JPH11512523A - 新規抗生物質を同定するためのスクリーニング方法 - Google Patents

新規抗生物質を同定するためのスクリーニング方法

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JPH11512523A JP9512106A JP51210697A JPH11512523A JP H11512523 A JPH11512523 A JP H11512523A JP 9512106 A JP9512106 A JP 9512106A JP 51210697 A JP51210697 A JP 51210697A JP H11512523 A JPH11512523 A JP H11512523A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、新規抗生物質、抗菌剤として有用な化合物及び組成物を同定するためのスクリーニング方法に関する。特に、本発明は2成分調節スイッチ、例えば原核生物の酵素、例えばシグナル伝達機構により活性化され自己リン酸化するヒスチジンプロテインキナーゼを利用する方法に関する。更に本発明は、特に細菌細胞における酵素活性阻害剤の同定方法に関する。特に、プロテインキナーゼ阻害剤の大規模スクリーニングに有用な高処理能アッセイ系が開示される。関連したキット、組成物及び成分も開示される。図面は、ヒスチジンリンカー又はタグを含むSpoOF(His−SpoOF)のKinAによるリン酸化を示している。

Description

【発明の詳細な説明】 新規抗生物質を同定するためのスクリーニング方法 技術分野 本発明は、新規な抗生物質、抗菌剤及び原核生物酵素活性阻害剤として有用な 、化合物及び組成物を同定するためのスクリーニング方法に関する。更に本発明 は、プロテインキナーゼ阻害剤の大規模スクリーニングに有用な高処理能(high -throughput)アッセイ系及び関連する方法に関する。 発明の背景 抗微生物療法(antimicrobial therapy)は、細菌に特有の過程に作用する抗 生物質、例えば酵素及び細胞壁の構成成分に作用する組成物(例えばペニシリン )並びに原核生物のリボソーム阻害剤(例えばストレプトマイシン)等に焦点を あてている。更に、わずかではあるが、抗微生物療法は、原核生物と真核生物に 共通な酵素における構造上及び触媒作用上の差異を利用してきている。 抗微生物又は抗生物質療法は、細菌に特有でありかつ安全に阻害することがで き生化学系、すなわち前記の治療を受ける個体に有害作用又は副作用を奏するこ となく阻害することができる系の発見に依存している。更に、菌の遺伝子プール からの耐性遺伝子の補充(recruitment)により、また部分的には抗生物質の濫 用又は誤用の結果として、病原体群において抗生物質抵抗性の増加が見られる。 耐性が発達するにしたがって、細菌において阻害されるかもしれない特有の生化 学経路を同定することの困難性が増加する。このことは、ヒトを含む高等生物の 細胞においては示されていない。 それゆえ、本発明の1つの目的は、新規かつ遍在性の、細菌特有の生化学系及 び調節系であって、抗微生物療法に使用してもよい系を明らかにすることにある 。本明細書に記載されている特有の調節タンパク質は、真核生物には存在せず、 抗微生物療法に対する新規な標的を提供することができるものである。 「標的」となる調節系の1つの例には、細菌のプロテインキナーゼが含まれる 。ヒスチジンプロテインキナーゼは、細菌のシグナル伝達において重要な役割を 果 たしている。典型的には、ヒスチジンプロテインキナーゼ活性は、2段階の手順 によりアッセイすることができる。前記手順は、[γ−32P]ATPの存在下に おけるリン酸化反応、続くSDS−PAGE及びオートラジオグラフィー分析を 含む。しかしながら、主にSDS−PAGE使用の必要性のため、ヒスチジンプ ロテインキナーゼ阻害剤の大規模スクリーニングにおける前記方法の適用は制限 される。 可逆的リン酸化によるタンパク質の生物学的活性の調節は、原核生物及び真核 生物における細胞外刺激に対する細胞の応答の制御において重要な役割を果たし ている。細胞の2成分系により媒介されるリン酸化のカスケードは、シグナル入 力に対する応答における同調的(coordinate)調節に対する保存された機構を提 供する。細菌における多様な作用、例えば走化作用(Hessら、PNAS USA、84:760 9-7613(1987);Wylie ら、Biochem.Biophys.Res.Commun.、151: 891-896(198 8);Hessら、Cell、53: 79-87(1988))、窒素窮乏(Ninfa 及びMagasanik 、PNA S USA、83: 5909-5913(1986);Keener及びKotsu 、PNAS USA、85:4976-4980(198 8);Weiss 及びMagasanik 、PNAS USA、85: 8919-8923(1988))、浸透圧調節 (Aibaら、J.Biol.Chem.、264: 8563-8567(1989);Forst ら、PNAS USA、86: 6052-6056(1989);Igo ら、Genes & Dev.、3: 589-605(1989))、胞子形成(P eregoら、J.Bacteriol.、171: 6187-6196(1989))、あるタイプの抗生物質抵 抗性(Christopher 、Science 、261: 308-309(1993);Guenziら、Mol. Microbi ol.、12: 505-515(1994))は、2成分系により調節されている。 一般的に、2成分系はセンサータンパク質(sensor protein)(通常、ヒスチ ジンプロテインキナーゼ)及び応答調節タンパク質(response regulator prote in)を含んでいる。ヒスチジンプロテインキナーゼは、刺激に応答してヒスチジ ン残基においてATP依存性自己リン酸化を起こす。次いでリン酸化したセンサ ータンパク質は、リン酸基を応答調節タンパク質のアスパルチル残基に転移し、 応答調節タンパク質は転写調節因子として作用するか又はその他のタンパク質と 相互作用する。 2成分系の特別の阻害剤による自己リン酸化又は続くリン酸基転移の阻害は、 シグナル伝達経路を妨害し、これにより特定の細胞の過程(cellular process) を妨害する手段を提供することができるだろう。細菌の2成分系に特異的な阻害 剤は、新規抗菌剤又は抗生剤(antibiotic agent)の開発において特に重要であ る。 効率的なアッセイ系は、2成分系の阻害剤の大規模スクリーニングに必要であ る。2成分系の従来のアッセイは、[γ−32P]ATPの存在下におけるヒスチ ジンプロテインキナーゼとその基質とのリン酸化反応を含んでいる。次いでヒス チジンプロテインキナーゼ、応答調節タンパク質及び取り込まれなかった[γ−32 P]ATPをSDS−PAGEにより分離し、オートラジオグラフィー分析に 付する(Burbulysら、Cell、64: 544-552(1991))。従来のアッセイは、ヒスチ ジンプロテインキナーゼ活性の高感度の測定法を提供するけれども、SDS−P AGE工程により、アッセイの処理量が非常に制限される。その他の分離技術、 例えばトリクロロ酢酸沈殿及びHPLCは、アスパルチルリン酸の不安定性のた めに、2成分系には適さない(Burbulysら、前掲 1991))。それゆえ、本発明 のアッセイ系及び方法は特に有用であり、その他の利用しうる方法の欠点を克服 するものである。 ヒスチジンプロテインキナーゼ用の効率的なアッセイ系が開発された。前記ア ッセイ系では、基質が6個のヒスチジンのタグ(tag)(又はリンカー)を経て Ni樹脂(Ni-resin)に固定化されている。このアッセイ系においては、基質の キナーゼ及び[γ−32P]ATPからの分離を、樹脂から反応混合物を除去する ことによって達成し、次いで基質のリン酸化の程度を樹脂に残留する放射能を測 定することによって決定する。 本明細書に示されたデータは、基質のリン酸化の程度により測定したキナーゼ 活性と樹脂に残留する放射能との間の良好かつ高い再現性のある相関関係を示し ている。このアッセイ系は、自動化液体取扱い系(automated liquid handling system)及び96ウェルフィルタープレートを用いた高処理能スクリーニングア ッセイに適合させている。これにより、操作者の1日あたり6枚をこえる96ウ ェルプレートの処理が可能になる。 本発明のヒスチジンプロテインキナーゼ用高処理能アッセイは、阻害剤スクリ ーニング目的に特に有用である。SDS−PAGE分離及び酸沈殿のない、ヒス チジンプロテインキナーゼ活性用アッセイ系も記載されている。本発明において 、バチルス・ズブチルスKinA(ヒスチジンプロテインキナーゼ)及びSpo OF(同族の応答調節因子)は、それぞれキナーゼ及び基質として使用される。 しかしながら、本発明のアッセイ系をその他のプロテインキナーゼ及びその基質 に対して適用することができることも認められるべきである。本発明のアッセイ 系の特徴及びアッセイ系のヒスチジンプロテインキナーゼ用高処理能アッセイへ の適合も本明細書に開示される。 発明の概要 2成分調節スイッチの間に介入(intercalate)し、その機能を阻害するよう に設計された抗微生物性抗生物質(antimicrobial antibiotic)は、幾つかの固 有の利点を示す。特に、前記抗生物質の標的は、その他の抗生物質の方法論によ り求められたものとは全く異なる。更に、2成分調節系は原核生物に特有なので 、宿主生物の生化学機構との干渉は、たとえあったとしてもわずかであろう。更 に、各細菌の属(及び種)内には前記抗生物質に対する1以上の標的が存在する 。なぜなら、この型の2成分調節スイッチを利用する、細菌内の調節系と構造的 に類似する少なくとも12の別個の調節系が存在するからである。したがって、 固有の標的の変化による耐性は、従来の抗生物質と比較して著しく少ないだろう 。 調節スイッチを遮断することにより阻害される、重要な細菌の過程には、宿主 に対する種々の細菌の病原性に寄与する過程、例えば溶血素等の付属の病原性因 子の形成を制限する、ある種の細胞外酵素の分泌を阻害する過程が含まれる。こ の新規なアプローチに含まれるかなりの可能性は、保存されたドメインのあらか じめ確立された構造が、調節タンパク質のリン酸受容領域(phospho-accepting region)に対して明確なホモロジーを示すという本発明者等の知見に基づいてお り、このことは全ての分子がおおよそ同一の構造を有していることを示唆してい る。このことは1つの標的に対する抗生物質は、広い又は無限の活性スペクトル を有するかもしれないことを暗示している。 それゆえ、本発明はある態様において、2成分調節経路又は「スイッチ」の要 素の利用した、有用な治療薬を同定する方法を企図する。ある変形においては、 組成物又は化合物と、あらかじめ決定した量(又は有効量)の原核生物の酵素、 二次メッセンジャー及び高エネルギーリン酸源とを混合し、混合物をあらかじめ 決定した時間インキュベートし、インキュベート後混合物を調べて薬剤の酵素活 性に及ぼす作用を決定する。種々の態様においては、酵素はヒスチジンプロテイ ンキナーゼを含み、リン酸源はATP又はGTPであり、キナーゼはキナーゼA である。更にその他の態様においては、二次メッセンジャーは1以上のリン酸基 を転移することができる分子を含んでいる。ある変形においては、前記分子はタ ンパク質を含み、別の態様においては前記タンパク質はSPoOFである。 それゆえ、本発明は、ある態様においては、新規抗生物質、抗菌剤又は抗微生 物剤の同定における使用のための改善されたアッセイ方法であって、 (a)基質を固体担体に固定化(affix)する工程、 (b)固体担体に固定化した基質とセンサータンパク質及び試験サンプルとを混 合する工程、 (c)混合物をあらかじめ決定した時間インキュベートする工程、 (d)固体担体を残りの混合物から分離する工程、及び (e)固体担体を調べて反応生成物が存在するか否かを測定し、前記試験サンプ ルの治療学的可能性を決定する工程、 からなる方法を開示する。 前記方法のある変形においては、本発明は、センサータンパク質は酵素又はそ の触媒作用的に活性な部分であることを企図している。別の変形においては、酵 素はキナーゼ酵素又はその酵素学的に活性な部分である。ある特定の態様におい ては、キナーゼはヒスチジンプロテインキナーゼである。 別の変形においては、混合物は更に高エネルギーリン酸源を含む。例えば、高 エネルギーリン酸源はATP又はGTPであってもよい。種々の態様においては 、高エネルギーリン酸源は標識化されている。 更に別の態様では、基質が細菌のタンパク質又はポリペプチド分子を含んでい ることを企図している。ある変形においては、基質は細菌のSPoOF又はその ポリペプチド部分を含んでいる。他方では、基質は更にリンカーを含んでいる。 典型的なリンカーのセットは1個以上のヒスチジン残基を含んでいる。 本発明の別の態様は、樹脂を含む固体担体を提供する。ある好ましい態様にお いては、樹脂はニッケル結合交換樹脂(nickel-conjugated exchange resin)( Ni樹脂)である。 代替の態様においては、本発明は、抗生物質、抗菌剤又は抗微生物剤を同定す るためのアッセイ方法であって、 (a)基質を固体担体に固定化する工程、 (b)固相に固定化した基質とセンサータンパク質、高エネルギーリン酸源及び 試験サンプルとを混合する工程、 (c)混合物をあらかじめ決定した時間インキュベートする工程、 (d)インキュベーション後、混合物を調べて、センサータンパク質の活性に及 ぼす試験サンプルの作用を決定する工程、 からなる方法を開示する。ある変形においては、調べる工程は、反応混合物の固 体担体からの除去、固体担体に残留する放射能量の測定、もし存在するならばセ ンサータンパクの活性に及ぼす試験サンプルの作用の決定を含んでいる。 本発明の方法のある代替の態様においては、高エネルギーリン酸源はATPで ある。別の態様においては、高エネルギーリン酸源はGTPである。 種々の態様においては、センサータンパク質は、細菌若しくは微生物のタンパ ク質又はその触媒作用的に活性な部分を含み、ある変形においてはセンサータン パク質は酵素を含む。種々の好ましい態様においては、センサータンパク質は微 生物若しくは細菌の酵素又はその触媒作用的に活性な部分を含む。 しかしながら、センサータンパク質は、酵素又はその触媒作用的に活性な部分 のみから構成される必要はなく、センサータンパク質はあらゆるタンパク質又は ポリペプチド分子を含んでいてもよい。例えば、本発明のセンサータンパク質は 、細菌又は微生物由来のタンパク質又はポリペプチドを含んでいてもよい。また センサータンパク質は、1つの分子の作用を他に効率的にシグナル伝達(signal )する修飾又は改変、例えば化学的修飾又は改変を受けることができるタンパク 質又はポリペプチドを含んでいてもよい。したがって、ある例示的な態様におい ては、センサータンパク質は、リン酸化を受けることができるタンパク質又はポ リペプチド分子を含む。 本発明のある態様においては、センサータンパク質はキナーゼ酵素又はそのポ リペプチド部分である。別の態様においては、センサータンパク質は、プロテイ ンキナーゼ又はそのポリペプチド部分と配列において相同性を示すタンパク質又 はポリペプチドである。別の好ましい変形においては、センサータンパク質はヒ スチジンプロテインキナーゼである。 本発明の種々の態様においては、基質は好ましくはセンサータンパク質により 作用を受けてもよいタンパク質又はポリペプチドを含む。したがって、ある例示 的な態様、例えばセンサータンパク質が酵素を含むときには、基質は前記酵素に より認識されるタンパク質又はポリペプチド分子を含む。 本発明のある開示された態様においては、基質はSpoOFタンパク質又はそ のポリペプチド部分を含む。別の態様においては、基質は更に、基質の末端の1 つに付着するリンカー又は「タグ」を含む。好ましい態様においては、リンカー 又はタグは基質のN末端に付着する。 本発明のある態様は、ゲル又は樹脂を含む固体担体を開示する。ある好ましい 変形においては、固体担体は樹脂であり、より好ましくはNi樹脂である。本発 明のアッセイ方法の好ましいその他の態様においては、酵素、基質又は特定の結 合剤のいずれかが標識化されている。代わりに、2種以上のアッセイの構成成分 が標識化されていてもよく、同定を容易にすることを促進するために、異なる構 成成分が異なる標識を有することは好ましい。種々の標識を利用することができ 、かつ当該技術分野で認識されており、これには放射性標識、免疫反応性標識( 例えば免疫グロブリン分子又はその免疫学的に活性な部分)、色素生産性標識、 蛍光性標識等が含まれる。 更に本発明は、新規抗生物質、抗菌剤又は抗微生物剤の同定方法であって、 (a)基質とキナーゼ酵素、高エネルギーリン酸源及び試験サンプルとを混合す る工程、 (b)混合物をあらかじめ決定した時間インキュベートする工程、 (c)工程bにおいて形成したあらゆる反応生成物を残りの混合物から分離する 工程、 (d)形成した反応生成物量を確認(ascertain)し、試験サンプルの治療学的 可能性を決定する工程、 からなる方法を開示する。ある変形においては、基質又は酵素は標識化されてお り、別の変形においては、両者が標識化されている。更に別の態様においては、 決定する工程(工程d)は、基質又は酵素と標識化免疫複合体を形成する、標識 化抗体を含んでいる。また、本発明は、前記のあらゆる方法において、標識が蛍 光性標識、放射性標識、ビオチンなどを含んでいてもよいことを企図している。 これらは幾つかの実施例に記載されている。 本発明の別の態様においては、基質は好ましくは固体担体に固定化される。あ る変形においては、固体担体は樹脂を含む。好ましい変形においては、樹脂はニ ッケル結合交換樹脂(Ni樹脂)である。 別の態様は、高エネルギーリン酸源がATP又はGTPであることを企図して いる。更に別の態様においては、酵素は、キナーゼ酵素のアミノ酸残基配列の配 列サブセットに対応するアミノ酸残基配列を有するポリペプチド又はキナーゼ酵 素を含んでいる。ある態様においては、キナーゼはヒスチジンプロテインキナー ゼである。しかし、別の態様においては、基質は細菌のタンパク質又はポリペプ チド分子を含んでいる。 また本発明は、種々のアッセイ系を開示している。例えばある態様は、分離し た容器を含む高処理能アッセイ系であって、 (a)固体担体に固定化した基質、 (b)センサータンパク質及び、 (c)高エネルギーリン酸源、 からなり、各成分が少なくとも1回のアッセイを行うのに十分な量で存在するア ッセイ系を開示している。 本発明のアッセイ系のある変形においては、基質、センサータンパク質又はリ ン酸源のいずれかが標識化されている。種々の好ましい態様においては、標識は 放射性標識又は「タグ」を含んでいる。その他の好ましい態様においては、標識 は蛍光性分子であるか、又は酵素、免疫グロブリン分子若しくはその免疫学的に 活性な部分(例えば、活性部位含有部分)を含んでいる。 本発明のアッセイ系においては、高エネルギーリン酸源が含まれていてもよい 。 ある変形においては、高エネルギーリン酸源はGTPである。 種々の態様においては、センサータンパク質は、細菌若しくは微生物のタンパ ク質又はポリペプチド分子を含んでおり、より好ましくは、センサータンパク質 は、微生物又は細菌の酵素を含んでいる。ある好ましい態様においては、センサ ータンパク質はキナーゼ酵素である。別の好ましい変形においては、センサータ ンパク質はヒスチジンプロテインキナーゼである。 別の変形においては、基質はSpoOFタンパク質又はそのポリペプチド部分 を含んでいる。別の態様においては、基質は更にそのN末端に付着する1以上の ヒスチジン残基を含んでいる。 本発明のある態様は、固体担体がゲル又は樹脂を含んでいることを開示してい る。ある好ましい変形においては、固体担体は樹脂、より好ましくはNi樹脂で ある。本発明のアッセイ方法のその他の好ましい態様においては、酵素、基質又 は特異的結合剤のいずれかが標識化されている。代わりに、2種以上のアッセイ の構成成分が標識化されていてもよく、同定を容易にすることを促進するために 異なる構成成分が異なる標識を有していることは好ましい。種々の標識を利用す ることができ、かつ当該技術分野で認識されており、これには放射性標識、免疫 反応性標識(例えば免疫グロブリン分子又はその免疫学的に活性な部分)、色素 生産性標識、蛍光性標識等が含まれる。 更なる変形においては、系は更に1種以上の試薬が固定化されている固体担体 を含んでいる。前記1種以上の試薬はあらかじめ固体担体に固定化されて供給さ れてもよく、代わりに、系又はキットの使用者により、後程、固体担体に固定化 してもよい。ある開示された態様においては、固体担体は樹脂を含んでいる。好 ましい変形においては、樹脂はNi樹脂である。 更に本発明は、1種以上の基質分子を含むアッセイ系を開示している。種々の 好ましい態様においては、基質は細菌のタンパク質又はポリペプチド分子を含ん でいる。ある変形においては、前記タンパク質又はポリペプチドはバチルス・ズ ブチリスに由来する。その他の変形においては、基質タンパク質又はポリペプチ ドはその他の細菌又は真菌種に由来する。 ある態様においては、本発明のアッセイシステムは、SpoOFタンパク質又 はそのポリペプチド部分を含む基質からなる。別の変形においては、基質は更に 、そのN末端に付着する1以上のヒスチジン残基を含む。 より詳しくは、本発明は、高処理能アッセイシステム又はキットを開示する。 前記システム又はキットは、以下に示す試薬: (a)固体担体に固定化した基質、 (b)センサータンパク質、及び (c)高エネルギーリン酸源、 を、それぞれ少なくとも1回のアッセイを行うのに十分な量で含んでいる。ある 変形においては、1種以上の試薬が標識化されている。別の変形においては、各 試薬は別々の容器に存在する。容器はパッケージ(package)又はキット内に都 合よく含まれている。種々の好ましい態様においては、パッケージ又はキットは 更に試薬使用のための指示を含んでいてもよい。 別の態様は、センサータンパク質が酵素又はその触媒作用的に活性な部分を含 むことを開示している。別の変形においては、高エネルギーリン酸源はATP又 はGTPである。前記したように、あらゆる試薬が標識化されていてもよい。 本発明のアッセイ系の更なる態様においては、酵素はキナーゼ酵素又はその触 媒作用的に活性なポリペプチド部分を含んでいる。ある変形においては、キナー ゼはヒスチジンプロテインキナーゼである。更なる変形においては、基質は細菌 若しくは微生物のタンパク質又はそのポリペプチド分子を含んでいる。例えば、 基質はSpoOFタンパク質又はそのそのポリペプチド部分を含んでいてもよい 。別の態様においては、基質は更にリンカーを含んでいる。ある変形においては 、リンカーは、基質に結合する1個以上のアミノ酸残基を含んでいる。種々の好 ましい態様においては、リンカーは、基質のN又はC末端に付着している。ある 好ましい態様においては、リンカーはN末端で基質に付着する1個以上のヒスチ ジン残基を含んでいる。 本発明のアッセイ系の別の態様においては、固体担体は樹脂を含んでいてもよ い。ある変形においては、樹脂はNi樹脂である。前記構成成分の種々の組み合 わせ及び前記の態様に対する種々の改変が、本発明の開示及び請求された発明の 範囲をこえることなく行われてもよいことは、当業者に理解されるだろう。 図面の簡単な説明 図1は、ヒスチジンリンカー又はタグ(「His−SpoOF」)を含むSp oOFのKinAによるリン酸化を図示している。SpoOF及びHis−Sp oOFを、1μM KinA 30μlにより、100μM ATP及び1μC i [γ−32P]ATP(>5000μCi/mmol)の存在下、22℃で1 0分間かけてリン酸化した。次いでリン酸化反応をSDS−PAGE及びオート ラジオグラフィーにより分析した。His−SpoOFをNi樹脂に固定化し、 フィルタープレート上でリン酸化し、実施例1に記載した様にしてSDS−PA GE及びオートラジオグラフィーにより分析した。レーン1および2:それぞれ 5μg及び10μgのSpoOF、レーン3及び4:それぞれ5μg及び10μ gのHis−SpoOF、レーン5:固定化His−SpoOF。 図2は、KinA濃度の固定化His−SpoOFのリン酸化に対する影響を 図示しており、v/v0(%)に対してKinA濃度(μM)をプロットした。 閉じた四角はホスホイメージャー(PhosphoImager)#を示し、閉じた円はcp mを示す。リン酸化反応を、1反応あたり、30μl His−SpoOF樹脂 (25%、v/v)及び1μCi [γ−32P]ATPを含有する100μM ATPを用いて、22℃で30分間かけて行った。データは、1μMKinAに 対する相対活性として示した。各データ点は、二重反復試験の平均値を示してい る。 図3A及び3Bは、種々のATP濃度における固定化His−SpoOFのリ ン酸化を図示している。図3Aにおいては、ATP濃度(μM)をcpmに対し てプロットし、kmは70μMであった。図3Bにおいては、ATP濃度(μM )をホスホイメージャー#に対してプロットし、kmは72μMであった。リン 酸化反応は、1反応あたり30μlのHis−SpoOF樹脂及び1μMKin Aを用いて、22℃で20分間かけて行った。全てのデータ点において、[γ−32 P]ATPのATPに対する割合は、1μCi:100μMであった。実線は 、示したkm値を用いたミカエリスーメンテン式におけるデータの適合(fitting )を示している。各曲線は3つの独立した実験の代表例である。図3 A:シンチレーション計数。図3B:SDS−PAGE分析。 図4は、固定化したHis−SpoOFのリン酸化の経時変化を図示している 。時間(分)をv/v0(%)に対してプロットした。閉じた円はcpmを示し、 閉じた四角はホスホイメージャー#を示している。リン酸化を、1反応あたり、 30μl His−SpoOF樹脂(25%、v/v)、1μM KinA及び 2μCi [γ−32P]ATPを含有する400μM ATPを用いて行った。 データを40分間の反応における相対活性として示す。 発明の詳細な説明 A.定義 アミノ酸残基:例えばポリペプチドのペプチド結合の化学的消化(加水分解) において生成するアミノ酸。本明細書に記載したアミノ酸残基は好ましくは「L 」型異性体形態である。しかしながら、所望の機能特性がポリペプチドにより維 持される限り、L型アミノ酸残基を「D」型異性体形態の残基で置換することが できる。NH2は、ポリペプチドのアミノ末端に存在する遊離アミノ基を意味す る。COOHは、ポリペプチドのカルボキシル末端に存在する遊離のカルボキシ ル基を意味する。標準化されたポリペプチドの命名法(J.Biol.Chem.、243: 3 552-59(1969)に記載されており、37 C.F.R.§1.822(b)(2 )に適合している)と一致させて、アミノ酸残基に対する略語を以下の対応表に 示す。 本明細書において式により示された全てのアミノ酸残基配列は、アミノ末端か らカルボキシル末端という通常の方向において、左から右への配向を有している 。更に、「アミノ酸残基」という句は、対応表に掲載されたアミノ酸並びに修飾 されたアミノ酸及び通常とは異なるアミノ酸(unusual amino acid)、例えば3 7 C.F.R. §1.822(b)(4)(参照することによって本明細書 に組み込まれる)に掲載されたアミノ酸を含むよう広く定義される。更に、アミ ノ酸残基配列の始まり及び末端におけるダッシュは、更なる1以上のアミノ酸残 基の配列への結合又はアミノ末端基、例えばNH2若しくはカルボキシル末端基 、例えばCOOHへのペプチド結合を示している。 本明細書に使用されている「保存的置換(conservative substitution)」と いう用語は、1つのアミノ酸残基を別の生物学的に類似の残基により置換するこ とを示していることを意味する。保存的置換の例には、ある疎水性残基、例えば Ile、Val,Leu又はMetによる別の残基の置換、又はある極性残基に よる別の残基への置換、例えばArg及びLys間、Glu及びAsp間若しく はGlu及びAsn間等の置換が含まれる。また、「保存的置換」という用語は 、未置換の親のアミノ酸の代わりに置換されたアミノ酸を使用し、得られたポリ ペプチドが必要な結合活性を示すような場合も含む。 ある例においては、イオン性残基の逆に荷電したイオン性残基による置換、例 えばAspのLysによる置換は、当該技術分野において保存的であると呼ばれ る。なぜなら、これらのイオン性基が単に溶解性の補助を提供するものと考えら れているからである。一般的に、検討すべき置換が、タンパク質全体と比較して かなり短い合成ポリペプチド抗原についてのものである場合、イオン性残基の反 対に荷電した別のイオン性残基による置換は、本明細書においては「基置換(ra dical replacement)」であるとみなす。非イオン性及びイオン性残基間の置換 及び例えばかさの大きい(bulky)残基、例えばPhe、Tyr又はTrpとか さの小さい残基、例えばGly、Ile及びValとの間の置換も同様である。 種々の文法形態(grammatical form)における「対応する」という用語は、ポ リペプチド配列に関連して本明細書及び請求の範囲において使用され、アミノ末 端又はカルボキシル末端のいずれかにおいて3個までのアミノ酸残基を付加又は 削除されたポリペプチド配列であって、ポリペプチド配列に沿った特定のアミノ 酸残基における保存的置換のみを含むポリペプチド配列を意味する。 ポリペプチド及びペプチド:「ポリペプチド」及び「ペプチド」は、本明細書 において互換的に使用される用語であって、せいぜい約50個のアミノ酸が、互 いに、隣接するαアミノ基とカルボキシル基との間のペプチド結合により結合し ているシリーズ(series)を示す。 タンパク質:「タンパク質」は、ポリペプチド中で結合した50個をこえるア ミノ酸残基の(直線状の)シリーズを示すために、本明細書で使用される用語で ある。 受容体:「受容体」及び「受容体タンパク質」は、他の分子に(又はと共に) 特異的に結合する、生物学的に活性なタンパク質性分子を示すために、本明細書 で使用される用語である。 「実質的に相同」とは、1以上の置換、欠失又は付加により基準配列(refere nce sequence)とは異なるが、その正味の作用が、基準及び対象となる配列の間 において、反対の機能的相違点を引き起こさない特定の対象となる配列又は分子 、例えば変異配列を意味する。本発明の目的に対して、90%をこえる類似性を 有し、生物学的活性が同等、かつ発現特性が同等のアミノ酸配列は、実質的に相 同であるとみなされ、「キナーゼ」及び「プロテインキナーゼ」という用語によ って定義されるタンパク質の範囲に含まれる。40%をこえる類似性を有するア ミノ酸配列は実質的に類似しているみなされる。相同性又は類似性を決定する目 的のためには、基準配列の切断(truncation)又は内部の欠失を無視し、続く分 子の修飾、例えばグリコシル化がなされるべきである。程度の低い相同性及び比 較できる生物活性を有する配列は同等物とみなされる。 本明細書において、組成物、担体、希釈剤及び試薬について言及するために使 用される、用語「薬学的に許容しうる」、「生理学的に耐容しうる」及びその文 法学的変形は互換的に使用され、アレルギー性又は類似の有害な生理学的作用、 例えば悪心、めまい、異常亢進等なしに、哺乳類、特にヒトに投与することがで きる物質を表わす。 本明細書において使用される「生理学的に投与することができる組成物」とい う用語は、哺乳類の体内に、非経口的、経口又は直腸投与により容易に提供する ことができる溶液、懸濁液及び混合物を意味し、注射液、エマルジョン等を含む 。 種々の記号がいたるところで使用されるが、特に定義しない限り、それらの記 号は関連する技術分野において理解されている用法と一致した様式で使用される 。例えば、ある記載/式においてしばしば文字「P」に先行して用いられる記号 「〜」は、高エネルギー結合を表わす。 用語「単位投与量」は、本発明の治療組成物についての言及で使用されるとき 、ヒトに対する単位投与に適した、物理的に分離した単位を意味し、各単位は、 必要な希釈剤、例えば担体又はビヒクルと共同して所望の治療効果を生ずるよう に計算された活性物質のあらかじめ決定した量を含む。 本発明の組成物は、投与形態に適合した方法で、治療学的有効量で投与される 。投与量は、治療対象及び治療対象の活性成分を利用する能力に依存する。投与 に必要な活性成分の正確な量は、開業医の判断に依存し、各個体に特有である。 しかしながら、適当な投与量範囲は、1個体、1日あたり、1から数mgの活性 成分のオーダーの範囲内にあり、投与経路に依存する。 初回投与及び追加投与(booster shot)用の適当な療法も変化するが、典型的 には、初回投与に続く1時間以上の間隔をおいた繰り返しの投与、続く投与又は その他の投与により行われる。代わりに、血中の治療学的有効濃度を維持するの に十分な連続静脈内注入も企図される。 B.2成分調節スイッチ 1.一般的な背景 最近、新しい環境に適応するために細菌細胞/生物を修飾する遺伝子の転写を 活性化することにより、細菌が環境ストレスへ反応することが明らかになった。 環境ストレッサー、例えば浸透圧衝撃、電解質平衡、窒素窮乏、リン酸塩若しく は炭素源の欠乏又は酸素濃度の変化は、細菌性生物を維持するか又は新しい環境 状態に対処する能力を発達させることを許容する特定の代謝経路及び/又は生化 学系を誘導する。その他、より一般的な細菌の過程も、適合系又は経路を引き起 こすかもしれない。前記の過程には運動性、走化性、酵素の分泌、ヘキソースの 運搬及び病原性が含まれる。これらの系は全て共通の「トリガー」、すなわち本 明細書に2成分調節スイッチとして記載されているものを経て、転写の変化を誘 導するシグナルを共有している。 2成分調節スイッチは、一般的に、シグナル伝達機構により自己リン酸化物( autophosphorylate)に活性化される、ヒスチジンプロテインキナーゼを含んで いる。これがいったん起こると、リン酸化キナーゼはホスホトランスフェラーゼ として作用し、特定の領域、通常は1種以上のヌクレオチド配列又は遺伝子の転 写に最終的に影響する調節タンパク質のアミノ末端ドメインをリン酸化する。 胞子形成開始のためのシグナル伝達系のコアは、本発明者等がホスホリレー( phosphorelay)と名づけた、一連のリン酸転移反応である。ホスホリレーは、 細菌における環境応答を制御するために使用される2成分刺激−応答機構の重要 な変形である(Stock ら、Nature、344: 395-400(1990)参照)。その単純な形 態において、前記の系は、シグナル伝達トランスミッターであるプロテインキナ ーゼを使用し、応答調節因子(response regulator)をリン酸化する。後者のタ ンパク質は、多数の系においては転写活性化因子である。一方、ホスホリレーに おいては、ある応答調節因子に由来するリン酸基は、SpoOBタンパク質ホス ホトランスフェラーゼにより第二の応答調節因子に転移する。SpoOBタンパ ク質ホスホトランスフェラーゼは、トランスミッターキナーゼに対する相同性が 未知であり、このことは前記キナーゼにおいてみられるホモロジーが、ATPの 結合及び自己リン酸化反応に関連していることを示唆している(Stock ら、前掲 )。 本発明者等の、種々の細菌の属及び種における2成分調節スイッチの研究によ り、幾つかのことが明らかになった。第一は、ヒスチジンプロテインキナーゼは 相同領域を全て共有しており、このことは共通の前駆遺伝子(progenitor gene )に由来していることを示唆しているということ。第二は、リン酸受容体(phos phoreceptor)タンパク質のアミノ末端ドメインは、細菌内の属から属の間及び 調節系から次の調節系で高度に保存されているということ。最後は、この種の2 成分調節スイッチは細菌に特有であるらしいということである。 それゆえ、2成分調節スイッチは、治療を受ける生物における2成分系と争う (encounter)可能性のない、ヒトを含む高等生物の抗微生物療法の特有の標的 を含んでいると思われる。本明細書において、抗微生物性抗生物質の設計が、キ ナーゼ及びその保存された調節標的ドメインの構造の解明に従う合理的な薬剤設 計方法論により達成されてもよいことが提案される。 2.バチルスにおける2成分スイッチ バチルス・ズブチリスにおける胞子形成は、ホスホリレー機構により制御され ている(Burbulysら、Cell,64: 545-552(1991))。この過程における第一段階 の1つは、KinA遺伝子によりコードされるプロテインキナーゼの活性化を含 んでいる。KinA酵素は、有害環境下における適合及び生存のために必要な細 菌のプロテインキナーゼの特有のクラスの一員である(Bourret ら、Ann.Rev. Biochem.、60: 401-441(1991))。これらのキナーゼの必須の性質及び細菌細胞 における外観上の遍在的な存在のために、これらのキナーゼの活性を阻害する因 子の同定は、抗生物質の新規なクラスの開発を導くだろう。 これらのキナーゼは、そのカルボキシル末端側において非常に程度の高い配列 相同性を示し、したがってこのクラスの一員におけるこの部分との相互作用を経 て機能する阻害剤は、このクラスのその他のメンバーの阻害剤であろう。本発明 者等は、KinA酵素の活性に作用する因子を調査し、胞子形成におけるその特 異的な役割を十分に理解するだけではなく、広範囲のスペクトルを有する抗生物 質として機能する阻害化合物を同定しかつ開発している。 2成分スイッチは新規抗生物質の有望な標的を表わすという本発明者等の信念 を支持する最初の知見は、ある脂肪酸はKinA酵素の活性をインビトロで阻害 することを示した。本明細書に記載したものを含む本発明者等のデータは、最も 強力な脂肪酸に由来する阻害剤は、炭素数約16から20の長さであり、カルボ キシル基の11個の炭素原子内に少なくとも1つのシス−不飽和結合を有してい ることを示唆している。トランス構造内に二重結合を有する異性体は阻害性がな い。更なる証拠は、前記の基準に適合するが、主鎖から分岐したメチル基を含む その他の脂肪酸は阻害性がより強くなることを示唆している。これらの特定の脂 肪酸はそれ自身では抗生物質としては有用ではないかもしれないが、その化学的 及び構造上の特徴の分析は、新規な見識を与え、新規な抗生物質の設計及び合成 を導く。 バチルス・ズブチリスにおける胞子形成の開始は、1種以上のプロテインキナ ーゼの活性に依存した、ホスホリレー機構を経たリン酸化により活性化されるS poOA転写因子により制御される。プロテインキナーゼの1つであるKinA の酵素活性は、前記のある脂肪酸によりインビトロで阻害されることが見出され ている。飽和した、直鎖又は分岐した脂肪酸はいずれも、シス構造内に不飽和二 重結合を有する脂肪酸阻害剤と比較して、非常に弱い阻害剤であるか又は全く作 用がない。阻害剤はKinAの自己リン酸化を阻害しかつATPとは非競合的で ある。 バチルス・ズブチリスは、少なくとも1種の未だ未同定の脂肪酸を含んでおり 、この脂肪酸は非エステル化形態で存在するとき、KinAを阻害することが見 出 されていた。この結果は、特定の不飽和脂肪酸の濃度が、胞子形成の開始の膜合 成及び中隔形成の状態又はその他の特有の膜に関連した活性へのシグナルの連結 (signal linking)として作用することを示唆している。 どのようにして及びなぜ細胞は発達性変化(developmental transition)を受 けるのかを明らかにするために、2つの基本的な問題に注意を向けなければなら ない。第一はこの過程を開始する代謝及び環境シグナルは何であるのかといいう ことであり、第二はどのようにしてこれらのシグナルは細胞の機構と関連して遺 伝子発現の変化をもたらすのかということである。栄養の欠乏に反応してのバチ ルス・ズブチリス細胞の胞子形成は、分子レベルにおける単純な細胞分化を研究 するための有用な系である。 この過程の一次段階に含まれるシグナル伝達機構の基本的な特徴は文献に記載 されている(Burbulysら、Cell、64: 545-552(1991);Trach ら、Res. Microbio l.、142: 815-823(1991))。 しかしながら、この系を活性化の原因となる代謝及び環境シグナルの正確な性 質はほとんど未知である。これらのシグナルの第一の明白な作用は、主にKin A遺伝子によりコードされる1種以上のプロテインキナーゼの自己リン酸化を引 き起こすことである(Burbulysら、Cell、64: 545-552(1991);Antoniewsky ら 、J.Bacteriol.、172: 86-93(1990);Peregoら、J. Bacteriol.、171: 6187- 6196(1989))。リン酸基形態にあるシグナルは、次いでSpoOFタンパク質 に転移する。異なるセンサーキナーゼによりリン酸化されることができるので、 SpoOFは二次メッセンジャーとしての役割を果たし、種々の入力シグナルを 統合し、この経路の次の段階への情報を導く(channel)。この経路はホスホリ レーと名づけられている(Burbulysら、前掲1991))。SpoOF〜P上のリン 酸基は、ホスホプロテイン−ホスホトランスフェラーゼ(SpoOB遺伝子にコ ードされる)により触媒される反応において、SpoOAタンパク質へ転移する 。 リン酸化SpoOAは、胞子形成の開始段階の間の遺伝子発現の「再プログラ ム(reprogram)」として役立つ転写調節因子である。これは、転写のリプレッ サー及びアクチベーターの両者として機能する。その他の活性の中では、 abrB遺伝子の転写を抑制し(Strauch ら、PNAS USA、87: 1801-1805(1990) )、AbrBの制御下にある遺伝子の発現を誘導し(Strauch 及びHoch、Biolog y of Bcilli: Applications to Industry 、Doi(編)、Butterworth-Heine-Man n、Stoneham、MA、pp.105-121(1992);Strauch、Bacillus subtilis and Other Gram Positive Bacteria、Losickら編、(1992);Strauch ら、EMBO J.、8: 16 15-1621(1989))、胞子形成に特異的なRNAポリメラーゼσ因子をコードす る遺伝子を含むspollA及びspollGオペロンの発現を活性化する(Tra ch ら、Res.Microbiol.、142: 815-823(1991)、Satolaら、PNAS USA、88: 45 33-4537(1991))。 センサーキナーゼの自己リン酸化を誘導するシグナルはほとんどが未知である 。答えを発見するために、KinA酵素を発現させ、精製し(Peregoら、J.Bact eriol.、171: 6187-6196(1989))、インビトロ活性のアフェクター(affecte r)の広範囲の探索を行った(未公開のデータ)。本明細書において、シス−不 飽和脂肪酸、例えばシス−バクセン酸及びパルミトレイン酸は、KinAの自己 リン酸化の強力な阻害剤であることが報告されている。その他の有用な阻害剤を 同定する方法も本明細書に記載されている。 対照的に、エライジン酸及びトランス−バクセン脂肪酸、例えばステアリン酸 及びパルミチン酸等の飽和形態並びにイソ−分岐種(iso-branched species)を 含むトランス異性体は阻害作用がほとんどないか又は全くない。しかしながら、 これらのリン脂質を処理して遊離の脂肪酸を放出させたとき、抽出された脂肪酸 混合物は阻害性があり、このことはKinAを制御する天然の脂肪酸の存在を示 している。 本発明の態様の種々の組み合わせが本発明の範囲に含まれることは理解される べきである。本発明のその他の特徴及び利点は、前記の記載、実施例及び請求の 範囲から明らかになるだろう。 C.アッセイ系及び方法 本発明の1つの有用なアッセイ法は、「試験サンプル」、例えば可能性のある 抗生物質、抗微生物剤又は抗菌剤についての評価を望む組成物又は化合物と、本 明細書に記載された基質又はセンサータンパク質とを混合することからなる。し たがって、形成した反応混合物を、好ましくは適当なアッセイ条件下、例えば基 質がリン酸化される(又はされない)のに十分な時間であって、試験サンプルの 阻害作用に依存する時間維持する。 次いで、好ましくはあらゆる反応生成物を、混合物中に存在するあらゆる未反 応抗体から分離する。次いで形成した反応生成物の存在、所望によりその量を測 定する。次いで形成した生成物の量と、細胞により発現した受容体の量又は発現 した可溶性抗原の量とを相関させる。形成した免疫反応生成物の存在又は量の測 定は、生成物を同定するために選択した方法に依存する。例えば、標識化抗体を 使用して、本発明のタンパク質又はポリペプチド分子(基質又はセンサータンパ ク質)を有する標識化免疫複合体を形成してもよい。標識化免疫複合体を、各標 識、例えば本明細書に記載された蛍光性標識、放射性標識、ビオチン標識等を検 出するための適当な方法により定量化してもよい。 本発明の更なる観点においては、本発明のアッセイにおいて得られたデータを 、有形の媒体、例えば記憶機器又はハードコピーバージョンを経て記録する。デ ータは、商業的に入手することができる標準的なアナログ/デジタル(A/D) 装置により、自動的に入力及び記憶させることができる。また、データの瞬間的 な相関を示すデータを最高の状態で示すことを望むとき、データを呼び戻し、か つ報告又は表示させることができる。したがって、本発明の方法に使用するのに 適した装置及びソフトウェアは本発明の範囲内に含まれる。 特に「キット」形態にパッケージされたアッセイ系に関して、アッセイの構成 成分を別々の容器内にパッケージすることが好ましい。各容器は少なくとも1回 のアッセイを行うのに十分な量の試薬を含んでいる。本明細書において更に記載 される様に、1種以上の試薬が標識化されていてもよく、代わりに、標識化剤を 容器内のキットに提供してもよい。 好ましいキットは、典型的には、本発明の試薬に対する1種以上の容器を含む 封入物(enclosure)(パッケージ)として供給される。典型的には、キットは 更に標識化剤を含み、反応生成物の形成を表示する。 標識は、一般的に利用しうるあらゆる物であってよく、制限なしに、フルオレ セイン、フィコエリトリン、ローダミン、125I等を含む。その他の例示的な標 識には、111In、99Tc、67Ga、132I、32P並びに非放射性標識、例えばビ オチン及び酵素に結合した抗体が含まれる。タンパク質又はポリペプチド分子に 結合又は組み込まれていてもよい標識又は指示手段が、本発明により企図される 。更に、企図された標識は別々に使用してもよく、またこれらの原子又は分子は 単独又は追加の試薬と共に使用してもよい。この性質を有する多数の有用な標識 が、臨床診断化学分野において既知である。 標識のポリペプチド及びタンパク質への結合も周知である。例えば、ハイブリ ドーマによって産生した抗体分子を、培養培地中の成分として提供される放射性 同位体含有アミノ酸の代謝による取り込みにより標識化してもよい。例えば、Ga lfreら、Meth.Enzymol.、73: 3-46(1981)を参照のこと。活性化された官能基 を経てのタンパク質結合又はカップリング技術は特に適用性がある。例えば、Au rameasら、Scand.J.Immunol.、Vol.8、Suppl.7:7-23(1978)、Rodwell ら、B iotech.、3: 889-894(1984)及び米国特許第4,493,795号(後者は参 照することにより本明細書に組み込まれる)を参照のこと。 本発明の診断系は更に特異的な結合剤を含んでいてもよい。「特異的結合剤」 は、本発明の試薬種に選択的に結合することができるが、自身は本発明の試薬種 ではない化学種である。代表的な特異的結合剤には、抗体分子、補体タンパク質 又はその断片、タンパク質A等が含まれる。そのような特異的結合剤は標識化剤 としても有用であろう。種々の態様においては、特異的結合剤は標識化されてい る。しかしながら、系が標識化されていない特異的結合剤を含むときには、前記 薬剤は典型的には増幅手段又は試薬として使用される。これらの態様においては 、増幅手段が本発明の試薬の1つを含んでいる複合体に結合するとき、標識化特 異的結合剤は増幅手段に特異的に結合することができる。 好ましい態様においては、試薬成分の1つを固体マトリックスに固定化し、本 発明のアッセイシステム又はキット中に別々にパッケージされる固体支持体を形 成してもよい。当該技術分野における当業者に周知の固定化のその他の様式、例 えば特異的結合法等を使用してもよいけれども、水性媒体からの吸着により、試 薬を固体マトリックスに固定化してもよい。試薬分子を固体担体に結合するその 他の手段は本明細書に開示されている。例えば、本明細書に記載された基質分子 のN末端に位置するヒスチジン残基を効率的に使用して基質を固体担体に結合す ることができるだろう。 有用な固体マトリックス材料には、誘導体化された架橋デキストラン(ファル マシア ファイン ケミカルズ(Pharmacia Fine Chemicals)(ピスカタウェイ (Piscataway)、ニュージャージー)より商標名セファデックス(SEPHAD EX)で入手可能)、誘導体化及び/又は架橋形態にあるアガロース、直径約1 μmから約5mmのポリスチレンビーズ(アボット ラボラトリーズ(Abbott L aboratories)、ノースシカゴ、イリノイより入手可能)、塩化ビニル、ポリス チレン、架橋ポリアクリルアミド、ニトロセルロース又はナイロンを基本とした ウェブ(web)、例えばシート、小板(strip)、管、プレート、マイクロタイタ ープレートのウェル、例えばプレートと同一の材料又はポリスチレン、ポリ塩化 ビニル等から作成されたウェルが含まれる。好ましい固体マトリックス(支持体 )は、Ni樹脂(ニッケル結合交換樹脂)を含んでいる。 本明細書に記載された試薬種、標識又は標識化結合剤は、溶液状態、例えば分 散液(liquid dispersion)又は実質的に乾燥した粉末、例えば凍結乾燥形態で 提供されてもよい。試薬が酵素である場合、酵素の基質は、キット又は系の別々 のパッケージで供給されてもよい。通常、試薬は不活性雰囲気下でパッケージさ れる。固体支持体、例えば前記のマイクロタイタープレート及び1種以上の緩衝 液を、診断アッセイ系の別々にパッケージした要素内に含めてもよい。 診断系は一般的に従来の容器(package)に含まれる。前記容器にはガラス、 プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリカーボネート) 製のビン、バイアル、プラスチック及びプラスチック箔を積層したエンベロープ (envelope)等が含まれる。 パッケージした試薬の使用における手引きを提供する印刷された指示も、種々 の好ましい態様に含まれる。「指示」又は「使用に対する指示」という用語は、 典型的には試薬濃度又は少なくとも1種のアッセイ方法のパラメーター、例えば 混合する試薬及びサンプルの相対量、試薬/サンプル混合物の維持時間、温度、 緩衝条件等を記載した具体的な表現を含んでいる。 以下において、ヒスチジンプロテインキナーゼを好ましいセンサータンパク質 として検討する間、広範囲の細菌種(バチルス・ズブチリスを含むがこれに限定 されない)に由来するその他のタンパク質(及びそのポリペプチド部分)は、本 発明によって企図されることが明確に理解される。したがって、例えば本発明の 有用なセンサータンパク質は、プロテインキナーゼのポリペプチド部分において 配列相同性を示すポリペプチドを含んでいてもよい。更に、本発明のタンパク質 又はポリペプチドは、活性なセンサータンパク質の配列サブセット(sequential subset)と一致していてもよく、ここで「配列サブセット」とは、ポリペプチ ドが、巨大なタンパク質又はポリペプチドのアミノ酸配列のサブセットと一致す るアミノ酸残基配列を有するという事実を意味している。例えば、「ABCDE FGH」がポリペプチドであるならば、例示的な配列サブセットは「ABC」、 「BCDE」、「DEFGH」、「ABCDEFG」等であり、逆に言えば「A CBD」は前記のサブセットには含まれないだろう。 実施例 以下に示す実施例は本発明を説明するものであるが、これに限定されない。 実施例1 高処理能アッセイ 本発明のヒスチジンプロテインキナーゼ用の高処理能アッセイは、阻害剤スク リーニング目的に特に有用である。SDS−PAGE分離又は酸沈殿なしの、ヒ スチジンプロテインキナーゼ活性用のアッセイ系が更に記載されている。バチル ス・ズブチリス KinA(ヒスチジンプロテインキナーゼ)及びSpoOF( 同族の応答調節因子)を、それぞれキナーゼ及び基質として使用する。このアッ セイ系は、その他のプロテインキナーゼ及びその基質に対しても適用することが できる。この系の動力学的特徴及び本発明のアッセイ系のヒスチジンプロテイン キナーゼ用の高処理能アッセイへの適合も本明細書に示される。 A.材料及び方法 バチルス・ズブチリス KinA及びSpoOFを、既知の方法に従い、以下 に示す様にして大腸菌(E.coli)で発現させ、精製した(Peregoら、J. Bacteri ol.、171: 6187-96(1989);Trach 及びHoch、Molec.Microbiol,8: 69-79(19 93)参照)。 1.KinAの精製プロトコル a.細胞の増殖 新しいプレート、好ましくは4℃で保存し、4週間を経過していないプレート からバチルス・ズブチリスの小さなコロニーの一つを選択した。100μg/m lのアンピシリンを補充したルリア−ブロス(LB)に、2ml×2を接種した 。培養を37℃で振盪(300rpm)しながら7から8時間培養した。100 μg/mlのアンピシリンを補充した250mlのLBに、2.0mlの培養物 を接種し、37℃で振盪(300rpm)しながら一晩培養した。 翌朝、培養物25mlを採取し、100μg/mlのアンピシリンを補充した LB 1リットルに接種した。37℃で、振盪(200rpm)しながら、O. D.600=0.5から0.7になるまで(約3.5時間)培養した。フラスコを 30℃の環境に移し、1時間培養した。0.2mMのIPTGを用いて誘導し、 30℃で振盪(300rpm)しながら3から4時間培養した。 細胞を収集し、超音波処理用緩衝液を用いて洗浄し(1つの管に全ての細胞を 入れた)、−70℃で保存した。 b.精製 以下に示す全ての工程は好ましくは4℃下で行われるべきである。細胞1g毎 に、プロテアーゼ阻害剤を含む超音波処理用緩衝液5mlを添加し、再懸濁して 、均一な細胞懸濁液にした。超音波処理は以下に示すようにして調製(formulat e)した。25mM Tris、pH8.0(4℃)、1mM EDTA、1m M BME及び10mM KCl。プロテアーゼ阻害剤を以下に示すようにして 調製した。 好ましくは、プロテアーゼ阻害剤は、使用する直前まで超音波処理用緩衝液に 添加すべきではない。 ラージチップ(large tip)を使用して細胞懸濁液(氷中)を超音波処理した 。好ましくは、各回毎に30から40秒間のバースト(burst)を5回使用した 。次いで細胞懸濁液を18,00rpmで30分間遠心(spin)した。 上清の容積を測定した。飽和NH4SO4溶液の必要量を添加し、35%飽和に した。氷浴中の撹拌プレート上でゆっくりと撹拌した溶液にゆっくりと添加した 。全てのNH4SO4を添加した後、更に30分間撹拌した。30分間遠心した。 18,000×gであった。KinAはペレット状になり、上清をゲルにおける 使用のために保存した。 ペレット(101の培養液に由来する細胞)を、超音波処理用緩衝液及び阻害 剤の70ml中で再懸濁した。この工程を注意深くかつゆっくりと行い、ボルテ ックスはしなかった。ペレットをできるだけ完全に溶解するよう試みた。 超音波処理用緩衝液4lに対してサンプルを1時間かけて透析した。別の超音 波処理用緩衝液4lに交換し、新たに透析した。ロード(loading)する前に、 18,000rpm(18,000×g)で20分間遠心した。 超音波処理用緩衝液中で平衡化したアフィゲル(Affigel)カラム(101の 培養に由来する細胞に対して)40mlを調製(set up)した。サンプルを、約 1ml/分でカラムにロードし、続いてエクステンシブ ウォッシュ(extensiv e wash)(Abs250=0.001まで)した。1M KClを含む超音波処理 用緩衝液を用いて溶離した。 Abs280>0.1である画分をプールした。プールしたサンプルを、直ちに 超音波処理用緩衝液4lに対して透析した。1時間毎に交換する緩衝液を全部で 3×4lで用いた。必要の場合には、画分を、第3の緩衝液中で一晩放置しても よい。 FPLCにおけるQ−セファロースカラム(101の培養に由来する細胞に対 して)20mlを調製した。2つのポンプ(both pumps)を洗浄することにより 開始し、1M NaCl 40mlを2ml/分で次いでS.B. 100ml を3分/mlで用いて洗浄した。ポンプC及びスーパーループ(superloop)を 洗浄した。 サンプルを2ml/分でロードし、続いて超音波処理葉間漿液で洗浄した。A bsが0.001に近づいたとき、200mM KinA 約300mlを含む 超音波処理用緩衝液を用いて洗浄した。かなり良好なピークが溶離したが、Ki nAを含んでいなかった。超音波処理用緩衝液中の200mMから300mM KCl勾配を全量で250mlで用いてKinAを溶離した。ピークにおける画 分のAbs280を測定した。この際、Abs280が1mg/ml=1であることを 使用して、KinA濃度を推定することができた。 等量のタンパク質に基づき、前記画分のATPアーゼ活性を測定した。HTP アッセイに対して低いATPアーゼ活性を示した画分をプールした。プールを、 保存用緩衝液(storage buffer)4l中で1時間かけて透析した。緩衝液を交換 して更に1時間かけて透析した。 40%グリセロールを含む保存用緩衝液 4l中で一晩透析した。保存用緩衝 液は50mM Tris−HCl、pH8.0(4℃)及び1mM B−MEを 含んでいた。 少量のアリコート中のKinAをアリコートし、−20℃で貯蔵した。 2.SpoOFの精製 SpoOFを、標準的なプロトコルにしたがい精製してもよい(例えば、Burb ulysら、Cell、64: 545-552(1991))。His−SpoOFの精製を、以下に記 載するようにして行った。 ヒスチジンリンカー配列を含むSpoOF(本明細書においては、「Hisを タグしたSpoOF」又は「His−SpoOF」としても同定される)を、キ アゲン(Qiagen)(チャツワース(Chatsworth)、アイオワ)から入手したpE T16発現系を製造者の指示に従い用いて構築し、発現させ、精製した。SDS −PAGE分析により組換えタンパク質が95%以上の純度であると決定した。 SpoOF濃度を、吸光係数(ε275nm=7000M-1cm-1)を用いて測定し た(Kentebe ら、未公開の結果)。His−SpoOF濃度を、ピアース ケミ カルズ(Pierce Chemicals)、(ロックフォード(Rockford)、イリノイ)より 入手したBCAキットを用いて、標準としてSpoOFを用いて測定した。Ki nA濃度を、標準としてウシ血清アルブミンを用いたブラッドフォードアッセイ を用いて測定した。[γ−32P]ATP(>5000Ci/mmol)(アマシ ャム(Amersham)(アーリントン ハイツ(Arlington Heights)、イリノイ) より入手)を除く、使用した全ての化学薬品はシグマ(Sigma)(セントルイス (St.Louis)、ミズーリ)より入手した。 B.リン酸化アッセイ KinAが仲介するSpoOFのリン酸化を、20ml MgCl2、0.1 mM EDTA及び5%グリセロールを含む50mM EPPS緩衝液(pH8 .5)を全容積30μlで用いて行った。KinA、SpoOF又はHis−S poOF、ATP及び[γ−32P]ATPを示した濃度で含んでいた。22℃で 指定した時間インキュベートした後、反応を、272mM Tris−HCl, pH6.8、1.4%SDS、22%グリセロール及び313mM 2−メルカ プトエタノールを含む5×SDS−PAGEローディング色素(loading dye) を添加することにより終了させた。サンプルを直ちにドライアイス中で凍結させ 、SDS−PAGE分析の直前まで保存した。 サンプルを、10%から20%勾配ゲルにロードし、次いでLaemmli(Nature( London)、227: 680-685(1970))に従い、色素の先端部がゲルの長さの約80 %に移動するまで電気泳動した。色素の先端部を含むゲルの下部を除去し、取り 込まれなかった[γ−32P]ATPによるバックグラウンドの放射を低下させた 。ゲルを水を用いて簡単に洗浄した。過剰量の水を除去した後、ゲルをプラスチ ック製ラップ(wrap)で覆い、1から3時間ホスホイメージャースクリーン(モ レキュラー ダイナミックス(Molecular Dynamics)(サニーヴェール(Sunnyv ale)、カリフォルニアより入手)に曝露した。各バンド放射能の定量を、ホス ホイメージャー系を用いて行った。ある場合においては、既知量の放射能をフィ ルターペーパーの1つにスポット(spot)し、ゲルと共にスクリーンに曝露し、 標準として使用し、サンプルについてホスホイメージャーより得た値(reading )をcpmに変換した。 C.His−SpoOFのNi樹脂への結合 50mM Tris−HCl、pH8.0、100mM KCl、20mMM gCl2、0.1mM EDTA及び5%グリセロール(緩衝液A)中の精製さ れた1mg/mlのHis−SpoOFと、緩衝液中A中の50%(v/v)N i樹脂0.4容積とを混合した。混合物を4℃で振盪しながら3時間インキュベ ートした。簡単な遠心の後、上清を樹脂から分離し、BCAアッセイに付し、未 結合のHis−SpoOF量を測定した。樹脂を、緩衝液Aを用いて3回洗浄し 、緩衝液A中に再懸濁し、終濃度を25%(v/v)にした。Ni樹脂に対する His−SpoOFの結合能力は92%±4.2%(n=5)であった。得られ た樹脂の特異性は、約1μg His−SpoOF/μlであった。 D.Ni樹脂に結合したHis−SpoOFのリン酸化 固定化His−SpoOFのリン酸化を、マルチスクリーン(MultiScreen) 96ウェル ろ過プレート(0.65μm、DVPP型)(ミリポア(Millipor e)、ベッドフォード(Bedford)、マサチューセッツ)より入手)を使用して行 った。ろ過プレートのウェルからの液体の除去を、ミリポアより入手した真空マ ニフォールド(vacuum manifold)を用いて行った。His−SpoOF樹脂( 25%、v/v)を、ろ過プレートの個々のウェル上に置き、緩衝液Aの200 μlを用いて2回洗浄した。示した量のKinA、ATP及び[γ−32P]AT Pを含む緩衝液Aの総量80μlをウェルに添加した。 この際、ATPの添加前に、あらかじめ決定した量及び濃度の試験サンプル、 すなわち関連するセンサータンパク質又は酵素に対する阻害作用をについて評価 する化合物又は組成物を、同時にウェルに添加する。好ましくは、1以上のウェ ルを「対照」、すなわち試験サンプルを添加しないウェルとして用いる。以下に 示す記載の多くが、試験サンプルの評価とは関係ない高処理能アッセイの操作に ついて主に議論しているが、新規かつ有用な抗生物質、抗微生物剤及び抗菌剤を 同定するための本発明の系及び方法の使用が明確に企図されることが明白に理解 される。 次いで、プレートを穏やかに振盪しながら22℃で示した時間インキュベート した。反応を、ウェルから反応混合物を取り除くことにより終了させ、続いて樹 脂を緩衝液Aを用いて3回洗浄した。 次いで樹脂を、30mMイミダゾールを含む緩衝液Aを用いての洗浄を5分間 のインキュベーション/振盪と共に3回行い、更に緩衝液のみを用いて3回洗浄 を行った。SDS−PAGEによる分析のために、0.5Mイミダゾールを含む 1.5×SDS−PAGEローディング色素を各ウェルに添加し、次いでプレー トを振盪しながら22℃で5分間インキュベートした。樹脂を除く各ウェルの内 容物を、真空マニフォールドを用いて別の96ウェルプレートに集め、各ウェル の40μlを10%から20%の勾配ゲルにロードした。ゲルを電気泳動し、前 記したようにして処理した。シンチレーション計数による分析のために、0.2 N HCl 80μlを各ウェルに添加し、プレートを、穏やかに振盪しながら 55℃で1時間インキュベートした。樹脂を除く各ウェルの内容物を、真空マニ フォールドを用いて、96ウェルのマイクロフラワープレート(MicroFluor pla te)(ダイナテック(Dynatech)、シャンティリイ(Chantilly)、バージニア )に集めた。マイクロシント−40(MicroScint-40)(パッカード(Packard) 、メリデン、コネティカット)を添加し、放射能を、トップカウント(TopCount )(パッカード)を用いて計数した。 E.結果 N末端に6つの追加のヒスチジン残基を有するSpoOF(His−SpoO F)は、従来のリン酸化アッセイ(前記Aの「材料及び方法」及び図1を参照) を用いて、ATPの存在下、KinAにより、野生型のSpoOFと同程度リン 酸化した。 6つのヒスチジン残基を含むリンカーを有するSpoOFが好ましいものとし て本明細書に記載されている間、使用するHis残基の数が変化してもよいこと 、すなわち1以上のHis残基を使用してもよいこと、又はその他のアミノ酸を リンカーとして使用することは明確に理解され、かつ開示された本発明の範囲に 含まれる。更に、基質を固体担体に付着するためにその他のリンカー分子を利用 することができ、このような分子は本発明の使用に対して企図される。 図1は、KinAによるHis−SpoOFのリン酸化を図示している。Sp oOF及びHis−SpoOFを、100μM ATP及び1μCi[γ−32P ](>5000μCi/mmol)の存在下の容積30μl中の1μM KinAにより、22℃で10分間かけてリン酸化した。次いでリン酸化反応を SDS−PAGE及びオートラジオグラフィーを用いて分析した。Ni樹脂に固 定化されたHis−SpoOFは、フィルタープレート上でリン酸化され、前記 のSDS−PAGE及びSPoOFにより分析した。レーン1及び2:それぞれ 5μg及び10μgのSpoOF、レーン3及び4:それぞれ5μg及び10μ gのHis−SpoOF、レーン5:固定化His−SpoOF。 Ni樹脂に固定化したとき、His−SpoOFは、図1(レーン5)に示さ れるように、KinAによりリン酸化された。これらの結果は、SpoOFのN 末端の追加のヒスチジン残基の追加及びこれらのヒスチジン残基を経たHis− SpoOFのNi樹脂への結合は、KinAにより仲介されるリン酸化に対する 基質であることを妨害しなかったことを示している。 従来のリン酸化アッセイにおいては、KinA及びSpoOFは、SDS−P AGEにより[γ−32P]ATPから分離され、次いでオートラジオグラフィー により測定していた。Ni樹脂に固定化されたHis−SpoOFに関して、K inA及び[γ−32P]ATPからのHis−SpoOFの分離は、樹脂から反 応混合物を単純に取り除くことにより達成された(前記セクションA参照)。続 いて、樹脂上に残った放射能量を測定することにより、His−SpoOFのリ ン酸化を測定することができるであろう。 この可能性を確認するために、KinAによる固定化His−SpoOFのリ ン酸化及び残りの反応成分からのHis−SpoOFの分離を前記セクションA に記載されたようにして行った。得られたHis−SpoOF樹脂を、His− SpoOFリン酸塩の酸加水分解後のシンチレーション計数、及び0.5<イミ ダゾールを含むSDS−PAGEローディング緩衝液を用いての樹脂からのHi s−SpoOFの溶離後のSDS−PAGEの両方に付した。 前記の結果を表1に要約した。表1に示されるように、KinAと共にインキ ュベートしたサンプルに由来する放射能量は、KinAと共にインキュベートし なかったサンプルにおいて測定された量、樹脂上のバックグラウンドの放射能を 示す量よりも非常に大きかった。 PI*=ホスホイメージャー [γ−32P]ATP量は、実験1においては1反応あたり1μCiであり、実 験2及びSDS−PAGEにおいては1反応あたり2μCiであった。データは 平均値±標準偏差又は平均値(n=3)で示されている。ホスホイメージャー数 はホスホイメージャーから得られた値であり、各His−SpoOFバンドにお ける放射能と比例している。 KinAと共にインキュベートしたサンプルの中では、His−SpoOF樹 脂量が5から20μlに増加したときは放射能量も増加し、更に30から50μ lに増加したときは放射能量はわずかに減少した。反応中の[γ−32P]ATP 量が増加したとき、サンプルのcpmは増加したけれども、cpm、同位体希釈 因子及び[γ−32P]ATPの特異性を基礎にして計算したSpoOFリン酸塩 量は、His−SpoOF樹脂について得られた量とほぼ同一であった(表1に おける実験1及び実験2の比較)。 これらの結果は、樹脂に残っている放射能量は、固定化His−SpoOFの リン酸化の程度を反映していることを示唆している。cpmとHis−SpoO Fリン酸化との相関は、His−SpoOF樹脂のSDS−PAGE分析により 確認した。His−SpoOFのリン酸化を、ゲル上の各His−SpoOFバ ンドの相対放射能(ホスホイメージャー数として示す)を測定することにより測 定した(データは示さず)。 結果(表1参照)は、His−SpoOF−32Pの形成を示すだけではなく、 His−SpoOFリン酸化の程度とHis−SpoOF樹脂量との間の適用量 に対する反応(dose-response)のパターンを明らかにした。これはcpmによ って測定したものと同一であった。SpoOFに対する適用量に対する反応のパ ターンは、従来のリン酸化アッセイにおいても見られた(データは示さず)。 動力学的特徴を特徴付け、かつ本発明のアッセイ系におけるcpmと固定化H is−SpoOFのリン酸化との相関を確認するために、KinA及びATP量 に対する固定化His−SpoOFのリン酸化の依存性並びに反応の時間経過を 、シンチレーション計数及びSDS−PAGE分析の両者により測定した。図2 は、His−SpoOFリン酸化の程度とKinA量との間の関係を示している 。 図2は、KinA濃度の固定化His−SpoOFのリン酸化に対する影響を 図示しており、v/v0(%)に対してKinA濃度(μM)をプロットした。 閉じた四角はホスホイメージャー#を示し、閉じた円はcpmを示す。リン酸化 反応を、1反応あたり、30μl His−SpoOF樹脂(25%、v/v) 及び1μCi [γ−32P]ATPを含有する100μM ATPを用いて、2 2℃で30分間かけて行った。データは、1μM KinAに対する相対活性と して示した。各データ点は、二重反復試験の平均値を示している。 1μM KinAまでは反応は直線的であり、KinA濃度1.5μM以上で は飽和に達した。固定化His−SpoOFのリン酸化のATPに対する依存性 は、図3に示されるように典型的なミカエリス−メンテン飽和を示している。 図3A及び3Bは、種々のATP濃度における固定化His−SpoOFのリ ン酸化を図示している。図3Aにおいては、ATP濃度(μM)をcpmに対し てプロットし、kmは70μMであった。図3Bにおいては、ATP濃度(μM )をホスホイメージャー#に対してプロットし、kmは72μMであった。リン 酸化反応は、1反応あたり30μlのHis−SpoOF樹脂及び1μM Ki nAを用いて、22℃で20分間かけて行った。全てのデータ点において、AT Pに対する[γ−32P]ATPの割合は、1μCi:100μMであった。実線 は、示したkm値を用いたミカエリス−メンテン式におけるデータの適合(fitti ng)を示している。各曲線は3つの独立した実験の代表例である。図3A:シン チレーション計数。図3B:SDS−PAGE分析。 これらのデータから、ATPに対する見かけのKm値が、シンチレーション計 数からは70μM、SDS−PAGE分析からは72μMであることが推定され た。固定化His−SpoOFのリン酸化の時間経過を図4に示す。 図4は、固定化したHis−SpoOFのリン酸化の経時変化を図示している 。時間(分)をv/v0(%)に対してプロットした。閉じた円はcpmを示し 、閉じた四角はホスホイメージャー#を示している。リン酸化を、1反応あたり 30μl His−SpoOF樹脂(25%、v/v)、1pM KinA及び 2μCi [γ−32P]ATPを含有する400μM ATPを用いて行った。 データを40分間の反応における相対活性として示す。 His−SpoOFリン酸塩形成速度は、反応の最初の30分間はほぼ直線的 であったが、30分後は低下した。経時変化の同様のパターンが、100μMA TPを用いたときに見られた(データは示さず)。 前記アッセイ系の再現性を、同一のアッセイ(アッセイ内(intra-assay)) 内の反復のサンプル(replicated sample)及び独立したアッセイ(アッセイ間 (inter-assay))に由来するリン酸化His−SpoOF量を定量することに より評価した。結果(表2参照)は、30μl His−SpoOF樹脂、1μ M KinA及び100μM ATPの使用、22℃で30分間という条件下に おいて、標準偏差がアッセイ内及びアッセイ間でそれぞれ6.5%及び9.4% であることを示している。 1SpoOF−P量は、cpm、同位体希釈因子及び[γ−32P]ATPの特 異的活性に基づき計算した。 前記のアッセイ系を用いて、ヒスチジンプロテインキナーゼ用半自動アッセイ を、自動化液体取扱(liquid handling)系(マルチプローブ(MultiProbe)、 パッカード、メリデン、コネティカット)及び96ウェルフィルタープレート系 (マルチスクリーン、ミリポア、ベッドフォード、マサチューセッツ)を用いて 調製した。半自動化アッセイのアッセイ内(intra-assay)の変動は10%の範 囲内にあり(表3参照)、処理量は、操作者1日あたり、96ウェルプレート6 から10枚であった。前記したように、半自動化アッセイ系及び方法を含む本発 明の系を、本明細書に記載されたようにして都合よく使用し、種々の薬剤(「試 験サンプル」)の分析する酵素系(例えば、ヒスチジンプロテインキナーゼ)に 対する阻害作用を測定してもよい。 半自動化アッセイのアッセイ変動は、手動アッセイの変動よりもわずかに高か ったけれども、処理量は非常に多かった。それゆえ、半自動化アッセイは、ヒス チジンプロテインキナーゼ阻害用の主要なスクリーンアッセイとして適していた 。 考察 本明細書に記載されたヒスチジンプロテインキナーゼ活性を測定する方法は、 利用しうる全ての方法の中でも特有なものである。基質であるSpoOFを、ヒ スチジンのタグを経て固体担体に固定化する。本発明のアッセイ系の主要な利点 は、[γ−32P]ATPを使用したときの、キナーゼ活性の測定における律速工 程であるSpoOFの未反応の[γ−32P]ATPからの迅速な分離にある。本 発明のアッセイ系の別の利点は、ヒスチジンタグのNi樹脂への高い親和性(1 0-13)にある。SpoOF中の追加の6つのヒスチジン残基は、アッセイの時 間経過の間を通してのSpoOFの樹脂への結合を保証するだけではなく、大腸 菌細胞において発現した組換えHis−SpoOFの効率的な1段階精製方法を も提供する。 本明細書に示されたデータは、リン酸化反応後の樹脂に残った放射能と、反応 の間に形成したHis−SpoOFリン酸塩量とが非常に高く相関していること を示している。同位体の崩壊のため、実際のcpm値は実験により変動するけれ ども、同一のアッセイ条件下で形成したHis−SpoOFの量は再現性がある 。それゆえ、同一実験内のcpm値は、サンプルの相対的キナーゼ活性の測定に 直接使用することができる。 本明細書に記載したアッセイの処理量は、従来のSDS−PAGEアッセイと 比べて著しくかつ予期せぬほど上昇した。自動化液体取扱系及び96ウェルフィ ルタープレートの使用に関して、1日に6から10のプレート、すなわち1日に 480から960の反応を処理することもかなり可能である。 まとめると、本明細書に記載されたアッセイ系は、ヒスチジンプロテインキナ ーゼ阻害剤の高処理能スクリーニングに適している。また、本発明のアッセイ系 は、その他のタンパク質及び酵素、特にその他のキナーゼを用いての使用に適合 することが企図される。本明細書の開示から明らかなように、基質(例えば、キ ナーゼの基質)は、ヒスチジンのタグ又は基質を固体担体(例えばNi樹脂)に 結合するために使用する別の適当なタグ化剤(tagging agent)を添加した後に 十分に活性であることが好ましい。 さらに、有用な阻害剤のより効率的かつ迅速な同定手段であるので、高処理能 系は使用に好ましいが、以下に示す実施例に記載された系は、新規抗菌剤、抗微 生物剤及び/又は抗生物質の同定手段としても有用である。 実施例2 キナーゼAの自己リン酸化及びSpoOFのトランスリン酸化 潜在的に有用な抗菌若しくは抗微生物化合物又は組成物の細菌のシグナル伝達 過程に対する作用を分析するために、前記化合物の胞子形成オペロンのプロテイ ンキナーゼA及びSpoOFに対する作用を、以下に示すようにして本質的に調 べてもよい。第一に、以下に示すストック試薬を調製し即座に使用するか又は示 した温度で保存する。 8×塩:2M KCl(5ml);1M MgCl2(800ml);1MC aCl2(100ml);10mg/ml フェニルメチルスルホニルフッ化物 (200ml);1M ジチオスレイトール(50ml);0.25MNa2E DTA(32ml)及びH2O(3.82ml)(−20℃で保存してもよい) 。 5×ローディング色素:0.5M TRIS−HCl,pH6.8(7.5m l);10% SDS(2ml);0.1% ブロモフェノールブルー(0.5 ml);100% グリセロール(3ml)及び12.5M b−メルカプトエ タノール(0.3ml)。 1から1.3mg/ml KinA:15mM TRIS−HCl、pH8. 0;6mM KCl;4mM b−メルカプトエタノール;40% グリセロー ル(−20℃)。 1mg/ml SpoOF:17.5mM TRIS−HCl、pH8.0; 0.7mM KCl;0.7mM MgCl2;0.7mM CaCl2;5mM b−メルカプトエタノール;30% グリセロール(−20℃)。 5%濃縮用ゲル:40% 29:1 アクリルアミド:ビスアクリルアミド( 1.25ml);0.5M TRIS−HCl,pH6.8(2.5ml);1 0% SDS(0.1ml);D−H2O(6.15ml);10% 過硫酸ア ンモニウム(100ml)及びTEMED(25ml)。 SDS操作用緩衝液(running buffer):TRIS−BASE(3.02g、 シグマ);グリシン(14.4g、シグマ)。 SDS(1g、セルバ(Serva))、D−H2O(11まで)。 反応混合物を、8×塩(87ml);1M TRIS、pH8(87ml); 50% グリセロール(63ml);2% ゼラチン(31ml);SpoOF (14.1ml)及びKinA(7.0ml)から調製した。微小遠沈管(micr ocentrifuge tube)を、反応混合物(18.5ml)及びDMSO(18.5m l)中の試験化合物の1mM溶液で満たし、氷中で15分間インキュベートした 。100mM[32P]ATP/ATP溶液(625mCi、3.0ml)を添加 し、管を室温下で10分間放置した。次いで反応を、5×ローディング色素(管 あたり10ml)を用いてクエンチし、サンプルを調製した5%濃縮用ゲルにロ ードするか、又は使用する準備が整うまで氷中で貯蔵した。調製したウェルをS DS操作用緩衝液で満たし、サンプルをウェルにロードし、上部緩衝液チャンバ ー(upper buffer chamber)を加え、SDS操作用緩衝液で満たしたタンク中に 置いた。色素の先端が濃縮用ゲルの底部に達するまで、80V(ホッファー単位 (Hoeffer Unit))を適用し、次いで電気泳動が完了するまで電圧を250Vに 上昇させた。 酵素が阻害(展開したゲル中における非存在により決定してもよい)されるな らば、IC50をあらかじめ決定した阻害剤濃度(例えば、500、250、12 5、62.5、31.3、15.7及び7.9mM)を使用することにより 計算することができる。阻害の百分率は、ホスホイメージャーを用いて放射性リ ン濃度を測定し、ソフトウェアプログラム(例えば、バイオラド モレキュラー アナリスト(Biorad Molecular Analyst)、バイオラド(Biorad)、リッチモ ンド(Richmond)、カリフォルニア)を用いて値を計算することにより決定する 。 実施例3 KinA活性の脂肪酸阻害 A.タンパク質の精製 KinAをPeregoら、前掲 1989)にしたがい精製し、アクリルアミドゲルの クーマシー染色により判断し約80%の純度であることを確認した。SpoOF を、発現ベクターpKQB4の誘導体を含む大腸菌細胞から精製した(Strauch ら、EMBO J.、8: 1615-1621(1989);Trach ら、Genetics & Biotechnology of Bacilli、Vol.3、Zukowskiら(編)、Academic Press、San Diego、pp.357-36 5;Trach ら、Res.Microbiol.、142: 815-823(1991))。精製したSpoO Fは均質であることを、高速液体クロマトグラフィーの基礎として決定した。 B.化学薬品及び酸の調製 全ての化学薬品及び純粋な脂肪酸は、シグマ ケミカル カンパニー(Sigmac hemical Company(セントルイス、ミズーリ)より入手した。脂肪酸は、通常無 水エタノール中に溶解又は再懸濁し、2% ストック溶液を調製し、暗中、−2 0℃で保存した。3ヶ月経過した溶液の阻害特性の減少はみられなかったけれど も、4週間をこえる不飽和脂肪酸溶液は使用せず、ほとんどの溶液は1週間以内 に使用した。 バチルス・ズブチリスのリン脂質を、LB中で培養した対数中期増殖(mid-lo garithmic growth)の培養(約2×108細胞/ml)200mlから調製した 。細胞を遠心分離し、ペレットをH2O 4ml中に再懸濁し、2つに分割した 。2mlの各アリコートにクロロホルム 2.5ml及びメタノール 5mlを 添加した。次いで混合物を遠心分離した。ペレットを捨て、上清に追加のクロロ ホルム2.5ml及びH2O 2.5mlを添加した。遠心分離により層を分離 し、下層を2M KCl及びH2Oを用いて洗浄した。クロロホルム層を吸い上 げ、 アルゴン流下で乾燥した。残渣をエタノール 1ml中に再懸濁し、全脂質抽出 物として使用した。 前記脂質抽出物から脂肪酸を遊離させるために、KOH中の0.5M 抽出物 0.5mlを作成し、密封した管中、65℃で2時間加熱した。次いで、H2 O 5mlを添加し、HClを用いてpHを3.0に調節した。このpH下で脂 肪酸は沈殿した。次にエーテル1容積(volume)を添加した。脂肪酸を含んでい るエーテル層を、H2Oを用いて2回洗浄し、アルゴン流下で乾燥した。残渣を エタノール 1ml中に再懸濁し、脂肪酸抽出物として使用した。この調製物中 の脂肪酸濃度の最大値は、以下に示す仮説に基づき3mMであると推定した。( 1)細菌細胞あたり3×10-14gの脂肪酸であること(Neidhardt、E.coliand Salmonella typhimurim: Cellular and Molecular Biology、Neidhardt(編) 、Am.Soc.for Microbiol.、Washington、DC、pp.3-6(1987);Scandella 及 びKornberg、J.Bacteriol.98: 82-86(1969));(2)全細胞性脂肪酸の70 %がリン脂質抽出物中に存在し(Clejanら、J.Bacteriol.168: 334-340(1986) )、調製中の各段階における回収率は100%であること;(3)バチルス・ズ ブチリスの脂肪酸の平均分子量は250g/molに等しいこと(Clejanら、前 掲(1986));(4)最終の乾燥残渣の全ての可溶化。一般的に全ての可溶化は 起こらないことが認められたので、実際の濃度はおそらく3mMよりもかなり低 いものであると推測した。 C.KinA活性分析 反応を、特に示さない限り、100mM Tris、pH8.0、100mM KCl、2mM MgCl2、0.5mM ジチオスレイトール、10%(v /v)グリセロール、0.1%(w/v)ゼラチン、4%(v/v)エタノール 、約1.5μCi[γ−32P]ATPを含有する200μM 全ATP(ニュー イングランド ヌクレアー(New England Nuclear)、6000Ci/mM、1 50mCi/ml)、300μM SpoOFタンパク質及び0.04μM K inAタンパク質を含む溶液の最終容積25μl(Peregoら、J.Bacteriol.、 171: 6187-6196(1989))中で行った。100%エタノールから作成した溶液に 脂肪酸を添加し、終濃度を変化させた(反応混合物中の4%のエタノール濃度は 、 これらの添加を示し、対照の場合は、エタノール単独の添加を反映する)。反応 はATPの添加により開始し、室温下で30分間インキュベートした。 これらの条件は、直線期(linear phase)の間かつ競合に達する前に反応を終 了させることを経験的に決定した(データは示さず)。高濃度のKinAを使用 するとき、それに応じてインキュベーション時間を調節した。反応を、等量のロ ーディング色素(0.25M Tris、pH6.8、20%(v/v) グリ セロール、1% ドデシル硫酸ナトリウム(w/v)、140mM β−メルカ プトエタノール、0.05%(w/v) ブロモフェノールブルー)を添加する ことにより停止させ、次いでアリコートをポリアクリルアミドゲル(5%濃縮用 、15%分離用、Laemmli、前掲 1970)に記載の緩衝液系を使用)にロードし た。 ゲルを、10mAの定電流を流しながら約16時間処理した。ゲルをプラスチ ック製ラップで覆い、コダック ソーマット(Kodak Xomat)RP1フィルムを 用いてオートラジオグラフィーに付した。活性の定量化を、適当なリンタンパク 質(通常はSpoOF〜P、以下のセクションEを参照)を含むゲルの切片への 切断及びベックマン(Beckman)LF7500シンチレーションカウンター(ベックマ ン インストゥルメンツ(Beckman Instruments)、フラートン(Fullerton)、カ リフォルニア)内でのチェレンコフ線の計数により達成した。ゲルのブランク領 域に由来する等しい大きさの切片も計数し、バックグラウンドへの調節のために 使用した。活性の百分率を、対照反応の値を100%として用いて計算した。 脂肪酸が、KinAにより触媒されるリン酸化の対する基質として役立つかど うかを決定するために、以下に示す方法を使用した。SpoOFが存在しないこ とを除いて、前記の反応条件を用いた。KinA濃度は2μMであり、脂肪酸の 添加前に5分間インキュベートした。最初のインキュベーションの後、自己リン 酸化させるために、アリコート48μlを、(a)エタノール2μl、(b)2 %オレイン酸2μl及び(c)2%パルミチン酸2μlを含む管に添加した。反 応物を10分間インキュベートし、その後H2O 0.5ml及びヘプタン 0 .5mlをそれぞれに添加した。室温下で10分間経過後、層を遠心分離により 分離した。水性層を水−飽和ヘプタン(H2O-satureted heptane)を用いて洗浄 し、ヘプタン層をヘプタン−飽和水(heptane-saturated H2O)を用いて洗浄 した。各層及び洗浄液(wash)のチェレンコフ線を測定した。 D.胞子形成の効率についてのアッセイ エタノールの胞子形成効率に対する作用を、シェッファーの胞子形成培地(Sc haeffer's sporulation medium)3ml中で、0.7M エタノールの存在及び 非存在下、37℃で24時間で増殖させた株により試験した(Schaeffer ら、PN AS USA、54: 701-711(1965))。CHCl3を用いた処理(10% v/v、終濃 度)前後に段階希釈物を培養し、全生菌数及び胞子数を測定した。 KinA活性に作用する薬剤を探索中、卵黄から調製したL−α−リゾホスフ ァチジルコリンが、SpoOFタンパク質のKinAリン酸化を阻害することを 認めた(データは示さず)。この不均一な混合物の可能性のある種々の成分を試 験し、特異的な阻害化合物を同定した。L−α−ホスファチジルコリン、L−α −グリセロホスファチジルコリン、グリセロリン酸、コリン、L−α−ホスファ チジン酸(卵黄のホスファチジルコリン由来)並びに卵黄L−α−ホスファチジ ルコリンのホスホリパーゼC消化により生成したジアシルグリセロール(及びホ スホコリン)、ステアリン酸、パルミチン酸及びオレイン酸を、終濃度0.08 %で試験した(データは示さず)。オレイン酸及びステアリン酸のみが阻害性で あり、オレイン酸は本質的に完全な阻害を示し、ステアリン酸は弱い阻害を示し た。 不飽和、飽和及びイソ−分岐した脂肪酸を含む28種類の異なる脂肪酸につい て試験した。各脂肪酸を定性的に、3つのカテゴリー、すなわち阻害剤、弱い阻 害剤及び非阻害剤のカテゴリーのうちの1つの中に置いた。以下に記載するよう に、これらの定性的な配置後に定量化した。表4は試験した脂肪酸の分類を示し ている。 a=I0.5値が≦70μM。b =I0.5値が100から500μM。c =1mMよりも多量に存在していても阻害することができなかった。 前記の酸を用いて得られたデータは、強力な阻害剤は炭素数16から20の長 さの鎖及びカルボキシル末端の11個の炭素原子内に少なくとも1つのシス−不 飽和二重結合を有することを示している(データは示さず)。 例えば、4種の異なるC18の脂肪酸のKinA活性に対する作用を測定する ために適合させたある研究においては、32PのKinAにより触媒されるSpo OFタンパク質への取り込みを、4種の異なる脂肪酸、オレイン酸(18:1、 シスΔ9)、リノレン酸(18:3、シスΔ9,12,15)、ステアリン酸( 18:0)及びエライジン酸(18:1、トランスΔ9)を用いて分析した。更 に、各脂肪酸を、異なる濃度における作用を分析する実験において使用した。使 用した濃度は、(1)脂肪酸なし、(2)2.5×10-3M、(3)6.3×1 0-4M、(4)2.5×10-4M、(5)6.3×10-5M、(6)2.5×1 0-5M、(7)6.3×10-6M及び(8)1.3×10-6Mであった。全ての 場合において、反応におけるKinA濃度は0.04×10-6Mであった。 前記の結果(データは示さず)によると、全ての強力な阻害剤は、炭素数16 から20の長さの鎖及びカルボキシル末端の11個の炭素原子内の少なくとも1 つのシス−不飽和二重結合を有していた。トランス構造において二重結合を有す る異性体(例えば、エライジン酸、トランス−バクセン酸)は阻害性を有してい なかった。弱い阻害剤であるステアリン酸を除いて、試験した直鎖飽和脂肪酸は 阻害性を全く示さなかった。試験した5種のイソ−分岐種の中では、鎖の長さの 短い2種(12−メチルトリデカン酸、13−メチルテトラデカン酸)は弱い阻 害剤であり、残りの3種は阻害剤ではなかった。 阻害特性についての本発明者等の最初の評価を定量化するために、I0.5値 (4×10-8M KinAにおける値)を各脂肪酸について決定した。代表的な 決定方法はオレイン酸についてのものである。例えば、示したあるオレイン酸濃 度における活性の百分率とは、32P([γ32P]ATPに由来する)のSpoO Fタンパク質への取り込みの、阻害剤を含まない対照反応における取り込みに対 する割合(×100)である。典型的には、データは少なくとも2回の異なる実 験より得た。I0.5値は、関連するグラフから決定される活性50%に相当する 、例えばオレイン酸濃度のことである。 本発明者等は、異なるアミノ酸の阻害強度(I0.5値に基づく)は、2のオー ダー(two orders of magnitude)で変動すると判断した(データは示さず)。 I0.5=6×10-5Mのカットオフ(cut Off)がなされた場合、弱い阻害剤から の強い阻害剤の最初の定性的な分割(表4参照)は、定量的な結果に一致しても たらされる。 効率的な作用に必須の構造上のパラメーターに関する、ある興味深い比較をす ることができる。試験したシス−不飽和脂肪酸のうちの3種類は、強力な阻害剤 ではなかった(表4参照)。これらの脂肪酸の中の1種、シス−9−テトラデカ ン酸は、シスΔ9が不飽和であるが、弱い阻害剤(I0.5=2×10-4M)であ った。シスΔ9の不飽和を有するC16及びC18の脂肪酸は強力な阻害剤であ るので、シス−9−テトラデカン酸(C14)による弱い阻害は、KinA阻害 に対して必須の最小の鎖の長さを反映しているのかもしれない。同様に、シス− 13−ドコセン酸(C22)及びシス−15−テトラコセノイック(tetracosen oic)酸(C24)は、最大の鎖の長さの限度を超えていることを反映している のかもしれない。代わりに、これらの特性は、カルボキシル末端からの許容され る最大の距離をこえる(すなわち、>11個の炭素原子)孤立したシス二重結合 の配置の結果であるのかもしれない。 E.結果の分析 1.阻害性脂肪酸は、KinAの自己リン酸化を阻害する 前記の実験を、濃度4×1-8MのKinAを用いて行った。この濃度において は、KinA〜Pに対応するバンドは、オートラジオグラフ上では見ることがで きなかった。それゆえ、KinA自己リン酸化段階又はKinA〜P及び SpoOFとの間のホスホトランスフェラーゼ反応においては阻害が起こるかど うかを決定することはできないだろう。この問題を解決するために、アッセイを 、高濃度のKinA(1×10-6M)を用いて行った。オレイン酸による、Ki nAの安定な自己リン酸化の阻害を確認した。SpoOF及び異なる濃度のオレ イン酸の存在下における、[γ32P]に由来する32PのKinAタンパク質への 取り込みが変化するデータを集めた(データは示さず)。KinA濃度を1×1 0-6に上昇させ、かつインキュベーション時間を3分間に短縮したことを除いて 、アッセイを前記に開示されたようにして行った。オレイン酸は、KinA〜P 及びSpoOF〜Pの形成を、濃度に依存した態様で阻害することを認めた。反 応からSpoOFを除外した実験においては、オレイン酸は、同様のKinA〜 P形成の濃度依存性阻害を示した(データは示さず)。これらの結果は、オレイ ン酸はKinAの自己リン酸化を阻害するように作用することを示している。し かしながら、最高の阻害剤濃度にあっても、リン酸化KinAが連続して存在す るということは、オレイン酸がKinA〜PからSpoOFへのリン酸基転移を 阻害することができることを示している。 2.KinAの自己リン酸化の阻害は、ATPと競合しない 自己リン酸化の脂肪酸による阻害の特性を測定するために、3つの反応のシリ ーズを行った。第一のシリーズにおいては、オレイン酸は存在せず;第二のシリ ーズでは2.5×10-5Mのオレイン酸を含んでおり、第三のシリーズでは7. 0×10-5Mのオレイン酸を含んでいた。各シリーズに対して、別々の反応にお けるATP濃度は、2×10-5から2×10-3M(ATPに対するKmは1.3 ×10-4である)の範囲で変化した。最小のオレイン酸濃度(2.5×10-5M )及び最大のATPレベル(2×10-3M)においてさえも、95%をこえるK inAが阻害された。これらの結果は、ATPはオレイン酸阻害とは競合しない ことを示している。 3.脂肪酸はKinA〜Pの脱リン酸化を促進しない 脂肪酸による阻害の機構は、KinAとATPとの相互作用をアロステリック に阻害するか又はKinA〜Pの脱リン酸化を引き起こすかもしれない。リン酸 の促進された喪失は、おそらく2つの異なる機構により起こるのだろう。 (a)KinA〜P+オレイン酸→KinA+オレイン酸〜P又は、 オレイン酸 (b)KinA〜P→→→→→→KinA+Pi (a)においては、オレイン酸はKinA酵素の基質として役立ち、(b)に おいては、オレイン酸は自己リン酸化反応のアロステリックエンハンサー(allo steric enhancer)として作用する(注意:(a)及び(b)において、記号「 〜」は高エネルギー結合を示し、(b)においては記号Piは無機リン酸を示す )。 始めに、オレイン酸は、KinAにより触媒されるリン酸化の基質としては役 立たないことを決定した。オレイン酸を、KinA〜[32P]を含む反応混合物 に添加し、適当なインキュベーション後、混合物を(前記のようにして)有機及 び水性層に分割した。使用した条件下において、脂肪酸種を有機層に分割し、K inA〜P及び取り込まれなかった[γ32P]ATPを水性層中に残した。オレ イン酸を含む有機層中の放射能量は無視できるもので、対照反応物中に存在する 量と差異はなかった(データは示さず)。 次に、オレイン酸のあらかじめ形成したKinA〜Pの脱リン酸化を増強する 能力を調査した。[γ32P]ATPの存在下における自己リン酸化を、SpoO Fの非存在下で60分間の進行させた。インキュベーション終了時に、反応物を 2つのアリコートに分割し、1つにオレイン酸を終濃度2.5×10-4Mで添加 した。それぞれから時間間隔を置いてサンプルを採取し、ポロアクリルアミドゲ ル中で分画し、KinAバンドを切り取り、取り込まれた放射能を測定した。K inA〜Pに由来する32Pの喪失において、反応間における有意な差異はなかっ た(データは示さず)。これらの結果は、阻害性脂肪酸は、あらかじめ形成した KinA〜Pの脱リン酸化を引き起こす又は促進することはないということを示 している。 4.バチルス・ズブチリスのリン脂質は阻害性脂肪酸を含む バチルス・ズブチリス中に見出される脂肪酸の大部分は、分岐鎖構造を有し、 かつ不飽和の種類は少ない(Kaneda、Bacteriol.Rev.、41: 391-418(1977);K anedaら、Microbiol.Rev.、55: 288-302(1991);Clejanら、前掲 1986))。 KinAに対し阻害特性を有する脂肪酸がバチルス・ズブチリスに存在するかど うかを決定するために、脂肪酸抽出物を本実施例のセクションBにおいて記載し たようにして調製した。したがって、例えば、本発明者等は、バチルス・ズブチ リスの脂肪酸及びイソステアリン酸に関連する化合物によるKinA阻害の程度 及びKinAにより触媒されるSpoOF〜Pの形成を測定した。ある実験にお いては、阻害剤を含まない対照を操作した。それは、0.08%の不均一なイソ ステアリン酸混合物(前記セクションB参照)、0.08%バチルス・ズブチリ スのリン脂質抽出物及び0.08%アルコール性−KOHで処理したバチルス・ ズブチリスのリン脂質抽出物を含むサンプルであった。 全リン脂質調製物を使用したとき、KinA活性の有意な阻害はなかった(デ ータは示さず)。これらのリン脂質を処理して遊離の脂肪酸を放出させたとき、 得られた脂肪酸調製物はKinA活性を90%をこえて阻害した(データは示さ ず)。これらの結果は、KinA酵素を阻害することができる少なくとも1種の 脂肪酸を有するバチルス・ズブチリスの存在を示している。更に、脂肪酸をリン 脂質形態にエステル化した場合、阻害作用は有為に減少した。 表4に掲載した阻害剤の中で、2種のみがバチルス・ズブチリスに存在するこ とが明確に知られている。12−メチルトリデカン酸及び13−メチルテトラデ カン酸である。前者は全膜脂質抽出物中の脂肪酸の1%を占め、後者は15%を 占める(Clejanら、前掲 1986))。これらの化合物は共に、インビトロにおけ る弱いKinA阻害剤であり、どちらも本発明者らが認めた劇的な阻害の原因で はありそうもない。例えば、本発明者等の調製物の全脂肪酸濃度を3mMで使用 するとき、調製物中の13−メチルテトラデカン酸濃度は4.5×10-4Mであ ろう。本発明者等のアッセイにおいては、13−メチルテトラデカン酸濃度は約 2×10-5Mであり、これはこの化合物のI0.5値(4×10-4M)よりも低い 。実際の阻害剤の存在の同定は調査中である。 5.エタノールによる胞子形成の阻害は、脂肪酸代謝と関係しているかもしれな い 致死量以下(sub-lethal)のエタノール濃度のバチルスに対する2つの作用は 、胞子形成の阻害並びに脂質及び脂肪酸代謝の改変である(Bohin ら、J. Bacteriol.、127: 934-940(1976)及びRigomierら、J.Gen.Microbiol.、121 : 139-149(1980)参照)。エタノールが胞子形成を阻害する機構は知られてい ないが、SpoOF遺伝子のある突然変異体(例えば、ssa)はこの欠点を克 服することができる(Bohin ら、J.Bacteriol.、127: 934-940(1982))。s ofと呼ばれるSpoOA突然変異体は、胞子形成の開始を支配するホスホリレ ー系のその他の構成成分(例えば、SpoOF、SpoOB、kinA)におけ る突然変異により引き起こされるSpoOの欠陥を抑制することができる(例え ば、Kawamuraら、Mol.Gen.Genet.192: 189-193(1983);Sharrockら、Mol.Gen .Genet.、194: 260-264(1984);Shoji ら、J.Gen.Microbiol.、134: 3249-32 57(1988);Spiegelmanら、J.Bacteriol.、172: 5011-5019(1990);Burbulys ら、前掲(1991)及びTrach ら、前掲(1991))。sof突然変異体は2つのク ラス、すなわちKinA依存性及びKinA非依存性に分けることができる(Sp iegelmanら、前掲 1990))。エタノールの脂肪酸代謝に対する作用が、Kin A阻害剤の生成による胞子形成阻害に関係する場合、KinA依存性sof突然 変異体はエタノール阻害に感受性であるが、KinA非依存性sof突然変異体 は感受性がないと仮定することは妥当である。次いでエタノールの3種のsof 突然変異体の胞子形成頻度に対する作用を調査した。 KinA依存性sof突然変異体は、野生型と比較して感受性はやや低下して いるけれども、エタノール誘導胞子形成阻害を全く軽減しない。対照的に、Ki nA非依存性sof−4突然変異株は、エタノール阻害に対して耐性であるだけ でなく、エタノールが存在しているとき、実際に良好な胞子形成を示す(データ は示さず)。後者の現象は、ΔSpoOFバックグラウンドにおいてとくに明確 になり、この場合胞子形成頻度の200倍の増加が見られた。これらの結果は、 KinAの脂肪酸阻害剤の合成又は蓄積によりエタノールは胞子形成を阻害する という証拠であると考えることはできないが、この仮定と一致する。 6.考察 脂肪酸によるKinAのインビトロ阻害は、短〜中程度の鎖の長さ及び比較的 強い界面活性作用を有する飽和脂肪酸(例えば、カプロン酸、カプリル酸、カプ リン酸、ラウリン酸)は阻害剤ではないという事実を含む、多数の理由に対する 非特異的界面活性作用の結果ではありそうもない。どうやら阻害はKinA(又 はその他の構成成分)のミセル構造への隔離と関連していないらしく、臨界のミ セル濃度は、強力な阻害剤のI0.5値よりも大きい(Mukerjee及びMysels、Natio nal Standards Reference Data Service、Vol.36、National Bureau of Standar ds、Washington、DC(1971))ことが知られている。したがって阻害は、単量体の 脂肪酸、おそらくそのK+塩形態により行われるらしい。しかしながら、一般的 に、試験した脂肪酸は、ミリモル範囲の臨界ミセル濃度に対して、マイクロモル 範囲の自由な溶解性を有する。2つの標識となる(landmark)濃度値間の2から 3オーダーの範囲における種々の層状及び凝集形態の脂肪酸の正確な性質に関す る知見はほとんどない(Cistola ら、Biochemistry、27: 1881-1888(1988)参照 )。本明細書において報告されているI0.5値は前記の範囲内にあるので、阻害 の原因である脂肪酸の溶液中における構造を確信を持って同定することは困難で ある。この状況は本発明の系に特有のものではなく、その他のプロテインキナー ゼに作用する脂肪酸について報告されているKa及びI0.5は、濃度の「ファジー (fuzzy)」な範囲内にある(Buelt ら、J.Biol.Chem.、266: 12266-12271(1 991);EI Tounyら、J.Biol.Chem.、265: 16437-16443(1990);Murakamiら、J .Biol.Chem.、261: 15424-15429(1986);Murakamiら、FEBS Letters、192: 189-193(1985)参照)。いずれにしても、脂肪酸のインビトロ阻害レベルは濃 度依存性であり、これはI0.5値に反映される。個々の脂肪酸種について得られ た異なるI0.5値は、KinAと相互作用する分子の特定の化学的及び物理的特 徴と関連しているに違いない。阻害性脂肪酸の間の類似性の分析は、インビトロ における制御因子として役立つ化合物を同定するための手がかりを提供する。シ ス構造における少なくとも1つの二重結合の存在は、強力な阻害剤であることが 見出される全ての脂肪酸に共通する特徴である。このことは、トランスの二重結 合を有する異性体が全く阻害性がないという点において、非常に特異的な要求で あるだろう。本発明者等のデータはこの点についての明確な結論を与えるもので はないけれども、別の要求は、カルボキシル末端に関連するシスの二重結合の位 置に関連するかもしれない。データは、阻害性シス−脂肪酸の鎖の長さに関する やや厳しい要求、KinAと良好に相互作用することができるに は炭素数16から20を有していなければならないということを示唆している。 イソ分岐飽和種(イソ14:0、イソ15:0)は弱い阻害性を有するという事 実は、実際のインビボにおける阻害剤は分岐鎖シス−不飽和種であることを示し ているのかもしれない。しかしながら、これは、なぜ試験した3種の長いイソ− 分岐種(イソ16:0、イソ17:0及びイソ18:0)が阻害剤でないのかと いうことを説明していない。 あらゆる程度の阻害を示す唯一の直鎖飽和脂肪酸はステアリン酸であった。実 際、非常に弱い阻害剤であった(I0.5=5×10-4M)。しかしながら、ステ アリン酸自身は実際には阻害性ではないだろう。少なくとも20種の異なる未同 定の異性体及びイソステアリン酸の同族体を含む不均一な混合物を試験するとき 、証拠は非常に強力な阻害剤(I0.5=2.5×10-6M以下)が存在すること を示唆している(図4、3行参照)。おそらく、アッセイしたステアリン酸調製 物の阻害特性は、この未同定の阻害剤のわずかな痕跡の存在によるものであった のだろう。 バチルス・ズブチリス細胞におけるKinA阻害性脂肪酸の実際の存在は、単 離したリン脂質から調製した脂肪酸が阻害特性を有するという本発明者等が得た 結果により示される(図4参照)。脂肪酸の大部分は分岐鎖構造(イソ及びアン テイソ(anteiso)型)を有し、飽和種に対する不飽和種の割合は非常に低い(K aneda、Bacteriol.Rev.、41: 391-418(1977);Kaneda、Microbiol.Rev.55: 288-302(1991);Clejanら、前掲(1986))。見出されたこの種の不飽和脂肪酸 に関する発表された文献はほとんどなく、わずか1つである(Fulco 、J.Biol .Chem.、244: 889-895(1969))。前記文献は、不飽和の優先的な部位はΔ5 であることを示している。バチルスのその他の種が、Δ8、Δ9又はΔ10の部 位に二重結合を有する脂肪酸を有することが示されている(Fulco 、前掲)。文 献検索は、バチルス・ズブチリスに存在するものとして表4に掲載されているシ ス−不飽和脂肪酸のいずれかを特異的に同定している報告を明らかにしていない 。分岐鎖−不飽和脂肪酸は、バチルス・ズブチリスを含むバチルス種において検 出されているが、その化学構造については明らかに分析されていない(Fulco ら 、J.Biol.Chem.、239: 998-1003(1964)及びClejanら、前掲 1986) 参照)。KinAのインビボ阻害剤であるのは実際の脂肪酸であると仮定される けれども、代わりの可能性も存在する。阻害剤は厳密に言うと脂肪酸ではなく、 むしろあるタイプの誘導体、例えば脂肪族アルコール、アルデヒド、ケトン、補 酵素Aエステル等であるかもしれない。現時点では、KinA阻害の原因である バチルス・ズブチリス化合物の正確な同定について更に研究及び実験を行ってい る。 問題となる脂肪酸はKinA阻害剤であるので、機能して、対数増殖の間、K inAの自己リン酸化を阻害すると推定される。ある様式においては、栄養生長 の終了及び胞子形成の開始を示す代謝シグナルは、脂肪酸の阻害作用を除去する と仮定される。次いで、KinA酵素は自己リン酸化され、胞子形成を開始する ために必要なホスホリレー系を開始させる(Burbulysら、前掲 1991))。現時 点では、阻害作用がどのようにして打ち消されるかについては未知である。(a )脂肪酸阻害剤合成の修飾、分解若しくは喪失又はこれらの組み合わせ;(b) KinA分子のアロステリック部位に対する阻害剤と効率的に競合することがで きる非阻害性化合物の生成又は(c)脂肪酸の結合部位とは異なる部位で結合し 、KinAタンパク質における構造変化を引き起こし、阻害性脂肪酸がもはや結 合することができなくなるようにするエフェクター分子の生成が可能性としてあ げられる。 分化の間における脂肪酸及び/又はリン脂質の性質の変化は、バチルス・ズブ チリスを含む多数の細菌種について報告されている(Bertsch ら、J.Bacteriol .、98: 75-81(1969);Bulla ら、Spores VI、Gerhardtら(編)、Am.Soc.F orMicrobiology、Washington、DC、pp.520-525(1975);Heefner ら、J.Bacte riol.、134: 38-47(1978);Ishiharaら、Nippon Saikingaku Zasshi、32: 70 3-707(1977);Scandella ら、前掲(1969)及びSuら、J.Bacteriol.、134: 1434-1436(1979))。バチルス・ズブチリスにおける胞子形成は、膜の脂肪酸 組成の全体の変化とは独立していることが示されているけれども(Boudreauxら 、J.Bacteriol.、148: 480-486(1981))、低濃度で存在する調節性脂肪酸量 の分化中の特異的な変化は除外されていない。バチルス・ズブチリスのリン脂質 はKinAを阻害しないが、この脂質から作成した遊離脂肪酸調製物は阻害す ることを示す本発明者等の結果(図4参照)は、細胞内プールに存在する阻害性 脂肪酸の非エステル化形態が原因であることを示している。非エステル化脂肪酸 のプールは、細菌細胞に存在し、実際はその他の生物と比較して著しく高い(O ’Leary、Bacteriol.Rev.、26: 421-447(1962))。バチルス・ズブチリスにお ける遊離脂肪酸のプールは、通常の条件下で約2%であると推定されている(Mi ndich 、J.Bacteriol.、110: 96-102(1972))。しかしながら、リン脂質中で エステル化された阻害性脂肪酸がインビボで調節作用を果たす可能性は除外され ていない。前記のリン脂質が見出される状況、すなわちその他の膜構成成分との 関連が決定因子であるかもしれない。 致死量以下の濃度のエタノールは、バチルスを含む多数の細菌の脂肪酸組成の 大きな変化を引き起こすことが知られている(Ingramら、Adv.Micribiol.Phys iol.、25: 26-47(1984);Kates ら、前掲(1962)及びRigomierら、J.Gen.Mic ribiol.、121: 139-149(1980))。バチルス・ズブチリスにおいても、エタノ ールは、野生型細胞をSpoOAフェノコピー(phenocopy)へ変化させること により、胞子形成を阻害する(Bohin ら、J.Bacteriol.、127: 934-940(1976 );Bohin ら、J.Bacteriol.、127: 934-940(1982))。KinA非依存性S poOA突然変異体は、Spo−エタノール作用に感受性ではないという本発明 者等の知見は、KinAの自己リン酸化を阻害する脂肪酸の蓄積が起こるので、 エタノールは胞子形成を阻害するという仮定と一致するが、証明するものではな い。 バチルスの胞子形成能力に作用する脂肪酸を明らかにするその他の調査の系統 の少なくとも1つが存在する。ある複合有機培地中で増殖したときの、胞子形成 の阻害は周知の現象である。この培地に存在する抗胞子形成因子の1つのタイプ は脂肪酸として同定されており(Fosterら、J.Bacteriol.、59: 463-470(1950 );Hardwickら、J.Bacteriol.、61: 145-151(1951))、ある純粋な脂肪酸の抗 胞子形成活性が測定されている(Hardwickら、前掲(1951))。一般的に、飽和 種は不飽和種よりも強力であること及び中間の鎖の長さ(C10からC14)を 有するものが最も強力であることが見出されている。これらの知見は、C16か らC20のシス−不飽和脂肪酸がKinA阻害剤であることを示す本発明者等 の結果と対立するものであるけれども、2種の実験を比較することは困難である 。なぜならば、脂肪酸の外来の添加が細胞内成分の何に作用するのかが不明であ るからである。 脂肪酸は、バチルス・ズブチリスにおける胞子形成の「決定」を調節する役割 を果たす分子に対する可能性のある候補である。おそらく、真核生物のプロテイ ンキナーゼCの調節に類似して(総説についてはBell及びBurns 、J.Biol. Che m.、266: 4661-4664(1991)参照)、脂肪酸は、シグナル伝達経路の構成成分、 本発明の場合はバチルス・ズブチリスのホスホリレーのKinA酵素に対して、 環境又は代謝情報を伝達する2次メッセンジャーとして作用する。これらの役割 は、細胞が栄養生長に必要な栄養を枯渇させたときに変化する中間代謝のある面 に関連している。脂肪酸はポテンシャルエネルギーを多量に蓄積しているので、 エネルギー状態の標識として機能するかもしれない。膜脂質の一体成分(integr al component)であるので、膜に関連した代謝現象の混乱を探知するのに役立つ かもしれない。細胞に存在する微量の不飽和脂肪酸は、細胞膜中不規則に分布し ているのではなく、むしろ本質的な空間的分布を有する特定の構造又は酵素複合 体と関係していると思われる。そのような複合体の1例としては中隔構造(sept ation apparatus)があげられる。したがって、特定の脂肪酸によるKinA阻 害は、増殖依存性の、特定の膜関連複合体からの直接のシグナル発出を表わして いる。 特定の態様及び実施例を含む前記の詳細な説明は、本発明を説明することを意 図するもので限定するものではない。多数のその他の変形及び修飾を、本発明の 精神及び範囲から離れることなしに行うことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G01N 33/553 G01N 33/553 33/566 33/566 33/569 33/569 B (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN, CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,G E,HU,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR ,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV, MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,P L,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK ,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ, VN (72)発明者 ヒューアン シャオミン アメリカ合衆国 カリフォルニア州 91230 サンディエゴ カマレーナ ロー ド 12715

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.新規抗生物質、抗菌剤又は抗微生物剤の同定に使用するための改善されたア ッセイ方法であって、 a.基質を固体担体に固定化する工程、 b.固体担体に固定化した基質とセンサータンパク質及び試験サンプルとを混 合する工程、 c.混合物をあらかじめ決定した時間インキュベートする工程、 d.固体担体から前記混合物の残りを分離する工程、及び e.前記固体担体を調査し、反応生成物が存在するかどうかを測定し、前記試 験サンプルの治療学的可能性を決定する工程、 からなることを特徴とする方法。 2.前記センサータンパク質が酵素又はその触媒作用的に活性な部分である、請 求の範囲第1項記載の方法。 3.前記酵素がキナーゼ酵素又はその酵素的に活性なポリペプチド部分である、 請求の範囲第2項記載の方法。 4.前記キナーゼがヒスチジンプロテインキナーゼである、請求の範囲第3項記 載の方法。 5.前記混合物が更に高エネルギーリン酸源を含む、請求の範囲第3項記載の方 法。 6.前記高エネルギーリン酸源がATP又はGTPである、請求の範囲第5項記 載の方法。 7.前記高エネルギーリン酸源が標識化されている、請求の範囲第5項記載の方 法。 8.前記基質が細菌のタンパク質又はポリペプチド分子を含む、請求の範囲第1 項記載の方法。 9.前記基質が細菌のSPoOFタンパク質又はそのポリペプチド部分を含む、 請求の範囲第1項記載の方法。 10.前記基質が更にリンカーを含む、請求の範囲第1項記載の方法。 11.前記リンカーが1以上のヒスチジン残基を含む、請求の範囲第10項記載の 方法。 12.前記固体担体が樹脂を含む、請求の範囲第1項記載の方法。 13.前記樹脂がニッケル結合交換樹脂(Ni樹脂)である、請求の範囲第12項 記載の方法。 14.新規抗生物質、抗菌剤又は抗微生物剤の同定方法であって、 a.基質と、キナーゼ酵素、高エネルギーリン酸源及び試験サンプルとを混合 する工程、 b.前記混合物をあらかじめ決定した時間インキュベートする工程、 c.工程bにおいて生成した反応生成物を、前記混合物の残りから分離する工 程、 d.形成した反応生成物量を確認し、前記試験サンプルの治療学的可能性を決 定する工程、 からなることを特徴とする方法。 15.前記基質又は前記酵素が標識化されている、請求の範囲第14項記載の方法 。 16.前記決定工程が、基質又は酵素と標識化された免疫複合体を形成する、標識 化された抗体の使用及び形成した標識化された免疫複合体量の定量化を含む、請 求の範囲第14項記載の方法。 17.前記標識が蛍光性標識、放射性標識、ビオチン等を含む、請求の範囲第15 項又は16項記載の方法。 18.前記基質が固体担体に固定化されている、請求の範囲第14項記載の方法。 19.前記固体担体が樹脂からなる、請求の範囲第18項記載の方法。 20.前記樹脂がニッケル結合交換樹脂(Ni樹脂)である、請求の範囲第19項 記載の方法。 21.前記高エネルギーリン酸源がATP又はGTPである、請求の範囲第14項 記載の方法。 22.前記酵素が、キナーゼ酵素又は前記酵素のアミノ酸残基配列の配列サブセッ トのアミノ酸残基配列に対応するアミノ酸残基配列を有するポリペプチドである 、請求の範囲第14項記載の方法。 23.前記キナーゼがヒスチジンプロテインキナーゼである、請求の範囲第22項 記載の方法。 24.前記基質が細菌のタンパク質又はポリペプチド分子を含む、請求の範囲第1 4項記載の方法。 25.高処理能アッセイ系又はキットであって、以下に示す試薬: a.固体担体に固定化した基質、 b.センサータンパク質及び、 c.高エネルギーリン酸源、 を、少なくとも1回のアッセイを行うのに十分な量で含むことを特徴とする系 又はキット。 26.前記の1種以上の試薬が標識化されている、請求の範囲第25項記載のアッ セイ系。 27.前記試薬のそれぞれが別々の容器に存在する、請求の範囲第25項記載のア ッセイ系。 28.前記容器がパッケージ内に封入されており、該パッケージが更に前記試薬の 使用の指示を含む、請求の範囲第27項記載のアッセイ系。 29.前記センサータンパク質が酵素又はその触媒作用的に活性な部分を含む、請 求の範囲第25項記載のアッセイ系。 30.前記高エネルギーリン酸源がATP又はGTPである、請求の範囲第25項 記載のアッセイ系。 31.前記酵素がキナーゼ酵素を含む、請求の範囲第25項記載のアッセイ系。 32.前記キナーゼがヒスチジンプロテインキナーゼである、請求の範囲第31項 記載のアッセイ系。 33.前記基質が細菌のタンパク質又はポリペプチド分子を含む、請求の範囲第2 5項記載のアッセイ系。 34.前記基質がSpoOFタンパク質又はそのポリペプチド部分を含む、請求の 範囲第32項記載のアッセイ系。 35.前記基質が更にリンカーを含む、請求の範囲第32項記載のアッセイ系。 36.前記リンカーが前記基質に結合する1以上のヒスチジン残基を含む、請求の 範囲第34項記載のアッセイ系。 37.前記固体担体が樹脂を含む、請求の範囲第25項記載のアッセイ系。 38.前記樹脂がNi樹脂である、請求の範囲第36項記載のアッセイ系。
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