【発明の詳細な説明】
オキサゾリジン-2-オンから誘導される化合物、それらの製造法およびそれらの
治療への応用
本発明の主題は、オキサゾリジン-2-オンから誘導される一般式(I):
(式中、R1は水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、フルオロアルキル
基、ヒドロキシフルオロアルキル基、シアノアルキル基、フェニル基(非置換、
もしくはハロゲン原子、アルコキシ基、ニトリル基またはニトロ基で置換されて
いるもの)、フェニルメチル基(非置換、もしくはハロゲン原子、アルコキシ基
、ニトリル基またはニトロ基で置換されているもの)、またはR3A-基(ここにR3
はシクロアルキルまたはシクロオキシアルキル基(非置換、もしくはヒドロキシ
ル基で置換されているもの)であり、Aは-CH2または-CH2-CH2ラジカルである)
を表わし、
R2は水素原子またはメチル基を表わし、
Xは酸素または硫黄原子もしくはNR4基(ここにR4はアルキル基または水素原子で
ある)を表わし、
Zは酸素原子もしくは-CH=CH-または-CH2-CH2基を表わす)
の化合物、それらの製造法およびそれらの治療的応用である。
本発明に関して、上記の用語は、特に指摘する場合を除き、次の意味を持つ。
・アルキル基とは、1〜5個の炭素原子からなる直鎖または分枝鎖飽和脂肪族基を
いう。
・アルコキシ基とは、OR5基(ここにR5は上に定義したアルキル基である)をい
う。
・フルオロアルキル基とは、炭素原子の少なくとも1つが1個または数個のフッ素
原子で置換されている上記アルキル基をいう。
・ヒドロキシフルオロアルキル基とは、炭素原子の一つがヒドロキシル基で置換
されている上記フルオロアルキル基をいう。
・シクロアルキル基とは、3〜6個の炭素原子からなるシクロアルカンより誘導さ
れるラジカルをいう。
・シクロオキシアルキル基とは、炭素原子の一つがヘテロ原子としての酸素原子
で置換されている上記シクロアルキル基をいい、ペルヒドロフラニル基とペルヒ
ドロピラニル基はそれらシクロオキシアルキル基の代表例である。
・シアノアルキル基とは、炭素原子の少なくとも1つがニトリル基で置換されて
いる上記アルキル基をいう。
R2がメチル基である式(I)の化合物が好ましい。これらの化合物のうち、Xが
酸素原子を表わすものは特に好ましい。
Xが酸素原子を表わす場合、R1Z基は、次に挙げるi)またはii)のいずれかを
表わすことが好ましい:
i)RaO基(ここにRaは、水素原子、アルキル基、フルオロアルキル基、ヒドロキ
シフルオロアルキル基、シアノアルキル基、R3A-基、フェニル基(非置換、もし
くはハロゲン原子、ニトロ基、ニトリル基またはアルコキシ基で置換されている
もの)またはフェニルメチル基(非置換、もしくはハロゲン原子、ニトロ基、ニ
トリル基またはアルコキシ基で置換されているもの)から選択されるR1のいずれ
かを意味する。Raは水素原子、フェニルメチル、ブチル、4,4,4-トリフルオロブ
チル、4,4,4-トリフルオロ-3-ヒドロキシブチル、3,3,3-トリフルオロ-2-ヒドロ
キシプロピル、3-シアノプロピル、p-フルオロフェニルメチル、シクロプロピル
メチルまたは2-(1-ヒドロキシシクロペンチル)エチル基であることが、より好ま
しい)、
ii)RbZ基(ここにZは-CH=CH-または-CH2-CH2-基であり、Rbは、水素原子、アル
キル基、フルオロアルキル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシフルオロアル
キル基、フェニル基(非置換、もしくはハロゲン原子、ニトロ基、ニトリル基ま
たはアルコキシ基で置換されているもの)またはフェニルメチル基(非置換、も
しくはハロゲン原子、ニトロ基、ニトリル基またはアルコキシ基で置換されてい
るもの)から選択されるR1のいずれかを意味する。RbZはエテニル、2-フェニル
エテニル、2-フェニルエチル、5,5,5-トリフルオロペンチル、5,5,5-トリフルオ
ロペンテニル、5,5,5-トリフルオロ-4-ヒドロキシペンチルまたは5,5,5-トリフ
ロオロ-4-ヒドロキシペンテニル基から選択されることが、より好ましい)。
Xが硫黄原子を表わす場合、R1Z基はRcO基を表わすことが好ましく、ここにRc
は、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、フルオロアルキル基、ヒドロキシフル
オロアルキル基、フェニル基(非置換、もしくはハロゲン原子、ニトロ、ニトリ
ルまたはアルコキシ基で置換されているもの)またはフェニルメチル基(非置換
、もしくはハロゲン原子、アルコキシ基、ニトリル基またはニトロ基で置換され
ているもの)から選択されるR1のいずれかを意味する。本発明の好ましい側面に
よれば、Rcは、ブチル、4,4,4-トリフルオロブチル、4,4,4-トリフルオロ-3-ヒ
ドロキシブチルおよび上記フェニルメチル基からなる群より選択される。
XがNR4基を表わす場合、R4はメチル基であることが好ましく、またR1Z基はRdO
基を表わすことが好ましい。ここにRdは、フルオロアルキル基、ヒドロキシフル
オロアルキル基、フェニル基(非置換、もしくはハロゲン原子、ニトロ基、ニト
リル基またはアルコキシ基で置換されているもの)またはフェニルメチル基(非
置換、もしくはハロゲン原子、ニトロ基、ニトリル基またはアルコキシ基で置換
されているもの)から選択されるR1のいずれかを意味する。本発明の好ましい側
面によれば、Rdは4,4,4-トリフルオロブチル、4,4,4-トリフルオロ-3-ヒドロキ
シブチルおよび上記フェニルメチル基からなる群より選択される。
式(I)の化合物は1個または2個の不斉炭素原子を含有する。したがってこれ
らの化合物は、純粋な鏡像異性体またはジアステレオ異性体、もしくはそれら種
々の形態の混合物(ラセミ混合物を含む)として存在しうる。これら種々の形態
と、それらの混合物は、本発明の一部を構成する。
R1ZがR1-CH=CH-基を表わす式(I)の化合物は、R1が水素原子である化合物を
除いて、シスまたはトランス異性体の形態で存在する。これらの形態と、それら
の混合物は、本発明の一部を構成する。
式(I)の本発明化合物は、付表1および2に記載の方法に従って製造すること
ができる。
Zが酸素原子を表わす本発明の式(I)の化合物である式(Ia)、(Ib)、(Ic
)、(Id)および(Ie)の化合物は、付表1に記載の方法に従って製造すること
ができる。これらの化合物では、Xが式(I)で与えられた意味のいずれかを表わ
す。この方法では、式(II)のカルバミン酸エチル誘導体を、式(III)の4-(メ
トキシメチル)-1,3-ジオキソラン-2-オンと、炭酸カリウムの存在下に反応させ
る。式(II)において、R1とXは式(I)で与えられた意味のいずれか(ただしR1
については水素を除く)を表わす。この反応により、式(Ia)の化合物を得るこ
とができる。この式(Ia)の化合物は、R2がメチル基を表わし、かつ、R1が式(
I)で与えられた意味のいずれか(ただし水素を除く)を表わす式(I)の化合物
である。
R1がフェニルメチル基を表わす式(Ia)の化合物は、式(Ib)の化合物の製造
に使用することができる。後者は、R1が水素原子を表わし、かつ、R2がメチル基
を表わす式(I)の化合物である。そのためには、当該式(Ia)の化合物のフェ
ニルメチル基を、例えばジメチルメチルアミンと塩化アルミニウムを用いて、あ
るいはパラジウム/炭素の存在下に接触水素添加により、除去する。
式(Ib)の化合物は、式(Ic)の化合物の製造に使用できる。後者は、R1とR2
がそれぞれ水素原子を表わす式(I)の化合物である。
これを行なうには、式(Ib)の化合物を、三臭化ホウ素などのルイス酸を用い
て、ジクロロメタンなどの溶媒中で脱メチル化する。
次いで、式(Ic)の化合物は、式(Id)の化合物の製造に使用することができ
る。後者は、R1が式(I)で与えられた意味のいずれか(ただし水素原子を除く
)を表わし、かつ、R2が水素原子である式(I)の化合物である。これを行なう
た
めに、式(Ic)の化合物を式R1Y(ここにR1は式(I)で与えられた意味のいずれ
か(ただし水素を除く)を表わし、Yはハロゲン原子またはメチルスルホニルオ
キシ(メシルオキシ)やp-トルエンスルホニルオキシ(トシルオキシ)などの不
安定基である)の化合物と反応させることができる。この反応は、炭酸カリウム
などの塩基の存在下に、アセトニトリルやN,N-ジメチルホルムアミドなどの溶媒
中またはそれら溶媒の混合物中で行なうことができる。その反応温度は、その溶
媒の還流温度とすることができる。
本発明の有利な側面によれば、R1が式(I)で与えられた意味のいずれか(た
だし水素原子を除く)を表わす式(Ie)の化合物を得るために、式(Ib)の化合
物を使用することができる。そのためには、式(Ib)の化合物を、式R1Y(ここ
にR1は式(I)で与えれた意味のいずれか(ただし水素原子を除く)を表わし、Y
は上と同意義である)の化合物と反応させる。この反応は、炭酸カリウムなどの
塩基の存在下に、アセトニトリルなどの溶媒中で行なうことができる。その反応
温度は、その溶媒の還流温度とすることができる。次に、そのようにして得られ
る式(Ie)の化合物を脱メチル化することにより、式(Id)の化合物を得ること
ができる。この脱メチル化は、式(Ib)の化合物の脱メチル化に関して上述した
条件下で行なうことができる。当然ながら、望ましい意味のR1を既に持っている
式(Ia)の化合物は、化合物(Ie)に変換する必要がない。このような式(Ia)
の化合物は、それ自体を脱メチル化することにより、式(Id)の化合物を直接得
ることができる。
本発明のもう1つの側面によれば、R1基がヒドロキシル官能基を含む基である
式(I)の化合物を、当該R1基を含有する式(II)の化合物を式(III)の化合物
と反応させることによって、製造することができ、この際、当該ヒドロキシル官
能基は事前に、当業者には慣例の方法で、t-ブチルジメチルシリルなどの保護基
により保護しておく。式(Ia)の化合物を製造した後、その保護基を、例えばフ
ッ化テトラ-n-ブチルアンモニウムなどを用いて、テトラヒドロフランなどの有
機溶媒中で、ヒドロキシ官能基から除去することができる。
Zがそれぞれ-CH=CH基または-CH2-CH2基を表わす式(I)の化合物である式(If
)
と(Ig)の化合物は、付表2に記載の方法に従って製造することができる。これ
らの化合物では、Xが式(I)に示した意味のいずれかを表わす。
この方法によれば、上述の式(Ib)の化合物を、トリフルオロメタンスルホン
酸無水物(Tf2O)と反応させて、式(IV)のトリフルオロメタンスルホン酸誘導
体を得る。
次に、式(IV)の化合物を一酸化炭素およびメタノールの存在下に酢酸パラジ
ウムと反応させることにより、式(V)のメトキシカルボニル誘導体を製造し、
さらに、その誘導体をボラン-ジメチルスルフィド錯体(BH3・S(CH3)2)を用いて
処理することにより、式(VI)のヒドロキシメチル誘導体を得ることができる。
次に、後者を塩化オキサリルおよびジメチルスルホキシドで処理することにより
、式(VII)のホルミル誘導体を製造することができる。この処理は、−70℃程
度の温度で行なうことができる。
次に、式(VII)のホルミル誘導体を式R1CH2P+(C6H5)3W-(式中、R1は式(I)
で与えられた意味のいずれかを表わし、W-はハロゲン原子の陰イオンを表わす)
のトリフェニルホスホニウム塩、具体的にはトリフェニルホスホニウムブロミド
のようなトリフェニルホスホニウムハライドと反応させることができる。この反
応は炭酸カリウムのような塩基の存在下に行なうことができる。Zが-CH=CH-基を
表わす式(If)の本発明化合物は、このようにして製造できる。
次に、式(If)の化合物を還元することにより、式(Ig)の本発明化合物を製
造することができる。この還元は、パラジウム/炭素のような触媒の存在下に水
素を用いて行なうことができる。式(IV)、(V)、(VI)および(VII)の化合
物では、Xが式(I)で与えられた意味のいずれかを表わす。式(If)と(Ig)の
化合物を脱メチル化すると、R2が水素原子を表わす、対応する式(I)の化合物
が得られる。この脱メチル化は三臭化ホウ素のようなルイス酸を用いて行なうこ
とができる。
本発明の有利な側面によれば、上述の式(IV)の化合物を塩化リチウムおよび
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムの存在下にトリブチルビニルス
ズと反応させることにより、R1が水素原子である式(If)の化合物を直接製造す
ることができる。
式(II)の化合物は、付表3に記載の方法に従い、式(VIII)の化合物を式R1Y
(ここにR1は式(I)の場合と同意義であり、Yはハロゲン原子(特に臭素)また
はメチルスルホニルオキシ(メシルオキシ)やp-トルエンスルホニルオキシ(ト
シルオキシ)などの不安定基である)の化合物と反応させることによって、製造
することができる。この反応は、炭酸カリウムなどの塩基の存在下に、アセトニ
トリルなどの溶媒中で行なうことができる。その反応温度はその溶媒の還流温度
とすることができる。
式(VIII)の化合物は、R6がヒドロキシル基の保護基(とりわけメチル基また
はフェニルメチル基)である式(IX)の化合物から製造することができる。その
ためには、当該保護基R6を当業者には慣例の手段で除去する。したがってR6がメ
チル基である場合は、三臭化ホウ素のようなルイス酸を用い、ジクロロメタンな
どの有機溶媒中で、式(IX)の化合物を脱メチル化する。この処理中に使用する
温度は、−20℃と20℃の間とすることができる。R6がフェニルメチル基である場
合は、接触水素添加によってこの保護基を除去することができる。当然ながら、
R6が所望のR1のいずれかを表わす場合は、式(IX)の化合物を式(II)の化合物
として直接使用することができる。
式(IX)の化合物は、式(X)の化合物の脱カルボキシル化によって、つまり
後者の化合物の融点の領域にある温度(実際には当該融点よりも高い温度)で加
熱することによって、製造することができる。
式(X)の化合物は、水酸化カリウムなどの塩基を用いて、式(XI)の化合物
をアルコール媒質中で鹸化することにより製造できる。この鹸化反応は0℃から
その溶媒の還流温度までの温度で行なうことができる。式(XI)において、R7は
メチル基またはエチル基を表わす。
式(XI)の化合物は、R7がメチル基またはエチル基を表わす式(XII)の化合
物を、クロロギ酸エチルと反応させることによって製造できる。この反応は、炭
酸カリウムのような塩基の存在下に、トルエンなどの溶媒中で行なうことができ
る。この反応は、その溶媒の還流温度で行なうことができる。
式(VIII)、(IX)、(X)、(XI)および(XII)の化合物のそれぞれにおい
て、Xは式(I)で与えられた意味のいずれかを表わす。
式(XII)の化合物は、Xの性質により、種々の合成経路で製造することができ
る。これらの合成経路を付表4に示す。
Xが硫黄原子であり、R6とR7がそれぞれメチル基を表わす式(XII)の化合物は
、3-ニトロ-4-シアノアニソールをチオグリコール酸メチルと反応させることに
よって製造できる。この反応は、水酸化カリウムのような塩基の存在下に、N,N-
ジメチルホルムアミドなどの溶媒中で行なうことができる。この反応は0℃で行
なうことができる。
3-ニトロ-4-シアノアニソールは既知化合物である。これは、A.H.Cookら,J
.Chem.Soc.,1945,68,861に記載の方法に従って製造することができる。
Xが酸素原子またはNR4である式(XII)の化合物は、式(XIII)の化合物をナ
トリウムエトキシド(Xが酸素原子を表わす場合)か、カリウムtert-ブトキシド
(XがNR4を表わす場合)で処理する方法によって製造することができる。
式(XIII)の化合物は、Xが酸素原子またはNR4である式(XIV)の化合物を水
素化ナトリウムと反応させた後、ブロモ酢酸エチルと反応させることによって製
造できる。
Xが酸素原子である式(XIV)の化合物は、2-ヒドロキシ-4-(フェニルメトキシ
)ベンズアルデヒドをニトロエタンまたはヒドロキシルアミンおよびギ酸エチル
と反応させることによって製造できる。2-ヒドロキシ-4-(フェニルメトキシ)ベ
ンズアルデヒドは既知化合物であり、J.S.H.Davies(J.Chem.Soc.,1950,32
06)に従って製造することができる。
XがNR4基である式(XIV)の化合物は、式(XV)の化合物を式R4NH2の化合物(
例えばメチルアミン)と反応させることによって製造できる。式(XV)の化合物
自体は、市販の2-フルオロ-4-ヒドロキシベンゾニトリルを臭化ベンジルと反応
させることによって得ることができる。式(XIV)の化合物とR4NH2において、R4
は式(I)について与えた意味のいずれかを表わす。
式(I)の化合物の5(R)および5(S)エナンチオマーは、それぞれ式(III)の
4-(メトキシメチル)-1,3-ジオキソラン-2-オンの(S)および(R)エナンチオマーか
ら、上述の方法に従って製造される。
(S)-4-(メトキシメチル)-1,3-ジオキソラン-2-オンは既知化合物であり、その
製造は特許EP 0,511,031に記述されている。
(R)-4-(メトキシメチル)-1,3-ジオキソラン-2-オンは、同じ方法で、(R)-2,2-
ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-メタノールから製造される。
次の実施例の目的は、本発明化合物のいくつかの製造を例示することである。
微量元素分析とN.M.R.スペクトルにより、得られた化合物の構造を確認する。化
合物の名称において、ダッシュ「-」は単語の一部であり、ダッシュ「_」は単に
行末で分綴(break)のために使用するに過ぎない。これは分綴を行なわない場
合は省略されるべきであり、通常のダッシュやスペースで置き換えてはならない
。実施例1
:(R)-5-(メトキシメチル)-3-[6-(フェニルメトキシ)ベンゾフラン-3-イ
ル]オキサゾリジン-2-オン
1.1. (R)-4-(メトキシメチル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン
脱イオン水420mlと水酸化ナトリウム粒420g(10.5mol)を、還流冷却器、温度
計および滴下漏斗を装着した6リットル反応器に入れる。20℃で攪拌したその溶
液に、ジクロロメタン2.3l、(R)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-メタノール
([α]D 20=−11°,c=4,メタノール)396g(3.00mol)およびベンジルトリエチ
ルアンモニウムクロリド20.5g(0.090mol)を加える。次に、温度を30℃未満に
維持しながら、硫酸ジメチル567g(4.50mol)を50分間かけて加える。その混合
物を18時間攪拌した後、1リットルの水を加える。有機相を分離し、0.5lの水で
洗浄する。その水相をジクロロメタン3lで再抽出した後、有機相を合わせ、濾過
し、減圧蒸留によって濃縮する。496gの生成物が得られる。
1.2. (S)-3-メトキシプロパン-1,2-ジオール
先の段階で得た生成物496gの脱イオン水220ml中の混合物を攪拌しながら60℃
に加熱した後、36%塩酸1.5mlを加える。加熱を40分間維持した後、トリエチルア
ミン19mlの添加によってその混合物をpH8〜9にする。溶媒を圧力5.2kPa、温度70
℃未満で留去した後、その残渣を圧力13Pa、温度61℃で蒸留する。246gの生成物
が得られる。
[α]D 20=+5.8°(c=4,メタノール)。
1.3. (R)-4-(メトキシメチル)-1,3-ジオキソラン-2-オン
(S)-3-メトキシプロパン-1,2-ジオール245g(3.31mol)と炭酸ジエチル560ml
(4.62mol)を、滴下漏斗と蒸留装置を装着した丸底フラスコに入れる。その混
合物を95℃に加熱した後、メタノール10mlとナトリウム0.5g(0.02mol)から得
たナトリウムメトキシド溶液を加える。反応中に生成したエタノールを2時間か
けて留去(容器温度:95〜112℃;カラム温度:82〜78℃)した後、過剰の炭酸
ジエチルを分離除去するために、その混合物を冷却して、13Paの圧力下で蒸留す
る。267gの生成物が得られる。
[α]D 20=+30.3°(c=1,ジクロロメタン)。
1.4. 2-ヒドロキシ-4-(フェニルメトキシ)ベンゾニトリル
ニトロエタン287ml(3.83mol)中の2-ヒドロキシ-4-(フェニルメトキシ)ベン
ズアルデヒド226g(1.00mol)と酢酸570ml中の酢酸ナトリウム313g(2.3mol)の
混合物を104℃で8時間加熱した後、それを水と氷の混合物3lに注ぎ込む。次に、
沈澱を濾別し、ジイソプロピルエーテルですすぎ、乾燥する。118gの生成物が得
られる。さらに、その濾液をジエチルエーテルで抽出し、その有機相を炭酸水素
ナトリウム水溶液で洗浄した後、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下
に濃縮した後、その残渣をジイソプロピルエーテルで摩砕する。これによりさら
に67gの生成物が得られる。
融点:130℃。
1.5. 2-シアノ-5-(フェニルメトキシ)フェノキシ酢酸エチル
50%水素化ナトリウム9.7g(0.20mol)を、テトラヒドロフラン450mlとジメチ
ルホルムアミド450mlの混合液中の2-ヒドロキシ-4-(フェニルメトキシ)ベンゾニ
トリル46g(0.20ml)の溶液に、ゆっくりと滴下する。その混合物を30分間攪拌
した後、ブロモ酢酸エチル22.4ml(0.20mol)を滴下する。反応を30分間進行さ
せた後、その反応混合物を氷冷水に注ぎ、生成物を酢酸エチルで抽出する。次に
、
その有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮する。残渣を
ジイソプロピルエーテル中で摩砕した後、50gの生成物を得る。
融点:84℃。
1.6. 3-アミノ-6-(フェニルメトキシ)ベンゾフラン-2-カルボン酸エチル
2-シアノ-5-(フェニルメトキシ)フェノキシ酢酸エチル50g(0.16mol)を、ナ
トリウム1.8g(0.080mol)とエタノール400mlから得たナトリウムエトキシド溶
液に滴下する。その混合物を還流下に1時間加熱した後、水に注ぎ、生成物を酢
酸エチルで抽出する。次に、その有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した
後、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮する。ジクロロメタンによるシリカ
カラムでのクロマトグラフィーによって精製した後、40gの生成物を得る。
融点:95℃。
1.7. 3-[(エトキシカルボニル)アミノ]-6-(フェニルメトキシ)ベンゾフラン-2-
カルボン酸エチル
ベンゼン400ml中の3-アミノ-6-(フェニルメトキシ)ベンゾフラン-2-カルボン
酸エチル40g(0.13mol)、クロロギ酸エチル18ml(0.19mol)および炭酸カリウ
ム51g(0.37g)の混合物を還流下に18時間加熱した後、冷却し、濾過し、その濾
液を減圧下で濃縮する。その残渣をジイソプロピルエーテルから再結晶すること
により、41gの生成物が得られる。
融点:100℃
1.8. 3-[(エトキシカルボニル)アミノ]-6-(フェニルメトキシ)ベンゾフラン-2-
カルボン酸
10%水酸化カリウム/エタノール溶液200mlを、エタノール400ml中の3-[(エトキ
シカルボニル)アミノ]-6-(フェニルメトキシ)ベンゾフラン-2-カルボン酸エチル
41g(0.11mmol)の溶液に加える。その混合物を還流下に30分間加熱した後、溶
媒を減圧下に留去する。その残渣を水に取り出し、その溶液を塩酸でpH2に酸性
化する。生成した沈澱を濾過することにより、41gの生成物が得られる。
融点:198℃。
1.9. [(6-(フェニルメトキシ)ベンゾフラン-3-イル)カルバミン酸エチル
窒素下に3-[(エトキシカルボニル)アミノ]-6-(フェニルメトキシ)ベンゾフラ
ン-2-カルボン酸38.6g(0.11mol)を含有する反応器を、185〜190℃の油槽に5分
間浸す。次に、その残渣を酢酸エチルに取り出し、その溶液を炭酸水素カリウム
水溶液で洗浄した後、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄する。次に、その有機相
を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去し、その残渣をシリカカラムで、シクロ
ヘキサン中に20%の酢酸エチルを含有する混合液を用いて精製する。ジイソプロ
ピルエーテル中で摩砕した後、25gの生成物を得る。
融点:140℃。
1.10. (R)-5-(メトキシメチル)-3-[6-(フェニルメトキシ)ベンゾフラン-3-イル
]オキサゾリジン-2-オン
無水ジメチルホルムアミド40ml中の乾燥炭酸カリウム85mg(0.6mmol)の混合
物を140℃に加熱した後、(S)-4-メトキシメチル-1,3-ジオキソラン-2-オン1.6g
(12mmol)と、ジメチルホルムアミド10ml中の[6-(フェニルメトキシ)ベンゾフ
ラン-3-イル]カルバミン酸エチル2.0g(6.4mmol)の溶液を逐次添加する。その
混合物を140℃で3時間半攪拌した後、氷冷水に注ぐ。次に、生成物を酢酸エチル
で抽出し、その有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮す
る。その残渣を、シクロヘキサン中に30%の酢酸エチルを含有する混合液と、次
いで、ジクロロメタン中に2%の酢酸エチルを含有する混合液とを用いるシリカカ
ラムでのクロマトグラフィーによって精製する。ジイソプロピルエーテル中で摩
砕した後、1.2gの生成物を得る。
融点:112.6〜112.8℃。
[α]D 20=−34°(c=1,ジクロロメタン)。
同じ方法に従って、[6-(フェニルメトキシ)ベンゾフラン-3-イル]カルバミン
酸エチルと(R)-4-メトキシメチル-1,3-ジオキソラン-2-オンから、(S)-5-(メト
キシメチル)-3-[6-(フェニルメトキシ)ベンゾフラン-3-イル]オキサゾリジン-2-
オンを得た。
融点:111.9℃。
[α]D 20=+33.3℃(c=1,ジクロロメタン)。実施例2
:(R)-5-( メトキシメチル)-3-(6-ヒドロキシベンゾフラン-3-イル)オキ サゾリジン-2-オン
ジメチルフェニルアミン1.4ml(11mmol)と塩化アルミニウム1.9g(15mmol)
を、0℃に冷却したジクロロメタン50ml中の(R)-5-(メトキシメチル)-3-[6-(フェ
ニルメトキシ)ベンゾフラン-3-イル]オキサゾリジン-2-オン1.3g(3.7mmol)の
溶液に加える。その混合物を室温に達するまで1時間攪拌した後、水に注ぎ、生
成物をジクロロメタンで抽出する。次に、その有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリ
ウムで乾燥し、減圧下で濃縮する。その残渣をジイソプロピルエーテルと石油エ
ーテルの混合物中で摩砕した後、0.64gの生成物を得る。
融点:136.0〜136.5℃
[α]D 20=−55.3°(c=1,メタノール)。
同じ方法で、(S)-5-(メトキシメチル)-3-[6-(フェニルメトキシ)ベンゾフラン
-3-イル]オキサゾリジン-2-オンから、(S)-5-(メトキシメチル)-3-(6-ヒドロキ
シベンゾフラン-3-イル)オキサゾリジン-2-オンを得た。
融点:141.2℃。
[α]D 20=+50.5°(c=1,メタノール)。実施例3
:(R)-5-( ヒドロキシメチル)-3-(6-ヒドロキシベンゾフラン-3-イル)オ キサゾリジン-2-オン
ジクロロメタン中の三臭化ホウ素の1M溶液17mlを、0℃に冷却したジクロロメ
タン100ml中の(R)-5-(メトキシメチル)-3-(6-ヒドロキシベンゾフラン-3-イル)
オキサゾリジン-2-オン1.5g(5.7mol)の溶液に加える。その反応混合物を2時間
攪拌した後、アンモニア水溶液に注ぐ。次に、生成物をジクロロメタンで抽出し
た後、その有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮する。
その残渣を、ジクロロメタン中に4%のメタノールを含有する混合液でシリカカラ
ムによるクロマトグラフィーにかけ、ジエチルエーテル中で摩砕した後、0.80g
の生成物を得る。
融点:172.1〜172.2℃。
[α]D 20=−39.3°(c=1,ジメチルスルホキシド)。実施例4
:(R)-5-( ヒドロキシメチル)-3-[6-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベン ゾフラン-3-イル]オキサゾリジン-2-オン
ジメチルホルムアミドとアセトニトリルの2/8混合液10ml中の(R)-5-(ヒドロキ
シメチル)-3-(6-ヒドロキシベンゾフラン-3-イル)オキサゾリジン-2-オン0.30g
(1.2mol)、1-ブロモ-4,4,4-トリフルオロブタン0.30g(1.6mol)および炭酸カ
リウム0.33g(2.4mol)の混合物を80℃で2時間攪拌した後、濾過し、溶媒を減圧
下に留去する。次に、その残渣を酢酸エチルに取り出し、その有機相を水で洗浄
し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮する。イソプロピルアルコールから
の再結晶の後、0.30gの生成物を得る。
融点:194.0℃。
[α]D 20=−26.7°(c=1,ジメチルスルホキシド)。実施例5
:(R,R)-5-( メトキシメチル)-3-[6-(4,4,4-トリフルオロ-3-ヒドロキシ ブトキシ)ベンゾフラン-3-イル]オキサゾリジン-2-オン
アセトニトリル40ml中の(R)-5-(メトキシメチル)-3-(6-ヒドロキシベンゾフラ
ン-3-イル)オキサゾリジン-2-オン0.43g(1.6mmol)、(R)-4,4,4-トリフルオロ-
3-ヒドロキシブチルトシラート0.63g(2.1mmol)および炭酸カリウム0.45g(3.6
mmol)の混合物を還流下に2時間攪拌した後、濾過し、その濾液を減圧下で濃縮
する。残渣を酢酸エチルに取り出し、その有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウム
で乾燥し、減圧下で濃縮する。その残渣を、シクロヘキサン中に50%の酢酸エチ
ルを含有する混合液を用いるシリカカラムでのクロマトグラフィーによって精製
する。ジエチルエーテルとヘキサンの混合液からの結晶化により0.52gの生成物
を得る。
融点:80.5〜82.0℃。
[α]D 20=−5.3°(c=1,ジクロロメタン)。
同じ方法で、(S)-5-(メトキシメチル)-3-(6-ヒドロキシベンゾフラン-3-イル)
オキサゾリジン-2-オンと(R)-4,4,4-トリフルオロ-3-ヒドロキシブチルトシラー
トから、(S,R)-5-(メトキシメチル)-3-[6-(4,4,4-トリフルオロ-3-ヒドロキシブ
トキシ)ベンゾフラン-3-イル]オキサゾリジン-2-オンを得た。
融点:119.6〜119.7℃。
[α]D 20=+50.8°(c=1,ジクロロメタン)。実施例6
:(S,R)-5-( ヒドロキシメチル)-3-[6-(4,4,4-トリフルオロ-3-ヒドロキ シブトキシ)ベンゾフラン-3-イル]オキサゾリジン-2-オン
ジクロロメタン中の三臭化ホウ素の1M溶液0.8mlを、0℃に冷却したジクロロメ
タン8ml中の(S,R)-5-(メトキシメチル)-3-[6-(4,4,4-トリフルオロ-3-ヒドロキ
シブトキシ)ベンゾフラン-3-イル]オキサゾリジン-2-オン100mg(0.26mmol)の
溶液に加える。その反応混合物を2時間攪拌した後、氷冷アンモニア水溶液に注
ぐ。次に、生成物をジクロロメタンで抽出し、その有機相を水で洗浄し、硫酸ナ
トリウムで乾燥し、減圧下で濃縮する。その残渣を、シクロヘキサン中に70%の
酢酸エチルを含有する混合液でシリカカラムによるクロマトグラフィーにかけた
後、50mgの生成物を得る。
融点:163.9〜164.0℃。
[α]D 20=+57.9°(c=1,ジメチルスルホキシド)。実施例7
:(R)-5-( メトキシメチル)-3-[6-(シクロプロピルメトキシ)ベンゾフラ ン-3-イル]オキサゾリジン-2-オン
炭酸カリウム0.50g(3.6mmol)とブロモメチルシクロプロパン0.20ml(2.1mmo
l)を、アセトニトリル40ml中の(R)-5-(メトキシメチル)-3-(6-ヒドロキシベン
ゾフラン-3-イル)オキサゾリジン-2-オンの溶液に加える。その反応混合物を50
〜60℃で24時間加熱した後、濾過し、溶媒を減圧下で留去する。その残渣をジク
ロロメタンに取り出した後、その有機相を水で洗浄し、乾燥し、溶媒を留去する
。その残渣を、シクロヘキサン中に40%の酢酸エチルを含有する混合液でシリカ
カラムによるクロマトグラフィーにかけ、イソプロピルアルコールから2回再結
晶した後、0.39gの生成物を得る。
融点:139.9〜140.0℃。
[α]D 20=−39.2°(c=1,ジクロロメタン)。実施例8
:(R,R)-5-( メトキシメチル)-3-[6-(5,5,5-トリフルオロ-4-ヒドロキシ ペンタ-1-エニル)ベンゾフラン-3-イル]オキサゾリジン-2-オン
8.1. トリフルオロメタンスルホン酸(R)-3-[5-(メトキシメチル)-2-オキソオキ
サゾリジン-3-イル]ベンゾフラン-6-イル
トリフルオロメタンスルホン酸無水物5.8ml(0.035mol)を、−20℃に維持し
たピリジン60ml中の(R)-5-(メトキシメチル)-3-(6-ヒドロキシベンゾフラン-3-
イル)オキサゾリジン-2-オンの溶液に、ゆっくりと加える。室温に戻した後、そ
の混合物を氷に注ぎ、2N塩酸を用いてpH6にする。次に、生成物を酢酸エチルで
抽出し、溶媒を減圧下で留去し、生成物を、シクロヘキサンとジクロロメタンの
10/90混合液によるシリカゲルでのクロマトグラフィーで精製する。10.2gの生成
物が回収される。融点:98℃。
8.2. (R)-3-[5-(メトキシメチル)-2-オキソオキサゾリジン-3-イル]ベンゾフラ
ン-6-カルボン酸メチル
酢酸パラジウム0.26g(0.001mol)、トリエチルアミン12ml(0.086mol)、メ
タノール86mlおよびビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン0.48g(0.001mol)を
、ジメチルスルホキシド234ml中のトリフルオロメタンスルホン酸(R)-3-[5-(メ
トキシメチル)-2-オキソオキサゾリジン-3-イル]ベンゾフラン-6-イル15.4g(0.0
33mol)の溶液に加える。その混合物を一酸化炭素雰囲気下に置き、3時間加熱す
る。次に、その混合物をセライトを通して濾過し、その濾液をエチルエーテルに
取り出し、水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、その水相を減圧下に蒸留する
。生成物を、ジクロロメタンとメタノールの99/1混合液によるシリカゲルでのク
ロマトグラフィーで精製する。5.3gの生成物が回収される。融点:116℃。
8.3. (R)-3-[6-(ヒドロキシメチル)ベンゾフラン-3-イル]-5-(メトキシメチル)
オキサゾリジン-2-オン
テトラヒドロフラン中のボラン-ジメチルスルフィド錯体の2M溶液22ml(0.044
mmol)を、テトラヒドロフラン40ml中の(R)-3-[5-(メトキシメチル)-2-オキソオ
キサゾリジン-3-イル]ベンゾフラン-6-カルボン酸メチル3.3g(0.011mol)の溶
液に、2段階で加え、その混合物を55℃で5時間加熱する。その混合物を1N塩酸で
加水分解する。その混合物を水に注ぎ、生成物をジクロロメタンで抽出する。
有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮する。生成物を、ジクロロメタ
ンとメタノールの99/1混合液によるシリカゲルでのクロマトグラフィーで精製す
る。エチルエーテルからの結晶化の後、2.0gの生成物を得る。
融点:112℃。
8.4. (R)-3-(6-ホルミルベンゾフラン-3-イル)-5-(メトキシメチル)オキサゾリ
ジン-2-オン
ジクロロメタン20ml中のジメチルスルホキシド1ml(14.4mmol)を、−70℃に
冷却したジクロロメタン20ml中の塩化オキサリル0.75ml(8.6mmol)の溶液に加
える。その混合物を15分間攪拌し、ジクロロメタン35ml中の(R)-3-[6-(ヒドロキ
シメチル)ベンゾフラン-3-イル]-5-(メトキシメチル)オキサゾリジン-2-オン2.0
g(7.2mmol)の溶液をゆっくりと加える。その混合物を−70℃で3時間攪拌し、
トリエチルアミン5.0ml(36mmol)を加える。室温に戻した後、その混合物を水5
0mlに注ぎ、生成物をジクロロメタンで抽出し、その有機相を硫酸ナトリウムで
乾燥し、減圧下で濃縮する。生成物をシリカゲルによるクロマトグラフィーで精
製して、油状物を回収し、それをエチルエーテルから結晶化する。1.1gの生成物
が得られる。融点:94〜95℃。
8.5. (R,R)-5-(メトキシメチル)-3-[6-(5,5,5-トリフルオロ-4-ヒドロキシペン
タ-1-エニル)ベンゾフラン-3-イル]オキサゾリジン-2-オン
ジオキサン2.5mlとホルムアミド0.17ml中の(R)-3-(6-ホルミルベンゾフラン-3
-イル)-5-(メトキシメチル)オキサゾリジン-2-オン0.23g(0.8mmol)、(3-ヒド
ロキシ-4,4,4-トリフルオロブチル)トリフェニルホスホニウムブロミド0.50g(1
.0mmol)、炭酸カリウム0.16g(1.2mmol)からなる混合物を80℃で24時間加熱す
る。次に、その混合物を水に注ぎ、生成物を酢酸エチルで抽出し、その有機相を
硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮する。生成物を、ジクロロメタンと酢酸
エチルの95/5混合液によるシリカゲルでのクロマトグラフィーで精製する。ジイ
ソプロピルエーテル中で摩砕した後、0.10gの純粋なトランス異性体を回収する
。
融点:116.5〜116.8℃。
[α]D 20=−15.1°(c=1,ジクロロメタン)。実施例9
:(R,R)-5-( メトキシメチル)-3-[6-(5,5,5-トリフルオロ-4-ヒドロキシ ペンチル)ベンゾフラン-3-イル]オキサゾリジン-2-オン
パラジウム/炭素0.05gを、実施例8で得た(R,R)-5-(メトキシメチル)-3-[6-(5,
5,5-トリフルオロ-4-ヒドロキシペンタ-1-エニル)ベンゾフラン-3-イル]オキサ
ゾリジン-2-オン0.26g(0.67mmol)のエタノール(8.5ml)溶液に加える。その
混合物を水素雰囲気下に18時間置き、パラジウム/炭素を濾過によって除去し、
その濾液を減圧下に濃縮する。生成物を、シクロヘキサンと酢酸エチルの60/40
混合液によるシリカゲルでのクロマトグラフィーで精製する。ジイソプロピルエ
ーテルからの結晶化の後、0.14gの生成物を得る。
融点:85.8〜86.2℃。
[α]D 20=−18.0°(c=1,ジクロロメタン)。実施例10
:(R)-5-( メトキシメチル)-3-[6-(5,5,5-トリフルオロペンタ-1-エニル )ベンゾフラン-3-イル]オキサゾリジン-2-オン
ジオキサン3.5mlとホルムアミド0.22ml中の(R)-3-(6-ホルミルベンゾフラン-3
-イル)-5-(メトキシメチル)オキサゾリジン-2-オン0.30g(1.1mmol)、(4,4,4-
トリフルオロブチル)トリフェニルホスホニウムブロミド0.59g(1.3mmol)、炭
酸カリウム0.21g(1.5mmol)からなる混合物を還流下に6時間加熱する。次に、
その混合物を水に注ぎ、生成物を酢酸エチルで抽出し、その有機相を硫酸ナトリ
ウムで乾燥し、減圧下に濃縮する。生成物を、ジクロロメタンと酢酸エチルの99
.5/0.5混合液によるシリカゲルでのクロマトグラフィーで精製する。生成物を石
油エーテルから結晶化し、0.35gの生成物を67/33シス/トランス混合物の形で回
収する。
融点:57〜63°。
[α]D 20=−36.3°(c=1,ジクロロメタン)。実施例11
:(R)-5-( メトキシメチル)-3-[6-(5,5,5-トリフルオロペンチル)ベンゾ フラン-3-イル]オキサゾリジン-2-オン
パラジウム/炭素0.03gを、実施例10で得た(R)-5-(メトキシメチル)-3-[6-(5,5
,5-トリフルオロペンタ-1-エニル)ベンゾフラン-3-イル]オキサゾリジン-2-オン
のシス/トランス混合物0.13g(0.35mmol)のエタノール(5ml)溶液に加える。
その混合物を水素雰囲気下に8時間置いた後、パラジウム/炭素を濾過によって除
去し、その濾液を減圧下で濃縮する。次に、生成物をジクロロメタンとメタノー
ルの99.5/0.5混合液によるシリカゲルでのクロマトグラフィーで精製する。0.1g
の生成物が回収される。
融点:65.7〜65.9℃。
[α]D 20=−31.6°(c=1,ジクロロメタン)。実施例12
:(R)-3-(6- エテニルベンゾフラン-3-イル)-5-(メトキシメチル)オキサ ゾリジン-2-オン
ジオキサン40ml中のトリフルオロメタンスルホン酸(R)-3-[5-(メトキシメチル
)-2-オキソオキサゾリジン-3-イル]ベンゾフラン-6-イル3.6g(9.1mmol)、塩化
リチウム1.1g(27.3mmol)、トリブチルビニルスズ2.9g(9.1mmol)およびテト
ラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.18g(0.15mmol)の混合物を101℃
で加熱する。次に、溶媒を減圧下に留去し、その残渣を酢酸エチルに取り出し、
その有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮する。その残
渣をシクロヘキサンと酢酸エチルの70/30混合液によるシリカゲルでのクロマト
グラフィーで精製する。1.9gの生成物が回収される。
融点:89.0〜89.1℃。
[α]D 20=−49.4°(c=1,ジクロロメタン)。実施例13
:(R)-5-( メトキシメチル)-3-[6-(フェニルメトキシ)ベンゾ[b]チエン-3 -イル]オキサゾリジン-2-オン
13.1. 3-アミノ-6-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-カルボン酸メチル
温度を0℃に保ちながら、水100ml中の水酸化カリウム20.3g(0.363mol)の溶
液を、N,N-ジメチルホルムアミド400ml中の3-ニトロ-4-シアノアニソール36.3g
(0.204mol)とチオグリコール酸メチル26g(0.245mol)の混合物に加える。そ
の混合物を0℃で20分間攪拌した後、水と氷の混合物に注ぐ。次に、沈澱を濾別
し、水ですすぎ、乾燥する。その生成物をジクロロメタンとテトラヒドロフラン
の混合液に溶解した後、その有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下に濃縮し
、残渣をジクロロメタン中で摩砕する。これにより26.2gの生成物が明るいベー
ジュ
色の粉末の形態で得られる。
融点:170℃。
13.2. 3-[(エトキシカルボニル)アミノ]-6-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-カ
ルボン酸メチル
トルエン330ml中の3-アミノ-6-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2カルボン酸メ
チル27.4g(0.115mol)、炭酸カリウム38g(0.275mol)およびクロロギ酸エチル
13.2ml(0.138mol)の混合物を還流下に3時間加熱する。次に、クロロギ酸エチ
ル7ml(0.069mol)を加え、その混合物をさらに7時間攪拌しながら還流下に加熱
放置する。次に、その混合物をジクロロメタンで希釈し、水で洗浄する。その有
機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下に留去する。イソプロパノールと
ジイソプロピルエーテルの混合液から再結晶を行なう。31.2gの生成物が得られ
る。
融点:137℃。
13.3. 3-[(エトキシカルボニル)アミノ]-6-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-カ
ルボン酸
10%水酸化カリウム/エタノール溶液92mlを、エタノール230ml中の3-[(エトキ
シカルボニル)アミノ]-6-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-カルボン酸メチル31.
4g(0.101mol)の溶液に加える。その混合物を60℃で10分間加熱した後、氷冷水
に注ぐ。その混合物を6N塩酸溶液の添加によって酸性化し、生成した沈澱を濾別
し、水ですすぎ、減圧下で乾燥する。その固体をエタノール中で摩砕する。22.8
gの生成物が回収される。
融点:260℃。
13.4. (6-メトキシベンゾ[b]チエン-3-イル)カルバミン酸エチル
3-[(エトキシカルボニル)アミノ]-6-メトキシベンゾ[b]チオフェン-2-カルボ
ン酸11.4gを220〜225℃で加熱する。硝子状のゴム質が得られ、それを溶解する
までテトラヒドロフランに取り出す。溶媒を減圧下に留去し、その残渣を酢酸エ
チルとシクロヘキサンの10/90混合液を用いてシリカカラムで精製する。19.4gの
生成物が得られる。
融点:88℃。
13.5. (6-ヒドロキシベンゾ[b]チエン-3-イル)カルバミン酸エチル
温度を0℃に保ちながら、ジクロロメタン中の三臭化ホウ素の1M溶液46ml(0.0
46mol)を、ジクロロメタン80ml中の(6-メトキシベンゾ[b]チエン-3-イル)カル
バミン酸エチル7.7g(0.031mol)の溶液に加える。その混合物を室温に戻し、ジ
クロロメタン中の三臭化ホウ素の1M溶液15ml(0.015mol)を加える。その混合物
を180分間攪拌した後、希水酸化アンモニウム溶液で中和を行い、得られた沈澱
を濾別する。これを水で洗浄し、乾燥する。ジクロロメタンを用いるシリカゲル
カラムでのクロマトグラフィーによって精製を行なう。6gの生成物が得られる。
融点:159〜160℃。
13.6. [6-(フェニルメトキシ)ベンゾ[b]チエン-3-イル]カルバミン酸エチル
アセトニトリル30ml中の(6-ヒドロキシベンゾ[b]チエン-3-イル)カルバミン酸
エチル2g(8.4mmol)と炭酸カリウム2.3g(16.8mmol)からなる混合物を還流下
に11時間加熱する。その混合物を濾過し、溶媒を減圧下に留去し、その残渣を石
油エーテル中で摩砕する。2.3gの生成物が得られる。
融点:129〜130℃。
13.7. (R)-5-(メトキシメチル)-3-[6-(フェニルメトキシ)ベンゾ[b]チエン-3-
イル]オキサゾリジン-2-オン
N,N-ジメチルホルムアミド16ml中の[6-(フェニルメトキシ)ベンゾ[b]チエン-3
-イル]カルバミン酸エチル1.1g(3.36mmol)、(S)-4-(メトキシメチル)-1,3-ジ
オキソラン-2-オン0.58g(4.4mmol)および炭酸カリウム46mg(0.34mmol)から
なる混合物を140℃にする。140℃で30分の後、(S)-4-(メトキシメチル)-1,3-ジ
オキソラン-2-オン0.3g(2mmol)を加える。その混合物をその温度でさらに210分
間放置し、氷冷水に注いだ後、生成物をジクロロメタンで抽出する。溶媒を
減圧下で除去し、シクロヘキサンと酢酸エチルの80/20混合液を用いるシリカゲ
ルカラムでのクロマトグラフィーによって精製を行なう。0.15gの生成物が油状
物の形態で得られる。
[α]D 20=−18.9°(c=1,ジクロロメタン)。実施例14
:(R)-5-( メトキシメチル)-3-[6-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾ [b]チエン-3-イル]オキサゾリジン-2-オン
14.1. [6-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾ[b]チエン-3-イル]カルバミン
酸エチル
アセトニトリル30ml中の6-ヒドロキシベンゾチオフェン-3-カルバミン酸エチ
ル(実施例13の13.5.段階で得たもの)2.0g(8.4mmol)、4,4,4-トリフルオロ-1
-ブロモブタン2.4g(12.6mmol)および炭酸カリウム2.3g(16.8mmol)の混合物
を還流下に90分間加熱する。その混合物を減圧下で蒸留し、その残渣を石油エー
テル中で摩砕する。2.65gの生成物が得られる。
融点:103℃。
14.2. (R)-5-(メトキシメチル)-3-[6-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾ[b]
チエン-3-イル]オキサゾリジン-2-オン
N,N-ジメチルホルムアミド16ml中の[6-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベンゾ[
b]チエン-3-イル]カルバミン酸エチル1.3g(3.74mmol)、(S)-4-(メトキシメチ
ル)-1,3-ジオキソラン-2-オン0.64g(4.8mmol)および炭酸カリウム50mg(0.36m
mol)からなる混合物を140℃で5時間加熱する。溶媒を減圧下で留去し、得られ
た油状物をシクロヘキサンと酢酸エチルの80/20混合液によるシリカゲルカラム
でのクロマトグラフィーで精製する。0.4gの生成物が油状物の形態で回収される
。
[α]D 20=−21.8°(c=1,ジクロロメタン)。実施例15
:(R,R)-5-( メトキシメチル)-3-[6-(4,4,4-トリフルオロ-3-ヒドロキシ ブトキシ)ベンゾ[b]チエン-3-イル]オキサゾリジン-2-オン
15.1. (R)-3-[[(1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル]オキシ]-4,4,4-トリフル
オロブタン酸エチル
N,N-ジメチルホルムアミド75ml中の(R)-4,4,4-トリフルオロ-3-ヒドロキシブ
タン酸エチル15.2g(0.082mol)の溶液に、イミダゾール8.36g(0.123mol)を加
え、次いでt-ブチルジメチルシリルクロリド13.5g(0.09mol)を加える。その混
合物を水380mlに注ぎ、生成物をジクロロメタンで抽出し、その有機相を水150ml
で2回洗浄する。生成物を乾燥し、溶媒を減圧下に留去する。シクロヘキサンと
酢酸エチルの95/5混合液を用いるシリカゲルカラムでのクロマトグラフィーによ
って精製を行なう。20.3gの無色油状物が得られる。
[α]D 20=+32.4°(c=1,メタノール)。
15.2. (R)-3-[[(1,1,-ジメチルエチル)ジメチルシリル]オキシ]-4,4,4-トリフ
ルオロブタノール
1M水素化ジイソブチルアルミニウム溶液224ml(0.224mol)を、−50℃に冷却
したジクロロメタン224ml中の(R)-3-[[(1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル]オ
キシ]-4,4,4-トリフルオロブタン酸エチル22.4g(0.0745mol)の溶液に加える。
その混合物を室温に戻し、メタノール15mlを−50℃で加える。次に、その混合物
を1N塩酸と氷の混合物に注いだ後、生成物をジクロロメタンで抽出する。その有
機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下に留去する。15.6gの淡黄色油状
物が得られる。
[α]D 20=+25.9°(c=1,メタノール)。
15.3. 4-メチルベンゼンスルホン酸(R)-3-[[(1,1-ジメチルエチル)ジメチルシ
リル]オキシ]-4,4,4-トリフルオロブチル
ジメチルアミノピリジン11gを、ピリジン9.4ml(0.117mol)とジクロロエタン
35mlの混合液中の(R)-3-[[(1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル]オキシ]-4,4,4
-トリフルオロブタノール15.1g(0.058mol)の溶液に加える。その混合物を0℃
に冷却し、ジクロロエタン15ml中のp-メチルベンゼンスルホニルクロリド11.4g
(0.06mol)の溶液を加える。その混合物を室温で48時間攪拌放置する。その混
合物を氷冷水に注ぎ、生成物をジクロロメタンで抽出し、その有機相を水で洗浄
し、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下に留去する。黄色油状物を回収し、
それをシクロヘキサンとジクロロメタンの80/20混合液を用いるシリカゲルカラ
ムでのクロマトグラフィーによって精製する。14.9gの無色油状物が得られる。
[α]D 20=+15.7°(c=1,ジクロロメタン)。
15.4. (R)-[6-[3-[[(1,1-ジメチルエチル)ジメチルシリル]オキシ]-4,4,4-トリ
フルオロブトキシ]ベンゾ[b]チエン-3-イル]カルバミン酸エチル
アセトニトリル5ml中の(6-ヒドロキシベンゾ[b]チエン-3-イル)カルバミン酸
エチル0.3g(1.26mmol)、4-メチルベンゼンスルホン酸(R)-3-[[(1,1-ジメチル
エチル)ジメチルシリル]オキシ]-4,4,4-トリフルオロブチル0.62g(1.52mmol)
および炭酸カリウム0.34g(2.52mmol)の混合物を還流下に4時間加熱する。その
混合物を濾過し、溶媒を減圧下に留去し、生成物をジクロロメタンに取り出し、
その有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下に留去する。
生成物をシクロヘキサンと酢酸エチルの90/10混合液を用いるシリカゲルカラム
でのクロマトグラフィーによって精製する。518mgの黄色油状物が得られる。
15.5. (R,R)-5-(メトキシメチル)-3-[6-(4,4,4-トリフルオロ-3-ヒドロキシブ
トキシ)ベンゾ[b]チエン-3-イル]オキサゾリジン-2-オン
N,N-ジメチルホルムアミド15ml中の(R)-[6-[3-[[(1,1-ジメチルエチル)ジメチ
ルシリル]オキシ]-4,4,4-トリフルオロブトキシ]ベンゾ[b]チエン-3-イル]カル
バミン酸エチル1.5g(0.00314mol)、(S)-4-(メトキシメチル)-1,3-ジオキソラ
ン-2-オン0.415g(0.00314mol)および炭酸カリウム43mg(0.00031mol)の混合
物を140℃で10時間加熱する。次に、(S)-4-(メトキシメチル)-1,3-ジオキソラン
-2-オン0.041g(0.00031mol)を2段階で加えながら、140℃で加熱をさらに10時
間行なう。溶媒を減圧下に留去し、生成物をジクロロメタンに取り出し、その有
機相を塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下
で留去する。このようにして得た生成物を、テトラヒドロフラン15ml中のフッ化
テトラ-n-ブチルアンモニウム297mg(0.14mol)と混合する。その混合物を室温
で終夜攪拌し、溶媒を減圧下で留去し、生成物をシクロヘキサンと酢酸エチルの
70/30混合液を用いるシリカゲルカラムでのクロマトグラフィーによって精製す
る。150mgの生成物を黄色油状物の形態で得る。
[α]D 20=−1.8°(c=1,ジクロロメタン)。実施例16
:(R)-5-( ヒドロキシメチル)-3-[6-(4,4,4-トリフルオロブトキシ)ベ ンゾ[b]チエン-3-イル]オキサゾリジン-2-オン
ジクロロメタン中の三臭化ホウ素の1M溶液2.3ml(2.3mmol)を、0℃に冷却し
たジクロロメタン3ml中の(R)-5-(メトキシメチル)-3-[6-(4,4,4-トリフルオロブ
トキシ)ベンゾ[b]チエン-3-イル]オキサゾリジン-2-オン0.3g(0.77mmol)から
なる溶液に加える。150分後、温度を0℃に保ちながら、その混合物を水酸化アン
モニウムで塩基性にする。その混合物を30分間攪拌放置し、生成物をジクロロメ
タンで抽出し、その有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧
下で留去する。シクロヘキサンと酢酸エチルの40/60混合液を用いるシリカゲル
カラムでのクロマトグラフィーによって精製を行なう。289mgの生成物が得られ
る。
融点:107.0〜107.2℃。
[α]D 20=−20.5°(c=1,ジクロロメタン)。実施例17
:(R)-5-( メトキシメチル)-3-[1-メチル-6-(フェニルメトキシ)-1H-イ ンドール-3-イル]オキサゾリジン-2-オン
17.1. 2-フルオロ-4-(フェニルメトキシ)ベンゾニトリル
アセトニトリル400ml中の2-フルオロ-4-ヒドロキシベンゾニトリル40.8g(0.2
97mol)、臭化ベンジル61.06g(0.357mol)および炭酸カリウム82g(0.594mol)
の混合物を2時間還流温度にする。その混合物を濾過し、溶媒を減圧下に留去し
、その蒸留残渣をジイソプロピルエーテル中で摩砕する。65.5gの生成物が回収
される。
融点:87℃。
17.2. 2-(メチルアミノ)-4-(フェニルメトキシ)ベンゾニトリル
エタノール150ml中の2-フルオロ-4-(フェニルメトキシ)ベンゾニトリル32g(0
.14mol)とメチルアミン35mlの溶液を80℃で32時間加熱する。その反応混合物を
ジクロロメタンに取り出し、その有機相を水で3回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾
燥する。次に溶媒を減圧下で留去し、32.9gの生成物を回収する。
融点:120℃。
17.3. [[2-シアノ-5-(フェニルメトキシ)フェニル]メチルアミノ]酢酸エチル
エタノール393ml中の2-(メチルアミノ)-4-(フェニルメトキシ)ベンゾニトリル
64.1g(0.269mol)を、水393ml中の炭酸カリウム39.3g(0.285mol)の溶液に加
える。次に、ブロモ酢酸エチル152.8g(0.914mol)を加え、その混合物を還流さ
せる。48時間後、エタノールを減圧下に留去し、その残渣をジクロロメタンに取
り出し、その有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を減圧下に
留去し、残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィー(溶出はジクロロメタンで行
なう)によって精製する。油状物の形態にある19.5gの生成物を回収する。
17.4. 3-アミノ-1-メチル-6-(フェニルメトキシ)-1H-インドール-2-カルボン酸
エチル
テトラヒドロフラン80mlに溶解した[[2-シアノ-5-(フェニルメトキシ)フェニ
ル]メチルアミノ]酢酸エチル28.3g(0.087mol)の溶液を、温度を30℃未満に維
持しながら、テトラヒドロフラン100ml中のカリウムtert-ブトキシド9.8g(0.08
7mol)の懸濁液にゆっくりと加える。その混合物を室温で25分間攪拌放置した後
、水と氷の混合物に注ぐ。生成物をジクロロメタンで抽出し、その有機相を水で
洗浄し、溶媒を減圧下に留去する。そのようにして得た残渣をエタノール中で摩
砕し、22.6gの生成物を回収する。
融点:95℃。
17.5. 3-[(エトキシカルボニル)アミノ]-1-メチル-6-(フェニルメトキシ)-1H-
インドール-2-カルボン酸エチル
テトラヒドロフランと水の9/1混合液180ml中の3-アミノ-1-メチル-6-(フェニ
ルメトキシ)-1H-インドール-2-カルボン酸エチル24g(0.074mol)の溶液に、温
度を25℃未満に保ちながら、炭酸水素ナトリウム7.5g(0.088mol)を加え、次い
でクロロギ酸エチル8.3ml(0.076mol)を加える。その混合物を室温で1時間放置
した後、溶媒を減圧下で留去する。残渣をジクロロメタンに取り出し、水で洗浄
し、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下で留去する。28.2gの生成物が回収
される。
融点:124〜125℃。
17.6. 3-[(エトキシカルボニル)アミノ]-1-メチル-6-(フェニルメトキシ)-1H-
インドール-2-カルボン酸
96°エタノール170ml中の3-[(エトキシカルボニル)アミノ]-1-メチル-6-(フェ
ニルメトキシ)-1H-インドール-2-カルボン酸エチル28.1g(0.0708mol)の懸濁液
を還流させる。その混合物に10%水酸化カリウム/エタノール溶液64mlとテトラヒ
ドロフラン50mlを加える。その懸濁液を還流下に150分間放置した後、減圧下に
濃縮し、水と氷の混合物で希釈し、6N塩酸で酸性化する。次に、生成物をジクロ
ロメタンとテトラヒドロフランの混合物で抽出し、その有機相を水で洗浄し、硫
酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下に留去する。その残渣をジイソプロピルエ
ーテル中で摩砕し、24.8gの生成物を回収する。
融点:180℃(分解)。
17.7. [1-メチル-6-(フェニルメトキシ)-1H-インドール-3-イル]カルバミン酸
エチル
3-[(エトキシカルボニル)アミノ]-1-メチル-6-(フェニルメトキシ)-1H-インド
ール-2-カルボン酸24.6g(0.066mol)を180〜185℃程度の温度で3分間加熱し、
その残渣をテトラヒドロフラン中で摩砕し、濾過し、その濾液を減圧下に濃縮す
る。生成物をシリカゲルでのクロマトグラフィー(溶出はシクロヘキサンと酢酸
エチルの80/20混合液で行なう)によって精製する。18.3gの生成物が回収される
。
融点:140〜142℃。
17.8. (R)-5-(メトキシメチル)-3-[1-メチル-6-(フェニルメトキシ)-1H-インド
ール-3-イル]オキサゾリジン-2-オン
N,N-ジメチルホルムアミド180ml中の[1-メチル-6-(フェニルメトキシ)-1H-イ
ンドール-3-イル]カルバミン酸エチル9.1g(0.028mol)、(S)-4-(メトキシメチ
ル)-1,3-ジオキソラン-2-オン6.6g(0.05mol)および炭酸カリウム1.16g(0.008
4mol)からなる混合物を140℃で14時間加熱する。溶媒を減圧下に留去し、生成
物をシクロヘキサンと酢酸エチルの50/50混合物を用いるシリカゲルでのクロマ
トグラフィーによって精製する。ゴム質の形状にある6gの生成物が回収される。
[α]D 20=−44.1°(c=1,メタノール)。
同じ方法に従って、(R)-4-(メトキシメチル)-1,3-ジオキソラン-2-オンか
ら、油状物の形状にある(S)-5-(メトキシメチル)-3-[1-メチル-6-(フェニルメト
キシ)-1H-インドール-3-イル]オキサゾリジン-2-オンを製造した。
[α]D 20=+41.5°(c=1,メタノール)。実施例18
:(S,R)-5-( メトキシメチル)-3-[1-メチル-6-(4,4,4-トリフルオロ-3- ヒドロキシブトキシ)-1H-インドール-3-イル]オキサゾリジン-2-オン
18.1. (S)-5-(メトキシメチル)-3-[1-メチル-6-ヒドロキシ-1H-インドール-3-
イル]オキサゾリジン-2-オン
N,N-ジメチルホルムアミド15mlとエタノール15mlの混合液中の、実施例17で得
た(S)-5-(メトキシメチル)-3-[1-メチル-6-(フェニルメトキシ)-1H-インドール-
3-イル]オキサゾリジン-2-オン1g(0.0027mol)の溶液を接触水素添加する。こ
の水素添加は、パラジウム/炭素0.2gの存在下で常圧の水素下に18時間行なう。
その反応混合物を濾過してパラジウム/炭素を除去し、溶媒を減圧下に留去し、
ゴム質の形状で存在する0.53gの生成物を回収する。
18.2. (S,R)-5-(メトキシメチル)-3-[1-メチル-6-(4,4,4-トリフルオロ-3-ヒド
ロキシブトキシ)-1H-インドール-3-イル]オキサゾリジン-2-オン
アセトニトリル5ml中の(S)-5-(メトキシメチル)-3-[1-メチル-6-ヒドロキシ-1
H-インドール-3-イル]オキサゾリジン-2-オン0.30g(0.00108mol)、(R)-4,4,4-
トリフルオロ-3-ヒドロキシブチルトシラート0.34g(0.00114mol)および炭酸カ
リウム0.3g(0.00217mol)の混合物を、還流下に90分間攪拌する。次に、その混
合物をジクロロメタンで希釈し、濾過し、濾液を減圧下に濃縮する。有機相を水
で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下に留去する。残渣をジクロロメタ
ンとメタノールの95/5混合液を用いるシリカカラムでのクロマトグラフィーによ
って精製する。ゴム質の形態にある0.27gの生成物が回収される。
融点:80.5〜82.0℃
[α]D 20=+68.1°(c=1,メタノール)。
本発明の化合物とそれらの物理特性を次の表に記載する。これらの化合物は、
上述の方法に従って製造した。溶媒欄には、旋光度[α]D 20を測定するために
使用した溶媒を示してある(特に明記しない限り、c=1)。
本発明の化合物を、モノアミンオキシダーゼAとモノアミンオキシダーゼBに関
するそれらの阻害能力を決定する薬理試験にかけた。
MAO-A活性とMAO-B活性は、C.FowlerとM.Strolin-BenedettiがJ.Neurochem.
,40,1534-1541(1983)に記述した方法に従い、ラット脳ホモジネートを酵素
源として使用して、試験管内で測定した。
標準的の定量的測定は、ラットの脳を20体積の0.1Mリン酸緩衝液(pH=7.4)中
でホモジナイズし、100μlのホモジネート(組識5mg)を37℃で20分間、種々の
濃度の被験阻害剤の存在下または不在下に予備保温することからなる。500μlの
最終体積中で、MAO-A活性の測定については[14C]セロトニン([14C]5HT、最終濃
度125μM)の添加によって、MAO-B活性の測定については[14C]フェニルエチルア
ミン([14C]PEA、最終濃度8μM)の添加によって、反応を開始する。[14C]5HTの
場合は5分間、[14C]PEAの場合は1分間保温した後、4N塩酸200μlの添加によって
反応を停止する。次に、酸化的脱アミノ化がもたらす放射活性代謝産物を未変換
の基質から有機相への抽出によって分離し、放射活性をカウントすることによっ
て定量する。MAO-AとMAO-Bに関する阻害活性は、それぞれ阻害定数Ki(MAO-A)
とKi(MAO-B)によって与えられる。本発明の化合物の場合、Ki(MAO-A)値は1.
2nMと1000nM以上の値の間で変動し、Ki(MAO-B)値は0.3nMと1000nM以上の値の
間で変動する。本発明化合物のいくつかは、MAO-Bの選択的阻害剤であり、そのK
i(MAO-A)/Ki(MAO-B)比は103以上に達しうる。本発明化合物のいくつかはMAO
-Aの選択的阻害剤であり、そのKi(MAO-B)/Ki(MAO-A)比は103以上に達しうる
。その他のものはMAO-AとMAO-Bの複合阻害剤であり、そのKi(MAO-A)/Ki(MAO-
B)比は0.1〜10の値をとりうる。
得られた結果は、MAO-AまたはMAO-Bの選択的阻害剤もしくはMAO-AとMAO-Bの複
合阻害剤であって、治療、具体的には任意の性質の鬱状態、老人性抑鬱性精神病
、意欲減退、対人恐怖(social phobias)または気分障害の治療、全般的な脳反
応の改善、パーキンソン病やアルツハイマー病のような神経組識変性疾患および
あらゆる記憶障害の予防および治療、不安、恐慌性発作、アルコール、タバコお
よび/または麻薬の消費に関係する依存症の治療と脱却(weaning)、および食欲
の
喪失の治療に使用される薬物の製造に、本発明の化合物を使用できることを示し
ている。
本発明の化合物は賦形剤と組み合わせて、経口投与、非経口投与または直腸投
与用に製剤化された組成物(例えば錠剤、糖衣錠、カプセル剤、溶液剤、懸濁剤
または座剤など)の形態で提供することができる。
投与される活性成分の量は一般的には0.01〜50mg/kg/日であり、この投与量を
1回で、または数回で投与する。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
C07D 413/04 333 C07D 413/04 333
413/14 307 413/14 307
(31)優先権主張番号 96/09362
(32)優先日 1996年7月25日
(33)優先権主張国 フランス(FR)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S
Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD
,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ
,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,
CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,G
E,HU,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR
,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,
MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,P
L,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK
,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ,
VN
(72)発明者 ビュルニエ,フィリップ
フランス、エフ−78600メーゾン−ラフィ
ット、アレ・デュ・ベル−エール8番
(72)発明者 ベルトン,ダニエル
フランス、エフ−78750マレーユ−マルリ
ー、リュ・デ・ヴィオレート10番
(72)発明者 レクレルク,オディール
フランス、エフ−92500リュエーユ−マル
メーゾン、リュ・モリエール14番