JPH1150902A - エンジンの制御装置 - Google Patents

エンジンの制御装置

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JPH1150902A
JPH1150902A JP9211677A JP21167797A JPH1150902A JP H1150902 A JPH1150902 A JP H1150902A JP 9211677 A JP9211677 A JP 9211677A JP 21167797 A JP21167797 A JP 21167797A JP H1150902 A JPH1150902 A JP H1150902A
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JP
Japan
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air
engine
fuel ratio
fuel
roughness
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JP9211677A
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English (en)
Inventor
Hirobumi Nishimura
博文 西村
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Publication date
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  • Electrical Control Of Ignition Timing (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 エンジン1のクランク角速度変動(ラフネス
状態)を検出するラフネス検出手段35dを備え、検出
されるラフネス状態が燃焼安定限度内に収まるようにエ
ンジンの燃焼状態を制御するエンジンの制御装置におい
て、各気筒毎の燃焼状態の格差を十分に精度良く是正し
て燃焼安定性の一層の向上及びエミッションの一層の低
減を図る。 【解決手段】 ラフネス検出手段を、少なくともエンジ
ン冷機時の定常運転領域において、各気筒毎にクランク
角速度変動を検出する構成とする。ラフネス検出手段か
らの信号に基づいて、気筒間格差が小さくなるように燃
料噴射量を各気筒毎に補正制御する格差補正制御手段3
5bを設ける。格差補正制御手段による補正制御量Crc
ont (n)に基づいて学習値Cstudy (n)を求め、こ
の学習値を燃料噴射の基本制御量に反映させる学習制御
手段35cを設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ラフネス状態に基
づいてエンジンへの混合気の空燃比等を制御すること
で、燃焼安定性の向上やエミッション低減を図るように
したエンジンの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、多気筒エンジンへの混合気の空
燃比を制御する場合、排気ガス中の酸素濃度が理論空燃
比に対応する値であることを検出するいわゆるラムダO
2 センサを排気通路に配設し、このラムダO2 センサか
らのフィードバック信号に応じて燃料噴射量を増減変更
することで、複数の気筒全体として空燃比を一括して制
御するようにしている。しかし、燃料を噴射供給するイ
ンジェクタの個体ばらつき、各燃焼室内の吸気流動状態
や温度の違い等によって、各気筒毎の空燃比は微妙に異
なり、その結果、各気筒毎の燃焼状態も異なるようにな
る。
【0003】そこで、従来、例えば特開平3−1564
5号公報に開示されるように、各気筒においてピストン
がそれぞれ同一行程の所定ストローク位置にあるときの
クランク角速度を独立に検出し、このクランク角速度の
変動(ラフネス状態)に基づいて各気筒毎の燃焼状態を
判定して、この判定結果に基づいて各気筒毎に点火時期
や燃料噴射量を制御するようにしたエンジンの制御装置
が知られている。この制御装置では、各気筒毎の燃焼状
態に応じて燃料噴射量等を微妙に補正することができる
ので、比較的精度の良いエンジン制御が可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来のエ
ンジンの制御装置では、各気筒毎に独立にクランク角速
度の検出を行って、検出したクランク角速度の変動デー
タに基づいて各気筒毎に独立に燃焼状態を判定するよう
にしているものの、ある気筒についてのクランク角速度
の検出データは常に他の気筒の燃焼状態の影響を受ける
ため、クランク角速度の変動を気筒毎に十分に精度良く
検出することは容易ではない。従って、上記従来の制御
装置では、気筒別の燃焼状態の格差の判定及びその是正
が十分に行われていない場合もあり、燃焼状態の気筒間
格差に起因する排気有害成分の排出量の増大やエンジン
の燃焼不安定化という不具合に関して改善の余地が残さ
れている。
【0005】本発明は、斯かる諸点に鑑みてなされたも
のであり、その目的とするところは、エンジンの燃焼状
態の気筒間格差を精度良く検出するために工夫を凝ら
し、燃焼状態の気筒間格差を十分に精度良く是正して燃
焼安定性の一層の向上及びエミッションの一層の低減を
実現することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の解決手段では、ラフネス状態が比較的大き
くなっているエンジン冷機時の定常運転領域において、
各気筒毎のラフネス状態を検出して、その検出結果に基
づいて混合気の空燃比を各気筒毎に補正するようにし
た。
【0007】具体的には、請求項1記載の発明は、図1
に示すように、エンジン1のラフネス状態を検出するラ
フネス検出手段35dを備え、該ラフネス検出手段35
dにより検出されるラフネス状態が燃焼安定限度内に収
まるように上記エンジン1の燃焼状態を制御するように
したエンジンの制御装置を対象とする。そして、上記ラ
フネス検出手段35dは、少なくともエンジン冷機時の
定常運転領域において各気筒別にラフネス状態を検出す
る構成とし、上記エンジン1への混合気の空燃比を各気
筒毎に調整する空燃比調整手段16と、上記エンジン1
の運転状態に対応して予め設定した基本的な目標空燃比
になるように上記空燃比調整手段16を制御する空燃比
制御手段35aと、少なくともエンジン冷機時の定常運
転領域において、上記ラフネス検出手段35dからの信
号に基づいて、上記各気筒間のラフネス状態の格差が少
なくなるように、上記空燃比制御手段35aによる基本
制御量を気筒毎に補正する格差補正制御手段35bとを
設けた。
【0008】この構成によれば、少なくとも、ラフネス
状態が比較的大きくなっているエンジン冷機時の定常運
転領域において、ラフネス検出手段35dにより各気筒
毎にラフネス状態が検出されるので、該ラフネス状態の
気筒間格差を十分に精度良く検出することができる。そ
して、上記ラフネス検出手段35dからの信号に基づい
て、空燃比制御手段35aによる空燃比調整手段16の
基本制御量が、格差補正制御手段35bによって各気筒
毎に補正されることで、上記エンジン1への混合気の空
燃比を各気筒毎に変更調整してラフネス状態の気筒間格
差を十分に小さくさせることができる。従って、少なく
ともエンジン冷機時の定常運転領域において、各気筒の
それぞれにおける燃焼状態を従来よりも精度良く制御す
ることができるようになり、このことで、エンジン1の
燃焼安定性の向上及びエミッション低減が図られる。
【0009】請求項2記載の発明では、図1に示すよう
に、請求項1記載の発明において、エンジン冷機時の定
常運転領域における格差補正制御手段35bによる気筒
毎の補正制御量に基づいて学習値を求め、この学習値を
空燃比制御手段35aによる基本制御量に反映させる学
習制御手段35cを設けた。
【0010】この構成によれば、ラフネス状態が比較的
大きくなるエンジン冷機時の定常運転領域における、格
差補正制御手段35bによる空燃比の補正結果を、学習
制御手段35cによって、空燃比制御手段35aによる
空燃比の基本制御量に反映させることで、エンジン暖機
時や過渡運転領域においても、インジェクタの個体差等
の各気筒毎の固有の格差に起因する燃焼状態の格差を十
分に精度良く是正することができる。よって、エンジン
暖機時や過渡運転領域においても、従来に比べて燃焼安
定性の向上及びエミッション低減が図られる。
【0011】請求項3記載の発明では、請求項2記載の
発明における空燃比制御手段は、エンジン冷機時の定常
運転領域において目標空燃比が理論空燃比近傍の所定値
になるように空燃比調整手段を制御するものとし、学習
制御手段は、混合気の空燃比が上記理論空燃比近傍の所
定値に保たれているときの、格差補正制御手段による補
正制御量に基づいて学習値を求める構成とした。
【0012】すなわち、エンジン冷機時の定常運転領域
においては、供給される燃料が通常の重質度合いの燃料
であれば、混合気の空燃比が理論空燃比よりもややリー
ン側にあるときがエンジンの燃焼安定限界に相当する
(図20参照)。従って、空燃比制御手段による空燃比
調整手段の制御によって混合気の空燃比が理論空燃比近
傍の所定値(例えば、理論空燃比又は理論空燃比寄りも
ややリッチ側の値)に保たれているとき、上記エンジン
は燃焼安定限界の付近で運転されてラフネス状態がかな
り大きい状態になっているので、ラフネス状態の気筒間
格差を一層精度良く検出することができる。これによ
り、学習制御手段による学習値の精度をより高めること
ができ、よって、エンジン暖機時や過渡運転領域におけ
る気筒間格差の是正を一層精度良く行うことができる。
【0013】また、混合気の空燃比を理論空燃比の近傍
の所定値に保つことで、HC、CO及びNOx の排出濃
度の低減によるエミッション低減が図られる。
【0014】請求項4記載の発明では、請求項2又は請
求項3記載の発明において、触媒の暖機状態を判定する
触媒暖機判定手段を備え、学習制御手段は、上記触媒の
浄化機能が発揮され始める半暖機状態にあることが上記
触媒暖機判定手段により判定されたときの、格差補正制
御手段による補正制御量に基づいて学習値を求めるよう
に構成した。
【0015】すなわち、触媒のの浄化機能が発揮され始
める半暖機状態になれば、該触媒の浄化機能を活用して
排気有害成分の低減を図ることができるので、学習制御
手段による学習制御の実行の間のエミッション低減が図
られる。さらに、始動直後から触媒が半暖機状態になる
までの短時間に、点火時期の大幅な遅角や混合気の空燃
比のリッチ側への変更等を行うようにすれば、排気熱量
の増大による触媒の早期昇温促進も可能になる。
【0016】請求項5記載の発明では、請求項2、請求
項3又は請求項4記載の発明において、エンジンの点火
時期を変更する点火時期可変手段と、エンジン冷機時の
定常運転領域においてエンジンの点火時期を各気筒とも
に遅角するように上記点火時期可変手段を制御する点火
時期遅角制御手段とを設け、学習制御手段は、上記点火
時期遅角制御手段による制御が行われているときの、格
差補正制御手段による補正制御量に基づいて学習値を求
める構成とした。
【0017】すなわち、点火時期を各気筒ともに遅角さ
せれば、エンジンの排気熱損失が大きくなって出力トル
クが低下するので、ラフネス状態がかなり大きい状態に
なって、ラフネス状態の気筒間格差を一層精度良く検出
することができる。従って、学習制御手段による学習値
の精度をより高めることができ、このことで、エンジン
暖機時や過渡運転領域における燃焼状態の気筒間格差の
是正を一層精度良く行うことができる。
【0018】また、排気熱損失が大きくなって排気ガス
温度が高まるため、触媒の早期昇温を促進して活性化を
早めることができる。
【0019】請求項6記載の発明は、請求項1記載の発
明において、排気ガス中の酸素濃度に基づいて各気筒毎
の混合気の空燃比を検出する空燃比検出手段を設け、格
差補正制御手段は、上記空燃比検出手段からの信号に基
づいて、上記各気筒間の空燃比の差が小さくなるように
空燃比制御手段の基本制御量を補正する構成とした。
【0020】このことで、空燃比検出手段の検出結果に
基づいて空燃比制御手段の基本制御量が補正されること
で、気筒間の空燃比の格差が小さくされる。このため、
ラフネス検出手段による検出結果に基づく上記基本制御
量の補正と併せて、エンジンの燃焼状態の気筒間格差を
迅速にかつ一層小さくすることができる。
【0021】請求項7記載の発明は、請求項1記載の発
明において、ラフネス検出手段による検出結果に基づい
て、燃料の重質度合いの判定を行う重質度合い判定手段
と、エンジンの定常運転領域以外の過渡運転領域におい
て空燃比制御手段による基本制御量を変更する過渡時空
燃比変更手段と、上記重質度合い判定部により燃料の重
質度合いが所定以上高いと判定されたとき、上記過渡時
空燃比変更手段における変更量を補正する変更量補正手
段とを設けた。
【0022】すなわち、一般に、車両の加減速時等のエ
ンジンの過渡運転領域においては、エンジンへの混合気
の空燃比を、過渡時空燃比変更手段により定常運転領域
での値から設定量だけ変更するようにしているが、供給
される燃料が特に重質度合いの高い(即ち重質留分の含
有割合の大きい)いわゆる重質燃料であるときには、燃
料の気化/霧化の悪化によって実際の空燃比が目標空燃
比からずれてしまいエンジンの燃焼状態の悪化を招く虞
れがある。しかし、この発明では、ラフネス検出手段に
よる検出結果に基づいて燃料の重質度合いが所定以上高
いと判定されたとき、上記過渡時空燃比変更手段におけ
る変更量を変更量補正手段により補正するようにしたの
で、燃料の気化/霧化が悪化しても混合気の空燃比を目
標空燃比に制御することができる。よって、供給される
燃料がいわゆる重質燃料であっても、過渡運転領域にお
けるエンジンの燃焼状態悪化を防止することができる。
【0023】請求項8記載の発明は、請求項2記載の発
明において、ラフネス検出手段による検出結果に基づい
て燃料の重質度合いの判定を行う重質度合い判定手段を
設け、学習制御手段は、上記重質度合い判定手段により
燃料の重質度合いが所定以上高いと判定されたときの、
格差補正制御手段による補正制御量に基づいて学習値を
求める構成とした。
【0024】すなわち、供給される燃料の重質度合いが
所定以上高いいわゆる重質燃料であるときには、燃料の
気化/霧化が極めて悪いためエンジンの燃焼状態が不安
定になってラフネス状態が極めて大きい状態になる。こ
の状態では、ラフネス状態の気筒間格差を一層精度良く
検出することができるので、学習制御手段による学習値
の精度をより高めることができる。このことで、エンジ
ン暖機時や過渡運転領域における気筒間格差の是正を一
層精度良く行うことができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基いて説明する。
【0026】図2は本発明の実施形態1に係るエンジン
の制御装置Aを示し、1は直列4気筒4サイクルガソリ
ンエンジンである。このエンジン1は4つのシリンダ
(気筒)2,2,…(1つのみ図示する)を有するシリ
ンダブロック3と、該シリンダブロック3の上面に組付
けられたシリンダヘッド4と、各シリンダ2内に往復動
可能に嵌装されたピストン5とを備え、上記各シリンダ
2内にはピストン5及びシリンダヘッド3により囲まれ
る燃焼室6が区画形成されている。また、7は燃焼室6
の上部に臨設された点火プラグで、この点火プラグ7は
点火時期の電子制御が可能なイグナイタ等を含む点火時
期可変手段としての点火回路8に接続されている。
【0027】さらに、10は上記各シリンダ2の燃焼室
6に吸気(空気)を供給する吸気通路で、この吸気通路
10の上流端はエアクリーナ11に接続される一方、下
流端は4つに分岐して吸気弁12を介して各燃焼室6に
連通されている。上記吸気通路10には、エンジン1に
実際に吸入される吸入空気量を検出するホットワイヤ式
エアフローセンサ13と、吸気通路10を絞るスロット
ル弁14と、サージタンク15とが上流側から順に配設
され、また、後述のECU35(Electronic Control U
nit )からの燃料噴射信号(噴射パルス)を受けて燃料
を噴射供給する空燃比調整手段としてのインジェクタ1
6,16,…(1つのみ図示する)が、それぞれ各シリ
ンダ2に対応して給気弁12の近傍に配設されている。
さらに、上記エアクリーナ11には吸気温度を検出する
給気温センサ17が設けられている。
【0028】なお、上記吸気通路10の下流端部は第1
吸気通路(図示せず)と第2吸気通路10aとに分岐さ
れ、この第2吸気通路10aにはスワール弁18が配設
されており、このスワール弁18を閉じたときに、吸気
を第1吸気通路のみから燃焼室6に供給して、該燃焼室
6内にスワールを生成維持するようになっている。
【0029】上記吸気通路10のスロットル弁14の上
下流は、ISC(Idle Speed Control)用バイパス通路
20により接続され、該ISC用バイパス通路20には
この通路20を開閉するISCバルブ21が設けられて
おり、このISCバルブ21の開度を制御することで、
エンジン1のアイドル回転数を制御可能になっている。
また、22は上記スロットル弁14の全閉状態を検出す
るアイドルスイッチであり、23はスロットル弁14の
開度を検出するスロットル開度センサである。
【0030】一方、25は上記燃焼室6から排気ガスを
排出する排気通路で、その上流端は排気弁24を介して
燃焼室6に連通されている。排気通路25の途中には空
燃比を検出するためのO2 センサ26と、排気ガスを浄
化するための触媒コンバータ27とが上流側から順に配
設されている。上記O2 センサ26は、排気ガス中の酸
素濃度を基に燃焼室6内が理論空燃比であることを検出
するいわゆるラムダO2 センサで、後述の如く理論空燃
比に対応する所定の酸素濃度で出力が反転するようにな
っている。また、上記触媒コンバータ27は排気ガス中
の未燃炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)及び窒素
酸化物(NOx )を浄化可能な三元触媒を備えたもので
あり、好ましくはリーン状態でもNOx を浄化する機能
を有するものが用いられる。
【0031】上記エンジン1には、電磁ピックアップ等
からなるクランク角センサ30が設けられている。この
クランク角センサ30は、図示しないクランク軸の端部
に設けた被検出用プレート31の外周に対応する箇所に
配置され、該被検出用プレート31がクランク角の回転
とともに回転されたとき、その外周部に突設された突起
部31a,31a,…の通過に応じてパルス信号を出力
するようになっている。また、上記エンジン1のウォー
タジャケットに臨設して冷却水温を検出する水温センサ
32が設けられている。
【0032】35はマイクロコンピュータ等により構成
されたエンジンコントロールユニット(ECU)であ
る。このECU35には、エアフローセンサ13、吸気
温センサー17、アイドルスイッチ22、スロットル開
度センサ23、ラムダO2 センサ26、クランク角セン
サ30、水温センサ32等からの各出力信号が入力され
る。一方、上記ECU35からは、各インジェクタ16
に対してそれぞれ燃料噴射を制御する信号(パルス信
号)が出力されるとともに、点火回路8に対して点火時
期を制御する信号が出力され、さらに、ISCバルブ2
1のアクチュエータ21a及びスワール弁18のアクチ
ュエータ18a等にも制御信号が出力されるようになっ
ている。
【0033】上記ECU35は、本発明の特徴部分とし
て、エンジン冷機時の定常運転領域において、点火時期
の遅角側への制御により触媒を半暖機状態まで早期に昇
温させる一方、混合気の空燃比が略理論空燃比(A/F
=14.7)になるように燃料噴射量の基本制御を行う
とともに、燃焼状態の変動(ラフネス状態)の気筒間格
差が小さくなるように、各気筒毎に燃料噴射量の補正制
御を行うものであり、また、上記燃料噴射量の補正制御
量を学習して基本噴射量の制御に反映させることで、エ
ンジン暖機時にも燃焼状態の気筒間格差を小さくさせる
ものである。
【0034】上記ECU35による燃料噴射量及び点火
時期の制御について、具体的に、図3〜図5に示すフロ
ーチャート図に基づいて説明する。
【0035】(燃料噴射量及び点火時期の制御)図3に
おけるステップSA1では、クランク角センサ出力、エ
ンジン回転数、エアフローセンサ出力、エンジン水温、
スタータ出力、O2 センサ出力等を読込み、続くステッ
プSA2で、イグニッションオフでもデータを保持する
不揮発性メモリから、後述の空燃比学習値Clrnp及び格
差補正学習値Cstudy (n)を読込む。ここで、nは1
〜4の整数で、それぞれエンジン1の4つの気筒に対応
するものである。
【0036】ステップSA3ではエンジン1が始動中か
否かを判定する。すなわち、スタータモータがオン状態
でかつエンジン回転数が所定回転数以下であれば、始動
中であると判定してステップSA4に進み、エンジン始
動時の所定の噴射パルス幅TSTA を噴射パルス幅Ta
(n)として算出する。そして、ステップSA5に進ん
で、エンジン始動時の所定の点火時期IGSTを点火時
期IGT(n)として算出し、続くステップSA6で、
エンジン始動中であることを示すフラグFSTA の値を1
にしてリターンする。なお、上記噴射パルス幅TSTA は
混合気の空燃比が十分にリッチな状態になるように設定
され、また、上記点火時期IGSTは上死点前の所定値
に設定されており、このことで、エンジンの良好な始動
性が確保される。
【0037】一方、上記ステップSA3でスタ−タモー
タがオフ状態であるか又はエンジン回転数が所定回転数
よりも大きければ、始動中でないと判定してステップS
A7に進んでO2 センサ26が活性化しているか否かを
判定し、活性化していればステップSA8に進んで、O
2 センサ26からの出力信号に基づいて混合気の空燃比
を理論空燃比にフィードバック制御するための空燃比フ
ィードバック補正値Cfbを演算する。この空燃比フィー
ドバック補正値の演算については後述する。一方、上記
O2 センサ26が活性化していなければ、ステップSA
9に進んで、空燃比フィードバック補正値Cfbの値を0
とする。つまり、O2 センサ26が活性化していない間
は空燃比のフィードバック制御は行わない。
【0038】上記ステップSA8及びステップSA9に
続くステップSA10では、エンジン水温WTをエンジ
ン1及び触媒の冷機状態に対応付けて設定された第1設
定温度WT1 と比較する。そして、エンジン水温WTが
上記第1設定温度WT1 よりも大きければ、触媒が冷機
状態でないと判定して後述のステップSA21に進む一
方、上記第1設定温度WT1 以下であればステップSA
11に進む。
【0039】このステップSA11では、フラグFSTA
の値が1であるか否かを判定して、FSTA =1であれ
ば、その値をステップSA12で0としてクリアした
後、ステップSA13で、設定時間後にオフになる昇温
促進時間設定用タイマをオンして、ステップSA14に
進む。一方、上記ステップSA11でFSTA =0であれ
ば、ステップSA15に進んで上記タイマがオンかオフ
かの判定を行い、タイマがオフであれば後述のステップ
SA22に進む一方、タイマがオンであればステップS
A14に進む。
【0040】ステップSA14では、触媒の昇温のため
に設定する点火時期の遅角側への昇温促進制御量θRTD
をマップから読出す。このマップは、エンジン負荷に対
応するエンジンの吸気充填効率及びエンジン回転数に基
づいて、上記昇温促進制御量θRTD を種々設定したもの
である。なお、吸気充填効率は、エアフローセンサ出力
から求めた吸入空気量をエンジン回転数で除算してから
所定の定数を乗算して算出する。
【0041】つまり、エンジン水温WTが第1設定温度
WT1 以下であって(SA10)、かつエンジン1が冷
間時に始動されて吹き上ってから設定時間が経過するま
での間(SA15)、エンジン1及び触媒が冷機状態に
あると判定して、点火時期の遅角制御により排気ガス温
度を高めることで、触媒の早期昇温促進を図るようにす
る。
【0042】そして、ステップSA16で、クランク角
速度の変動(ラフネス状態)の気筒間格差が小さくなる
ように各気筒毎の混合気の空燃比を変更調整するため
の、燃料噴射量の補正制御量である格差補正制御量Crc
ont (n)を各気筒毎に演算し、続くステップSA17
では各気筒毎に噴射パルス幅Ta(n)の演算を行う。
すなわち、 Ta(n)=KGKF×{1+Cfb+Clrnp+Crcont
(n)+Cstudy (n)}×Ce となる。但し、KGKFはインジェクタの流量係数であ
り、Ceは吸気充填効率である。なお、上記ステップS
A16における格差補正制御量Crcont (n)の演算に
ついては後述する。
【0043】上記ステップSA17に続くステップSA
18では、上記ステップSA14で読出した点火時期の
昇温促進制御量θRTD を、予め設定した点火時期の基本
設定値θBASEから減算して、点火時期IGTを演算す
る。この基本設定値θBASEは、通常は各気筒毎にエンジ
ン1の出力トルクが最大となる所定の点火時期(例えば
上死点前10度)よりも僅かに遅角側に設定されてい
る。
【0044】そして、ステップSA19では、各気筒毎
の格差補正制御量Crcont (n)の学習値である格差補
正学習値θstudy (n)を、後述のラフネス制御量Cro
ugu(n)に基づいて演算して、不揮発性メモリ内の値
を更新し、続くステップSA20では、空燃比フィード
バック補正値Cfbの学習値である空燃比学習値Clrnpを
演算して、不揮発性メモリ内の値を更新した後リターン
する。上記ステップSA19における格差補正学習値θ
study (n)の演算及び上記ステップSA20における
空燃比学習値Clrnpの演算については後述する。
【0045】一方、上記ステップSA10でエンジン水
温WTが第1設定温度WT1 よりも大きければ、ステッ
プSA21に進んで上記ステップSA12と同様にフラ
グFSTA をクリアし、続くステップSA22では点火時
期の昇温促進制御量θRTD の値を0としてステップSA
23に進む。つまり、エンジン水温WTが上記第1設定
温度よりも大きくなれば、触媒が半暖機状態になったと
判定して、点火時期の遅角による昇温促進制御を終了す
る。
【0046】ステップSA23では、エンジン水温WT
をエンジン1の暖機状態に対応付けて設定された第2設
定温度WT2 と比較する。そして、エンジン水温WTが
上記第2設定温度WT2 以下であれば、上述のステップ
SA16に進んで燃料噴射量の格差補正制御量Crcont
(n)を演算する一方、上記第2設定温度WT2 よりも
大きければステップSA24に進んで、上記格差補正制
御量Crcont (n)の値を0として上述のステップSA
17に進む。つまり、エンジン水温WTが上記第2設定
温度WT2 以下のエンジン冷機時には、クランク角速度
変動の気筒間格差を小さくさせる燃料噴射量の補正制御
を実行する一方、エンジン水温WTが上記第2設定温度
WT2 よりも大きくなって、エンジン1が暖機状態にな
ったと判定されれば、上記燃料噴射量の補正制御を終了
する。
【0047】図4にはインジェクタ16の作動による各
気筒毎の燃料噴射制御手順を示す。同図のステップSA
21では、クランク角センサ30からの信号に基づいて
各気筒毎に燃料噴射タイミングになったことの判定を行
い、噴射タイミングになればステップSA22に進ん
で、図3のステップSA17で演算された噴射パルス幅
Ta(n)に応じてインジクタ16を作動させて燃料噴
射を実行し、その後リターンする。
【0048】また、図5には点火回路8の作動による各
気筒毎の点火制御手順を示す。同図のステップSA23
では、図3のステップSA18で演算された点火時期I
GT(n)になったことの判定を各気筒毎に行い、点火
時期になればステップSA24で点火プラグ7に通電し
て各気筒毎に点火実行し、その後リターンする。
【0049】上記図3に示すフローチャート図におい
て、ステップSA7〜SA9が、エンジン1への混合気
の空燃比を理論空燃比になるように制御する空燃比制御
手段35aに、また、ステップSA14が、エンジン1
の点火時期を遅角側に制御する点火時期遅角制御手段に
それぞれ対応している。さらに、ステップSA16が、
インジェクタ16の燃料噴射量を各気筒毎に補正制御し
て燃焼状態の気筒間隔差を是正する格差補正制御手段3
5bに、また、ステップSA19が、上記燃料噴射量の
補正制御量を学習する学習制御手段35cにそれぞれ対
応している。さらに、ステップSA10〜SA13,S
A15がエンジン水温等に基づいて触媒の暖機状態を判
定する触媒暖機判定手段に対応している。
【0050】(空燃比フィードバック制御)次に、図3
のステップSA8における空燃比フィードバック補正値
Cfbの演算について、図6〜図8に基づいて説明する。
【0051】まず、O2 センサ26の出力特性を説明す
ると、図6に示すように、上記O2センサ26の出力
(起電力)は、排気ガス中の酸素濃度が混合気の理論空
燃比に対応する量であるときに基準値E1 になるが、そ
れよりも濃い場合(リッチ側)には急増する一方、それ
よりも薄い場合(リーン側)には急減するようになって
いる。つまり、上記O2 センサ26の出力は、混合気の
空燃比が理論空燃比であるときを境に反転するものであ
る。
【0052】そこで、図7に示すフローチャート図にお
いて、ステップSB1では、O2 センサ26からの出力
Eを理論空燃比に対応する基準値E1 と比較する。そし
て、E>E1 でなければ後述のステップSB7に進む一
方、E>E1 であればステップSB2に進む。このステ
ップSB2では、前サイクルでO2 センサ26の出力E
が基準値E1 以下であったか否かの判定を行い、E≦E
1 であったのであれば、ステップSB3に進んでカウン
タ値jをインクリメントし、続くステップSB4で、空
燃比フィードバック補正値Cfbの前回値を、後述の空燃
比学習値を算出するための予備学習値Cfb(j)として
メモリに逐次記憶する。そして、続くステップSB5
で、該前回値から比較的大きめの制御ゲインCp を減算
して、空燃比フィードバック補正値Cfbの今回値を算出
した後リターンする。一方、上記ステップSB2でE≦
E1 でなかったのであればステップSB6に進んで、空
燃比フィードバック補正値Cfbの今回値を、その前回値
から比較的小さめの制御ゲインCI を減算して算出した
後リターンする。
【0053】つまり、図8に示すように、O2 センサ出
力Eが基準値E1 よりも大きい場合には、制御ゲインC
p ,CI を減算して空燃比フィードバック補正値Cfbを
減少させて、噴射パルス幅Ta(n)の減少によって燃
料噴射量を減少させる。このことで、混合気の空燃比が
リーン側へ補正されて理論空燃比に近付き、上記O2セ
ンサ26の出力Eが低下して基準値E1 に近付く。
【0054】その際、混合気の空燃比が理論空燃比以下
の値から理論空燃比よりも大きい値に変化して、O2 セ
ンサ26の出力Eが基準値E1 を挟んで反転したときに
は、比較的大きめの制御ゲインCp により空燃比フィー
ドバック補正値Cfbの値を急速に変化させるようにす
る。一方、上記起電力値Eが反転しないときには、上記
空燃比フィードバック補正値Cfbの値を比較的小さめの
制御ゲインCI により緩やかに変化させるようにしてい
る。
【0055】一方、上記ステップSB1でE>E1 でな
ければステップSB7に進んで、上記ステップSB2〜
SB6と同様に、空燃比フィードバック補正値Cfbを算
出する。すなわち、上記ステップSB7では、前サイク
ルで起電力Eが基準値E1 よりも大きかったか否かの判
定を行い、前サイクルでE>E1 であったのであれば、
ステップSB8でカウンタ値jをインクリメントし、ス
テップSB9で空燃比フィードバック補正値Cfbの前回
値を予備学習値Cfb(j)として逐次記憶し、ステップ
SB10で、該前回値に上記制御ゲインCp を加算して
空燃比フィードバック補正値Cfbの今回値を算出した後
リターンする。一方、上記ステップSB7でE>E1 で
なかったのであれば、ステップSB11に進んで上記空
燃比フィードバック補正値Cfbをその前回値に上記制御
ゲインCI を加算して算出する。
【0056】つまり、O2 センサ出力Eが基準値E1 よ
りも小さい場合には、制御ゲインCp ,CI を加算して
空燃比フィードバック補正値Cfbを増大させる。このこ
とで、混合気の空燃比がリッチ側へ補正されて理論空燃
比に近付き、上記O2 センサ26の出力Eが増大して基
準値E1 に近付く。その際、上記O2 センサ26の出力
Eが基準値E1 を挟んで反転したときには、空燃比フィ
ードバック補正値Cfbの値を急速に変化させるようにす
る一方、上記出力値Eが反転しないときには、上記空燃
比フィードバック補正値Cfbの値を緩やかに変化させる
ようにしている。
【0057】このように、O2 センサ26からの出力信
号に基づいてインジェクタ16の燃料噴射量をフィード
バック制御することで、混合気の空燃比が理論空燃比を
目標値としてフィードバック制御される。
【0058】(格差補正制御量の演算)次に、図3のス
テップSA16における格差補正制御量Crcont (n)
の演算手順、即ちエンジン1の燃焼状態の気筒間隔差に
応じて燃料噴射量を補正する手順について、図9及び図
10に示すフローチャート図に基づいて説明する。
【0059】まず、図9のステップSC1において、初
期値1の制御サイクルiをインクリメントする(i=i
+1)。続くステップSC2ではクランク角センサ30
からの信号の時間間隔T(i)を計測し、ステップSC
3では上記計測値T(i)に基づいて所定クランク角期
間におけるクランク角速度ω(i)を算出する。
【0060】ここで、上記クランク角速度ω(i)の検
出を行う所定クランク角期間の好ましい設定について図
11〜図13に基づいて説明する。
【0061】図11は直列4気筒4サイクルエンジンに
ついて、クランク角を横軸に、またトルク及び角速度を
縦軸に示したものである。すなわち、各気筒における慣
性トルク(同図に破線で示す)とガス圧トルク(同図に
一点鎖線で示す)との合成トルクは、同図に太い実線で
示すように正常燃焼時は180度間隔で周期的に変化
し、この合成トルクによって回転されるクランク軸の角
速度(実線Aで示す)も周期的に変化する。一方、例え
ば第1気筒において燃焼状態が不安定になって失火に近
い状態が生じた場合、エンジンの合成トルクは同図に二
点鎖線で示すように極めて低くなってしまう。この結
果、クランク角速度は上記第1気筒の膨脹行程半ばから
顕著に低下して(破線Bで示す)正常燃焼時との差が大
きくなる。また、次の気筒(第3気筒)では、前気筒の
影響が残る膨脹行程の前半では角速度が低くなるが、行
程が進むに連れて次第に正常時の値に近付く。
【0062】また、図12は燃焼圧と角速度変動(ラフ
ネス状態)との相関関係を示すものであり、横軸には1
つの気筒についての圧縮上死点(TDC)後のクランク
角(ATDC,CA)を、また、縦軸には当該気筒の燃
焼状態(ガス圧)が角速度に及ぼす影響の度合いを示す
相関係数をそれぞれ表したものである。すなわち、相関
係数が正であれば当該気筒の燃焼圧の変動と角速度の変
動との相関が高い一方、負であれば当該気筒よりもその
前気筒の燃焼圧変動の影響が大きいことを意味する。
【0063】そして、上記図11及び図12から明らか
なように、燃焼が略終了するクランク角(ATDC40
°CA程度)から次気筒の燃焼開始時期付近のクランク
角(ATDC200°CA程度)までの範囲で燃焼圧と
角速度変動との相関性が高く、特にガス圧トルクが低下
してからトルク変曲点(ATDC90°CA程度)を経
た後の、慣性トルクが大きくなる期間X(ATDC10
0°CA〜ATDC200°CA)において、上記相関
関係が高くなる。従って、例えばATDC100°CA
〜ATDC200°CAの範囲内で角速度を検出するよ
うにすれば、この角速度の変動(ラフネス状態)に基づ
いて当該気筒の燃焼状態を精度良く判定することができ
る。また、角速度検出時間を十分に確保するために、角
速度検出のためのクランク角期間は60°CA以上とす
ることが好ましい。
【0064】そこで、例えば図13に示すように、各気
筒のATDC104°CAとATDC174°CAとが
検出されるように、被検出プレート31の各突起部31
a,31,…を設け、各気筒におけるATDC104°
CA〜174°CAの70度の期間の角速度を検出する
ようにしている。このため、図9のステップSC3にお
いては、クランク角速度ω(i)を、 ω(i) = 70×10-6/T(i) のように演算する。
【0065】上記ステップSC3に続くステップSC4
では、図示しないカムシャフトの回転角を検出するセン
サからの信号に基づいて気筒識別を行い、以下のステッ
プSC5,SC6において、気筒毎に、燃焼状態の判別
にとってノイズとなる要素を除去しつつ角速度ω(i)
の変動を求める。すなわち、燃焼状態の変動以外で角速
度変動を生じる要素としては、爆発を加振源とした共振
の影響による角速度変動、車輪や駆動系のアンバランス
に起因する車輪回転に伴う角速度変動、路面からタイヤ
に作用する振動の影響による角速度変動等があり、図1
4に示すように、上記共振の影響による爆発回転次数成
分のノイズはエンジン回転の0.5次及びその整数倍の
周波数で生じ、上記アンバランスに起因する車輪回転に
伴うノイズや路面の影響によるノイズはエンジン回転の
0.5次よりも低い低周波数域内で生じる。
【0066】そこで、図9のステップSC5では、エン
ジン回転の0.5次及びその整数倍の周波数成分を除去
しつつ角速度変動dω(i)を求める。すなわち、同一
気筒における角速度の今回値ω(i)と前回値ω(i−
4)との偏差を求めることで、図15に示すようにコム
フィルタによりエンジン回転の0.5次及びその整数倍
の周波数成分を除いた角速度変動dω(i)のデータが
得られたことになる。また、ステップSC6では、エン
ジン回転の0.5次よりも低い周波数成分のノイズを除
くために、上記ステップSC5で得られた角速度変動d
ω(i)の8サイクル前までのデータに基づいて次式の
ようになまし処理を行う。
【0067】すなわち、 dωf(i) = a・dω(i)+b・dω(i−1)+ c・dω(i−2)+d・dω(i−3)+ e・dω(i−4)+d・dω(i−5)+ c・dω(i−6)+b・dω(i−7)+ a・dω(i−8) (但し、a,b,c,d,eはなまし係数) これにより、図16に示すようにハイパスフィルタによ
りエンジン回転の0.5次よりも低い周波数成分が十分
に減衰されて除かれたことになる。このようにして、各
気筒毎に燃焼状態を高精度に反映した角速度変動データ
dωf(i)を得ることができる。
【0068】上記ステップSC6に続くステップSC7
では、エンジン1の燃焼安定の許容限界に相当する角速
度変動データdωf(i)の上限値dωfmax を、エン
ジン回転数及びエンジン1の吸気充填効率に基づいて予
め設定されたマップから読取り、ステップSC8では同
様のマップから角速度変動データdωf(i)の下限値
dωfmin を読み取る。そして、ステップSC9では、
上記ステップSC6で求められた角速度変動データdω
f(i)を上限値dωfmax と比較し、該角速度変動デ
ータdωf(i)の方が大きければステップSC10に
進んで、燃料噴射量のラフネス制御量Crough (n)を
増大させる場合の所定の制御ゲインCRR(CRR>0)を
読出してこの値CRRを、続くステップSC11でラフネ
ス制御ゲインCR として算出する。
【0069】一方、上記SC9で角速度変動データdω
f(i)が上限値dωfmax 以下の値であれば、ステッ
プSC12に進んで該角速度変動データdωf(i)を
下限値dωfmin と比較し、角速度変動データdωf
(i)の方が小さければステップSC13に進む。そし
て、ラフネス制御量Crough (n)を減少させる場合の
所定の制御ゲインCRL(CRL>0)を読み出し、ステッ
プSC14に進んでラフネス制御ゲインCR を、CR =
−CRLとして算出する。また、上記ステップSC12に
おいて、角速度変動データdωf(i)がその下限値d
ωfmin 以上の値であれば、ステップSC15に進んで
ラフネス制御ゲインCR を、CR =0として算出する。
【0070】図9のステップSC11、ステップSC1
4及びステップSC15に続く図10のステップSC1
6では、i>8であるか否かを判定し、i≦8であれば
ステップSC17に進んでラフネス制御量Crough
(n)=0とする一方、i>8であればステップSC1
8に進んで9≦i<13であるか否かを判定する。そし
て、9≦i<13であればステップSC19に進んで、
ラフネス制御ゲインCR をラフネス制御量Crough
(n)として算出する一方、i>13であればステップ
SC20に進んで、同一気筒におけるラフネス制御量C
rough (n)の前回値に上記ラフネス制御ゲインCR を
加算して、ラフネス制御量Crough (n)の今回値を算
出する。
【0071】つまり、制御サイクルの進行とともに、各
気筒毎にラフネス制御ゲインCR を積算してラフネス制
御量Crough (n)を演算するようにしている。その
際、角速度変動データdωf(i)がその上限値dωf
max よりも大きければ(ステップSC9)、ラフネス制
御ゲインCR の値が正値とされ(SC10,SC1
1)、ラフネス制御量Crough (n)が増大されて(S
C19,SC20)、燃料噴射量がより増量されるよう
になる。このことで、空燃比がリッチ側に補正されてエ
ンジンの燃焼状態が安定化される。一方、角速度変動デ
ータdωf(i)がその下限値dωfmin よりも小さけ
れば(ステップSC12)、ラフネス制御ゲインCR の
値が負値とされ(SC13,SC14)、ラフネス制御
量Crough (n)が減少されて(SC19,SC2
0)、燃料噴射量が減量されるようになる。
【0072】上記ステップSC17、ステップSC19
及びステップSC20に続くステップSC21では、各
気筒におけるラフネス制御量とエンジン1の4つの気筒
のそれぞれにおけるラフネス制御量の平均値との偏差
を、上記各気筒における燃焼状態の格差を是正するため
の格差補正制御量Crcont (n)として演算する。すな
わち、 Crcont (n)=Crough (n)−1/4×{Crough (n−3)+ Crough (n−2)+Crough (n−1)+Crough (n)} となる。
【0073】続くステップSC22では、制御サイクル
が所定回数Lに達したか否かの判定を行い、i≧Lであ
れば後述のステップSC26に進む一方、i<Lであれ
ばステップSC23に進んで、角速度変動データdωf
(i)と重質判定値dωffmax とを比較する。そし
て、角速度変動データdωf(i)が重質判定値dωf
fmax よりも大きければ、ステップSC24で初期値0
のカウンタをインクリメントする(m=m+1)一方、
角速度変動データdωf(i)が重質判定値dωffma
x 以下であればそのままでステップSC25に進む。こ
のステップSC25では、エンジン1の過渡運転領域に
おける燃料噴射量の変更設定量CTRANを、重質度合いの
比較的低い通常の燃料に対応する値CTRANN として、そ
の後リターンする。つまり、制御の初期のサイクル(i
≦L)においては、通常の燃料に対応する制御を行うと
ともに、燃焼状態の悪化による角速度の大変動の回数を
カウントする。なお、上記燃料噴射量の変更設定量CTR
ANは、エンジン1の過渡運転領域における燃焼状態の変
化に対応して燃料噴射量を増減変更させるために設定さ
れている。
【0074】一方、上記ステップSC22でi≧Lにな
ればステップSC26に進んで、カウント値mを予め設
定した判定カウント値cと比較し、m<cであれば角速
度の大変動の回数が少ないので、供給される燃料は通常
の燃料であると判定して上述のステップSC25に進
む。一方、m≧cであれば、角速度の大変動の回数が多
いので、供給される燃料は重質燃料であると判定する。
そして、ステップSC27に進んで、エンジン1の過渡
運転領域における燃料噴射量の変更設定量CTRANを、重
質燃料に対応する値CTRANJ としてリターンする。
【0075】つまり、図17に示すように、所定サイク
ル(L)までの角速度の大変動の回数(角速度の大変動
の発生割合)をカウントして、このカウント値に基づい
て燃料が重質燃料であるか否かを判定するようにしてお
り、供給される燃料が重質燃料であれば、その気化/霧
化の悪化に対応して、過渡運転領域における燃料噴射量
の変更設定量CTRANを補正するようにしている。このこ
とで、供給される燃料が重質燃料であっても過渡運転領
域においてエンジン1への混合気の空燃比を目標空燃比
に制御することが可能になる。
【0076】図9及び図10に示す上記フローチャート
図において、ステップSC1〜SC6が、各気筒毎にク
ランク角速度の変動(ラフネス状態)を検出するラフネ
ス検出手段35dに、また、ステップSC22〜SC2
7が、燃料の重質度合いを判定する重質度合い判定手
段、及び重質燃料であると判定された場合に過渡運転領
域における燃料噴射量の変更設定量CTRANを補正する変
更量補正手段に、それぞれ対応している。
【0077】(格差補正制御量のラフネス学習)次に、
図3のステップSA19におけるラフネス学習の手順を
図18に示すフローチャート図に基づいて説明する。
【0078】まず、同図のステップSD1においては、
制御サイクルi(図11のSC1参照)の値がi≧13
であるか否かを判定し、i<13であればリターンする
一方、i≧13であれば、各気筒毎に現在の燃焼状態に
対応するラフネス制御量Crough (n)が演算されてい
るので、該ラフネス制御量Crough (n)に基づいて、
各気筒毎に燃料噴射量の学習値を算出する。すなわち、
まず、ステップSD2において、ラフネス制御量Croug
h (n)の今回値と前回値とを所定割合で重み付けして
加算して、ラフネス制御量Crough (n)の予備学習値
Cstbase(n)を以下のように算出する。すなわち、K
Iを重み付け係数として、 Cstbase(n) = KI・Crough (n)+(1−K
I){Crough (n)の前回値}となる。
【0079】続くステップSD3では、各気筒毎の予備
学習値Cstbase(n)とエンジン1の4つの気筒のそれ
ぞれにおける予備学習値の平均値との偏差を、上記各気
筒における格差補正学習値Cstudy (n)として算出す
る。すなわち、 Cstudy (n)=Cstbase(n)−1/4×{Cstbase
(n−3)+Cstbase(n−2)+Cstbase(n−1)
+Cstbase(n)} となる。そしてステップSD4で、上記ステップSD3
で算出した学習値Cstudy (n)により不揮発性メモリ
内の学習値を更新して、リターンする。
【0080】つまり、当該気筒の現在の燃焼状態に対応
する適切なラフネス制御量Crough(n)に基づいて、
格差補正制御量Crcont (n)の初期値としての格差補
正学習値Cstudy (n)を求めるようにしている。
【0081】(空燃比フィードバック補正値の学習)次
に、図3のステップSA20における空燃比フィードバ
ック補正値Cfbの学習手順を図19に示すフローチャー
ト図に基づいて説明する。
【0082】まず、同図のステップSE1においては、
エンジン水温WTが触媒の暖機状態に対応するように設
定された第3設定温度WT3 以上であるか否かを判定
し、第3設定温度WT3 よりも低ければリターンする一
方、第3設定温度WT3 以上であればステップSE2に
進む。ステップSE2では、空燃比フィードバック補正
値Cfbの演算(図7参照)におけるカウンタ値jがj≧
8であるか否かを判定して、j<8ならばリターンする
一方、j≧8ならば、空燃比学習値Clrnp(n)の算出
のために必要とされる8個以上の予備学習値Cfb(j)
がメモリに記憶されていると判定して、ステップSE3
に進む。
【0083】そして、ステップSE3では、メモリに記
憶されている8サイクル前までの予備学習値Cfb(j)
のデータを平均して、空燃比学習値Clrnp(n)を算出
する。すなわち、 Clrnp(n)=1/8×{Cfb(j−7)+Cfb(j−6)+ Cfb(j−5)+Cfb(j−4)+Cfb(j−3)+ Cfb(j−2)+Cfb(j−1)+Cfb(j)} となる。そして、ステップSE4で、上記ステップSE
3で算出した空燃比学習値Cfb(n)により不揮発性メ
モリ内の学習値を更新して、リターンする。
【0084】次に、上記実施形態に係るエンジンの制御
装置Aの作用・効果について説明する。
【0085】この実施形態では、エンジン1のクランク
角速度変動(ラフネス状態)が比較的大きいエンジン冷
機時の定常運転領域において(図3のステップSA10
〜SA14,SA15)、ラフネス検出手段35dによ
り各気筒毎の角速度変動データdωf(i)が精度良く
検出されるので(図9のSB1〜SB6)、該角速度変
動データdωf(i)に基づいて、気筒間の燃焼状態の
格差を十分に精度良く検出することができる。
【0086】そして、上記ラフネス検出手段35dから
の信号に基づいて、格差補正制御手段35bによりイン
ジェクタ16の燃料噴射量が各気筒毎に補正制御される
ことで、各気筒毎に混合気の空燃比を変更調整して、エ
ンジン1の燃焼状態の気筒間格差を十分に小さくさせる
ことができる。従って、各気筒毎の燃焼状態が従来より
も精度良く制御され、このことで、エンジン1の燃焼安
定性の向上及びエミッション低減が図られる。
【0087】その際、触媒が冷機状態になっていれば
(ステップSA23でWT≦WT1 )、エンジン1の点
火時期を上死点付近まで遅角させて、排気熱損失の増大
によってラフネス状態を大きくさせることで、燃焼状態
の気筒間格差を一層精度良く検出することができる。し
かも、排気熱損失の増大によって排気ガス温度が高まる
ため、触媒の早期昇温を促進することができ、触媒が所
定以上の浄化機能を発揮する半暖機状態になれば(ステ
ップSA23でWT>WT1 )、該触媒の浄化機能によ
り排気有害成分の低減が図られる。
【0088】また、この実施形態では、空燃比制御手段
35aによって混合気の空燃比が略理論空燃比に保たれ
ている(ステップSA7,SA8)。従って、供給され
る燃料が通常の重質度合いの燃料であれば、図20に一
点鎖線で示すように、冷機状態のエンジン1は燃焼安定
限界の付近で運転されていて、図示平均有効圧力Piの
変動率がかなり大きい状態、即ちラフネス状態がかなり
大きい状態になっているので、燃焼状態の気筒間格差を
一層精度良く検出することができる。その上、混合気の
空燃比を略理論空燃比に保つことで、HC、CO及びN
Ox の排出濃度の低減が図られる上(図21参照)、触
媒の浄化率が極めて高い状態になるので(図22参
照)、一層のエミッション低減が図られる。
【0089】さらに、この実施形態では、上述の格差補
正制御手段35bによる空燃比の補正結果を、学習制御
手段35cによって、空燃比制御手段35aによる空燃
比の基本制御量に反映させるようにしている。すなわ
ち、各気筒毎のラフネス制御量Crough (n)に基づい
て格差補正学習値Cstudy (n)を算出し(図18のス
テップSD2,SD3)、エンジン暖機時にインジェク
タ16に出力する噴射パルス幅Ta(n)の演算におい
ても、上記格差補正学習値Cstudy (n)を反映させる
ようにしている(ステップSA17)。
【0090】従って、エンジン暖機時で燃焼状態が安定
していて(図20参照)ラフネス状態の気筒間格差を検
出し難いときにも、インジェクタ16の個体差等に起因
する燃焼状態の気筒間格差を十分に精度良く是正するこ
とができる。このことで、エンジン暖機時においても従
来に比べて燃焼安定性の向上及びエミッション低減が実
現される。
【0091】加えて、この実施形態では、ラフネス検出
手段35dによる検出結果に基づいて供給される燃料が
いわゆる重質燃料と判定されたとき(図10のステップ
SC22〜SC24,SC26)、過渡運転領域におけ
る燃料噴射量の変更設定量CTRANを補正するようにして
いる(SC25,SC27)。すなわち、一般に、車両
の加減速時等のエンジン1の過渡運転領域においては、
エンジンへの混合気の空燃比を定常運転領域の値から設
定量だけ変更するようにしているが、そのとき、供給さ
れる燃料がいわゆる重質燃料である場合には、燃料の気
化/霧化の悪化によって実際の空燃比が目標空燃比から
ずれてしまいエンジン1の燃焼状態の悪化を招く虞れが
ある。しかし、上述の如く変更設定量CTRANを補正する
ことで、燃料の気化/霧化が悪化しても混合気の空燃比
を目標空燃比に制御することが可能になり、よって、供
給される燃料が重質燃料であっても、過渡運転領域にお
けるエンジンの燃焼状態の悪化を防止することができ
る。
【0092】(他の実施形態)なお、本発明は上記実施
形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態
を包含するものである。すなわち、上記実施形態では、
ラフネス検出部35dにより、クランク角速度ω(i)
の変動をラフネス状態として検出するようにしている
が、これに限らず、例えば、エンジン1の燃焼圧力の変
動を直接センサにより検出してもよく、また、クランク
角加速度の変動や排気ガス中のCO濃度の変動を検出し
て、それらに基づいてエンジン1の燃焼状態を判定する
ようにしてもよい。
【0093】上記実施形態では、クランク角速度変動デ
ータdωf(i)に基づいてエンジン1の燃焼状態の気
筒間隔差を検出し、この検出結果に基づいて格差補正制
御手段35bによって燃料噴射量を各気筒毎に補正する
ことで、上記燃焼状態の気筒間隔差を小さくさせるよう
にしているが、これに加えて、例えば、排気ガス中の酸
素濃度に基づいて各気筒毎の混合気の空燃比の値を検出
するいわゆるリニアO2 センサを設け、このリニアO2
からの信号に基づいて各気筒の空燃比が均一になるよう
に燃料噴射量を補正するようにしてもよい。このように
構成すれば、上記クランク角速度変動データdωf
(i)に基づく補正と併せて、エンジン1の燃焼状態の
気筒間格差を迅速にかつ一層小さくすることができる。
【0094】また、上記実施形態では、エンジンの制御
装置Aを直列4気筒エンジンに適用しているが、これに
限らず、5つ以上の気筒を有する多気筒エンジンに適用
してもよく、また、2気筒もしくは3気筒エンジンにも
適用可能である。
【0095】さらに、上記実施形態では、点火時期の遅
角制御や空燃比の理論空燃比への制御等によって、エン
ジン1の燃焼状態を不安定寄りに制御することで、燃焼
状態の気筒間隔差を精度良く検出できるようにしてい
て、そのときに、格差補正制御量Crcont (n)を学習
制御手段35cによって学習するようにしているが、こ
れに限らず、例えば、供給される燃料がいわゆる重質燃
料であるときには、燃料の気化/霧化が極めて悪いため
エンジンの燃焼状態が不安定になってラフネス状態が極
めて大きい状態になるので、このときに格差補正制御量
Crcont (n)を学習するようにしてもよい。
【0096】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発
明におけるエンジンの制御装置によれば、少なくとも、
ラフネス状態が比較的大きくなっているエンジン冷機時
の定常運転領域において、ラフネス状態の気筒間格差を
十分に精度良く検出することができるので、この検出結
果に基づいて格差補正制御手段によって空燃比の基本制
御量を各気筒毎に補正することで、ラフネス状態の気筒
間格差を十分に小さくさせることができる。従って、燃
焼状態の気筒間格差を十分に小さくさせて、エンジンの
燃焼安定性の向上及びエミッション低減が図られる。
【0097】請求項2記載の発明によれば、エンジン冷
機時の定常運転領域における空燃比の補正結果を、学習
制御手段によって空燃比の基本制御量に反映させるよう
にしたので、エンジン暖機時や過渡運転領域において
も、従来に比べて燃焼安定性の向上及びエミッション低
減が実現される。
【0098】請求項3記載の発明によれば、空燃比制御
手段による空燃比調整手段の制御によって混合気の空燃
比を理論空燃比近傍の所定値に保ちつつ、ラフネス状態
の気筒間格差を検出するようにしたので、学習制御手段
による学習値の精度をより高めることができる。よっ
て、エンジン暖機時や過渡運転領域における気筒間格差
の是正を一層精度良く行うことができる。また、HC、
CO及びNOx の排出濃度の低減が図られる。
【0099】請求項4記載の発明によれば、半暖機状態
の触媒の浄化機能を活用することで、学習制御手段によ
る学習制御の実行の間のエミッション低減が図られる。
【0100】請求項5記載の発明によれば、エンジンの
点火時期を各気筒ともに遅角させつつ、ラフネス状態の
気筒間格差を検出するようにしたので、学習制御手段に
よる学習値の精度をより高めることができる。よって、
エンジン暖機時や過渡運転領域における気筒間格差の是
正を一層精度良く行うことができる。また、触媒の早期
昇温を促進して活性化を早めることができる。
【0101】請求項6記載の発明によれば、空燃比検出
手段による検出結果に基づく空燃比の基本制御量の補正
によって気筒間の空燃比の格差が小さくされるため、エ
ンジンの燃焼状態の気筒間格差を迅速にかつ一層小さく
することができる。
【0102】請求項7記載の発明によれば、供給される
燃料がいわゆる重質燃料であっても、過渡運転領域にお
けるエンジンの燃焼状態の悪化を防止することができ
る。
【0103】請求項8記載の発明によれば、供給される
燃料がいわゆる重質燃料であるときに、ラフネス状態の
気筒間格差を検出するようにしたので、学習制御手段に
よる学習値の精度をより高めることができ、このこと
で、エンジン暖機時や過渡運転領域における気筒間格差
の是正を一層精度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係るエンジンの制御装置を
示す全体構成図である。
【図3】燃料噴射量及び点火時期の演算手順を示すフロ
ーチャート図である。
【図4】燃料噴射制御の手順を示すフローチャート図で
ある。
【図5】点火制御の手順を示すフローチャート図であ
る。
【図6】O2 センサの出力特性を示す説明図である。
【図7】空燃比フィードバック補正値の演算手順を示す
フローチャート図である。
【図8】空燃比フィードバック補正値の変更とO2 セン
サ出力との対応関係を示した説明図である。
【図9】ラフネス制御量の演算における、角速度変動の
検出とラフネス制御ゲインの設定を示すフローチャート
図である。
【図10】ラフネス制御量に基づく格差補正制御量の演
算、重質判定及び過渡運転領域における燃料噴射量の変
更補正の手順を示したフローチャート図である。
【図11】4気筒4サイクルエンジンの各気筒の行程
と、クランク角の変化に対するトルク及び角速度の変化
を示す説明図である。
【図12】燃焼圧と角速度変動との相関関係を示す説明
図である。
【図13】クランク角検出のための、被検出プレート及
びクランク角センサの概略構成を示す図である。
【図14】ノイズ的要素による角速度変動を示す図であ
る。
【図15】検出した角速度のデータからエンジン回転の
0.5次及びその整数倍の成分を除去する処理を行った
後のデータを示す図である。
【図16】上記データからエンジン回転の0.5次より
低い周波数成分を除去するハイパスフィルタとしての処
理を行った後のデータを示す図である。
【図17】初期の制御サイクルでの角速度変動の様子を
示した説明図である。
【図18】格差補正学習値の演算手順を示すフローチャ
ート図である。
【図19】空燃比学習値の演算手順を示すフローチャー
ト図である。
【図20】Pi変動率の空燃比に対する変化特性を表し
たグラフである。
【図21】HC、CO及びNOx の排出濃度の、空燃比
に対する変化特性を表したグラフである。
【図22】三元触媒によるHC、CO及びNOx の浄化
率の、空燃比に対する変化特性を表したグラフである。
【符号の説明】
1 エンジン 2 シリンダ(気筒) 8 点火回路(点火時期可変手段) 16 インジェクタ(空燃比調整手段) 27 触媒コンバータ 35a 空燃比制御手段 35b 格差補正制御手段 35c 学習制御手段 35d ラフネス検出手段 Crcont (n) 格差補正制御量(補正制御量) Cstudy (n) 格差補正学習値 dωf(i) 角速度変動データ(エンジンのラフ
ネス状態)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI F02D 45/00 364 F02D 45/00 364K 41/04 305 41/04 305J 41/06 305 41/06 305 41/14 310 41/14 310M F02P 5/15 F02P 5/15 E

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンのラフネス状態を検出するラフ
    ネス検出手段を備え、該ラフネス検出手段により検出さ
    れるラフネス状態が燃焼安定限度内に収まるように、上
    記エンジンの燃焼状態を制御するようにしたエンジンの
    制御装置において、 上記ラフネス検出手段は、少なくともエンジン冷機時の
    定常運転領域において各気筒別にラフネス状態を検出す
    るように構成され、 上記エンジンへの混合気の空燃比を各気筒毎に調整する
    空燃比調整手段と、 上記エンジンの運転状態に対応して予め設定した基本的
    な目標空燃比になるように上記空燃比調整手段を制御す
    る空燃比制御手段と、 少なくともエンジン冷機時の定常運転領域において、上
    記ラフネス検出手段からの信号に基づいて、上記各気筒
    間のラフネス状態の格差が少なくなるように、上記空燃
    比制御手段による基本制御量を気筒毎に補正する格差補
    正制御手段とを設けたことを特徴とするエンジンの制御
    装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 エンジン冷機時の定常運転領域における格差補正制御手
    段による気筒毎の補正制御量に基づいて学習値を求め、
    この学習値を空燃比制御手段による基本制御量に反映さ
    せる学習制御手段を設けたことを特徴とするエンジンの
    制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項2において、 空燃比制御手段は、エンジン冷機時の定常運転領域にお
    いて、目標空燃比が理論空燃比近傍の所定値になるよう
    に空燃比調整手段を制御するものであり、 学習制御手段は、混合気の空燃比が上記理論空燃比近傍
    の所定値になっているときの、格差補正制御手段による
    補正制御量に基づいて学習値を求めるように構成したこ
    とを特徴とするエンジンの制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項2又は請求項3において、 触媒の暖機状態を判定する触媒暖機判定手段を設け、 学習制御手段は、上記触媒の浄化機能が発揮され始める
    半暖機状態が上記触媒暖機判定手段により判定されたと
    きの、格差補正制御手段による補正制御量に基づいて学
    習値を求めるように構成したことを特徴とするエンジン
    の制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項2、請求項3又は請求項4におい
    て、 エンジンの点火時期を変更する点火時期可変手段と、 エンジン冷機時の定常運転領域において、エンジンの点
    火時期を各気筒ともに遅角するように上記点火時期可変
    手段を制御する点火時期遅角制御手段とを設け、 学習制御手段は、上記点火時期遅角制御手段による制御
    が行われているときの、格差補正制御手段による補正制
    御量に基づいて学習値を求めるように構成したことを特
    徴とするエンジンの制御装置。
  6. 【請求項6】 請求項1において、 排気ガス中の酸素濃度に基づいて各気筒毎の混合気の空
    燃比を検出する空燃比検出手段を設け、 格差補正制御手段は、上記空燃比検出手段からの信号に
    基づいて、上記各気筒間の空燃比の差が小さくなるよう
    に空燃比制御手段の基本制御量を補正するように構成し
    たことを特徴とするエンジンの制御装置。
  7. 【請求項7】 請求項1において、 ラフネス検出手段による検出結果に基づいて燃料の重質
    度合いの判定を行う重質度合い判定手段と、 エンジンの定常運転領域以外の過渡運転領域において空
    燃比制御手段による基本制御量を変更する過渡時空燃比
    変更手段と、 上記重質度合い判定部により燃料の重質度合いが所定以
    上高いと判定されたとき、上記過渡時空燃比変更手段に
    おける変更量を補正する変更量補正手段とを設けたこと
    を特徴とするエンジンの制御装置。
  8. 【請求項8】 請求項2において、 ラフネス検出手段による検出結果に基づいて燃料の重質
    度合いの判定を行う重質度合い判定手段を設け、 学習制御手段は、上記重質度合い判定手段により燃料の
    重質度合いが所定以上高いと判定されたときの、格差補
    正制御手段による補正制御量に基づいて学習値を求める
    ように構成されていることを特徴とするエンジンの制御
    装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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