JP3636572B2 - ブレーキ力制御装置、及びブレーキ力制御方法 - Google Patents

ブレーキ力制御装置、及びブレーキ力制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道車両等の車輪の踏面制輪子を押し付けて制動を行うブレーキ装置において、制輪子から車輪等へ付与されるブレーキ力を制御するブレーキ力制御装置、及びブレーキ力制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、鉄道車両等のブレーキ装置として、レールに接触する車輪の外周面である踏面、又は車輪とともに回転するディスク(以下、「ブレーキディスク」という。)の平板状表面(以下、「制動面」という。)に、制輪子と呼ばれる部材を押し付けることにより車輪の回転を制動する形式のものが知られている。以下、車輪踏面に制輪子を押し付ける方式のブレーキを「踏面ブレーキ」といい、ブレーキディスクの制動面に制輪子を押し付ける方式のブレーキを「ディスクブレーキ」という。
このようなブレーキ装置は、例えば、圧縮空気をシリンダ内に導きピストンを出入させる駆動源と、複数のリンクを含みピストンと制輪子とを連結し梃子原理により制輪子に押付力を付与するリンク機構等を備えている。
【0003】
上記したブレーキ装置においては、制輪子が車輪又はブレーキディスクに押し付けられる位置の円における車輪やブレーキディスクの接線方向のうち、車輪回転方向とは逆方向となる接線の方向に摩擦力(以下、「ブレーキ力」という。)が発生し車輪に付与される。ピストンによる制輪子押付力をPとすると、この制輪子押付力Pにより発生するブレーキ力Bは、
B=f。×P
により与えられる。ここに、f。は、制輪子と車輪踏面との間、又は制輪子とブレーキディスク制動面との間の摩擦係数である。上記のブレーキ力により、レール上で車輪を転動させようとする回転力が低減されるため、車両の移動速度が減速されたり、あるいは車両が停止する。
【0004】
上記のブレーキ力が小さいと、列車の減速性能が弱く、旅客ホームの所定の停止位置をオーバーランしたり、緊急に停車すべき場合に所定の閉塞区間内で停止できず先行列車に追突するというおそれもあり、鉄道運営上及び安全上の問題となる。
【0005】
一方、上記のブレーキ力が所定値よりも大きいと、車輪の回転力を低減させる度合が大きくなりすぎ、列車の走行速度よりも車輪の外周速度の方が小さくなってしまうため、レールと車輪との間で滑りが生じる。ブレーキ力がさらに大きくなって車輪の回転力よりも大きくなると、車輪の回転が停止した状態でレール上を滑走することになる。このような滑走が生じると、車輪の踏面の一部が略平面状に摩耗する。このため、車輪の摩耗部によりレールが打撃され、列車の乗り心地が悪化する。また、この打撃は、レールと車輪の双方の損傷の原因となる。
【0006】
したがって、鉄道車両等においては、車輪に作用するブレーキ力を正確に検出し制御することが最も重要な課題の一つとなっていた。
【0007】
しかし、上記した従来のブレーキ装置においては、例えば踏面ブレーキの場合には、車輪踏面が円筒面ではなく円錐面であることから、リンク機構の各リンクに軸力だけでなく、曲げモーメントやねじりモーメント等が複雑に作用し、ブレーキ力のみを正確に検出することは困難であった。
【0008】
一方、ディスクブレーキの場合には、制動面に押し付けられる制輪子に、押付力(圧縮力)が制輪子押付方向に作用するほか、摩擦力であるブレーキ力の反力が制輪子押付方向の直角方向に作用することに伴い、制輪子を把持する部材やリンク機構の各リンクに軸力だけでなく、曲げモーメント等が作用し、この場合もブレーキ力のみを正確に検出することは困難であった。
【0009】
このため、従来は、制輪子押付力を発生させるシリンダ内の空気圧を監視することによりブレーキ制御を行っていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ブレーキ力は、上述したように、制輪子押付力と摩擦係数との積で決定される。そして、摩擦係数は、制輪子の材質や、摩擦面における水分や油分その他の物質の有無等により変動する。このため、シリンダ内の空気圧の監視によるブレーキ制御においては、制輪子押付力は把握できるが、実際に車輪に作用しているブレーキ力を正確に把握することはできず、例えば、同じ制輪子押付力であっても、条件によってブレーキ力が異なる場合がある、という問題があった。
【0011】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、本発明の解決しようとする課題は、鉄道車両等の車輪に作用するブレーキ力を正確に制御し得る装置及び方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係る第1のブレーキ力制御装置は、
鉄道車両の車輪(240)の踏面(240a)に制輪子(214)を押し付けることにより前記車輪(240)の回転を制動するブレーキ装置(200)において、前記制輪子(214)の押し付けに伴い、前記制輪子(214)の押し付け位置における車輪回転方向への接線方向に発生する摩擦力により前記車輪(240)が前記接線方向の逆方向であるブレーキ方向に受けるブレーキ力を検出し検出ブレーキ力(B)として出力するブレーキ力検出手段と
前記車輪(240)の車軸(230)に作用する垂直荷重である軸重を検出し検出軸重(W)として出力する軸重検出手段(4)と、
ブレーキ力制御手段(1)を備え、
前記ブレーキ力制御手段(1)は、
前記検出ブレーキ力(B)値を監視し目標ブレーキ力(B i )値に追従又は維持させるようにフィードバック制御を行う過程(S1)と、
次いで、前記鉄道車両の並進速度(V C )から、前記車輪(240)の外周点の回転方向への接線方向速度である車輪外周速度(V P )を減算して差速度(V S )を算出する過程(S3)と、
次いで、雨天時か否かの別を含む天候条件と、制輪子材質条件をパラメータとした前記差速度(V S )の関数であってあらかじめ演算手順記憶手段(2)に記憶されている複数の粘着係数関数(μ(V S ))のうちから一つを選択する手順(S52)の後に、前記選択された粘着係数関数(μ(V S ))に前記差速度(V S )を代入して現時点の粘着係数(μ)を算出する手順(S53、S54)を行う過程(S5)と、
次いで、前記検出軸重(W)と前記粘着係数(μ)の積(μ×W)を求め、前記目標ブレーキ力(B i )値が当該積(μ×W)値以下であるか否かを判別する過程(S6)と、
次いで、前記目標ブレーキ力(B i )値が前記積(μ×W)値よりも大きい場合には、前記目標ブレーキ力(B i )値を現時点よりも小さい値に変更する過程(S8)を行うこと
を特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る第2のブレーキ力制御装置は、
鉄道車両の車輪とともに回転するディスクに制輪子を押し付けることにより前記車輪の回転を制動するブレーキ装置において、前記制輪子の押し付けに伴い、前記制輪子の押し付け位置における車輪回転方向への接線方向に発生する摩擦力により前記車輪が前記接線方向の逆方向であるブレーキ方向に受けるブレーキ力を検出し検出ブレーキ力(B)として出力するブレーキ力検出手段と、
前記車輪の車軸に作用する垂直荷重である軸重を検出し検出軸重(W)として出力する軸重検出手段と、
ブレーキ力制御手段を備え、
前記ブレーキ力制御手段は、
前記検出ブレーキ力(B)値を監視し、前記車輪の回転中心から前記制輪子の押し付け位置までの半径方向距離(r)に前記検出ブレーキ力(B)値を乗じて得られる算出ブレーキトルク(B×r)値を、目標ブレーキトルク(B i )値に前記半径方向距離(r)を乗じて得られる目標ブレーキトルク(B i ×r )値に追従又は維持させるようにフィードバック制御を行う過程と、
次いで、前記鉄道車両の並進速度(V C )から、前記車輪の外周点の回転方向への接線方向速度である車輪外周速度(V P )を減算して差速度(V S )を算出する過程と、
次いで、雨天時か否かの別を含む天候条件と、制輪子材質条件をパラメータとした前記差速度(V S )の関数であってあらかじめ演算手順記憶手段に記憶されている複数の粘着係数関数(μ(V S ))のうちから一つを選択する手順の後に、前記選択された粘着係数関数(μ(V S ))に前記差速度(V S )を代入して現時点の粘着係数(μ)を算出する手順を行う過程と、
次いで、前記車輪回転中心から車輪外周までの半径方向距離(R)と前記検出軸重(W)と前記粘着係数(μ)の積である算出粘着トルク(μ×W×R)値を求め、前記目標ブレーキトルク(B i ×r)値が当該算出粘着トルク(μ×W×R)値以下であるか否かを判別する過程と、
次いで、前記目標ブレーキトルク(B i ×r)値が前記算出粘着トルク(μ×W×R)値よりも大きい場合には、前記目標ブレーキトルク(B i ×r)値を現時点よりも小さい値に変更する過程を行うこと
を特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る第3のブレーキ力制御装置は、
鉄道車両の車輪(240)の踏面(240a)に制輪子(214)を押し付けることにより前記車輪(240)の回転を制動するブレーキ装置(200)において、前記制輪子(214)の押し付けに伴い、前記制輪子(214)の押し付け位置における車輪回転方向への接線方向に発生する摩擦力により前記車輪(240)が前記接線方向の逆方向であるブレーキ方向に受けるブレーキ力を検出し検出ブレーキ力(B)として出力するブレーキ力検出手段と、
前記車輪(240)の車軸(230)に作用する垂直荷重である軸重を検出し検出軸重(W)として出力する軸重検出手段(4)と、
ブレーキ力制御手段(1)を備え、
前記ブレーキ力制御手段(1)は、
前記検出ブレーキ力(B)値を監視し目標ブレーキ力(B i )値に追従又は維持させるようにフィードバック制御を行う過程(S1)と、
次いで、前記鉄道車両の並進速度(V C )から、前記車輪(240)の外周点の回転方向への接線方向速度である車輪外周速度(V P )を減算して差速度(V S )を算出する過程(S3)と、
次いで、雨天時か否かの別を含む天候条件と、制輪子材質条件と前記差速度(V S )の値に対応した粘着係数(μ)の値の表であってあらかじめ数表記憶手段(2)に記憶されている粘着係数値表の中から検索を行う手順(S152)、又は前記粘着係数値表の近似値から内挿又は外挿の補正演算を行う手順(S155)により粘着係数(μ)を得る過程(S15)と、
次いで、前記検出軸重(W)と前記粘着係数(μ)の積(μ×W)を求め、前記目標ブレーキ力(B i )値が当該積(μ×W)値以下であるか否かを判別する過程(S6)と、
次いで、前記目標ブレーキ力(B i )値が前記積(μ×W)値よりも大きい場合には、前記目標ブレーキ力(B i )値を現時点よりも小さい値に変更する過程(S8)を行うこと
を特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る第4のブレーキ力制御装置は、
鉄道車両の車輪とともに回転するディスクに制輪子を押し付けることにより前記車輪の回転を制動するブレーキ装置において、前記制輪子の押し付けに伴い、前記制輪子の押し付け位置における車輪回転方向への接線方向に発生する摩擦力により前記車輪が前記接線方向の逆方向であるブレーキ方向に受けるブレーキ力を検出し検出ブレーキ力(B)として出力するブレーキ力検出手段と、
前記車輪の車軸に作用する垂直荷重である軸重を検出し検出軸重(W)として出力する軸重検出手段と、
ブレーキ力制御手段を備え、
前記ブレーキ力制御手段は、
前記検出ブレーキ力(B)値を監視し、前記車輪の回転中心から前記制輪子の押し付け位置までの半径方向距離(r)に前記検出ブレーキ力(B)値を乗じて得られる算出ブレーキトルク(B×r)値を、目標ブレーキトルク(B i )値に前記半径方向距離(r)を乗じて得られる目標ブレーキトルク(B i ×r )値に追従又は維持させるようにフィードバック制御を行う過程と、
次いで、前記鉄道車両の並進速度(V C )から、前記車輪の外周点の回転方向への接線方向速度である車輪外周速度(V P )を減算して差速度(V S )を算出する過程と、
次いで、雨天時か否かの別を含む天候条件と、制輪子材質条件と前記差速度(V S )の値に対応した粘着係数(μ)の値の表であってあらかじめ数表記憶手段に記憶されている粘着係数値表の中から検索を行う手順、又は前記粘着係数値表の近似値から内挿又は外挿の補正演算を行う手順により粘着係数(μ)を得る過程と、
次いで、前記車輪回転中心から車輪外周までの半径方向距離(R)と前記検出軸重(W)と前記粘着係数(μ)の積である算出粘着トルク(μ×W×R)値を求め、前記目標ブレーキトルク(B i ×r)値が当該算出粘着トルク(μ×W×R)値以下であるか否かを判別する過程と、
次いで、前記目標ブレーキトルク(B i ×r)値が前記算出粘着トルク(μ×W×R)値よりも大きい場合には、前記目標ブレーキトルク(B i ×r)値を現時点よりも小さい値に変更する過程を行うこと
を特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る第1のブレーキ力制御方法は、
鉄道車両の車輪(240)の踏面(240a)に制輪子(214)を押し付けることにより前記車輪(240)の回転を制動するブレーキ装置(200)において、前記制輪子(214)の押し付けに伴い、前記制輪子(214)の押し付け位置における車輪回転方向への接線方向に発生する摩擦力により前記車輪(240)が前記接線方向の逆方向であるブレーキ方向に受けるブレーキ力を検出し検出ブレーキ力(B)として出力するブレーキ力検出手段と、
前記車輪(240)の車軸(230)に作用する垂直荷重である軸重を検出し検出軸重(W)として出力する軸重検出手段(4)と、
ブレーキ力制御手段(1)を
用いて前記ブレーキ力を制御する方法であって、
前記ブレーキ力制御手段(1)は、
前記検出ブレーキ力(B)値を監視し目標ブレーキ力(B i )値に追従又は維持させるようにフィードバック制御を行う過程(S1)と、
次いで、前記鉄道車両の並進速度(V C )から、前記車輪(240)の外周点の回転方向への接線方向速度である車輪外周速度(V P )を減算して差速度(V S )を算出する過程(S3)と、
次いで、雨天時か否かの別を含む天候条件と、制輪子材質条件をパラメータとした前記差速度(V S )の関数であってあらかじめ演算手順記憶手段(2)に記憶されている複数の粘着係数関数(μ(V S ))のうちから一つを選択する手順(S52)の後に、前記選択された粘着係数関数(μ(V S ))に前記差速度(V S )を代入して現時点の粘着係数(μ)を算出する手順(S53、S54)を行う過程(S5)と、
次いで、前記検出軸重(W)と前記粘着係数(μ)の積(μ×W)を求め、前記目標ブレーキ力(B i )値が当該積(μ×W)値以下であるか否かを判別する過程(S6)と、
次いで、前記目標ブレーキ力(B i )値が前記積(μ×W)値よりも大きい場合には、前記目標ブレーキ力(B i )値を現時点よりも小さい値に変更する過程(S8)を行うこと
を特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る第2のブレーキ力制御方法は、
鉄道車両の車輪とともに回転するディスクに制輪子を押し付けることにより前記車輪の回転を制動するブレーキ装置において、前記制輪子の押し付けに伴い、前記制輪子の押し付け位置における車輪回転方向への接線方向に発生する摩擦力により前記車輪が前記接線方向の逆方向であるブレーキ方向に受けるブレーキ力を検出し検出ブレーキ力(B)として出力するブレーキ力検出手段と、
前記車輪の車軸に作用する垂直荷重である軸重を検出し検出軸重(W)として出力する軸重検出手段と、
ブレーキ力制御手段を
用いて前記ブレーキ力を制御する方法であって、
前記ブレーキ力制御手段は、
前記検出ブレーキ力(B)値を監視し、前記車輪の回転中心から前記制輪子の押し付け位置までの半径方向距離(r)に前記検出ブレーキ力(B)値を乗じて得られる算出ブレーキトルク(B×r)値を、目標ブレーキトルク(B i )値に前記半径方向距離(r)を乗じて得られる目標ブレーキトルク(B i ×r )値に追従又は維持させるようにフィードバック制御を行う過程と、
次いで、前記鉄道車両の並進速度(V C )から、前記車輪の外周点の回転方向への接線方向速度である車輪外周速度(V P )を減算して差速度(V S )を算出する過程と、
次いで、雨天時か否かの別を含む天候条件と、制輪子材質条件をパラメータとした前記差速度(V S )の関数であってあらかじめ演算手順記憶手段に記憶されている複数の粘着係数関数(μ(V S ))のうちから一つを選択する手順の後に、前記選択された粘着係数関数(μ(V S ))に前記差速度(V S )を代入して現時点の粘着係数(μ)を算出する手順を行う過程と、
次いで、前記車輪回転中心から車輪外周までの半径方向距離(R)と前記検出軸重(W)と前記粘着係数(μ)の積である算出粘着トルク(μ×W×R)値を求め、前記目標ブレーキトルク(B i ×r)値が当該算出粘着トルク(μ×W×R)値以下であるか否かを判別する過程と、
次いで、前記目標ブレーキトルク(B i ×r)値が前記算出粘着トルク(μ×W×R)値よりも大きい場合には、前記目標ブレーキトルク(B i ×r)値を現時点よりも小さい値に変更する過程を行うこと
を特徴とする。
【0018】
また、本発明に係る第3のブレーキ力制御方法は、
鉄道車両の車輪(240)の踏面(240a)に制輪子(214)を押し付けることにより前記車輪(240)の回転を制動するブレーキ装置(200)において、前記制輪子(214)の押し付けに伴い、前記制輪子(214)の押し付け位置における車輪回転方向への接線方向に発生する摩擦力により前記車輪(240)が前記接線方向の逆方向であるブレーキ方向に受けるブレーキ力を検出し検出ブレーキ力(B)として出力するブレーキ力検出手段と、
前記車輪(240)の車軸(230)に作用する垂直荷重である軸重を検出し検出軸重(W)として出力する軸重検出手段(4)と、
ブレーキ力制御手段(1)を
用いて前記ブレーキ力を制御する方法であって、
前記ブレーキ力制御手段(1)は、
前記検出ブレーキ力(B)値を監視し目標ブレーキ力(B i )値に追従又は維持させるようにフィードバック制御を行う過程(S1)と、
次いで、前記鉄道車両の並進速度(V C )から、前記車輪(240)の外周点の回転方向への接線方向速度である車輪外周速度(V P )を減算して差速度(V S )を算出する過程(S3)と、
次いで、雨天時か否かの別を含む天候条件と、制輪子材質条件と前記差速度(V S )の値に対応した粘着係数(μ)の値の表であってあらかじめ数表記憶手段(2)に記憶されている粘着係数値表の中から検索を行う手順(S152)、又は前記粘着係数値表の近似値から内挿又は外挿の補正演算を行う手順(S155)により粘着係数(μ)を得る過程(S15)と、
次いで、前記検出軸重(W)と前記粘着係数(μ)の積(μ×W)を求め、前記目標ブレーキ力(B i )値が当該積(μ×W)値以下であるか否かを判別する過程(S6)と、
次いで、前記目標ブレーキ力(B i )値が前記積(μ×W)値よりも大きい場合には、前記目標ブレーキ力(B i )値を現時点よりも小さい値に変更する過程(S8)を行うこ
を特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る第4のブレーキ力制御方法は、
鉄道車両の車輪とともに回転するディスクに制輪子を押し付けることにより前記車輪の回転を制動するブレーキ装置において、前記制輪子の押し付けに伴い、前記制輪子の押し付け位置における車輪回転方向への接線方向に発生する摩擦力により前記車輪が前記接線方向の逆方向であるブレーキ方向に受けるブレーキ力を検出し検出ブレーキ力(B)として出力するブレーキ力検出手段と、
前記車輪の車軸に作用する垂直荷重である軸重を検出し検出軸重(W)として出力する軸重検出手段と、
ブレーキ力制御手段を
用いて前記ブレーキ力を制御する方法であって、
前記ブレーキ力制御手段は、
前記検出ブレーキ力(B)値を監視し、前記車輪の回転中心から前記制輪子の押し付け位置までの半径方向距離(r)に前記検出ブレーキ力(B)値を乗じて得られる算出ブレーキトルク(B×r)値を、目標ブレーキトルク(B i )値に前記半径方向距離(r)を乗じて得られる目標ブレーキトルク(B i ×r )値に追従又は維持させるようにフィードバック制御を行う過程と、
次いで、前記鉄道車両の並進速度(V C )から、前記車輪の外周点の回転方向への接線方向速度である車輪外周速度(V P )を減算して差速度(V S )を算出する過程と、
次いで、雨天時か否かの別を含む天候条件と、制輪子材質条件と前記差速度(V S )の値に対応した粘着係数(μ)の値の表であってあらかじめ数表記憶手段に記憶されている粘着係数値表の中から検索を行う手順、又は前記粘着係数値表の近似値から内挿又は外挿の補正演算を行う手順により粘着係数(μ)を得る過程と、
次いで、前記車輪回転中心から車輪外周までの半径方向距離(R)と前記検出軸重(W)と前記粘着係数(μ)の積である算出粘着トルク(μ×W×R)値を求め、前記目標ブレーキトルク(B i ×r)値が当該算出粘着トルク(μ×W×R)値以下であるか否かを判別する過程と、
次いで、前記目標ブレーキトルク(B i ×r)値が前記算出粘着トルク(μ×W×R)値よりも大きい場合には、前記目標ブレーキトルク(B i ×r)値を現時点よりも小さい値に変更する過程を行うこと
を特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るブレーキ力制御装置の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
(1)第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態であるブレーキ力制御装置の全体構成を示すブロック図である。
【0022】
図1に示すように、このブレーキ力制御装置100は、鉄道車両(図示せず)の車輪240の踏面240aに制輪子214を押し付けることにより車輪240の回転を制動するブレーキ装置200において、制輪子214が車輪240の踏面240aに押し付けられる位置の円における車輪240の接線方向のうち、車輪回転方向とは逆方向となる接線の方向に発生し車輪240に付与される摩擦力であるブレーキ力を制御する装置である。
【0023】
ブレーキ力制御装置100の説明に先立ち、このブレーキ力制御装置100によりブレーキ力の制御を行うブレーキ装置200の構成と作用について、その概略を説明する。
【0024】
このブレーキ装置200は、圧縮空気を生成する空気圧縮機(コンプレッサ)201と、生成された圧縮空気を貯留する元空気タンク202と、圧縮空気を送る空気配管203と、圧縮空気を通過させ又は遮断させる弁204と、ブレーキシリンダ205と、ブレーキシリンダ205内に収容されるとともに空気出入口205aから出入する圧縮空気により往復運動を行うピストン206と、ヒンジピン208,ピストンアーム207,ヒンジピン209,梃子リンク210,梃子支点ヒンジピン211,ヒンジピン212,制輪子把持部材213,梃子支点軸支部材215,リニアベアリング216等の複数のリンク要素からなりピストン206と制輪子214とを連結するリンク機構と、鋳鉄又は合成材等によって形成されるとともに内壁面が車輪240の踏面240aに密着可能な略円筒凹面状に形成された制輪子214と、一端が梃子支点軸支部材215に接続するとともに他端がブレーキ反力検出器8(後述)に接続する軸力担持部材217と、一端がブレーキ反力検出器8に接続するとともに他端が鉄道車両(図示せず)の台車枠220のブレーキ反力検出器支持部220cに支持される軸力担持部材219を備えている。また、軸力担持部材217と219の間には、後述するブレーキ反力検出器8が設けられている。
【0025】
上記のような構成により、このブレーキ装置200は、圧縮空気を元空気タンク202から空気配管203,弁204を経てブレーキシリンダ205内に導き、ピストン206を出入させ、リンク機構が梃子原理によりピストン206の突出動作を制輪子214の押付動作に変換し、車輪240の踏面240aにブレーキ力を付与するものである。ブレーキ装置は、圧縮空気以外の他の作動用流体、例えば油等の液体を用いる形式のものであってもよい。
【0026】
次に、ブレーキ力制御装置100の構成について、さらに詳細に説明する。
このブレーキ力制御装置100は、CPU(Central Processing Unit :中央演算処理装置)1と、ROM(Read Only Memory:読出し専用メモリ)2と、RAM(Random Access Memory:随時書込み読出しメモリ)3と、軸重検出器4と、ブレーキ弁駆動部5と、空気圧検出器6と、入力・表示部7と、ブレーキ反力検出器8を備えて構成されている。
【0027】
上記のうちCPU1は、ブレーキ力制御装置100の各部を統括し、各種演算やプログラム実行等の処理を行う部分である。また、ROM2は、CPU1の実行するプログラムや報知情報等を格納した記憶装置である。このROM2のかわりにハードディスク又は他の形式の記憶装置を用いてもよく、これらの記憶装置は読出し専用のものだけでなく1回又は複数回書込み可能なものであってもよい。また、RAM3は、CPU1により演算されたデータ等を一時記憶する記憶装置である。このRAM3のかわりにハードディスク又は他の形式の記憶装置を用いてもよい。
【0028】
また、軸重検出器4は、ロードセル等の荷重検出センサ(図示せず)を有しており、鉄道車両(図示せず)の車輪240の車軸230に作用する荷重を検出し、CPU1に送る。また、ブレーキ反力検出器8は、ロードセル等の荷重検出センサ(図示せず)を有しており、軸力担持部材217と219との間に作用する軸力を検出し、ブレーキ反力としてCPU1に送る。ブレーキ反力と方向が逆で値が同一の力がブレーキ力となる。また、空気圧検出器6は、圧力検出センサ(図示せず)を有しており、ブレーキ装置200の空気配管203内の空気圧を検出し、CPU1に送る。また、ブレーキ弁駆動部5は、サーボ増幅器(図示せず。後述。)と、ソレノイドやステッピングモータ等のアクチュエータ(図示せず)を有しており、CPU1の制御を受け、ブレーキ装置200の弁204の開放の度合である「開度」を調節する。そして、入力・表示部7は、スイッチ,ボタン,キーボード等の入力手段(図示せず)と、CRT(Cathod Ray Tube :ブラウン管表示装置)や液晶表示装置等の表示手段を有しており、CPU1に操作指令を与えたり、データ等を入力したり、あるいはCPU1からの情報を画像又は文字等で表示する。また、この入力・表示部7は、鉄道車両(図示せず)の他の検出機構や制御機構にも接続されており、ブレーキ力制御の対象となる鉄道車両の他の諸データを、入力・表示部7を介してCPU1に送ることができるようになっている。
【0029】
次に、上記したブレーキ力制御装置100の作用について説明を行う。
図2は、図1に示すブレーキ力制御装置における制御手順を示すメインフローチャート図である。また、図3は、図2に示すメインフローチャートにおける環境条件設定サブルーチンの手順を示すフローチャート図である。また、図4は、図2に示すメインフローチャートにおける粘着係数演算手順選択・演算サブルーチンの手順を示すフローチャート図である。また、図5は、図2に示すメインフローチャートにおける滑走判別サブルーチンの手順を示すフローチャート図である。また、図6は、図2に示すフローチャートにおけるフィードバック制御の制御系の構成を示すブロック線図である。
【0030】
まず、ブレーキ力制御装置100内のCPU1は、フィードバック制御の目標値となる目標ブレーキ力Bi を設定する(図2におけるステップS1)。この設定値に基き、図6に示すブロック線図のようなフィードバック制御が行われる。
【0031】
次に、CPU1は、軸重検出器4が検出した車軸230の軸重Wを取り込むとともに、ブレーキ反力検出器8で検出されたブレーキ反力から極性符号を逆にして得られるブレーキ力Bを取り込む(ステップS2)。また、このとき同時に、入力・表示部7を介して、鉄道車両(図示せず)の並進速度VC を取り込み、かつ、ブレーキ力制御を行う対象となる車輪240の外周点の回転方向への接線方向速度(以下、「車輪外周速度」という。)VP を、入力・表示部7を介して取り込む。VP は、対象となる車軸に回転数センサ等を設けておけば把握できる。
【0032】
また、上記の車両速度VC は、例えば、鉄道車両の車輪のうち回転速度が最大の車輪の外周速度により設定される。この移動速度VC は、他の方法によっても把握可能である。例えば、鉄道車両の外部の位置に漏洩同軸ケーブル(LCX)等を配置して漏洩する電波等により外部の位置情報を取得する位置情報取得手段を備え、この位置情報と経過時間等に基いて移動速度VC を算出する移動速度演算手段を備えてもよい。
【0033】
あるいはまた、人工衛星を利用して鉄道車両の自己位置を把握するGPS(Global Positioning System :汎地球測位システム)を利用し、人工衛星から直接に、あるいは外部の通信手段を介して間接的に自己位置又は外部位置の情報を取得する位置情報取得手段を備え、この位置情報と経過時間等に基いて移動速度VC を算出する移動速度演算手段を備えてもよい。
GPSでは、地球の上空約20,200キロメートルの軌道上に、1周約12時間で周回する24個のナブスター(NAVSTAR )と呼ばれる人工衛星が配置され、これらの人工衛星からの電波には、測位情報と絶体時間情報が含まれている。このため、専用のGPSアンテナによってこれらの電波を受信し、専用のGPS受信機によって検波を行えば、GPS受信機の地球上における3次元の座標位置データ、すなわち、経度や緯度等の平面位置データと標高データが、ディジタルデータとして検出できる。GPSのうち、RTK(Real Time Kinematic )方式と呼ばれるものは、GPS受信機側が移動中であっても、2〜3cm程度の高い精度が得られるので、このRTK方式を採用するのが望ましい。
【0034】
その後は、CPU1は、図6に示すように、検出されたブレーキ力Bを目標ブレーキ力Bi と比較(減算)し、制御偏差e(=Bi −B)を算出する。この制御偏差eは、ブレーキ弁駆動部5内のサーボ増幅器(図示せず)に送られ、弁204が駆動できる程度の値まで増幅され、操作信号C1 となって弁204に出力される。これにより、検出されたブレーキ力Bが目標ブレーキ力Bi よりも大きい場合には目標ブレーキBi に合致させるためにブレーキ力Bを弱めるように弁204の開度(操作量)C2 が設定され、検出されたブレーキ力Bが目標ブレーキ力Bi よりも小さい場合には目標ブレーキBi に合致させるためにブレーキ力Bを強めるように弁204の開度C2 が設定される。この結果、ブレーキシリンダ205のアーム出入口205bからのピストン206の突出量C3 が増減調節され、車輪踏面240aに対する制輪子214の押付力が増減調節されて、ブレーキ力が増減調節される。このブレーキ力はブレーキ反力検出器8により検出されたブレーキ反力の逆値としてCPU1が検出し、ブレーキ力Bをフィードバックする。このような制御により、ブレーキ力Bが目標ブレーキ力Bi に合致するまでフィードバックが行われる。
【0035】
また、CPU1は、上記のようにして検出された車両速度VC と車輪外周速度VP とから差速度VS を、式VS =VC −VP により算出する(ステップS3)。
【0036】
次に、CPU1は、環境条件設定サブルーチンS4を実行し、ブレーキ力制御に関する環境条件を設定する。環境条件設定サブルーチンの内容については後述する。
【0037】
次に、CPU1は、粘着係数演算手順選択・演算サブルーチンS5を実行し、粘着係数μを算出する。粘着係数演算手順選択・演算サブルーチンの内容については後述する。
【0038】
次に、CPU1は、ステップS6に移行し、目標ブレーキ力Bi が、上記のようにして検出された軸重Wと粘着係数μとの積以下であるか否かを判別する。
【0039】
上記の判別ステップS6において、Bi ≦μ×Wの場合には、滑走判別サブルーチンS7を実行する。また、判別ステップS6において、Bi >μ×Wの場合には、「滑走」のおそれがあるため、ステップS8に移行し、目標ブレーキ力Bi を現時点よりもさらに小さい値に変更設定し、その後ステップS1に戻る。
【0040】
上記のように、このブレーキ力制御装置100においては、制輪子214の押し付けに伴い、制輪子214の押し付け位置における車輪回転方向への接線方向(以下、「車輪接線方向」という。)に発生する摩擦力により制輪子214が車輪接線方向の逆方向(以下、「ブレーキ方向」という。)に受ける反力であるブレーキ力Bを検出して監視し、ブレーキ力Bを目標ブレーキ力Bi に追従又は維持させるようなフィードバック制御が行われる。
また、目標ブレーキ力Bi は、検出された軸重Wに粘着係数μを乗じて得られる算出粘着力以下の値に設定される。
また、粘着係数μは、環境条件に応じて、CPU1が選択又は演算する。
また、CPU1は、ブレーキ力制御の対象となっている車輪240が滑走状態にあるか否かを判別する。
【0041】
次に、上記のように制御する理由について、図10を参照しつつ説明する。
図10は、図1に示すブレーキ制御装置における速度と車輪外周作用力との関係を示す図であり、図10(A)は差速度と車輪外周作用力との関係を、図10(B)は車両速度と車輪外周作用力との関係を、それぞれ示している。
【0042】
また、車両速度VC と車輪外周速度VP とから求められる差速度VS (=VC −VP )を横軸にとると、車輪の外周に作用する車輪外周作用力Fは、図10(A)に示すように曲線になる。ここで、車輪外周作用力とは、車輪を駆動してレール上で転動させる力、あるいは車輪に制動を与えて停止させようとする力等である。また、差速度VS が零でない値をとるということは、車輪とレールとの間に「滑り」があることを意味している。
【0043】
そして、図10(A)に示すように、差速度VS が零から増大していくと、車輪外周作用力Fも、それにつれて増大する。すなわち、差速度VS があることによって、車輪に駆動力や制動力が作用することを意味している。これは、レールが理論のような完全な剛体ではなく、車輪が載ることによりわずかに変形するためである。
【0044】
そして、差速度VS がV1 に達すると、車輪外周作用力Fは値F1 以上に増大できなくなり、差速度VS だけが増大していく。この状態は、車輪がレールとの間で全面的に滑りを生じていることになり、車両の加速時であれば「空転」という現象となり、減速時であれば「滑走」という現象となる。
【0045】
上記の図10(A)において零点から点P1 までの領域を「粘着領域」と呼び、図において点P1 より右側の領域を「すべり領域」と呼ぶ。また、F1 は、「粘着力」とも呼ばれる。鉄道車両において制動を行う場合には、車輪外周作用力Fが粘着領域の範囲内の状態(以下、「粘着状態」という。)となるようにブレーキ力を作用させる必要がある。そのようにブレーキ制御を行わないと、車輪とレールとの間の滑りが極度に増大し、車輪が停止した状態でレール上を滑走(スキッド)してしまい、車輪の踏面が局部的に平面状にすり減る「フラット」と呼ばれる損傷が発生するからである。このフラットが生じると、車輪の回転に伴ってフラット部分がレール面を周期的に打撃するハンマリングが起こり、レールと車輪の双方をさらに傷める結果となる。
【0046】
踏面ブレーキの場合は、車輪踏面(レールに対する車輪外周面)に制輪子を押し付けてブレーキ力を付与するため、付与されたブレーキ力が車輪外周作用力となる。このため、踏面ブレーキの場合は、ブレーキ力がF1 以下になるように制御すればよい。また、この最大の車輪外周作用力F1 を軸重Wで除した値F1 /Wを粘着係数μと定義する。粘着係数μとは、車輪踏面とレールとの間に働く一種の摩擦係数に他ならない。すなわち、粘着係数μが把握されれば、乗客数の増減などによって軸重Wが変動しても、F1 =μ×Wによって値F1 を算出できるから、踏面ブレーキの場合には、ブレーキ力Bが、B≦μ×Wの条件を満足するようにブレーキ制御を行えばよいことになる。
【0047】
しかし、ディスクブレーキの場合には、車輪外周位置とブレーキ位置が異なるから、一般には、車輪の回転中心から制輪子の押し付け位置(ブレーキ位置)までの半径方向距離にブレーキ力を乗じて得られる「ブレーキトルク」という値で管理すればよい。すなわち、車輪中心から車輪外周までの半径をRとし、車輪中心から制輪子押し付け位置までの半径をrとしたとき、B×r≦μ×W×Rとなるようにブレーキ力Bを制御すればよい。この場合、B×rを「ブレーキトルク」、Bi ×rを「目標ブレーキトルク」、μ×W×Rを「算出粘着トルク」という。また、上式において、踏面ブレーキの場合はR=rであるから、B≦μ×Wとなる。
【0048】
上記の粘着係数μの値が定数であれば、計測等により値を定め、これにより常に最適なブレーキ制御が可能となる。しかし、粘着係数μは、各種のパラメータにより変化する値である。粘着係数μは、まず車両速度VC に依存し、一般に、車両速度VC が高いほど粘着係数μの値は低くなる。このことを図示したのが図10(B)である。図に示すように、車両速度VC 以外の他のパラメータを一定としたとき、車輪外周作用力F1 (=μ×W)の値は、車両速度VC が高くなるほど小さくなる。このことは、図10(A)のグラフにおいては、車両速度が高くなると、車輪外周作用力Fの曲線が図において破線で示すように下方に移行することを意味し、車両速度が低くなると、車輪外周作用力Fの曲線が図において一点鎖線で示すように上方に移行することを意味している。
【0049】
また上記した車輪とレールとの粘着現象は、一種の摩擦現象であるから、レール表面に水、油、落葉、サビ等が存在することによって粘着係数μの値は変化する。例えば、雨天時のようにレール上に水が存在する場合には、滑りやすくなることから、粘着係数μの値は低下する。油滴や落葉やサビの場合も同様である。逆に、レール上に砂粒子等が存在する場合には、滑りにくくなるため、粘着係数μの値は増大する。
【0050】
また、ブレーキ力は、制輪子が車輪等に押し付けられ、制輪子と車輪等の摩擦を介して車輪に付与される。このため、車輪等と制輪子との間の摩擦係数が問題になる。この摩擦係数は、制輪子の材質、あるいは車両速度に依存する。図10(B)において、曲線Aは鋳鉄で形成された制輪子における摩擦力を示している。この鋳鉄制輪子の場合は、速度がある程度高い領域では、摩擦力は車輪の粘着力F1 よりもかなり小さいが、低速域では、粘着力F1 よりも大きくなることがあり、車輪の滑走が不可避である場合があるということがわかる。一方、図10(B)において、曲線Bは合成樹脂と鉄粉等からなる合成制輪子の場合である。この合成制輪子の場合は、全ての速度域において、摩擦力は車輪の粘着力F1 よりも小さく、その値は車輪粘着力F1 に近く、かつ車輪粘着力F1 の曲線とほぼ平行に変化していることがわかる。したがって、合成制輪子の場合(曲線Bの場合)には、制輪子押付力を適当に制御すれば、滑走のおそれは少ない、ということになる。
【0051】
上記のことから、環境条件設定サブルーチンS4においては、図3に示すような手順が実行される。まず、入力・表示部7等から車両の走行する区間等の天候条件の入力又は変更があったか否かが判別される(ステップS41)。この結果、特に入力又は変更がない場合にはステップS43に移行するが、天候条件の入力又は変更があった場合には、ステップS42において、天候条件を設定する。これは、雨天等の入力により、後述する粘着係数演算手順選択・演算サブルーチンにおいて、粘着係数の値の設定等を行うための基礎となる。
【0052】
ステップS43では、入力・表示部7等から制輪子材質条件の入力又は変更があったか否かが判別される。この結果、特に入力又は変更がない場合にはメインフローチャートに戻るが、制輪子材質条件の入力又は変更があった場合には、ステップS44において、制輪子材質条件を設定する。これは、制輪子材質の入力により、後述する粘着係数演算手順選択・演算サブルーチンにおいて、粘着係数の値の設定等を行うための基礎となる。
これらの天候条件や制輪子材質条件等を含む環境条件は、RAM3に記憶される。
【0053】
また、粘着係数演算手順選択・演算サブルーチンS5においては、図4に示すような手順が実行される。まず、上記した環境条件で設定された天候条件、制輪子材質条件、及び車両速度VC 、及び差速度VS の値が入力される(ステップS51)。次に、ステップS52において、粘着係数μが、差速度VS (=VC −VP )の関数μ(VS )の一つとしてCPU1により選択される。この粘着係数関数μ(VS )は、例えば、粘着領域を
μ=a×VS (a:正の実数)
という一次式に簡素化して表現したり、あるいは、
μ=a。・x+a1・x +a2・x2+…+an・xn (ai :実数)
というn次曲線の式として表現したり、あるいは、すべり領域を
μ=−b×VS +c(b,c:正の実数)
という一次式に簡素化して表現したりするものである。この粘着係数関数μ(VS )は、各パラメータに応じて一又は複数用意され、ROM2にデータとして格納されている。
【0054】
次に、選択された粘着係数関数μ(VS )に現時点の差速度VS をCPU1が代入する(ステップS53)。これにより、現時点の粘着係数μの値が算出される(ステップS54)。このμ値が、上記したメインフローチャートのステップS6において用いられる。
【0055】
次に、滑走判別サブルーチンにおいては、図5に示すような手順が実行される。まず、差速度VS が特定の値a1 を超えたか否かが判別される(ステップS71)。この結果、該当しなければステップS74に移行して「非滑走」と判別され、メインフローチャートに戻るが、該当する場合には、ステップS72に移行し、車両速度VC に対する差速度VS の比VS /VC が特定の比a2 を超えたか否かが判別される。この結果、該当しなければステップS74に移行して「非滑走」と判別し、メインフローチャートに戻るが、該当する場合には、ステップS73に移行して「滑走」と判別された後にステップS8に移行し、フィードバック制御の目標値である目標ブレーキ力Bi 又は目標ブレーキトルク値を現時点よりもさらに小さい値に変更する。
【0056】
上記の特定値a1 としては、例えば、定められた速度値(km/h)が用いられる。また、上記の特定比a2 としては、例えば、定められた比率(%)が用いられる。
【0057】
したがって、差速度VS が特定の値を超え、かつ、移動速度VC に対する差速度VS の比が特定の比a2 を超えた場合に「滑走」と判別され、この2条件のうち一つでも合致しない場合には「非滑走」と判別される。
【0058】
本実施形態では、上記のような手順により、鉄道車両等の車輪に作用するブレーキ力を正確に制御することができる。
【0059】
(2)第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について説明を行う。
図7は、本発明の第2実施形態であるブレーキ力制御装置における粘着係数値検索・補正サブルーチンの手順を示すフローチャート図である。
【0060】
この第2実施形態のブレーキ力制御装置は、ハードウェアの構成は上記した第1実施形態と同様である。第2実施形態のブレーキ力制御装置が第1実施形態のブレーキ力制御装置と異なる点は、その制御方法にある。第2実施形態のブレーキ力制御装置においては、図2に示したメインフローチャートにおける粘着係数演算手順選択・演算サブルーチンのかわりに、図7に示す粘着係数値検索・補正サブルーチンが実行される。
【0061】
この粘着係数値検索・補正サブルーチンS15においては、まず、上記した環境条件で設定された天候条件、制輪子材質条件、及び車両速度VC 、及び差速度VS の値が入力される(ステップS151)。次に、ステップS152において、現時点の差速度VS に対応する粘着係数値μが、ROM2内に格納された数表の中から検索される。この粘着係数値表は、各パラメータに応じて一又は複数用意されている。次に、数表から粘着係数値μが検索されたか否かが判別される(ステップS153)。この結果、粘着係数値μが検索された場合には、ステップS156に移行して現時点の粘着係数値として検索された値を設定した後にメインフローチャートに戻る。しかし、上記の判別ステップS153において、数表中に同一のVS 値がなかったため粘着係数値μが検索できなかった場合には、次にステップS154に移行し、粘着係数値μが数表の近似値から内挿又は外挿が可能か否かが判別される。この結果、粘着係数値μが数表の近似値から内挿又は外挿が可能な場合には、ステップS155に移行し、近似値から内挿又は外挿の補正演算を行って粘着係数値μを得る。次に、ステップS156に移行して現時点での粘着係数値μを設定した後にメインフローチャートに戻る。
【0062】
一方、上記した判別ステップS154において、粘着係数値μが数表の近似値から内挿も外挿もできず算出できないと判別された場合には、ステップS157に移行し、このような不能がn回目か否かを判別する。このnの値はあらかじめ設定する。そして、このような不能がn回目ではない場合には、再度ステップS151に戻って上記の手順を再度行う。一方、上記の判別ステップS157において、このような不能がn回目であると判別された場合には、CPU1は「エラー」と判別し、ブレーキ力制御の操作者、例えば機関士や運転士に視覚的又は聴覚的に報知する。
【0063】
したがって、この第2実施形態では、上記のような手順により、鉄道車両等の車輪に作用するブレーキ力を正確に制御することができる。
【0064】
(3)第3実施形態
次に、本発明の第3実施形態について説明を行う。
図8は、本発明の第3実施形態であるブレーキ力制御装置における車輪外周作用力推定サブルーチンの手順を示すフローチャート図である。
【0065】
この第3実施形態のブレーキ力制御装置は、ハードウェアの構成は上記した第1実施形態とほぼ同様であるが、粘着係数関数μ(VS )がROM2ではなくRAM3に格納されている点が異なっている。第3実施形態のブレーキ力制御装置が第1実施形態のブレーキ力制御装置と最も異なる点は、その制御方法にある。第3実施形態のブレーキ力制御装置では、図2に示したメインフローチャートにおいて、滑走判別サブルーチンの実行後に引き続いて図8に示す車輪外周力推定サブルーチンが実行される。
【0066】
この車輪外周力推定サブルーチンS9においては、図8に示すような手順が実行される。まず、上記した環境条件で設定された天候条件、制輪子材質条件、及び車両速度VC 、及び差速度VS の値が入力される(ステップS91)。次に、ステップS92において、CPU1にソフトウェアとして構成されたニューラルネットワークにより、これまでに滑走判定サブルーチンS7で「滑走」と判別された場合の各環境条件に基いて「学習」が行われる。この結果、次のステップS93においては、一種の「逆演算」を行うことにより、環境条件と滑走・非滑走の事実から、粘着係数関数μ(VS )を推定する。次に、推定された粘着係数関数μ(VS )と同様の環境条件における粘着係数関数としてRAM3内に格納されているものを、今回学習により推定された関数に変更する(ステップS94)。これにより、メインフローチャートにおける次回のサイクルでは、CPU1は、変更された粘着係数関数μ(VS )を含む一又は複数の粘着係数関数の中から該当するものを選択し、その時点の差速度VS を代入することにより粘着係数μ値を算出する。
【0067】
したがって、この第3実施形態では、上記のような手順により、鉄道車両等の車輪に作用するブレーキ力を正確に制御することができるうえ、粘着係数関数μ(VS )を学習によって更新し、この更新された粘着係数関数を選択するようにしたので、制御の精度がさらに向上するという利点がある。
【0068】
次に、上記したニューラルネットワークについて、その概要を説明する。図9は、図8に示すフローチャートにおけるニューラルネットワークを説明する図であり、図9(A)はニューロンモデルの論理構成図を、図9(B)はニューラルネットワークの構成を示す概念ブロック図を、それぞれ示している。
【0069】
このニューラルネットワークは、人間の脳における脳細胞と神経線維とからなるニューロンの回路網を単純化して模擬し、人間等の脳における情報処理機能の再現をねらったものである。
図示はしないが、人間の脳における1個のニューロンは、脳細胞体と、脳細胞体に接続する1本の長い軸索である神経線維から構成されている。また、神経線維の終端には、シナプスと呼ばれる構造体が形成されている。脳細胞体は、多くの樹状突起を有しており、この樹状突起と隣接する他のニューロンのシナプスとが微少間隙を配して対向し、この間を各種の化学物質(「情報伝達物質」と呼ばれる。)が移動することにより情報の伝達が行われる、といわれている。
【0070】
ニューラルネットワークでは、上記したニューロンを、例えば図9(A)のようなモデルによって表現している。すなわち、図9(A)において、x1 ,x2 ,…,xn が入力であり、上記したシナプスに相当し、その結合の度合が重み係数k1 ,k2 ,…,kn で表される。このニューロンモデルNの出力yは、i番目の入力xi と重み係数ki を乗じたxi ×ki の値に対してiが1からnまでの総和(以下、「積和」という。)を求め、その総和の値がある設定した値以上となる場合に出力yを与える処理(以下、「しきい値処理」という。)を行うようになっている。
【0071】
次に、上記のようなニューロンモデルを用いたニューラルネットワークの一例の構成を、図9(B)を参照しつつ説明する。
図に示すように、このニューラルネットワークは、階層構造になっている。図の例では、5個の入力x1 〜x5 を持つ5個のニューロンモデルN11〜N15からなる入力層L1 と、5個のニューロンモデルN21〜N25からなる中間層L2 と、5個のニューロンモデルN31〜N35からなる出力層L3 を備えて構成されている。このような構成により、中間層L2 では、入力パターンxi と重み係数のk1iとの積和演算がなされ、しきい値処理が行われることにより、中間層L2 の出力となる。また、出力層L3 では、中間層L2 の出力が入力となりそのパターンと重み係数のk2iとの積和演算がなされ、しきい値処理が行われることにより、出力層L3 の出力となる。このように、入力パターンxi が与えられると、各層間の結合の重み係数kによる変換により、次段の層Lへの出力パターンが伝達される。
【0072】
このようなニューラルネットワークにおいて、それぞれの入力パターンに対応して、異なる出力パターンが得られれば、その出力パターンから逆に入力パターンを対応づけることが可能となり、入力パターンを識別することができる。この入力パターンと出力パターンの対応づけは、各層間の結合の重み係数kを調整することにより行われる。この結合の重み係数kの調整は、学習システム11により行われる。
【0073】
すなわち、図9(B)において、入力パターンx1 〜x5 が与えられたとき、その結果として出力パターンz1 〜z5 が出力される。この場合、各層間の結合の重み係数kの調整が正しくないと、誤った出力パターンが出力される。このため、正しい出力パターン(以下、「教師信号」という。)t1 〜t5 を付与し、誤った出力パターンz1 〜z5 と正しい教師信号t1 〜t5 との差信号を用いて、重み更新部12,13が、結合の重み係数kを増減調整する。
上記のように構成することにより、制御対象の逆システムを推定することができる。
【0074】
上記した各実施形態において、ブレーキ反力検出器8とCPU1は、ブレーキ力検出手段を構成している。また、CPU1は、ブレーキ力制御手段に相当している。また、軸重検出器4は軸重検出手段に相当している。また、第1実施形態におけるROM2は、演算手順記憶手段に相当しており、ROM2内に記憶された粘着係数関数μ(VS )は粘着係数演算手順に相当している。また、第1実施形態におけるCPU1は、演算手順選択手段又は粘着係数演算手段に相当している。また、第2実施形態におけるROM2は、数表記憶手段に相当している。また、第2実施形態におけるCPU1は、粘着係数値検索補正手段に相当している。また、第3実施形態におけるRAM3は、滑走時条件記憶手段又は演算手順記憶手段に相当している。また、第3実施形態におけるCPU1は、車輪外周作用力推定手段又は演算手順変更手段若しくは粘着係数演算手段に相当している。また、上記したブレーキ装置200において、空気圧縮機201と元空気タンク202と空気配管203は、流体供給手段を構成している。
【0075】
なお、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。上記各実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0076】
例えば、上記した各実施形態のブレーキ力制御装置においては、「踏面ブレーキ」形式の鉄道車両用ブレーキ装置の制御を行うブレーキ力制御装置を例に挙げて説明したが、本発明はこれには限定されず、他の構成のブレーキ装置の制御を行うブレーキ力制御装置、例えば、鉄道車両の車輪とともに回転するディスクに制輪子を押し付けることにより車輪の回転を制動するブレーキ装置の制御を行う「ディスクブレーキ」形式のブレーキ力制御装置であってもよい。
【0077】
また、上記した各実施形態のブレーキ力制御装置においては、軸重検出手段として、ロードセル等の荷重検出センサを有する軸重検出器4を例に挙げて説明したが、本発明はこれには限定されず、他の構成の軸重検出手段、例えば、鉄道車両の台車と車体間に配設される空気ばねの内圧を検出する圧力検出手段と、この内圧から軸重を算出する演算手段とを有するもの等であってもよい。
【0078】
また、上記した第1実施形態のブレーキ力制御装置においては、演算手順として、式で表現されるものを例に挙げて説明したが、本発明はこれには限定されず、他の種類の演算手順、例えば、他の関数を用いた式、所定の手順により収斂値を得る繰り返し演算、統計的手法や確率等を用いた複合的な演算、式では表現できないプログラムにより演算を行い近似値を得る近似計算、粘着係数のグラフ等から図形的に粘着係数を求める手順、変化の度合と初期条件とから微分方程式を解いて求める手順等のいずれか若しくはこれらの適宜の組合わせであってもよい。要は、あるVS 値に対応するμ値が得られる「写像」であれば、どのようなものであってもよい。
【0079】
また、上記各実施形態においては、環境条件として、天候条件、制輪子の材質、鉄道車両の移動速度VC 、移動速度VC と車輪外周速度VP との差速度VS の組合わせを例に挙げて説明したが、本発明はこれには限定されず、これらのいずれかでもよいし、あるいはこれらのうちの適宜の組合わせであってもよい。また、他の環境条件、例えば、レール上の残存物(例えば、水,油,落葉等)の存在の有無、レール上残存物の種類、量等を含んでもよい。あるいは、レールのサビの有無とその量等を条件化してもよい。
【0080】
また、上記各実施形態においては、ブレーキ力検出手段を構成する要素であるブレーキ反力検出器8及びその検出機構として、図1に示す構成のものを例に挙げて説明したが、本発明はこれには限定されず、他の構成のブレーキ力検出手段であってもよい。要は、純粋にブレーキ力を検出し得る検出手段であれば、どのようなものであってもよいのである。
【0081】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、制輪子の押し付け位置における車輪回転方向への接線方向に発生する摩擦力により車輪が接線方向の逆方向であるブレーキ方向に受けるブレーキ力を検出し、ブレーキ力を監視し、目標ブレーキ力値にフィードバック制御を行うように構成し、あるいは、車輪の回転中心から制輪子の押し付け位置までの半径方向距離に検出ブレーキ力値を乗じて得られる算出ブレーキトルク値を目標ブレーキトルク値に半径方向距離を乗じて得られる目標ブレーキトルク値にフィードバック制御するように構成したので、鉄道車両等の車輪に作用するブレーキ力を正確に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態であるブレーキ力制御装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】 図1に示すブレーキ力制御装置における制御手順を示すメインフローチャート図である。
【図3】 図2に示すメインフローチャートにおける環境条件設定サブルーチンの手順を示すフローチャート図である。
【図4】 図2に示すメインフローチャートにおける粘着係数演算手順選択・演算サブルーチンの手順を示すフローチャート図である。
【図5】 図2に示すメインフローチャートにおける滑走判別サブルーチンの手順を示すフローチャート図である。
【図6】 図2に示すフローチャートにおけるフィードバック制御の制御系の構成を示すブロック線図である。
【図7】 本発明の第2実施形態であるブレーキ力制御装置における粘着係数値検索・補正サブルーチンの手順を示すフローチャート図である。
【図8】 本発明の第3実施形態であるブレーキ力制御装置における車輪外周作用力推定サブルーチンの手順を示すフローチャート図である。
【図9】 図8に示すフローチャートにおけるニューラルネットワークを説明する図であり、図9(A)はニューロンモデルの論理構成図を、図9(B)はニューラルネットワークの構成を示す概念ブロック図を、それぞれ示している。
【図10】 図1に示すブレーキ制御装置における速度と車輪外周作用力との関係を示す図であり、図10(A)は差速度と車輪外周作用力との関係を、図10(B)は車両速度と車輪外周作用力との関係を、それぞれ示している。
【符号の説明】
1 CPU
2 ROM
3 RAM
4 軸重検出器
5 ブレーキ弁駆動部
6 空気圧検出器
7 入力・表示部
8 ブレーキ反力検出器
11 学習システム
12,13 重み更新部
100 ブレーキ力制御装置
200 ブレーキ装置
201 空気圧縮機
202 元空気タンク
203 空気配管
204 弁
205 ブレーキシリンダ
205a 空気出入口
205b アーム出入口
206 ピストン
207 ピストンアーム
208,209 ヒンジピン
210 梃子リンク
211 梃子支点ヒンジピン
212 ヒンジピン
213 制輪子把持部材
214 制輪子
215 梃子支点軸支部材
216 リニアベアリング
217 軸力担持部材
219 軸力担持部材
220 台車枠
220a シリンダ支持部
220b リニアベアリング支持部
220c ブレーキ反力検出器支持部
230 車軸
240 車輪
240a 踏面
L1 入力層
L2 中間層
L3 出力層
N ニューロンモデル
R レール

Claims (8)

  1. 鉄道車両の車輪(240)の踏面(240a)に制輪子(214)を押し付けることにより前記車輪(240)の回転を制動するブレーキ装置(200)において、前記制輪子(214)の押し付けに伴い、前記制輪子(214)の押し付け位置における車輪回転方向への接線方向に発生する摩擦力により前記車輪(240)が前記接線方向の逆方向であるブレーキ方向に受けるブレーキ力を検出し検出ブレーキ力(B)として出力するブレーキ力検出手段と
    前記車輪(240)の車軸(230)に作用する垂直荷重である軸重を検出し検出軸重(W)として出力する軸重検出手段(4)と、
    ブレーキ力制御手段(1)を備え、
    前記ブレーキ力制御手段(1)は、
    前記検出ブレーキ力(B)値を監視し目標ブレーキ力(B i )値に追従又は維持させるようにフィードバック制御を行う過程(S1)と、
    次いで、前記鉄道車両の並進速度(V C )から、前記車輪(240)の外周点の回転方向への接線方向速度である車輪外周速度(V P )を減算して差速度(V S )を算出する過程(S3)と、
    次いで、雨天時か否かの別を含む天候条件と、制輪子材質条件をパラメータとした前記差速度(V S )の関数であってあらかじめ演算手順記憶手段(2)に記憶されている複数の粘着係数関数(μ(V S ))のうちから一つを選択する手順(S52)の後に、前記選択された粘着係数関数(μ(V S ))に前記差速度(V S )を代入して現時点の粘着係数(μ)を算出する手順(S53、S54)を行う過程(S5)と、
    次いで、前記検出軸重(W)と前記粘着係数(μ)の積(μ×W)を求め、前記目標ブレーキ力(B i )値が当該積(μ×W)値以下であるか否かを判別する過程(S6)と、
    次いで、前記目標ブレーキ力(B i )値が前記積(μ×W)値よりも大きい場合には、前記目標ブレーキ力(B i )値を現時点よりも小さい値に変更する過程(S8)を行うこと
    を特徴とするブレーキ力制御装置。
  2. 鉄道車両の車輪とともに回転するディスクに制輪子を押し付けることにより前記車輪の回転を制動するブレーキ装置において、前記制輪子の押し付けに伴い、前記制輪子の押し付け位置における車輪回転方向への接線方向に発生する摩擦力により前記車輪が前記接線方向の逆方向であるブレーキ方向に受けるブレーキ力を検出し検出ブレーキ力(B)として出力するブレーキ力検出手段と、
    前記車輪の車軸に作用する垂直荷重である軸重を検出し検出軸重(W)として出力する軸重検出手段と、
    ブレーキ力制御手段を備え、
    前記ブレーキ力制御手段は、
    前記検出ブレーキ力(B)値を監視し、前記車輪の回転中心から前記制輪子の押し付け位置までの半径方向距離(r)に前記検出ブレーキ力(B)値を乗じて得られる算出ブレーキトルク(B×r)値を、目標ブレーキトルク(B i )値に前記半径方向距離(r)を乗じて得られる目標ブレーキトルク(B i ×r )値に追従又は維持させるようにフィードバック制御を行う過程と、
    次いで、前記鉄道車両の並進速度(V C )から、前記車輪の外周点の回転方向への接線方向速度である車輪外周速度(V P )を減算して差速度(V S )を算出する過程と、
    次いで、雨天時か否かの別を含む天候条件と、制輪子材質条件をパラメータとした前記差速度(V S )の関数であってあらかじめ演算手順記憶手段に記憶されている複数の粘着係数関数(μ(V S ))のうちから一つを選択する手順の後に、前記選択された粘着係数関数(μ(V S ))に前記差速度(V S )を代入して現時点の粘着係数(μ)を算出する手順を行う過程と、
    次いで、前記車輪回転中心から車輪外周までの半径方向距離(R)と前記検出軸重(W)と前記粘着係数(μ)の積である算出粘着トルク(μ×W×R)値を求め、前記目標ブレーキトルク(B i ×r)値が当該算出粘着トルク(μ×W×R)値以下であるか否かを判別する過程と、
    次いで、前記目標ブレーキトルク(B i ×r)値が前記算出粘着トルク(μ×W×R)値よりも大きい場合には、前記目標ブレーキトルク(B i ×r)値を現時点よりも小さい値に変更する過程を行うこと
    を特徴とするブレーキ力制御装置。
  3. 鉄道車両の車輪(240)の踏面(240a)に制輪子(214)を押し付けることにより前記車輪(240)の回転を制動するブレーキ装置(200)において、前記制輪子(214)の押し付けに伴い、前記制輪子(214)の押し付け位置における車輪回転方向への接線方向に発生する摩擦力により前記車輪(240)が前記接線方向の逆方向であるブレーキ方向に受けるブレーキ力を検出し検出ブレーキ力(B)として出力するブレーキ力検出手段と、
    前記車輪(240)の車軸(230)に作用する垂直荷重である軸重を検出し検出軸重(W)として出力する軸重検出手段(4)と、
    ブレーキ力制御手段(1)を備え、
    前記ブレーキ力制御手段(1)は、
    前記検出ブレーキ力(B)値を監視し目標ブレーキ力(B i )値に追従又は維持させるようにフィードバック制御を行う過程(S1)と、
    次いで、前記鉄道車両の並進速度(V C )から、前記車輪(240)の外周点の回転方向への接線方向速度である車輪外周速度(V P )を減算して差速度(V S )を算出する過程(S3)と、
    次いで、雨天時か否かの別を含む天候条件と、制輪子材質条件と前記差速度(V S )の値に対応した粘着係数(μ)の値の表であってあらかじめ数表記憶手段(2)に記憶されている粘着係数値表の中から検索を行う手順(S152)、又は前記粘着係数値表の近似値から内挿又は外挿の補正演算を行う手順(S155)により粘着係数(μ)を得る過程(S15)と、
    次いで、前記検出軸重(W)と前記粘着係数(μ)の積(μ×W)を求め、前記目標ブレーキ力(B i )値が当該積(μ×W)値以下であるか否かを判別する過程(S6)と、
    次いで、前記目標ブレーキ力(B i )値が前記積(μ×W)値よりも大きい場合には、前記目標ブレーキ力(B i )値を現時点よりも小さい値に変更する過程(S8)を行うこと
    を特徴とするブレーキ力制御装置。
  4. 鉄道車両の車輪とともに回転するディスクに制輪子を押し付けることにより前記車輪の回転を制動するブレーキ装置において、前記制輪子の押し付けに伴い、前記制輪子の押し付け位置における車輪回転方向への接線方向に発生する摩擦力により前記車輪が前記接線方向の逆方向であるブレーキ方向に受けるブレーキ力を検出し検出ブレーキ力(B)として出力するブレーキ力検出手段と、
    前記車輪の車軸に作用する垂直荷重である軸重を検出し検出軸重(W)として出力する軸重検出手段と、
    ブレーキ力制御手段を備え、
    前記ブレーキ力制御手段は、
    前記検出ブレーキ力(B)値を監視し、前記車輪の回転中心から前記制輪子の押し付け位置までの半径方向距離(r)に前記検出ブレーキ力(B)値を乗じて得られる算出ブレーキトルク(B×r)値を、目標ブレーキトルク(B i )値に前記半径方向距離(r)を乗じて得られる目標ブレーキトルク(B i ×r )値に追従又は維持させるようにフィードバック制御を行う過程と、
    次いで、前記鉄道車両の並進速度(V C )から、前記車輪の外周点の回転方向への接線方向速度である車輪外周速度(V P )を減算して差速度(V S )を算出する過程と、
    次いで、雨天時か否かの別を含む天候条件と、制輪子材質条件と前記差速度(V S )の値に対応した粘着係数(μ)の値の表であってあらかじめ数表記憶手段に記憶されている粘着係数値表の中から検索を行う手順、又は前記粘着係数値表の近似値から内挿又は外挿の補正演算を行う手順により粘着係数(μ)を得る過程と、
    次いで、前記車輪回転中心から車輪外周までの半径方向距離(R)と前記検出軸重(W)と前記粘着係数(μ)の積である算出粘着トルク(μ×W×R)値を求め、前記目標ブレーキトルク(B i ×r)値が当該算出粘着トルク(μ×W×R)値以下であるか否かを判別する過程と、
    次いで、前記目標ブレーキトルク(B i ×r)値が前記算出粘着トルク(μ×W×R)値よりも大きい場合には、前記目標ブレーキトルク(B i ×r)値を現時点よりも小さい値に変更する過程を行うこと
    を特徴とするブレーキ力制御装置。
  5. 鉄道車両の車輪(240)の踏面(240a)に制輪子(214)を押し付けることにより前記車輪(240)の回転を制動するブレーキ装置(200)において、前記制輪子(214)の押し付けに伴い、前記制輪子(214)の押し付け位置における車輪回転方向への接線方向に発生する摩擦力により前記車輪(240)が前記接線方向の逆方向であるブレーキ方向に受けるブレーキ力を検出し検出ブレーキ力(B)として出力するブレーキ力検出手段と、
    前記車輪(240)の車軸(230)に作用する垂直荷重である軸重を検出し検出軸重(W)として出力する軸重検出手段(4)と、
    ブレーキ力制御手段(1)を
    用いて前記ブレーキ力を制御する方法であって、
    前記ブレーキ力制御手段(1)は、
    前記検出ブレーキ力(B)値を監視し目標ブレーキ力(B i )値に追従又は維持させるようにフィードバック制御を行う過程(S1)と、
    次いで、前記鉄道車両の並進速度(V C )から、前記車輪(240)の外周点の回転方向への接線方向速度である車輪外周速度(V P )を減算して差速度(V S )を算出する過程(S3)と、
    次いで、雨天時か否かの別を含む天候条件と、制輪子材質条件をパラメータとした前記差速度(V S )の関数であってあらかじめ演算手順記憶手段(2)に記憶されている複数の粘着係数関数(μ(V S ))のうちから一つを選択する手順(S52)の後に、前記選択された粘着係数関数(μ(V S ))に前記差速度(V S )を代入して現時点の粘着係数(μ)を算出する手順(S53、S54)を行う過程(S5)と、
    次いで、前記検出軸重(W)と前記粘着係数(μ)の積(μ×W)を求め、前記目標ブレーキ力(B i )値が当該積(μ×W)値以下であるか否かを判別する過程(S6)と、
    次いで、前記目標ブレーキ力(B i )値が前記積(μ×W)値よりも大きい場合には、前記目標ブレーキ力(B i )値を現時点よりも小さい値に変更する過程(S8)を行うこと
    を特徴とするブレーキ力制御方法
  6. 鉄道車両の車輪とともに回転するディスクに制輪子を押し付けることにより前記車輪の回転を制動するブレーキ装置において、前記制輪子の押し付けに伴い、前記制輪子の押し付け位置における車輪回転方向への接線方向に発生する摩擦力により前記車輪が前記接線方向の逆方向であるブレーキ方向に受けるブレーキ力を検出し検出ブレーキ力(B)として出力するブレーキ力検出手段と、
    前記車輪の車軸に作用する垂直荷重である軸重を検出し検出軸重(W)として出力する軸重検出手段と、
    ブレーキ力制御手段を
    用いて前記ブレーキ力を制御する方法であって、
    前記ブレーキ力制御手段は、
    前記検出ブレーキ力(B)値を監視し、前記車輪の回転中心から前記制輪子の押し付け 位置までの半径方向距離(r)に前記検出ブレーキ力(B)値を乗じて得られる算出ブレーキトルク(B×r)値を、目標ブレーキトルク(B i )値に前記半径方向距離(r)を乗じて得られる目標ブレーキトルク(B i ×r )値に追従又は維持させるようにフィードバック制御を行う過程と、
    次いで、前記鉄道車両の並進速度(V C )から、前記車輪の外周点の回転方向への接線方向速度である車輪外周速度(V P )を減算して差速度(V S )を算出する過程と、
    次いで、雨天時か否かの別を含む天候条件と、制輪子材質条件をパラメータとした前記差速度(V S )の関数であってあらかじめ演算手順記憶手段に記憶されている複数の粘着係数関数(μ(V S ))のうちから一つを選択する手順の後に、前記選択された粘着係数関数(μ(V S ))に前記差速度(V S )を代入して現時点の粘着係数(μ)を算出する手順を行う過程と、
    次いで、前記車輪回転中心から車輪外周までの半径方向距離(R)と前記検出軸重(W)と前記粘着係数(μ)の積である算出粘着トルク(μ×W×R)値を求め、前記目標ブレーキトルク(B i ×r)値が当該算出粘着トルク(μ×W×R)値以下であるか否かを判別する過程と、
    次いで、前記目標ブレーキトルク(B i ×r)値が前記算出粘着トルク(μ×W×R)値よりも大きい場合には、前記目標ブレーキトルク(B i ×r)値を現時点よりも小さい値に変更する過程を行うこと
    を特徴とするブレーキ力制御方法
  7. 鉄道車両の車輪(240)の踏面(240a)に制輪子(214)を押し付けることにより前記車輪(240)の回転を制動するブレーキ装置(200)において、前記制輪子(214)の押し付けに伴い、前記制輪子(214)の押し付け位置における車輪回転方向への接線方向に発生する摩擦力により前記車輪(240)が前記接線方向の逆方向であるブレーキ方向に受けるブレーキ力を検出し検出ブレーキ力(B)として出力するブレーキ力検出手段と、
    前記車輪(240)の車軸(230)に作用する垂直荷重である軸重を検出し検出軸重(W)として出力する軸重検出手段(4)と、
    ブレーキ力制御手段(1)を
    用いて前記ブレーキ力を制御する方法であって、
    前記ブレーキ力制御手段(1)は、
    前記検出ブレーキ力(B)値を監視し目標ブレーキ力(B i )値に追従又は維持させるようにフィードバック制御を行う過程(S1)と、
    次いで、前記鉄道車両の並進速度(V C )から、前記車輪(240)の外周点の回転方向への接線方向速度である車輪外周速度(V P )を減算して差速度(V S )を算出する過程(S3)と、
    次いで、雨天時か否かの別を含む天候条件と、制輪子材質条件と前記差速度(V S )の値に対応した粘着係数(μ)の値の表であってあらかじめ数表記憶手段(2)に記憶されている粘着係数値表の中から検索を行う手順(S152)、又は前記粘着係数値表の近似値から内挿又は外挿の補正演算を行う手順(S155)により粘着係数(μ)を得る過程(S15)と、
    次いで、前記検出軸重(W)と前記粘着係数(μ)の積(μ×W)を求め、前記目標ブレーキ力(B i )値が当該積(μ×W)値以下であるか否かを判別する過程(S6)と、
    次いで、前記目標ブレーキ力(B i )値が前記積(μ×W)値よりも大きい場合には、前記目標ブレーキ力(B i )値を現時点よりも小さい値に変更する過程(S8)を行うこと
    を特徴とするブレーキ力制御方法
  8. 鉄道車両の車輪とともに回転するディスクに制輪子を押し付けることにより前記車輪の回転を制動するブレーキ装置において、前記制輪子の押し付けに伴い、前記制輪子の押し付け位置における車輪回転方向への接線方向に発生する摩擦力により前記車輪が前記接線方向の逆方向であるブレーキ方向に受けるブレーキ力を検出し検出ブレ ーキ力(B)として出力するブレーキ力検出手段と、
    前記車輪の車軸に作用する垂直荷重である軸重を検出し検出軸重(W)として出力する軸重検出手段と、
    ブレーキ力制御手段を
    用いて前記ブレーキ力を制御する方法であって、
    前記ブレーキ力制御手段は、
    前記検出ブレーキ力(B)値を監視し、前記車輪の回転中心から前記制輪子の押し付け位置までの半径方向距離(r)に前記検出ブレーキ力(B)値を乗じて得られる算出ブレーキトルク(B×r)値を、目標ブレーキトルク(B i )値に前記半径方向距離(r)を乗じて得られる目標ブレーキトルク(B i ×r )値に追従又は維持させるようにフィードバック制御を行う過程と、
    次いで、前記鉄道車両の並進速度(V C )から、前記車輪の外周点の回転方向への接線方向速度である車輪外周速度(V P )を減算して差速度(V S )を算出する過程と、
    次いで、雨天時か否かの別を含む天候条件と、制輪子材質条件と前記差速度(V S )の値に対応した粘着係数(μ)の値の表であってあらかじめ数表記憶手段に記憶されている粘着係数値表の中から検索を行う手順、又は前記粘着係数値表の近似値から内挿又は外挿の補正演算を行う手順により粘着係数(μ)を得る過程と、
    次いで、前記車輪回転中心から車輪外周までの半径方向距離(R)と前記検出軸重(W)と前記粘着係数(μ)の積である算出粘着トルク(μ×W×R)値を求め、前記目標ブレーキトルク(B i ×r)値が当該算出粘着トルク(μ×W×R)値以下であるか否かを判別する過程と、
    次いで、前記目標ブレーキトルク(B i ×r)値が前記算出粘着トルク(μ×W×R)値よりも大きい場合には、前記目標ブレーキトルク(B i ×r)値を現時点よりも小さい値に変更する過程を行うこと
    を特徴とするブレーキ力制御方法
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