチンの手順を示すフローチャート図であ
る。
【図6】図2に示すフローチャートにおけるフィードバ
ック制御の制御系の構成を示すブロック線図である。
ック制御の制御系の構成を示すブロック線図である。
【図7】本発明の第2実施形態であるブレーキ力制御装
置における粘着係数値検索・補正サブルーチンの手順を
示すフローチャート図である。
置における粘着係数値検索・補正サブルーチンの手順を
示すフローチャート図である。
【図8】本発明の第3実施形態であるブレーキ力制御装
置における車輪外周作用力推定サブルーチンの手順を示
すフローチャート図である。
置における車輪外周作用力推定サブルーチンの手順を示
すフローチャート図である。
【図9】図8に示すフローチャートにおけるニューラル
ネットワークを説明する図であり、図9(A)はニュー
ロンモデルの論理構成図を、図9(B)はニューラルネ
ットワークの構成を示す概念ブロック図を、それぞれ示
している。
ネットワークを説明する図であり、図9(A)はニュー
ロンモデルの論理構成図を、図9(B)はニューラルネ
ットワークの構成を示す概念ブロック図を、それぞれ示
している。
【図10】図1に示すブレーキ制御装置における速度と
車輪外周作用力との関係を示す図であり、図10(A)
は差速度と車輪外周作用力との関係を、図10(B)は
車両速度と車輪外周作用力との関係を、それぞれ示して
いる。
車輪外周作用力との関係を示す図であり、図10(A)
は差速度と車輪外周作用力との関係を、図10(B)は
車両速度と車輪外周作用力との関係を、それぞれ示して
いる。
1 CPU 2 ROM 3 RAM 4 軸重検出器 5 ブレーキ弁駆動部 6 空気圧検出器 7 入力・表示部 8 ブレーキ反力検出器 11 学習システム 12,13 重み更新部 100 ブレーキ力制御装置 200 ブレーキ装置 201 空気圧縮機 202 元空気タンク 203 空気配管 204 弁 205 ブレーキシリンダ 205a 空気出入口 205b アーム出入口 206 ピストン 207 ピストンアーム 208,209 ヒンジピン 210 梃子リンク 211 梃子支点ヒンジピン 212 ヒンジピン 213 制輪子把持部材 214 制輪子 215 梃子支点軸支部材 216 リニアベアリング 217 軸力担持部材 219 軸力担持部材 220 台車枠 220a シリンダ支持部 220b リニアベアリング支持部 220c ブレーキ反力検出器支持部 230 車軸 240 車輪 240a 踏面 L1 入力層 L2 中間層 L3 出力層 N ニューロンモデル R レール
Claims (14)
- 【請求項1】 鉄道車両の車輪の踏面又は前記車輪とと
もに回転するディスクに制輪子を押し付けることにより
前記車輪の回転を制動するブレーキ装置において、前記
制輪子の押し付けに伴い、前記制輪子の押し付け位置に
おける車輪回転方向への接線方向に発生する摩擦力によ
り前記車輪が前記接線方向の逆方向であるブレーキ方向
に受けるブレーキ力を検出し検出ブレーキ力として出力
するブレーキ力検出手段と、 前記検出ブレーキ力を監視し、前記車輪の回転中心から
前記制輪子の押し付け位置までの半径方向距離に前記検
出ブレーキ力を乗じて得られる算出ブレーキトルクを目
標ブレーキトルク値に追従又は維持させるようにフィー
ドバック制御を行うブレーキ力制御手段を備えたことを
特徴とするブレーキ力制御装置。 - 【請求項2】 請求項1記載のブレーキ力制御装置にお
いて、 前記車輪の軸に作用する垂直荷重である軸重を検出し検
出軸重として出力する軸重検出手段を備え、 前記ブレーキ力制御手段は、演算又は検索を含む処理に
より得られた粘着係数に前記検出軸重を乗じて得られる
算出粘着力に前記車輪の回転中心から前記踏面までの半
径方向距離を乗じて得られる算出粘着トルクよりも小さ
い値となるように、前記目標ブレーキトルク値を設定す
ることを特徴とするブレーキ力制御装置。 - 【請求項3】 請求項2記載のブレーキ力制御装置にお
いて、 前記ブレーキ力制御手段は、 環境条件から前記粘着係数を算出する粘着係数演算手順
を記憶した演算手順記憶手段と、 制御時点での環境条件に基き前記演算手順記憶手段に記
憶された前記粘着係数演算手順から対応する粘着係数演
算手順を選択する演算手順選択手段と、 前記演算手順記憶手段から選択された前記粘着係数演算
手順に基き前記粘着係数を算出する粘着係数演算手段を
有することを特徴とするブレーキ力制御装置。 - 【請求項4】 請求項2記載のブレーキ力制御装置にお
いて、 前記ブレーキ力制御手段は、 環境条件に対応する前記粘着係数の値の数表を記憶した
数表記憶手段と、 制御時点での環境条件に基き前記数表記憶手段に記憶さ
れた前記数表から対応する値を検索し又は前記数表内の
近似値に補正演算を施すことによって前記粘着係数を得
る粘着係数値検索補正手段を有することを特徴とするブ
レーキ力制御装置。 - 【請求項5】 請求項2ないし請求項4のうちのいずれ
か1項に記載のブレーキ力制御装置において、 前記ブレーキ力制御手段は、前記鉄道車両の移動速度と
前記車輪の外周速度との差である差速度に基いて、前記
車輪の滑走の有無を判別し、滑走と判別した場合には、
前記設定された目標ブレーキトルク値をさらに小さい値
に変更することを特徴とするブレーキ力制御装置。 - 【請求項6】 請求項5記載のブレーキ力制御装置にお
いて、 前記ブレーキ力制御手段は、 前記滑走と判別した場合の環境条件を記憶する滑走時条
件記憶手段と、 前記滑走時条件記憶手段の内容に基いて学習を行い、前
記車輪の外周に作用する力である車輪外周作用力を推定
する車輪外周作用力推定手段を有することを特徴とする
ブレーキ力制御装置。 - 【請求項7】 請求項6記載のブレーキ力制御装置にお
いて、 前記ブレーキ力制御手段は、 環境条件から前記粘着係数を算出する粘着係数演算手順
を記憶した演算手順記憶手段と、 前記推定された車輪外周作用力のうち前記滑走が発生し
ない領域内での最大値に基き前記粘着係数演算手順を変
更する演算手順変更手段と、 前記変更された粘着係数演算手順と制御時点での環境条
件に基き前記粘着係数を算出する粘着係数演算手段を有
することを特徴とするブレーキ力制御装置。 - 【請求項8】 請求項6記載のブレーキ力制御装置にお
いて、 前記ブレーキ力制御手段は、 各種環境条件に対応する前記粘着係数の値の数表を記憶
した数表記憶手段と、 前記推定された車輪外周作用力のうち前記滑走が発生し
ない領域内での最大値に基き前記数表記憶手段における
前記数表の値を変更する記憶値変更手段と、 制御時点での環境条件に基き前記変更された数表記憶手
段の数表から対応する値を検索し又は前記数表内の近似
値に補正演算を施すことによって前記粘着係数を得る粘
着係数値検索手段を有することを特徴とするブレーキ力
制御装置。 - 【請求項9】 請求項5ないし請求項8のうちのいずれ
か1項に記載のブレーキ力制御装置において、 前記ブレーキ力制御手段は、前記鉄道車両の車輪のうち
回転速度が最大の車輪の外周速度を以て前記移動速度と
決定することを特徴とするブレーキ力制御装置。 - 【請求項10】 請求項5ないし請求項8のうちのいず
れか1項に記載のブレーキ力制御装置において、 前記ブレーキ力制御手段は、 前記鉄道車両の外部の位置に関する情報である位置情報
を取得する位置情報取得手段と、 前記位置情報に基き前記移動速度を算出する移動速度演
算手段を有することを特徴とするブレーキ力制御装置。 - 【請求項11】 請求項5ないし請求項10のうちのい
ずれか1項に記載のブレーキ力制御装置において、 前記ブレーキ力制御手段は、 前記差速度が特定の値を超え、かつ、前記移動速度に対
する前記差速度の比が特定の比を超えた場合に滑走と判
別することを特徴とするブレーキ力制御装置。 - 【請求項12】 請求項3又は請求項4又は請求項6又
は請求項7若しくは請求項8のうちのいずれか1項に記
載のブレーキ力制御装置において、 前記環境条件は、天候、前記制輪子の材質、前記鉄道車
両の移動速度、前記移動速度と前記車輪の外周速度との
差のうちのいずれか又はこれらの適宜の組合わせを含む
ことを特徴とするブレーキ力制御装置。 - 【請求項13】 請求項1ないし請求項12のうちのい
ずれか1項に記載のブレーキ力制御装置において、 作動用の流体に圧力を付与し供給する流体供給手段と、 前記流体供給手段から供給される流体を収容するシリン
ダと、前記シリンダ内において往復運動可能に配設され
たピストンを有し、前記シリンダ内に前記流体を注入し
密閉することにより前記ピストンに圧力を作用させて駆
動し前記制輪子の押し付けを行うブレーキ駆動源と、 開放又は閉塞可能に構成されるとともに、前記流体供給
手段と前記ブレーキ駆動源との間に配置され、前記開放
の度合である開度を調整することにより前記シリンダ内
における前記流体の圧力を制御する弁を備え、 前記ブレーキ力制御手段は、前記弁の開度を調整するこ
とにより前記フィードバック制御を行うことを特徴とす
るブレーキ力制御装置。 - 【請求項14】 鉄道車両の車輪の踏面又は前記車輪と
ともに回転するディスクに制輪子を押し付けることによ
り前記車輪の回転を制動するブレーキ装置において、前
記制輪子の押し付けに伴い、前記制輪子の押し付け位置
における車輪回転方向への接線方向に発生する摩擦力に
より前記車輪が前記接線方向の逆方向であるブレーキ方
向に受けるブレーキ力を検出し、 前記ブレーキ力を監視し、前記車輪の回転中心から前記
制輪子の押し付け位置までの半径方向距離に前記ブレー
キ力を乗じて得られる算出ブレーキトルクを目標ブレー
キトルク値に追従又は維持させるようにフィードバック
制御を行うことを特徴とするブレーキ力制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17522397A JP3636572B2 (ja) | 1997-06-16 | 1997-06-16 | ブレーキ力制御装置、及びブレーキ力制御方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17522397A JP3636572B2 (ja) | 1997-06-16 | 1997-06-16 | ブレーキ力制御装置、及びブレーキ力制御方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH115533A true JPH115533A (ja) | 1999-01-12 |
JP3636572B2 JP3636572B2 (ja) | 2005-04-06 |
Family
ID=15992450
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17522397A Expired - Fee Related JP3636572B2 (ja) | 1997-06-16 | 1997-06-16 | ブレーキ力制御装置、及びブレーキ力制御方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3636572B2 (ja) |
Cited By (13)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100345240B1 (ko) * | 1999-10-12 | 2002-07-25 | 한국철도기술연구원 | 철도차량의 제동 시스템 |
JP2007022421A (ja) * | 2005-07-20 | 2007-02-01 | Toyo Electric Mfg Co Ltd | 付随車ブレーキ受量器 |
JP2007106185A (ja) * | 2005-10-12 | 2007-04-26 | Toyo Electric Mfg Co Ltd | 付随車ブレーキ受量器 |
JP2008539112A (ja) * | 2005-04-28 | 2008-11-13 | シーメンス トランスポーテーション システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニ コマンディートゲゼルシャフト | スリップ調節器を用いたレール車両のための適応滑走保護 |
JP2009292380A (ja) * | 2008-06-06 | 2009-12-17 | Railway Technical Res Inst | レールと車輪間の粘着係数測定値の評価方法 |
JP2012512091A (ja) * | 2008-12-19 | 2012-05-31 | クノル−ブレムゼ ジステーメ フューア シーネンファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | 摩擦条件の変動を補償する軌道車両のブレーキ装置 |
JP2014076799A (ja) * | 2000-05-30 | 2014-05-01 | Knorr-Bremse Systeme Fuer Schienenfahrzeuge Gmbh | 車両のブレーキシステムの作用監視のための方法および装置 |
JP2016037051A (ja) * | 2014-08-05 | 2016-03-22 | 国立大学法人 東京大学 | ブレーキの制御システム、粘着係数算出方法、最大ブレーキ力算出方法及びコンピュータプログラム |
WO2017186707A1 (de) * | 2016-04-29 | 2017-11-02 | Knorr-Bremse Systeme für Schienenfahrzeuge GmbH | Vorrichtung und verfahren zur optimierung der kraftschluss-ausnutzung zwischen rad und schiene |
JP2019510676A (ja) * | 2016-04-05 | 2019-04-18 | フェヴレ・トランスポール・イタリア・ソチエタ・ペル・アツィオーニFAIVELEY TRANSPORT ITALIA S.p.A. | 鉄道車両の制御対象車軸の車輪の粘着特性を制御し、最大限回復する方法 |
JP2019119577A (ja) * | 2018-01-10 | 2019-07-22 | Ihi運搬機械株式会社 | 軌道走行式機械の逸走防止装置 |
WO2020021665A1 (ja) * | 2018-07-25 | 2020-01-30 | 三菱電機株式会社 | 車両用ブレーキ制御装置および車両用ブレーキ制御方法 |
JP2021123246A (ja) * | 2020-02-05 | 2021-08-30 | ナブテスコ株式会社 | 鉄道車両用滑走制御装置、鉄道車両用滑走制御装置の制御方法 |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2021006374A1 (ko) * | 2019-07-08 | 2021-01-14 | 엘지전자 주식회사 | 자율 주행 시스템에서 차량의 브레이크 장치를 모니터링 하는 방법 및 장치 |
-
1997
- 1997-06-16 JP JP17522397A patent/JP3636572B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (17)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100345240B1 (ko) * | 1999-10-12 | 2002-07-25 | 한국철도기술연구원 | 철도차량의 제동 시스템 |
JP2014076799A (ja) * | 2000-05-30 | 2014-05-01 | Knorr-Bremse Systeme Fuer Schienenfahrzeuge Gmbh | 車両のブレーキシステムの作用監視のための方法および装置 |
JP2008539112A (ja) * | 2005-04-28 | 2008-11-13 | シーメンス トランスポーテーション システムズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニ コマンディートゲゼルシャフト | スリップ調節器を用いたレール車両のための適応滑走保護 |
EP1874601B2 (de) † | 2005-04-28 | 2017-09-20 | Siemens Aktiengesellschaft | Adaptiver gleitschutz für schienenfahrzeuge mit schlupfregler |
JP2007022421A (ja) * | 2005-07-20 | 2007-02-01 | Toyo Electric Mfg Co Ltd | 付随車ブレーキ受量器 |
JP4693534B2 (ja) * | 2005-07-20 | 2011-06-01 | 東洋電機製造株式会社 | 付随車ブレーキ受量器 |
JP2007106185A (ja) * | 2005-10-12 | 2007-04-26 | Toyo Electric Mfg Co Ltd | 付随車ブレーキ受量器 |
JP2009292380A (ja) * | 2008-06-06 | 2009-12-17 | Railway Technical Res Inst | レールと車輪間の粘着係数測定値の評価方法 |
US9156449B2 (en) | 2008-12-19 | 2015-10-13 | Knorr-Bremse Systeme Fur Schienenfahzeuge Gmbh | Brake system of a rail vehicle with compensation of fluctuations of the friction conditions |
JP2012512091A (ja) * | 2008-12-19 | 2012-05-31 | クノル−ブレムゼ ジステーメ フューア シーネンファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | 摩擦条件の変動を補償する軌道車両のブレーキ装置 |
JP2016037051A (ja) * | 2014-08-05 | 2016-03-22 | 国立大学法人 東京大学 | ブレーキの制御システム、粘着係数算出方法、最大ブレーキ力算出方法及びコンピュータプログラム |
JP2019510676A (ja) * | 2016-04-05 | 2019-04-18 | フェヴレ・トランスポール・イタリア・ソチエタ・ペル・アツィオーニFAIVELEY TRANSPORT ITALIA S.p.A. | 鉄道車両の制御対象車軸の車輪の粘着特性を制御し、最大限回復する方法 |
WO2017186707A1 (de) * | 2016-04-29 | 2017-11-02 | Knorr-Bremse Systeme für Schienenfahrzeuge GmbH | Vorrichtung und verfahren zur optimierung der kraftschluss-ausnutzung zwischen rad und schiene |
JP2019119577A (ja) * | 2018-01-10 | 2019-07-22 | Ihi運搬機械株式会社 | 軌道走行式機械の逸走防止装置 |
WO2020021665A1 (ja) * | 2018-07-25 | 2020-01-30 | 三菱電機株式会社 | 車両用ブレーキ制御装置および車両用ブレーキ制御方法 |
JPWO2020021665A1 (ja) * | 2018-07-25 | 2020-12-17 | 三菱電機株式会社 | 車両用ブレーキ制御装置および車両用ブレーキ制御方法 |
JP2021123246A (ja) * | 2020-02-05 | 2021-08-30 | ナブテスコ株式会社 | 鉄道車両用滑走制御装置、鉄道車両用滑走制御装置の制御方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP3636572B2 (ja) | 2005-04-06 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPH115533A (ja) | ブレーキ力制御装置、及びブレーキ力制御方法 | |
US6223114B1 (en) | Process for controlling driving dynamics of a street vehicle | |
Doumiati et al. | Lateral load transfer and normal forces estimation for vehicle safety: experimental test | |
RU2381927C2 (ru) | Адаптивная защита от проскальзывания для рельсовых транспортных средств с регулятором проскальзывания | |
RU2684835C1 (ru) | Способ оценки распределения нагрузок на дорогу, передаваемых через оси грузового автопоезда | |
CN103339009A (zh) | 对自主车辆的诊断和修理 | |
Shim et al. | Model-based road friction estimation | |
Kienhöfer et al. | An investigation of ABS strategies for articulated vehicles | |
US20050038588A1 (en) | Vehicle driving force control method | |
Ćirović et al. | Longitudinal wheel slip control using dynamic neural networks | |
Henderson et al. | Full-scale testing of a novel slip control braking system for heavy vehicles | |
US20050222731A1 (en) | Method and apparatus for estimating steering behavior for integrated chassis control | |
EP4183601A1 (en) | A method for controlling axle load distribution of a vehicle | |
JP2000211487A (ja) | 鉄道車両用滑走制御装置 | |
US5557523A (en) | Real-time simulation for testing an ABS controller | |
Raveendran et al. | Intelligent fault diagnosis of air brake system in heavy commercial road vehicles | |
EP4048986B1 (en) | A method for estimating tyre normal force | |
CN108828980B (zh) | 一种过弯离心力的预测方法及系统 | |
JPH06500973A (ja) | 減速度制御による制動 | |
US20040133365A1 (en) | Method of determining forces and torques acting on a riding vehicle | |
Kristalniy et al. | Friction in contact between a studded wheel and a solid ice-covered supporting surface | |
Ervin | Two active systems for enhancing dynamic stability in heavy truck operations | |
CN102096761A (zh) | 为人供给用来对装备有安有轮胎的车轮的机动车辆进行静态调整的信息的设备和方法 | |
US11603102B2 (en) | Efficient and robust methodology for traction control system | |
JP7469868B2 (ja) | 制動距離予測システムおよび制動距離予測方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20041214 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20050105 |
|
R150 | Certificate of patent (=grant) or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080114 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Year of fee payment: 4 Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090114 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |