JPH11513356A - 弗化水素の回収方法 - Google Patents

弗化水素の回収方法

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JPH11513356A JP9514798A JP51479897A JPH11513356A JP H11513356 A JPH11513356 A JP H11513356A JP 9514798 A JP9514798 A JP 9514798A JP 51479897 A JP51479897 A JP 51479897A JP H11513356 A JPH11513356 A JP H11513356A
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Abstract

(57)【要約】 弗化水素と有機化合物、特に含弗素化合物との混合物から弗化水素をアルカリ金属弗化物の弗化水素溶液を用いて抽出し、分液し、回収することによって弗化水素を分離し、回収する方法。出発原料を弗化水素を用いて弗素化し、同時に生成物流から弗化水素を回収することによって含弗素有機化合物を製造する方法。前記溶液は無水のものであってもよいし又は水性のものであってもよい。

Description

【発明の詳細な説明】 弗化水素の回収方法 本発明は弗化水素の回収方法、特に有機化合物から弗化水素を分離し、次いで 分離した弗化水素を回収する方法に関する。本発明は少量の弗化水素、例えば25 重量%よりも少ない量の弗化水素を含有している混合物から弗化水素を回収する のに特に有用であり、しかも1種又は複数の有機化合物と弗化水素が共沸組成物 又は共沸様組成物を形成している混合物から弗化水素を回収するのに特に有用で ある。本発明の方法の具体的態様は、含ハロゲン有機化合物、特に含弗素有機化 合物から弗化水素を分離し、次いでこの弗化水素を回収することにある。 含弗素有機化合物、例えばハイドロフルオロカーボン(HFCと略記する)類、ハ イドロクロロフルオロカーボン(HCFCと略記する)類及びクロロフルオロカーボン (CFC略記する)類は、弗素原子以外の原子、特に塩素原子を1個又はそれ以上含 有しているハイドロカーボン出発原料と弗化水素とを液相中で反応させるか又は 気相中で弗素化触媒の存在下で反応させることによって製造される場合が多い。 かかる反応により得られる生成物は、所望の含弗素有機化合物、有機副生成物、 塩化水素及び未反応弗化水素並びに他の出発原料を含有しており、これらの物質 を分離し、再使用するために弗化水素をできるだけ多く回収することが望ましい 。弗化水素の一部は、通常は蒸留によって分離し、回収できるが、得られた蒸留 物は通常は残留弗化水素を含有しており、特に有機化合物と弗化水素が共沸混合 物を形成する場合には残留弗化水素を含有している。この残留弗化水素は、通常 は生成物流を水又は好ましくは水性アルカリで洗浄する(scrubbing)ことによっ て有機化合物から除去され、次いで得られた水性洗浄液は適当な廃水処理の後に 廃棄される。水性洗浄(aqueous scrubbing)は1種又は複数の有機化合物から弗 化水素を除去する有効な方法であるが、この水性洗浄はプロセスから弗化水素の 損失があるという点からみて費用が高くつく傾向があり、水性洗浄の前に生成物 流から弗化水素をできる限り多く、好ましくは弗化水素の本質的に全部を分離す る ことが望ましい。 本発明によれば、第1の要旨において、有機化合物と弗化水素の混合物から弗 化水素を分離し、回収する方法であって、前記混合物を液相中でアルカリ金属弗 化物の弗化水素溶液と接触させ、上層である有機化合物相と下層である弗化水素 相との分液を行い、次いで得られた下層である弗化水素相から弗化水素を回収す ることからなる弗化水素の分離、回収方法が提供される。 任意のアルカリ金属弗化物を使用し得るが、本発明者らは弗化カリウム又は弗 化セシウムを使用することを好み、特に弗化セシウムを使用することを好む。所 望の場合には、2種類以上のアルカリ金属弗化物からなる混合物を使用してもよ い。 前記のアルカリ金属弗化物の弗化水素溶液は、所望ならば本質的に無水のもの であってもよい。別法として、アルカリ金属弗化物の水性弗化水素溶液を使用し てもよい。 処理する1種又は複数の有機化合物と弗化水素との混合物は、無水弗化水素が 本質的に非腐食性であるという理由から、本質的に無水のものであってもよい。 アルカリ金属弗化物の弗化水素溶液が本質的に無水のものである場合には、前記 の1種又は複数の有機化合物と弗化水素との混合物は本質的に無水のものである のが好ましい。本発明の方法においては水を存在させてもよいが、この場合には 水が存在することによって無水弗化水素に関連した非腐食性の利点が減少する。 しかしながら、水性溶液は、溶液中の所定濃度のアルカリ金属について、有機化 合物と弗化水素の混合物からより高い弗化水素回収率を保証するという利点を提 供する。従って、無水溶液を使用するか又は水性溶液溶液を使用するかは、所定 の方法において所望される個々の利点に応じて選択されるであろう。 前記の混合物から回収される弗化水素の収率を向上させるために、上層である 有機化合物相はその後にアルカリ金属弗化物の弗化水素溶液と再び接触させても よく、それによってさらに別の上層である有機化合物相と別の下層である弗化水 素相とを回収し得る。この方法は所望される程度にしばしば反復し得る。最初の 分離工程と、もし存在する場合にはその後の分離工程は、 所望の1つ又はそれ以上の混合装置及び/又は沈降タンク(setller)あるいは液 /液抽出塔(extraction column)中で実施し得る。 上層である有機相は、例えば蒸留塔での蒸留のような適当な方法で分離し、処 理して、有機化合物を回収することができ及び/又は所望の有機化合物を製造す る反応装置に供給用の再循環流を得ることができる。この相は弗化水素が少なく なっている(depleted)が、通常は若干量の残留弗化水素を含有し、しかもこの相 は、所望の有機化合物を回収するために蒸留している間に再循環させ得る弗化水 素を含有する流れを1つ又はそれ以上を提供するであろう。上記の再循環流は、 有機化合物を製造する反応器に供給してもよいし又は有機化合物を含有するプロ セス流、例えば本発明の第1の要旨に記載のような有機化合物と弗化水素との混 合物に供給してもよい。回収した有機化合物中に残る弗化水素は、例えば蒸留に よって回収できるし又は水性洗浄によって除去し得る。 下層である弗化水素相は、通常は蒸留され該弗化水素相から本質的に無水の弗 化水素が回収されるであろう。蒸留は慣用の蒸留装置、例えば蒸留塔で行い得る が、フラッシュ容器(flash vessel)、例えばリボイラー(reboiler)と凝縮器とを 適当に備えた一段(single-stage)フラッシュ容器で行うのが好ましい。 下層から回収された弗化水素は別の反応で使用するために採取できるし又は前 記の有機化合物を製造する反応装置に再循環させることができる。また、この処 理される生成物流から抽出された弗化水素に富む下層は、通常は処理される生成 物流から抽出された1種又は複数の有機化合物もまた若干量含有するであろう。 前記の下層の蒸留により、かかる1種又は複数の有機化合物は弗化水素と一緒に 除去される。次いで、この混合物はさらに分離されて有機化合物から弗化水素の 少なくとも一部を除去し得る。次いで、得られた1種又は複数の有機化合物は前 記のように所望の有機化合物を製造する反応装置に再循環させてもよいし、又は 有機化合物を含有する生成物流に再循環させてもよい。 弗化水素を回収するために前記下層を蒸留する際に残留物として得られる アルカリ金属弗化物の弗化水素溶液は前記プロセスに再循環させてもよいし、処 理される混合物から弗化水素を抽出するのに再使用してもよい。 アルカリ金属弗化物の弗化水素溶液の密度(density)はアルカリ金属弗化物の 濃度が増大すると共に増大するので、該抽出剤(extractant)溶液は前記の1種又 は複数の有機化合物よりも濃密であり、分液中に下層として分離する。抽出剤溶 液の密度は、処理される混合物から抽出された弗化水素を用いて希釈することに より低下するので、その密度が有機化合物の濃度にあまり近くならず且つ行うべ き効率的な分液を行うことを可能にするのに十分な密度差があるように、有機化 合物の濃度よりも著しく大きいことが好ましい。抽出剤溶液中のアルカリ金属弗 化物の量は、処理する混合物中の具体的な1種又は複数の有機化合物に応じて、 従って抽出剤溶液の必要な密度と弗化水素中のアルカリ金属弗化物の溶解度とに 応じて、広い範囲内で変化させ得る。指針として、アルカリ金属弗化物、例えば 弗化セシウムの濃度は、典型的には約20重量%〜約80重量%であり、好ましくは 約70重量%以下である。弗化カリウムを使用する場合には、弗化カリウムは20〜 40重量%の濃度で存在させるのが好ましい。しかしながら、ある場合には前記の 広い範囲を超えた量が適当であり得、ある場合には飽和溶液が都合がよいもので あり得ることが理解されるべきである。 アルカリ金属弗化物の弗化水素溶液は極性を有するので、1種又は複数の有機 化合物と弗化水素との相互溶解度が低下し、それによって弗化水素と有機化合物 の単純な分液によって分離できる弗化水素の量よりも多い量の弗化水素を該有機 化合物から分離し得る。 アルカリ金属弗化物の弗化水素溶液による前記混合物の処理は、処理される混 合物とアルカリ金属弗化物溶液とが液相状態で存在する温度条件及び圧力条件の 組み合わせのもとで行い得る。常圧、加圧又は減圧を使用し得るが、本発明者ら は約30バールまでの加圧を用いる方を好む。操作温度は通所は約−30℃〜35℃、 好ましくは約0℃〜約25℃であるが、低圧又は高圧を使用する場合には上記の温 度よりも低い温度又は高い温度を使用し得ることが理解されるべきである。 本発明の方法は任意の量の弗化水素を含有する混合物に適用できるが、多量の 弗化水素を含有する混合物の場合には本発明に従って混合物を処理する前に単純 蒸留によって弗化水素のうちの若干量を除去することが都合がよいことは明らか である。従って、1種又は複数の有機化合物を製造する反応装置から得られる生 成物流は、通常は蒸留し、あるいは所望ならば処理して本発明の処理用の濃厚混 合物が得られるように若干量の弗化水素、存在し得る塩化水素及び副生成物が除 去される。通常は、処理すべき混合物は弗化水素を約20重量%未満、典型的には 10重量%未満含有するであろう。 本発明の方法は、単純な分液によって分離が容易に達成されないような弗化水 素との相互溶解性を有する有機化合物と弗化水素との混合物から弗化水素を分離 し、回収するのに適用し得る。特に重要であるのは、弗化水素と共沸組成物又は 共沸様組成物を形成する有機化合物を含有する混合物であって、それから弗化水 素を単純蒸留によって除去できない混合物の処理である。大部分のハイドロフル オロカーボン類、ハイドロクロロフルオロカーボン類及びハイドロフルオロエー テル類は弗化水素と共沸混合物又は共沸様混合物を形成し、かかる混合物の処理 が本発明の好ましい態様であり、特に有機化合物がハイドロフルオロアルカン、 ハイドロクロロフルオロアルカン、クロロフルオロアルカン又はハイドロフルオ ロエーテルである混合物の処理が本発明の好ましい態様である。しかしながら、 本発明は特定の種類の有機化合物の処理に限定されないが、弗化水素の分離及び 除去が単純蒸留により容易に達成されない有機化合物の全てに適用し得ることが 理解されるべきである。 有機化合物がハイドロフルオロアルカン、ハイドロクロロフルオロアルカン又 はクロロフルオロアルカンである場合には、該有機化合物は通常は1〜6個の炭 素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を含有する。本発明の方法の具体的態様 は、有機化合物が1,1,1,2-テトラフルオロエタン[HFC 134a]、1,1,2,2-テトラフ ルオロエタン[HFC 134]、クロロ-1,1,1-トリフルオロエタン[HCFC 133a]、クロ ロテトラフルオロエタン[HCFC 124/124a]、ペンタフルオロエタン[HFC 125]、ジ フルオロメタン[HFC 32]、クロロジフルオロメタン[HCFC 22]、1,1-ジフルオロ エタン[HFC 152a]、1,1,1-トリフルオロエタ ン[HFC 143a]、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン[HFC 245fa]、1,2,2,3,3−ペ ンタフルオロプロパン[HFC 245ca]及び1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン[ HFC 227ea]のうちの1種又はそれ以上である混合物の処理にある。有機化合物が ハイドロフルオロエーテルである場合には、該有機化合物は2〜8個の炭素原子 、通常は2〜6個の炭素原子を含有し得る。本発明の好ましい態様は、有機化合 物がジメチルエーテル、例えばビス(フルオロメチル)エーテル[BFME]、1,1-ジフ ルオロジメチルエーテル、1,1,1-トリフルオロジメチルエーテル及びペンタフル オロジメチルエーテルの1種又はそれ以上である混合物を処理することにある。 本発明の別の要旨によれば、有機出発原料、好ましくはハロカーボン出発原料 を弗化水素と気相中で弗素化触媒の存在下で反応させるか又は液相中で反応させ て含弗素有機化合物と末反応弗化水素とを含有してなる生成物流を生成させ、該 生成物流を好ましくは液相中でアルカリ金属弗化物の弗化水素溶液と接触させ、 含弗素有機化合物を含有する上層と下層である弗化水素相との分液を行い、次い で得られた下層の弗化水素相から弗化水素を回収することによって含弗素有機化 合物を製造する方法が提供される。 前記の生成物流は、例えば該生成物流から所望の含弗素化合物以外の化合物を 除くために、アルカリ金属弗化物の弗化水素溶液と接触させる前に処理される。 採用する場合には、この処理としては慣用の分離方法、例えば蒸留及び分液を挙 げ得る。 有機出発原料は所望の含弗素有機化合物に応じて選択される。この出発原料は ハロカーボンであってもよく、従ってハロゲン原子、特に塩素原子及び/又は弗 素原子を1個又はそれ以上含有していてもよく、また水素原子も含有していても よい。例えば、ジフルオロメタンを製造するためには、ビス(フルオロメチル)エ ーテル(BFME)又は塩化メチレンをハロカーボン出発原料として使用し得、1,1,1, 2-テトラフルオロエタンを製造するためには、出発原料はトリクロロエチレン及 び/又は1,1,1-トリフルオロクロロエタンからなり得、ペンタフルオロエタンを 製造するためには、ペルクロロエチレンをハロカーボン出発原料として使用し得 、またクロロジフルオロメタンを製造 するためにはクロロホルムをハロカーボン出発原料として適当に使用し得る。 しかしながら、ある種の製品については、出発原料は必ずしもハロゲン原子を 含有する必要がなく、例えばBFMEは本出願人の先願である欧州特許出願公開第51 8506号明細書又は欧州特許出願公開第612309号明細書に記載のようにして弗化水 素をホルムアルデヒドと接触させることによって製造し得る。使用し得るハロゲ ン無含有の有機出発原料の別の例はアセチレンであり、これは弗化水素と反応し てHFC 152aを生成し得る。 ジフルオロメタンはBFMEから液相又は気相中で、例えば本出願人の先願である 欧州特許出願公開第518506号明細書に記載のようにして製造し得る。気相反応に おいては、BFME出発原料は希釈しない形で加熱帯域に導入し得るが、BFME蒸気の 生成に採用される方法に応じて、該出発原料は不活性ガス、例えば窒素のような 希釈剤と一緒に加熱帯域に供給してもよい。BFMEを加熱してジフルオロメタンを 生成させる温度は、ビス(フルオロメチル)エーテルが気相状態にあるような温度 であり、その温度は典型的には少なくとも80℃、好ましくは少なくとも200℃、 さらに好ましくは少なくとも250℃である。この温度は必ずしも約500℃よりも高 い必要はないが、所望ならばそれよりも高い温度、すなわち約700℃までの温度 を使用し得る。 BFMEは弗化水素蒸気の存在下で加熱するのが適当である。弗化水素は希釈剤又 はキャリアガスとして使用し、それと一緒にBFMEを反応帯域に導入してもよいし 又は弗化水素は別々に反応帯域に導入してもよい。 トリクロロエチレンの弗素化による1,1,1,2-テトラフルオロエタンの製造にお いては、HFは弗素化剤として使用するのが適当である。反応は気相中で行うこと が好ましい。用いるHFの量は、トリクロロエチレン1モル当たりHFが10〜100モ ル、好ましくは15〜60モルであり得る。反応が1,1,1-トリフルオロ-2-クロロエ タンの弗素化に関する場合には、HFの量は1,1,1-トリフルオロ-2-クロロエタン 1モル当たりHFが10モルまで、好ましくは2〜6モルであり得る。 1,1,1,2,-テトラフルオロエタンの製造方法は、本出願人の先に公告された欧 州特許出願第449617号明細書に記載され、クレームされている反応順序 に従って行い得る。 ペンタフルオロエタンの製造方法は、本出願人の先に公開された国際特許出願 第WO95/27688号及び第WO95/16654号明細書に記載されている方法により製造し得 る。 クロロジフルオロメタン[HCFC 22]はクロロホルムを弗化水素を用いて弗素化 することにより製造し得る。この弗素化は液相中で弗素化触媒、例えばSbCl(5-x ) Fx(式中、x=0〜5である)の存在下に典型的には50℃〜180℃の温度で行い 得る。所望に応じて、塩素を間欠的に添加して前記触媒を5価の状態に維持し得 る。反応圧力は減圧から30 Bargまでの間で広く変化させ得る。反応圧力は5Bar g〜30 Bargの範囲内にあるのがさらに好ましい。クロロホルムと弗化水素は、反 応器に通常は約1:2のモル比で導入して(液相又は気相のいずれかで)、典型的 にはクロロジフルオロメタン、塩化水素、フルオロジクロロメタン[HCFC 21]及 び未反応弗化水素を含有する生成物流を生成させるのが適当である。次いでこの 生成物流は、例えば蒸留によって処理してある種の成分、例えば塩化水素及びフ ルオロクロロメタンを除去し得、そのようにしてクロロジフルオロメタンと弗化 水素からなる流れを提供し得る。次いでこの流れから本発明の第1の要旨の方法 により弗化水素を回収し得る。 弗化水素を使用する弗素化反応は触媒の存在下で行い得る。従来技術文献に記 載の慣用の触媒を使用し得、しかも出発原料と所望の含弗素生成物とに応じて選 択し得る。 触媒は例えば金属、例えばカルシウムのようなs-ブロック(block)金属、アル ミニウム、錫又はアンチモンのようなp-ブロック金属、ランタンのようなf-ブロ ック金属、あるいはニッケル、銅、鉄、マンガン、コバルト及びクロム又はこれ らの合金のようなd-ブロック金属;金属酸化物、例えばクロミア又はアルミナ、 金属弗化物、例えば弗化アルミニウム、弗化マグネシウム又は弗化クロム、ある いは金属オキシ弗化物、例えば前記の種々の金属のうちの一つのオキシ弗素化物 であり得る。触媒の金属はd-ブロック金属又はp-ブロック金属が好ましく、クロ ム、アルミニウム又はVIIIa属の金属がさらに 好ましい。触媒は他の金属、例えば亜鉛及びニッケルを用いて促進させ得る。使 用する場合には、前記合金はまた他の金属、例えばモリブデンも含有し得る。好 ましい合金の例としてはハステロイ(Hastelloy)が挙げられ、ステンレス鋼が特 に好ましい。 弗素化触媒は、例えば実質的に乾燥したHFを窒素希釈剤と共に又は該希釈剤を 用いずに触媒上に約250〜450℃で通すことによって状態調節し得、一方、触媒の 再生は実質的に乾燥したHFと酸化性気体例えば空気又は酸素との混合物を使用し て、本出願人の先願である欧州特許出願公開第475693号明細書に記載のようにし て300〜500℃の範囲内の温度で行い得る。 以下、本発明の方法を添付の図面を参照して説明する。添付図面は本発明の方 法を実施するための装置の概略図である。本発明の方法を、弗素化方法によって 製造されたクロロジフルオロメタン[HCFC 22]を含有してなり且つ未反応弗化水 素を含有する生成物流の処理について例証する。 HCFC 22の製造に使用した弗素化反応器から得られる生成物流を、例えば蒸留 による初期精製(図示していない)に供し、得られた液状プロセス流であって弗化 水素とHCFC 22との混合物を含有する液状プロセス流1を、アルカリ金属弗化物 の弗化水素溶液を含有してなる抽出剤の流れ2と混合する。アルカリ金属弗化物 の弗化水素溶液は本質的に無水のものであってもよいし、又は所望に応じて水性 弗化水素を使用してもよい。前記の二つの流れを混合する間に発生した熱は熱交 換器3で除去され、次いで得られた混合流4は容器5に供給され、そこで分液が 生じ、流れ1中の弗化水素よりも実質的に少ない弗化水素を含有する上層である HCFC 22の流れ6と、流れ2中の弗化水素よりも多い弗化水素を含有する下層で ある抽出剤の流れ7とを与える。上層であるHCFC 22の流れ6はさらなる操作(図 示していない)、例えば蒸留及び/又は洗浄による操作のために取り出され、本 質的に純粋なHCFC 22が回収される。蒸留によるかかるさらなる操作中の流れ6 から取り出された弗化水素は、HCFC 22を製造する弗素化反応器に再循環させて もよいし又は本方法の弗化水素分離工程に再循環させてもよい。 下層の抽出剤の流れ7は取り出され、蒸留塔8に供給され、そこで弗化水 素が採取用又はHCFC 22を製造する弗素化反応器に再循環用の流れ9として分離 され、取り出される。弗化水素中のアルカリ金属弗化物の抽出剤液を含有してな る下部流(bottom stream)10が塔8から取り出され、熱交換器3に先立って流れ 1と混合するために(流れ2として)再循環される。 本発明の方法の別の態様であり且つ場合によっては好ましい態様においては、 蒸留塔8は凝縮器を備えたリボイラーから構成される一段フラッシュ容器と交換 し得る。 本発明の方法は回分法として操作し得るが、連続法として操作するのが好まし い。 本発明を以下の実施例により例証するが、実施例によって限定されるものでは ない。実施例1 混合物を、排気されたステンレス鋼製の加圧容器(500ml)中で下記の組成物 に調製し、室温(約20℃)で平衡化させた。 クロロジフルオロメタン 140g 弗化水素 171.7g 弗化カリウム 44g 前記容器を振盪して内容物の混合を十分に行い、次いで数分間放置して内容物 の分液を生じさせた。二つの相が分離した後に、上層の有機相の試料を分析し、 この層が弗化水素を2.5重量%含有していることが認められた。 上記の方法を3回反復した。有機相中の弗化水素含有量はそれぞれ2.13重量% 、2.25重量%及び2.32重量%であった。 比較のために弗化カリウムを除いた以外は前記の方法を反復した。クロロジフ ルオロメタンと弗化水素が完全に混和し、分液が生じていないことが認められた 。実施例2 弗化セシウムの弗化水素溶液(75g)(60重量%)とクロロジフルオロメタン75gと から調製した混合物を使用して実施例1に記載の方法を反復した。操作を3回行 った。有機相の弗化水素含有量はそれぞれ0.223重量%、0.24重 量%及び0.32重量%であった。実施例3 混合物を下記の組成物に調製した。 クロロジフルオロメタン[HCFC 22] 203g 弗化水素 140g 弗化カリウム 100g 水 61g 添付図面の図1の代表的な原料流4に相当する前記の混合物を、排気されたス テンレス鋼製の加圧容器(500ml)に供給し、室温(約18℃)で平衡化させた。次い で容器を振盪して内容物の混合を十分に行い、次いで数分間放置して内容物を分 液を生じさせた。上層を試料採取し、この層が有機層(主としてHCFC 22)である ことを確認した。分析により、この層が弗化水素を0.02重量%しか含んでいない ことが確認された。下層を試料採取し、この層が弗化水素と弗化カリウムとを含 有する水性相であることを確認した。分析により、この層がHCFC22を1.2重量% しか含んでいないことが確認された。 比較のために、弗化カリウムを除いた混合物を使用して下記の組成物を調製し た以外は前記の方法を反復した。 クロロジフルオロメタン[HCFC 22] 201g 弗化水素 144g 水 61g 上層を試料採取し、この層がHCFC 22を含有する有機層であることを確認し、 また分析により、この層が弗化水素を0.85重量%含有していることが確認された 。下層を試料採取し、この層が弗化水素を含有する水性層であることを確認し、 また分析により、この層がHCFC 22を10.3重量%含有していることが確認された 。実施例4 実施例3に記載の方法を使用して、下記の組成物に調製した混合物を処理した 。 クロロジフルオロメタン[HCFC 22] 201g 弗化水素 105g 弗化カリウム 100g 水 100g 上層を試料採取し、この層がHCFC 22を含有する有機層であることを確認し、 また分析によりこの層が弗化水素を0.0019重量%含有していることが確認された 。下層を試料採取し、この層が弗化水素と弗化カリウムとを含有する水性層であ ることを確認し、また分析によりこの層がHCFC 22を2.2重量%含有していること が確認された。 比較のために、弗化カリウムを除いた抽出剤溶液を使用し且つ下記の組成に調 製した以外は前記の方法を反復した。 クロロジフルオロメタン[HCFC 22] 201g 弗化水素 109g 水 103g 上層を試料採取し、この層が弗化水素を含有する水性層であることを確認し、 またこの層の分析によりこの層がはHCF C22を14.2重量%含有していることが確 認された。下層を試料採取し、この層がHCFC 22を含有する有機層であることを 確認し、また分析によりこの層が弗化水素を0.53重量%含有していることが確認 された。 実施例3と実施例4の結果は、水性弗化水素に弗化カリウムを添加すると、水 性弗化水素のみを抽出剤として使用した場合よりも効率のよいHCFC 22と弗化水 素の分離がもたらされることを証明している。また、実施例4の結果は、弗化水 素の51%水溶液に弗化カリウムを添加すると、分液時に水性層が下層であり、弗 化カリウムの不存在下では分液時の水性層が上層であるように前記溶液の密度が 増大することを証明している。 また、実施例3と実施例4の結果は、水性弗化水素(弗化カリウムなし)が水性 弗化水素溶液中の弗化水素の濃度に応じて下層又は上層のいずれかとして分離す ることを例証している。すなわち、実施例3におけるように70重量/重量%濃度 の弗化水素では、水性弗化水素層(弗化カリウムなし)が下層で あり、これに対して実施例4におけるように51重量/重量%の濃度では、水性弗 化水素層(弗化カリウムなし)が上層である、すなわち水性弗化水素の密度は51% 濃度におけるHCFC 22の密度よりも小さい密度から70%濃度におけるHCFC 22の密 度よりも大きい密度まで変化する。これは抽出剤として水性弗化水素(弗化カリ ウムなしで)を使用すると抽出剤溶液の監視及び制御において大きな注意を払う ことを必要とし、しかも大規模操作に極めて実際的ではないことを意味する。こ れに対して、水性弗化水素溶液に弗化カリウムを添加すると、常に下相として分 離される抽出剤溶液を与え、本方法は抽出剤溶液の密度の正確な監視及び調節を 必要としない。実施例5 混合物を、排気されたステンレス鋼製の加圧容器(300ml)中で下記の組成物 に調製し、室温(約20℃)で平衡化させた。 1,1,1,2-テトラフルオロエタン 116g 1-クロロ-2,2,2-トリフルオロエタン 13.3g 弗化水素 30g 弗化セシウム 34g 前記容器を振盪して内容物の混合を十分に行い、次いで数分間放置して内容物 を分液を生じさせた。二つの相が分離した後に、上層の有機相の試料を分析し、 この相が弗化水素を0.14重量%含有していることが認められた。 比較のために、弗化セシウムを除いた混合物を使用し且つ下記の組成物に調製 した以外は前記の方法を反復した。 1,1,1,2-テトラフルオロエタン 137g 1-クロロ-2,2,2-トリフルオロエタン 17g 弗化水素 74g この時に採取した試料は弗化水素を19.8%含有していることが認められた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 9612117.3 (32)優先日 1996年6月10日 (33)優先権主張国 イギリス(GB) (31)優先権主張番号 9612118.1 (32)優先日 1996年6月10日 (33)優先権主張国 イギリス(GB) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,HU,I L,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK ,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK, MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,R U,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TM,TR ,TT,UA,UG,US,UZ,VN (72)発明者 シールズ,チヤールス,ジヨン イギリス国 チエシヤー ダブリユエイ4 2エイエル,ウオリングトン,ストツク トン ヒース,ビクトリア ロード 49 (72)発明者 ロバーツ,クリストフアー イギリス国 マージーサイド エル35 6 ピイワイ,プレスコツト,レインヒル,ポ ーター クロウズ 13

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.有機化合物と弗化水素の混合物から弗化水素を分離し、回収する方法であ って、前記混合物を液相中でアルカリ金属弗化物の弗化水素溶液と接触させ、上 層である有機相と下層であるアルカリ金属弗化物を含有する弗化水素相との分液 を行い、次いで得られた下層である弗化水素相から弗化水素を回収することから なる弗化水素の分離、回収方法。 2.有機化合物と弗化水素の混合物から弗化水素を分離し、回収する方法であ って、前記混合物を液相中でアルカリ金属弗化物の本質的に無水の弗化水素溶液 と接触させ、上層である有機相と下層であるアルカリ金属弗化物を含有する弗化 水素相との分液を行い、次いで得られた下層である弗化水素相から弗化水素を回 収することからなる弗化水素の分離、回収方法。 3.有機化合物と弗化水素の混合物から弗化水素を分離し、回収する方法であ って、前記混合物を液相中でアルカリ金属弗化物の水性弗化水素溶液と接触させ 、上層である有機相と下層であるアルカリ金属弗化物を含有する弗化水素相との 分液を行い、次いで得られた下層である弗化水素相から弗化水素を回収すること からなる弗化水素の分離、回収方法。 4.アルカリ金属弗化物が弗化カリウム及び/又は弗化セシウムからなるもの である前記請求項のいずれか1項に記載の方法。 5.弗化水素を下層である弗化水素相から蒸留によって回収する前記請求項の いずれか1項に記載の方法。 6.蒸留をフラッシュ容器又は蒸留塔で行う請求項5記載の方法。 7.下層である弗化水素相から弗化水素を回収した後に残る残留弗化水素含有 アルカリ金属弗化物の少なくとも一部を、分離すべき前記混合物と接触させるた めに再循環させる前記請求項のいずれか1項に記載の方法。 8.少量の弗化水素を含有している混合物から弗化水素を回収する前記請求項 のいずれか1項に記載の方法。 9.前記の処理すべき混合物が弗化水素を25重量%よりも少ない量で含有する ものである請求項8記載の方法。 10.1種又は複数の有機化合物と弗化水素が共沸組成物又は共沸様組成物を形 成するものである前記請求項のいずれか1項に記載の方法。 11.弗化水素を含有する流れが上層である有機相から誘導されるものであり且 つ所望の有機化合物を製造する反応器に及び/又は有機化合物を含有する流れに 再循環されるものである前記請求項のいずれか1項に記載の方法。 12.アルカリ金属弗化物の弗化水素溶液中のアルカリ金属弗化物の濃度が約20 重量%〜約80重量%である前記請求項のいずれか1項に記載の方法。 13.有機化合物が含ハロゲン有機化合物である前記請求項のいずれか1項に記 載の方法。 14.有機出発原料を弗化水素と液相中で又は気相中で弗素化触媒の存在下で反 応させて含弗素有機化合物と未反応弗化水素とを含有してなる生成物流を生成さ せ、該生成物流をアルカリ金属弗化物の弗化水素溶液と接触させ、上層である含 弗素有機化合物と下層である弗化水素相との分液を行い、次いで得られた下層で ある弗化水素相から弗化水素を回収することによって含弗素有機化合物を製造す る方法。 15.有機化合物がハイドロフルオロアルカン、ハイドロクロロフルオロアルカ ン、クロロフルオロアルカン及び/又はハイドロフルオロエーテルからなるもの である請求項13又は14に記載の方法。 16.有機化合物が1,1,1,2-テトラフルオロエタン[HFC 134a]、1,1,2,2-テトラ フルオロエタン[HFC 134]、クロロ-1,1,1-トリフルオロエタン[CFC 133a]、クロ ロテトラフルオロエタン[HCFC 124/124a]、ペンタフルオロエタン[HFC 125]、ジ フルオロメタン[HFC 32]、クロロジフルオロメタン[HCFC 22]、1,1-ジフルオロ エタン[HFC 152a]、1,1,1-トリフルオロエタン[HFC 143a]、1,1,1,3,3-ペンタフ ルオロプロパン[HFC 245fa]、1,2,2,3,3-ペンタフルオロプロパン[HFC 245ca]及 び1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン[HFC 227ea]、ビス(フルオロメチル) エーテル[BFME]、1,1-ジフルオロジメチルエーテル、1,1,1-トリフルオロジメチ ルエーテル及びペンタフルオロジメチルエーテルの1種又はそれ以上から選択さ れるものである請求項15記載の方法。 17.前記生成物流をアルカリ金属弗化物の弗化水素の溶液と接触させる前に処 理する請求項14〜16のいずれか1項に記載の方法。
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