JPH11512062A - 高い化学的耐性を有するプラスチック中空体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明で提供される、内層（２）および外層（３）を有する押出し吹込み成形によるプラスチック中空体（１）は、外層（３）が変性ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）から成り、内層（２）がポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）あるいはポリエチレンナフタレート（ＰＥＮ）あるいはポリエチレンテレフタレート／ポリエチレンナフタレート（ＰＥＴ／ＰＥＮ）混合物から成るものである。

Description

【発明の詳細な説明】 高い化学的耐性を有するプラスチック中空体 本発明は請求項１の前文に記載するようなプラスチック中空体、並びに、請求 項６の前文に記載するような前記プラスチック中空体の製造方法に関するもので ある。 安価で、しかも使いやすく、その上高い化学的耐性を有すると共に、たとえば チオグリコール酸アンモニウムを基本とする毛髪のパーマネント加工用調合物、 アンモニアあるいはモノエタノールアミンを含有する毛染め剤、直接性顔料を含 有するエマルジョンを基本とする毛髪彩色剤、アルコールを３０％以上含有する 理容剤、あるいは４以下の低いｐＨ値を有する理容剤のような酸化されやすい充 填物を酸素から保護することのできるような中空体を提供するということは、本 来難しいことである。 （押出し吹込み成形による）ＰＶＣから成る中空体は高い化学的耐性を有する ことが知られているが、これは再生方法が限られており、生態環境上問題がある 。また変性ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）から成る（押出し吹込み成形 による）中空体も知られている。この変性ポリエステルにおいては、たとえばグ リコール変性によって、高い融解粘度が得られるので、押出し吹込み成形におい て管を良好に確保することができる。しかしこの素材は、上記のような充填物に 対して使用した場合、化学作用によって脆化、濁り、軟化、さらには亀裂が生じ る恐れがある。 純粋なポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）は、押出し吹込み成形法に対し ては、融解粘度が低すぎる。従って、これは射出工程において予備成形すること ができる吹込み法においてのみ使用可能である。この場合、ある程度の化学的耐 性を得ることができるが、このような中空体を射出吹込み成形法に基づいて開発 し、実現化するには、高い設備費、開発に対して長い予備期間、中空体の型変更 あるいは仕込量の変更に対して多大な費用、さらに工程の経済的運行という観点 に基づいて一年当り百万個以上という大きな個数が必要である。 ポリエチレンナフタレート（ＰＥＮ）を使用することによって、ＰＥＴとは対 照的に、毛染め剤に対して高い化学的耐性が得られるが、ＰＥＮも射出吹込み成 形法によって成形しなければならず、ＰＥＴと同様に上に挙げた問題点をすべて 抱えている。 さらにポリオレフィン、たとえばＰＥ／ＰＡを基本とする多層中空体も使用さ れているが、これには次のような問題点が付随する。すなわちＰＥの膨化、ＰＥ 中への顔料拡散、中空体の溶接継目に伴う問題点、透明要求時における透明度の 不足などの問題点が付随する。また、この方法は、三層の積層物からなり、接着 媒体が必要であることによって、費用がかさむ。 ＤＥ ４４１５５４９ Ａ１には、（内側から外側向かって）ＰＥＴＧ／接着 媒体／ポリオレフィンの三つの層を有する、押出し吹込み成形による三層中空体 が記載されている。しかしこれによって得られるのは、水蒸気の遮断および拡散 の防止だけである。上に挙げた三層処置法の問題点はそのまま残されている。ま たこの場合も透明容器を製造することは不可能である。さらに化学的耐性も不十 分である。 さらに同じグループに属する二つの親和性素材から成る、従って接着媒体を必 要としない（押出し吹込み成形による）二層中空体も公知である。この中空体は 、たとえばポリオレフィン基体上に光沢層を付与する場合などに採用される。こ の場合並行押出し吹込み成形法において、高融解粘度の非光沢性ポリオレフィン から基本壁が造られ、その上に低融解粘度の同一あるいは類似の素材から成る光 沢層が被覆される。 本発明は、請求項１の前文に記載のような中空体において、また請求項６の前 文に記載のような中空体の製造法において、高い化学的耐性を有すると共に、酸 化されやすい充填物を酸素から保護することができるような、しかも生態学上問 題のない、そして適切な値段の中空体を提供するという課題に基づいている。 この課題は請求項１ないし請求項６の特徴部分に記載の事項によって解決され る。 すなわち本発明は、押出し吹込み成形可能な懸垂状態で管を押し出すことがで きる程高い融解強度を有する高融解粘度の変性ＰＥＴ、好ましくはグリコール変 性ＰＥＴＧを素材とする基体層と、同じポリエステル・グループに属し、前記基 体層に対して良好な接着性を有すると共に、化学的耐性を有する、低融解粘度の 非変性のＰＥＴ、ＰＥＴ／ＰＥＮ混合物またはＰＥＮを素材とする内部保護層の 、二つの層を備えた中空体を対象とする。 これによって、ＰＶＣの欠点は排除されるが、その長所は受け継がれる。すな わち、本発明によれば、化学的耐性を有すると共に、酸素を遮断することのでき る中空体を提供することができる。さらにこの中空体は生態学上問題がなく、再 生利用可能であり、さらに必要な場合には透明化あるいは光沢付与も可能である 。しかも、この中空体は少ない個数に対しても設備に費用をかけることなく安価 に製造することができる。その場合、短期間に実現化し、簡単に中空体の寸法（ 形態）の変更や、仕込量の調整（壁厚さ）を変更ことができる。 次に実施例に基づいて本発明をさらに詳しく説明する。 図１は、一つの実施形態における解除可能な栓を備えた中空体の側面図、 図２は、別の実施形態における封鎖機構の側面図、そして 図３は、成形前段階において、押し出され、懸垂状態にある管の側面図である 。 図１は内層２と外層３を有するプラスチック中空体１を表している。外層３は 変性ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）、好ましくはグリコール変性ポリエ チレンテレフタレート（ＰＥＴＧ）によって造られており、内層２はポリエチレ ンテレフタレート（ＰＥＴ）あるいはポリエチレンナフタレート（ＰＥＮ）ある いはポリエチレンテレフタレート／ポリエチレンナフタレート（ＰＥＴ／ＰＥＮ ）混合物によって造られている。外層３は、層全体の厚さ４に関して、５０％以 上、内層２は５０％以下を占めることが好ましい。この実施例の場合、中空体１ は瓶５の形態に成形されており、栓６を備えている。栓６として、ここには示さ れていないが、引き違い栓あるいは解除可能な（回転式、スナップ式あるいは蝶 番式）栓７も実施可能である。解除可能な栓７の密閉性は、栓７にパッキング層 ８が配されていることによって確保されている。パッキング層は同一あるいは類 似の内層２と外層３から成っており、必要に応じて、たとえば適当な補助被覆層 あるいは平板によって、頚端部９にぴったり押し付けられ得るように弾力的に造 られている。これによって瓶５の内層２が解除可能な栓７のパッキング層８の内 層２．１と強固に接するので、非常に良好な密閉性が得られる。 封鎖機構に対して別の好ましい実施形態が図２に示されている。この場合は、 瓶５の内層２が解除可能な栓７のパッキング層８の内層２．１と相対的に大きな 面において強固に接することができるように、頚端部９がフランジ状ないしはラ ッパ状に形成されている。これによってなお一層良好な密閉性が得られる。 図３には押出し機１１から押出された懸垂状態の管１０が断面において示され ている。これから、ＰＥＴの融解粘度が低いにもかかわらず、内層２が外層３の 内側と層を成して接合ないしは接着していることが、明白である。この場合外層 ３が、たとえばＰＥＴＧに基づいて、高い粘度を有し、それに伴って融解強度が 高められることによって、外層３が内層２の支持層としての機能を果たすことが できる。そして押出しから吹込みまでの経過時間が短いことによって、外層３の 内側に対して内層２が実質的に（下方に）ずり落ちることがない。これらの事実 に基づいて、一般的な、費用のかからない押出し吹込み成形法の採用が可能とな る。 押出し吹込み成形法によって内層２および外層３を有するプラスチック中空体 １を製造する方法は、並行押出し吹込み成形法における製造工程中に変性ポリエ チレンテレフタレート（ＰＥＴ）から成る外層３とポリエチレンテレフタレート （ＰＥＴ）あるいはポリエチレンナフタレート（ＰＥＮ）あるいはポリエチレン テレフタレート／ポリエチレンナフタレート（ＰＥＴ／ＰＥＮ）混合物から成る 内層２が合体され、管１０として押し出され、膨らまされることを特徴としてい る。この場合変性ポリエチレンテレフタレートとしてグリコール変性ポリエチレ ンテレフタレート（ＰＥＴＧ）を考慮することが好ましい。吹き込み工程開始ま で管１０は実質的に自由懸垂されている。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １． 内層（２）および外層（３）を有する押出し吹込み成形によるプラスチ ック中空体（１）において、外層（３）が変性ポリエチレンテレフタレート（Ｐ ＥＴ）から成り、内層（２）がポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）あるいは ポリエチレンナフタレート（ＰＥＮ）あるいはポリエチレンテレフタレート／ポ リエチレンナフタレート（ＰＥＴ／ＰＥＮ）混合物から成ることを特徴とするプ ラスチック中空体。 ２． 外層（３）がグリコール変性ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴＧ） から成ることを特徴とする、請求項１に記載のプラスチック容器。 ３． 層全体の厚さ（４）に関して、外層（３）が５０％以上の割合を有し、 内層（２）が５０％以下の割合を有することを特徴とする、請求項１以下に記載 のプラスチック中空体。 ４． 中空体（１）が瓶（５）として形成されていて、栓（６）を備えている ことを特徴とする、少なくとも請求項に記載のプラスチック中空体。 ５． 解除可能な栓（７）が用意されており、これが内層（２）および外層（ ３）から成るパッキング層（８）を備えていることを特徴とする、請求項４に記 載のプラスチック中空体。 ６． 押出し吹込み成形法による内層（２）および外層（３）を有するプラス チック中空体（１）の製造方法において、並行押出し吹込み成形法における製造 工程中に変性ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）から成る外層（３）とポリ エチレンテレフタレート（ＰＥＴ）あるいはポリエチレンナフタレート（ＰＥＮ ）あるいはポリエチレンテレフタレート／ポリエチレンナフタレート（ＰＥＴ／ ＰＥＮ）混合物から成る内層（２）が合体され、管（１０）として押し出され、 膨らまされることを特徴とする製造方法。 ７． グリコール変性ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴＧ）が用いられる ことを特徴とする、請求項６に記載の製造方法。 ８． 管（１０）が吹き込み工程の開始まで実質的に自由懸垂されていること を特徴とする、少なくとも請求項６に記載の製造方法。