【発明の詳細な説明】発明の名称
アポパイン発明の背景
本発明はその一態様において、アポパインなどのプロアポトーシスシステイン
プロテイナーゼ、このプロテイナーゼをコードするDNAまたはそのアンチセン
ス、及び前記プロテイナーゼを調節する物質を同定するアッセイに係わる。
第二の態様では本発明は、アポパインなどのプロアポトーシスシステインプロ
テイナーゼの活性のモジュレーターであるペプチジル誘導体、並びに該誘導体の
、プロアポトーシスシステインプロテイナーゼ媒介疾患の治療に有用な療法への
使用及び前記治療に有用な物質の同定への使用に係わる。
アポトーシスは、正常な形態形成、組織再造形(remodeling)の間
に、また病原体感染に応答して生物内で生起する細胞自殺(cell suic
ide)、または他の修復不能な細胞傷害の体系的手段である。不適当なアポト
ーシスは、ヒトのアルツハイマー病、パーキンソン病及びハンチントン病、免疫
不全及び自己免疫障害、虚
血性心血管及び神経損傷、脱毛症、白血病、リンパ腫及び他の癌などの疾患の病
因の根源であり得、従ってアポトーシスの制御は治療介入(therapeut
ic intervention)の重要な潜在標的となる1 〜4。
最近、アポトーシス型細胞死に寄与する生化学的事象が幾つか解明された。例
えば線虫における遺伝学的形跡からアポトーシスの、正と負との両方の調節因子
が同定されている5。重要なプロアポトーシス遺伝子であるced−3は哺乳動
物のインターロイキン−1β変換酵素(ICE)に関連する推定のシステインプ
ロテアーゼをコードし6、前記システインプロテアーゼはS1サブサイトに位置す
るアスパラギン酸に対するほぼ絶対的な特異性という際立った特徴を有する一群
の新規なシステインプロテアーゼのうちで最初に同定されたものである7,8。c
ed−3遺伝子を欠失または突然変異させることによって、そうでない場合には
死ぬはずの細胞総てのアポトーシス型死を完全に防止でき、また様々な宿主細胞
をトランスフェクトしたところCED−3もICEもアポトーシスを誘発した6, 9,10
。更に、CED−3のプロアポトーシス作用は線虫死抑制遺伝子ced−9
での同時トランスフェクションによ
って防止でき、また哺乳動物において前記遺伝子ced−9に相当するプロトオ
ンコジーンbcl−2によっても或る程度防止できる。従って、真核細胞の生死
(fate)は、ICE/CED−3様プロテアーゼの対抗的なプロアポトーシ
ス作用と、Bc1−2及び/またはその相同体を用いる上流調節機序との平衡に
帰着し得る。
アポトーシスの際のICE/CED−3様プロテアーゼの潜在的基質の一つに
ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)が有り、この物質はDNA
修復、ゲノムのサーベイランス及び一体性維持(integrity)において
重要な酵素である11 〜17。PARPはアポトーシス開始時に、ICEのものに類
似する特性を有する、未だ同定されていないプロテアーゼによりタンパク質加水
分解によって切断される18,19。PARPの切断部位(DEVD216−G217)は
proIL−1βの、ICEによって認識及び切断される二つの部位の一方(F
EAD27−G28)に類似する。上記部位におけるPARPのタンパク質加水分解
切断によって、PARPのアミノ末端に位置する2個の亜鉛−フィンガーDNA
結合モチーフがこのポリペプチドのカルボキシ末端に位置する自己修飾及び
ポリ(ADP−リボシル)化[poly(ADP−ribos)ylation
]触媒ドメインから分離される。この切断はPARPの触媒ドメインがDNA損
傷部位に結合するのを阻止し、おそらくはその後の修復及びゲノム保全事象を同
調させるPARPの能力を無効にする。そのうえ、アポトーシスの特徴であるヌ
クレオソーム間DNA切断に関与するCa2+/Mg2+依存性エンドヌクレアーゼ
はポリ(ADP−リボシル)化によって負に調節される20 〜22。従って、死に掛
けた細胞では正常なPARP機能の喪失によって上記ヌクレアーゼが高度に活性
化される。
インターロイキン−1β(IL−1β)は、慢性及び急性炎症の主要な媒介因
子である。このインターロイキンは不活性な31kDa前駆体(pIL−1β)
として合成され、この前駆体がシステインプロテイナーゼのインターロイキン−
1β変換酵素(ICE)によるプロセシングを受けてその成熟17.5kDa形
態(mIL−1β)となる。最近では、Caenorhabiditis el
egans、Caenorhabiditis briggsae及びCaen
orhabiditis vulgarisの線虫細胞死異常遺伝子(CED−
3)、マウスのニ
ューロン前駆細胞の胚発生ダウンレギュレート化遺伝子(NEDD−2)とその
ヒト相同体ICH−1、及びJurkat細胞からクローン化されたCPP32
を含めた一群の付加的ICE様遺伝子も発見されはじめている。本発明者は、I
CEに関連する二つの新規な付加的ヒトチオールプロテイナーゼをクローン化し
、これらをICErel−II(インターロイキン−1β変換酵素関連システインプ
ロテイナーゼII; 1994年4月8日付出願の米国特許出願第08/225,
487号)及びICErel−III(インターロイキン−1β変換酵素関連システイ
ンプロテイナーゼIII; 1994年4月8日付出願の米国特許出願第08/2
24,930号)と名付けた。ICErel−II及びICErel−IIIのICEとの
配列同等率はそれぞれ61%及び56%である。ICE、CED−3、及び上述
の新規なシステインプロテイナーゼ群に属する他の酵素の既知の配列は総て、I
CEでは触媒システインを包囲するペンタペプチド配列−Gln−Ala−Cy
s−Arg−Gly−、他の酵素では前記配列の同等物を含む。
ヒトに由来するシステインプロテアーゼのICE/CED−3ファミリーに属
する五つの既知酵素(ICE、IC
Erel−II、ICErel−III、ICH−1及びCPP3223 〜26)はいずれも、
宿主細胞のトランスフェクションによってアポトーシス応答を誘起し得る。しか
し、任意のプロテアーゼの過剰発現によって細胞死が非特異的に誘発される場合
も有る。例えばトリプシン、キモトリプシン、プロテイナーゼKまたはgran
zyme Bといった他のプロテアーゼの細胞質発現もアポトーシスを誘発する
ことが判明している27,28。
本明細書において本発明者は、アポパインと呼称される活性形態のCPP32
がアポトーシス開始時に起こるPARPの特異的タンパク質加水分解切断を惹起
する酵素であることを証明する。そのうえ、本発明者は、アポパインが媒介する
PARP切断を抑制するとin vitroでアポトーシスが減衰することを示
し、アポパインが哺乳動物細胞のアポトーシスにおいて果たす中心的役割を解明
する。
上段に示したように、本明細書中に用いた「アポパイン」という語は本明細書
の趣旨に副って、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼの切断を惹起する酵素
活性形態のプロアポトーシスシステインプロテアーゼを意味する。本発
明は前記酵素の同定を初めて開示するものであり、そこで該酵素をI.U.B.
命名法ガイドラインに従い、アポトーシスに関与することを示す接頭辞「apo
p」と、I.U.B.があらゆるシステインプロテアーゼの命名に好ましいとす
る接尾辞「ain」とを用いてアポパインと命名する。「CPP32(32kD
aのシステインプロテアーゼタンパク質)」という語は、アポパインまたはこの
酵素に対応するcDNAをもたらす不活性なプロ酵素を指すのに用いてある。
チオールプロテイナーゼのICEファミリー、特にアポパインのタンパク質加
水分解活性がPARPの無力化によって少なくとも部分的にアポトーシスを惹起
することは明示されている。従って、PARPの切断を選択的に抑制する治療薬
はPARP活性を持続させ、即ち未成熟段階でのアポトーシス型細胞死を妨害ま
たは防止する。あるいはまた、アポパインなどのチオールプロテイナーゼのPA
RP切断活性を高める治療薬はアポトーシス型細胞死を誘発または加速する。発明の概要
本発明はその一態様において、単離及び精製されたアポ
パインと呼称される酵素、アポパインの活性を調節する化合物をアポパインを用
いてスクリーニングする方法、及びスクリーニングによって同定された化合物に
係わる。完全長アポパインをコードする合成DNA分子は精製酵素の一次アミノ
酸配列に基づき調製する。この合成アポパインコーディングDNAは、様々な組
み換え宿主において最適に発現するように調製する。得られるDNAクローンは
組み換え完全長アポパインとその誘導体を発現する。精製した天然アポパイン及
び組み換えアポパインはアポパイン活性のモジュレーターの同定に、従ってアポ
パインのプロ炎症またはプロアポトーシス作用に関連する病理状態の改善因子(
modifier)の同定に有用である。アポパインアンチセンス分子はアポパ
インのプロ炎症またはプロアポトーシス作用を治療により低減または排除するの
に有用であり、一方アポパインを用いる遺伝子移植または遺伝子療法はアポパイ
ンのプロ炎症またはプロアポトーシス作用の増大に有用である。これらの治療法
は、免疫不全症候群(AIDSなど)、自己免疫疾患、病原体感染、心血管及び
神経損傷、脱毛症、老化、癌、パーキンソン病及びアルツハイマー病を非限定的
に含む免疫疾患、増殖性疾患及び
変性疾患の治療に有益である。
第二の態様において本発明は、アポトーシスの分野において、及び上段に列挙
した疾患を非限定的に含む、アポトーシスの減少が有益であろう疾患の治療にお
いて研究手段として有用である式I
の置換ペプチジル誘導体に係わる。本発明は特に、ポリ(ADP−リボース)ポ
リメラーゼの正常な生物学的機能を無効にすることによって少なくとも部分的に
アポトーシスを惹起するチオールプロテイナーゼのプロアポトーシスタンパク質
加水分解活性の阻害因子に係わる。図面の簡単な説明
図1は自然にアポトーシスを起こした骨肉腫細胞におけるPARP切断活性の
説明図である。
図2はアポトーシス骨肉腫細胞抽出物におけるPARP切断の抑制の説明図で
ある。
図3はTHP−1細胞からのPARP切断プロテアーゼの精製の説明図である
。
図4は不活性なプロ酵素CPP32から得られたPAR
P切断プロテアーゼであるアポパインの構造の説明図である。
図5は螢光原基質を用いるアポパイン及び強力な阻害因子の動力学的分析の説
明図である。
図6はAc−DEVD−CHOによるかまたはアポパイン/CPP32媒介P
ARP切断活性の欠如によるin vitroアポトーシス及び選択的阻害の説
明図である。発明の詳細な説明
本発明はその一態様において、単離及び精製されたアポパインと呼称される酵
素、アポパインの活性を調節する化合物をアポパインを用いてスクリーニングす
る方法、及びスクリーニングによって同定された化合物に係わる。完全長アポパ
インをコードする合成DNA分子は精製酵素の一次アミノ酸配列に基づき調製す
る。この合成アポパインコーディングDNAは、様々な組み換え宿主において最
適に発現するように調製する。得られるDNAクローンは組み換え完全長アポパ
インとその誘導体を発現する。精製した天然アポパイン及び組み換えアポパイン
はアポパイン活性のモジュレーターの同定に、従ってアポパインのプロ炎症また
はプロアポトーシス作用に関連する病理状態の改善
因子の同定に有用である。アポパインアンチセンス分子はアポパインのプロ炎症
またはプロアポトーシス作用を治療により低減または排除するのに有用であり、
一方アポパインを用いる遺伝子移植または遺伝子療法はアポパインのプロ炎症ま
たはプロアポトーシス作用の増大に有用である。これらの治療法は、免疫不全症
候群(AIDSなど)、自己免疫疾患、病原体感染、心血管及び神経損傷、脱毛
症、老化、癌、パーキンソン病及びアルツハイマー病を非限定的に含む免疫疾患
、増殖性疾患及び変性疾患の治療に有益である。
アポトーシスは、正常な形態形成、組織再造形の間に、また病原体感染に応答
して生起する臓器内での細胞自殺、または他の修復不能な細胞傷害の体系的手段
である。不適当なアポトーシスは、ヒトのアルツハイマー病、パーキンソン病及
びハンチントン病、免疫不全及び自己免疫障害、虚血性心血管及び神経損傷、脱
毛症、白血病、リンパ腫及び他の癌などの疾患の病因論の根元を成し得、従って
アポトーシスの制御は治療介入の重要な潜在標的となる1 〜4。
最近、アポトーシス型細胞死に寄与する生化学的事象が
幾つか解明された。例えば線虫における遺伝学的形跡からアポトーシスの、正と
負との両方の調節因子が同定されている5。重要なプロアポトーシス遺伝子であ
るced−3は哺乳動物のインターロイキン−1β変換酵素(ICE)に関連す
る推定のシステインプロテアーゼをコードし6、前記システインプロテアーゼは
S1サブサイトに位置するアスパラキン酸に対するほぼ絶対的な特異性という際
立った特徴を有する一群の新規なシステインプロテアーゼのうちで最初に同定さ
れたものである7,8。ced−3遺伝子を欠失または突然変異させることによっ
て、そうでない場合には死ぬはずの細胞総てのアポトーシス型死を完全に防止で
き、また様々な宿主細胞をトランスフェクトしたところCED−3もICEもア
ポトーシスを誘発した6,9,10。更に、CED−3のプロアポトーシス作用は線虫
死抑制遺伝子ced−9での同時トランスフェクションによって防止でき、また
哺乳動物において前記遺伝子ced−9に相当するプロトオンコジーンbcl−
2によっても或る程度防止できる。従って、真核細胞の生死は、ICE/CED
−3様プロテアーゼの対抗的なプロアポトーシス作用と、Bc1−2及び/また
はその相同体が関与する上流
調節機序との平衡に帰着する。
アポトーシスの際のICE/CED−3様プロテアーゼの潜在的基質の一つに
ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)が有り、この物質はDNA
修復、ゲノムのサーベイランス及び一体性維持において重要な酵素である11 〜17
。PARPはアポトーシス開始時に、ICEのものに類似する特性を有する、未
だ同定されていないプロテアーゼによりタンパタ質加水分解によって切断される18,19
。PARPの切断部位(DEVD216−G217)はproIL−1βの、I
CEによって認識及び切断される二つの部位の一方(FEAD27−G28)に類似
する。上記部位におけるPARPのタンパタ質加水分解切断によって、PARP
のアミノ末端に位置する2個の亜鉛−フィンガーDNA結合モチーフがこのポリ
ペプチドのカルボキシ末端に位置する自己修飾及びポリ(ADP−リボシル)化
触媒ドメインから分離される。この切断はPARPの触媒ドメインがDNA損傷
部位に結合するのを阻止し、おそらくはその後の修復及びゲノム保全事象を同調
させるPARPの能力を無効にする。そのうえ、アポトーシスの特徴であるヌク
レオソーム間DNA切断に関与するCa2+/
Mg2+依存性エンドヌクレアーゼはポリ(ADP−リボシル)化によって負に調
節される20 〜22。従って、死に掛けた細胞では正常なPARP機能の喪失によっ
て上記ヌクレアーゼが高度に活性化される。
ヒトに由来するシステインプロテアーゼのICE/CED−3ファミリーに、
五つの既知酵素ICE、ICErel−II、ICErel−III、ICH−1及びCP
P32が属する23 〜26。これらはいずれも、宿主細胞のトランスフェクションに
よってアポトーシス応答を誘起し得る。しかし、任意のプロテアーゼの過剰発現
によって細胞死が非特異的に誘発される場合も有る。例えばトリプシン、キモト
リプシン、プロテイナーゼKまたはgranzyme Bといった他のプロテア
ーゼの細胞質発現もアポトーシスを誘発することが判明している27.28。
本研究において本発明者は、アポパインと呼称される活性形態のCPP32が
アポトーシス開始時に起こるPARPの特異的タンパク質加水分解切断を惹起す
る酵素であることを証明する。そのうえ、本発明者は、アポパインが媒介するP
ARP切断を阻害するとin vitroでアポトーシスが減衰することを示し
、アポパインが哺乳動物細
胞のアポトーシスにおいて果たす中心的役割を解明する。
線虫C. elegansでは、ただ一つの遺伝子ced−3の欠失または突
然変異によってアポトーシス型死は起こらなくなる5。配列決定したところ、c
ed−3は哺乳動物のインターロイキン−1β変換酵素(ICE)をコードする
遺伝子と相同であることが判明し、前記酵素は、不活性な31kDaproIL
−1βサイトカイン(cytokine)前駆体を切断して活性な17kDa形
態とすることが唯一の既知機能であるプロテアーゼである。他の四つの哺乳動物
ICE/CED−3様プロテアーゼ(ICErel−II、ICErel−III、ICH
−1及びCPP32)が発見され23 〜26、かつゲノムの構成及び一体性維持の同
調において重要な酵素であるポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP
)がアポトーシス開始時にICEに類似するプロテアーゼ(prICE)によっ
て機能的に不活性化されることが観察されて19、ICEがIL−1β生成に関与
することと、ICE欠乏マウスでは通常アポトーシスが起こるという発見29とを
勘案しつつICE様プロテアーゼが哺乳動物細胞のアポトーシスにおいて果たす
役割をどのように説明できるかが次第に明らか
になってきた。本発明者は、prICEが実はアポパイン/CPP32であるこ
と、及びアポパイン/CPP32は哺乳動物細胞においてPARPを切断する特
異的ICE/CED−3様システインプロテアーゼであることを証明した。アポ
パイン/CPP32が哺乳動物の細胞死において果たす中心的役割は、in v
itroでアポトーシスが起こるのを防止する強力かつ選択的な阻害因子によっ
ても立証される。このような発見は、アポパインプロ酵素CPP32とCED−
3との配列関連性と相俟って、CPP32とそのタンパク質加水分解活性形態で
あるアポパインとがCED−3のヒト同等物であり得ることを示唆している。従
って、不適当なアポトーシスが顕著である病理状態では、アポパイン活性を薬理
学的に調節することが適当な治療介入点となり得る。
クローン化したアポパインcDNAの発現は、適当なプロモーター及び他の適
当な転写調節要素を有する発現ベクター中への分子クローニングと、原核または
真核宿主細胞への移入とにより組み換えアポパインの産生を実現する組み換え技
術によって達成し得る。
本明細書では「発現ベクター」を、適当な宿主における
遺伝子のクローン化コピーの転写及びそのmRNAの翻訳に必要なDNA配列と
定義する。このようなベクターは、真核生物遺伝子を細菌、酵母、藍藻類、植物
細胞、昆虫細胞及び動物細胞などの様々な宿主において発現させるのに用い得る
。
特別に設計されたベクターは、細菌−酵母、または細菌−動物細胞などの宿主
間でのDNAのシャトル化を可能にする。適当に構築された発現ベクターは、宿
主細胞における自律複製のための複製開始点と、選択マーカーと、限られた数の
有用な制限酵素部位と、潜在的高コピー数領域と、活性なプロモーターとを有す
る。プロモーターとはRNAポリメラーゼを、DNAに結合してRNA合成を開
始するように導くDNA配列のことである。強いプロモーターは、mRNAの合
成開始を高い頻度で惹起するプロモーターである。発現ベクターには、クローニ
ングベクター、改変クローニングベクター、特別に設計されたプラスミドまたは
ウイルスが非限定的に含まれ得る。
哺乳動物細胞における組み換えアポパインの発現には様々な哺乳動物発現ベク
ターを用い得る。組み換えアポパイン発現に適し得る市販の哺乳動物発現ベクタ
ーには、pM
C1neo(Stratagene)、pXT1(Stratagene)、p
SG5(Stratagene)、EBO−pSV2−neo(ATCC 37
593)、pBPV−1(8−2)(ATCC 37110)、pdBPV−M
MTneo(342−12)(ATCC 37224)、pRSVgpt(AT
CC 37199)、pRSVneo(ATCC 37198)、pSV2−d
hfr(ATCC 37146)、pUCTag(ATCC 37460)及び
1ZD35(ATCC 37565)が非限定的に含まれる。
アポパインをコードするDNAも、組み換え宿主細胞において発現させるべく
発現ベクター中へクローン化し得る。組み換え宿主細胞は原核細胞であっても真
核細胞であってもよく、細菌、酵母、哺乳動物細胞及び昆虫細胞が非限定的に含
まれる。適当であり得る市販の哺乳動物種由来細胞系には、CV−1(ATCC
CCL 70)、COS−1(ATCC CRL 1650)、COS−7(
ATCC CRL 1651)、CHO−K1(ATCC CCL 61)、3
T3(ATCC CCL 92)、NIH/3T3(ATCC CRL 165
8)、HeLa(
ATCC CCL 2)、C127I(ATCC CRL 1616)、BS−
C−1(ATCC CCL 26)及びMRC−5(ATCC CCL 171
)が非限定的に含まれる。
発現ベクターの宿主細胞内への導入は、形質転換、トランスフェクション、感
染、プロトプラスト融合及びエレクトロポレーションを非限定的に含む幾つかの
技術のうちのいずれかによって行ない得る。発現ベクター保有細胞をクローン化
により増殖させ、個々の細胞を分析してアポパインタンパク質を産生するかどう
か確認する。アポパインを発現させる宿主細胞クローンは、抗アポパイン抗体と
の免疫反応試験及び宿主細胞関連のアポパイン活性の測定を含めた幾つかの手段
によって同定し得る。
アポパインcDNAの発現は、in vitroで調製した合成mRNAを用
いても実現可能である。合成mRNAは、小麦胚抽出物及び網状赤血球抽出物を
非限定的に含む様々な無細胞系において効率的に翻訳され得、また蛙卵母細胞内
へのマイクロインジェクションを非限定的に含む細胞ベースの系においても効率
的に翻訳され得る。
最適レベルの酵素活性及び/またはアポパインタンパク
質をもたらす(一つ以上の)アポパインcDNA配列を確認するには、改変アポ
パインcDNA分子を構築する。このcDNA分子で宿主細胞を形質転換し、ア
ポパインRNA及びタンパク質のレベルを測定する。
宿主細胞のアポパインタンパク質レベルは、免疫アフィニティー及び/または
リガンドアフィニティー技術などの様々な方法で測定する。アポパイン特異的な
アフィニティービーズまたはアポパイン特異的な抗体を用いて、35S−メチオニ
ンで標識したかまたは標識していないアポパインタンパタ質を単離する。標識し
たアポパインタンパク質はSDS−PAGEで分析する。標識していないアポパ
インタンパク質は、アポパイン特異的な抗体を用いるウェスタンブロッティング
、ELISAまたはRTAアッセイによって検出する。
組み換え宿主細胞におけるアポパイン発現後、アポパインタンパク質を回収し
てその活性形態とし得る。幾つかのアポパイン精製操作が利用可能で、かつ使用
に適する。当業者に知られた分画やクロマトグラフィー技術を様々に組み合わせ
てかまたは単独で適用することにより、組み換えアポパインを細胞溶解物または
馴らし培地から精製し得る
。
加えて、完全長新生アポパインまたはアポパインのポリペプチドフラグメント
に対して特異的であるモノクローナルまたはポリクローナル抗体を用いて製造し
た免疫アフィニティーカラムを用いれば、組み換えアポパインを他の細胞タンパ
ク質から分離することができる。
組み換えタンパク質は抗体産生に用い得る。本明細書中に用いた「抗体」とい
う語は、ポリクローナル抗体とモノクローナル抗体との両方及びこれらの抗体の
、抗原またはハプテンと結合し得るFv、Fab及びF(ab)2フラグメント
などのフラグメントを包含する。
標準的な技術を用いて、アポパインに対する単一特異性抗体を、アポパインに
対して反応性である抗体を含有する哺乳動物抗血清から精製するかまたはアポパ
インに対して反応性であるモノクローナル抗体として調製する。本明細書中に用
いた「単一特異性抗体」という語は、アポパインに対して均一の(homoge
nous)結合特性を有する単抗体種または多抗体種を意味する。本明細書中に
用いた「均一の結合」という語は抗体種の、先に述べたアポパインに関連する能
力のような、特定の抗原またはエピトー
プと結合する能力を意味する。酵素特異的な抗体は、マウス、ラット、モルモッ
ト、ウサギ、ヤギ、ウマ等のような動物、好ましくはウサギを、免疫アジュバン
トを伴ったかまたは伴わない適当な濃度のアポパインで免疫することにより産生
させる。
アポパインと反応するモノクローナル抗体(mAb)は、近交系マウスをアポ
パインで免疫するなどの通常方法で調製し得る。約0.1〜約10mg、好まし
くは約1mgのアポパインを等量の許容可能なアジュバントと混合した約0.5
mlの緩衝液または食塩液に加えたものでマウスを免疫する。アジュバントはフ
ロイントの完全アジュバントが好ましい。第0日にマウスに初回免疫を施し、こ
のマウスを約3〜約30週間放置する。免疫済みのマウスにリン酸緩衝食塩液(
PBS)などの緩衝液中の約0.1〜約10mgのアポパインでの追加免疫を1
回以上、静脈内(IV)経路を介して施す。免疫したマウスから脾臓を、当業者
に知られた標準的な操作で取り出すことによって抗体陽性マウス由来のリンパ球
を得る。脾臓リンパ球を、安定なハイブリドーマの形成を可能にする条件下に適
当な融合相手と混合し、それによってハイブリドーマ細胞を作製す
る。融合ハイブリドーマ細胞は当業者に知られた操作による、ヒポキサンチン、
チミジン及びアミノプテリンを補充したダルベッコの改良イーグル培地(DME
M)中での増殖によって選択する。第14、18及び21日ごろに増殖陽性ウェ
ルから上清を回収し、この上清を抗体産生に関して、抗原としてアポパインを用
いる固相ラジオイムノアッセイ(SPIRA)などのイムノアッセイによってス
クリーニングする。培養液もオクタロニー沈降アッセイで試験し、mAbのイソ
タイプを決定する。抗体陽性ウェルから得たハイブリドーマ細胞を、MacPh
erson,“Soft Agar Techniques,” Tissue
Culture Methods and Applications, K
ruse及びPaterson編, Academic Press, 197
3に記載された軟寒天技術などの技術によってクローン化する。
抗アポパイン抗体のin vitro産生は、約2%のウシ胎児血清を含有す
るDMEM中でハイブリドーマを増殖させ、それによって十分な量の特異的mA
bを得ることにより行なう。mAbは当業者に知られた技術で精製する
腹水またはハイブリドーマ培養液の抗体力価を、沈降、受動凝集、酵素結合イ
ムノソルベント抗体(ELISA)技術及びラジオイムノアッセイ(RIA)技
術を非限定的に含む様々な血清学的または免疫学的アッセイによって測定する。
体液または組織及び細胞抽出物においてアポパインの存在を検出するのにも同様
のアッセイを用いる。
上述のような方法は、アポパインポリペプチドフラグメントまたは完全長新生
アポパインポリペプチドに特異的な抗体の産生に用い得る単一特異性抗体の産生
に用い得る。
抗体がアガロースゲルビーズ支持体と共有結合するようにN−ヒドロキシスク
シンイミドエステルで予め活性化したゲル支持体であるAffigel−10(
Biorad)などのゲル支持体に抗体を添加することにより、アポパイン抗体
アフィニティーカラムを作製する。次に、スペーサーアームが介在するアミド結
合によって抗体とゲルとを結合させる。その後、残存する活性化エステルを1M
エタノールアミンHCl(pH8)で反応停止させる。カラムを水、次いで0.
23MグリシンHCl(pH2.6)で洗浄して、結合しなかった抗体や生体外
タンパク質を除去
する。次に、カラムをリン酸緩衝食塩液(pH7.3)中で平衡させ、このカラ
ムにアポパインまたはアポパインフラグメントを含有する細胞培養上清または細
胞抽出物をゆっくり通す。その後、カラムを洗浄し、タンパク質を溶離する。こ
のように精製したアポパインタンパク質をリン酸緩衝食塩液に対して透析する。
アポパインcDNA、アポパインに対する抗体、またはアポパインタンパク質
を含むキットを作製し得る。このようなキットは、アポパインDNAとハイブリ
ダイズするDNAの検出、または試料におけるアポパインタンパク質またはペプ
チドフラグメントの存在の検出に用いられる。このようなキットを用いての特性
解明は、法医学的分析及び疫学研究を非限定的に含む様々な目的のために有用で
ある。
本発明のDNA分子、RNA分子、組み換えタンパク質及び抗体は、アポパイ
ンDNA、アポパインRNAまたはアポパインタンパク質のレベルに関するスク
リーニング及び測定に用い得る。本発明の組み換えタンパク質、DNA分子、R
NA分子及び抗体は、アポパインの検出及び型分類に適したキットの作製に役立
つ。前記キットは、少なく
とも1個の容器を厳重に固定して保持するのに適した仕切り付きの支持器(ca
rrier)を含む。この支持器はアポパインの検出に適した組み換えアポパイ
ンタンパク質または抗アポパイン抗体などの試薬も保持する。支持器は、標識し
た抗原または酵素基質等といったものを検出する手段も具備し得る。
アポパインコーディングcDNA配列と相補的であるヌクレオチド配列をアン
チセンス療法用に合成し得る。得られるアンチセンス分子はDNA、ホスホロチ
オエートやメチルホスホネートといった安定なDNA誘導体、RNA、2′−O
−アルキルRNAなどの安定なRNA誘導体、または他のアポパインアンチセン
スオリゴヌクレオチド模擬体(mimetics)である。アポパインアンチセ
ンス分子は、マイクロインジェクション、リポソーム封入、またはアンチセンス
配列を含む発現ベクターからの発現によって細胞内に導入し得る。アポパインア
ンチセンス療法は、アポパイン活性の低下が有益である疾患の治療に特に有用で
あり得る。
アポパインを標的臓器の細胞内に導入するのに、アポパイン遺伝子療法を用い
得る。アポパイン遺伝子はウイルス
ベクター中に連結することができ、前記ベクターは受容宿主細胞に感染すること
によってアポパインDNAの移入を媒介する。適当なウイルスベクターに、レト
ロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシ
ニアウイルス、ポリオウイルス等が含まれる。あるいは他の場合には、リガンド
−DNA結合体またはアデノウイルス−リガンド−DNA結合体を用いる受容体
媒介型標的指向性DNA移入、リポフェクション、膜融合または直接マイクロイ
ンジェクションを含めた、ウイルスベクターを用いない(non−viral)
技術によってアポパインDNAを遺伝子療法のために細胞内に移入し得る。これ
らの操作とその改良型とは、ex vivo並びにin vivoアポパイン遺
伝子療法に適している。アポパイン遺伝子療法は、アポパイン活性を高めること
が有益である疾患の治療に特に有用であり得る。
アポパインDNAまたはアポパインタンパク質を含有する、医薬に有用な組成
物を本出願に開示するようにして、または医薬に許容可能なキャリヤの混合によ
るような公知方法に従って調製し得る。前記キャリヤや調製方法の例は、Rem
ington’s Pharmaceutica
l Sciences中に見出され得る。有効な投与に適した、医薬に許容可能
な組成物を調製するべく、組成物には有効量の上記タンパク質またはDNAを含
有させる。
本発明の治療または診断用組成物は、アポパイン関連疾患の治療または診断に
十分な量で個体に投与する。有効量は、個体の状態、体重、性別及び年齢などの
様々な要因に従って変化し得る。上記以外の要因に、投与モードが含まれる。
医薬組成物は個体に、皮下、局所的、経口及び筋肉内などの様々な経路で個体
に投与し得る。
特定のアミノ酸をコードする様々なコドンに相当量の重複が存在することが知
られている。従って本発明は、同じアミノ酸の究極的な翻訳をコードする代替コ
ドンを含むDNA配列にも係わる。本明細書の趣旨に副って、1個以上の置換コ
ドンを含む配列を縮重変異体(degenerate variation)と
定義する。DNA配列または翻訳されたタンパク質において生起する、発現され
たタンパク質の最終的な物理特性を実質的に変更しない突然変異も本発明の範囲
内に含まれる。例えば、ロイシンがバリンに、リシンがアルギニンに、またはグ
ルタミンがアスパ
ラギンに置換されてもポリペプチドの機能に変化は生じない。
或るペプチドをコードするDNA配列が天然ペプチドのものとは異なる特性を
有するペプチドをコードするように改変され得ることが知られている。DNA配
列を改変する方法には、位置特異的突然変異誘発が非限定的に含まれる。変更さ
れる特性の例には、酵素の基質に対する親和性の変化が非限定的に含まれる。
本明細書中、アポパインの「機能性誘導体」とは、アポパインの生物活性と実
質的に同様の(機能上または構造上の)生物活性を有する化合物のことである。
「機能性誘導体」という語は、アポパインの「フラグメント」、「変異体」、「
縮重変異体」、「類似体」及び「相同体」、または「化学誘導体」を包含するも
のとする。「フラグメント」という語は、アポパインの任意のポリペプチドサブ
セットを意味する。「変異体」という語は、完全なアポパイン分子またはそのフ
ラグメントと実質的に同様の構造及び機能を有する分子を意味する。アポパイン
分子と実質的に同様の構造を有するか、または同様の生物活性を有する分子をア
ポパインと「実質的に同様」とする。従って、実質的
に同様の活性を有する二つの分子は、一方の分子の構造が他方において見出され
なくても、あるいはまた両者のアミノ酸配列が同等でなくても変異体であると看
做される。
「類似体」という語は、完全なアポパイン分子またはそのフラグメントと実質
的に同様の機能を有する分子を意味する。
「化学誘導体」という語は、通常は基本分子の一部でない付加的な化学的部分
を有する分子を意味する。前記部分によって、基本分子の溶解度、半減期、吸収
性等を改善し得る。あるいは他の場合には、上記部分によって基本分子の望まし
くない副作用を抑制したり、基本分子の毒性を低下させたりする。このような部
分の例は、Remington’s Pharmaceutical Scie
ncesなどの様々な文献に記載されている。
本発明は、アポパインをコードするDNAまたはRNAの発現及びアポパイン
タンパク質の機能をin vivoで調節する化合物をスクリーニングする方法
にも係わる。上記のような活性を調節する化合物は、DNA、RNA、ペプチド
、タンパク質、または非タンパク性有機分子であり得る。これらの化合物は、ア
ポパインをコードするDN
AもしくはRNAの発現、またはアポパインタンパク質の機能を促進または抑制
して調節し得る。アポパインをコードするDNAもしくはRNAの発現、または
アポパインタンパク質の機能を調節する化合物は様々なアッセイによって検出で
きる。前記アッセイは、発現または機能に変化が有るかどうかを確認する単純な
「はい/いいえ」アッセイであり得る。試験試料の発現または機能を標準試料の
発現または機能レベルと比較することによってアッセイを定量的に行なうことも
可能である。
第二の態様において本発明は、式I
〔式中
Yは
−CH(CH2CO2H)(CO)mR2
であり、ここでmは0、1または2であり、
R1は
(a)水素、C1 〜6アルコキシ、NR10R11、ベンジルオキシ、または置換基が
メチル、ハロゲン、メトキシもしくはシアノである一置換もしくは二置換ベン
ジルオキシであり、ここで、R10R11は独立にC1 〜4アルキル、C1 〜4ペルフル
オロアルキル、ベンジル、または置換基がハロゲン、メトキシもしくはシアノで
ある一もしくは二置換ベンジルであり、またはR10とR11は一緒になってピロリ
ジン、ピペリジン、モルホリン、チアモルホリン、もしくはN−R12置換ピペラ
ジンを形成し得、前記R12はHまたはC1 〜3アルキルであり、
(b)C1 〜6アルキルであるか、または置換基が
(1)ヒドロキシ、
(2)ハロ、
(3)C1 〜3アルキルオキシ、
(4)C1 〜3アルキルチオ、
(5)フェニルC1 〜3アルキルオキシ、
(6)フェニルC1 〜3アルキルチオ、
(7)フェニルカルボキシ、及び
(8)カルボキシ
の中から選択された置換C1 〜6アルキルであり、
(c)アリールC1 〜6アルキルであり、ここで、アリール基は
(1) フェニル、
(2) ナフチル、
(3) ピリジル、
(4) フリル、
(5) チエニル、
(6) チアゾリル、
(7) イソチアゾリル、
(8) イミダゾリル、
(9) ベンゾイミダゾリル、
(10)ピラジニル、
(11)ピリミジル、
(12)キノリル、
(13)イソキノリル、
(14)ベンゾフリル、
(15)ベンゾチエニル、
(16)ピラゾリル、
(17)インドリル、
(18)プリニル、
(19)イソオキサゾリル、及び
(20)オキサゾリル、
並びに置換基が独立にC1 〜6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、C1 〜6アルキ
ルアミノ、C1 〜6アルコキシ、C1 〜6アルキルチオ、C1 〜6アルキルカルボニル
、カルボキシ、C1 〜6アルキルオキシカルボニルである一及び二置換の上記(1
)〜(20)のアリールの中から選択され、
R2は
(a)水素、C1 〜6アルキル、OH、C1 〜6アルコキシ、
C1 〜6アルキルチオ、C1 〜6ペルフルオロアルキルまたはNR13R14であ
り、ここで、R13R14は独立にC1 〜4アルキル、C1 〜4ペルフルオロアルキル、
ベンジル、または置換基がハロゲン、メトキシもしくはシアノである一もしくは
二置換ベンジルであり、またはR13とR14は一緒になってピロリジン、ピペリジ
ン、モルホリン、チアモルホリン、もしくはN−R15置換ピペラジンを形成し得
、前記R15はHまたはC1 〜3アルキルであり、
(b)置換基が
(1) C1 〜3アルキルチオ、
(2) C1 〜3アルコキシ、
(3) ハロ、
(4) ヒドロキシ、
(5) シアノ、
(6) カルボキシ、
(7) C1 〜3アルキル、
(8) トリフルオロメチル、
(9) トリメチルアミノ、及び
(10)ベンジルオキシ
の中から個別に選択された四または五置換フェニルであり、
(c)フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、9−アントラシル及び2−、3
−または4−ピリジル並びにこれらのアリールの、置換基が
(1) フェニル、
(2) ハロ、
(3) C1 〜3アルキル、
(4) ペルフルオロC1 〜3アルキル、
(5) ニトロ、
(6) シアノ、
(7) C1 〜3アルキルカルボニル、
(8) フェニルカルボニル、
(9) カルボキシ、
(10)アミノカルボニル、
(11)モノ及びジC1 〜3アルキルアミノカルボニル、
(12)ホルミル、
(13)SO3H、
(14)C1 〜3アルキルスルホニル、
(15)フェニルスルホニル、
(16)ホルムアミド、
(17)C1 〜3アルキルカルボニルアミノ、
(18)フェニルカルボニルアミノ、
(19)C1 〜3アルコキシカルボニル、
(20)C1 〜3アルキルスルホンアミドカルボニル、
(21)フェニルスルホンアミドカルボニル、
(22)C1 〜3アルキルカルボニルアミノスルホニル、
(23)フェニルカルボニルアミノスルホニル、
(24)C1 〜3アルキルアミノ、
(25)モノ及びジC1 〜3アルキルアミノ、
(26)アミノ、
(27)ヒドロキシ、
(28)C1 〜3アルキルオキシ、及び
(29)C1 〜3アルキルチオ
の中から個別に選択された一、二または三置換誘導体の中から選択された
アリールであり、
AA1は
(a)単結合、及び
(b)式AI
のアミノ酸
の中から独立に選択され、
AA2は式AII
のアミノ酸であり、
AA3は式AIII
のアミノ酸であり、
上記式中R7、R8及びR9は
(a)水素、
(b)C1 〜6アルキル、または置換基が
(1) ヒドロキシ、
(2) ハロ、
(3) −S−C1 〜4アルキル、
(4) −SH、
(5) C1 〜6アルキルカルボニル、
(6) CO2H、
(7) CONH2、
(8) アミノカルボニルアミノ、
(9) アルキル部分がヒドロキシで任意に置換され、かつアミノが水素
またはCBZで置換されたC1 〜4アルキルアミノ、
(10)グアニジノ、
(11)C1 〜4アルキルオキシ、
(12)フェニルC1 〜4アルキルオキシ、
(13)フェニルC1 〜4アルキルチオ、及び
(14)C1 〜6アルキルオキシカルボニル
の中から選択された置換C1 〜6アルキル、及び
(c)アリールがフェニル、1−もしくは2−ナフチル、9−アントラシルまた
は2−、3−もしくは4−ピリジルであり、当該アリールは置換基が互いに独立
にC1 〜6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、C1 〜6アルキルアミノ、C1 〜6アルコキ
シ、C1 〜6アルキルチオまたはC1 〜6アルキルカルボニルである一または二置換
アリールであり得るアリールC1 〜6アルキルの中から互いに独立に選択される〕
の化合物またはその医薬に許容可能な塩を包含する。
式Iの化合物に分類される或る化合物群では、
R1は
(a)水素、C1 〜6アルコキシ、または置換基がメチル、
ハロゲン、メトキシもしくはシアノである一もしくは二置換ベンジルオキ
シであり、
(b)C1 〜6アルキルであるか、または置換基が
(1)ヒドロキシ、
(2)クロロ、フルオロ、
(3)C1 〜3アルキルオキシ、
(4)フェニルC1 〜3アルキルオキシ、
(5)フェニルカルボキシ、及び
(6)カルボキシ
の中から選択された置換C1 〜6アルキルであり、
(c)アリールC1 〜6アルキルであり、ここで、アリール基は
(1) フェニル、
(2) ナフチル、
(3) ピリジル、
(4) フリル、
(5) チエニル、
(6) チアゾリル、
(7) イソチアゾリル、
(8) ベンゾフリル、
(9) ベンゾチエニル、
(10)インドリル、
(11)イソオキサゾリル、及び
(12)オキサゾリル、
並びに置換基が独立にC1 〜4アルキル、ヒドロキシ、カルボキシ、C1 〜6
アルキルオキシカルボニル、ハロである一及び二置換の上記(1)〜(12)の
アリールの中から選択され、
R2は水素、OH、C1 〜6アルキルオキシまたはC1 〜6ペルフルオロアルキルで
あり、
R7、R8及びR9は
(a)水素、
(b)置換基が
(1) 水素、
(2) ヒドロキシ、
(3) ハロ、
(4) −S−C1 〜4アルキル、
(5) −SH、
(6) C1 〜6アルキルカルボニル、
(7) CO2H、
(8) −CONH2、
(9) アルキル部分がヒドロキシで任意に置換されたC1 〜4アルキルア
ミノ、及び
(10)グアニジノ
の中から選択された置換C1 〜6アルキル、及び
(c)アリールが先に挙げたアリールであり、当該アリールは置換基が互いに独
立にC1 〜6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、C1 〜6アルキルアミノ、C1 〜6アルコ
キシ、C1 〜6アルキルチオまたはC1 〜6アルキルカルボニルである一または二置
換アリールであり得るアリールC1 〜6アルキル
の中から互いに独立に選択される。
上述の化合物群には、AA1、AA2及びAA3がL形及びD形のグリシン、ア
ラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、アスパラギン
酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、リシン、ヒドロキシリシン、ヒ
スチジン、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、システ
イン、メチオニン、オル
ニチン、β−アラニン、ホモセリン、ホモチロシン、ホモフェニルアラニン及び
シトルリンを含めたアミノ酸の中から互いに独立に選択される化合物が含まれる
。
あるいは他の場合には、上述の化合物群中に、
R1がC1 〜3アルキル、C1 〜4アルコキシであり、
R8及びR9は互いに独立に
(a)水素、
(b)C1 〜6アルキル、または置換基が
(1)ヒドロキシ、
(2)SH、
(3)CO2H、
(4)CONH2、及び
(5)グアニジノ
の中から選択された置換C1 〜6アルキルである化合物から成る亜群が構成
される。
本発明の化合物の例に次のようなものが有る。
(a) N−(N−アセチル−アスパルチル−グルタミル−バリニル)−3−ア
ミノ−3−ホルミルプロピオン酸
(b) N−(N−(1,1−ジメチルエトキシカルボニ
ル)−アスパルチル−グルタミル−バリニル)−3−アミノ−ホルミルプロピオ
ン酸
(c) N−(N−(1,1−ジメチルエトキシカルボニル)−アスパルチル−
グルタミル−バリニル)−3−アミノ−3−(トリフルオロメチルカルボニル)
プロピオン酸
(d) N−(N−(N−(1,1−ジメチルエトキシカルボニル)アントラニ
リル)−アスパルチル−グルタミル−バリニル)−3−アミノ−3−ホルミルプ
ロピオン酸
(e) N−(N−(3−(2−オキソ−ヘキサヒドロ−チエノ[3,4−d]
イミダゾル−4−イル)ペンタノイル)−アスパルチル−グルタミル−バリニル
)−3−アミノ−3−ホルミルプロピオン酸
(f) N−(N−(N−(5−(3a−(S)−6a−(R)−2−オキソ−
ヘキサヒドロ−チエノ[3,4−d]イミダゾル−4−イル)ペンタノイル)−
6−アミノヘキサノイル)−アスパルチル−グルタミル−バリニル)−3−アミ
ノ−3−ホルミルプロピオン酸
本明細書の趣旨に副って、次の略号は表記の意味を有する。
BOC t−ブチルオキシカルボニル
CBZ カルボベンゾキシ
DCC 1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド
DIBAL 水素化ジイソブチルアルミニウム
DMAP 4−(ジメチルアミノ)ピリジン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EDCI 1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル
カルホジイミド塩酸塩
Et3N トリエチルアミン
EtOAc 酢酸エチル
Et2O エチルエーテル
FAB 高速原子衝撃
HMPA ヘキサメチルホスホルアミド
HOBt 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
HRMS 高分解質量分析法
KHMDS カリウムヘキサメチルジシラザン
LDA リチウムジイソプロピルアミド
MCPBA メタクロロ過安息香酸
Ms メタンスルホニル=メシル
MsO メタンスルホネート=メシレート
NBS N−ブロモスクシンイミド
PCC クロロクロム酸ピリジニウム
PDC 二クロム酸ピリジニウム
Ph フェニル
PPTS p−トルエンスルホン酸ピリジニウム
pTSA p−トルエンスルホン酸
Pye ピリジンジイル
r.t. 室温
rac. ラセミ体
Tf トリフルオロメタンスルホニル=トリフリル
TfO トリフルオロメタンスルホネート=トリフレート
THF テトラヒドロフラン
THP テトラヒドロピラン−2−イル
TLC 薄層クロマトグラフィー
Ts p−トルエンスルホニル=トシル
TsO p−トルエンスルホネート=トシレート
Tz 1H(または2H)−テトラゾル−5−イル
アルキル基略号
Me メチル
Et エチル
n−Pr ノルマルプロピル
i−Pr イソプロピル
n−Bu ノルマルブチル
i−Bu イソブチル
s−Bu 第二級ブチル
t−Bu 第三級ブチル
「アルキル」という語は、前に付した記号によって示した数の炭素原子を有す
る直鎖状、分枝鎖状及び環状構造並
びにこれらの組み合わせを意味する。
「アルコキシ」という語は、直鎖状、分枝鎖状または環状に配置された、示し
た数の炭素原子を有するアルコキシ基を意味する。アルコキシ基の例には、メト
キシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロピルオキシ、シクロ
ヘキシルオキシ等が含まれる。
「アルキルチオ」という語は、直鎖状、分枝鎖状または環状に配置された、示
した数の炭素原子を有するアルキルチオ基を意味する。アルキルチオ基の例には
、メチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、シクロヘプチルチオ等が含ま
れる。一例として、プロピルチオ基を記号で表わすと−SCH2CH2CH3とな
る。
ハロにはF、Cl、Br及びIが含まれる。光学異性体−ジアステレオマー−幾何異性体
本明細書に開示した化合物のうちの幾つかは一つ以上の不斉中心を有し、即ち
ジアステレオマー及び光学異性体を生成させ得る。本発明は、生成し得るジアス
テレオマーとそのラセミ体、及び分割によって得られる、エナンチオマーとして
純粋な形態、並びにこれらの医薬に許容可能な塩を包含するものとする。
本明細書に開示した化合物のうちの幾つかはオレフィン性二重結合を有し、こ
のような化合物は特に断わらないかぎりE型とZ型との両方の幾何異性体を包含
するものとする。塩
本発明の医薬組成物は活性成分として式Iの化合物またはその医薬に許容可能
な塩を含有し、また医薬に許容可能なキャリヤ、及び場合によっては他の治療薬
成分も含有し得る。「医薬に許容可能な塩」という語は、無機塩基及び有機塩基
を含めた医薬に許容可能な無毒塩基から形成された塩を意味する。無機塩基から
得られる塩には、アルミニウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、銅塩、第二
鉄塩、第一鉄塩、リチウム塩、マグネシウム塩、第二マンガン塩、第一マンガン
塩、アンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩等が含まれる。特に好
ましいのはカルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩及びナトリウム塩である
。医薬に許容可能な有機無毒塩基から得られる塩には、第一級、第二級及び第三
級アミン、天然置換アミンを含めた置換アミン、環状(cyclic)アミン、
並びにアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N´−ジ
ベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、
2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エ
チルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジ
ン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリ
ン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロ
ミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミ
ン等といった塩基性イオン交換樹脂の塩が含まれる。
本発明の化合物が塩基性である場合、塩は無機及び有機酸を含めた医薬に許容
可能な無毒酸から形成され得る。前記のような酸には、酢酸、ベンゼンスルホン
酸、安息香酸、樟脳スルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グル
コン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、
リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン
酸、リン酸、琥珀酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸等が含まれる。特
に好ましいのはクエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸及び酒
石酸である。
後段での治療方法の検討において、式Iの化合物に言及する時はその医薬に許
容可能な塩も含めてのことと理解されたい。
式Iの化合物は、アポパインの作用を阻害する能力を有することから、アポト
ーシスの分野において研究手段として有用である。この化合物はまた、哺乳動物
、特にヒトにおいて
1.免疫不全症候群(AIDSを含む)、
2.I型糖尿病、
3.病原体感染、
4.心血管及び神経損傷、
5.脱毛症、
6.老化、
7.パーキンソン病、
8.アルツハイマー病
を非限定的に含めた疾患の治療、予防及び改善にも有用である。用量範囲
式Iの化合物の治療用量の多寡は当然ながら、治療するべき状態の性質及び重
篤度、並びに用いる特定の式Iの化
合物とその投与経路に応じて様々となり、臨床医の判断によっても変化する。上
記用量はまた個々の患者の年齢、体重及び応答次第でも変化する。即ち、活性成
分の有効用量は臨床医が、あらゆる規準を考慮した後患者にとって最良の判断を
下して決定し得る。
眼球への投与には、許容可能な眼科用薬剤(ophthalmic form
ulation)中の式Iの化合物の0.001〜1重量%溶液または懸濁液を
含む眼用製剤を用い得る。医薬組成物
哺乳動物、特にヒトに有効量の本発明の化合物を与えることは、いずれか適当
な投与経路を用いて可能である。例えば、経口、非経口及び局所的経路を用い得
る。投与形態には錠剤、トローチ剤、分散液剤、懸濁液剤、溶液剤、カプセル剤
、クリーム剤、軟膏剤、エアゾル剤等が含まれる。
本発明の医薬組成物は活性成分として式Iの化合物またはその医薬に許容可能
な塩を含有し、また医薬に許容可能なキャリヤ、及び場合によっては他の治療薬
成分も含有し得る。「医薬に許容可能な塩」という語は、無機塩基また
は酸及び有機塩基または酸を含めた医薬に許容可能な無毒塩基または酸から形成
された塩を意味する。
本発明の組成物は、経口投与、非経口投与及び眼球(眼内)投与に適した組成
物を包含する。本発明の組成物は便利な単位投与形態で提供でき、かつ調剤の分
野で良く知られた任意の方法で調製できる。
実用に際して、式Iの化合物は通常の医薬配合技術に従い、医薬用キャリヤと
十分混和した活性成分として配合し得る。キャリヤは、投与のために望ましい剤
形に応じてきわめて様々な形態を有し得る。経口投与形態の組成物の調製ではい
ずれか普通の医薬用媒体を用い得、それは例えば懸濁液剤、エリキシル剤及び溶
液剤などの経口液体製剤であれば例えば水、アルコール、油、香味付与剤、防腐
剤、着色剤等であり、例えば散剤、カプセル剤及び錠剤などの経口固体製剤であ
れば澱粉、糖、微晶質セルロース、稀釈剤、顆粒化剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤
等のキャリヤであり、その際固体の経口製剤の方が液体製剤よりも好ましい。投
与の容易さから、錠剤及びカプセル剤が最も有利な経口投与単位形態であり、こ
れらの形態では明らかに固体の医薬用キャリヤが用いられる。所望であれば、錠
剤を標準
的な水性または非水性技術によって被覆してもよい。
経口投与に適する本発明の医薬組成物はカプセル剤、カシェ剤または錠剤とい
った、各剤粒が粉末もしくは顆粒状、または水性液体、非水性液体、水中油型乳
濁液もしくは油中水型乳濁液を媒体とした溶液もしくは懸濁液状の活性成分を所
定量ずつ含有する個別的単位投与形態として提供し得る。このような組成物は任
意の調剤方法で調製可能であるが、それらの方法はいずれも活性成分を1種以上
の必要成分から成るキャリヤと混合するステップを含む。上記組成物は通常、活
性成分を液体キャリヤもしくは微粉状固体キャリヤまたはこれらの両方と均一か
つ十分に混合し、その後必要であれば混合物を所望の形状に成形することによっ
て調製する。例えば、場合によっては1種以上の付加的成分を加えての圧縮成形
または擦り込み成形(molding)によって錠剤を製造し得る。圧縮錠剤は
、場合によっては結合剤、滑沢剤、不活性稀釈剤、界面活性剤または分散剤と混
合した粉末または顆粒などの自由流動形態の活性成分を適当な機械で圧縮成形す
ることによって製造し得る。擦り込み錠剤は、不活性稀釈液で湿した粉末状化合
物の混合物を適当な機械で擦り込み成形することにより製
造し得る。望ましくは、錠剤は1錠当たり約1〜約500mgの活性成分を含有
し、カシェ剤またはカプセル剤も1錠当たり約1〜約500mgの活性成分を含
有する。合成方法
本発明の化合物は、以下に概説し、かつ後出の実施例においてより詳細に説明
した操作を用いると好ましく製造できる。方法A
BOC、CBZまたは他の任意の適当な窒素保護基などの基でN保護したアミ
ノ酸1を、アリルアルコール存在下に0℃においてCH2Cl2またはCHCl3
といった不活性溶媒中で1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカル
ボジイミド塩酸塩(EDCI)とのカップリング反応によりアリルエステルに変
換して2を得る。このアミノ酸を、窒素をBOC基で保護した場合はMeOH中
でHBrなどの酸でN脱保護して遊離アミンを得る。異なる基を用いた場合の脱
保護については、“Protective Groups in Organi
c Synthesis,” 2nd ed., Wiley and Son
s, N.Y., 1991に記載が有る。上記アミ
ンを3と、先に述べたようにしてカップリングさせ、それによってジペプチド4
を得る。先の条件に従ってのアミン脱保護後、アミンを5とカップリングさせて
トリペプチド6を得る。5上のBOC基は、2−t−ブチルオキシカルボニルア
ミノベンゾエートなどの螢光原基質(fluorogenic substat
e)によって置き換えることも可能である。アリル基のパラジウム(0)及びピ
ロリジンでの脱保護(Tetrahedron Lett.28, p.437
1, 1987)によって酸を得、この酸をBio. Med. Chem.
Lett. 2, p.613, 1992に従ってn−アリルオキシカルボニ
ル−4−アミノ−5−ベンジルオキシ−2−オキソテトラヒドロフラン7とカッ
プリングさせることにより、還元条件下でのベンジル脱保護後に8を得る。7の
R2はH、CH3、CF3、OMe及びSMeであり得る。
生物活性測定アッセイ
ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼの
タンパク質分解性切断の測定
(a)[35S]放射性標識PARPの調製
ヒトポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼをコードするcDNA(クローン
pCD−12; GenBank受託番号第M32721号; NCBI gi
190266)をそのクローニングベクターからXhoI制限消化によって切
り出し、その後XhoI切断したCIP処理済みのpBluescript II
SK+(Stratagene)中に連結した。コンピテント大腸菌細胞を形
質転換し、コロニーを精製し、得られた形質転換細胞を培養液中で増殖させた後
プラスミドDNAを精製し、PARPcDNAの向きを制限酵素分析によって確
認した。T7方向及びT3方向への向きを有するクローンが得られ、これらのプ
ラスミドDNAを用いて、[35S]メチオニン(New England Nu
clear)の存在下にTnT網状赤血球溶解物(Promega)を用いる共
役in vitro転写/翻訳により[35S]PARPの合成を行なった。得ら
れた[35S]PARPポリペプチド
を、10mM Hepes/KOH(pH7.4)、2mM EDTA、0.1
% CHAPS、5mMジチオトレイトール中で平衡させたSuperdex−
75 HR10/30カラム(Pharmacia)上でのゲル濾過クロマトグ
ラフィーによって網状赤血球溶解物混合物の諸成分から精製単離した。
(b)PARP切断の測定
10mM Hepes/KOH(pH7.4)、2mMEDTA、0.1%
CHAPS、5mMジチオトレイトールから成る緩衝液に5μlの精製[35S]
PARP及び0〜10μlのPARP切断活性(例えばアポトーシスを起こした
骨肉腫細胞、THP−1細胞または他の細胞から得た画分や、精製アポパインま
たは組み換えアポパイン)プラス薬剤(指示した場合)または賦形剤を加えてイ
ンキュベーション混合物(最終体積25μl)を製造した。混合物を37℃で6
0分間インキュベートしてから6.5μlの5倍濃縮SDS含有PAGE試料緩
衝液を添加し、その後95℃で5分間変性を生起させた。試料を10%ポリアク
リルアミドゲル上で分離し、エレクトロブロッティングによってポリ(二フッ化
ビニリデン)膜に移し取り
、その後[35S]PARP切断生成物をオートラジオグラフィーによって可視化
した。PARP切断を、113.1kDaのPARPポリペプチドの24.1k
Da及び89.1kDaフラグメントへの分裂として測定した。得られたオート
ラジオグラムのレーザー濃度測定により測定した24.1kDaフラグメントの
体積−密度によってPARP切断活性を定量した。
(c)螢光原基質の切断によるPARP切断の測定
アポパインによって認識される、PARP切断部位のP1 〜P4アミノ酸に対応
するテトラペプチドの螢光原誘導体であるAc−DEVD−AMC(AMCはア
ミノ−4−メチルクマリン)を、i)N−Ac−Asp(OBn)−Glu(O
Bn)−Val−CO2Hの合成、ii)Asp(OBn)−7−アミノ−4−
メチルクマリンとのカップリング、iii)ベンジル基の除去によって製造した
。
100mM Hepes/KOH(pH7.5)、10%(w/v)スクロー
ス、0.1%(w/v) CHAPS、10mMジチオトレイトールにAc−D
EVD−AMC及び精製したかまたは粗なままのPARP切断アポパイン/CP
P32酵素を加えて標準反応混合物(最終体積300μl)を製造し、これを2
5℃でインキュベートした。反応を、励起波長380nm、発光波長460nm
の分光螢光光度計で連続的に監視した。
本発明を以下の実施例によって詳述するが、これらの実施例は本発明を限定す
るものではない。図面の詳細な説明
図1は、自然にアポトーシスを起こした骨肉腫細胞におけるPARP切断活性
を示している。(a)PARPの構造及びタンパク質分解酵素による切断によっ
て生じた断片。ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼは、3つの機能性ドメイ
ン:一本鎖又は二本鎖DNAの切断を選択的に認識する2つの亜鉛フィンガーモ
チーフを含むアミノ末端DNA結合ドメインと、カルボキシ末端触媒ドメインと
、自己修飾を起こしてDNAの結合親和性を変化させる中央領域とからなる11
3kDaの核タンパク質である37。ア
ポトーシス発生時に生起するタンパク質分解酵素による切断部位は矢印で示され
ている。(b)細胞抽出物によるPARPのin vitro切断。in vi
tro転写/翻訳により[35S]PARPを生成させ、次いで、集密前のアポト
ーシスを起こしていない骨肉腫細胞のシトソール抽出物(レーン2)、集密後の
アポトーシスを起こした骨肉腫細胞のシトソール抽出物(レーン3)、新たに分
離したTHP−1細胞のシトソール抽出物(レーン4)、37℃で60分間予備
インキュベートして活性化したTHP−1細胞抽出物(レーン5)又はアポトー
シスを起こしたニワトリS/M抽出物(レーン6)と合わせた。(c)アポトー
シスが進行している骨肉腫細胞におけるヌクレオソーム内のDNAの切断。骨肉
腫細胞を指示された日数培養してから回収した。DNAを抽出し、アガロースゲ
ル上で分離した。アスタリスクは集密に達した時点(6日目)を示す。(d)ア
ポトーシスが進行している骨肉腫細胞におけるPARP切断活性の評価。パネル
(c)に記載のアポトーシスが進行している骨肉腫細胞からシトソール画分を分
離し、次いで、PARP切断活性(白丸)及びproIL−1β切断活性(白四
角)についてアッセイした。方法
(b)シトソール抽出物は、培養したヒト骨肉腫細胞(143.98.2
:ATCC CRL 11226)及びTHP−1細胞(ATCC TIB 2
02)から、PBSで洗浄した細胞ペレットを、10mMのHepes/KOH
(pH7.4)、2mMのEDTA、0.1%(w/v)のCHAPS、5mM
のジチオトレイトール、1mMのフェニルメチルスルホニルフルオリド、10μ
g/mlのペプスタチンA、20μg/mlのロイペプチン、10μg/mlの
アプロチニン(1×108細胞/ml)中でホモジナイズし、1,000×g、
10,000×g、次いで100,000×gで連続遠心した後上清を回収して
調製した。ニワトリS/M抽出物は、先に記載のように35、S期アフィジコリン
停止次いでM期ノコダゾール蓄積によりアポトーシスを起こさせたDU249ヘ
パトーマ細胞38から調製した。PARPの全長cDNAクローン(pcD−12
)39を切り出し、pBluescript−II SK+(Stratagene
)のXhoI部位に連結し、次いで、転写(T7ポリメラーゼ)/翻訳(ウサギ
網状赤血球溶解物)(Promega)による[35S]メチオニン標識PARP
の合成の推進に用いた。
[35S]PARPは、10mMのHepes/KOH(pH7.4)、2mMの
EDTA、0.1%(w/v)のCHAPS、5mMのジチオトレイトール中の
Superdex−75 FPLCカラム(Pharmacia;1×30cm
)上のゲル濾過クロマトグラフィーにより、転写/翻訳混合物の構成成分から分
離した。[35S]PARP〔50mMのPipes/KOH(pH6.5)、2
mMのEDTA、0.1%(w/v)のCHAPS、5mMのジチオトレイトー
ル中25μlの最終容量〕を含む反応混合物を、アポトーシスを起こしていない
骨肉腫細胞(3日目の集密前培養物)のシトソール画分由来のタンパク質4.5
μg(レーン2)、アポトーシスを起こした骨肉腫細胞(7日目の集密後培養物
)のシトソール画分由来のタンパク質4.5μg(レーン3)、THP−1細胞
のシトソール画分由来のタンパク質30μg(レーン4)、37℃で60分間予
備インキュベートして活性化したTHP−1細胞のシトソール画分由来のタンパ
ク質30μg(レーン5)又はニワトリS/M抽出物由来のタンパク質0.6μ
g(レーン6)を含むシトソール抽出物の不在下(レーン1)又は存在下(レー
ン2〜6)に、37℃で1時
間インキュベートした。試料を10%SDS/ポリアクリルアミドゲル上で分離
し、[35S]PARP切断産物をフルオログラフィーにより視覚化した。(c)
骨肉腫細胞を4,000細胞/cm2の密度で培地に接種し、指示された期間培
養した。各時点でフェノール/クロロホルム抽出により、1×106個の細胞か
らDNAを分離し、DNアーゼを含まないRNアーゼで消化し、アルコール沈降
させ、次いで、1.2%アガロース/TAEゲル上で分離した後、臭化エチジウ
ムで染色した。(d)上記(c)に記載の細胞からシトソール画分を分離し、次
いで(b)に記載の方法で、[35S]PARP(白丸)を用いてPARP切断活
性についてアッセイした。PARPの切断は、得られたフルオログラム上の24
kDaに対応するバンドをレーザーデンシトメトリーにより定量した。データは
、2回の別個の実験の平均値である。pH7.4で行うこと以外は、上記に[35
S]PARPの切断について記載のものと実質的に同じ方法で、[35S]pro
IL−1βの切断によりICE活性(白四角)を測定した。
図2は、アポトーシスを起こした骨肉腫細胞抽出物におけるPARP切断の阻
害を示している。(a)種々のプロ
テアーゼ阻害剤による阻害。指示された種々のプロテアーゼ阻害剤の存在下に、
アポトーシスを起こした骨肉腫細胞のシトソール画分を(in vitro転写
/翻訳により誘導された)[35S]PARPと共にインキュベートした。得られ
たフルオログラムからの24kDaの切断産物を示す。(b)合成テトラペプチ
ドアルデヒドによる阻害。それぞれPARP切断部位及びproIL−1β切断
部位のP1−P4アミノ酸をモデルとした、指示濃度のテトラペプチドアルデヒド
Ac−DEVD−CHO(白丸)又はAc−YVAD−CHO(黒四角)の存
在下に、アポトーシスを起こした骨肉腫細胞のシトソール画分を[35S]PAR
Pと共にインキュベートした。Ac−DEVD−CHOの構造は図中のインセッ
ト(はめ込み部)に示されている。方法
(a)図1bに示されているように[35S]PARPの切断を測定したが
、但し、(i)転写/翻訳混合物のクロマトグラフィー、細胞溶解緩衝液及び[35
S]PARP切断インキュベーション緩衝液のジチオトレイトールの濃度を5
mMから1mMに低減させ、(ii)細胞溶解緩衝液はプロテアーゼ阻害剤を含ん
でいなかった。アポ
トーシスを起こした骨肉腫細胞(7日目の集密後培養物)のシトソール画分由来
のタンパク質10μgを含むインキュベーション混合物を、指示されたプロテア
ーゼ阻害剤と共に37℃で20分間予備インキュベートしてから[35S]PAR
Pを加えた。37℃で60分間インキュベートした後、試料を10%SDS/ポ
リアクリルアミドゲル上で分離した。得られた乾燥ゲルのフルオログラフィーに
より切断産物を視覚化し、24kDa産物に対応する領域を示す。シトソール画
分の不在下(レーン1及びレーン16)又はシトソールの存在下且つプロテアー
ゼ阻害剤の不在下(レーン2及びレーン17)に対照試料をインキュベートした
。インキュベーション混合物は、100μMの4−アミジノ−フェニル−メタン
−スルホニルフルオリド(pAPMSF;レーン3)、2μg/mlのアプロチ
ニン(レーン4)、100μMのエラスチナール(レーン5)、1mMのフェニ
ルメチルスルホニルフルオリド(PMSF;レーン6)、100μMのL−1−
クロロ−3−[4−トシルアミド]−7−アミノ−2−ヘプタノン(TLCK;
レーン7)、100μMのL−1−クロロ−3−[4−トシルアミド]−4−フ
ェニル−2−ブタノン(TPCK
;レーン8)、1mg/mlのダイズトリプシン阻害剤(SB−TI;レーン9
)、10μMのアマスタチン(レーン10)、10μMのベスタチン(レーン1
1)、50μMのジプロチンA(レーン12)、8.5μMのホスホラミドン(
レーン13)、1μMのペプスタチン(レーン14)、5mMのEDTA(レー
ン15)、1mg/mlのa2マクログロブリン(レーン18)、100μMの
アンチパイン(レーン19)、100μMのキモトリプシン(レーン20)、1
00μMのロイペプチン(レーン21)、10μMのE−64(レーン22)、
5mMのヨードアセトアミド(レーン23)、5mMのN−エチルマレイミド(
レーン24)、1μMのAc−YVAD−CHO(レーン25)、100nMの
Ac−DEVD−CHO(レーン26)又は100nMのAc−DEVD−CO
OH(レーン27)を含んでいた。別の対照は、阻害剤を反応混合物(新鮮な5
0×ストックとして調製した)に導入するために用いた溶媒を含んでいた。該溶
媒は、水(レーン28;試料3に使用)、メタノール(レーン29;試料7、8
、11、14に使用)、エタノール(レーン30;試料6、10に使用)及びジ
メチルスルホキシド(レーン3
1;試料20、25〜27に使用)であった。その他の試料用のストックはイン
キュベーション緩衝液中で調製した。(b)テトラペプチドアルデヒド Ac−
YVAD−CHOは先に記載のように合成し40、それと実質的に同じ手順でAc
−DEVD−CHO(インセット)を合成した。図1bに記載のように[35S]
PARP切断活性を測定した。アポトーシスを起こした骨肉腫細胞(7日目の集
密後培養物)のシトソール画分由来のタンパク質10μgを含むインキュベーシ
ョン混合物を、指示濃度のAc−YVAD−CHO(黒四角)又はAc−DEV
D−CHO(白丸)と共に37℃で20分間予備インキュベートしてから[35S
]PARPを加えた。37℃で60分間インキュベートした後、10%SDS/
ポリアクリルアミドゲル上で試料を分離した。得られた乾燥ゲルのフルオログラ
フィーにより切断産物を視覚化し、24kDaの切断産物に対応するバンドをレ
ーザーデンシトメトリーで定量した。データは、阻害剤を加えなかった対照の百
分率として表し、2回の別個の実験の平均値である。
図3はTHP−1細胞由来のPARP切断プロテアーゼの精製を示している。
(a)DEAEアニオン交換クロマ
トグラフィー。(b)ビオチニル化テトラペプチド−アルデヒド親和性リガンド
の構造。(c)THP−1細胞のシトソール画分(レーン1)、アフィニティー
クロマトグラフィー前のDEAEピータ活性画分(画分114)(レーン2)及
びアフィニティークロマトグラフィー後の該画分(レーン3)、ビオチン−DE
VD−CHOアフィニティーカラムからの溶離液(レーン5)及びビオチン−[
X]−DEVD−CHOアフィニティーカラムからの溶離液(レーン6)のSD
S/ポリアクリルアミドゲル電気泳動。方法
(a)先に記載のように41、培養したTHP−1細胞からシトソール画分
を分離し、透析、濃縮し、次いで、20mMのTris/HCl(pH7.8)
、10%(w/v)のスクロース、0.1%(w/v)のCHAPS、2mMの
ジチオトレイトール中4℃で予備平衡させておいたDEAE−5PW HPLC
カラム(TosoHaas,5.5×20cm;1.4×1011細胞由来のタン
パク質3〜5gm)に加えた。タンパク質を、線形勾配の0.4MのNaCl、
240mMのTris/HCl(pH7.8)、10%(w/v)のスクロース
、0.1%(
w/v)のCHAPS、2mMのジチオトレイトールで溶離した。ICE活性を
含む画分の直前の約90〜120mMのNaClに対応する画分をプールし、2
5 DEAEクロマトグラフィー実施で得たプールと合わせ(3.5×1012T
HP−1細胞由来のタンパク質1.6g)、同一条件下に再実施した。図1bに
示されているように各画分のPARP切断活性をアッセイし、図2bに記載のよ
うにレーザーデンシトメトリーで定量した。あるいは、図5に詳細に記載されて
いる合成蛍光性テトラペプチドアミノメチルクマリン(Ac−DEVD−AMC
)を用いて活性を測定した。(b)ビオチン−DEVD−CHOとビオチン−[
X]−DEVD−CHOとは、0.9nmのスペーサーアーム(白四角で示され
ている)がビオチン−[X]−DEVD−CHOには存在するがピオチン−DE
VD−CHOには存在しないという点で異なっている。これらのリガンドは、(
i)アルデヒドでベンジル化ラクトールとして保護されたt−Boc−Asp(
OBn)−Glu(OBn)−Val−Asp−CHOの合成、(ii)t−Bo
c基の除去、(iii)EDCI及びHOBtを用いたビオチン(ビオチン−DE
VD−CHOの場合)又はビオチン
アミドカプロン酸(ビオチン−[X]−DEVD−CHOの場合)による遊離ア
ミンのアシル化によって調製した。後続段階でストレプトアビジン−アガロース
(インセットに示されている)上で固定化し得るビオチニル化親和性リガンドを
用いるこの方法を選択した理由は、(i)スペーサーアームの長さが容易に変え
られ、(ii)アガロースビーズ上のリガンドの濃度を正確に制御することができ
、且つ(iii)ビオチニル化リガンドを酵素と共に予備インキュベートして完全
平衡を得た後でストレプトアビジンアガロースとの複合体を回収することができ
るからであり、この種のリガンドがPARP切断酵素を加えると時間依存性平衡
に達する(kon>105M-1s-1)という特定の利点のためである。(c)DE
AEクロマトグラフィーから得たPARP切断活性のピークに対応する画分(画
分114;タンパク質3mgを含む2.5ml)を、50mMのPIPES/K
OH(pH6.8)、2mMのEDTA、0.1%(w/v)のCHAPS、5
mMのジチオトレイトールからなる総量10ml中20nmolのビオチン−[
X]−DEVD−CHOと共に室温で30分間インキュベートした。次いで、混
合物をストレプトアビジンアガ
ロースカラム〔ベッド容量1ml;50mMのPIPES/KOH(pH6.8
)、2mMのEDTA、0.1%(w/v)のCHAPS、5mMのジチオトレ
イトール中で予備平衡化;結合能=63nmol ビオチン/ml〕に通し、2
0カラム容量の同じ緩衝液で洗浄した。カラムを同一緩衝液中で2mMのD−ビ
オチンと共に灌流させて酵素を溶離し、数時間放置してから、精製されたPAR
P切断酵素を回収した。ビオチン−DEVD−CHOを用いて同一アフィニティ
ークロマトグラフィーを行い、同等の結果を得た。試料を14%SDS/ポリア
クリルアミドゲル上で分離し、タンパク質バンドを銀染色して視覚化した。試料
は、THP−1細胞のシトソール画分由来のタンパク質9μg(レーン1)、ビ
オチン−[X]−DEVD−CHOアフィニティークロマトグラフィー前のDE
AE画分114(レーン2)及び該クロマトグラフィーの後の該画分(レーン3
)由来のタンパク質6μg、並びにビオチン−DEVD−CHOアフィニティー
カラムの溶離液(レーン5)及びビオチン−[X]−DEVD−CHOアフィニ
ティーカラムの溶離液(レーン6)由来のタンパク質0.1μgを含んでいた。
図4は、PARP切断プロテアーゼ;不活性プロ酵素CPP32からプロセシ
ングされるアポパインの構造を示している。(a、b)精製PARP切断プロテ
アーゼの17kDaサブユニット(左)と12kDaのサブユニット(右)のエ
レクトロスプレー質量分光分析。括弧内の数字は(c)に記載の配列に基づいて
計算されたサブユニットの質量を示す。(c)アポパイン/CPP32の初期構
造。CPP32β cDNAクローンから推定されたアミノ酸配列25を示してい
る。斜線部は精製酵素サブユニットについて決定されたアミノ末端配列を示して
いる。矢印は、CPP32プロ酵素からp17及びp12サブユニットを生成し
たAsp28−Ser29及びAsp175−Ser176切断部位を示している。推定触
媒システイン(星印)を含む保存されたGln−Ala−Cys−Arg−Gl
yペンタペプチドもボックスで囲まれている。(d)ICE及びCPP32プロ
酵素構造の比較。横バーは、それぞれICE及びCPP32のP45及びp32
プロ酵素を表す。推定触媒システイン残基を含む大きい方のサブユニットと、小
さい方のサブユニットはそれぞれ横バーの黒く塗りつぶされた部分と斜線の部分
で示されている。(e)シ
ステインプロテアーゼのICE/CED−3ファミリーの全ての既知メンバーの
系統関係。(f)全ての既知ヒトICE/CED−3様プロテアーゼ(上から5
つの配列)及びネマトーダCED−3(一番下の配列)の多重配列の整列。番号
はヒトICE内の残基の位置に対応する。X線結晶構造33,34に基づく、ヒトI
CEに結合する基質に包含される領域が示されている。黒丸は触媒領域、白丸は
P1Aspのカルボキシレート結合ポケット、白三角はP2−P4残基に対する近
接度(<0.4nm)である。矢印はICE及びCPP32の既知プロ酵素切断
部位を示している。方法
(a、b)図3cに記載の精製PARP切断酵素のアリコートを内径の狭
いC4逆相HPLCカラム上で分離し、実質的に先に記載の方法7で、エレクト
ロスプレーイオン源を備えた3重セクター四重極質量分析計に接続したキャピラ
リー液体クロマトグラフィーにより個々のサブユニットを分析した。トリプシン
ペプチドも精製アポパインサブユニットからも産生され40、同定をさらに確実に
するためにエレクトロスプレー質量分光法により分析した。ペプチドとそれらの
予測及び実測質量は以下の通りであっ
た:
IPVEADFLYAYSTAPGYYSWR207、2470.8、2470.2
;
VATEFESFSFDATFHAK259、1935.1、1934.7;
LEFMHILTR238、1160.4、1161.0;
ELYFYH277、872.0、872.0。
(c)図3cに記載の精製PARP切断酵素約100pmolを14%SDS/
ポリアクリルアミド上で分離し、エレクトロブロッティングによりポリビニリデ
ンジフルオリド膜に移した。膜のp17サブユニットを含む領域とp12サブユ
ニットを含む領域を切り出し、連続フローリアクター(Sheldon Bio
technology Centre,Montreal,Canada)を用
い、慣用のエドマン分解により配列決定した。横バーの斜線部は、得られたアミ
ノ末端配列がCPP32βの推定アミノ酸配列と完全に一致する部分を表す。(
d)及び(e)Genetics Computer Group(Madis
on WI)PILEUPアルゴリズム42(ギャップ重量=3.0;ギャップ長
重量=0.1)を用いて指示されたcDNAの推定ポリペプチド配列(全読み取
り枠)即ち遺伝子配列を整列させ、系統樹(e)又はアミノ酸配列
の整列(f)として提示する。hICErel−II及びhICErel−IIIはそれぞ
れヒトICE関連システインプロテアーゼII及びIIIであり;mICE、rIC
E及びhICEはそれぞれ、マウス、ラット及びヒトのICE(インターロイキ
ン−1β変換酵素)であり;mNedd2及びhICH−1はそれぞれ、Ned
d2/ICH−1Lのマウス及びヒト形態であり;cbCED−3、cvCED
−3及びceCED−3はそれぞれ、Caenorhabditis brig
gsae、vulgaris及びelegansのCED−3(細胞−死−異常
ced−3遺伝子産物)であり;hCPP32はヒトCPP32βである。
図5は蛍光性基質を用いたアポパイン及び有効な阻害剤の動力学的分析を示す
。(a)Ac−DEVD−AMC(インセット中の構造)のKmの決定。(b)
ペプチドアルデヒド Ac−DEVD−CHOによるCPP32阻害の動力学。
(c)THP−1細胞、骨肉腫細胞及びニワトリS/M抽出物におけるPARP
切断活性及びAc−DEVD−CHOによる阻害の比較。方法
(a)Ac−DEVD−AMC(インセット)(AMC;アミノ−4−メ
チルクマリン)を以下のように調製
した:(i)N−Ac−Asp(OBn)−Glu(OBn)−Val−CO2
Hの合成;(ii)Asp(OBn)−7−アミノ−4−メチルクマリンとの結合
;(iii)ベンジル基の除去。100mMのHepes/KOH(pH7.5)
、10%(w/v)のスクロース、0.1%(w/v)のCHAPS、10mM
のジチオトレイトール中の指示濃度のAc−DEVD−AMC及び35Uの精製
PARP切断アポパイン/CPP32酵素(1U=25℃、飽和基質濃度で1分
間に遊離したAMC1pmol)を含む標準反応混合物(最終容量:300μl
)を25℃でインキュベートした。励起波長380nm、発光波長460nmの
分光ケイ光光度計で反応を連続的にモニターした。初速度及び基質濃度を非線形
回帰によりミカエリス−メンテンの式(実線)に当てはめた。数回の実験の結果
、アポパインによる該基質の切断のKmは、9.7±1.0μMであることが示
された。(b)図2bに示されているように、Ac−DEVD−CHOを調製し
た。反応体(300μl)は、(a)に記載の緩衝液中の1×KmのAc−DE
VD−AMC(10μM)及び精製PARP切断アポパイン酵素(120U)を
含んでいた。この反応混合物にテトラ
ペプチドアルデヒド(50nM)を加えると、酵素活性の時間依存性損失が生じ
た(黒丸)が、阻害剤を含まない反応体は完全に線形であった(白丸)。遅結合
性阻害剤及び密着結合性阻害剤を分析するためにMoriisonによって開発
された式43に従って、いくつかの結合進行(progress)曲線から結合速度定数(
kon)を計算した。活性の完全阻害は50nMのAc−DEVD−CHOにより
無限時間で観察されたが、これは、この阻害剤のKiが1nM未満であることを
示している。(c)図1bに記載のように、THP−1細胞、アポトーシスを起
こした骨肉腫細胞及びアポトーシスを起こしたニワトリDU249細胞から抽出
物を調製した。合成蛍光性テトラペプチド Ac−DEVD−AMCの切断のKm
並びにテトラペプチドアルデヒド阻害剤 Ac−DEVD−CHOのkon及び
Ki値をそれぞれ上記(a)及び(b)に記載の方法で測定した。
図6は、in vitroアポトーシス及びAc−DEVD−CHO又はアポ
パイン仲介PARP切断活性の除去による選択的阻害を示している。(a)アポ
トーシスが進行している骨肉腫細胞のシトソールはアポトーシスを起こ
していない健康な細胞の核にアポトーシス性変化を起こさせる。アポトーシスに
よる細胞死の種々の段階の骨肉腫細胞から分離したシトソール画分をアポトーシ
スを起こしていない骨肉腫細胞から分離した核と共にインキュベートし、Hoe
chst 33342で染色した後、蛍光顕微鏡により形態学的な変化を評価し
た。(b)アポパインの阻害又は除去によるin vitroアポトーシスの減
弱化(attenuation)。縦列(column)2〜9:種々の濃度のCPP32阻害剤
Ac−DEVD−CHO(縦列3〜8)又はICE阻害剤 Ac−YVAD−
CHO(縦列9)の存在下に、アポトーシスを起こした骨肉腫細胞のシトソール
画分をアポトーシスを起こしていない健康な骨肉腫細胞の核と合わせた。縦列1
0〜15:活性化されるとアポトーシスを起こす骨肉腫細胞のシトソールからP
ARP切断活性を除去し(縦列11〜15)、次いで、種々の量の精製アポパイ
ン(縦列12〜14)又は精製ICE(縦列15)の存在下にアポトーシスを起
こしていない健康な骨肉腫細胞の核と共にインキュベートした。方法
図1に記載のように、アポトーシスの種々の段階における骨肉腫細胞及び
該細胞のシトソール抽出物を調製し
た。実質的に先に記載のように36(但し、核を分離するための緩衝液は、10m
MのPipes/KOH(pH7.4)、10mMのKCl、2mMのMgCl2
、1mMのジチオトレイトール、10μMのサイトカラシンB、1mMのフェ
ニルメチルスルホニルフルオリド、10μg/mlのペプスタチンA、20μg
/mlのロイペプチン、10μg/mlのアプロチニンであった)、アポトーシ
スを起こしていない(3日目の)細胞から核を分離した。(a)2×106個の
3日目細胞から分離した核を、指示された時間培養した細胞からのシトソール画
分(2.5×106細胞当量)25μlと合わせ、次いで、10mMのHepe
s/KOH(pH7.0)、50mMのNaCl、2mMのMgCl2、0.1
mMのCaCl2、40mMのβ−グリセロホスフェート、1mMのジチオトレ
イトール、2mMのATP、10mMのクレアチンホスフェート及び50μg/
mlのクレアチンキナーゼを含む混合物100μl(最終容量)中でインキュベ
ートした。37℃で2時間後、核クロマチンを5μg/mlのHoechst3
3342で染色し、蛍光顕微鏡(励起波長 330nm;発光波長 450nm
)で調べた。鮮やかな蛍光の疑縮
・断片化クロマチンを有する核をアポトーシスを起こしたものと同定し、蛍光が
弱く、均一にクロマチン染色された核をアポトーシスを起こしていないものと同
定した。各条件に関して、5つの別個のフィールドで最低250個の核を同定し
た。データは2回の別個の実験の平均値である。(b)縦列1〜9:指示濃度の
Ac−DEVD−CHO(3〜8)又はAc−YVAD−CHO(9)の存在下
に、アポトーシスを起こした7日目の骨肉腫細胞のシトソール画分(2〜9)と
合わせたアポトーシスを起こしていない3日目の骨肉腫細胞の分離した核を用い
て、(a)に記載の方法でin vitroアポトーシスを測定した。データは
3回の別個の実験の平均値±SEMである。縦列10〜15:アポトーシスを起
こした7日目の細胞(D7dep)のシトソール画分1mlを100nMのビオチ
ン−[X]−DEVD−CHOと共に20分間インキュベートし、次いで50μ
lのストレプトアビジンアガロースを用いて回収し、該画分からPARP切断活
性を除去した(ビオチン結合能=63nmol/ml)。次いで、同じ画分につ
いて除去手順を繰り返した。種々の濃度の精製アポパイン/CPP32(12〜
15)又は精製ICE(15)
を加えた、処理していない7日目のシトソール(10)又は切断活性を除去した
7日目のシトソール(11〜15)と合わせた、アポトーシスを起こしていない
3日目の骨肉腫細胞(10〜15)の核を用い、(a)に記載の方法で、in
vitroアポトーシスを測定した。低濃度のICEも作用しなかった(図示せ
ず)。
実施例1 アポトーシスが進行している骨肉腫細胞におけるPARP切断活性
アポトーシスの発生に付随して生起する初期事象は、ICE(prICE)と
類似の特性を有する未同定プロテアーゼによるPARPのタンパク質分解性切断
である19。(Asp216とGly217の間の)切断により、PARPのアミノ末端
DNAニックセンサーがそのカルボキシ末端触媒ドメインから分離する(図1a
)。このタンパク質分解活性を測定するために、全長のヒトPARP cDNA
クローンのin vitro転写/翻訳により[35S]PARPを基質として生
成させ、次いで、種々の細胞抽出物と合わせた(図1b)。自発性アポトーシス
死傾向を有するヒト骨肉腫細胞系は、アポトーシスを起こした細胞
からの抽出物ではアポトーシスを起こしていない細胞からの抽出物に比べて(レ
ーン2対レーン3)著しく高い実質的PARP切断活性を有していた。骨肉腫細
胞はアポトーシス発生中に生起する事象の研究における良好なモデル系である。
骨肉腫細胞は、培養中に集密に達すると、細胞の収縮、膜の気胞形成(blebbing
)、クロマチンの凝縮及び断片化(図示せず)並びにヌクレオソーム間のDNA
の切断を含むアポトーシス死に特徴的な形態学的・生化学的変化を起こす(図1
c)。集密後の骨肉腫細胞培養物に発生するアポトーシスの進行に伴って、該細
胞抽出物中で測定されたPARP切断活性が10倍以上も上昇した(図1d)。
イムノブロッティング、逆転写酵素PCR(図示せず)やproIL−1βのプ
ロセシングの不在から判断すると、これらの抽出物中には検出可能なICEが存
在せず、それは、ICEがアポトーシス又はPARP切断には必要とされないこ
とを示している。ICEがアポトーシスに関与しないということは、正常にアポ
トーシスを起こしたICE欠失マウスで確認された29。
PARP切断活性は、THP−1細胞の細胞質抽出物、特に37℃で予備イン
キュベートした後の、初期にICE
が精製されたヒト単球白血病細胞系でも測定可能であった(図1b、レーン4対
レーン5)。これは、この細胞系のICEに関して記載されているように30、P
ARP切断酵素は潜伏形態の活性化を必要とすることを示唆している。アポトー
シスを起こした骨肉腫細胞抽出物及び活性化THP−1細胞抽出物におけるPA
RPの切断は、このタンパク質分解活性が初期に同定されたアポトーシスを起こ
したニワトリS/M抽出物19(レーン6)のものと同等であった。
実施例2 PARP切断阻害剤
アポトーシスを起こした骨肉腫細胞のシトソール抽出物におけるPARPのタ
ンパク質分解性切断は、システイン−アルキル化試薬 N−エチルマレイミド及
びヨードアセトアミドによって阻止されたが、E−64(これもシステインプロ
テアーゼ阻害剤である)又はセリンプロテアーゼ、アスパルテートプロテアーゼ
若しくはメタロプロテアーゼによっては阻止されなかった(図2a)。この阻害
剤プロフィールは、新生のICE様システインプロテアーゼファミリーのメンバ
ーであるPARP切断酵素と一致する。
より有効且つ特異的なPARP切断阻害剤を開発するために、切断可能な結合に
隣接する配列を阻害剤設計用のテンプレートとして用いた。テトラペプチドアル
デヒド Ac−YVAD−CHOに対するICEの感受性(Ki=0.76nM
)によって示されるように、適切なペプチドアルデヒドはシステインプロテアー
ゼの有効な阻害剤であり得る。従って、PARP切断部位(DEVD216−G217
)のP1−P4アミノ酸配列を含むテトラペプチドアルデヒドを合成し、該アルデ
ヒドがPARP切断の有効な阻害剤(Ac−DEVD−CHO;図2b インセ
ット)であることを見出した。Ac−DEVD−CHOは、アポトーシスを起こ
した骨肉腫細胞抽出物のPARP切断活性を0.2nMのIC50値をもって阻害
した。それに対し、対応カルボン酸(Ac−DEVD−COOH)及びICEの
proIL−1β認識配列を含むテトラペプチドアルデヒド(Ac−YVAD−
CHO)のIC50値は10μM超であった(図2a及び図2b)。活性化THP
−1細胞抽出物でもアポトーシスを起こしたニワトリS/M抽出物でもPARP
切断活性に関して同じ阻害剤プロフィールが見出された(図示せず)。ICEの
有効な阻害剤(Ki<4
pM)である牛痘ウイルス セルピン CrmA〔サイトカイン応答モディファ
イアーA(crmA)遺伝子産物〕31は、0.6μMまでのレベルでテストした
場合、PARP切断に対する阻害作用は有していなかった(図示せず)。従って
、PARPの切断は、低濃度のテトラペプチドアルデヒド Ac−DEVD−C
HOによって阻害され得るが、有効なICE阻害剤では高レベルでも阻害し得な
いE−64非感受性システインプロテアーゼによって仲介される。
実施例3 PARP切断プロテアーゼ、アポパインの精製
アポトーシスを起こしている哺乳動物細胞におけるPARPの不活化に関与す
る酵素を同定するために、該酵素を培養したヒト細胞から精製して均質とした。
集密に達してからアポトーシスに進行するにつれ、骨肉腫細胞のPARP切断活
性は高度に増大した。しかし、該プロテアーゼを精製するのに十分な量の付着細
胞系が得られないために、THP−1細胞を用いた。2つの証拠から、THP−
1細胞でPARPを切断したシステインプロテアーゼはアポトーシスを起こした
骨肉腫細胞のものと同一であることが
示唆された。第1の最も説得力のある証拠として、Ac−DEVD−CHOによ
る触媒及び阻害の動力学的パラメーターが両細胞系からの抽出物の酵素と実質的
に同一であることが知見された(以下参照)。第2の証拠として、逆転写酵素P
CR分析により、(転写体がTHP−1細胞でのみ検出可能であった)ICEを
除いて、THP−1細胞もアポトーシスを起こした骨肉腫細胞も、ICE/CE
D−3様酵素の同じ相補体の転写体(即ち、ICEre1−II、ICH−1及び
CPP32、但しICEre1−IIIは除く)を含んでいることが示された(図
示せず)。
DEAEアニオン交換クロマトグラフィーによりTHP−1細胞からシトソー
ル画分を分離すると、PARP切断活性は、低塩濃度(ICE及びPARP切断
活性に関してそれぞれ約80mM及び135mM)でカラムから同時溶離された
ICE免疫反応性及びproIL−1β切断活性から分離された。数回のクロマ
トグラフィーにより得られたPARP切断活性を含む画分をプールし、同一条件
下に再度クロマトグラフィーにかけた(図3a)。この活性を選択的に精製する
ために、PARP切断酵素用の親和性リガンドとしてAc−DEVD−CHOテ
トラペプチドアル
デヒド阻害剤の2種のビオチニル化誘導体を合成した(図3b)。何故ビオチニ
ル化親和性リガンドを用いたかというと、それは、該リガンドが、回収前に完全
平衡させることにより、遅リガンド結合性(以下参照)を克服するために酵素と
共に予備インキュベートし得るからである。どちらのビオチニル化テトラペプチ
ドアルデヒドもPARP切断酵素の阻害に関して、非ビオチニル化親化合物のも
のと同等のIC50値(0.2nM;図示せず)を有していた。PARP切断活性
のピーク時のDEAEクロマトグラフィー画分をビオチニル化テトラペプチドア
ルデヒドと共にインキュベートし、次いで、ストレプトアビジンアガロース上で
回収した。十分に洗浄した後、2mMのビオチンを用いてカラムから精製PAR
P切断酵素を溶離した。得られた試料をSDS/ポリアクリルアミドゲル電気泳
動にかけると、精製PARP切断酵素が約17kDaと12kDaの2種の主要
ポリペプチドからなることが示された(図3c)。
実施例4 PARP切断プロテアーゼ:アポパイン/CPP32の構造
精製PARP切断酵素をエレクトロスプレー質量分光分析にかけると、大きい
方のポリペプチドの質量は16,617.1±3.1であり、小さい方のポリペ
プチドの質量は11,896.2±1.2であることが示された(図4a)。精
製アポパイン酵素のアミノ末端配列決定及びトリプシンマップにより、該酵素が
、最近Jurkat細胞25からクローン化された、機能が未解明のシステインプ
ロテアーゼのICE/CED−3ファミリーのメンバーである不活性CPP32
プロ酵素のタンパク質分解産物であると同定された。クローン化CPP32は、
もともと、単一の保存アミノ酸置換(CPP32α及びCPP32βに関してそ
れぞれAsp190対Glu190)が異なる2種のアイソフォーム(CPP32α及
びCPP32β)として同定された。精製アポパインPARP切断酵素の12k
Daサブユニットのアミノ末端配列は、胎盤、肺及び腎臓からクローン化された
ヒトCPP32のcDNA配列(図示せず)と同じように、CPP32βと一致
した(図4b)。
上記2つのサブユニットの質量測定及びアミノ末端配列は一致しており、両ポ
リペプチドがAsp28−Ser29
とAsp175−Ser176の間で切断された同じ32kDaのCPP32前駆体ポ
リペプチドから誘導されたことが証明された(図4b)。CPP32プロ酵素の
構造はICEのものと類似している(図4c)。ICEと同様、CPP32プロ
酵素も、アミノ末端プロドメイン、その後の推定活性部位システイン及びヒスチ
ジン残基を含む大きいサブユニット(p17)と、その後の小さいサブユニット
(p12)から構成されている。ICEプロ酵素とCPP32プロ酵素の主要な
違いは、(a)CPP32のプロドメインの方が実質的に短く、(b)CPP3
2プロ酵素にはアポパインの大きい(p17)サブユニットと小さい(p12)
サブユニットを分離するリンカーペプチドが存在しないことである。CPP32
のプロドメイン/p17結合部及びp17/p12結合部の両方のP1位置にA
sp残基が存在するということは、ICEに関して示されているように7,32,33
、プロ酵素の活性化に自触作用が重要な役割を果たすことを示唆している。
システインプロテアーゼのICE/CED−3ファミリーの全ての既知メンバ
ーの配列を整列させると、アポパイン/CPP32がプロアポトーシス性線虫細
胞−死−異
常ced−3遺伝子産物に最も近縁の哺乳動物酵素であることが示される(図4
d)。このファミリーの5つの既知ヒト酵素及びCED−3を整列させると、基
質P1アスパラギン酸のカルボキシレート側鎖の触媒作用に関与する残基及び該
側鎖の結合に関与する残基の絶対保存33,34が存在することが示される(図4e
)。保存は、ICEのp20サブユニット(Asp296−Ser297)及びCPP
32のp17サブユニット(Asp175−Ser176)のカルボキシ末端のAsp
/Ser切断部位近傍でも高度であり、これは、このファミリーの他のメンバー
の活性形態もプロ酵素から誘導されるヘテロダイマーであることを示唆している
。しかし、P2−P4結合ポケットを形成し得る残基は広く保存されてはおらず、
これは、基質特異性が1個以上のこれらアミノ酸により決定され得ることを示し
ている。
実施例5 アポパイン及びその阻害剤の動力学的特性
基質Ac−DEVD−AMC(AMC;アミノ−4−メチルクマリン)を用い
てアポパインの連続蛍光分析アッセイを行った。この基質の設計は、PARP切
断部位P1−
P4テトラペプチドを用いること以外は、ICEと共に用いて成功を治めたテト
ラペプチド−AMCモチーフ7をベースとした(図5A インセット)。アポパ
インでこの基質を切断することにより、ミカエリス−メンテン動力学がKm=9
.7±1.0μMであることが示された(図5a)。このアッセイにより、テト
ラペプチドアルデヒドAc−DEVD−CHOによる酵素阻害機構の詳細な研究
が容易になった。
ペプチドアルデヒドは、触媒システインの求核付加を受けてチオヘミアセター
ルを形成するシステインプロテアーゼの有効な可逆性阻害剤である。アルデヒド
阻害剤の効力は、本来、該阻害剤が有するアミド結合加水分解における遷移状態
を真似るその能力によるものであったが35、最近、テトラペプチドアルデヒド
Ac−YVAD−CHOを用いて決定されたICEの結晶構造から、非遷移状態
の構造中でチオヘミアセタールのオキシアニオンと結合したこの阻害剤が活性部
位ヒスチジンにより安定化されていることが明らかに示される33。アポパイン、
Ac−DEVD−CHOに関する適切な認識配列を含むテトラペプチドアルデヒ
ドはこの酵素の有効な拮抗的阻害剤である。該ア
ルデヒドは、阻害剤(50nM)及び1×Kmの基質を含む反応混合物に酵素を
加えたときに認められた時間依存性平衡度により示されるように、遅結合性であ
る(図5b)。図5bの実線(黒丸)は、理論的結合速度定数kon=1.3×1
05 M-1s-1である。拡散律速反応速度の理論的予測値(108−1010M-1s- 1
)を大きく下回るこの速度定数は、対応する、ICEとそのテトラペプチドア
ルデヒド阻害剤との結合速度定数に類似している(kon Ac−YVAD−CH
O=3.8×105M-1s-1)。50nMのAc−DEVD−CHOを用いて無
限時間で認められた該活性のほぼ完全な抑制により、アポパイン阻害のKiが1
nM未満であることが明らかになり、それによって、Ac−DEVD−CHOは
システインプロテアーゼに関して知られている最も有効なペプチドアルデヒドの
1つとなっている。
テトラペプチドアルデヒド Ac−DEVD−CHOがアポパインの有効な阻
害剤であると認められたのとは対照的に、ICE阻害剤 Ac−YVAD−CH
O(Ki ICE=0.76nM)は極めて効力の低いアポパイン阻害剤であり、
これらの酵素が別個の拡大された基質特異性を有
することがさらに証明された。効力の差は、ICEの主要決定基であるproI
L−1βのP4 Tyrの結合に関与する残基がアポパイン/CPP32には保
存されていないという事実に起因すると考えられる。例えば、活性ICEの結晶
構造は、proIL−1βのP4 Tyrと相互作用する2つの主要アミノ酸が
アポパイン/CPP32及びCED−3のいずれにおいても、それぞれAsn及
びSerで置換されたHis342及びPro343であることを示している(図4e
)。アポパイン/CPP32のこれら後者の残基はPARPのP4 Aspのカ
ルボキシレート側鎖との相互作用に必要な水素結合をより完全に形成し得る。該
酵素が異なる巨大分子基質特異性を有していることも明らかである。精製ICE
はPARPを切断し得なかったし、精製アポパインはFEAD27−G28切断部位
でもDEVD216−G217切断部位でもproIL−1βを切断しなかった(5,
000倍過剰の各酵素をテスト;図示せず)。該酵素は、ICEに対して10,
000倍以上もの親和性を示す牛痘セルピン(CrmA)に関する挙動とも異な
っている。
THP−1細胞、アポトーシスを起こした骨肉腫細胞抽
出物及びアポトーシスを起こしたニワトリS/M抽出物におけるPARP切断活
性の触媒及び阻害定数は実質的に同じであり(図5c)、これは、3種の細胞全
てにおいて同じ酵素(アポパイン)がPARPを切断することを示唆している。
実施例6 アポパイン仲介PARP切断阻害剤によるアポトーシスの減弱化
アポトーシス事象はin vitroで再構成し得る。健康な細胞から分離し
た核は、アポトーシスを起こした細胞から分離されたシトソール画分と共にイン
キュベートすると、アポトーシスに特徴的な形態学的変化(例えば、クロマチン
の凝縮、断片化及び周縁化(marignation)並びにヌクレオソーム間のDNAの
切断)を起こす36。最も有効且つ選択的なアポパイン仲介PARP切断阻害剤(
Ac−DEVD−CHO)は膜不浸透性であり、従って無傷の細胞においては不
活性なので、この系をヒト細胞を用いて作製し、in vitroでアポトーシ
スに及ぼすアポパインの阻害又は除去作用の実験に用いた。アポトーシスを起こ
していない骨肉腫細胞のシトソールは核の形態には
殆ど作用を及ぼさなかったが、アポトーシスが進行している細胞のシトソールは
受容体核にアポトーシス様変化を誘発させた(図6a)。さもなければ健康な核
に付与されたアポトーシス形態への変化の程度は、シトソールを抽出した細胞で
起こっているアポトーシスの進行度(図1c参照)及びPARP切断活性のレベ
ル(図1d)と一致した。
PARPを切断するアポパインシステインプロテアーゼがアポトーシスにおい
て重要な役割を果たすとすれば、その活性を阻害又は除去するとこれらの核変化
は起こらない筈である。アポトーシスを起こした骨肉腫細胞のシトソール画分を
アポトーシスを起こしていない健康な細胞の核と共にインキュベートしたときに
生じた形態学的変化は、アポパイン仲介PARP切断のテトラペプチドアルデヒ
ド阻害剤、Ac−DEVD−CHO(IC50=10〜100nM)により減弱化
させることができるが、ICE阻害剤、Ac−YVAD−CHOでは減弱化し得
なかった(図6b;縦列2〜9)。同様に、ビオチニル化親和性リガンドを用い
て、アポトーシスを起こした骨肉腫細胞のシトソール画分からアポパイン/CP
P32を除去すると、これらのPARP切断活性欠失抽出物はおおむね、健康な
受容体
核にアポトーシス性変化を起こさせることができなかった。活性を除去された抽
出物のプロアポトーシス能は、該抽出物に精製アポパイン/CPP32を加える
と回復したが、精製ICEを加えても回復しなかった(縦列10〜15)。また
、これら全てを総合すると、アポパインがアポトーシスにおいて主要な事象を開
始させ、その活性を阻害又は除去するとアポトーシスの発生が阻止されることが
示唆される。
実施例7 in vitro転写/翻訳及び宿主細胞へのトランスフエクションによるアポ パインポリペプチドの発現
アポパインをコードするDNA配列を含むベクターを用いて、ウサギ網状赤血
球溶解物、哺乳動物宿主細胞及びバキュロウイルス感染昆虫細胞でアポパインポ
リペプチドの翻訳を推進させた。実験手順は主として製造業者の指示に従った。
(a)in vitro転写/翻訳
pBluescriptII SK+アポパインプラスミドDNA(アポパイン
はT7配向)をアポパイン挿入物の下流でBamHI消化により線状化する。線
状化プラスミ
ドを精製し、m7G(5′)ppp(5′)Gの存在下にT7 RNAポリメラ
ーゼを用いたランオフ転写用のテンプレートとして用いた。得られたキャップ付
きアポパイン転写体を塩化リチウム沈殿により精製し、L−[35S]メチオニン
の存在下ヌクレアーゼで予備処理したウサギ網状赤血球溶解物中でのアポパイン
の翻訳の推進に用いる。
(b)哺乳動物細胞における発現
アポパインタンパク質を哺乳動物宿主細胞で発現させ、次いで、pcDNA
I/Amp:アポパイン(CMVプロモーターの制御下)又はpSZ9016−
1:アポパイン(HIV LTRプロモーターの制御下)を用いてトランスフェ
クトする。後者(pSZ9016−1:アポパイン)の場合、細胞をTAT発現
プラスミドpSZ90161:TATと同時にトランスフェクトする。どちらの
アポパイン発現プラスミドの場合も、COS−7細胞を、DEAE−デキストラ
ンを用いてトランスフェクトするか又はリポフェクタミン(BRL)を用いてリ
ポフェクトする。
(c)昆虫細胞における発現
アポパイン含有バキュロウイルストランスファーベクターpVL1393:T
7アポパインHAを用いてin
vitro相同組換えにより組換えバキュロウイルス(Autographa
californica)を産生させる。次いで、エピトープ標識したアポパイ
ンを、懸濁培養中で増殖させたSf9(Spodoptera frugipe
rda)昆虫細胞中で発現させた後、アポパイン含有組換えバキュロウイルスに
感染させる。
実施例8 他の宿主細胞系中でアポパインポリペプチドを発現させるためのアポパインのク ローニング
(a)アポパインcDNAの細菌発現ベクターへのクローニング
最適なアポパインcDNA配列を異種タンパク質の発現を誘導するように設計
した発現ベクターに挿入して、E.coliのような細菌中で組換えアポパイン
を産生させる。これらのベクターは、組換えアポパインが単独で合成されるか又
はその後の操作用の融合タンパク質として合成されるように構築する。組換えア
ポパインが可溶性タンパク質又は不溶性内包体として回収されるように発現を制
御し得る。pBR322、pSKF、pUR、pATH、pGEX、pT7−5
、pT7−6、pT7−7、pET、p
IBI(IBI)、pSP6/T7−19(Gibco/BRL)、pBlue
scriptII(Startagene)、pTZ18R、pTZ19R(US
B)、pSE420(Invitrogen)などのようなベクターはこらの目
的に適している。
(b)アポパインcDNAの酵母発現ベクターへのクローニング
最適なアポパインcDNAシストロンを異種タンパク質の細胞内又は細胞外発
現を誘発するように設計した発現ベクターに挿入して、Saccharomyc
es cerevisiaeのような酵母中で組換えアポパインを産生させる。
細胞内で発現させる場合、EmBLyex4などのようなベクターをアポパイン
シストロンに連結する〔Rinas,U.ら,Biotechnology 8
:543−545(1990);Horowitz B.ら,J.Biol.C
hem.265:4189−4192(1989)〕。細胞外で発現させる場合
、分泌シグナル(酵母又は哺乳動物ペプチド)とアポパインタンパク質のアミノ
末端を融合させる酵母発現ベクターにアポパインシストロンを連結する〔Jac
obson,M.A.,Gen
e 85:511−516(1989);Riett L.及びBellon
N.,Biochem.28:2941−2949(1989)〕 。
(c)アポパインcDNAのウイルス発現ベクターへのクローニング
アポパインcDNA配列を含むワクシニアウイルスに感染させた後、HeLa
S3細胞のような哺乳動物宿主細胞中で組換えアポパインを産生させる。アポ
パイン:ワクシニアウイルスを産生させるために、先ず、アポパインcDNAを
、pSC11、pTKgptF1s、pMJ601のようなトランスファーベク
ター又は他の適当なベクターに連結し、次いで、同種組換えによりワクシニアウ
イルスにトランスファーする。プラークを精製し、ウイルスを増幅させた後、ア
ポパイン:ワクシニアウイルスを用いて、哺乳動物宿主細胞に感染させて、組換
えアポパインタンパク質を産生させる。
実施例9 アポパインポリペプチドを産生させる方法
組換えアポパインは、
(a)アポパインタンパク質をコードするDNAで宿主細
胞を形質転換して組換え宿主細胞を産生させるステップ;
(b)アポパインを産生させる条件下に組換え宿主細胞を培養するステップ;及
び
(c)アポパインを回収するステップ
に従って産生させる。
組換えアポパインを精製し、標準法に従って特性決定する。
実施例10
アポパイン活性を調節する化合物は、種々の方法で検出し得る。アポパインに
影響を与える化合物を同定する方法は:
(a)テスト化合物とアポパインを含む溶液とを混合して混合物を形成するステ
ップ;
(b)混合物のアポパイン活性を測定するステップ;及び
(c)混合物のアポパイン活性を標準と比較するステップを含む。
アポパイン活性を調節する化合物は医薬組成物中に配合し得る。そのような医
薬組成物は、アポパイン活性が変化していることを特徴とする疾患又は症状の治
療に有用であり得る。アポパイン活性が増大している疾患の例には、免
疫不全症候群、病原性感染症、心血管及び神経の損傷、脱毛症、老化、パーキン
ソン病並びにアルツハイマー病が含まれる。これらの疾患の治療には、アポパイ
ン活性を低下させる化合物を用いた治療が含まれる。アポパイン活性が低下して
いる疾患の例としては、自己免疫疾患、白血病、リンパ腫及び他のガンが挙げら
れる。これらの疾患の治療には、アポパイン活性を高める化合物を用いた治療が
含まれる。
実施例11 N−アセチル−アスパルチル−グルタミル−バリニル−アスパラギン酸 ステップ1
N−t−BOC−L−アスパラギン酸ジベン
ジルエステル
0℃に冷却した、24mlのCHCl3及び2mlのDMF中のN−t−BO
C−L−アスパラギン酸ベンジルエステル(4.00g,12.3mmol)、
ベンジルアルコール(1.46g,13.5mmol)及びHOBt(2.16
g,16.0mmol)の混合物に、EDCI(3.54g,18.4mmol
)を加えた。5℃で3時間半攪拌した後、混合物をH2O(25ml)中に注ぎ
、有
機相を分離し、H2O(10ml)で1回洗浄、Na2SO4で脱水し、溶媒を除
去した。シリカゲル(ヘキサン中10%EtOAcで溶離)上のクロマトグラフ
ィーにかけ、2.10g(41%)の標記化合物を得た。1
H NMR(CDCl3,400MHz)δ1.41(s,9H),2.95(
AB,2H),4.62(m,1H),5.05(s,2H),5.11(s,
2H),5.49(d,1H),7.32(m,10H)。ステップ2
L−アスパラギン酸ジベンジルエステル
2.7mlのCHCl3及び0.3mlのMeOH中のHBr飽和溶液に−7
8℃で1.5mlのCHCl3中の実施例11、ステップ1のN−t−Boc(
0.300g,0.72mmol)を加えた。溶液を−20℃にし、15分間放
置してから飽和NaHCO3中に注いだ。有機相を分離した。水性相をCH2Cl2
(10ml)で抽出し、有機相を合わせ、Na2SO4で脱水した。溶媒を除去
して、粗標記化合物0.212g(93%)を得た。1
H NMR(CDCl3,400MHz)δ2.7−3.0(m,4H),3.
95(dd,1H),5.05(s,2H),5.10(s,2H),7.3(
s,10H)
。ステップ3
N−Ac−Asp−(Bz)−Glu(Bz
)−Val−Asp(ジ−bz)
0.5mlのCHCl3中の実施例11、ステップ2のアミン(0.043g
,0.13mmol)、実施例12のステップ6の酸(0.074g,0.12
mmol)及びHOBt(0.021g,0.15mmol)の混合物にEDC
I(0.034g、0.18mmol)を加えた。実施例11のステップ1と同
様な処理をし、シリカゲル(CHCl3中5%MeOHで溶離)上のクロマトグ
ラフィーにかけ、標記化合物0.105g(94%)を得た。1
H NMR(CDCl3,400MHz)δ0.85(dd,6H),1.98
(s,3H),2.0−2.2(m,3H),2.4−2.5(m,2H),2
.7−2.9(m,2H),3.0−3.1(m,2H),4.23(dd,1
H),4.33(m,1H),4.75(m,1H),4.85(m,1H),
5.0−5.1(m,8H),6.62(d,1H),6.86(m,2H),
7.30(m,20H),7.47(d,1H)。ステップ4
N−Ac−Asp−Glu−Val−Asp
1.5mlのHOAc及び0.5mlのMeOH中の実施例11、ステップ3
の保護テトラペプチド(24mg)と20mgのPd−C(5%)をH2で2時
間処理した。混合物を濾過し、溶媒を除去した。粗生成物をH2Oに溶解、凍結
乾燥して、標記化合物13mg(93%)を得た。1
H NMR(DMSO−d6−CDCl3,400MHz)δ0.82(dd,
6H),1.77(m,1H),1.85(s,3H),2.0(m,2H),
2.2(m,2H),2.5−2.7(m,4H),4.15(dd,1H),
4.39(m,1H),4.52(m,2H),7.57(d,1H),7.8
8(m,2H),8.05(d,1H)。
C20H31N4O12のFAB HRMS:
計算値=519.19385;
実測値=519.19383。
実施例12 ステップ1
N−(t−ブチルオキシカルボニル)−L−
バリンアリルエステル
15mlのCHCl3中のN−(t−ブチルオキシカル
ボニル)−L−バリン(10.53g,48.5mmol)及びアリルアルコー
ル(33ml,49mmol)の溶液に、0℃で、HOBt(8.53g,63
.1mmol)次いでEDCI(13.88g,72.4mmol)を加えた。
最終混合物を4℃で12時間攪拌し、次いで100mlのNH4OAc(25%
)中に注いだ。有機相を分離し、水性相を50mlのCHCl3で洗浄した。有
機相を合わせ、Na2SO4で脱水、濃縮し、シリカゲル(ヘキサン/EtOAc
9:1)上のフラッシュクロマトグラフィーにかけ、標記化合物5.10g(
41%)を得た。1
H NMR(CDCl3,400MHz)δ5.89(m,1H),5.31(
d,1H),5.22(d,1H),4.99(d,NH).4.60(m,2
H),4.22(m,1H),2.13(m,1H),1.44(s,9H),
0.96(d,3H),0.87(d,3H)。ステップ2
L−バリンアリルエステル
−20℃でHBrガスで飽和した100mlのCHCl3/10%MeOH溶
液を−78℃に冷却した。この溶液に、10mlのCHCl3に溶解したN−(
t−ブチルオ
キシカルボニル)−L−バリンアリルエステル(5.10g,19.8mmol
)を加えた。混合物を−20℃に加温し、15分間攪拌し、次いで、氷冷飽和N
aHCO3(300ml)中に注いだ。有機相を分離し、水性相を50mlのC
HCl3で洗浄した。有機相を合わせ、Na2SO4で脱水、濃縮して、標記化合
物3.10g(99%)を得、これをさらに精製せずに次のステップに用いた。1
H NMR(400MHz,CDCl3)δ5.91−5.87(m,1H),
5.32(dq,1H),5.22(dq,1H),4.61−4.68(m,
2H),3.30(d,1H),2.02(m,1H),0.96(d,3H)
,0.88(d,3H)。ステップ3
N−(t−ブチルオキシカルボニル)−L−
グルタミル−g−ベンジルエステル−L−バ
リンアリルエステル
60mlのCHCl3中のN−(t−ブチルオキシカルボニル)−L−グルタ
ミル−g−ベンジルエステル(8.02g,23.8mmol)及びL−バリン
アリルエステル(3.10g,19.7mmol)の溶液に、HOBt(4.1
7g,30.9mmol)次いでEDCI(6.
85g,35.7mmol)を加えた。最終混合物を4℃で12時間攪拌し、次
いで、100mlの水性NH4OAc(5%)中に注いだ。有機相を分離し、1
00mlの飽和NaHCO3で洗浄、Na2SO4で脱水、濃縮し、シリカゲル(
ヘキサン/EtOAc 4:1)上のフラッシュクロマトグラフィーにかけ、標
記化合物6.36g(68%)を得た。1
H NMR(CDCl3,400MHz)δ7.36−7.28(m,5H),
6.76(d,NH),5.92−5.82(m,1H),5.30(dq,1
H),5.22(dq,1H),5.11(s,2H),4.65−4.55(
m,2H),4.50(dd,1H),4.19(d,NH),2.57−2.
46(m,2H),2.21−2.04(m,2H),1.97−1.88(m
,1H),1.41(s,9H),0.92(d,3H),0.89(d,3H
)。ステップ4
L−グルタミル−g−ベンジルエステル−L
−バリンアリルエステル
−20℃でHBrガスで飽和した200mlのCHCl3/10%MeOH溶
液を−78℃に冷却した。この溶液
に、20mlのCHCl3に溶解したN−(t−ブチルオキシカルボニル)−L
−グルタミル−g−ベンジルエステル−L−バリンアリルエステル(6.36g
,13.3mmol)を加えた。混合物を−20℃に加温し、15分間攪拌し、
次いで氷冷飽和NaHCO3(500ml)中に注いだ。有機相を分離し、水性
相を100mlのCHCl3で洗浄した。有機相を合わせ、Na2SO4で脱水、
濃縮して、標記化合物5.00g(99%)を得、これをさらに精製せずに次の
ステップに用いた。1
H NMR(CDCl3,400MHz)δ7.67(d,NH),7.36−
7.28(m,5H),5.93−5.84(m,1H),5.31(dq,2
H),5.22(dq,2H),5.11(s,2H),4.68−4.56(
m,2H),4.50(dd,1H),3.5(d,NH2),2.52(t,
2H),2.21−2.10(m,2H),1.94−1.89(m,1H),
0.93(d,3H),0.88(d,3H)。ステップ5
N−(t−ブチルオキシカルボニル)−L−
アスパルチル−b−ベンジルエステル−L−
グルタミル−b−ベンジルエステル−L−バ
リンアリルエステル
50mlのCHCl3中のL−グルタミル−g−ベンジルエステル−L−バリ
ンアリルエステル(5.00g,13.3mmol)及びN−(t−ブチルオキ
シカルボニル)−L−アスパルチル−β−ベンジルエステル(5.23g,16
.2mmol)の溶液に、0℃で、HOBt(4.17g,30.9mmol)
次いでEDCI(6.85g,35.7mmol)を加えた。最終混合物を4℃
で5時間攪拌し、次いで、100mlの水性NH4OAc(5%)中に注いだ。
有機相を分離し、100mlの飽和NaHCO3で洗浄、Na2SO4で脱水、濃
縮し、シリカゲル(CHCl3/MeOH 2%)上のクロマトグラフィーにか
け、標記化合物8.84g(98%)を得た。1
H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.35−7.24(m,11H)
,6.84(d,NH),5.92−5.82(m,1H),5.54(d,N
H),5.30(dq,1H),5.22(dq,1H),5.12(dd,2
H),5.06(dd,2H),4.64−4.54(m,2H),4.51−
4.45(m,2H),3.04(dd,1H),2.73(dd,1H),2
.6
0−2.43(m,2H),2.22−2.12(m,2H),2.01−1.
92(m,1H),1.42(s,9H),0.91(d,3H),0.88(
d,3H)。ステップ6
N−アセチル−L−(β−ベンジルアスパル
チル)−L−(g−ベンジルグルタミル)−
L−バリン
6mlのDMF中のN−アセチル−L−(β−ベンジルアスパルチル)−L−
(g−ベンジルグルタミル)−L−バリンアリルエステル(0.530g,0.
84mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.9
2g,0.08mmol)の0℃懸濁液に、ピロリジン(0.072ml,0.
86mmol)を滴下した。25分後、EtOAc(40ml)及びNH4OA
c25%(20ml)を加えた。有機相を分離し、水性相を追加のEtOAc(
20ml)で抽出した。有機相を合わせ、Na2SO4で脱水、濃縮し、シリカゲ
ル(CHCl3/MeOH/HOAc、94/4.5/0.5)上のフラッシュ
クロマトグラフィーにかけ、標記化合物0.42g(86%)を得た。1
H NMR(CDCl3,400MHz)δ0.92(t
,J=6.2Hz,6H),1.99(s,3H),2.03(m,1H),2
.1−2.2(m,2H),2.50(m,2H),2.70−3.00(2H
,AB),4.39(dd,J=5.30,J=8.2Hz,1H),4.48
(m,1H),4.80(m,1H),5.06(s,2H),5.10(s,
2H),6.84(m,1H),7.09(d,J=7.7Hz,1H),7.
30(m,10H),7.61(d,J=7.2Hz,1H)。ステップ7
N−(N−アセチル−L−アスパルチル−β
−ベンジルエステル−L−グルタミル−g−
ベンジルエステル−L−バリン)−4−アミ
ノ−5−ベンジルオキシ−2−オキソテトラ
ヒドロフラン
5mlのCHCl3及び0.7mlのDMF中のN−アセチル−L−(β−ベ
ンジルアスパルチル)−L−(g−ベンジルグルタミル)−L−バリン(608
mg,1.04mmol)及びN−アリルオキシカルボニル−4−アミノ−5−
ベンジルオキシ−2−オキソテトラヒドロフラン(335mg,1.15mmo
l)の溶液に、PdCl2
(PPh3)2(43mg,0.060mmol)次いでBu3SnH(310m
l,1.15mmol)を加えた。混合物を10分間攪拌すると、CO2の発生
が認められた。追加量のBu3SnH(310ml,1.15mmol)を加え
、次いで溶液を0℃に冷却した。HOBt(284mg,2.10mmol)次
いでEDCI(245mg,1.28mmol)を加えた。最終混合物を0℃で
4時間攪拌し、次いで、100mlのCHCl3で稀釈し、20mlのNH4OA
c(25%)中に注いだ。有機相を分離し、20mlの飽和NaHCO3で洗浄
、Na2SO4で脱水、濃縮し、シリカゲル(CHCl3/MeOH5%)上のフ
ラッシュクロマトグラフィーにかけ、ジアステレオ異性体混合物(1:1)とし
て標記化合物790mg(98%)を得た。1
H NMR(CDCl3,400MHz)δ8.22(d,NH),7.73(
d,NH),7.37−7.25(m,15H),6.98−6.82(m,N
H),6.52(d,NH),5.58(s),5.48(d),5.12−5
.00(m),4.85(d),4.79(d),4.74−4.59(m),
4.52(dd),4.3
1−4.24(m),4.17(dd),3.07(dd),2.94(dd)
,2.91−2.85(m),2.77(dd),2.74−2.38(m),
2.28−2.23(m),2.16−2.01(m),2.07(s,CH3
CONH),1.99(s,CH3CONH),0.89−0.8(m)。ステップ8
N−(N−アセチル−L−アスパルチル−L
−グルタミル−L−バリニル)−3−アミノ
−3−ホルミルプロピオン酸
5mlのMeOH中のステップ7の生成物(51mg,66mmol)の懸濁
液に、50mgのPd(OH)2(炭上20%)を加えた。混合物をH2雰囲気下
に24時間攪拌した。触媒をセライト上で濾過し、10mlのMeOHで洗浄し
た。MeOH抽出物を濃縮し、シリカゲル(CHCl3/MeOH 5%)上の
フラッシュクロマトグラフィーにかけ、5mlのH2O及び10mlのAcOH
から残留物を凍結乾燥して、標記化合物17mg(47%)を得た。1
H NMR(CD3OD,400MHz)δ4.67(t,1H),4.55(
dd,1H),4.40−4.35
(m,1H),4.31−4.24(m,1H),4.09−4.15(m,1
H),2.85(dd,1H),2.71(dd,1H),2.70−2.60
(m,1H),2.54−2.46(m,1H),2.43−2.38(m,2
H),2.19−2.04(m,2H),1.99(s,3H),1.97−1
.91(m,1H),0.95(d,3H),0.93(d,3H)。
C20H30N4O11+H+のHRMS FAB:
計算値=503.19889;
実測値=503.19893。
本明細書に関する参考文献には以下のものが含まれる:
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】1997年5月30日
【補正内容】請求の範囲
1. 図4cのアミノ酸176−277と合わせるとAc−DEVD−AMCを
切断し得るアポパイン酵素が産生される、図4cに示されているアミノ酸29−
175のアミノ酸配列の少なくとも一部を有する単離精製されたアポパインサブ
ユニット。
2. 図4cのアミノ酸29−175と合わせるとAc−DEVD−AMCを切
断し得るアポパイン酵素が産生される、図4cに示されているアミノ酸176−
277のアミノ酸配列の少なくとも一部を有する単離精製されたアポパインサブ
ユニット。
3. (a)請求項1に記載のサブユニット;及び
(b)請求項2に記載のサブユニット
を含む、Ac−DEVD−AMCを切断し得る単離精製されたアポパイン。
4. 請求項1、2又は3に記載のアポパインをコードする合成DNA分子。
5. 請求項1、2又は3に記載のアポパインを認識する抗体。
6. アポパインを調節する化合物を同定する方法であって、
(a)テスト化合物と請求項3に記載のアポパインを含む溶液とを混合して混合
物を形成すること;
(b)該混合物中のアポパイン活性を測定すること;及び
(c)該混合物中のアポパイン活性を標準と比較することを含む方法。
7. 請求項6に記載の方法により同定された化合物。
8. 請求項7に記載の化合物を含む医薬組成物。
9. 請求項1、2又は3に記載のアポパイン、請求項5に記載の抗体、請求項
4に記載の合成DNA及び請求項4に記載の合成DNAから誘導されたアンチセ
ンス分子から選択される試薬を含むキット。
10. 請求項7に記載の化合物を非ヒト動物に投与することを含む、in v
ivoでアポパイン活性を変化させる方法。
11. 請求項4に記載のDNAのin vivo又はex vivo遺伝子移
植を含む、遺伝子治療によりアポパイン活性を変化させる方法。
12. アポパイン活性を増強又は低下させることを含む
、アポパイン活性が変化していることを特徴とする症状の治療を要する非ヒト動
物を治療する方法。
13. 前記方法が、アルツハイマー病、パーキンソン病、癌、老化、脱毛症、
心血管又は神経の損傷、感染症、自己免疫疾患及び免疫不全症候群から選択され
る、請求項12に記載の方法。
14. 前記症状が、アルツハイマー病、パーキンソン病、癌、老化、脱毛症、
心血管又は神経の損傷、感染症、自己免疫疾患及び免疫不全症候群から選択され
る、請求項14に記載の方法。
15. 請求項4に記載のDNA分子から誘導されたアンチセンス分子。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 FI
A61K 48/00 ABN A61K 48/00 ABN
ADU ADU
ADW ADW
AGZ AGZ
C07K 16/40 C07K 16/40
C12N 9/64 C12N 9/64 Z
C12Q 1/68 C12Q 1/68 A
// A61K 31/70 A61K 31/70
C07B 61/00 C07B 61/00 Z
(72)発明者 ミラー,ダグラス・ケイ
アメリカ合衆国、ニユー・ジヤージー・
07065、ローウエイ、イースト・リンカー
ン・アベニユー・126
(72)発明者 ソーンベリイ,ナンシー・エイ
アメリカ合衆国、ニユー・ジヤージー・
07065、ローウエイ、イースト・リンカー
ン・アベニユー・126
(72)発明者 ニコルソン,ドナルド・ダブリユ
カナダ国、ケベツク・アシユ・9・アシ
ユ・3・エル・1、カークランド、トラン
ス・カナダ・ハイウエイ・16711
(72)発明者 アリ,アンバレーン
カナダ国、ケベツク・アシユ・9・アシ
ユ・3・エル・1、カークランド、トラン
ス・カナダ・ハイウエイ・16711
(72)発明者 バイランコート,ジヨン・ピイ
カナダ国、ケベツク・アシユ・9・アシ
ユ・3・エル・1、カークランド、トラン
ス・カナダ・ハイウエイ・16711