JPH11513578A - 弾性充填室を備える心機能維持装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 この開示は、機械的圧力を働かせ左心室領域に作用する充填室を有する心機能を維持するための装置に関するものである。充填室は媒体で満たされ接続管路を介して再び放出される。本発明は、少くとも部分的に心臓の回りに配置でき、その壁が左心室の領域に充填室を有する弾性カバーを設けたことを特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】 弾性充填室を備える心機能維持装置 技術分野 本発明は機械的圧力を持続的に働かせ、かつ左心室領域に作用する弾性充填室 を備える心機能維持用の装置に関するものである。この充填室には薬剤を充填さ せ、連接管路を介して排出させることができる。 背景技術 心臓のポンプ機能に障害が発生すると、左心室の心筋が弱くなり、それにより 十分な血液量が心臓から主大動脈へ送出できなくなって、そのため血液循環の維 持の確保がもはやできなくなるという問題が起こる。この心筋のポンプ機能の不 全の原因は種々ある。例えば心臓手術後の、ウィルス、ポンプ機能不全を含む冠 状環循環欠乏が心機能の損失に繋がる。 １回、２回と続く手術中の心臓の活動を機械的に維持させるため、多数の心機 能維持装置が公知である。例として、ドイツ連邦共和国特許第ＤＥ−３ ３０７ ２１１ Ａ１号は心筋層の活動を維持させることができる装置を開示している。 この装置は心筋層の心室領域を少くとも部分的に取囲む硬質壁つき容器ハウジン グからなる。心室壁を対応部位で直接変形させるポンプ室が前記容器ハウジング の内側面に配設されている。しかしながらこの公知の装置は、特定の心室領域に おける圧力の伝播が、圧力が働く中心に対応する反対の側面にある心室領域を前 記硬質容器壁に押圧し、それにより心臓と別々に血管にも取返しのつかない損傷 を与えるほどに器官内で継続するという欠点をもつ。さらに前記容器壁が心臓の 自然拡張動作を永続的に損なう。 また心機能を維持でき、かつ軟質バンドにより心臓に配置できる一般的ポンプ 系が公知である。このタイプの装置は例として米国特許第５，１３１，９０５号 に開示されている。しかしながら、この種の装置は付属のバンドの制限幅では、 得られる固有の効果が不十分といわざるを得ないという欠点をもつ。さらにバン ドの両縁が心臓の表面をこすって組織への取返しのつかない局部的な損傷に繋が る。また拍動する心臓の回りに手術用のバンドを取付けることが極めて困難かつ 複雑である。 上述の欠点の防止のために、ＷＯ特許第９４／２７５５２号が心機能維持用の 装置を述べている。この装置にＵ字型硬質棒を介して連接され、心臓の左心室領 域が間に配置された２つのほぼ対向する充填室を配設する。この装置の特別の利 点は、左心室領域を充填室の対応する充填により圧縮することで、他方の心臓領 域が支障なく拡張できる。例として固い外殻が用いられる時に起こる皮下出血の ため心臓の表面に起こる類似の損傷はこの方法で防ぐことができる。 しかしながら、前述した心機能維持用の装置で不十分な点は、若干の易動性が 前記充填室と心臓の表面の間に残っていて、そのため心臓の表面上の装置の摺動 を妨げることができなくなることである。 発明の開示 本発明の目的は、心機能維持用の装置を、薬剤で充填しかつ連接管路を介して 排出し、さらに前記装置がそのかなりの面に亘って心臓に取付けられ、そのため 一方では心拍動の自由が制限されることなく、他方では装置が心臓の表面に摺動 できないような方法で取付けできるように機械的圧力を左心室領域に働かせる弾 性充填室を備えてさらに改良することである。 本発明の目的の解決法は請求の範囲における請求項１ならびに４に示されてい る。有利な実施例は請求項２、３ならびに５以降に示されている。 本発明の構成要件は請求項１の上位概念部分による心機能維持用装置を、弾性 カバーが心臓の回りを少くとも部分的に回り、また装置の左側壁に充填室を、左 心室領域に位置するよう配設される方法でさらに改良することである。前記充填 室はさらに前記弾性カバーの壁に組込まれた適切な連接素子を介して着脱自在に 連接できる。 前記充填室が前記弾性カバーの外側面上に配置され、またその拡張動作が圧倒 的にこの弾性カバーに向けられ、そのため選択的圧力がこの弾性カバーの内側面 に働き得る場合が特に好ましい。これは例として、前記充填室の弾性カバーに面 する側面を反対方向に面する側面よりさらに弾力的に設計できる点で可能にでき る。 本発明の弾性カバーの心臓の左心室領域に相当する適切な部位に、前記壁に組 込まれるかあるいはそれに接合され、その部分も弾性材料からなる充填室を配設 する。前記弾性カバーの壁に互いに対向する対にして組込まれることが好ましい 前記充填室に接続弁を配設し、それには類似の接続管が接続できる。その別の例 として、接続素子を前記壁に組込み、それを介して前記充填室が前記弾性カバー の壁に続いて取付けることができる。例としてベルクロマジックテープ(Velcro connection)またはその種の他のものがそれに適している。 前記弾性カバーの材料の種類ならびに大きさは、一方では心臓がちょうどよく 覆われ、また他方では心臓の拡張動作が妨害されずにいるような方法で選択され る必要がある。一方では前記カバーが極めて容易に拡張されて、心臓を拡張状態 にしておいても殆ど妨げにならないか、あるいは心臓の拡張を全く妨害しないよ うにし、また他方では心拡張状態にして、前記カバーが心臓の表面で摺動しない ようにさせる弾性を十分に残す必要がある。 本発明の弾性カバーの実施例の不可欠の利点は、詳述すれば適切な補助手段を 用いて先ず、弾性カバーが心臓の回りのその壁に取付けられた弾性充填室と併置 されることである。この弾性カバーが心臓に適切な方法で位置決めされ、またそ の固有の弾性により心臓にそれ自体を固定した後、前記接続管路は前記充填室に 接合することができる。先に言及したＷＯ特許第９４／２７５５２号に記述され ている支持部材も前記充填室の部位に取付けできる。全装置を心機能維持に協同 させる個々の部材を接合させることで、手術を事実上単純化して、患者に適用さ れる実際の手術処置がかなり削減できる。 図面の簡単な説明 本発明は以下の図に示す図面を参照し、好ましい実施例を用いて以下実施例と して一層明白にされる。 図１（ａ）は心機能維持用に適応させた装置を用いた拡張状態にある心臓の概 略断面図である。 図１（ｂ）は収縮状態にある類似の断面図である。 図１（ａ）は拡張状態にある左心室２と、右心室３を示す心臓１の断面を示す 。心臓の外壁にちょうどよく設けられている弾性カバー４に２つの充填室５を前 記 左心室２の領域の２つの対向部位で無加圧状態と別々に空の状態にした２つの充 填室５を配設する。 この充填室５を前記弾性カバーの壁に接着することとは別に形成する。この充 填室はさらに、前記壁に組込まれた接続素子を介して分離かつ脱着自在に接続し て設計できる。 図１（ａ）には図示していない棒を介して互いにしっかりと接続された機械的 な支持部材６をそれぞれの充填室５の真上に広がるように配設する。前記充填室 に接続される接続弁も図１（ａ）には図示していない。これらの弁を介して、こ れも図示していない接続管路を充填に利用できる。 図１（ｂ）は収縮状態、すなわち充填室５の拡張により左室心が同時に横方向 に押潰された状態の心臓を示す。充填室が弾性カバーの外壁に固定された場所は ポンプシステムの心臓の壁に対する僅かな摺動も不可能にする。図１（ｂ）の矢 印で示された圧力作用は心臓の内側で心臓１の壁を右心室の方向に通って持続し 、前記弾性カバー４の弾性特性のため支障なく膨脹できる。 先に述べたように、前記弾性カバーの材料は一方では弾性カバーの心臓の壁に 対する横方向摺動が起こらないように、他方では前記弾性カバーが器官の拡張動 作に支障なく追随できるだけの十分な弾性を備えるような方法で選択される必要 がある。

【手続補正書】特許法第１８４条の８第１項 【提出日】１９９７年８月７日 【補正内容】 １．請求の範囲を下記の通り補正する。 「１．機械的圧力を働かせ、かつ左心室領域（２）に選択的に作用し、また薬剤 を充填でき、接続管路を介して放出される弾性充填室（５）を備える心機能維持 用の装置において、少くとも部分的に心臓（１）の回りに配置でき、その壁に複 数の充填室（５）を配設し得る弾性カバー（４）が配設されていることを特徴と する装置。 ２．前記充填室（５）が前記弾性カバー（４）の前記壁に接着されるか、ある いは成形されることを特徴とする請求項１記載の装置。 ３．前記充填室（５）が前記弾性カバー（４）の外側面に取付けられることを 特徴とする請求項１もしくは２記載の装置。 ４．少くとも部分的に心臓（１）の回りに配置できる弾性カバー（４）が配設 され、その壁に接続素子が組込まれ、それに前記充填室（５）が着脱自在に取付 けできることを特徴とする請求項１記載の装置。 ５．前記弾性カバー（４）の上で、左心室領域（２）が２つの異なる方向から 同時に押圧できるように互いに対向して位置する２つの前記充填室（５）が配設 されることを特徴とする請求項１乃至４のいずれか１項記載の装置。 ６．前記充填室に接続される接続管路が着脱できることを特徴とする請求項１ 乃至５のいずれか１項記載の装置。 ７．前記弾性カバー（４）が該カバー（４）の心臓表面上での摺動の発生を防 止できるような方法で心臓上にちょうどよく位置していることと、前記カバー（ ４）が収縮状態にある心臓の拡張しようとする作用力を妨げないように拡張し得 ることを特徴とする請求項１乃至６のいずれか１項記載の装置。 ８．前記充填室（５）の心臓（１）から離れて面する側面に、前記充填室（５ ）の主膨脹方向が、充填室に薬剤を充填する時、左心室領域（２）に向けられる というような方法で離間して固定された機械的な支持部材（６）が配設されるこ とを特徴とする請求項１乃至７のいずか１項記載の装置。」 ２．明細書第１頁を別紙の通り補正する。 明細書 弾性充填室を備える心機能維持装置 技術分野 本発明は機械的圧力を持続的に働かせ、かつ左心室領域に作用する弾性充填室 を備える心機能維持用の装置に関するものである。この充填室には薬剤を充填さ せ、連接管路を介して排出させることができる。 背景技術 心臓のポンプ機能に障害が発生すると、左心室の心筋が弱くなり、それにより 十分な血液量が心臓から主大動脈へ送出できなくなって、そのため血液循環の維 持の確保がもはやできなくなるという問題が起こる。この心筋のポンプ機能の不 全の原因は種々ある。例えば心臓手術後の、ウィルス、ポンプ機能不全を含む冠 状環循環欠乏が心機能の損失に繋がる。 １回、２回と続く手術中の心臓の活動を機械的に維持させるため、多数の心機 能維持装置が公知である。例として、ドイツ連邦共和国特許第ＤＥ−３ ３０７ ２１１ Ａ１号は心筋層の活動を維持させることができる装置を開示している。 この装置は心筋層の心室領域を少くとも部分的に取囲む硬質壁あるいは半硬質、 すなわち部分的に弾性を有する容器ハウジングからなる。心室壁を対応部位で直 接変形させるポンプ室が前記容器ハウジングの内側面に配設されている。しかし ながらこの公知の装置は、特定の心室領域における圧力の伝播が、圧力が働く中 心に対応する反対の側面にある心室領域を前記硬質容器壁に押圧し、それにより 心臓と別々に血管にも取返しのつかない損傷を与えるほどに器官内で継続すると いう欠点をもつ。さらに前記容器壁が心臓の自然拡張動作を永続的に損なう。 また心機能を維持でき、かつ軟質バンドにより心臓に配置できる一般的ポンプ 系が公知である。このタイプの装置は例として米国特許第５，１３１，９０５号 に開示されている。しかしながら、この種の装置は付属のバンドの制限幅では、 得られる固有の効果が不十分といわざるを得ないという欠点をもつ。さらにバン ドの両縁が心臓の表面をこすって組織への取返しのつかない局部的な損傷に繋が

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ポール．ヴォルカー ドイツ連邦共和国．デ−66386．セント. イングベルト．アー．ヴェイスガーバー. アレ．144 (72)発明者 フェインド．ピーター ドイツ連邦共和国．デ−66424．ホムブル グ．テジェレール．ストラーセ．28

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．機械的圧力を働かせ、かつ左心室領域に選択的に作用し、また薬剤を充填 でき、接続管路を介して放出される弾性充填室を備える心機能維持用の装置にお いて、少くとも部分的に心臓の回りに配置でき、その壁に複数の充填室を配置し 得る弾性カバーが配設されていることを特徴とする装置。 ２．前記充填室が前記弾性カバーの前記壁に接着されるか、あるいは成形され ることを特徴とする請求項１記載の装置。 ３．前記充填室が前記弾性カバーの外側面に取付けられることを特徴とする請 求項１もしくは２記載の装置。 ４．少くとも部分的に心臓の回りに配置できる弾性カバーが配設され、その壁 に接続素子が組込まれ、それに前記充填室が着脱自在に取付けできることを特徴 とする請求項１記載の装置。 ５．前記弾性カバーの上で、左心室領域が２つの異なる方向から同時に押圧で きるように互いに対向して位置する２つの前記充填室が配設されることを特徴と する請求項１乃至４のいずれか１項記載の装置。 ６．前記充填室に接続される接続管路が着脱できることを特徴とする請求項１ 乃至５のいずれか１項記載の装置。 ７．前記弾性カバーが該カバーの心臓表面上での摺動の発生を防止できるよう に心臓上にちょうどよく位置していることと、前記カバーが収縮状態にある心臓 の拡張しようとする作用力を妨げないように拡張し得ることを特徴とする請求項 １乃至６のいずれか１項記載の装置。 ８．前記充填室の心臓から離れて面する側面に、前記充填室の主膨脹方向が、 充填室に薬剤を充填する時、左心室領域に向けられるというように離間して固定 された機械的な支持部材が配設されることを特徴とする請求項１乃至７のいずれ か１項記載の装置。