JPH11507120A - 引き込み可能な結合具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 ふたつの部材（３、４）に軸線を合わせて形成した穴部（４）を通して、ふたつの部材（３、４）を一体に結合する結合具（１０）であって、この結合具は、それぞれの端部の近くに少なくともひとつの開口部（１４、１６）を有するとともに中央の穴状空間部を有する長さ方向に延びるボディ（１２）と、この中央の穴状空間部に同心的に配置するとともにそれぞれの端部に互いに反対方向のネジ部（２３Ａ、２４Ａ）を有し、かつ、その操作可能な端部に回転作動付与部材（２５）を持った、ネジ切りしたシャフト（２２）と、互いに反対方向のネジ部（２３Ａ、２４Ａ）の部分に設けるとともにそれぞれのネジ部とネジ結合するナット（２７、２８）と、を有し、これらナットのそれぞれに少なくともひとつの長さ方向に延びる係合用のフィンガー部を、開口部（１４、１６）のそれぞれのひとつの近くに位置するように取り付け、これらフィンガー部（１８、２０）は、シャフト（２２）が第１の方向にまわされてナット（２７、２８）がそれぞれ他方のナットに向かって移動するとき、それぞれの開口部を通して延びるようにされており、かくして、それぞれの端部における開口部が、軸線を合わせて形成した穴部（４）内において、一体に結合されるべき当該ふたつの部材（１、３）の異なる一方側の近くにそれぞれ配置されているとき、これらのフィンガー部（１８、２０）が、ふたつの部材（１、３）のそれぞれの一方と係合するようにすることにより、このふたつの部材（１、３）を一体に結合する。

Description

【発明の詳細な説明】 発明の名称 引き込み可能な結合具 本発明の背景 本発明は、結合具あるいはアンカー装置に関するもので、とくにふたつの部 材を一体に結合するための結合装置に関するものである。とくに本発明は、引き 込み可能な結合具に関し、この結合具は、この結合具により結合されるべきふた つの部材を通して軸線を合わせて形成した穴部にこれを挿入し、かつ引き抜くこ とができる。さらにとくに、本発明は、たとえば破損したあるいは骨折した骨を 一体に結合するなど、医療の分野に応用することができる結合具に関する。本発 明はとくに、医療の分野において応用可能であるが、これに限定されることなく 、たとえば、ふたつ以上の部材を一緒に固定することが必要な建設業界など他の 用途にも応用可能である。 発明の概要 すなわち本発明の目的は、ふたつの部材を一体に結合するための結合具を提 供することである。 また本発明の目的は、一体に結合すべきふたつの部材に軸線を合わせて形成 した開口部に挿入する操作と同様な容易さで引き抜くことができる結合具を提供 することである。 また本発明の目的は、一体に結合すべき部材の少なくとも一方を通して貫通 していない穴、すなわちめくら穴に挿入することができる結合具を提供すること である。 また本発明の目的は、医療分野、すなわち、破損したあるいは骨折した骨を 一体に固定するなど、とくに応用可能な結合具を提供することである。 また本発明の目的は、たとえば縫合部（縫い糸）、人口装具、あるいは、あ る部材を他の部材に結合するための結合部材などの他の装置用として、その取付 け部位を確保する結合具あるいはアンカー装置を提供することである。 また本発明の目的は、建築業、製造業、あるいは製品の組立て業の分野に応 用可能な、ふたつの部材を一体に結合するための結合具を提供することである。 本発明に関する上述のおよび他の目的は、ふたつの部材に整列して形成した 穴部を通してこのふたつの部材を一体に結合する結合具により達成される。この 結合具は、それぞれの端部の近くに少なくともひとつの開口部を有するとともに 中央の穴状空間部を有する長さ方向に延びるボディと、この中央の穴状空間部に 同心的に配置するとともにそれぞれの端部に互いに反対方向のネジ部を有し、か つ、その操作可能な端部に回転作動付与部材を持った、ネジ切りしたシャフトと 、互いに反対方向のネジ部の部分に設けるとともにそれぞれのネジ部とネジ結合 するナットと、を有し、これらナットのそれぞれに少なくともひとつの長さ方向 に延びる係合用のフィンガー部を、開口部のそれぞれのひとつの近くに位置する ように取り付け、これらフィンガー部は、シャフトが第１の方向にまわされてナ ットがそれぞれ他方のナットに向かって移動するとき、それぞれの開口部を通し て延びるようにされており、かくして、それぞれの端部における開口部が、軸線 を合わせて形成した穴部内において、一体に結合されるべき当該ふたつの部材の 異なる一方側の近くにそれぞれ配置されているとき、これらのフィンガー部が、 ふたつの部材のそれぞれの一方と係合するようにすることにより、このふたつの 部材を一体に結合する。 本発明の目的はまた、ある部材の穴部に固定するためのアンカーにより達成 可能である。このアンカーは、少なくともひとつの開口部を有して、ある部材の 穴部にこれを挿入するようになっているとともに中央の穴状空間部を有する第１ のボディと、この中央の穴状空間部に同心的に配置するとともに中央の穴状空間 部に長さ方向に移動可能で、またこれから長さ方向に離れるように延びる少なく ともひとつのフィンガー部を有する第２のボディと、を有し、このフィンガー部 は、第１のボディの開口部の近くにこれを配置し、かくして、第１のボディが第 ２のボディ内において長さ方向に第１の方向に移動したとき、フィンガー部が開 口部を通して延びることにより、部材の穴部に係合して第１のボディおよび第２ のボディを移動しないように固定する。 本発明の目的はまた、ある部材の穴部に固定するためのアンカーにより達成 可能である。このアンカーは、第１および第２のカラー部材を有するとともにこ れらのカラー部材の間に位置してこれらのカラー部材にそれぞれの端部において つながっている複数の長さ方向に延びる切片部分を有する第１の円筒状のボディ と、この第１のボディに同心的であり第１のボディの中央孔部に配置してある第 ２のボディと、を有し、第１のボディは、第２のボディに対して長さ方向に移動 可能であり、第１のボディが第２のボディに対して第１の長さ方向に延びる方向 に移動したとき、長さ方向に延びる切片部分が外方に弾性変形することにより、 上記アンカーが挿入されるべきある部材の穴部に係合するようになっている。 本発明の目的はまた、ふたつの部材において軸線を合わせて形成した穴部を 通してふたつの部材を一体に結合するための結合具により達成可能である。この 結合具は、第１および第２のカラー部材を有するとともにこれらのカラー部材の 間に位置してこれらのカラー部材にそれぞれの端部においてつながっている複数 の長さ方向に延びる切片部分を有する第１の円筒状のボディと、第１および第２ のカラー部材を有するとともにこれらのカラー部材の間に位置してこれらのカラ ー部材にそれぞれの端部においてつながっている複数の長さ方向に延びる切片部 分を有する第２の円筒状のボディと、第１のボディおよび第２のボディと同心的 であるとともに、第１のボディおよび第２のボディのそれぞれの中央穴部を通し て配置した、ネジ切りしたシャフトからなる第３のボディと、を有し、このネジ 切りしたシャフトは、その端部において互いに反対方向にネジ部を切ってあり、 第１のボディおよび第２のボディは、これらネジ部のそれぞれの一方に対してこ れを配置し、さらに、第１のボディおよび第２のボディそれぞれの第１のカラー 部材および第２のカラー部材の一方は、これらネジ部のそれぞれの一方に係合す るネジ切りしたナットを有し、第１のボディおよび第２のボディのそれぞれの長 さ方向に延びる切片部分は、ネジ切りしたシャフトが第１の方向にまわされてナ ットが互いに対して移動するようにされたとき、外方に弾性変形することにより 、ふたつの部材のそれぞれの一方に軸線を合わせて形成した穴部の壁面に係合し 、かくして、切片部分が、ふたつの部材のそれぞれの一方の穴部の壁面に係合す るようにし、これらふたつの部材を一体に結合する。 図面の簡単な説明 添付の図面を参照して、本発明をより具体的に以下説明する。 第１図は、ふたつの部材を一体に結合するための引き込み可能な結合具のあ る実施の形態を示すもので、とくにこれらふたつの部材に軸線を合わせて形成し た穴部にこの結合具が挿入され、ただし、穴部に固定される前の状態を示す図で ある。 第２図は、第１図に示した結合具が、ふたつの部材を一体に結合した状態を 示す図である。 第３図は、第１図および第２図に示した結合具の一方の部分を示す斜視図で あって、結合要素（フィンガー部）がその延びた位置にある状態を示す。 第４図は、引き込み可能な結合具の他の実施の形態を示し、とくにその非作 動状態、およびアンカー装置として用いられる状態を示す図である。 第５図は、第４図の結合具の作動状態を示す図である。 第６図は、ふたつの部材を一体に結合するための結合具を示すさらに他の実 施の形態の図であって、第４図および第５図に示した結合具の係合要素を用いた 図である。 第７図、第８図および第９図は、その他のアンカー装置を示す図である。 発明による実施の形態の詳細な説明 つぎに、第１図、第２図および第３図は、本発明による結合具の第１の実施 の形態を示す。第１図、第２図および第３図に示す結合具は、多くの応用分野を 有することができ、たとえば、医療分野と同様に、とくに結合部が外部から見え ないようにする必要がある場合に構成部材どうしを一体に結合する、建築分野や 各種の製品の製造分野などがある。第１図および第２図は、結合具は骨折したふ たつの骨を結合する、踵骨骨折の治療という医療分野に応用した場合を示してい る。ふたつの骨片は、符号１および３でこれを示し、踵骨骨折は、符号２により これを示してある。 結合具は、たとえば、ふたつの骨片１、３に軸線を合わせて形成しためくら 穴にこれを挿入する。符号１０で示した結合具は、穴部をドリルにより形成する 工程ののち、めくら穴４にこれを挿入するか、あるいは結合具１０自体を先端部 ６付きの適宜のドリルにこれを取り付けることもできる。この先端部６自体がド リルのビットとなるわけである。後者の場合には、穴部をドリルにより形成する 工程はまた、挿入工程を有し、この挿入工程ののちに、ドリルを結合具から取り 外し、結合具をめくら穴４の内部に残すようにする。 結合具１０は、一般的に円筒状のボディ１２を有する。円筒状のボディ１２ は、上述のように、その挿入側端部に配置したドリルビット６を有することがで きる。円筒状のボディ１２は、複数個の開口部あるいは窓部１４を、一方の端部 に、また複数個の開口部あるいは窓部１６を他方の端部に有し、これら窓部１４ および窓部１６を通して、以下に述べるように、結合具の作動にともない、それ ぞれの弾性的な係合要素（フィンガー部）１８、２０が突出する。第１図は、結 合具が作動する前の係合要素１８、２０を示す。第２図は、係合要素１８が窓部 １４を通してその延びた位置にあり、係合要素２０が窓部１１を通してその延び た位置にある状態の結合具１０を示す。第３図は、係合要素１８がその延びた位 置にある（めくら穴４の）最内部の端部位置を示す。 結合具１０はさらに、ネジ切りしたシャフト２２を有し、このネジ切りした シャフト２２は、それぞれの端部２３、２４においてネジ切りされているが、ネ ジ部２３Ａ、２４Ａの一方が左方向のネジで、他方が右方向のネジであるように 互いに反対方向のネジとしてある。たとえば、ネジ部２３Ａが左方向のネジであ り、ネジ部２４Ａが右方向のネジである。挿入側端部の反対側の端部において、 ネジ切りしたシャフト２２は締め付け用ナットあるいはスクリューヘッド２５を 設けてあり、このスクリューヘッド２５がネジ切りしたシャフト２２を回転させ る。ナット２７、２８が、それぞれの端部２３、２４にそれぞれネジ結合してい る。ナット２７は、これに取り付けたあるいは結合した係合要素１８を有する。 好ましくは、係合要素１８はナット２７と一体的に構成することが望ましい。 同様に、ナット２８は、これに取り付けたあるいは結合した、もしくはナッ ト２８に一体的に構成した係合要素２０を有する。 ふたつの部材１、３を一体的に結合するためには、結合具１０をめくら穴４ に挿入したうえで、スクリューヘッド２５を回転させる。第２図に示すように、 シャフト２２の回転により、ふたつのナット２７、２８が、互いの方に移動し始 める。係合要素１８のそれぞれに対して形成された開口部１４は、傾斜面２９を 有しており、かくして、係合要素１８が骨折領域２に向かって移動したときに、 係合要素１８それぞれの上に形成されている対応する傾斜面３０が、ボディ１２ の傾斜面２９に当接して係合する。かくして、ナット２７、２８が互いの方向に 向かって移動したときに、係合要素１８が弾性変形し、傾斜面２９に沿って外方 に変形する。結局、係合要素１８は、スクリューヘッド２５が締め付け方向にま わされたときに開口部１４から外方に延び、さらにボディ１２の外部に延び、か くして、部材１におけるめくら穴４の壁面と係合し、他の部材２に結合される。 こうして、係合要素１８と部材１との間に摩擦結合、あるいは食い込み結合を実 現する。 同様に、（結合部１０の）他方の端部において、スクリューヘッド２５がま わされると、傾斜面３２を有する係合要素２０が、開口部１６の傾斜面３４に係 合し、かくして、係合要素２０が弾性変形し、開口部１６を通って延びることに より、部材３にかみ込み、あるいは摩擦係合して、部材１に結合される。 したがって、スクリューヘッド２５を締め付ければ、同時に、ナット２７、 ２８が互いの方向に向かって移動し、部材１の部材３への結合構造が達成され、 結果として、係合要素１８、２０が外方に変形し、部材１、３に係合することに なる。 結合具１０が医療の分野に応用されたときには、結合具１０は、これを適宜 の生体適合性の金属、あるいは他の材料たとえばプラスチックなどから製造する ことが望ましい。 係合要素１８、２０は、適宜の弾性変形可能な、あるいは折り曲げ可能な材 料からこれを製造する。適宜な材料としては、折り曲げ可能な金属およびプラス チックなどがある。結合具１０が医療分野に使用される場合には、これらの材料 は、全体として、生体適合性を有するか、あるいは生体に吸収可能であることが 望ましい。 本発明による結合具はまた、たとえば、踵骨骨折２が治癒したときには、め くら穴４から簡単にこれを引き抜くことができる。すなわち、スクリューヘッド ２５を締め付け方向とは逆の方向にまわすことにより、ナット２７、２８が互い から離れるように移動し、係合要素１８、２０がまた、互いから離れるように移 動し、それぞれの開口部１４、１６にしたがって、ボディ１２の内部における中 央開口部７（中央の穴状空間部）に再び戻ってゆく。スクリューヘッド２５を適 当な回数だけまわすことによって、係合要素１８、２０が第１図に示す位置に戻 り、結合具１０のボディの内部に再び完全に引き込まれることになる。図示のよ うに、ボディ１２は、開口部１４、１６のそれぞれに傾斜面３６、３８を有し、 係合要素１８、２０がボディ内の中央開口部７に再び収容されることを容易にし ている。 第１図および第２図に示すように、ボディ１２においては、中央開口部７が より広い領域７Ａ、７Ｂ、および一般的にはより狭い領域７Ｃを有するように形 成されている。こうした構成により、結合具１０をその組み立て状態でユニット として一体に保つ。なぜならば、引っ張る力がスクリューヘッド２５に作用して も、係合要素１８およびシャフト２２が表面２９（傾斜面）に当接して係合する ので、係合要素１８がシャフト２２の引っ張り出しを防止するからである。さら に第１図および第２図に点線１２Ａで示すように、ボディ１２は、ふたつの部品 からこれを構成することもできる。シャフト２２および係合要素１８、２０が結 合具１０を単一のユニットとして保持しているので、ボディ１２は分離すること がない。 結合具１０にはまた、ガイドピンを収容することが可能な中央通路あるいは 内腔２１を設けることができる。第１図を参照。ガイドピンは、その一方の端部 にドリルビットを取り付けた状態で、まずドリリングを行い、部材１、３内にこ れを通し、管状のドリルをガイドピンを覆うように挿入し、この管状のドリルを 用いてめくら穴４を必要な直径に拡大する。ついで、管状のドリルを取り除き、 中央の内腔２１にガイドピンを挿入するように結合具を通してその軸線を合わせ た状態を維持する。 第４図および第５図は、本発明の他の実施の形態を示す。この実施の形態は 、第１図および第２図に示した部材３のめくら穴４と同様な、たとえばめくら穴 などの開口部に挿入可能なアンカー装置を有する。第４図および第５図の装置は 、開口部にこれを挿入することにより、他の部材を、この装置が挿入された部材 に固定する。たとえば、第４図および第５図に示した装置は、縫い糸、人口装具 あるいは一方の部材を他方の部材に結合するための他の結合部材用のアンカー（ 固着具）としてこれを用いることができる。 第４図および第５図に示した装置は、第１の内部シャフト５０を有する。こ の第１の内部シャフト５０は、その端部５２において、ネジ切りした穴部あるい は他の適当な取付け部位を有する。シャフト５０を取り囲むようにしてシリンダ ー５４を設け、このシリンダー５４は、シャフト５０の上を、あるいはシャフト ５０に対してスライド可能である。シリンダー５４は、長さ方向に延びる複数個 の切片部分５６Ａにこれが分割される領域５６を有する。長さ方向に延びる切片 部分５６Ａのそれぞれは、その長さ方向に沿って他の長さ方向に延びる切片部分 ５６Ａから分離されるもので、シリンダー５４において、たとえば切断、薄片へ の切り分けなど適宜の手段によりこれを形成する。本発明によれば、長さ方向に 延びる切片部分５６Ａの特定の部位において、この切片部分５６Ａを折り曲げる ようにする手段を設ける。第４図および第５図の実施の形態においては、切片部 分が折れ曲がる特定の部位は、それぞれの切片部分を弱くすることによりこれを 決定することができる。この折れ曲がる特定の部位は、図示のように、切片部分 に形成した貫通孔５６Ｂ、および切片部分がシリンダー５４と結合するヒンジラ インを構成するスリット５６Ｃ、５６Ｄによりこれを画定する。 図示の実施の形態における貫通孔５６Ｂはまた、切片部分の近くのものと同 じ線上にないようにすることが望ましい。貫通孔５６Ｂが交互に異なる位置にあ れば、切片部分５６Ａは交互に異なる部位において折り曲がることになる。切片 部分５６Ａの折り曲がり部位５６Ｂを好ましくは交互に異なる位置に形成すると いう理由は、本装置が、ある部材に挿入されたとき、長さ方向に延びる切片部分 ５６Ａが、適宜の作動開始により、外方に拡開し、交互に異なる部位５６Ｂおよ びスリット５６Ｃ、５６Ｄにおいて折れ曲がるようにするためである。本装置が 取り付けられる部材における係合用の切片部分５６Ａによる負荷を拡散するため に、折れ曲がり部位５６Ｂを、上述のような交互に異なる位置に設けるわけであ る。こうした構成により、装置が挿入される部材への歪みを最小限とし、単一の 平面に沿って歪みが発生することを防止し、いかなる歪みもふたつの平面に分布 させることができる。かくして、結合具が挿入される部材が、貫通孔５６Ｂによ り画定される平面に沿って裂ける機会を減少させる。第４図および第５図から容 易に確認することができるように、貫通孔５６Ｂは、（みっつ以上の平面を定義 する）みっつ以上の複数の位置においてこれを設け、係合用の切片部分５６Ａに より発生する歪みが、装置が挿入される穴部の広い部分にわたって分散するよう にすることができる。 装置を作動させるには、シリンダー５４を端部５２に対してスライドさせる 適宜の手段を設ける。たとえば、シリンダー５４に対して押す作用力を作用させ ることにより切片部分５６Ａを折り曲げて、外方に拡開させ、かくして、装置が 挿入される穴部に係合するようにする。他の操作としては、シリンダー５４を固 定状態に保持した状態で、シャフト５０に引っ張り力あるいは張力を作用させる こともできる。この場合に、シャフト５０は、端部５１においてシリンダー５４ に確実に結合している必要がある。 ついで、たとえば、縫い糸、人口装具、スクリューおよび他の結合部材など 適当な要素を露出した端部５２に取り付ける。 第４図および第５図に示した装置は、医療分野に応用可能であるが、建築分 野、および、たとえば製品の製造などの他の分野にも応用可能である。医療の分 野に利用された場合に、結合具は、適正な生体適合性を有することが望ましい。 第４図および第５図においては、長さ方向に延びる切片部分５６Ａに弱い折 り曲げ部位を形成するために、貫通孔５６Ｂを設けているが、適当な部位におい て折り曲げを行うために、他の適当な構成を採用することができる。たとえば、 切片部分５６Ａの幅にまたがった刻み目ラインあるいはノッチを形成することに より、これらに沿って折曲がり部位を設けることができる。さらに貫通孔５６Ｂ （あるいは刻み目ライン）を囲む鋭い尖端部を形成することによっても、結合具 が挿入される部材における穴部に結合具を結合させるための適正なグリップ表面 を形成することができる。 さらに、複数個の折り曲げ点を切片部分５６Ａの個々に形成することもでき る。この場合には、装置が挿入される部材において、さらに歪みを分散させるこ とができる。 第６図は、引き込み可能な結合具１００を示すもので、この結合具１００は 、ふたつのエレメント１０１、１０２を用いており、これらのエレメントは、第 ４図および第５図に示した装置の原理をそれぞれ利用している。第１図ないし第 ３図に示した装置におけるように、この結合具も、たとえば第６図に示した部材 １０４、１０５というふたつの部材を一体に結合するために適したものである。 結合具１００は、軸線を合わせて形成した穴部に挿入するか、あるいはそれ自体 でその挿入側端部に設けたドリルチップ１０８を有する。この後者の場合には、 ドリリングの操作はまた、挿入のための操作である。開口部１０６（穴部）に挿 入すれば、互いに反対方向のネジ部１１１、１１２を有しているネジ切りしたシ ャフト１１０が、ナット１１４を介してまわされる。第１図ないし第３図の実施 の形態におけるように、ネジ部１１１、１１２は、その一方が左方向のネジであ り、その他方が右方向のネジであるように、互いに反対方向のネジである。ナッ ト１１５、１１６をシャフト１１０のネジ部１１１、１１２とネジ係合するよう に設ける。第４図および第５図と同様の係合部材１１８、１２０を設け、これら がそれぞれナット１１５、１１６に取り付けられるように、また、好ましくはナ ット１１５、１１６と一体となるようにする。 係合部材１１８はまた、カラー部材１２２にこれを結合し、係合部材１２０ は、カラー部材１２４にこれを結合する。カラー部材１２２、１２４は、シャフ ト１１０の肩部１２６、１２８に当接する。シャフト１１０は、この肩部におい て、その直径がシャフトのネジ部の直径Ｄよりも大きくなるようにこれを形成す ることにより、カラー部材１２２、１２４が互いの方向に移動することがないよ うに固定する。また、スナップリングなど適宜の当接手段１２５、１２７を設け ることが必要で、こうした構成により、結合具の引き込み作用中に互いから離れ る方向にカラー部材１２２、１２４が移動することを防止する。 使用にあたっては、ナット１１４をまわすことにより、ふたつの部材１０４ 、１０５を締め付けるとともに一体に結合する。すなわち、互いに反対方向のネ ジ部１１１、１１２によって、ナット１１５、１１６が互いの方向に移動する。 カラー部材１２２、１２４は、これらが肩部１２６、１２８に対して当接してい るため、長さ方向の所定位置に固定状態にある。したがって、係合部材１１８、 １２０が半径方向外方に変形することにより、その折り曲げ部位１３０、１３２ 、１３４、１３６、さらには１３８、１４０、１４２、１４４においてそれぞれ 折り曲がることになる。図示のように、第６図における実施の形態の折り曲げ部 位１３０、１３２、１３４、１３６は、それぞれのエレメント１０１、１０２に 対してふたつの平面に沿ってこれを設けてあり、かくして部材１０４、１０５に おいて歪みを分散することができる。 第６図はまた、前述のようにガイドピンを収容するための、中央通路あるい は内腔２１を選択的に形成可能であることを示している。 第７図、第８図および第９図は、本発明による結合具の他の実施の形態を示 す。第７図および第８図における実施の形態においては、第１図ないし第３図の 実施の形態におけると同様に、フィンガー形状の係合要素を設けてある。これら 両方の図面において、移動する要素は、その作動位置を実線により、また非係合 位置を点線により、それぞれ示している。 第７図の実施の形態においては、結合具は、囲い部材１５０（これはドリル ビット１５１として形成することができる）を有する。囲い部材１５０の内側に は、ネジ切りしたシャフト１５３にネジ係合するナット１５２を設ける。ナット １５２は、複数個の係合用のフィンガー部１５４を有する。シャフト１５３をま わして結合具を作動させたとき、フィンガー部１５４は、表面１５５に当接する ことになり、ナット１５６をさらにまわすと同時に、フィンガー部が折れ曲がり 、開口部１５７を通して上方に変形し、穴部１６０の壁面に係合する。 第７図の結合具はまた、これを引き込み可能である。シャフト１５３を逆方 向に回転することにより、フィンガー部１５４が穴部１６０の壁面との係合から 引き出される。 また第７図に示すように、シャフト１５３にネジ係合するシャフトである結 合部材１６２を設けることができる。この結合部材１６２は、第７図の結合具へ の他の装置あるいは要素の結合を行うためのものである。あるいは、もしこの結 合具が医療用の結合具である場合には、第７図の結合具に縫い糸を固定すること ができる。 第８図は、他の実施の形態を示しており、この実施の形態による結合具は、 囲い部材１５０’と、ネジ切りしたシャフト１５３’と、フィンガー部１５４’ を有するカラー部材１５２’を備えている。シャフト１５３’に引っ張り力（矢 印１５５）を作用させるとともに、保持力（矢印１５８）を囲い部材１５０’に 作用させることにより、フィンガー部１５４’を折り曲げ、かつ開口部１５７’ を通して延ばして、穴部１６０’の壁面に係合させる。逆方向の力、たとえば瞬 発的な衝撃力をのちに作用させることにより、この係合状態から結合具を引き出 すことができる。 第９図は、さらに他の実施の形態を示しており、この実施の形態では、第４ 図、第５図および第６図の係合部材を用いている。結合具は、ネジ切りしたシャ フト１７０を有し、また、ドリルビットの端部１７１を有することができる。第 １のナット１７２をシャフト１７０にネジ係合させる。係合部材１７３を、その 一方の端部１７４においてナット１７２に、また、他方の端部１７５においてカ ラー部材１７６に取り付ける。カラー部材１７６は、シャフト１７０のヘッド部 １７７のまわりにスライド可能に収容されている。 使用にあたっては、シャフト１７０をその締め付け方向にまわせば、図示の ように、係合部材１７３が半径方向外方に変形し、穴部１７８の壁面に係合する 。第７図および第８図の実施の形態におけるように、第９図の結合具は、シャフ ト１７０を逆方向にまわすことにより、これを引き出し可能である。 図示したすべての実施の形態において、ネジ切りしたシャフトを用いる場合 には、ナットを適宜保持することにより、このシャフトとの回転を防止し、それ ぞれの係合要素の半径方向の移動を保証する。 さらに、第７図、第８図および第９図の実施の形態を含む、上述したすべて の実施の形態において、中央部の内腔２１を中央のシャフトを通して設けること により、ガイドピンを収容するようにすることができ、この構成は第１図および 第６図の実施の形態において中央部の内腔２１に関して図示した構成と同様であ る。 以上述べたように、本発明による装置は、部分品を一体に保持する必要があ る分野、とくに従来のネジ式の結合具、あるいはリベットなど他のファスナーを 採用することができなかった、医療分野、ならびに建設業および他の産業分野な ど他の分野に応用可能である。 本発明について、その特定の実施の形態にもとづいて説明してきたが、他の 変形ないし修正構造および他の使用方法などは、当業者には明白である。したが って、本発明は図示および既述の内容に限定されるものではなく、添付のクレー ムの既述によってのみその範囲を限定される。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，Ｌ Ｕ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ， ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＫＥ，ＬＳ，ＭＷ，ＳＤ，Ｓ Ｚ，ＵＧ)，ＵＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ ，ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ)，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＺ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＥ，ＨＵ，Ｉ Ｓ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＫ，ＬＲ ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ， ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ，Ｓ Ｄ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＲ，ＴＴ ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＺ，ＶＮ 【要約の続き】 くして、それぞれの端部における開口部が、軸線を合わ せて形成した穴部（４）内において、一体に結合される べき当該ふたつの部材（１、３）の異なる一方側の近く にそれぞれ配置されているとき、これらのフィンガー部 （１８、２０）が、ふたつの部材（１、３）のそれぞれ の一方と係合するようにすることにより、このふたつの 部材（１、３）を一体に結合する。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ふたつの部材に軸線を合わせて形成した穴部を通して、これら部材を一 体に結合するための結合具であって、 それぞれの端部の近くに少なくともひとつの開口部を有するとともに中央の 穴状空間部を有する長さ方向に延びるボディと、 この中央の穴状空間部に同心的に配置するとともにそれぞれの端部に互いに 反対方向のネジ部を有し、かつ、その操作可能な端部に回転作動付与部材を持っ た、ネジ切りしたシャフトと、 前記互いに反対方向のネジ部の部分に設けるとともに、前記それぞれのネジ 部とネジ結合するナットと、 を有し、 これらナットのそれぞれに少なくともひとつの長さ方向に延びる変形可能な 係合用のフィンガー部を、前記開口部のそれぞれのひとつの近くに位置するよう に連結するとともに、 前記フィンガー部の少なくともひとつは、前記シャフトが第１の方向にまわ されて前記ナットがそれぞれ他方の前記ナットに向かって移動するとき、前記そ れぞれの開口部を通して延びるようにされており、かくして、前記それぞれの端 部における前記開口部が軸線を合わせて形成した前記穴部内において、一体に結 合されるべき当該ふたつの部材の異なる一方側の近くにそれぞれ配置されている とき、前記フィンガー部が、前記ふたつの部材のそれぞれの一方と係合するよう にすることにより、このふたつの部材を一体に結合するようにし、また、 前記フィンガー部は、前記それぞれの開口部のひとつを通して半径方向に延 びるときに、それぞれ変形可能で、さらに前記それぞれの部材の一方に食い込ん でゆくようにされており、 前記それぞれの開口部は、前記それぞれの係合用のフィンガー部と係合する カム面を有し、前記係合用のフィンガー部は、前記ナットが互いの方向に移動す るとき、前記長さ方向に延びるボディから離れる方向に所定の角度で前記開口部 内でこのカム面に沿って方向付けされることを特徴とする結合具。 ２ 前記ボディは、 前記それぞれの端部における複数の開口部と、 それぞれの開口部を通して延びるそれぞれの開口部の近くの係合用のフィン ガー部と、を有することを特徴とする請求項１記載の結合具。 ３ 前記開口部は、前記フィンガー部が前記開口部を通して延びることを促 進するための傾斜面を有することを特徴とする請求項２記載の結合具。 ４ 前記係合用のフィンガー部は、前記傾斜した開口部に係合可能なチップ を有し、 この開口部は、前記シャフトが前記第１の方向にまわされたとき、前記フィ ンガー部を外方に変形させるようにしたことを特徴とする請求項３記載の結合具 。 ５ 前記チップは、前記開口部を通して前記フィンガー部が延びることを促 進するような傾斜面を有することを特徴とする請求項４記載の結合具。 ６ 前記シャフトが前記第１の方向とは反対の第２の方向にまわされたとき 、前記フィンガー部が、前記それぞれの開口部を通して引き込まれ、前記中央の 穴状空間部に戻ることを特徴とする請求項１記載の結合具。 ７ 前記シャフトが前記第１の方向とは反対の第２の方向にまわされたとき 、前記フィンガー部が、前記それぞれの開口部を通して引き込まれ、前記中央の 穴状空間部に戻ることを特徴とする請求項２記載の結合具。 ８ 前記開口部は、前記フィンガー部の引き込みを促進する傾斜面を有する ことを特徴とする請求項７記載の結合具。 ９ 前記ボディの挿入側端部にドリルビットをさらに有し、かくして、一体 に結合されるべき前記ふたつの部材の前記軸線を合わせて形成した穴部をドリル するドリリング工程時に当該結合具を挿入可能とするようにすることを特徴とす る請求項１記載の結合具。 １０ ガイドピンを収容するために、前記ネジ切りしたシャフトを通して中央 の内腔をさらに形成することを特徴とする請求項１記載の結合具。 １１ 前記互いに反対方向のネジ部は、左方向のネジ部と、右方向のネジ部と 、を有することを特徴とする請求項１記載の結合具。 １２ 前記ボディは、これをふたつのピースに分割してあることを特徴とする 請求項１記載の結合具。 １３ 前記中央の穴状空間部は、 前記ナットのそれぞれを収容する第１のより広い部分と、 このより広い部分の中間のより狭い部分と、を有し、 前記開口部は、このより広い部分とより狭い部分との間の移行部分を定義し ており、 前記係合用のフィンガー部は、前記開口部の表面に当接し、 かくして、前記中央の穴状空間部における前記シャフトと、当該結合具と、 をユニットとして保持することを特徴とする請求項１記載の結合具。 １４ ある部材の穴部に固定する結合具であって、 少なくともひとつの開口部を有し、前記ある部材の穴部に挿入されるように なっているとともに、中央の穴状空間部を有する第１のボディと、 前記中央の穴状空間部に同心的に配置し、この中央の穴状空間部に長さ方回 に移動可能で、かつ、これから離れてゆくように長さ方向に延びる少なくともひ とつの変形可能なフィンガー部を有する第２のボディと、 を有し、 前記フィンガー部は、前記第１のボディの前記開口部の近くにこれを配置し てあり、 かくして、前記第２のボディが前記第１のボディ内において第１の方向に長 さ方向に移動したとき、前記フィンガー部が変形するとともに前記開口部を通し て延びることにより、前記部材の穴部の壁面に食い込み、前記第１のボディおよ び前記第２のボディの移動を防止し、さらに、 前記開口部は、前記フィンガー部と係合するカム面を有し、前記フィンガー 部は、前記開口部を通って移動するとき、前記第１のボディから離れる方向に所 定の角度でこのカム面に沿って方向付けされることを特徴とする結合具。 １５ 前記第１のボディは、複数の開口部を有し、 前記第２のボディは、これら開口部のそれぞれに合わせて対向するとともに この開口部を通して延びる複数本のフィンガー部を有することを特徴とする請求 項１４記載の結合具。 １６ 前記第２のボディは、これを前記第１の方向に移動するための移動用部 材を有することを特徴とする請求項１５記載の結合具。 １７ 前記移動用部材は、ネジ切りしたシャフトを有することを特徴とする請 求項１６記載の結合具。 １８ 前記移動用部材は、前記第２のボディに引っ張り力を作用するシャフト を有することを特徴とする請求項１６記載の結合具。 １９ 前記第２のボディに結合部材を固定するための取付け部位を前記第２の ボディに有することを特徴とする請求項１４記載の結合具。 ２０ 前記移動用部材は、前記第１の方向とは反対の第２の方向に移動するよ うになっており、かくして、前記穴部との係合から前記フィンガー部を引き戻す ようにすることを特徴とする請求項１６記載の結合具。 ２１ 前記第１のボディは、その挿入側端部においてドリルビットを有するこ とを特徴とする請求項１５記載の結合具。