【発明の詳細な説明】
ウイルス性疾患治療用医薬の製造のための(R)−ペンシクロビルトリホスフェ
ートの使用
本発明は、ヒト・免疫不全ウイルス(HIV)およびB型肝炎ウイルス(HB
V)感染の治療に関する。
本明細書の用語「治療」は、適宜、予防を包含する。
EP−A−141927(Beecham Group p.l.c.)には、ペンシクロビル(P
CV)、すなわち式(A)の化合物:
ならびにその塩、リン酸エステルおよびアシル誘導体が、抗ウイルス剤として開
示されている。ペンシクロビルのナトリウム水和物はEP−A−216459(
Beecham Group p.l.c.)に開示されている。ペンシクロビルおよびその抗ウイル
ス活性は、Abstracts of 14th Int.Congress of Microbiology,Manchester,Engl
and 7-13 September 1986のAbstract P.V11-5の193頁(Boydら)にも開示されて
いる。
式(A)の化合物の経口的に活性のある生物学的前駆体は、式(B):
で示される化合物ならびにその塩および式(A)で定義されたのと同様の誘導体
であり、XはC1 〜6アルコキシ、NH2または水素である。XがC1 〜6アルコキ
シまたはNH2である式(B)の化合物はEP−A−141927に開示されて
おり、EP−A−182024(Beecham Group p.l.c.)に開示されているXが
水素である式(B)の化合物は好ましいプロドラッグである。化合物(B)の特
に好ましい例は、EP−A−182024の実施例2に記載されている、Xが水
素であり、2個のOH基がともにアセチル誘導体である化合物であり、以下、こ
れをファムシクロビルという。
EP−A−388049(Beecham Group p.l.c.)には、B型肝炎感染の治療
におけるペンシクロビル/ファムシクロビルの使用が開示されている。
B型肝炎ウイルスに対する抗ウイルス活性は、ペンシクロビルトリホスフェー
ト(PCV−TP)の細胞内生成に依存するように思われる。HBVポリメラー
ゼは多くの酵素活性を有しており、ポリメラーゼとdGMPとの間の共有結合の
形成、T−A−A付加後のRNA指向DNAポリメラーゼ(逆転写酵素)および
DNA指向DNA合成が包含される。
ペンシクロビルのトリホスフェート誘導体は、ヒトのI型免疫不全ウイルス(
HIV−1)のRNA指向DNAポリメラーゼ(逆転写酵素)活性を阻害する。
HIV−1の逆転写酵素は、ゲノムRNAのプロウイルスds−DNAへの変換
に必須の、ウイルスによりコードされている酵素である。
PCV−TPの(R)−エナンチオマーは、HBV DNAポリメラーゼの阻
害およびHIV−1逆転写酵素の阻害という点で(S)−エナンチオマーよりも
活性があることが示されている。
したがって、本発明は、
i)ヒトを包含する哺乳動物におけるHIV−1感染;または
ii)ヒトを包含する哺乳動物におけるHBV感染
の治療方法をであって、かかる治療を必要とするヒトに有効量の式(A)の化合
物:
のトリホスフェートの(R)−エナンチオマーまたはその医薬上許容される塩を
投与することを特徴とする方法を提供する。
(R)−PCV−TPは、細胞壁に吸収され透過することのできる生物学的前
駆体である化合物として投与される。ウイルス感染細胞、特にHIV感染細胞に
対する選択性は、ウイルスによりコードされているプロテアーゼにより優先的に
活性化される生物学的前駆体を選択することによって達成される。生物学的前駆
体は、細胞内で(R)−PCV−MP(後に(R)−PCV−TPに変換される
)を遊離する(R)−PCV−MPの誘導体の形態であってもよい。
化合物を経口ルートでヒトに投与してもよく、化合物をシロップ、錠剤または
カプセルの形態にしてもよい。錠剤の形態の場合、かかる固体調合物の処方に適
した医薬担体、例えば、ステアリン酸マグネシウム、澱粉、ラクトース、グルコ
ース、米粉、小麦粉および胡粉を用いてもよい。化合物は、摂食可能カプセル形
態、例えば、化合物の入ったゼラチンカプセル、またはシロップ、溶液もしくは
懸濁液の形態であってもよい。適当な液体医薬担体は、エチルアルコール、グリ
セリン、セイラインおよび水を包含し、シロップを製造するために香料または着
色料をそれらに添加してもよい。除放処方、例えば、腸溶コーティングを有する
錠剤も考えられる。
非経口投与には、化合物および滅菌担体を含有する液体の1回分の剤型を調製
する。担体および濃度に応じて化合物を懸濁または溶解することができる。通常
には、化合物を担体に溶解し、フィルター滅菌してから適当なバイアルまたはア
ンプルに充填して密封することにより非経口溶液を調製する。有利には、局所麻
酔剤、保存料および緩衝剤のごときアジュバントも担体に溶解する。安定性を向
上させるために、組成物をバイアルに充填した後凍結して減圧下で水分を除去す
ることができる。
化合物を担体に溶解するかわりに懸濁すること、および滅菌担体に懸濁する前
に化合物をエチレンオキシドにさらして滅菌すること以外は実質的に同じ方法で
非経口懸濁液を調製する。有利には、界面活性剤または湿潤剤を組成物に含有さ
せて本発明化合物の均一な分散を容易にする。
通常の慣習であるが、関連する医学的治療における使用についての手書きまた
は印刷された説明書を組成物に添付する。
適当な1回分の用量は、50mgないし1g、例えば、100mgないし50
0mgの有効成分を含有していてもよい。かかる用量を1日1回ないし4回、普
通には1日2回または3回投与してもよい。一般的には、化合物の効果的な用量
は、1日に体重1kgあたり0.1mgないし40mgの範囲であり、より通常
には1日に10mgないし20mg/kgである。
また本発明は、下記治療:
i)ヒトを包含する哺乳動物におけるHIV−1感染;または
ii)ヒトを包含する哺乳動物におけるHBV感染
に用いる医薬の製造における、式(A)の化合物のトリホスフェートの(R)−
エナンチオマーまたはその生物学的前駆体の使用を提供する。
かかる治療を上記方法で実行してもよい。
さらに本発明は、下記治療:
i)ヒトを包含する哺乳動物におけるHIV−1感染;または
ii)ヒトを包含する哺乳動物におけるHBV感染
に用いる医薬組成物であって、有効量の式(A)の化合物のトリホスフェートの
(R)−エナンチオマーまたはその生物学的前駆体、および医薬上許容される担
体を含んでなる医薬組成物を提供する。
かかる組成物を上記方法で製造してもよい。
(R)−PCV−TPの活性を説明する生物学的データは、Shawらにより、Zo
ulinら'Abstracts of the 35th Interscience Cenference on Antimicrobial
Agents and Chemotherapy'17-20 September 1995,H13,p182およびH36,p191によ
り、およびSciniziら'Antiviral Reaearch 1995,Supplement 1,146,A304により
、また英国特許出願第9604909.3号(本願が優先権主張している)とと
もに提出されたZoulinらの添付草稿およびSchinaziの文献を支持して提示された
ポスターからの添付抄録にも記載されている。
下記実施例は、式(A)の化合物のトリホスフェートの(R)−エナンチオマ
ーの生物学的前駆体について説明する。実施例1、2および5はHBV治療にお
いて潜在的に興味あるものであり、実施例3および4はHIV−1治療において
潜在的に興味あるものである。
実施例1
PL−ASOR誘導体
ヒドロキシル基上に保護基を有するPCV誘導体の(S)エナンチオマーをリ
ン酸化し、次いで、保護基を除去して(R)−PCV−MPを得る。Drug Deliv
ery 2,136,1995に記載されたような手順により(R)−PCV−MPを活性化し
、PL−ASORにカップリングさせる。得られた抱合体は蛋白分子1個あたり
複数の(R)−PCV−MP残基を有しうる。
実施例2
リン脂質誘導体
(R)−PCV−MPまたはその保護形態(実施例1のごとく調製)を、アル
キル化によりこの誘導体に変換するか、あるいはリン酸基を活性化し、保護形態
の脂質にカップリングさせ、次いで、脱保護する。
実施例3
(R)−MP Bis(POM)誘導体
(R)−PCV−MPまたはその保護形態(実施例1のごとく調製)を、J.P
harmaceutical Sci.72,324-325,1983またはJ.Med.Chem.38,1372-1379,1995の手
順により、塩化ピバロイルオキシメチルを用いるアルキル化によりbis(PO
M)誘導体に変換し、次いで、存在する保護基を除去してもよい。
実施例4
(R)−MPジフェニルエステル
ヒドロキシル基上に保護基を有するPCV誘導体の(S)エナンチオマーをジ
フェニルホスホロクロリデートで処理し、保護基を除去する。
実施例5
ジミリストイルグリセロールジホスフェート誘導体
(R)−PCV−MPまたはその保護形態(実施例1のごとく調製)を、活性
化形態のsn−1,2−ジミリストイルグリセロールリン酸とカップリングさせ
、次いで、存在する保護基を除去してもよい。
記載例1−(R)−PCVホスフェートの調製
(R)−ペンシクロビルトリホスフェート1aの逆合成分析(retrosynthetic
analysis)によりモノ保護シントン2aスキーム1を得る。さらなる切断を行っ
てキラルフラグメント3aおよび2−アミノ−6−クロロプリン4を得る。モネ
ンシンの全合成におけるKishiらの方法2によれば、シントン3aの合成等価物は
ウレタン5aである。類
推すると、(S)ペンシクロビルトリホスフェート1bの合成にはウレタン5b
が出発物質として必要である。ウレタン5aおよび5bは、(R)−および(S
)−1−(3−ヒドロキシメチルピロリジン−1−イル)シトシンの合成3に用
いられている。
R1およびR2は適当な保護基であり、Xは良好な脱離基である。
ジアステレオマーであるウレタン5aおよび5bは中圧カラムクロマトグラフ
ィーにより分離され、両方の場合において分析用順相クロマトグラフィーにより
86% d.e.であることが示された。ウレタン5aおよび5bのLAHでの還元
により、モノ−ベンジルエーテル6aおよび6bが得られた2。左旋性モノ−ベ
ンジルエーテル6aの旋光度(αD 22−12.4°(c=1.00,クロロホルム);
文献値2αD 22−12.1°(c=0.68,クロロホルム))から、すでにS立体
配置であることがわかっている。立体的に大きなt−ブチルジフェニルシリル基
を用いてモノ−ベンジルエーテル6aおよび6bをシリル化して7aおよび7b
を得て、後の工程において起こり得るシリル移動(silyl migration)を回避し
た。まず、オレフィン7aおよび7bを良好な収率でオゾン化してアルデヒド8
a(収率78%)および8b(収率91%)とし、次いで、還元してDibal
−Hを有するアルコール9aおよび9bとした。
(R)−ペンシクロビルトリホスフェート1aの合成のために、アルコール9
aを中程度の収率で臭化物10aに変換した(Br2,PPh3,DMFを用いて収
率47%)。文献条件下4での2−アミノ−6−クロロプリン4の臭化物10a
を用いるアルキル化を行い、主生成物N−9アルキル化ヌクレオシド11a(収
率75%)を得て、カラムクロマトグラフィーにより不要なN−7異性体12a
(収率14%)から分離した。付加の位置化学は、12aのデカップリングして
いない13C NMRスペクトル5により簡単に確認された。11aの光学的純度は
キラルHPLCによる分析には適さなかった。しかしながら、酸加水分解による
11aのシリル保護基の除去により、クロロプリン13a(収率42%,93%
e.e.)のみならずいくぶんかの所望グアノシンヌクレオシド14a(収率23%
,H94/0223% e.e.)が得られ、それらは両方ともキラルHPLC分析に
適するものであった。長時間の酸加水分解により、クロロプリン13aはグアノ
シンヌクレオシド14a(収率75%)に円滑に変換された。リン酸化剤2−ク
ロロ−4H−1,3,2−ベンゾジオキサホスホリン−4−オン(van Boom試薬)
はすでにオリゴヌクレオチド合成におけるシントンとしてヌクレオシドH−ホス
ホネートの調製に使用されている6。van Boom試薬、次いで、ヌクレオシドトリ
ホスフェート合成7のための文献記載条件8と類似の条件を用いてヌクレオシド1
4a(90% e.e.)のホスフィチレーションを行った。次い
で、ホスフィチル化中間体をピロリン酸トリ−n−ブチルアンモニウムと反応さ
せ、次いで、ヨウ素を用いる酸化により粗ベンジル保護ヌクレオチドトリホスフ
ェート15aを得た。最後に、転移水素化法(transfer hydrogenation)を用い
ることにより、15aからのベンジル保護基の除去を可能にし、トリホスフェー
ト基の完全加水分解を回避する条件が見いだされた。偶然にも、分析用アニオン
交換HPLCにより、15aからのベンジル基の加水分解をモニターすることが
でき、(R)−ペンシクロビルトリホスフェート1aのみならず(R)−ジホス
フェート16aおよび(R)−モノホスフェート17aが得られた。後者の2種
のペンシクロビルヌクレオチドは、転移水素化反応条件下でのトリホスフェート
基の加水分解の結果として得られた。
まずアルコール9bをメシレート9cに変換し、次いで、ヨウ化物10bに変
換すること以外は(R)−トリホスフェート1aの合成について説明した条件と
本質的に同じ条件下で(S)−トリホスフェート1bの合成を行った。2−アミ
ノ−6−クロロプリン4の10bでのアルキル化は、さらにN−9付加物11b
を主生成物として生じ、少量の不要なN−7付加物12bも一緒に生じた。11
bの酸加水分解により少量の6−クロロプリン13b(収率6%)が得られたが
、主に所望グアノシンヌクレオシド14b(収率85%)が得られた。
van Boom試薬での14b(90% e.e.)のホスフィチレーション、次いで、
ピロリン酸トリ−n−ブチルアンモニウム、さらにヨウ素との反応、により粗ト
リホスフェート15bを得た。再び15bの転移水素化を分析用アニオン交換H
PLCによりモニターして所望の(S)−ペンシクロビルトリホスフェート1b
のみならず(S)−ジホスフェート16bおよび(S)−モノホスフェート17
bを得た。すべての(R)−および(S)−ペンシクロビルホスフェートの旋光
度の結果を表1に示す。各エナンチオマーのペアーについて、旋光度の強度およ
び符号は本質的に等しく逆であった。このことにより、転移水素化条件下におい
て前駆体14aおよび14bからのキラル完全性はほとんど失われないか、失わ
れず、両方の場合において90% e.e.であり、それゆえ、1a、1b、16a
、16b、17aおよび17bの光学的純度は各場合において約90%e.e.であ
った。
方法A:
Spherisorbシリカ(250x5.0mm)。バッファーA,ヘキサン;バッファ
ーB,ヘキサン:塩化メチレン(1:1);バッファーC,ヘキサン:エタノール
(80:20)。イソクラチック溶離液 40%A:59%B:1%C,1.00
ml/分。220nmにおけるU.V.検出。
保持時間 5a(主ピーク9.48分、小ピーク8.98分)、5b(主ピーク
9.23分、小ピーク9.69分)。
方法B:
Merck RPセレクトB(125x4mm)。バッファーA,水中TFA(0.1%
);バッファーB,アセトニトリル中TFA(0.1%)。溶離液,40分でBを
5%から80%まで、次いで、Bを80%として10分。流速2.00ml/分
。215nmにおけるU.V.検出。
方法C:
Chiralpak AD(250x4.6mm)。イソクラチック溶離液 ヘキサン:エ
タノール(7:3),1.00ml/分。220nmにおけるU.V.検出。
方法D:
Chiralpak AD(250x4.6mm)。イソクラチック溶離液 0.1%DEA
を含有するヘキサン:エタノール(1:1),1.0ml/分。240nmにおけ
るU.V.検出。
方法E:
Chiracel OB(250x4.6mm)。イソクラチック溶離液 ヘキサン:エタ
ノール(98:2),1.00ml/分。220nmにおけるU.V.検出。
方法F:
Chiracel OC(250x4.6mm)。イソクラチック溶離液 0.1%TFA
を含有するヘキサン:エタノール(95:5),1.00ml/分。220nmに
おけるU.V.検出。
方法G:
Rainin Hydropore SAX(100x4.6mm、プレカラム付き)12μm。バ
ッファーA,リン酸アンモニウム:メタノール(9:1,10mM,pH5.7)、
バッファーB,リン酸アンモニウム:メタノール(9:1,125mM,pH5.7
)。グラジエント溶離液 25分でBを0%から25%まで、1.00ml/分
。254nmにおけるU.V.検出。
2−ベンジルオキシメチル−4−ペンテン−1−オール(6)
アルゴン下の氷浴で冷却されているジメチルホルムアミド(50ml)中の水
素化ナトリウム(4.765g,119.1mmol)の撹拌溶液に、ジメチルホ
ルムアミド(75ml)中の2−ヒドロキシメチル−4−ペンテン−1−オール8
(11.07g,95.3mmol)の溶液を20分かけて滴下した。冷浴を除去
し、1時間撹拌してから溶液を氷浴で再冷却した。ジメチルホルムアミド(75
ml)中の臭化ベンジル(11.34ml,95.3mmol)の溶液を5分かけ
て添加し、室温で18時間撹拌後、反応混合物をブライン(1.5L)中に注ぎ
、ジエチルエーテル(4x300ml)で抽出した。有機フラクションを水(2
x1.0L)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮してうす褐
色油状物質(17.40g)を得た。10% ジエチルエーテル:ヘキサンから1
00%ジエチルエーテルまでのグラジエントを用いるシリカゲルクロマトグラフ
ィーにより粗油状物質を精製して油状物質を得た(11.30g,57.5%);1
H NMR(270MHz,CDCl3)δ7.53から7.37(5H,m)芳香族
;5.90(1H,ddt),5.15(2H,m),4.67(1H,d),4.62(
1H,d),3.89から3.69(3H,m),3.62(1H,dd),2.38(1
H,bs),2.23(2H,ddd),2.09(1H,m);13Cδ(67.8MH
z,CDCl3)138.00,136.26,128.48,127.76,127.6
3,116.56,73.47,73.34,65.73,40.37,32.79;m/z
(CI)207(MH+);C13H18O2として計算値C 75.69,H 8.80
実測値C 75.30,H 8.84。
(R)−(+)および(S)−(−)−2−ベンジルオキシメチル−4−ペンテ
ン−1−オール
窒素下のトリエチルアミン(40ml、新たにP2O5を留去)中の(±)−2
−ベンジルオキシメチル−4−ペンテン−1−オール(8.52g,41.3mm
ol)の撹拌溶液に、(R)−(−)−1−(1−ナフチル)エチルイソシアネ
ート(8.00g,40.56mmol)を添加した。16時間後、混合物を濾過
し、固体をヘキサンで洗浄した。濾液を減圧濃縮してうす黄色物質を得た(15
.46g)。塩化メチレン:ヘキサン:ジエチルエーテル(10:10:
1)で溶離する徹底的なシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、早く移動
するジアステレオマー(5a)(5.15g,30.9g)を得て、分析用順相H
PLC(方法A)により86% d.e.であることが示された。おそく移動するジ
アステレオマー(5b)(5.49g,32.9%)もHPLC(方法A)により
86% d.e.であることが示された。ジエチルエーテル(250ml)中の早く
移動するジアステレオマー(5a)(5.15g,12.76mmol)の溶液に
、固体水素化アルミニウムリチウム(484mg,12.76mmol)を添加し
、混合物を24時間還流した。水浴で混合物を冷却し、水(0.43ml)を添
加し、次いで、水酸化ナトリウム溶液(2.5m,0.85ml)を添加し、最後
にさらに水(1.06ml)を添加した。室温で20分撹拌後、混合物をセライ
トで濾過し、濾液を減圧濃縮して透明油状物質(4.89g)を得た。塩化メチ
レン:ヘキサン:ジエチルエーテル(5:5:1)から(5:5:2)までのグ
ラジエントで溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによる精製を行って
(S)−(−)−2−ベンジルオキシメチル−4−ペンテン−1−オール(6a
)(1.97g,75%)を得た。同様にして、おそく移動するジアステレオマー
(5b)(5.49g,13.6mmol)を水素化アルミニウムリチウムで還元
して(R)−(+)−2−ベンジルオキシメチル−4−ペンテン−1−オール(
6b)(2.535g,90.3%)を得た。
(S)−(−)−2−ベンジルオキシメチル−4−ペンテン−1−オール(6a
)
ジエチルエーテル中のTLCにおいて早く移動するジアステレオマー(5a)
の水素化アルミニウムリチウム還元により得た。[αD 22−12.44°(クロロ
ホルム,c=1.00)]、[文献値αD 22−12.1°(c=0.68,クロロホル
ム)]。キラルHPLC(方法E)による光学的純度、保持時間。
(R)−(+)−2−ベンジルオキシメチル−4−ペンテン−1−オール(6b
)
ジエチルエーテル中のTLCにおいておそく移動するジアステレオマー(5b
)の水素化アルミニウムリチウム還元により得た。キラルHPLC(方法E)に
よ
る光学的純度%、保持時間。上記コメント参照。
(S)−2−ベンジルオキシメチル−1−O−(1−ブチルジフェニルシリル)
−4−ペンテン(7b)
アルゴン下のジメチルホルムアミド(25ml)中の(R)−(+)−アルコ
ール(6b)(1.67g,% e.e.,8.1mmol)の撹拌溶液に、イミダゾー
ル(1.213g,17.8mmol)、次いで、t−ブチルジフェニルクロロシ
ラン(2.448g,8.9mmol)を添加した。混合物を室温で16時間撹拌
し、次いで、希ブライン中に注ぎ、塩化メチレンで抽出した。有機フラクション
を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮して無色油状物質(4.18g)
を得た。ヘキサン中1%ジクロロエーテルで溶離するシリカゲルカラムクロマト
グラフィーにより7bを透明油状物質として得た(3.43g,95%)。
(R)−2−ベンジルオキシメチル−1−O−(t−ブチルジフェニルシリル)
−4−ペンテン(7a)
上記方法と同様にして(S)−(−)−アルコール(6a)(1.71g,8.
90mmol)をシリル化し、その後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに
より7aを透明油状物質として得た(2.07g,83%)。1H NMR(200
MHz,CDCl3)δ上記参照。
(R)−2−ベンジルオキシメチル−1−O−(t−ブチルジフェニルシリル)
ブタン−4−アール(8a)
−70℃の塩化メチレン(60ml)中のシリル保護オレフィン(1.32g,
2.99mmol)(7a)の溶液にオゾンガスを吹き込んだ。10分後、TL
Cにより、すべての出発物質が消費されたことが示され、次いで、出てくるガス
にオゾンが含まれなくなるまでアルゴンを溶液に吹き込んだ。次いで、DCM(
10ml)中のトリフェニルホスフィン(0.94g,3.59mmol)の溶液
を添加し、放置してゆっくりと室温まで暖めた。16時間後、混合物を減
圧濃縮してうす黄色油状物質(3.606g)を得た。ヘキサン中2%ジエチル
エーテルからヘキサン中10%ジエチルエーテルまでのグラジエントで溶離する
シリカゲルクロマトグラフィーにより標記化合物(8a)を油状物質として得た
(1.03g,78%)。1H NMR(200MHz,CDCl3)δ9.75(1
H,t),7.61(4H,bd),7.42から7.22(11H,m),4.45(2
H,s),3.67(2H,m),3.55(1H,dd),3.45(1H,dd),2.
52(3H,bs),1.03(9H,s)。
(S)−2−ベンジルオキシメチル−1−O−(t−ブチルジフェニルシリル)
−ブタン−4−アール(8b)
同様の方法で、アルゴン下の内部温度−68℃の塩化メチレン(150ml)
中のオレフィン(7b)(3.315g,7.46mmol)の溶液にオゾンガス
を吹き込んだ。15分後、溶液が青色になった。出てくるガスにオゾンが含まれ
なくなるまでアルゴンを溶液に吹き込んだ。30分後、DCM(30ml)中の
トリフェニルホスフィンの溶液を添加し、放置してゆっくりと室温まで暖め、6
4時間撹拌した。上記のごとく精製して透明油状物質として得た(3.03g,9
0%)。
(R)−2−ベンジルオキシメチル−1−O−(t−ブチルジフェニルシリル)
−ブタン−1−オール(9a)
アルゴン下の−70℃の塩化メチレン(50ml)中のアルデヒド(8a)(
2.132g,4.80mmol)の撹拌溶液に、塩化メチレン中の水素化ジイソ
ブチルアルミニウムの溶液(1.0M,5.30ml)を5分かけて滴下した。−
70℃で1時間後、TLCにより、すべての出発物質が消費されたことが示され
た。次いで、酢酸エチル(1.77ml)を添加し、さらに水(1.6ml)を添
加し、冷浴を除去し、水浴と交換した。20分後、炭酸水素ナトリウム(629
mg,7.49mmol)を添加し、混合物を2.5時間撹拌した。濾過により固
体を除去し、塩化メチレンで洗浄した。濾液を減圧濃縮して9aを透明
油状物質として得て(2.2g,103%)、これをさらに精製することなく使用
した。1H NMR(200MHz,CDCl3)δ7.64(4H,bm),7.44
から7.25(11H,m),4.48(2H,s),3.65(4H,m),3.6
0(1H,dd),3.45(1H,dd),2.73(1H,bt),2.02(1
H,m),1.67(2H,m),1.04(9H,s)。
(S)−2−ベンジルオキシメチル−1−O−(t−ブチルジフェニルシリル)
−ブタン−1−オール(9b)
アルゴン下の−68℃のDCM(71ml)中の粗アルデヒドに、シリンジを
介してdibal−Hを5分間添加した。4.25時間後、TLCにより、すべ
ての出発物質が消費されたことが示され、EtOAc(2.50ml)を添加す
ることにより反応を不活性化した。冷浴を除去し、水浴と交換し、混合物をさら
に0.5時間撹拌した。固体炭酸水素ナトリウム(0.893g,10.63mmo
l)を添加し、さらに1時間撹拌した。濾過により固体を除去し、塩化メチレン
で洗浄した9bを粗油状物質として得て(2.89g,95%)、さらに精製する
ことなく使用した。
(R)−2−ベンジルオキシメチル−1−O−(t−ブチルジフェニルシリル)
−4−ブロモブタン(10a)
ジメチルホルムアミド中の上記アルコール(2.142g,4.80mmol)
およびトリフェニルホスフィン(1.386g,5.29mmol)の撹拌溶液に
、臭素(0.272ml,5.29mmol)を滴下した。室温で16時間撹拌後
、混合物を水中に注ぎ、固体を濾過し、ヘキサンで洗浄した。水性フラクション
をヘキサンで洗浄し、合わせた有機フラクションを硫酸ナトリウムで乾燥し、減
圧濃縮してうす黄色油状物質(2.98g)を得た。ヘキサン中5%から25%
までの塩化メチレンでグラジエント溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ーにより標記化合物(9a,1.14g,46.7%)を油状物質として得た。1
H NMR(250MHz,CDCl3)δ7.65(4H,m),7.47から
7.24(11H,m),4.48(2H,s),3.69(2H,m),3.53(2H
,m),3.42(2H,t),2.12から1.92(3H,m),1.04(9H,s
)。
(R)−2−ベンジルオキシメチル−1−O−(t−ブチルジフェニルシリル)
−ブタン−4−O−メタンスルホネート(9c)
アルゴン下の−5℃の塩化メチレンおよびトリエチルアミン(1.35ml,
9.68mmol)中の粗アルコール(2.894g,6.45mmol)の撹拌溶
液に、塩化メタンスルホニル(0.6ml,7.74mmol)を7分かけて滴下
した。混合物を5℃まで暖め、さらに1.5時間撹拌し、次いで、0℃まで冷却
し、希塩酸(1.25M)を添加した。有機相を分離し、水相を塩化メチレンで
抽出した。全有機フラクションを希炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナト
リウムで乾燥し、濾過し、減圧蒸発してうす黄色油状物質(3.40g)を得て
、さらに精製することなく使用した。1H NMR(200MHz)δ7.63(
4H,m),7.45から7.23(11H,m),4.47(2H,s),4.26(2
H,dt),3.68(2H,m),3.52(2H,m),2.88(3H,s),2.0
1(1H,m),1.88(2H,m),1.04(9H,s)。
(R)−2−ベンジルオキシメチル−1−O−(t−ブチルジフェニルシリル)
−4−ヨード−ブタン(10b)
アルゴン下のアセトン(60ml)中のメシレート(9c)(3.40g)(
6.45mmol)の撹拌溶液に、ヨウ化ナトリウム(1.934g,12.9mm
ol)を添加した。次いで、混合物を還流下で3.5時間加熱し、室温まで冷却
し、減圧濃縮した。塩化メチレンおよび水を添加し、分離させ、水相を塩化メチ
レンで逆抽出した。有機相を分離し、水相をまずメタ重硫酸ナトリウムで、次い
で、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧除去してうす黄
色油状物質(3.391g)を得た。ヘキサン中2%ジエチルエーテルからヘキ
サン中5%ジエチルエーテルまでのグラジエントで溶離するシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィーにより標記化合物(10b)(2.740g,76%)を透
明油状物質として得た。1H NMR(200MHz,CDCl3)δ7.63(4
H,m),7.45から7.22(11H,m),4.47(2H,s),3.69(2H
,m),3.54(2H,m),3.18(2H,br),1.97(3H,m),1.04
(9H,s)。
(R)−2−ベンジルオキシメチル−1−O−(t−ブチルジフェニルシリル)
−4−(2−アミノ−6−クロロプリン−9−イル)−ブタン(11a)
アルゴン下の室温のジメチルホルムアミド(9.20ml)および2−アミノ
−6−クロロプリン(0.340g,2.00mmol)中の臭化物(10a)(
1.017g,2.00mmol)の撹拌溶液に、炭酸カリウム(0.415g,3.
00mmol)を添加した。22時間後、反応混合物を水中に注ぎ、塩化メチレ
ン:メタノール(99:1)で抽出した。一緒にした有機抽出物をブラインで洗
浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮して黄色油状物質(1.28
7g)を得た。塩化メチレン中1%から3%までのメタノールのグラジエントで
溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより11aを油状物質(0.9
0g,75.1%)として得た。1H NMR(200MHz,CDCl3)δ7.6
2(5H,m),7.48から7.22(11H,m),5.04(2H,bs),4
.47(2H,s),4.10(2H,t),3.69(2H,d),3.48(1H,
dd),3.37(1H,dd),2.09から1.78(3H,m),1.04(9
H,s)。
(S)−2−ベンジルオキシメチル−1−O−(t−ブチルジフェニルシリル)
−4−(2−アミノ−6−クロロプリン−9−イル)−ブタン(11b)
ジメチルホルムアミド(22.5ml)中のヨウ化物(10b)(2.40g,
4.90mmol)の撹拌溶液に、アルゴン下で室温において2−アミノ−6−
クロロプリン(834mg,4.91mmol)および炭酸カリウム(1.01g,
7.38mmol)を添加した。30時間後、メタノール:塩化メチレン(1:
99,250ml)を添加し、混合物を水(1L)中に注いだ。水性フラクショ
ンをメタノール:塩化メチレン(1:99,3x250ml)で逆抽出した。全
有機フラクションを硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮して油状物質(
11.0g,残存ジメチルホルムアミドを含有)を得た。油状物質を塩化メチレン
(200ml)中に取り、水(1L)で洗浄した。水相を塩化メチレン(3x2
00ml)で逆抽出した。合わせた有機相を水(1L)で再度洗浄し、硫酸ナト
リウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮して黄色油状物質(3.162g)を得た。
DCM、次いでメタノール:塩化メチレン(1:99)、最後にメタノール:塩
化メチレン(1.5:98.5)で溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィー
により11b(2.502g,85%)を5%未満のDMFを含有(1H NMRに
て)する油状物質として得た。
(R)−2−ベンジルオキシメチル−1−O−(t−ブチルジフェニルシリル)
−4−(2−アミノ−6−アミノ−7−イル)ブタン(12b)
11bのシリカゲルカラム精製のおそく溶離するフラクションとして標記化合
物を得た。得られた油状物質を酢酸エチル:ヘキサンから再結晶して白色固体(
457mg,15.6%)を得た。融点109〜110℃。HPLC純度(方法)
98.0%、m/z 603(M+H)。1H NMR(400MHz,DMSO−
d6)8.33(1H,s),7.54(4H,m),7.48から7.23(11H,m
),6.61(2H,bs),4.42(2H,t),4.37から4.27(2H,m)
,3.64(2H,m),3.50(2H,m),1.95(1H,m),1.83(2H,
m),0.93(9H,s)。13C(100.6MHz,DMSO−d6)164.2
5,159.84,149.18,142.03,138.28,134.91,132.8
6,132.82,129.71,128.10,127.73,127.25,127.2
2,114.61,72.06,69.42,63.64,44.51,38.83,29.9
2,26.49,18.65。
(S)−2−ベンジルオキシメチル−4−(2−アミノ−6−クロロプリン−9
−イル)−ブタン−1−オール(13a)
テトラヒドロフラン(4.0ml)中の11a(158mg,0.27mmol
)の撹拌溶液に、アルゴン下で室温において塩酸(2M,4.0ml)を添加した
。24時間後、過剰の飽和炭酸ナトリウムを添加した。水相を酢酸エチルで抽出
し、次いで、クロロホルムで抽出した。全有機フラクションを硫酸ナトリウムで
乾燥し、濾過し、蒸発して透明油状物質(135mg)を得た。塩化メチレン中
2%から4%までメタノールを増加させるグラジエントで溶離するシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィーにより13a(60mg,66%)を油状物質として得
た。試料をEtOAc:ヘキサンから再結晶して白色固体を得た。1H NMR(
400MHz,CDCl3)δ7.74(1H,s),7.42から7.28(5H,m
),5.11(2H,bs),4.50(2H,dd),4.17(2H,m),3.75
(2H,d),3.56(2H,m),2.45(1H,bs),2.08から1.90(
2H,m),1.83(1H,m)。m/z(FAB)362(M+H)。キラルH
PLC(方法C)93.6% e.e.。
(S)−2−ベンジルオキシメチル−4−(9−グアニニル)−ブタン−1−オ
ール(14a)
テトラヒドロフラン(15ml)中のクロロプリン(13a)の撹拌溶液に、
塩酸(2M,15ml)を添加し、アルゴン下で60℃において26時間撹拌し
た。反応混合物を水浴で冷却し、水酸化ナトリウム溶液(10M)を添加してp
H9とした。水相をメタノール:EtOAc(7:93,4x35ml)で抽出
した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧蒸発して油状物質(15
0mg)を得た。放置すると水相から結晶化した白色固体を濾過し、水(3ml
)、次いでジエチルエーテルで洗浄し、減圧乾燥して標記化合物(14a)(1
75mg,56.8%)を得た。1H NMR(400MHz,DMSO−d6)10
.55(1H,s),7.66(1H,s),7.40から7.22(5H,m),6.4
4(2H,bs),4.51(1H,t),4,42
(2H,t),4.00(2H,t),3.49から3.30(4H,m),1.76(2
H,q),1.64(1H,m)。HPLC純度(方法 )98.3%、キラルHP
LC(方法D)89.6%e.e.、保持時間 主ピーク10.3分、小ピーク6.9
分。(C17H21N5O3−7.7ppm,NH3Cl)m/z 343.1617。塩
化メチレン中メタノールを増加させる(8〜22%)グラジエントで溶離するシ
リカゲルカラムクロマトグラフィーにより14a(87mg,28.2%)を油状
物質として得た。
(R)−2−ベンジルオキシメチル−4−(2−アミノ−6−クロロプリン−9
−イル)−ブタン−1−オール(13b)
アルゴン下、室温のTHF(6.22ml)中の11b(248mg,0.42
mmol)の撹拌溶液に、塩酸(2.0M,6.1mmol)を添加した。26時
間後、テトラヒドロフランを減圧除去した。水相をEtOAc(3x30ml)
で抽出し、全有機フラクションを硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧蒸発し
て油状物質を得た。クロロホルム、次いでメタノールを増加(1から4%)させ
るグラジエントで溶離するシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより13b(
96mg,63.8%)を得た。得られた油状物質を酢酸エチル:ヘキサンから再
結晶して白色固体(86mg,57.2%)を得た。キラルHPLC(方法C)8
6.2% e.e.。
(R)−2−ベンジルオキシメチル−4−(9−グアニニル)−ブタン−1−オ
ール(14b)
アルゴン下、室温のテトラヒドロフラン(56ml)中のクロロプリン(11
b)(2.235g,3.71mmol)の撹拌溶液に、塩酸(2.0M,56ml
)を添加した。混合物を65〜70℃の範囲で20時間加熱し、室温まで冷却し
、水酸化ナトリウム(12.5M、約9ml)で中和してpH7とした。減圧蒸
発によりテトラヒドロフランを除去した。水相を塩化メチレン(100ml)で
抽出し、エマルジョンを得て、濾過により固体を取った。固体を塩化メ
チレン(100ml)、次いでジエチルエーテル(50ml)で洗浄した。水相
を塩化メチレン(100ml、固体の洗浄液から)で逆抽出した。一緒にした有
機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮して油状物質(1.61
6g)を得た。水層をpH7に合わせ、氷浴で2時間冷却した。得られた固体を
水、次いでジエチルエーテルで洗浄し、最初のクロップと一緒にした。一緒にし
た固体をメタノール中に取り、濾過し、減圧濃縮して14b(944mg,74.
5%)を得た。HPLC純度98.2%、キラルHPLC(方法D)81.4% e
.e.。試料(755mg)を水(約90ml)から再結晶し、放置して室温まで
ゆっくりと冷却した。得られた固体を濾過し、水洗し、減圧乾燥して14b(6
09mg,回収率80.7%)を得た。キラルHPLC(方法D)89.9% e.e.
。保持時間 主ピーク6.7分、小ピーク10.4分。HPLC純度(方法B)9
8.9%。C17H2N5O3(H2O)0.6として、計算値C=57.43;H=6.2
9およびN=19.70、実測値 C=57.49;H=6.07およびN=19.
72。
(S)−ペンシクロビルトリホスフェート(1b)、ジホスフェート(16b)
およびモノホスフェート(17b)
(R)−ヌクレオシド(14b)(174mg,0.51mmol)の懸濁液を
ピリジン(2x10ml)と共沸させた。ピリジン(1.22ml)およびジメ
チルホルムアミド(4.62ml)中の撹拌懸濁液に、ジオキサン(1.13ml
、さらに洗浄用に0.5ml)中の2−クロロ−4H−1,3,2−ベンゾジオキ
サホスホリン−4−オン(113mg,0.57mmol)の溶液を添加した。ヌ
クレオシドは即座に溶解し始め、うす黄色が観察された。10分後、トリ−n−
ブチルアミン(0.58ml)およびジメチルホルムアミド(2.9ml)中のト
リ−n−ブチルアミンピロホスフェート(336mg)の溶液を添加した。さら
に10分後、ピリジン:水(98:2;v:v;10.2ml)中のヨウ化物(
1% w/v)の溶液を添加した。ヨウ化物添加から15分後、反応物を水(8
0ml)に注ぎ、クロロホルム(4x80ml)で抽出した。水相を減圧濃縮し
て粗ベンジル保護トリホスフェート(15b)(460mg)を得た。水:メタ
ノール(1:1,80ml)中の粗トリホスフェート(460mg)に、アルゴ
ン下で撹拌しながら炭素上パラジウム触媒(Johnson-Matthey,Type487L,174
mg)を添加した。15分後、セライトでの濾過により触媒を除去し、熱メタノ
ール:水(1:1、90ml)で洗浄した。アルゴン下で撹拌しながらギ酸アン
モニウム(1.0g)およびパラジウム触媒(203mg)を濾液に添加した。
93〜103℃の温度で混合物を還流状態で6時間加熱した。その間反応
が50%未満進行して、反応終結をアニオン交換HPLC(方法 )により判定
した。熱反応混合物をセライトで濾過し、触媒を熱水:メタノール(1:1,2
00ml)で洗浄した。濾液を減圧濃縮し、水(700ml)から凍結乾燥して
白色固体(620mg)を得た。この固体を転移水素化条件に再び供した。粗部
分脱保護トリホスフェート(620mg)の溶液に。この固体を転移水素化条件
に再び供した。水:メタノール(1:1,160ml)中の粗部分脱保護トリホ
スフェート(620mg)の溶液に、アルゴン下で撹拌しながらギ酸アンモニウ
ム(480mg)およびパラジウム触媒(50mg)を添加した。油浴温度80
℃で1.5時間混合物を加熱し、その後、アニオン交換HPLCにより判定した
ところ脱保護が進行したと考えられる。熱反応混合物をセライトで濾過し、触媒
を熱水:メタノール(1:1,200ml)で洗浄した。濾液を減圧濃縮して白
色固体(900mg)を得て、水(1x500ml、次いで1x150ml)か
ら凍結乾燥して粗1b、16bおよび17b(367mg)を得た。
その半量を精製して以下のものを得た:
50mg PCV.TP
40mg PCV.DP
10mg PCV.MP
(R)−ペンシクロビルトリホスフェート(1a)、ジホスフェート(16a)
およびモノホスフェート(17a)
エナンチオマー(15b)の合成について上で説明したのと同じ条件下で(S
)
−ヌクレオシド(14a)(174mg,0.51mmol)をリン酸化し、粗ベ
ンジル保護15aに変換した。粗ベンジル化トリホスフェート(15a)を水:
メタノール(1:1,80ml)中に取り、炭素上パラジウム触媒(Type487L,1
75mg)とともに撹拌した。20分後、混合物をセライトで濾過し、触媒を水
:メタノール(1:1、80ml)で洗浄した。濾液を転移水素化脱ベンジル化
反応に用いた。アルゴン下で撹拌しながら濾液(160ml)にギ酸アンモニウ
ム(530mg)および炭素上パラジウム(153mg)を添加した。油浴温度
を76〜78℃で混合物を加熱し、アニオン交換HPLC(方法 )によりモニ
ターした。3.5時間後、パラジウム触媒(305mg)を添加し、さらに5.5
時間後、パラジウム触媒(142mg)を添加した。6.5時間後、反応物をセ
ライトで濾過し、触媒を熱H2O:メタノール(1:1,200ml)で洗浄し、
濾液を減圧濃縮した。水:メタノール(1:1,160ml)、ギ酸アンモニウ
ム(265mg)およびパラジウム触媒(150ml)に濾液を溶解した。混合
物をアルゴン下で撹拌し、76〜78℃の範囲の油浴で加熱した。5.5時間後
、アニオン交換HPLCにより脱保護が完了したと思われた(≦1%()残存)
。熱反応混合物をセライトで濾過し、熱メタノール:水(1:1,100ml)
で触媒を洗浄した。濾液を減圧濃縮し、水(25ml)とともに共沸させて油状
物質(830mg)を得た。次いで、水(1x300ml、次いで1x125m
l)から凍結乾燥して白色固体を得た(376mg)。
文献
記載例2 (R)−PCVホスフェートの調製−別法
9−(4−ヒドロキシ−3−O−モノメトキシトリチルメチルブト−1−イル)
グアニン(9−Sおよび9−R)
9−(4−O−イソブチリル−3−ヒドロキシメチルブト−1−イル)グアニ
ン(それぞれ4−R,ピーク1または4−S,ピーク2)(0.3g,0.9mmo
l)を高真空下で2時間乾燥し、次いで、DMF(3ml)に溶解した。得られ
た溶液に、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(0.75ml,5.
5mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩放置した。反応の進行をUV
により追跡した(λ=254nmにおける吸収極大の消失、およびλ=301n
mにおける新たな吸収極大の出現、エキソアミノ保護4−Rまたは4−Sに対応
)。反応完了後、DMFを減圧蒸発し、次いで、残渣を無水ピリジン(5ml)
に溶解した。得られた溶液に、モノメトキシトリチルクロリド
(0.3g,0.95mmol)を添加した。反応混合物を室温に一晩維持し、次
いで、濃NH4OH溶液(5ml)を添加した。全反応物を一晩放置し(λ=3
01nmにおける吸収極大が消失)、次いで、溶媒を減圧蒸発した。油状残渣を
CH2Cl2(10ml)に溶解し、溶液をH2O(3x5ml)で抽出した。有
機フラクションをMgSO4で乾燥し、次いで、CH2Cl2を蒸発させた。粗9
−(4−O−イソブチリル−3−O−モノメトキシトリチルメチル−ブト−1−
イル)グアニン(7)をCH2Cl2に再溶解し、次いで、ヘキサンに滴下した。
沈殿を濾過し、減圧乾燥した。収量は、7の各異性体0.3gであった。化合物
7(0.3g)をDMF(7.5ml)およびCH3OH(7.5ml)に溶解し、
得られた溶液に1M NaOH(3ml)を添加してイソブチリル保護基を除去
した。室温で3時間後、反応混合物をDowex 50Wx8(ピリジニウム型)で中和し
た。樹脂を濾過し、次いで、CH3OHで洗浄した。濾液および洗浄液を一緒に
し、溶媒を減圧蒸発した。溶離溶媒系としてCH2Cl2中0%から8%までのC
H3OHのステップワイズグラジエントを用いるシリカゲルカラムクロマトグラ
フィーにより粗9を精製した。9−Rの収量は0.11g(25%)であり、9
−Sの収量は0.26g(55%)であった。
9−R:TLC(CH2Cl2/CH3OH,9:1)Rf0.12;UV(95%C2
H5OH)、λmax235、λmin224、λsh246,263;9−S:TLC
(CH2Cl2/CH3OH,9:1)Rf0.12;UV(95%C2H5OH)、λmax
235、λmin224、λsh243,263。
注:MMTrPCV(9)を、グアニンエキソアミノ基保護ありおよびなしの両
方で合成した。それらの収率は同様であった。
9−(4−ヒドロキシ−3−ヒドロキシメチル−ブト−1−イル)グアニントリ
ホスフェート(10−Rおよび10−S)
9−(4−ヒドロキシ−3−O−モノメトキシトリチルメチル−ブト−1−イ
ル)グアニン(9−Sまたは9−R)(60mg,0.11mmol)を室温で減
圧乾燥し、次いで、撹拌棒を入れた反応フラスコ中にDMF(3.6ml)およ
び無水ピリジン(1.2ml)を隔壁を通して注入した。すべての操作の間、窒
素を充填したバルーンに接続することにより、わずかに陽圧の窒素を反応容器に
維持した。新たに調製した無水ジオキサン(0.55ml)中の2−クロロ−4
H−1,2,3−ジオキサホスホリン−4−オン(5)の1M溶液を、十分に撹拌
されている9の溶液中に注入した。15分後、無水DMF(1.5ml)中のビ
ス(トリ−n−ブチルアンモニウム)ピロホスフェート(6)の0.5M溶液、
次いで、トリ−n−ブチルアミン(1ml)を素早く注入した。15分後、反応
混合物を2つの等しい部分に分け(各3.9ml)、一方に水含有ピリジン/T
HF中のヨウ素の25%溶液を添加し、ヨウ素を過剰とした。15分後、2〜3
滴の5%NaHSO3水溶液を添加することにより過剰のヨウ素を破壊した。残
渣をH2O(5ml)に再溶解した。室温で30分放置後、溶液を蒸発乾固させ
、次いで、80% AcOH(25ml)を添加した。反応混合物を室温に0.5
時間維持し、次いで、AcOHをn−BuOHとともに共沸させて乾固させた。
残渣を水(8ml)で処理し、得られた懸濁液をCH2Cl2(3x2ml)で抽
出した。生成物を含有するH2Oフラクションを分離し、Acrodisc LC13PVDF(0
.45μm,Gelman)で濾過した。HiLoad 26/10,Q Sepharose Fast Flow Pharmac
iaカラムを用いるFPLCにより粗PCVTPを精製した。0.05Mから0.7
MまでのTEABバッファー(pH7.0)のグラジエント(流速10ml/分
)でカラムを溶離した。生成物を含むフラクションを集め、凍結乾燥した。PC
Vトリホスフェート10−Rおよび10−Sの収量は、それぞれ90A260ユニ
ット(εPCVTP=11.5x103と仮定して約3.5mg)であった。10
−R:UV(H2O)λmax253、λsh262;HPLC(カラム:4.6x10
0mm,Rainin Hydropore SAX、グラジエント 10% CH3OH含有10mM
NH4K2PO4から10% CH3OH含有125mM NH4K2PO4まで、15
分、pH5.5、流速1ml/分、検出:254nm)。Rt9.8;MS/ES
I 492.0[M−H]。10−S:UV(H2O)λmax252、λmax265
;HPLC(カラム:4.6x100mm,Rainin Hydropore SAX、グラジエント
10mM NH4K2PO4,10% CH3OHから125mM NH4
K2PO4,10% CH3OHまで、15分、pH5.5、流速1ml/分、検出:
254nm)。Rt9.0;MS/ESI 492.0[M−H]。
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(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),JP,US
(72)発明者 シナジ,レイモンド・エフ
アメリカ合衆国30033ジョージア州 ディ
ケーター、クレアモント・ロード 1670番
エモリー・ユニバーシティ・スクール・
オブ・メディシン