JPH11505107A - 免疫したゼノマウス(XenoMouse)に由来するヒト抗体 - Google Patents

免疫したゼノマウス(XenoMouse)に由来するヒト抗体

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JPH11505107A JP8532463A JP53246396A JPH11505107A JP H11505107 A JPH11505107 A JP H11505107A JP 8532463 A JP8532463 A JP 8532463A JP 53246396 A JP53246396 A JP 53246396A JP H11505107 A JPH11505107 A JP H11505107A
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Abstract

(57)【要約】 特異的な抗原に対する完全なヒト可変領域を有する抗体を、内因性の遺伝子座は不活化されているが抗原刺激に応答して完全なヒト可変領域を有する抗体を産生するよう改変されたトランスジェニック動物に抗原を投与することによって、調製することができる。さらに様々な操作を行うことにより、抗体自体またはその類似体のいずれかを得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】 免疫したゼノマウス(XenoMouse)に由来するヒト抗体 発明の属する技術分野 本発明は、免疫学の分野、特に、抗体の産生に関する。より具体的には、所望 の抗体に対応する抗原を用いてトランスジェニック動物を免疫する段階を含む方 法によって、該抗体を産生させることに関する。トランスジェニック動物は、内 因性の抗体ではなく、ヒト抗体を産生するように改変されている。先行技術 参照として本明細書に組み入れられる、1994年2月3日に発行されたPCT出願 国際公開公報第94/02602号において、抗原投与に応答して、内因性の抗体ではな く完全なヒト可変領域を有する抗体を産生するように改変された、ヒト以外のト ランスジェニック動物の作出について詳しく説明されている。要約すると、トラ ンスジェニック宿主動物において、免疫グロブリンの重鎖および軽鎖をコードす る内因性の遺伝子座を不活化して、ヒト免疫グロブリンの重鎖および軽鎖をコー ドする遺伝子座をゲノムの中に挿入する。一般に、所望の改変形質をすべて備え る動物は、改変すべき形質のすべてには足りない形質を有する中間的な動物を交 配育種することによって得られる。本明細書で説明する好ましい態様におけるヒ ト以外の動物はマウスである。したがって、特に免疫原を投与したときに、これ らの抗原に免疫特異的な、マウスの抗体でなく完全なヒト抗体を含む、ヒトの可 変領域を有する抗体を産生するマウスについて説明する。 このようなトランスジェニック動物が作出されれば、完全なヒト抗体を作製す るための新しい方法を開発できるようになる。治療および診断に用いるためには 、さまざまな免疫特異性を有する抗体が望ましい。従来の技術においてはヒト以 外の宿主動物によって産生される抗体に特徴的な構造を有する免疫グロブリンが 産生されるため、ヒトの治療およびインビボでの診断における使用を目的とする 抗体は特に問題があった。このような抗体はヒトに用いると、免疫原になりやす い。 上記の国際公開公報第94/02602号で説明されているように、免疫原応答性のあ るヒト以外のトランスジェニック動物が得られれば、ヒトを宿主に用いる必要な くヒト抗体を簡便に産生することが可能となる。発明の開示 本発明は、少なくとも一つの工程に所望の抗原でヒト以外のトランスジェニッ ク動物を免疫することが含まれる、ヒト抗体を産生する方法を提供することを目 的とする。改変された動物は、内因性の抗体を産生できなくなるが、その代わり に、完全なヒト可変領域を有する免疫グロブリンを分泌するB細胞を産生する。 産生される抗体は、完全なヒト抗体を含んでおり、動物から直接的にまたはその 動物由来の不死化B細胞から採取することができる。または、ヒトの可変領域を 有する免疫グロブリンをコードする遺伝子を、抗体を直接採取するために回収し 発現させるかまたは例えば一本鎖Fv分子のような抗体の類似体を得るために改 変することができる。 このように、本発明は一つの局面において、免疫応答を刺激するような条件の 下で、ヒト以外の動物を抗原で免疫することを含む方法によって、特定の抗原に 対する完全なヒト可変領域を有する免疫グロブリンを産生する方法または該免疫 グロブリンの類似体を産生するための方法に関する。完全なヒト免疫グロブリン は、このグループに含まれるため好ましい。ヒト以外の動物は、内因性の免疫グ ロブリンの重鎖または軽鎖を実質的に産生することができないが、ヒトの可変領 域および定常領域を両方とも有する免疫グロブリンまたは完全なヒト可変領域を 有する免疫グロブリンのいずれかまたは両方を産生できるという特徴を有する。 免疫応答が起きると、この動物は、少なくとも可変領域が抗原に特異的でかつ完 全にヒト型である免疫グロブリンを分泌するB細胞を産生する。望ましい特異性 を有するヒト免疫グロブリンを、動物から、例えば血清から直接回収することも できるし、または動物から初期B細胞を採取して不死化させることもできる。不 死化したB細胞はヒト抗体の供給源として直接用いることができ、また、不死化 したB細胞または免疫した動物の血液もしくはリンパ組織(脾臓、扁桃、リンパ 節、骨髄)の初期B細胞から、抗体をコードする遺伝子を調製して、免疫グロブ リンまたはその類似体を産生するために、改変するかまたは改変せずに、組換え 宿主の中で発現させることもできる。さらに、免疫した動物によって産生される 免疫グロブリンのレパートリーをコードする遺伝子を用いて、所望の親和性を示 す可変領域をスクリーニングすることが可能な免疫グロブリンのライブラリーを 作製することができる。所望の特徴を有するライブラリーから得られたクローン は、標準的な組換え技術を用いて望ましい特徴を有する抗体またはその類似体を 作出するために、所望の可変領域をコードする塩基配列の供給源としてさらなる 操作に用いることができる。 別の局面において、本発明は、上記の動物に由来する、ヒト以外の不死化B細 胞系を提供することを目的とする。さらに別の局面において、本発明は、所望の 特異性を有するヒト免疫グロブリンまたは同じ特異性を示すその類似体のいずれ かをコードする遺伝子が含まれるように改変した組換え宿主細胞を提供すること を目的とする。 さらに別の局面において、本発明は、上記の方法によって調製された抗体また はその類似体およびそれらを産生するための組換え物質を提供することを目的と する。 さらに別の局面において、本発明は、本明細書に記載された特定の抗原に対し て免疫特異的な、完全なヒト抗体を含む、完全なヒト可変領域を有する抗体およ び同様の免疫特異性を有する類似体、ならびにこれらの抗体を産生するのに有用 な組換え物質を提供することを目的とする。図面の簡単な説明 図1は、ヒトκ軽鎖および/またはヒトμ重鎖を含む、ヒトIL-6で免疫したゼ ノマウス(XenoMouse)(登録商標)から採取した抗IL-6抗体の血清滴定濃度を示し ている。 図2は、ヒトκ軽鎖および/またはヒトμ重鎖を含む、ヒトIL-8で免疫したゼ ノマウス(XenoMouse)(登録商標)の抗IL-8抗体の血清滴定濃度を示している。 図3は、ヒトκ軽鎖および/またはヒトμ重鎖を含む、ヒトTNF-αで免疫した ゼノマウス(XenoMouse)(登録商標)から採取した抗TNF-α抗体の血清滴定濃度を 示している。 図4は、ヒトκ軽鎖および/またはヒトμ重鎖を含む、ヒトCD4で免疫したゼノ マウス(XenoMouse)(登録商標)から採取した抗CD4抗体の血清滴定濃度を示してい る。 図5は、細胞表面でL-セレクチン(L-selectin)を発現する300.19細胞で免疫 したゼノマウス(XenoMouse)(登録商標)の血清滴定濃度を示している。ヒトμ定 常領域の重鎖を有している場合にのみ、ELISA解析を用いてこれらの抗体を検出 することができる。 図6は、細胞表面でL-セレクチン(L-selectin)を発現する300.19細胞で免疫 したゼノマウス(XenoMouse)(登録商標)の血清滴定濃度を示している。ヒトκ軽 鎖を有してさえいれば、ELISA解析を用いてこれらの抗体を検出することができ る。 図7は、L-セレクチン(L-selectin)を発現する300.19細胞で免疫したゼノマ ウス(XenoMouse)(登録商標)の血清滴定濃度を示している。ヒトκ軽鎖および/ またはマウスγ定常領域を有していれば、ELISAを用いてこれらの抗体を検出す ることができる。 図8は、ヒトL-セレクチン(L-selectin)で免疫したゼノマウス(XenoMouse) (登録商標)(A195-2)から採取した血清に結合させた、マウス重鎖γ定常領域 と免疫交差反応をする抗体で標識したヒト好中球のFACS解析を示している。 図9は、ヒトL-セレクチン(L-selectin)で免疫したゼノマウス(XenoMouse) (登録商標)(A195-2)から採取した血清でインキュベートし、ヒト軽鎖κ領域 と免疫交差反応をする抗体で標識したヒト好中球のFACS解析を示している。 図10は、ヒト蛋白質gp39の産生をもたらす哺乳動物細胞をトランスフェクショ ンするために用いたプラスミドの概略図である。 図11は、ヒトgp39を発現するCHO細胞で免疫したマウスの血清滴定濃度曲線を 表す。このELISAで検出された抗体は、gp39と免疫交差反応し、ヒトκ軽鎖およ びヒト重鎖μ定常領域を含んでいる。 図12は、活性化ヒトT細胞と反応させたヒトgp39で免疫したゼノマウス(登録商 標)(標識A247-4)の抗体のFACS解析の結果を示す。図12Aは、ヒト活性化T細胞 のCD4+群とCD4-群への分離を示す。Bは、マウス重鎖γ定常領域を含むgp39で免 疫したゼノマウス(登録商標)の抗体を有するCD4+T細胞のFACS解析の結果を示す 。Cは、CD4-群に関する同様の結果を示す。 図13は、ハイブリドーマクローンD5.1によって分泌されるモノクローナル抗体 に関する滴定濃度曲線である。このクローンは、破傷風毒素C(TTC)で免疫し た ゼノマウス(XenoMouse)(登録商標)から得られたものであり、ヒトκ軽鎖および ヒト重鎖のμ定常領域を含んでいる。 図14は、クローンK4.1からのハイブリドーマ上清に関する滴定濃度曲線である 。このハイブリドーマクローンは、TTCで免疫したゼノマウス(XenoMouse)(登録 商標)から得られたものであり、マウスγ定常領域を有するヒトκ軽鎖および重 鎖を含んでいる。 図15は、BIAcore装置で、モノクローナルとその抗原との親和性を決定した際 の、様々な濃度のK4.1モノクローナル抗体についての結合曲線を示す。 図16は、K4.1により分泌される抗体の重鎖の完全ヌクレオチド配列を示す。 図17は、K4.1により分泌される抗体の軽鎖の完全ヌクレオチド配列を示す。 図18は、D5.1により分泌される抗体の重鎖の完全ヌクレオチド配列を示す。 図19は、D5.1により分泌される抗体の軽鎖の完全ヌクレオチド配列を示す。発明の実施の形態 一般に、本発明に係る方法は、ヒト型の免疫特異的試薬が必要とされる抗原を 、内因性の抗体ではなくヒト抗体を産生することができるよう遺伝的に改変され たヒト以外のトランスジェニック動物に投与することを含む。典型的には、この 動物は、ゲノム中の内因性の重鎖および/または軽鎖が不活化するように改変さ れているため、これらの内因性の遺伝子座は、抗原に応答して免疫グロブリンを コードする遺伝子を生成するために必要な再編成ができない。さらにこの動物は 、少なくとも1個のヒト重鎖遺伝子座および少なくとも1個のヒト軽鎖遺伝子座 をそのゲノムの中に安定的に備えており、それによって投与された抗原に応答し てこの抗原に対する免疫特異的なヒト可変領域をコードする遺伝子を提供するた めに、ヒトの遺伝子座を再編成することができる。 本発明の方法において有用な動物を構築するための詳細な説明は、上記のPCT 出願国際公開公報第94/02602号で提供されている。 所望の抗体を産生するための第一の段階は、抗原の投与である。この投与のた めの技術は常法であり、それには抗原そのものの性質に応じた適切な免疫化プロ トコールおよび処方が含まれる。免疫原性を増強するために担体と共に抗原を投 与すること、および/またはアジュバントを含む処方剤を用いること、および/ま たは複数回の注射で投与することなどが必要となる可能性もある。このような技 術は標準的なものであり、これらの最適化は、免疫特異的試薬が必要とされてい る特定の抗原の特徴に依存する。 本明細書で用いられる「免疫特異的試薬」という語には、免疫グロブリンおよ びその類似体が含まれる。「類似体」という語は、本明細書において特別な意味 を有する。この語は、免疫特異性の原因となる、免疫グロブリンの完全にヒトに 由来する部位を含む部分を意味する。特に、適当な立体配座をとるために十分な フレーム領域(FR)部分とともに、相補性決定領域(CDR)を含む可変領域が必 要とされる。典型的な免疫特異的な抗体の類似体には、F(ab')2、Fab'、およびF ab領域が含まれる。例えば、適当な免疫特異性を有する一本鎖Fv類似体を得る ための、可変領域の改変型が知られている。このようなFv構築の概説は、例え ば、「Tibtech(1991)9: 」に記載されている。異なる特異性を有する抗体に 由来するヒト可変領域を結合させることによって、複数の免疫特異性を有する抗 体類似体を構築することも可能である。 完全にヒト型であるという特徴を有する可変領域を、毒性、生物学的機能、別 の結合特異性などを付与するさまざまな別の物質に結合させることもできる。本 発明の方法によって産生される完全なヒト可変領域を含む物質には、一本鎖の融 合蛋白質、ペプチド結合以外の共有的方法によって結合された分子、および凝集 した分子が含まれる。共有的または非共有的に付加的分子に結合した可変領域を 含む類似体の例として、以下の一覧の例が例示として含まれるが、これらに限定 はされない。トラウネッカー(Traunecker),A.ら(Int.J.Cancer Supp.(1992 )Supp 7:51〜52)は、CD3に対するFv領域を、可溶性CD4またはOVCAおよびIL-7 などの他のリガンドに結合させた双特異的試薬のヤヌシン(janusin)について 説明している。同様に、本発明の方法によって産生された完全なヒト可変領域か らFv分子を構築して、引用された論文に示されているような代替的リガンドと 結合させることもできる。ヒギンズ(Higgins),P.J.ら(J.Infect.Disease(1 992)166:198〜202)は、GP120のV3領域中の特異的配列に対する抗体に交叉結合 するOKT3を含む異種結合抗体について説明している。このような異種結合抗体は 、少なくとも本発明に係る方法によって産生される免疫グロブリン中に含まれる ヒト可 変領域を用いて構築することもできる。この他の双特異的抗体の例には、「ファ ンガー(Fanger),M.W.ら、Cancer Treat.Res.(1993)68:181〜194」および「フ ァンガー(Fanger),M.W.ら、Crit.Rev.Immunol.(1992)12:101〜124」に説明 されているものが含まれる。従来の抗体を含むイムノトキシンである結合体につ いては、当技術分野において広範に説明されている。毒素を従来の結合技術によ って抗体に結合させることもできるし、または蛋白質の毒素部分を含むイムノト キシンを融合蛋白質として産生させることもできる。本発明に係る類似体は、こ のようなイムノトキシンを得るのに関連した方法で用いることができる。このよ うなイムノトキシンの具体例は、バイヤーズら(Byrs,B.S.ら、Senimars Cell B lol.(1991)2:59〜70)およびファンガーら(Fanger,M.W.ら、Immunol.Today(1 991)12:51〜54)によって説明されているイムノトキシンである。 本発明に係る免疫グロブリンおよび類似体の中には、免疫特異性を有する抗原 がシグナル伝達機能を果たす場合に、その抗原に対してアゴニスト活性を有する ものがあることにも留意すべきである。したがって、例えば細胞表面レセプター に対して免疫特異的な、本発明に係る方法によって調製された抗体またはその類 似体のサブセットは、このレセプターを有する細胞から内因性のリガンドによっ て誘導される応答に相当する応答を誘導することができる。さらに、化学反応の 遷移状態を模倣する物質に免疫特異的な抗体またはその類似体は、触媒活性を有 すると考えられる。このように、本発明に係る抗体および類似体のサブセットは 、酵素活性を有する抗体として機能しうる。 つまり、本発明に係るトランスジェニック動物で産生される免疫グロブリンを コードする遺伝子を回収し、上記のようなさまざまな類似体を提供するための既 知の技術によって完全なヒト可変領域をコードする塩基配列を操作することがで きる。さらに、免疫特異性を保持しておりかつ免疫特異的な領域において完全な ヒト型の特徴を保持している結合体を提供するために、標準的な結合技術を用い て、ヒトの可変領域を含む免疫グロブリン自体を改変することができる。 このように、免疫グロブリン「類似体」は、ヒト由来であるという特徴と免疫 特異性とを保持している本発明に係る抗体の部位を含む部分を指す。これらは、 所望の特異性を付与するのに十分なヒト可変領域を保持していると考えられる。 上述のように、本発明に係る方法はすべて、適当な抗原をトランスジェニック 動物に投与することを含む。抗体自体の回収または産生は、さまざまな方法で行 うことができる。 第一に、そして最も簡便なものとして、動物によって産生され血流中に分泌さ れるポリクローナル抗体を、既知の技術を用いて回収することができる。これら の抗体の精製物は、標準的な精製技術、好ましくは、特定の抗原に関するまたは 望ましい特異性を有する抗原の特定のエピトープに関するアフィニティクロマト グラフィーを含む精製技術によって、もちろん容易に調製することができる。い ずれの場合にも、免疫化に成功したか否かをモニターするために、ELISAおよびR IAなどの標準的な技術を用いて血清中の抗原についての抗体レベルをモニターす る。 以下の実施例から、可変領域は完全にヒトであるとしても、ポリクローナル抗 血清の一部には、宿主に由来する内因性の重鎖定常領域が含まれている可能性が あるということに注意すべきである。このような状況で、完全なヒト抗体が必要 とされる適用の場合には、ポリクローナル抗血清を直接使用することは不適切で ある。しかし、これらのキメラの存在は、「ガーシュタイン(Gerstein)ら、Cell (1990)63: 537」により記載されたようなインビボのアイソタイプスイッチン グの結果であると考えられるが、通常の精製および改変の方法を考慮すれば、そ して必要であれば、以下の段落に記載するような完全なヒト抗体を回収するため の代替法が利用可能であることを考慮すれば、問題とはならない。 まず、最も簡単には、ポリクローナル抗血清を適当な分離法に供し、完全なヒ ト免疫グロブリンのみを含む組成物を準備する。例えば、適当な抗種免疫グロブ リンまたはその免疫特異的部分と親和性を有する試薬を用いて、宿主種の特徴を 示す血清部分を除去することができる。さらに、抗体の可変領域のみが必要とさ れる場合には、Fab、Fab'、またはF(ab')2部分を生成するような適当な試薬でポ リクローナル抗血清を処理することにより、完全なヒトの特徴を含む組成物を得 ることができる。例えば、放射性同位元素のような検出用試薬に免疫グロブリン の免疫特異的部分を結合させることを含む、免疫診断の方法における使用にはこ れらの断片で充分である。このように、いくつかの適用の場合には、ポリクロー ナル抗血清を処理することにより完全なヒト抗体から本質的になる組成物、およ び免疫特異的部分が完全にヒト型である免疫グロブリン類似体を含む組成物など の、所望の特徴を有する組成物を提供することができる。 また、本発明に係る方法において用いられたトランスジェニック動物から、ま たは免疫に応答してこれらの動物によって提供される再構成された遺伝子に由来 する不死化B細胞から、望ましい特徴を有する免疫グロブリンおよび類似体を生 成することができる。免疫された動物のB細胞に由来するハイブリドーマをスク リーニングし、完全なヒト抗体を分泌するもののみを選択することが可能である こと、そしてハイブリドーマ、または免疫された動物の脾臓、血液、もしくはリ ンパ節中のリンパ球から遺伝物質を回収し、内因性の定常領域をヒトの定常領域 と交換するため、または所望の類似体を作製するために常法を用いて操作するこ とが可能であることは明らかである。 このように、動物から直接的に抗体を回収する代わりに、典型的には脾臓から 、また必要に応じて、末梢血リンパ球またはリンパ節からB細胞を採取して、さ まざまな技術の何れかを用いて、最も一般的にはコーラー(Kohler)およびミルス タイン(Milstein)によって説明されている融合方法を用いて不死化することがで きる。次に、この結果できたハイブリドーマ(または、さもなければ不死化B細 胞)を単一コロニーとして培養し、望ましい特異性を有する抗体の分泌について スクリーニングをすることができる。上記で説明したように、スクリーニングに は、抗体が完全にヒト型である特徴を有することを決定することが含まれる。例 えば、以下の実施例で説明するように、ハイブリドーマの上清中のモノクローナ ル抗体が、抗原および抗ヒト定常領域の両方に結合するサンドイッチELISAを用 いることができる。反対に、免疫された動物の種に対する抗種抗体と反応性を有 する抗体を分泌するハイブリドーマは、除去される。適当なハイブリドーマを選 抜した後、再び慣習的な技術を用いて、所望の抗体を回収することができる。そ れらは、インビトロの定法または覆水を産生させるインビボの定法を用いて、不 死化B細胞を培養することによって、大量に調製することができる。こうしてで きたモノクローナル抗体調製物の精製は、各不死化コロニーが単一の型の抗体し か分泌しないため、血清の場合よりも簡便である。いずれの場合においても、培 養 上清中の他の蛋白質から抗体を単離するための標準的な精製技術を用いることが できる。 動物由来の不死化B細胞の培養物からヒト免疫グロブリンを直接採取する代わ りに、不死化細胞を、さらに発現および/または遺伝子操作を行うため、再構成 された重鎖および軽鎖の遺伝子座の供給源として用いることができる。cDNAライ ブラリーの作製のための高レベルの適当なmRNAが利用可能であるため、このよう な抗体産生細胞からの遺伝子の単離は、簡単なことである。回収された再編成さ れた遺伝子座は、必要に応じて操作することができる。例えば、定常領域を、上 記のように、異なるアイソタイプの定常領域、もしくはヒト抗体の定常領域と交 換することもできるし、または全て除去することもできる。一本鎖Fv領域をコ ードするように、可変領域を結合することができる。1つ以上の標的に結合する ことができるよう、複数のFv領域を連結することができ、または重鎖および軽 鎖のキメラの組合せを用いることもできる。遺伝子材料がいったん入手できれば 、所望の標的に結合する能力およびヒト型である特徴の両方を保持する上記のよ うな類似体を設計することは容易である。 適当な遺伝子材料を入手し、必要に応じて類似体をコードするように改変した ならば、最低でもヒトの重鎖および軽鎖の可変領域をコードする配列を含むコー ド配列を、標準的な組換え宿主細胞にトランスフェクションされるベクターに含 まれている発現システムの中に挿入することができる。下記で説明するように、 このような宿主細胞として、さまざまなものを用いることができるが、効果的な プロセッシングのためには、哺乳動物の細胞が好ましい。この目的にとって有用 な典型的な哺乳動物細胞系には、CHO細胞、293細胞、またはNSO-GS細胞が含まれ る。 次に、宿主細胞を増殖させコード配列を発現させるのに適当な培養条件の下で 改変した組換え宿主細胞を培養することにより、抗体またはその類似体の産生が 行われる。次に、この培養物から抗体を回収する。発現システムは、産生された 抗体が培地中に分泌されるように、シグナルペプチドを含むよう設計することが 好ましいが、細胞内で産生させることも可能である。 類似体を産生するための免疫グロブリン遺伝子の改変型を計画的に設計するこ とに加えて、所望の抗原に対し多様な親和性を有する抗体のレパートリーを含む ライブラリーを作製するために、ファージディスプレイ技術を利用することがで きる。このようなレパートリーを産生するには、免疫した動物のB細胞を不死化 する必要はなく、初期B細胞をDNA源として直接用いることができる。例えば脾 臓に由来するB細胞から得たcDNA混合物を用いて、例えば大腸菌にトランスフェ クションしたファージディスプレイ・ライブラリーなどの発現ライブラリーを調 製することができる。このようにして生じた細胞について、所望の抗原に対する 免疫反応性を試験する。このようなライブラリーから高親和性ヒト抗体を同定す るための技術は、「グリフィス(Griffiths),A.D.ら、EMBO J.(1994)13:3245〜 3260」、「ニシム(Nissim),A.ら、同上、692〜698」および「グリフィス(Griff iths),A.Dら、同上 725〜734」によって説明されている。最後に、抗原に対す る所望の程度の結合親和性を示すクローンをライブラリーから同定し、このよう な結合の原因となる産物をコードするDNAを回収して、標準的な組換え発現をす るよう操作する。ファージディスプレイ・ライブラリーは、予め操作された塩基 配列を用いて構築し、同じ方式でスクリーニングすることもできる。一般的に、 重鎖および軽鎖をコードするcDNAは、別個に供給されるかまたはファージライブ ラリー中で産生されるよう、Fv類似体を形成するように結合されている。 このように、抗原に対して最も高い親和性を有する抗体および適当なクローン から回収した遺伝子材料について、ファージライブラリーをスクリーニングする 。さらに何回かスクリーニングすることにより、最初に分離された抗体の親和性 を高めることができる。その後、抗体の組換え体を作出するかまたは所望の類似 体を形成するよう改変するために、上記で説明したような操作が用いられる。 上記のように、標準的な組換え技術を用いて、典型的にはチャイニーズハムス ターの卵巣細胞などの望ましい宿主細胞中で操作可能な発現システムを構築する ことによって、改変されたまたは改変されていない再構成遺伝子座を操作し、所 望の免疫グロブリンまたは類似体を、標準的な組換え発現技術を用いて作出し、 慣習的な方法を用いて回収および精製する。 前記の処理法を抗体産生に応用することによって、これまでにヒト抗体が利用 できなかった抗原に関するヒトの免疫特異的な試薬の調製が可能になった。上記 の方法によって産生された免疫グロブリンおよびそれにより可能になった類似体 により、解析、診断、研究、および治療で使用するための新しい組成物が提供さ れる。当然、特定の利用は、調製された免疫グロブリンまたは類似体に依存する 。一般に、本発明の組成物は、同じ抗原に対して誘発されたヒト以外の抗体に起 因するものと同じような有用性を有すると考えられる。このような有用性には、 例えば、精製のための親和性リガンドとしての使用、免疫アッセイの試薬として の使用、免疫結合体の成分としての使用、および適当な指標のための治療用試薬 としての使用が含まれる。 特に、インビボで治療用試薬または診断用試薬を用いる場合には、完全にヒト 型である特徴を有する抗体またはその類似体を使用することが非常に有益である 。これらの試薬は、ヒト以外の生物種から発生したものとしての特徴を有する抗 体またはその類似体によって生じる望ましくない免疫応答を回避させる。抗体を 「ヒト化」するための別の試みでは、完全にヒト型である特徴を有する試薬は得 られなかった。例えば、マウスの可変領域とヒトの定常領域とを有するキメラ抗 体は、容易に調製することができるが、しかし、当然、可変領域にはマウスの特 徴が残っている。フレーム領域を形成するアミノ酸配列をコードする遺伝子を操 作することによって可変領域を「ヒト化」するためのはるかに困難な処理法でも 、免疫特異性を破壊せずに、典型的にはヒト以外の生物に由来するCDRを操作す ることができないため、望ましい結果は得られない。したがって、本発明に係る 方法により、初めて、完全なヒト免疫グロブリンまたは完全にヒト型である特徴 を有する免疫特異的な領域を含む類似体が提供される。 本発明に係る方法によって、ヒト抗体およびヒト類似体を得られる抗原は多数 ある。これらの抗原には、以下の一群が含まれるが、これらに限定はされない: CD2、CD3、CD4、CD5、CD6、CD7、CD8、CD11a、b、c、CD13、CD14、CD18、CD19 、CD20、CD22、CD23、CD27およびそのリガンド、CD28およびそのリガンドである B7.1、B7.2、B7.3、CD29およびそのリガンド、CD30およびそのリガンド、CD40お よびそのリガンドであるgp39、CD44、CD45およびアイソフォーム、CDw52(キャ ンパス(Campath)抗原)、CD56、CD58、CD69、CD72、CTLA-4、LFA-1、ならびに TCRなどの白血球マーカー、 MHCクラスIまたはII、ルイスY抗原、SLex、SLey、SLea、およびSLebなどの組 織適合性抗原、 VLA-1、VLA-2、VLA-3、VLA-4、VLA-5、VLA-6、LFA-1、Mac-1、およびp150,95 などのインテグリンを含む接着分子、 L-セレクチン、E-セレクチン、およびP-セレクチンなどのセレクチン、ならび にそれらのカウンターレセプターであるVCAM-1、ICAM-2、およびLFA-3、 IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL -12、IL-13、IL-14、およびIL-15などのインターロイキン、 IL-IR、IL-2R、IL-3R、IL-4R、IL-5R、IL-6R、IL-7R、IL-8R、IL-9R、IL-10R 、IL-11R、IL-12R、IL-13R、IL-14R、およびIL-15などのインターロイキンレセ プター、 PF4、RANTES、MIP1α、MCP1、NAP-2、Groα、Groβ、およびIL-8などのケモカ イン(chemokine)、 TNFアルファ、TGFベータ、TSH、VEGF/VPF、PTHrP、EGFファミリー、FGF、PDGF ファミリー、エンドセリン、およびガストリン解離ペプチド(GRP)などの増殖因 子、 TNFアルファR、RGFベータR、TSHR、VEGFR/VPFR、FGFR、EGFR、PTHrPR、PDGFR ファミリー、EPO-R、GCSF-R、および他の造血レセプターなどの増殖因子レセプ ター、 IFNαR、IFNβR、IFNγRなどのインターフェロンレセプター、 Ig、ならびに、IGE、FceRIおよびFceRIIなどのIgレセプター、 her2-neu、ムチン、CEA、およびエンドシアリンなどの腫瘍抗原、 ハウスダストダニ抗原、lol pl(草)抗原、およびウルシオールなどのアレル ゲン、 CMV糖蛋白質B、H、およびgCIII、HIV-1のエンベロープ糖蛋白質、RSVのエンベ ロープ糖蛋白質、HSVのエンベロープ糖蛋白質、EBVのエンベロープ糖蛋白質、VZ Vのエンベロープ糖蛋白質、HPVのエンベロープ糖蛋白質、肝炎ファミリーの表面 抗原などのウイルス蛋白質、 シュードモナスの内毒素およびオステオポンチン/ウロポンチン(osteoponti n/uropontin)、ヘビ毒、クモ毒、およびハチ毒などの毒素、 補体C3b、補体C5a、補体C5b-9、Rh因子、フィブリノーゲン、フィブリン、お よびミエリン結合増殖阻害因子などの血液因子、 コレステロールエステル転移蛋白質、細胞膜結合基質メタロプロテアーゼ、お よびグルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)などの酵素、ならびに ガングリオシドGD3、ガングリオシドGM2、LMP1、LMP2、好酸球主要塩基性蛋白 質、エオシン好性カチオン蛋白質、pANCA、アマドリ(Amadori)蛋白質、IV型コラ ーゲン、糖化脂質、γインターフェロン、A7、P-糖蛋白質とFas(AFO-1)、およ び酸化LDLを含むその他の抗原。 特に、好ましい免疫グロブリンおよび類似体は、ヒトIL-6、ヒトIL-8、ヒトTN Fα、ヒトCD4、ヒトL-セレクチン、およびヒトgp39に関して免疫特異的な免疫グ ロブリンおよび類似体である。IL-8に対するヒト抗体は、腫瘍転移、ならびに喘 息および再灌流障害のような炎症状態を予防するために特に有用である。ヒトTN FαおよびヒトIL-6と免疫反応する抗体および類似体は、悪液質および敗血症性 ショックならびに自己免疫疾患を治療する上で有用である。gp39またはL-セレク チンと免疫反応する抗体および類似体も、自己免疫疾患を治療または予防する上 で効果的である。さらに、抗gp39は、対宿主性移植片疾患の治療、器官移植拒絶 の予防、および糸球体腎炎の治療に有用である。L-セレクチンに対する抗体およ び類似体は、再潅流性外傷に関連した虚血の治療に有用である。 上記の抗体および類似体を用いて治療することができる典型的な自己免疫疾患 には、全身性エリテマトーデス、慢性関節リウマチ、乾癬、シェーグレン硬皮症 、混合結合組織病、皮膚筋炎、多発性筋炎、ライター症候群、ベーチェット病、 1型糖尿病、橋本甲状腺炎、グレーヴス病、多発性硬化症、重症筋無力症、およ び天疱瘡が含まれる。 以下の実施例は、例示を目的とするものであり、本発明を制限するものではな い。 これらの実施例において、ゼノマウス(XenoMouse)と命名されたマウスを、初 回免疫に用いる。このようなゼノマウスは、上記の参照文献であるPCT出願国際 公開公報第94/02602号で詳細に説明されている。各抗原に対する適切な免疫化プ ロト コールは、下記の具体的な実施例で説明されている。標準的なELISAの方法を用 いて、それぞれの場合に、免疫したゼノマウスの血清(または不死化B細胞の上 清)を希釈して、抗原特異的なヒト抗体のために用いた。この方式では、免疫す るために用いた抗原を、微量滴定用プレートのウェルに固定化した。このプレー トを洗浄し、ブロッキングしてから、血清(または上清)を段階希釈して加え、 1時間〜2時間インキュベートした。洗浄後、西洋ワサビパーオキシダーゼ(HR P)に結合させた適当な種に対するIg(典型的には抗ヒトκ鎖抗体または抗ヒト μ鎖抗体)を加えて1時間インキュベートし、ヒト抗体の特徴を有する結合抗体 を検出した。いくつかの例においては、結合抗体は、抗マウス抗体、典型的には 抗マウスγ鎖抗体を用いて、マウスの特徴について試験した。再び洗浄した後、 発色試薬のo-フェニレンジアミン(OPD)基質および過酸化水素を加えてから30 分後に、微量滴定用プレート読み取り器を用いて492 nmでプレートを測定した。 別記しないかぎり、プレートコーティング用緩衝液(0.1 M炭酸緩衝液、pH 9. 6)を用いて、抗原をコートした。使用した解析ブロッキング用緩衝液は、0.5% BSA、0.1%トウィーン(Tween)20、および0.01%チメロサールを含むPBSであり 、発色のために用いた基質緩衝液は、クエン酸7.14g/l、二塩基性リン酸ナトリ ウム17.96 g/lを含み、発色液(使用直前に調製される)は、10 mlの基質緩衝液 にOPD 10 mgおよび過酸化水素 5 mlを加えたものであり、停止液(発色を停止す るために用いられる)は2 M 硫酸であった。洗浄液は、0.05%トウィーン(Twee n)20含有PBSであった。 実施例1 ヒトIL-6に対するヒト抗体 8週〜20週齢のゼノマウスを3匹から5匹、週齢を合わせて、完全フロイント アジュバントに乳状化した50μgのヒトIL-6を初回免疫として腹腔内投与するこ とにより免疫し、以降の注射では、不完全フロイントアジュバントに乳状化して 免疫した。マウスは、2〜3週間の間隔で6回注射した。血清の滴定濃度は、二 回目の投与後に決定し、その後も各投与毎に決定した。注射後6日〜7日目に、 後延髄叢から採血した。この血液は、血清を分離して採集する前に室温に約2時 間おいて凝固させてから、4℃で少なくとも2時間インキュベートした。 上記で説明したようにして、コーティング用緩衝液中2mg/mlの組換えヒトIL- 6を100μl/ウェルで用いELISAを行なった。そして、プレートを4℃で一晩また は37℃で2時間インキュベートしてから、洗浄用緩衝液で3回洗浄した。次に、 100μl/ウェルのブロッキング用緩衝液を加えて、室温で2時間インキュベート し、さらに3回洗浄した。 そして、50μl/ウェルの希釈した血清試料(ならびに、陽性対照および陰性対 照)をプレートに加えた。次に、プレートを室温で2時間インキュベートし、再 び3回洗浄した。 洗浄後、ブロッキング用緩衝液で、HRPに結合したマウス抗ヒトμ鎖抗体 100 μl/ウェルを1/2,000に希釈するか、またはHRPに結合したマウス抗ヒトκ鎖抗体 100μl/ウェルを1/2,000に希釈して加えた。室温で1時間インキュベートした 後、このプレートを3回洗浄して、OPD基質で10分〜25分発色させた。そして、5 0μl/ウェルの停止液を加えて、ELISAプレート読み取り器を用い492nmで結果を 読み取った。6回注射した後のゼノマウス(登録商標)A40-7から採取した血清を 希釈して得られた希釈曲線を図1に示す。図1のデータから、抗ヒトκおよび抗 ヒトμと免疫反応する抗IL-6の産生は、1:1,000以上の血清希釈度で検出される ことが示される。 実施例2 ヒトIL-8に対するヒト抗体 免疫原として組換えヒトIL-8を用いたこと以外は、実施例1で説明したように して、免疫および血清の調製を行なった。ELISAプレートの最初のコーティング に、コーティング用緩衝液中1μg/mlの組換えヒトTNFαを100μl/ウェル用いた こと以外は、実施例1で説明したようにして、ELISAを行なった。 回収した血清についてELISA解析を行った。ELISAプレートをまず、コーティン グ緩衝液中に0.5mg/mlで含まれる組換えヒトIL-8を100μl/ウェルで用いてコー ティングしたこと以外は、実施例1と全く同様にして行った。6回注射した後のゼ ノマウス(登録商標)A260-5の、様々な濃度に希釈した血清について得られた結果 を、図2に示す。ここでも、1:1000希釈で示される濃度より高濃度の血清希釈物 で、ヒト抗IL-8結合が観察された。 実施例3 ヒトTNFαに対するヒト抗体 免疫および血清の調製は、ヒトIL-6をヒト組換えTNFαに置き換えたこと以外 は、実施例1と同様にして行った。ELISAは、ELISAプレートの最初のコーティン グに、コーティング緩衝液中1mg/mlで含まれる組換えヒトTNFαを100μl/ウェ ルで用いたこと以外は、実施例1と同様にして行った。 6回注射した後のゼノマウス(登録商標)A210-8の血清について得られた希釈曲 線を、図3に示す。ここでも、有意な力価のヒト抗TNFα結合が観察された。 実施例4 ヒトCD4に対するヒト抗体 トランスフェクションされた組換え細胞上のヒトCD4ζを用いて、以下のよう にして、ヒトCD4抗原を表面蛋白質として調製した。ヒトCD4ζには、成熟ζ鎖の CD4細胞外ドメイン、CD4膜通過ドメイン、および31〜142残基目に相当する細胞 質ドメインが含まれる。「ロバーツ(Roberts)ら、Blood(1994)84:2878」に記 載のヒトCD4ゼータ(F15 LTR)を、「フィナー(Finer)ら、Blood(1994)83:43 」に記載のカット(Kat)高効率形質導入システムを用いて、「カラン(Callan) ,M.,ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1993)90:10454」に記載されているラ ットの好塩基球性白血病細胞系RBL-2H3に導入した。要約すると、ウェルあたり1 06個のRBL-2H3細胞を、750mlのDMEMlow+20% FBS(ギブコ(Gibco))および16μ g/mlのポリブレン中で、等量のプロウイルス上清とともに、37℃、5%CO2で2 時間培養した。培地1mlを取り除いて750μlの感染用培地およびレトロウイルス 上清を各ウェルに加え、この培養液を一晩インキュベートした。細胞を洗浄し、 十分な細胞が選別に利用できるようになるまで、DMEMlow+10% FBS中で増殖さ せた。FACSTARプラス(ベクトンディキンソン(Becton Dickinson))を用いて、C D4-ゼータを導入したRBL-2H3細胞を選別した。マウス抗ヒトCD4- PE抗体で、ヒ トCD4に対する細胞の染色を行ない、上位2〜3%の発現細胞を選抜した。 初回注射を頚部の基部に皮下注射により行ったことを除いて、実施例1の記載 のように、マウス1匹当たり1×107個の細胞を用いて免疫化を行なった。マウス は、2〜3週間の間隔で6回注射した。血清を調製し、ELISAプレートの最初の コ ーティングに、可溶性組換えCD4を2mg/ml含む100μl/ウェルのコーティング用緩 衝液を用いたこと以外は、実施例1に記載されているようにELISAによって解析 した。6回注射した後のゼノマウスA207-1から採取した血清に対する滴定濃度曲 線を図4に示す。ヒト抗CD4反応性の滴定濃度は、1:1,000の希釈度よりも高い濃 度であることが示された。 実施例5 ヒトL-セレクチンに対するヒト抗体 マウスプレB細胞300.19をLAM-1 cDNA(LAM-1は、L-セレクチンをコードする 遺伝子である)でトランスフェクションして得られた高発現クローンであるC51 細胞の表面提示蛋白質として(テッダー(Tedder)ら、J.Immunol.(1990)144:53 2)または同じようにトランスフェクションされたCHO細胞を用いて、抗原を調製 した。抗-Leu-8抗体を標識に用いた蛍光活性化細胞選別法を用いて、トランスフ ェクションされた細胞を選別した。 C51細胞およびトランスフェクションしたCHO細胞を、100 mmプレート中10%FC Sおよび1 mg/mlのG418を含むDME 4.5 g/lグルコース中で増殖させた。陰性対照 細胞である3T3-P317細胞(モロニー(Moloney)ウイルスのgag/pol/env遺伝子でト ランスフェクションした細胞)を、G418を除いた同じ培地中で増殖させた。 初回免疫は、頚部の基部に皮下注射して行ない、その後の注射は、腹腔内に行 なった。2〜3週間毎に合計5回注射したが、注射1回につき、7千万〜1億個 のC51細胞またはトランスフェクションしたCHO細胞を用いた。 実施例1で説明されているようにして血清を採集して、実施例1と同じプロト コールで、ELISAによって解析した。 ELISAのために、トランスフェクションした細胞を96穴プレートに接種し、細 胞数により1日〜2日間細胞が単層になるまで増殖させ、集密状態になったとき にELISAに用いた。冷却1×PBSによる最初の洗浄によって細胞を固定し、その後 固定液(5%氷酢酸、95%エタノール)を加えた。プレートを−25℃で5分間イ ンキュベートして、プレートシーラーでシールすることにより、この温度で保存 することができる。 このプレートを室温に戻し、プレートを振って固定液を除去し、10%FCS含有D MEM培地を各ウェル当たり200μl用いて5回洗浄し、ELISAを開始する。 ウェルを、さまざまな希釈度の血清または陽性もしくは陰性対照で処理した。 陽性対照のウェルには、ヒトL-セレクチンに対するマウスIgG1モノクローナル抗 体が含まれていた。 ウェルを45分間インキュベートして、顕微鏡で単層が完全であることを確認し た。そしてこれらのウェルを、実施例1で説明したように、抗マウスIgG(1/100 0)またはHRPを結合した抗ヒトκ鎖抗体もしくは抗ヒトμ鎖抗体のいずれかとと もにインキュベートした。次に、このプレートを1%BSA/PBSで洗浄し、再度PBS で洗浄し、単層が完全であることを確認した。上述したように、プレートを発色 させ、停止させ、読み取りを行った。ゼノマウスA303-3からの血清に関する結果 を、図5および6に示す。L-セレクチンおよび対照用3T3細胞の両方に対するヒ ト抗体が得られた。しかし、血清滴定濃度はL-セレクチン発現細胞の方が、親株 の3T3細胞に較べて高かった。これらの結果から、ゼノマウスA303-3が、ヒトμ 重鎖領域および/またはヒトκ軽鎖を有する、L-セレクチンに特異的な抗体を産 生することが示される。 ヒトIgG1の定常ドメインに融合したヒトL-セレクチン細胞外ドメインからなる 融合タンパク質を、固定化抗原として用いて、ELISAを行った(ギュオ(Guo)ら、 Cell Immunol.(1994)154: 202)。L-セレクチン融合タンパク質は、リン酸カル シウム形質転換を用いたヒト293細胞の一過性形質転換により作製した(ウィグ ラー(Wigler)M.ら、Cell(1979)16: 777)。血清の調製は、実施例1に記載の方 法により行った。ELISAは、実施例1と本質的に同様にして行った。ただし、ELIS Aプレートの最初のコーティングに、L-セレクチン-Ig融合タンパク質を含む形質 転換293細胞培養上清100μlを用いた。検出には、HRP-マウス抗ヒトκおよびHRP -ヤギ抗マウスIgGを用いた。 図7は、ゼノマウス(登録商標)A195-2の結果を示す。ヒトκ軽鎖および/また はヒト可変領域をマウス重鎖γ領域と共に有する、L-セレクチンに特異的な抗体 が、血清中に存在する。 また、免疫したゼノマウスから得た抗血清を、L-セレクチンを発現するヒト好 中球の染色について試験した。ヒトの好中球は、以下のようにして調製した: 末梢血を、正常な任意提供者から100ユニット/mlヘパリンで採集した。約3.5ml の血液で、等量の一段階ポリモルフ・グラジエント(One-step Polymorph Gradi ent)(アキュレイトケミカル(Accurate Chemical),Westbury,NY)の上を覆い 、20℃、450×gで30分間遠心した。好中球分画を除去して、DPBS/2%FBSで2回 洗浄した。 そして、次の何れかで、好中球を染色した: (1)C51細胞(L-セレクチンを発現する)で免疫したゼノマウスA195-2から 採取した抗血清、 (2)陽性対照として、(L-セレクチンに対する)マウスモノクローナル抗体 LAMI-3、および (3)陰性対照として、ヒトgp39を発現する細胞で免疫したゼノマウスから採 取した抗血清。 染色、洗浄した好中球をFACSによって解析した。ゼノマウスから採取した抗血 清に関する結果を図8および図9に示す。 これらの結果から、免疫したゼノマウスの血清には、L-セレクチンと免疫反応 する完全なヒト可変領域を含む抗体が存在することが示される。陰性対照である gp39で免疫したマウスの抗血清には、ヒト好中球に対して反応する抗体は含まれ ていない。(L-セレクチン発現細胞で免疫した)A195-2の血清は、ヤギ抗マウス IgG抗体で検出可能な、ヒト好中球に結合している抗体を含む(図8)。この抗体 は、完全なヒト可変領域およびマウスγ定常領域からなる重鎖タンパク質で結合 する。ヒトκ鎖抗体に対するマウスモノクローナル抗体で検出された抗L-セレク チンゼノマウス(登録商標)抗血清による染色を図9に示す。図9には、完全なヒト κ軽鎖の存在が示されている。 上述のように、ヒト可変領域を含むこれらの抗体は、完全なヒト抗体に容易に 変換することが可能である。例えば、これらの抗体を分泌するハイブリドーマを 用いて、それらをコードするcDNAを得ることができる。クィーン(Queen)ら(Pro c.Natl.Acad.Sci(1989)86: 10029)の記載に従い、制限酵素認識部位を含 むプライマーを用いてヒトV領域をコードする遺伝子を増幅し、それをヒト定常 領域のコード配列を含むプラスミド中にクローニングすることにより、組換え体 作製 のための完全なヒト抗体をコードする遺伝子を、得ることができる。 実施例6 ヒトgp39に対するヒト抗体 gp39(CD40に対するリガンド)は、活性化されたヒトCD4+ T細胞で発現される 。本実施例にしたがって組換えgp39で免疫したゼノマウスの血清には、gp39に免 疫特異的な完全なヒト可変領域を有する抗体が含まれていた。血清には完全なヒ トIgM抗体ならびにヒト可変領域およびマウス定常重鎖γ領域を含むキメラIgE抗 体が含まれていた。 抗原には、図10に示されているような哺乳動物発現ベクターP1K1.HUgp39/IRES NEOの中にクローニングされたgp39のcDNAを発現させる、300.19細胞またはCHO 細胞の安定的なトランスフェクション体が含まれる。CHO細胞は、トランスフェ クションする前に1:10に分けて、グリシン、ヒポキサンチン、およびチミジンを 添加したDMEM(グルコース 4.5 g/l、FBS 10%、グルタミン2 mM、MEM、NEAA) に入れた。リン酸カルシウムトランスフェクション法を用いて、9μg/10 cmプ レート(6×105個の細胞)のgp39ベクターおよび1μg/10 cmプレートのDHFR発 現ベクターpSV2DHFR(スブラナニ(Suburanani)ら、Mol Cell Biol(1981)9:854)で 細胞を共トランスフェクションした。24時間後、細胞を1:10に分けて、0.6mg/ml のG418を含む最初の培地に移した。抗gp39抗体を用いたFACSによって、gp39を産 生する細胞を選別した。 実施例1に記載されているようにグループ別に分けたマウスを、gp39を発現す る300.19細胞で免疫した。初回免疫は、頚部の基部に皮下注射して行ない、その 後は2〜3週間毎に腹腔内注射により行なった。ELISAを行うために、実施例1 で説明されているようにして血清を採集した。ELISA法は、実質的には、実施例 1で示されているようにして行なったが、グルコース 4.5 g/l、FCS 10%、グル タミン 4 mM、およびMEM用の非必須アミノ酸(NEAA)溶液(100×)を含むDMEM 中、100 mmプレートで増殖させた、gp39を発現するCHO細胞によって、プレート をコーティングした。ELISA解析の前日に、細胞をトリプシン処理して96穴濾過 プレート中に105細胞/200μlで接種し、37℃で一晩インキュベートした。陽性 対照はマウス抗ヒトgp39であり、陰性対照はgp39以外の抗原で免疫したマウスの 抗血清であ った。各解析毎に、50μlの試料を用いた。この解析法の残りの部分は、実施例 1に記載されている。 CHO細胞上で発現されたgp39で免疫したマウスから4回注射した後に採取した 血清に対する滴定濃度曲線を図11に示す。図から分かるように、この血清は、HR Pに結合したヒトκ鎖抗体およびヒトμ鎖抗体によって検出可能な抗ヒトgp39免 疫特異性を有していた。 さらに、FACS解析を用いて、血清が、PBMCに含まれる活性化ヒトT細胞と反応 するか否かを試験した。PBMCを調製するため、ヒト末梢血を健常者から採取し、 100ユニット/mlのヘパリンを添加した。PBMCは、フィコール勾配により単離し、 3μl/mlのPHA、1μg/mlのPMAを含むIMDMに10%FBSおよび25μMの2-メルカプトエ タノールを添加したものを用いて4時間活性化した。洗浄後、PBMCをFITCで標識 したヒトCD4に対するマウスMabで染色し、CD4+ヒトT細胞とCD4-ヒトT細胞とを分 離させた。 次に、活性化されたCD4+ヒトT細胞およびCD4-ヒトT細胞を、以下のいずれかに よる染色を用いたFACSにより解析した。 1)gp39を産生する300.19細胞で免疫したゼノマウス(登録商標)から得られた 抗血清、 2)陽性対照として、α-CD40L(ヒトgp39)に対するマウスMab、および 3)陰性対照として、TNFで免疫したゼノマウス(登録商標)から得られた抗血清 。 FACS解析における検出用抗体は、ヤギ抗マウスIgG(PE)であった。結果を図1 2に示す。 図12Aに示されるように、FACS解析の前に、CD4+細胞(R2)およびCD4-細胞(R 3)は分離された。Bは、CD4+細胞についての結果を示す図であり、gp39(図中、 A247-4と記されている)で免疫したマウスから得られた血清が、これらの活性化 CD4+T細胞と反応したことを示している。Cは、これらの血清が、CD4-T細胞とは 反応しなかったことを示している。これらの抗体は、マウス重鎖γ定常領域を保 持している。BおよびCの結果より、TNFを注入したゼノマウス(登録商標)ではgp3 9に対する抗体が産生されないことも示される。 実施例7 破傷風毒素に対する高親和性ヒトモノクローナル抗体の調製 本実施例において調製される抗体は、破傷風毒素で免疫したゼノマウスのB細 胞を不死化して得たハイブリドーマによって分泌された。免疫化のプロトコール は、実施例1に示したものと同じで、腹腔内注射により初回免疫するために完全 フロイントアジュバントに乳濁させた50μgの破傷風毒素を用い、以後は不完全 フロイントアジュバントに取り込んだ抗原で腹腔内注射を行なった。マウスは、 2〜3週間の間隔で合計4回注射した。 抗破傷風毒素C(抗TTC)の許容される血清滴定濃度が得られてから、PBS中の 抗原の最終的な免疫投与を、動物を殺処分する4日前に行ない、融合のために脾 臓を回収した。 ガルフールおよびミルスタイン(Galfre,G.and Milstein,C.Methods in E nzymology(1981)73:3〜46)によって説明されているところに従って、脾細胞 をミエローマ細胞P3X63-Ag8.653と融合させた。 融合後、細胞を37℃、10%CO2で培養するために、グルタミンおよびペニシリ ン/ストレプトマイシンを添加したHATを含む15%FCS DMEMに懸濁した。この細 胞を微量滴定用プレートに接種して、HAT添加培地に移植するまで2週間、HAT添 加培地に維持した。ELISAを用いた一次スクリーニングを行うために、ハイブリ ドーマを含むウェルから上清を採集した。 ELISAは、実施例1で説明されているようにして行ったが、抗原のコーティン グには、コーティング緩衝液に2mg/mlの破傷風毒素C(TTC)蛋白質を100μl/ ウェルで入れ、その後4℃で一晩インキュベートするかまたは37℃で2時間イン キュベートすることを含む。初回のELISAでは、実施例1で説明されているよう に、HRP結合ヤギ抗マウスIgGをHRPマウス抗ヒトIgMと共に1/2000で用いた。ELIS A解析にしたがって抗TTCを分泌する2つのハイブリドーマ、クローンD5.1とクロ ーンK4.1とを以後の解析に用いた。 図13に示すように、クローンD5.1は、HRP結合抗ヒトμ鎖抗体およびHRP結合抗 ヒトκ鎖抗体を用いて検出できる完全なヒト抗TTCを分泌する。このことは、図1 8および図19において確認された。図14は、クローンK4.1が、抗マウスγおよび 抗 ヒトκのHRP結合抗体との免疫反応性を有する抗TTCを分泌することを示している 。したがって、クローンK4.1は、図16および17に示されるように、ヒト可変領域 と、マウス定常重鎖γ領域とを有する完全な抗TTCを提供する。 陽性対照(それぞれ、TNFα、IL-6、およびIL-8で免疫したゼノマウスからの 血清)が陽性のELISA結果を示すような条件下における、TNFα、IL-6またはIL-8 を固定化抗原として用いたELISAにおいて、D5.1およびK4.1によって分泌される 抗体は免疫応答しなかった。 K4.1により分泌されるモノクローナル抗体のTTC抗原に対する親和性は、市販 の試薬および装置を用いて、決定した。BIAcore装置、CMSセンサーチップ、界面 活性剤P20、およびアミンカップリングキットは、ファルマシア・バイオセンサ ー(Pharmacia Biosensor)(ニュージャージー州、ピスカタウェイ)から購入し た。TTCは、製品説明書に従い、2通りのレベルの抗原密度でセンサーチップの表 面上に固定化した。簡単に述べると、界面活性剤を含む緩衝液で装置を洗浄し平 衡化した後、表面を活性化し、TTCを固定化した。 高抗原密度のため、表面を横切るように注入された等量の35μlの0.1MのNHSお よび0.1MのEDCを含む溶液35μlで、表面を活性化し、次に10mMの酢酸ナトリウム 緩衝液pH5.0に100μg/mlで含まれるTTC断片30μlで活性化した。35μlの1Mエタ ノールアミンを注入することにより表面をブロックし、5μlの0.1M塩酸を用いて 未結合TTCを除去するために洗浄した。固定化操作は、全て、緩衝液を5μl/分 で連続的に流しながら行った。この結果、1つのチップ当たり7500〜8500反応ユ ニット(RU)のTTCが得られた。(1000RUは、1mm2当たり約1ngのタンパク質に相 当する。) 抗原密度が低いチップでは、チップに550〜950RUが含まれるよう、30μlでは なく15μlのTTCを用いた。 チップは、1回の測定に使用した後、10μlのホルマールまたはMgCl2を注入す ることにより再生させることが可能である。 チップは、固定化TTCに関する抗体のka(会合速度定数)およびkb(解離速度 定数)を決定することにより、結合親和性を決定するために使用される。会合速 度定数は、2.16nm〜69.33nmの範囲で、異なるK4.1 Mab濃度、5μl/分の流速で 、6 分間にわたり測定される。解離速度定数は、抗体の注入完了後、5μl/分という 一定の緩衝液流速で測定される。生データを図15のグラフに示し、計算結果を表 1に示す。 示されているように、K4.1抗体のTTCに対する結合定数(Ka)は、1010M-1より やや大きい。 図16〜19に示されているように、K4.1およびD5.1のモノクローナル抗体の重鎖 および軽鎖をコードするcDNAの完全な塩基配列が決定された。約106個のハイブ リドーマ細胞からポリA mRNAを分離し、任意のヘキサマーをプライマーに用いる cDNAの作製に用いた。この産物の一部を、適当なプライマーを用いたPCRによっ て増幅した。 両細胞系からヒトκ軽鎖が提供されることが知られているため、軽鎖をコード するcDNAのPCR増幅のために用いたプライマーは、定常領域の末端から合成を開 始させるHKP-1(5'-CTCTGTGACACTCTCCTGGGAGTT-3')および可変領域のセグメン トから合成を開始させるために等量で用いられる2つ目のプライマーB3(5'-GAA ACGACACTCACGCAGTCTCCAGC-3')およびB2/B1(5'-GAAACGACACTCACGCAGTCTCCAGC-3 ')であった。 K4.1(マウスγ1定常領域を含む)に由来する抗体の重鎖を増幅するため、プ ライマーは、ヒト可変領域に対するMG-24Vi、5'-CAGGTGCAGCTGGAGCAGTCiGG-3'( これは、示されるようにイノシンを含み、ヒト可変領域VH1-2、VH1-3、VH4、お よびVH6を認識する)、および定常領域MG-25由来のもの、すなわち5'-GCACACCGC TGGACAGGGATCCAiAGTTTC-3'(これは、示されるようにイノシンを含み、マウスγ 1、γ2A、γ2B、およびγ3を認識する)であった。 (ヒトμ定常領域を含む)D5.1由来の抗体の重鎖を増幅するためには、可変領 域末端から開始するMG-24VIを用い、定常領域末端から開始するμP1(5'-TTTTCT TTGTTGCCGTTGGGGTGC-3')を用いた。 K4.1により分泌されたMabの重鎖を示す図16に示される結果に戻ると、この配 列より、マウスγ1定常領域に結合した、ヒト可変セグメントVH6、ヒト多様性領 域DN1、およびヒト連結セグメントJH4の存在が示される。開示されている生殖系 列の配列と比較して、可変領域に9塩基対の変異が存在し、そのうちの2塩基対は CDR2内に存在する。1つの変異がDセグメントに見られた。3つの非生殖系列ヌク レオチド付加がDH-JH連結部に存在した。 K4.1抗体の軽鎖を示す図17を参照すると、解析によりヒトκ可変領域B3および 連結領域JK4の存在が示される。VK-JK連結部ではB3の8個のヌクレオチドが欠失 しており、可変領域に4個の変異が見られる。5個の非生殖系列ヌクレオチド付加 がVK-JK連結部に存在していた。 クローンD5.1によって分泌される抗体の重鎖に対応する配列を示す図18を再び 参照すると、この重鎖に、ヒトの可変部断片VH6、ヒト多様性領域DN1、およびヒ トμ定常領域に結合したヒトJ分節JH4が含まれていることが分かる。生殖系列 の配列では、可変領域中に2塩基対の突然変異があり、いずれもCDR中ではなか った。さらに、2つの突然変異がD分節にあり、6個の非生殖系列の塩基付加が DH〜JH結合部位にあった。 最後に、クローンD5.1によって分泌される抗体の軽鎖を示す図19を参照すると 、ヒトκ可変領域B3およびヒトκ結合領域JK3が示される。生殖系列の配列とは 9個の塩基対が異なっており、3個はCDR1に落ちている。 実施例8 IgE に対するヒト抗体の作製 A.マウスの免疫 免疫グロブリン遺伝子座由来のヒトDNAが組み込まれた生殖系列キメラマウス を、アジュバント中に含まれる15〜20μgのヒトIgE/λを注入することにより免 疫した。マウスは、初回免疫後14日毎に15〜20μgのヒトIgE/λで追加免疫した 。ヒトIgE/λに対する血清抗体の力価を試験するため免疫された動物から採血を 行った。最も高い力価を有するマウスを屠殺し、脾臓を摘出した。 B.脾細胞の融合 脾細胞の融合パートナーとして用いられたミエローマ細胞、P3X63-Ag8.653系 を、融合の前に6日間溶解し、組織培養した。融合の1日前に、細胞を10%ウシ胎 児血清(FCS)を含む新鮮な培地中に1:3で分割した。 マウスを屠殺後、脾臓を無菌的に摘出し、無血清培養培地を含む培養皿に移し た。2枚のすりガラスでできた顕微鏡スライドの間で脾臓を穏やかに粉砕するこ とにより、単一細胞懸濁液を作成した。細胞を新鮮な無血清培地で洗浄し、赤血 球を溶解し、細胞破片を濾過により除去した。 無血清培地中で遠心分離することにより、脾細胞をさらに2回洗浄した。ミエ ローマ細胞も、同時に無血清培地中で洗浄した。それぞれの細胞型を計数し、1 :3(ミエローマ細胞:脾細胞)の比率で合わせ、静かに混合し、共に1回遠心分 離した。 40%ポリエチレングリコール(PEG)溶液を細胞ペレットに徐々に添加し、1分 間かけて静かに細胞を再懸濁させた。細胞を室温でPEG溶液中で1分間インキュベ ートし、それから5分間かけて5mlの無血清培地で徐々に希釈した。90秒かけてさ らに5mlを添加した。細胞を室温で5分間インキュベートした。細胞を低速度で 遠心分離し、上清を除去した。細胞を、5mlの10%FCS、1×OPI、1×NEアミノ酸 、および10mMヘペスを含むハイブリドーマ培地中に、ゆっくりと極めて静かに再 懸濁させた。細胞を、1×HAT溶液(ヒポキサンチン、アミノプテリン、およびチ ミジン)を含むハイブリドーマ培地中に最終容量が100mlになるよう、さらに希 釈した。融合細胞を96-2311プレートに100μl/ウェルとなるよう分注し、37℃ 、10%CO2で培養した。融合後10日目に100μl/ウェルの1×HT(ヒポキサンチン およびチミジン)を含むハイブリドーマ培地を細胞に与え、スクリーニング前に コンフルエントになるまで密に増殖させた。 各増殖ウェルから上清を無菌的に取り出し、完全なヒト抗体の存在について試 験した。陽性ウェルをさらに、ヒトIgE/λ特異性について試験した。陽性細胞が 同定されたら、細胞を96ウェルプレートから、1×HTを含む0.5mlのハイブリドー マ培地を含む48ウェルプレート中に移した。この段階で、単一の抗体産生細胞が 培養されるよう、96ウェルプレートへ限界希釈することにより細胞をサブクロー ニングした。培養物がコンフルエントになった時に、細胞を1ml、3ml、5mlなど に希釈し、細胞ストックを保存するため、凍結させた分注物を液体窒素中で保存 した。 前記の方法を用いて、上記の抗原に特異的な抗体を調製する。 上記の方法に従い、ヒトIgE/λに対するヒト抗体を産生するマウスハイブリド ーマが得られた。 上記の方法に従い、ある免疫原に特異的なヒト抗体または類似体を産生するよ う免疫されたキメラ非ヒト宿主、特にマウス宿主を作製することができる。この ように、トランスジェニック宿主には、ヒト宿主では使用することができない免 疫原で免疫することができるため、ヒトモノクローナル抗体を得ることに関する 問題を回避することができる。さらに、ヒト宿主では許容されない追加免疫およ びアジュバントも可能となる。得られたB細胞は、目的の抗体を連続的に生成す るための不死化に使用することができる。不死化細胞は、免疫グロブリンまたは 類似体をコードする遺伝子を単離するため用いることもできるし、インビトロ変 異誘発法もしくは抗体の性質を改変するためのその他の方法などにより、分子的 改変をさらに行うこともできる。これらの改変遺伝子は、目的の抗体の連続的哺 乳動物細胞源を提供するために、形質転換により不死化細胞に戻すことができる 。本発明により、ヒト宿主における抗体の産生と同様の方法でヒト抗体が産生さ れる、簡便なヒト抗体供給源が提供される。動物宿主細胞により、ヒト抗体を産 生するための宿主細胞におけるヒトDNAの活性化および再編成の簡便な方法が提 供される。 本発明に従い、ヒト免疫原を用いて宿主哺乳動物を免疫することにより、タン パク質などのヒト免疫原に対するヒト抗体を作製することができる。得られた抗 血清は、ヒト免疫原に対して特異的なものであると考えられ、宿主の血清から回 収することが可能である。免疫された宿主B細胞は、モノクローナル抗体を作製 するための、ハイブリドーマのような不死化細胞を提供するため、ミエローマ細 胞融合、トランスフェクションなどの不死化に用いることができる。抗体、抗血 清、およびモノクローナル抗体は、抗体を産生する細胞の種に応じてグリコシル 化される。稀な可変領域を得るため、Ig遺伝子座の稀な可変領域を抗体の産生に 動員することができる。 本明細書に引用された出版物および特許出願は全て、特別かつ個別に、参照と して本明細書に組み込まれているものとする。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A61K 39/395 ABJ A61K 39/395 ABJU ABN ABNN ACD ACDN ADA ADAN ADP ADPN ADU ADUN C07K 16/18 C07K 16/18 C12N 5/10 C12P 21/02 C C12P 21/02 C12N 5/00 B (72)発明者 クラホルツ スー アメリカ合衆国 カリフォルニア州 スタ ンフォード ピーター コウツ サークル 76 (72)発明者 ブレナー ダニエル ジー. アメリカ合衆国 カリフォルニア州 レッ ドウッドシティー セントラル アベニュ ー 86 (72)発明者 カポン ダニエル ジェイ. アメリカ合衆国 カリフォルニア州 ヒル スボロー ウッドリッジ ロード 90

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.所望の抗原に特異的な、完全なヒト可変領域を有する免疫グロブリンまた はその類似体を産生するための、以下の段階を含む方法: 免疫応答を刺激して、それにより該抗原に特異的な免疫グロブリンを分泌する B細胞がヒト以外の動物で産生されるような条件下で、内因性の免疫グロブリン の重鎖および軽鎖の可変領域を実質的に産生することはできないがヒト免疫グロ ブリンの可変領域を産生することができる該動物に、該抗原またはその免疫原部 位を投与する段階、および 該免疫グロブリンまたはその類似体を回収する段階。 2.回収段階に、動物からポリクローナル免疫グロブリンまたはその類似体を 回収することが含まれる、請求項1記載の方法。 3.回収段階に以下の段階が含まれる、請求項1記載の方法: 抗原を用いて免疫した動物のB細胞を不死化する段階、その結果得られる不死 化細胞を、該抗原に特異的な免疫グロブリンを分泌するものを得るためにスクリ ーニングする段階、および 1)該不死化B細胞によって分泌される免疫グロブリンを回収する段階、また は 2)不死化B細胞からの免疫グロブリンの少なくとも可変領域をコードする遺 伝子を回収し、選択的には該遺伝子を改変し、 免疫グロブリンもしくはその類似体を産生するために、該遺伝子もしくはその 改変遺伝子を発現させ、 該免疫グロブリンもしくはその類似体を回収する段階。 4.回収段階に以下の段階が含まれる、請求項1記載の方法: 抗原を用いて免疫した動物の初期B細胞からの免疫グロブリンの少なくとも可 変領域をコードする遺伝子を回収する段階、 可変領域を発現する該遺伝子のライブラリーを作製する段階、 抗原に対する所望の親和性を有する可変領域についてスクリーニングする段階 、 該可変領域をコードする遺伝子を回収し、選択的には該遺伝子を改変する段階 、 該可変領域を含む免疫グロブリンまたはその類似体を産生させるために回収し た該遺伝子を発現させ、該免疫グロブリンまたはその類似体を回収する段階。 5.免疫グロブリンが完全なヒト免疫グロブリンである、請求項1記載の方法 。 6.請求項1記載の方法により産生される免疫グロブリンまたはその類似体を コードする塩基配列を含む、組換えDNA分子。 7.以下の段階を含む方法により調製される遺伝子に相当するコーディング塩 基配列を含む、組換えDNA分子: 免疫応答を刺激して、それにより所望の抗原に特異的な免疫グロブリンを分泌 するB細胞がヒト以外の動物で産生されるような条件下で、内因性の免疫グロブ リン重鎖および軽鎖の可変領域を実質的に産生することはできないがヒト免疫グ ロブリンの可変領域を産生することができる該動物に、該抗原またはその免疫原 部位を投与する段階、 該抗原を用いて免疫した該動物からのB細胞を不死化し、その結果得られる不 死化細胞を、該抗原に特異的な該免疫グロブリンを分泌するものを得るためにス クリーニングする段階、および 不死化B細胞から該免疫グロブリンの少なくとも可変領域をコードする遺伝子 を回収し、選択的には該遺伝子を改変する段階。 8.以下の段階を含む方法により調製される遺伝子に相当するコーディング塩 基配列を含む、組換えDNA分子: 免疫応答を刺激して、それにより所望の抗原に特異的な免疫グロブリンを分泌 するB細胞がヒト以外の動物で産生されるような条件下で、内因性の免疫グロブ リン重鎖および軽鎖の可変領域を実質的に産生することはできないがヒト免疫グ ロブリンの可変領域を産生することができる該動物に、該抗原またはその免疫原 部位を投与する段階、 該抗原を用いて免疫した動物の初期B細胞から免疫グロブリンの少なくとも可 変領域をコードする遺伝子を回収する段階、 可変領域を発現する該遺伝子のライブラリーを作製する段階、 抗原に対する所望の親和性を有する可変領域について該ライブラリーをスクリ ーニングする段階、および 該可変領域をコードする遺伝子を回収し、選択的には該遺伝子を改変する段階 。 9.コード塩基配列が、それを発現させる調節配列に機能的に結合されている 、請求項6、7または8記載のDNA分子。 10.請求項9記載のDNA分子を含むよう改変された細胞または細胞系。 11.免疫グロブリンまたはその類似体を産生するようにコード塩基配列が発 現する条件下で、請求項10記載の細胞を培養する段階、および 該免疫グロブリンまたはその類似体を回収する段階を含む、完全なヒト可変領域 を有する免疫グロブリンまたはその類似体を産生する方法。 12.以下の段階を含む方法により調製される所望の抗原に対する、完全なヒ ト可変領域を有する免疫グロブリンを分泌する不死化B細胞: 免疫応答を刺激して、それにより該抗原に特異的な免疫グロブリンを分泌する B細胞がヒト以外の動物で産生されるような条件下で、内因性の免疫グロブリン 重鎖及び軽鎖の可変領域を実質的には産生できないがヒト免疫グロブリンの可変 領域を産生することができる該動物に、該抗原またはその免疫原部位を投与する 段階、 該抗原を用いて免疫した該動物のB細胞を不死化し、その結果得られる不死化 細胞を該抗原に特異的な該免疫グロブリンの分泌についてスクリーニングする段 階、および 該不死化B細胞を回収する段階。 13.請求項12記載の回収された細胞を培養する段階と、該免疫グロブリン またはその類似体を回収する段階とを含む、免疫グロブリンまたはその類似体を 産生する方法。 14.請求項1記載の方法により産生される、完全なヒト可変領域を有する免 疫グロブリンまたはその類似体。 15.完全にヒト型である、請求項14記載の免疫グロブリンまたはその類似 体。 16.アゴニストもしくは触媒である、請求項14記載の免疫グロブリンもし くはその類似体、または免疫グロブリンがキメラである、請求項14記載の免疫 グロブリンもしくはその類似体。 17.所望の抗原が、遷移状態類似体(transition state mimics)、白血球マ ーカー、組織適合性抗原、接着分子、インターロイキン、インターロイキンレセ プター、ケモカイン、増殖因子、増殖因子レセプター、インターフェロンレセプ ター、免疫グロブリンおよびそのレセプター、腫瘍抗原、アレルゲン、ウイルス 蛋白質、毒素、血液因子、酵素、ならびにその他の抗原であるガングリオシドGD 3、ガングリオシドGM2、LMPI、LMP2、好酸球主要塩基性蛋白質、好酸球カチオン 蛋白質、pANCA、アマドリ蛋白質、IV型コラーゲン、糖化脂質、γインターフェ ロン、A7、P-糖蛋白質、Fas(AFo-1)、および酸化LDLからなる群より選択され る、請求項14記載の免疫グロブリンまたはその類似体。 18.白血球マーカーが、CD2、CD3、CD4、CD5、CD6、CD7、CD8、CD11a、b、c 、CD13、CD14、CD18、CD19、CD20、CD22、CD23、CD27およびそのリガンド、CD28 およびそのリガンドであるB7.1、B7.2、B7.3、CD29およびそのリガンド、CD30お よびそのリガンド、CD40およびそのリガンドであるgp39、CD44、CD45およびアイ ソフォーム、CDw52(キャンパス(Campath)抗原)、CD56、CD58、CD69、CD72、 CTLA-4、LFA-1、ならびにTCRからなる群より選択され、 組織適合性抗原が、MHCクラスIまたはII、ルイスY抗原、SLex、SLey、Slea、 およびSLebからなる群より選択され、 接着分子が、VLA-1、VLA-2、VLA-3、VLA-4、VLA-5、VLA-6、LFA-1、L-セレク チン、P-セレクチンおよびE-セレクチン、ならびにそれらのカウンターレセプタ ーであるVCAM-1、ICAM-1、ICAM-2、LFA-3、Mac-1およびp150,95からなる群より 選択され、 インターロイキンが、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL -9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14、およびIL-15からなる群より選択され 、 インターロイキンレセプターが、IL-IR、IL-2R、IL-3R、IL-4R、IL-5R、IL-6R 、IL-7R、IL-8R、IL-9R、IL-10R、IL-11R、IL-12R、IL-13R、IL-14R、およびIL- 15Rからなる群より選択され、 ケモカインが、PF4、RANTES、MIP1α、MCP1、NAP-2、Groα、Groβ、およびIL -8からなる群より選択され、 増殖因子が、TNFアルファ、TGFベータ、TSH、VEGF/VPF、PTHrP、EGFファミリ ー、FGF、PDGFファミリー、エンドセリン、およびガストリン解離ペプチド(GRP) からなる群より選択され、 増殖因子レセプターが、TNFアルファR、RGFベータR、TSHR、VEGFR/VPFR、FGFR 、EGFR、PTHrPR、PDGFRファミリー、EPO-R、GCSF-RN、およびその他の造血レセ プターからなる群より選択され、 インターフェロンレセプターが、IFNαR、IFNβR、およびIFNγRからなる群よ り選択され、 Igおよびそのレセプターが、IgE、FceRI、およびFCeRIIからなる群より選択さ れ、 腫瘍抗原が、her2-neu、ムチン、CEA、およびエンドシアリンからなる群より 選択され、 アレルゲンが、ハウスダストダニ抗原、lol pl(草)抗原、およびウルシオール からなる群より選択され、 ウイルス蛋白質が、CMV糖蛋白質B、H、およびgCIII、HIV-1のエンベロープ糖 蛋白質、RSVのエンベロープ糖蛋白質、HSVのエンベロープ糖蛋白質、EBVのエン ベロープ糖蛋白質、VZVのエンベロープ糖蛋白質、HPVのエンベロープ糖蛋白質、 肝炎ファミリーの表面抗原からなる群より選択され、 毒素が、シュードモナスの内毒素およびオステオポンチン/ウロポンチン(os teopontin/uropontin)、ヘビ毒、およびハチ毒からなる群より選択され、 血液因子が、補体C3b、補体C5a、補体C5b-9、Rh因子、フィブリノーゲン、フ ィブリン、およびミエリン結合増殖阻害因子からなる群より選択され、 酵素が、コレステロールエステル転移蛋白質、膜結合基質メタロプロテアーゼ 、およびグルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)からなる群より選択される、 請求項17記載の免疫グロブリンまたはその類似体。 19.所望の抗原が、ヒトIL-6、ヒトIL-8、ヒトTNFα、ヒトCD4、ヒトL-セレ クチン、ヒトgp39、ヒトIgEおよび破傷風毒素C(TTC)からなる群より選択される 、請求項14記載の免疫グロブリンまたはその類似体。 20.請求項15〜19のいずれかに記載の免疫グロブリンまたはその類似体 をコードする塩基配列を含む、組換えDNA分子。 21.コード塩基配列が、それを発現させることのできる調節配列に機能的に 結合されている、請求項20記載のDNA分子。 22.請求項21記載のDNA分子を含むよう改変された細胞または細胞系。 23.所望の抗原に特異的な免疫グロブリンまたはその類似体を産生するよう に塩基配列が発現する条件下で、請求項22記載の細胞または細胞系を培養する 段階と、 該免疫グロブリンまたはその類似体を回収する段階とを含む、所望の抗原に特 異的な免疫グロブリンまたはその類似体を産生する方法。 24.遷移状態類似体(transition state mimics)、白血球マーカー、組織適 合性抗原、接着分子、インターロイキン、インターロイキンレセプター、ケモカ イン、増殖因子、増殖因子レセプター、インターフェロンレセプター、免疫グロ ブリンおよびそのレセプター、腫瘍抗原、アレルゲン、ウイルス蛋白質、毒素、 血液因子、酵素、ならびにその他の抗原であるガングリオシドGD3、ガングリオ シドGM2、LMPI、LMP2、好酸球主要塩基性蛋白質、好酸球カチオン蛋白質、pANCA 、アマドリ蛋白質、IV型コラーゲン、糖化脂質、γインターフェロン、A7、P-糖 蛋白質、Fas(AFO-1)、および酸化LDLからなる群より選択される抗原と特異的 に免疫反応する、完全なヒト可変領域を含む抗体またはその類似体。 25.白血球マーカーが、CD2、CD3、CD4、CD5、CD6、CD7、CD8、CD11a、b、c 、CD13、CD14、CD18、CD19、CD20、CD22、CD23、CD27およびそのリガンド、CD28 およびそのリガンドであるB7.1、B7.2、B7.3、CD29およびそのリガンド、CD30お よびそのリガンド、CD40およびそのリガンドであるgp39、CD44、CD45およびアイ ソフォーム、CDw52(キャンパス(Campath)抗原)、CD56、CD58、CD69、CD72、 CTLA-4、LFA-1、ならびにTCRからなる群より選択され、 組織適合性抗原が、MHCクラスIまたはII、ルイスY抗原、SLex、SLey、SLea、 およびSLebからなる群より選択され、 接着分子が、VLA-1、VLA-2、VLA-3、VLA-4、VLA-5、VLA-6、LFA-1、L-セレク チン、P-セレクチン、およびE-セレクチン、ならびにそれらのカウンターレセプ ターであるVCAM-1、ICAM-1、ICAM-2、LFA-3、Mac-1ならびにp150,95からなる群 より選択され、 インターロイキンが、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL -9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14、およびIL-15からなる群より選択され 、 インターロイキンレセプターが、IL-1R、IL-2R、IL-3R、IL-4R、IL-5R、IL-6R 、IL-7R、IL-8R、IL-9R、IL-10R、IL-11R、IL-12R、IL-13R、IL-14R、およびIL- 15Rからなる群より選択され、 ケモカインが、PF4、RANTES、MIP1α、MCP1、NAP-2、Groα、Groβ、およびIL -8からなる群より選択され、 増殖因子が、TNFアルファ、TGFベータ、TSH、VEGF/VPF、PTHrP、EGFファミリ ー、FGF、PDGFファミリー、エンドセリン、およびガストリン解離ペプチド(GRP) からなる群より選択され、 増殖因子レセプターが、TNFアルファR、RGFベータR、TSHR、VEGFR/VPFR、FGFR 、EGFR、PTHrPR、PDGFRファミリー、EPO-R、GCSF-R、およびその他の造血レセプ ターからなる群より選択され、 インターフェロンレセプターが、IFNαR、IFNβR、およびIFNγRからなる群よ り選択され、 Igおよびそのレセプターが、IgE、FCeRI、およびFCeRIIからなる群より選択さ れ、 腫瘍抗原が、her2-neu、ムチン、CEA、およびエンドシアリンからなる群より 選択され、 アレルゲンが、ハウスダストダニ抗原、lol p1(草)抗原、およびウルシオール からなる群より選択され、 ウイルス蛋白質が、CMV糖蛋白質B、H、およびgCIII、HIV-1のエンベロープ糖 蛋白質、RSVのエンベロープ糖蛋白質、HSVのエンベロープ糖蛋白質、EBVのエン ベロープ糖蛋白質、VSVのエンベロープ糖蛋白質、HPVのエンベロープ糖蛋白質、 肝炎 ファミリーの表面抗原からなる群より選択され、 毒素が、シュードモナスの内毒素およびオステオポンチン/ウロポンチン(os teopontin/uropontin)、ヘビ毒、および、ハチ毒からなる群より選択され、 血液因子が、補体C3b、補体C5a、補体C5b-9、Rh因子、フィブリノーゲン、フ ィブリン、およびミエリン結合増殖阻害因子からなる群より選択され、 酵素が、コレステロールエステル転移蛋白質、膜結合基質メタロプロテアーゼ 、およびグルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)からなる群より選択される、 請求項24記載の抗体またはその類似体。 26.所望の抗原が、ヒトIL-6、ヒトIL-8、ヒトTNFα、ヒトCD4、ヒトL-セレ クチン、ヒトgp39、ヒトIgEおよび破傷風毒素C(TTC)からなる群より選択される 、請求項24記載の抗体またはその類似体。 27.所望の抗原がヒトIL-6である、請求項19または26記載の抗体または その類似体。 28.所望の抗原がヒトIL-8である、請求項19または26記載の抗体または その類似体。 29.所望の抗原がヒトTNFαである、請求項19または26記載の抗体また はその類似体。 30.所望の抗原がヒトCD4である、請求項19または26記載の抗体または その類似体。 31.所望の抗原がヒトL-セレクチンである、請求項19または26記載の抗 体またはその類似体。 32.所望の抗原がヒトgp39である、請求項19または26記載の抗体または その類似体。 33.所望の抗原が破傷風毒素C(TTC)である、請求項19または26記載の抗 体またはその類似体。 34.所望の抗原がヒトIgEである、請求項19または26記載の抗体または その類似体。 35.一本鎖Fvである、請求項19または26記載の類似体。 36.完全にヒト型である、請求項24記載の抗体またはその類似体。 37.アゴニストもしくは触媒である、請求項24記載の抗体もしくはその類 似体、または免疫グロブリンがキメラである、請求項24記載の抗体もしくはそ の類似体。 38.請求項26〜37のいずれかに記載の抗体またはその類似体をコードす る組換えDNA分子。 39.発現を可能にする調節配列に機能的に結合されている抗体またはその類 似体をコードする塩基配列を有する、請求項26〜37のいずれかに記載の抗体 またはその類似体を産生するための発現システムを含む、組換えDNA分子。 40.請求項39記載のDNA分子を含むよう改変されている組換え宿主細胞。 41.コード配列が発現する条件下で、請求項40記載の細胞を培養する段階 と、産生された抗体またはその類似体を回収する段階とを含む、抗体またはその 類似体を産生するための方法。 42.ヒトにおけるインビボでの予防、治療または診断のための、請求項36 記載の抗体またはその類似体の使用。 43.哺乳類における自己免疫疾患の治療を目的とする、請求項27、29、 30、31、または32記載の抗体またはその類似体の使用。 44.自己免疫疾患が、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、乾癬、シェ ーグレン症候群、硬皮症、混合結合組織病、皮膚筋炎、多発性筋炎、ライター症 候群、ベーチェット病、I型糖尿病、橋本甲状腺炎、グレーヴス病、多発性硬化 症、重症筋無力症、または天疱瘡である、請求項43記載の使用。 45.哺乳類における対宿主性移植片病の予防、器官移植拒絶の予防、または 糸球体腎炎の治療のための、請求項32記載の抗体の使用。 46.哺乳類における再潅流外傷を治療するための、請求項31記載の抗体の 使用。 47.哺乳類における悪液質、敗血性ショック、骨髄腫、腎細胞癌、骨粗鬆症 、またはパジェット病の治療のための、請求項27記載の抗体の使用。 48.哺乳類における敗血性ショック、悪液質、骨粗鬆症、または全身性硬化 症の治療のための、請求項29記載の抗体の使用。 49.哺乳類における腫瘍転移の予防、ならびに喘息、関節リウマチ、糸球体 腎炎、再潅流外傷、成人呼吸困難症候群、または全身性硬化症の治療のための、 請求項28記載の抗体の使用。
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