JPH11503602A - 全長第viii因子のレトロウイルス送達 - Google Patents

全長第viii因子のレトロウイルス送達

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JPH11503602A JP8521058A JP52105896A JPH11503602A JP H11503602 A JPH11503602 A JP H11503602A JP 8521058 A JP8521058 A JP 8521058A JP 52105896 A JP52105896 A JP 52105896A JP H11503602 A JPH11503602 A JP H11503602A
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Abstract

(57)【要約】 形質導入された宿主細胞中で全長第VIII因子の発現を指示するためのレトロウイルスベクター、それをコードするプラスミド、およびそれらで形質転換、トランスフェクト、または形質導入された宿主細胞が開示される。またそのようなレトロウイルスベクターを含むレトロウイルス粒子、ならびに適切なパッケージング細胞中でそのような粒子を作製するための方法が開示される。それを生産するレトロウイルス粒子はアンホトロピック、エコトロピック、ポリトロピック、またはキセノトロピックであり得;あるいは、それらは宿主範囲を改変するためにキメラまたはハイブリッドエンベロープタンパク質を含み得る。また補体耐性である全長第VIII因子を指示するためのレトロウイルスベクターを含むレトロウイルス粒子が記載される。本発明のレトロウイルス粒子を含む薬学的組成物がまた開示され、同じく血友病を患う哺乳動物、特にヒトを処置する方法が開示される。

Description

【発明の詳細な説明】 全長第VIII因子のレトロウイルス送達発明の技術分野 本発明は、レトロウイルス媒介遺伝子治療に関する。詳細には、本発明は、全 長第VIII因子をコードする核酸構築物を患者に送達し得る組換えレトロウイルス ベクター、そのようなレトロウイルスベクターを含む薬学的組成物、およびそれ らを作製および使用する方法に関する。発明の背景 脊椎動物細胞を遺伝的に操作するための多数の方法が存在する。特に興味深い 方法は、種々のポリペプチド(例えば、エリスロポエチンおよび第VIII因子)の大 量の生産を可能にするため、および種々の疾患(例えば、重篤なウイルス感染、 ガン、および遺伝病)を処置するために哺乳動物細胞を操作するのに用いられ得 る方法である。核酸分子を細胞に首尾良く導入するための1つの方法として、模 範的な例であるレトロウイルス由来のベクターを含む、ウイルスベクターの使用 が挙げられる。 レトロウイルスは、それらのゲノムがRNAを含むことを意味するRNAウイルスで ある。複製細胞への感染に際し、レトロウイルスゲノムはDNAへと逆転写され、 次いでこれは二本鎖にされる。次いで、二本鎖DNAコピーは感染細胞の染色体中 に安定的に組み込まれ、任意の他の遺伝子と同様に娘細胞により遺伝される「プ ロウイルス」を形成する。 野生型レトロウイルスゲノム(およびそれらのプロウイルスコピー)は、代表的 には3つの遺伝子gag、pol、envを含み、これらの前にはパッケージングシグナ ル(φ)が存在し、そして2つの長末端反復配列(LTR)がどちらかの末端に隣接す る(図1を参照のこと)。gag遺伝子は内部構造(ヌクレオカプシド)タンパク質を コードする。Polは、RNAゲノムを逆転写するRNA依存性DNAポリメラーゼをコード し、一方envはレトロウイルスエンベロープ糖タンパク質をコードする。5'およ び3'LTRは、レトロウイルスRNAの転写およびポリアデニル化を促進するために必 要なcis作動性エレメントを含む。 5'LTRには、ゲノムの逆転写に必要な配列(tRNAプライマー結合部位)および粒 子中へのレトロウイルスRNAの効率的なカプシド形成に必要な配列(φ配列)が隣 接している。パッケージングシグナルの除去は、ゲノムRNAのカプシド形成(感染 性のビリオンへのレトロウイルスRNAのパッケージング)を妨害するが、得られる 変異体はなおもウイルスゲノム中にコードされる全てのタンパク質の合成を指示 し得る。 レトロウイルスベクター(天然に存在するレトロウイルスの遺伝的に操作され た形態)は、多くの重要な特質を有し、それには以下のようなものが挙げられる: (1)細胞中への遺伝物質(ベクターゲノム)の効率的な侵入;(2)標的細胞核への侵 入の活性な、効率的な過程;(3)比較的高レベルの遺伝子発現;および(4)ベクタ ー-標的細胞結合の制御および遺伝子発現の組織特異的な制御を通しての特定の 細胞サブタイプへの標的化の可能性。例えば、目的の外来遺伝子が通常のレトロ ウイルスRNAの代わりにレトロウイルス中に取り込まれ得る。レトロウイルスが 細胞へそのRNAを注入すると、その外来遺伝子もまたその細胞中へ導入され、そ して次に、それがあたかもレトロウイルス自身であるかの如くに、宿主細胞DNA 中に組み込まれる。その宿主内でのこの外来遺伝子の発現は、その宿主細胞によ る外来タンパク質の発現をもたらす。 レトロウイルスベクターおよびその様々な使用が、Mannら、(Cell 33:153,198 3)、CaneおよびMulligan(Proc.Nat'l.Acad.Sci.USA 81:6349,1984)、Warner ら、(1991),AIDS Res.Hum.Retroviruses,第7巻,645頁、Jollyら(1986)、Mol. Cell.Biol.,第6巻,1141頁、1993年10月12日に出願された米国特許出願第08/136 ,739号、WO 93/10814、WO 93/15207、および1993年11月18日に出願された米国特 許出願第08/155,994号を含む多数の出願に記載されている。レトロウイルスベク ターの複製する脊椎動物細胞中への組み込み能は、それを遺伝子治療目的に対し て、有用なものにした(Millerら、Methods in Enzymology 217:581,1993)。代表 的に、遺伝子治療は、新しいまたは付加的な遺伝物質を(1)インビボの患者細胞 、あるいは(2)取り出された患者細胞に添加し、そして引き続いて形質導入す る工程を含み、そしてそれらは直ちに患者に再導入されるか、または再導入の前 にエキソビボで拡大される。 血友病は重篤な血液凝固欠失により特徴付けられる遺伝病である。それ自体、 遺伝子治療による処置を受容する。血友病Aでは、遺伝的欠損と関連したX染色 体で第VIII因子(第X因子の活性化において、第IXa因子とともに補因子として作 用する微量の血漿糖タンパク質)をコードする遺伝子が破壊されている。ヒトで は、第VIII因子遺伝子は2,351アミノ酸をコードしている。このタンパク質は、 アミノ末端からカルボキシ末端へそれぞれA1、A2、B、A3、C1、およびC2と命名 された6つのドメインを有し(Woodら、Nature 312:330,1984;Veharら、Nature 312:337,1984;およびTooleら、Nature 312:342,1984)、推定分子量は約280キロ ダルトン(kD)である。このタンパク質の活性化された凝固原形態では、980アミ ノ酸のBドメインは欠失される。さらに、その天然のタンパク質において、2つ のポリペプチド鎖、Bドメインに隣接するaおよびbには2価のカルシウムカチ オンが結合している。 血友病Aを引き起こす遺伝的失損は、10,000人の男性に約1人発症する。結果 として起こる凝固欠失のために、この疾患を患う者は、小さな怪我による重篤な 出血の発症、内出血、および関節症(血友病罹患の主因)へとつながる関節出血に 苦しむ。第VIII因子の正常なレベルは、血漿で平均50〜200ng/mLの間である(Man nucci,P.M.in Practical Laboratory Hematology,.Koepke,J.A.編、Churchill Livingstone,N.Y.、347頁〜371頁、1990);しかし軽度から中度の血友病Aを患 う患者は代表的には、2〜60ng/mLより相当低い血漿レベルを有し、一方約2ng/ mLより低いレベルは重篤な血友病をもたらす。 以前から、血友病Aに対する治療は、1000を越すドナーから多量にプールした 血液製剤から精製されたヒト第VIII因子を反復投与することに関していた。しか し、第VIII因子タンパク質の不安定性のために、天然のタンパク質を用いて得ら れる薬学的産物は、高度に不純である(純度は重量で約0.04%(総タンパク質に対 する第VIII因子)と見積もられる)。投与の頻繁さおよびそのような調製物から種 々のヒト病原体を除去し得ないことにより、血友病Aを患う者の90%より多くが 1980年代には、それらの療法の結果として、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感 染した。HIV感染患者および他のHIV陰性血友病患者の多くはまた、同じ経路でB 型肝炎に感染した。しかし、幸運にも、遺伝子工学における近年の進歩により、 ヒト病原体の混入を含まない組換え形態のタンパク質が商業的に利用可能になっ た。しかし、この形態の治療は費用が嵩みそして長引く。さらに、米国における 殆どの血友病A患者は、第VIII因子の維持療法を受けず、その代わりに外科手術 のような出血の原因となり得る活動または事象の前に、あるいは自発性出血を処 置するためにそのポリペプチドを与えられるだけである。興味深いことに、この ことは、血友病関節症が代表的には1kg体重当たり24〜40IU、1週間に3回第VI II因子の予防的な量を早い年齢から投与することにより防がれ得ることを示す反 対の証拠(despite evidence)である。そのような治療は、第VIII因子の濃度が 正常の1%未満に落ちることを防いだ(Nillsonら、J.Internal Med.232:23,199 2)。これらの理由のために、連続的、長期間の治療的に有効な第VIII因子の発現 レベルまたは量を可能にする、すなわち血友病Aに関連した凝固障害の重篤度を 減少させるまたは除去するための遺伝子治療は、大いに有益である。 しかし、全長第VIII因子は、そのcDNAが約8,800塩基対(bp)の長さである遺伝 子によりコードされる(Zatloukalら、Proc.Nat'l.Acad.Sci.USA 91:5148,19 94)。レトロウイルスゲノムは一般的に10,000よりも少ないヌクレオチドを含む ので、約10,000よりも多いヌクレオチドが存在する場合、パッケージング効率は 劇的に下がる。ほとんどの場合には、目的の遺伝子(所望の産物をコードする)を 含むレトロウイルスベクターは一般に10kbを超えないので、これは問題ではない 。しかし、第VIII因子cDNAは代表的な哺乳動物cDNAよりもはるかに大きいため、 その全長cDNAが感染性のビリオン中に効率的に取り込まれ得るレトロウイルスベ クター中に含まれ得、標的細胞に伝達され、そしてその中で発現され得るとは考 えられそうもない。結果的に、現在までの、レトロウイルスベクター中へ第VIII 因子cDNAを取り込ませるための成功した試みは、Zatloukalら、(上述)により開 示されたように、その遺伝子の欠失された形態を含む。そのような欠失は、全長 第VIII因子cDNA由来のものとは異なる核転写物を生じ得る。結果的に、短縮され たRNAは、異なってプロセスおよび輸送され得、得られるタンパク質も同様に異 なり得る。実際、Tooleら(Proc.Nat'l.Acad.Sci.USA,83:5939,1986)は、B ド メイン欠失タンパク質が、全長タンパク質よりも容易に形質導入細胞中でプロセ スされることを報告した。Hoebenら(Thrombosis and Haemostasis,67(3):341,1 992)は、Bドメインのほとんど全てを欠く第VIII因子コード領域およびネオマイ シン耐性遺伝子を保有するレトロウイルスベクターを、単離したマウス骨髄細胞 を形質導入するのに用いた場合、インビボでの第VIII因子発現は、前駆細胞の形 質導入直後の初期転写であるにもかかわらず、mRNAレベルまたはタンパク質レベ ルのいずれにおいても、前駆細胞由来細胞中では検出され得なかったことを報告 した。しかし、サザン分析は、薬物耐性細胞がそのベクターを含んでいることを 示していた。 本発明の目的は、感染性レトロウイルス粒子中に効率的にパッケージされ得る 全長第VIII因子cDNAを含む組換えレトロウイルスベクターを提供することである 。そのようなレトロウイルス粒子は、インビボまたはエキソビボのいずれかで細 胞を形質導入するために用いられ得る。そのような形質導入細胞から発現される 第VIII因子は、正常に機能する第VIII因子遺伝子の発現産物と類似の様式でプロ セスされ、そして輸送される。それ故、そのようなベクターを保有するレトロウ イルス粒子は血友病Aの処置に有用である。発明の要旨 簡潔に述べると、本発明は全長第VIII因子ポリペプチドの発現を指示するレト ロウイルスベクター、そのようなベクターを含むレトロウイルス粒子、ならびに それらを作製および使用する方法を提供する。本発明の1つの局面では、トラン スフェクトされた宿主細胞中で全長第VIII因子をポリペプチドの発現を指示する レトロウイルスベクターが提供される。本発明のこの局面の種々の実施態様では 、このレトロウイルスベクターは、MoMLV、GALV、FeLV、およびFIVからなる群か ら選択されるレトロウイルスに由来する。 別の実施態様は、全長第VIII因子ポリペプチドが、(ウラシル(「U」)が各チ ミジン(「T」)に置き換わることを除いて)配列番号1に記載の核酸配列、配列 番号1に記載のヌクレオチド配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズ するヌクレオチド配列、および遺伝コードの縮重がなければそのようなヌクレオ チド配列にハイブリダイズするヌクレオチド配列からなる群から選択されるヌク レオチド配列を有する核酸分子によりコードされるレトロウイルスベクターに関 する。 別の実施態様では、そのようなレトロウイルスベクターは、レトロウイルスLT Rプロモーター、SV40プロモーター、CMV MIEプロモーター、およびMPMVプロモー ターからなる群から選択されるプロモーターを含み、ここでそのプロモーターは 全長第VIII因子ポリペプチドをコードする核酸分子に作動可能に連結されている 。好ましい実施態様では、そのレトロウイルスベクターは全長第VIII因子ポリペ プチドをコードするMoMLVに由来するレトロウイルス骨格を含む。ここで全長第V III因子ポリペプチドは、(ウラシル(「U」)が各チミジン(「T」)に置き換わる ことを除いて)配列番号1に記載の核酸配列;そのようなヌクレオチド配列にス トリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列;および遺伝コ ードの縮重がなければ上記ヌクレオチド配列にハイブリダイズするヌクレオチド 配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列を有する核酸分子によりコード される。 本発明の別の局面は、全長第VIII因子ポリペプチドの発現を指示するレトロウ イルスベクターによりトランスフェクトまたは形質導入された宿主細胞に関する 。1つの実施態様では、そのような宿主細胞は、全長第VIII因子ポリペプチドを コードするMoMLVに由来するレトロウイルス骨格を含むレトロウイルスベクター によりトランスフェクトまたは形質導入される。ここで全長第VIII因子ポリペプ チドは、(ウラシル(「U」)が各チミジン(「T」)に置き換わることを除いて)配 列番号1に記載の核酸配列;そのようなヌクレオチド配列にストリンジェントな 条件下でハイブリダイズするヌクレオチド;および遺伝コードの縮重がなければ 前記ヌクレオチド配列のいくらかにハイブリダイズするヌクレオチド配列からな る群から選択されるヌクレオチド配列を有する核酸分子によりコードされる。本 発明のこの局面の1つのそのような実施態様では、宿主細胞はパッケージング細 胞であり、そしてさらにレトロウイルス構造ポリペプチドをコードする1つ以上 の核酸分子を含む。特に好ましいのは、そのレトロウイルス構造ポリペプチドが env、pol、gagポリペプチドを含むパッケージング細胞である。 本発明のさらに別の局面では、全長第VIII因子ポリペプチドの発現を指示し得 るレトロウイルスベクターを含むレトロウイルス粒子がまた本明細書中に提供さ れる。本発明のこの局面の種々の実施態様は、アンホトロピック、エコトロピッ ク、ポリトロピック、またはキセノトロピックのレトロウイルス粒子のいずれか であるレトロウイルス粒子を提供する。別の実施態様では、そのようなレトロウ イルス粒子は、哺乳動物補体系(特にヒト補体系)による不活化に耐性である。 本発明のさらに別の実施態様はそのようなレトロウイルス粒子を作製する方法 に関する。この方法は、全長第VIII因子の発現を指示するためのレトロウイルス ベクターをコードする核酸分子でパッケージング細胞を形質導入およびトランス フェクトする工程、ならびにレトロウイルスベクターのコピーが生産されそして 感染性レトロウイルス粒子中に取り込まれるような適切な条件下でパッケージン グ細胞を培養する工程を含む。 本発明のさらに別の局面では、レトロウイルスベクターで形質導入またはトラ ンスフェクトされた宿主細胞中で全長第VIII因子ポリペプチドの発現を指示し得 るレトロウイルスベクターを含むレトロウイルス粒子を含む薬学的組成物が提供 される。1つの実施態様では、そのような組成物は凍結乾燥される。別の実施態 様では、その薬学的組成物は本発明のレトロウイルス粒子および薬学的に受容可 能な希釈剤を含む。本発明のなおもさらなる局面では、血友病を患う哺乳動物を 処置するための方法が提供され、ここでこの哺乳動物は本発明に従って生産され た治療的に有効量のレトロウイルスベクターを投与される。本発明のこの局面の 好ましい実施態様では、処置されるべき動物はヒトであり、そして血友病Aを患 っている。別の好ましい実施態様では、血友病Aを患うヒトは、治療的に有効量 のレトロウイルス粒子(好ましくは薬学的に受容可能な希釈剤中にレトロウイル ス粒子を含む薬学的組成物中の)をこの患者に投与することにより処置される。 本発明の別の実施態様は、全長第VIII因子ポリペプチドをコードする核酸分子 を含むレトロウイルス粒子に関する。ここで全長第VIII因子ポリペプチドは、イ ヌ、ネコ、ウシ、サル、ネズミ、ヒツジ、トリ、ウマ、ブタ、ウサギ、ラット、 およびヒトの全長第VIII因子からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。 本発明のさらに別の局面では、そのようなプラスミドで形質導入またはトラン スフェクトされた宿主細胞中で全長第VIII因子ポリペプチドの発現を指示するレ トロウイルスベクターをコードする核酸分子を含むプラスミドが提供される。 本発明のさらに別の局面は、全長第VIII因子ポリペプチドのインビボでの産生 方法に関する。ここで全長第VIII因子ポリペプチドの治療的に有効量の発現を指 示し得るレトロウイルスベクターが患者の細胞へ送達される。この局面の好まし い実施態様では、そのレトロウイルスベクターは、レトロウイルスベクターを含 むレトロウイルス粒子によって細胞に送達される。好ましい実施態様では、レト ロウイルス粒子はレトロウイルスベクターの送達を患者の細胞の特定のサブセッ トに標的化する。特に好ましい細胞のサブセットとして、造血細胞、内皮細胞、 肝細胞、およびそれらの組み合わせが挙げられる。好ましい造血細胞は骨髄また は臍帯血由来の幹細胞である。そのような方法は、レトロウイルスベクターの細 胞へのエキソビボまたはインビボ送達のいずれかを含む。本発明のレトロウイル スベクターのインビボ送達の特に好ましい方法として、非経口的投与および肺投 与が挙げられる。本発明のこの局面の特に好ましい実施態様では、全長第VIII因 子のインビボ生産は、レトロウイルスのプロウイルス形態からの全長第VIII因子 ポリペプチドの安定的な発現から生じる。 本発明の別の局面は、全長第VIII因子ポリペプチドの発現を指示し得るレトロ ウイルスベクターでの形質導入後に、全長第VIII因子を安定的に発現する宿主細 胞に関する。好ましい実施態様では、そのような宿主細胞はヒト起源である。 本発明のこれらおよび他の局面ならびに実施態様は、以下の詳細な説明および 付随の図面を参照することにより明らかになる。図面の簡単な説明 図1は、全長第VIII因子をコードする2つのレトロウイルスベクターJW-2およ びND-5模式図である。 図2は、ヒトの凝固経路を示す。 図3は、インビボでの第VIII因子のプロセッシングを示す。N末端(「N」)に 19アミノ酸のリーダーペプチド(平行線の陰影を付した領域)を含む全長第VIII因 子翻訳産物が示される。A1とA2ドメインとの間およびBとA3ドメインとの間の酸 性領域は影で示される。切断点はアミノ酸番号により示される。トロンビンによ る切断は「IIa」により示される。「h.c.」および「l.c.」は、それぞれ重鎖お よび軽鎖を示す。種々のボックス内の番号は、相対的分子量(kD)を表す。「PL」 は「リン脂質」を意味する。 図4は、2つのグラフ、4Aおよび4Bを含む。グラフ4Aは、Coatestアッセイに より測定された初代ヒト線維芽細胞内での第VIII因子の発現を示す。サンプル1 および2は非形質導入コントロールを表し、そしてサンプル3〜6は、それぞれ HX/JW-2を含む0.44mL、0.133mL、0.400mL、および1.2mLの上清で形質導入した線 維芽細胞からの発現レベルである。グラフ4BはCoatest検量線である。用語の定義 以下の用語が本明細書中を通じて用いられる。他に示さない限り、これらの用 語は以下のように定義される: 「第VIII因子」は、不活性前駆形態として血液中に見出される非酵素的補因子 である。前駆体第VIII因子は、血漿プロテアーゼ(特にトロンビンおよび第IXa 因子)による特異的部位での限定タンパク質分解によって、活性補因子第VIIIa 因子に変換される。大部分の第VIII因子は、おそらく単鎖遺伝子産物の細胞内お よび細胞周囲でのプロセシングによって2本鎖ヘテロダイマーとして循環する。 その2本の鎖は金属イオン依存的な様式で非共有結合的に会合する。 第VIII因子の「生物学的活性」は、生物学的な系またはそのインビトロ複写に おいて、そのポリペプチドまたはそのフラグメントによりなされる機能または機 能の組をいう。一般的に、生物学的活性は、エフェクターおよび補因子活性を含 み得る。エフェクター活性は、第VIII因子またはそのフラグメントの他のタンパ ク質または細胞への結合を含む。エフェクター活性は、補因子活性を強化し得る か、または補因子活性に必要とされ得る。補因子活性は、第IXa因子(「テナーゼ 」)による第X因子の活性化の増強を含み、そしておそらく活性化プロテインC による第Va因子および第VIIIa因子の不活化の増強を含み得る。第VIII因子の生 物学的活性は、第IXa因子および第X因子のための膜結合部位を、前者による後 者の活性化のために適したコンホメーションで形成する能力、およびおそらく 活性化プロテインCによる第Va因子または第VIIIa因子の不活性化を強化するた めにプロテインSと相乗的に作用する第VIII因子前駆体のBドメインの能力によ って特徴づけられ得る。これは、リン脂質、von Willebrand因子、または特異的 細胞表面分子に結合する第IX因子または第X因子の活性化、およびトロンビン、 第IXa因子、活性化プロテインC、または適切な条件化で他の特異的プロテアー ゼに対する感受性の標準的なアッセイ、ならびに血友病Aを患う個体由来の血漿 中の凝固欠損または活性化プロテイナーゼC耐性を患う個体中のプロトロンボテ ィシン(prothromboticn)欠損を補正するアッセイを含む。 「第VIII因子cDNA分子」とは、全長第VIII因子ポリペプチドをコードする分子 である。ヒト全長第VIII因子コード領域は7,056ヌクレオチドである。 「全長第VIII因子」ポリペプチドは、配列番号1に示したアミノ酸配列の少な くとも95%、あるいは2215アミノ酸を含むタンパク質をいう。また、この定義に は、以下により詳細に考察されるように1つ以上のアミノ酸が、置換、欠失、ま たは挿入されている。全長第VIII因子のアミノ酸配列の少なくとも95%、または 2215アミノ酸を含む種々の第VIII因子アナログまたは改変形態が含まれる。任意 のそのようなアナログは、第VIII因子の認識されている生物学的活性の少なくと も1つを有する。全長第VIII因子をコードする核酸とは、全長第VIII因子ポリペ プチドをコードする核酸をいう。 「持続的な(persistent)」形質導入とは、所望の異種遺伝子を細胞にエピソー マル(染色体外)複製が可能な遺伝因子とともに導入することをいう。これは、宿 主または受容細胞の染色体へのベクターの組み込みまたはベクターのプロウイル ス形態なしに、明らかに安定な形質転換を導き得る。「安定な」形質転換とは、 感染または形質導入細胞の染色体への所望の異種遺伝子の導入をいう。少なくと もその遺伝子、および潜在的には全ベクターのほとんどまたは全てが挿入され、 そしてその細胞のゲノムの永久的な成分となる。対照的に、「一過性の」とは、 導入された遺伝物質が宿主細胞のゲノムに組み込まれないか、または複製されず 、従って細胞分裂の間に遺伝的に受け渡されない状況をいう。 「ストリンジェントな条件」とは、相補的な核酸配列を有する核酸配列のアニ ーリングおよび安定化を促進するが、相補的な核酸分子のアニーリングおよび/ または安定化を遅延させる核酸ハイブリダイゼーション条件である。当業者が理 解するように、ハイブリダイゼーションに影響を与える因子として、とりわけ、 核酸のサイズおよびヌクレオチド組成、温度、塩、イオン強度、pH、反応物質濃 度、カオトロピック剤を含む他の分子の存在、およびハイブリダイゼーション時 間の長さが挙げられる。 「事象-特異的プロモーター」とは、転写プロモーター/エンハンサーまたは座 位規定エレメント、または上記のように遺伝子発現を調節する他のエレメントを いい、この転写活性は細胞刺激に応答して変化する。そのような事象特異的プロ モーターの代表例として、チミジンキナーゼまたはチミジン酸シンターゼプロモ ーター、αまたはβインターフェロンプロモーターおよびホルモン(天然、合成 、または他の非宿主生物由来のいずれか)の存在に応答するプロモーターが挙げ られる。 「組織特異的プロモーター」とは、転写プロモーター/エンハンサーまたは座 位規定エレメント、または上記のように遺伝子発現を調節する他のエレメントを いい、これらは限定された数の組織型において優先的に活性である。そのような 組織特異的プロモーターの代表例として、PEPCKプロモーター、HER2/neuプロモ ーター、カゼインプロモーター、IgGプロモーター、絨毛性胚抗原(Chorionic Em bryonic Antigen)プロモーター、エラスターゼプロモーター、ポルホビリノーゲ ンデアミナーゼプロモーター、インスリンプロモーター、成長ホルモン因子プロ モーター、チロシンヒドロキシラーゼプロモーター、アルブミンプロモーター、 α-フェトプロテインプロモーター、アセチルコリンレセプタープロモーター、 アルコールデヒドロゲナーゼプロモーター、αまたはβグロビンプロモーター、 T細胞レセプタープロモーター、またはアステオカルシンプロモーターが挙げら れる。 「形質導入」は、複製欠損、組換え型レトロウイルス粒子と細胞レセプターと の会合、それに続く粒子により運搬される核酸の細胞への導入を含む。「トラン スフェクション」とは、レトロウイルス粒子を用いない物理的遺伝子移入の方法 をいう。 「独特の核酸フラグメント」は、別の核酸分子中に存在することが知られてい ない連続するヌクレオチド配列を含むものである。独特のフラグメントは、第VI II因子コード領域中に見出される特定のヌクレオチド配列を選択する工程、およ びそのような配列を、FASTATM(Genetics Computer Group,Madison,WI)およびB LAST(NCBI)のような公的に利用可能なコンピューターアルゴリズムを用いてGenb ank(National Center for Biotechnology Information[NCBI]、European Molecu lar Biology Library[EMBL]、およびGeneSeqTM(Intelligenetics,Inc.,Mountai n View,CA)から利用可能)を含む種々のヌクレオチド配列データベースに見出さ れるものと比較することにより同定され得る。 「ベクター構築物」、「レトロウイルスベクター」、「組換えベクター」、お よび「組換えレトロウイルスベクター」は、全長第VIII因子遺伝子の発現を指示 し得る核酸構築物をいう。このレトロウイルスベクターは、少なくとも1つの転 写プロモーター/エンハンサーまたは座位を限定するエレメント(単数または複 数)、あるいは選択的スプライシング、核RNA輸送、メッセンジャーの翻訳後修飾 、またはタンパク質の転写後修飾のような他の手段による遺伝子発現を調節する 他のエレメントを含むにべきである。さらに、レトロウイルスベクターは、全長 第VIII因子遺伝子の存在下で転写された場合、それらに作動可能に連結され、そ して翻訳開始配列として作用する核酸分子を含むべきである。そのようなベクタ ー構築物はまた、パッケージングシグナル、長末端反復配列(LTR)、またはそれ らの一部、ならびに用いられるレトロウイルスに適切な正鎖プライマーおよび負 鎖プライマー結合部位を含み得る(これらがまだレトロウイルスベクター中に存 在していない場合)。必要に応じて、そのベクター構築物はまた、ポリアデニル 化を指示するシグナル、ならびに1つ以上の制限部位および翻訳終結配列を含み 得る。例えば、そのようなベクターは、代表的には5'LTR、tRNA結合部位、パッ ケージングシグナル、第2鎖DNA合成の起点、および3'LTRまたはそれらの一部を 含む。そのようなベクターから全長第VIII因子ポリペプチドを発現させるために 、全長第VIII因子コード領域がまた含まれ得る。 本発明の多数の局面および利点が、本発明の実施の説明を提供する以下の詳細 な説明を考慮することで当業者に明らかとなる。発明の詳細な説明 本発明は、全長第VIII因子をコードする核酸分子を含むレトロウイルスベクタ ーが感染性レトロウイルス粒子中に効率的にパッケージされ得、かつそのような ベクターでインビボで形質導入された細胞が生物学的に活性な第VIII因子を産生 するという予期しない発見に基づいている。結果として、全長第VIII因子をコー ドするレトロウイルスベクターは遺伝子治療法の目的に用いられ得る。このよう なレトロウイルスベクターのより安全な記載、それらの産生およびパッケージン グ、およびそれらの使用が以下に提供される。 試験されたヒトおよび他の哺乳動物中で、第VIII因子遺伝子は第X染色体上に 位置し、そして約186kb(キロベース)より多くにわたっていることが知られてい る。この遺伝子の転写は、その全長ポリペプチドをコードする約8,800ヌクレオ チドのmRNAの最終的産生を生じる。第VIII因子コード領域のヌクレオチド配列は 配列番号1に示され、そして種々の場所で刊行されている。例えば、Woodら(Nat ure,312:330、1984;米国特許第4,965,199号)を参照のこと。このコード領域は 、翻訳停止コドンTGAを除く5'および3'非翻訳配列を除外すれば、7,056ヌクレオ チドにわたる。生物学的に活性な全長第VIII因子をコードする本配列の対立遺伝 子変異体が存在するようであり、そしてまた本発明の実施に用いられ得る。この ような対立遺伝子変異体は、核酸レベルでのみ検出可能な、すなわち保存的核酸 置換に起因する差異を含み得る。他方、それらは、全体配列中の1つまたはそれ 以上のアミノ酸の差異により、すなわち1つまたはそれ以上のアミノ酸の欠失、 挿入、置換、または逆位により顕示され得る。しかし、配列番号1のヌクレオチ ドの約95%(数により)未満を含むこのような変異体はない。 インビボにおいて、第VIII因子の主要産生部位は肝臓であると考えられている が、第VIII因子のmRNAはまた、脾臓、腎臓、およびリンパ節でも検出されている [Whiteら、Blood,73:1,1989]。しかし、このタンパク質を通常発現しない他の 型の細胞(主要血管系の平滑筋細胞を含む)が、このポリペプチドを発現し得る[P owellら、FEBS Letters,303(2,3):173,1992]。結果として、造血細胞が、特に 魅力的な遺伝子治療の標的である[Hoebenら、前掲]。 天然のヒト全長第VIII因子は、2351のアミノ酸を含有し、リーダーペプチドと して機能し、後に切断されるN末端の19残基を有する熱不安定な単鎖糖タンパク 質である。残る2332残基は、以下のように整列した、6つの異なったドメインを 含む:A1-A2-B-A3-C1-C2。Aドメイン(それぞれ約330アミノ酸の長さ)は、第V 因子および血漿銅結合タンパク質セルロプラスミンと相同性を共有する。同様に 、2つのCドメイン(それぞれ約150アミノ酸)は、第V因子および他のリン脂質 結合タンパク質のドメインに相同的である。Bドメインは、前凝固活性に必要で はないけれども、N結合グリコシル化のための25の潜在的部位(Asn-X-Ser/Thr) のうち19を含む。分泌前の細胞内プロセッシングの間に、このポリペプチドは残 基1313および残基1648の後ろで切断され、重鎖(「a」)および軽鎖(「b」)をそ れぞれ生じる。a鎖の観察された相対分子量は、SDS-PAGEにより測定したとき、 約200kDであり、そしてb鎖の相対分子量は約80kDである。次いで、この2つの 鎖は、2価金属イオンの周りに非共有結合複合体に会合する。 プロセッシングの間に、第VIII因子はまた、6つのTyr残基(アミノ酸残基346 、718、719、723、1664、および1680)上で硫酸化される。硫酸化は、完全な機能 活性には必要であるが、合成または分泌には必要ではない(Pittmanら、Biochemi stry,31:3315,1992)。Huttnerら、Mol.Cell.Biol.,6:97,1988は、全長第VIII 因子中の7つの潜在的硫酸化部位に相当する、チロシン硫酸化のためのコンセン サス配列を提唱した。トロンビンと相互作用することが知られる多くのタンパク 質(例えば、ヒルジン、フィブリノーゲン、ヘパリン補因子II、ウシ第X因子、 ビトロネクチン、第V因子、および第VIII因子)は、1つまたはそれ以上の硫酸 化チロシン残基を有する。ヒルジンにおいては、C末端領域のTyr硫酸化は、ト ロンビンのアニオンが結合する外部位(exosite)への結合親和性を増大させる(Ry delら、Science,249:277,1990;Niehrsら、J.Biol.Chem.,262:16467,1990)。第V III因子中の硫酸化されるすべての部位は、トロンビン、第IXa因子、または活性 化プロテインC切断部位に近似している。種々の技術、例えば、部位特異的変異 誘発を用いて、より少ないまたは付加的な硫酸化部位を有する全長第VIII因子を コードする核酸が容易に生成され得る。 活性化の前に、血漿中を循環する第VIII因子は、それを安定化するvon Willeb rand因子(vWf)に結合した。第VIII因子は約12時間の血漿半減期を有する。第VII I因子およびvWfは、非共有結合複合体として血漿中を循環する。vWfは血管障害 の部位で血小板-血管相互作用の媒介に必要である(Saenkoら、J.Biol.Chem.,269 (15):11601,1994)。第VIII因子重鎖は、最小ではA1-A2ドメインにより表され、 そしてそれは隣接するBドメインのいくらかまたは全ての存在のために異質性を 示す。軽鎖はA3-C1-C2ドメインに相当し、そしてvWf(Lollarら、J.Biol.Chem.,2 63:10451,1988;Hamerら、Eur.J.Biochem.,166:37,1987)、活性化プロテインC( Walkerら、J.Biol.Chem.,265:1484,1990)、およびリン脂質(Fosterら、Blood,75 :1999,1990;Bloom,J.W.Thromb.Res.,48:439,1987)に結合するための部位を含 む。vWFは、第VIII因子のリン脂質および血小板への結合を防ぐ(Fayら、J.Biol . Chem.,266:2172,1991;Nesheimら、J.Biol.Chem.,266:17815,1991)。トロ ンビンによる活性化に際して、第VIIIa因子はvWfから解離する(Lollarら、前掲) 。C2ドメインのみを含み、そしてE.coli中で発現されたポリペプチドは、用量依 存的様式でホスファチジルセリンまたはvWfに結合する。vWf結合部位はアミノ酸 2303〜2332に位置し、その占拠はまた第VIII因子-ホスファチジルセリン結合を 妨げることが知られている(Fosterら、前掲)。残基1673〜1689(軽鎖酸性領域の 部分)および硫酸化Tyr1680はまた、残基1689でのトロンビン切断がvWf結合の損 失に至るように、第VIII因子軽鎖へのvWfの高親和性結合に必要とされ得る(Leyt eら、J.Biol.Chem.,266:740,1991)。 第VIII因子は、90kDの重鎖および73kDの軽鎖を生じる、2つのトロンビン切断 部位(Arg739とSer740との間およびArg1689とSer1690との間)(Tooleら、前掲)を 有する。第VIIIa因子は、潜在的に血小板または内皮細胞の表面上で、第X因子 を活性化して第Xa因子を形成するために、(第XIa因子または第VIIa因子により活 性化された)第IXa因子、カルシウムイオン、およびリン脂質とともに補因子とし て作用する。トロンビン切断は第VIII因子の前凝固活性を20倍から200倍に活性 化する。次いで第VIIIa因子は種々のタンパク質分解活性により不活化される。 第VIII因子プロセッシングの描写については図3を参照のこと。 配列番号2に示したアミノ酸配列を含む全長第VIII因子ポリペプチドをコード することに加えて、本発明はまた、1つまたはそれ以上のアミノ酸が置換、欠失 、または挿入されている全長第VIII因子のアナログをコードする組換えレトロウ イ ルスベクターを予見する。このような改変は、発現の向上、安定性の強化、機能 的特性の改変の提示、血清半減期の改変、およびクリアランス時間の改変、異な ったパターンのグリコシル化などのために講じられ得る。代表例として、1つま たはそれ以上の硫酸化部位、グリコシル化部位などの付加、欠失、または移動が 挙げられる。また、金属イオン結合またはトロンビン相互作用を向上させるため 、安定性を増大させるために新規なジスルフィド架橋を導入させるなどのための 変化はが操作され得る。本発明の好ましい実施態様では、全長第VIII因子アナロ グは、トロンビンによる活性化のために必要とされるそれらの配列を保持し得る 。種々の全長第VIII因子アナログのトロンビン活性化は、天然の血漿由来第VIII 因子トロンビン活性化のカイネティックスを、アナログのどれに対して比較する ことによりアッセイされ得る。活性化は、標準的な凝固アッセイ(実施例3、下 記)、または他のアッセイ中で精製タンパク質を用いる無血漿テナーゼアッセイ を用いて測定され得る。 全長第VIII因子ポリペプチドアナログをコードする核酸は、配列番号1に示し たヌクレオチド配列と比較して1つまたはそれ以上のヌクレオチドが異なる。改 変が、ランダム変異誘発、部位特異的変異誘発、または固相核酸合成を含む種々 の技術により導入され得る。例えば、レトロウイルスベクター中に存在する全長 第VIII因子遺伝子の全てまたは一部が、処理されるべき特定の種における発現に 好まれる、1つまたはそれ以上の縮重コドン(すなわち、同一アミノ酸をコード する異なるコドン)を含むように改変され得る。特定の種において「発現に好ま しいコドン」は、ランダムに期待され得るよりもより大きな割合で、その種の構 造遺伝子を高度に発現することで示されるコドンである。いずれにしても、「好 ましい」コドンは、遺伝コードの縮重性質のために置換されたコドンと同一のア ミノ酸をコードする。コドン優先は、多くの種について知られ、そしてまだその ような優先がまだ決定されていない種において高度に発現されるタンパク質をコ ードする遺伝子におけるコドン利用の統計的分析により推定され得る。1つかま たはそれ以上の好ましいコドンが、部位特異的変異誘発、あるいは部分的または 完全な合成的遺伝子合成を含む、種々の方法により核酸分子へ組み込まれ得る。 あるいは、その遺伝子の全てまたは一部は、翻訳または転写後プロセッシングの 効率を引き下げ得る二次構造の形成を最小限にするように改変され得る。例えば 、Lynchら(Human Gene Therapy,4:259,1993)は、必須ではないBドメイン配列の 一部または全部を欠く短縮形態の第VIII因子のトランスファーおよび発現用のレ トロウイルスベクターの使用を研究した。発現およびウイルス力価は、他のcDNA を含む同一のレトロウイルス骨格由来の力価およびタンパク質産生よりも約100 倍低かった。この減少は、他のベクターRNAに比べて、第VIII因子レトロウイル スベクターRNAの100倍より低い蓄積と相関している。分析によって、ベクターRN A蓄積を阻害し得る第VIII因子コード領域中の配列の存在が明らかとなった。そ のような配列の1つまたはそれ以上が、周知の技術を用いて改変され得る。組換えレトロウイルスベクターの生成 上記のように、本発明は組換えレトロウイルスベクターを含む組成物および方 法を提供する。組換えレトロウイルスベクターの構築は、「組換えレトロウイル ス」(本明細書によりその全体が参考として援用される米国特許出願第07/586,60 3号、1990年9月21日に出願、を参照のこと)と題された出願中により詳細に記述 される。これらの組換えレトロウイルスベクターは、それらを適切なパッケージ ング細胞株に導入することにより形質導入コンピテントレトロウイルスベクター 粒子を生じるために用いられ得る(本明細書によりその全体が参考として援用さ れる米国特許出願第07/800,921号を参照のこと)。 最も広い用語において、本発明のレトロウイルスベクターは、転写プロモータ ー/エンハンサーまたは遺伝子座を規定するエレメント(単数または複数)、ある いは選択的スプライシング、核RNA輸送、メッセンジャーの翻訳後修飾、または タンパク質の転写後修飾のような他の手段により遺伝子発現を制御する他のエレ メントを含む。さらに、このレトロウイルスベクターは、全長第VIII因子遺伝子 の存在下で転写された場合、それに作動可能に連結されそして翻訳開始配列とし て作用する核酸分子を含まなければならない。このようなベクター構築物はまた 、パッケージングシグナル、長末端反復配列(LTR)またはその一部、および用い られるレトロウイルスに対する適切な+鎖および−鎖プライマー結合部位(もし もこれらがレトロウイルスベクター中にまだ存在しない場合)を含まなければな ら ない。必要に応じて、このベクター構築物はまた、ポリアデニル化を指示するシ グナル、ならびに1つまたはそれ以上の制限部位および翻訳停止配列を含み得る 。例により、このようなベクターは、代表的には、5'LTR、tRNA結合部位、パッ ケージングシグナル、第2のDNA鎖合成の起点、および3'LTRまたはその一部を含 む。このようなベクターは、1つまたはそれ以上の完全なgag、pol、またはenv 遺伝子を含まず、それによりそれらを複製不能にする。さらに、選択マーカーを コードする核酸分子は、必要でも、好まれることもない。 好ましいレトロウイルスベクターは、gagをコードする配列の一部、好ましく はスプライスドナー部位およびスプライスアクセプター部位を含む部分、全長第 VIII因子コード領域から上流に隣接して配置されるように位置するスプライスア クセプター部位を含む。特に好ましい実施態様では、gag転写プロモーターは、 それから開始したRNA転写物が5'gagUTRおよび全長第VIII因子コード領域を含む ように配置される。全長第VIII因子コード領域の発現を制御するためのgagプロ モーターの代わりとして、他の適切なプロモーター、下記のいくつかが用いられ 得る。さらに、全長第VIII因子の発現レベルを増加するために交差エンハンサー が用いられ得る。 本発明の好ましい実施態様では、レトロウイルスベクター、特にモロニーマウ ス白血病ウイルス(MoMLV)を基礎としたレトロウイルスベクターが用いられる。M oMLVは、マウス細胞以外には感染性に乏しいマウスレトロウイルスである。親縁 のアンホトロピックN2ウイルスは、ヒト、マウス、および他の生物由来の細胞に 感染する。本発明の実施において用いられ得る他の好ましいレトロウイルスとし て、他のC型レトロウイルス(Weiss,RNA Tumor Viruses,第I巻および第II巻、Co ld Spring Harbor Laboratory Press,N.Y.)由来の本発明に従うレトロウイルス ベクターがまた生成され得るけれども、テナガザル白血病ウイルス(GALV)(Todar oら、Virology,67:335,1975;Wilsonら、J.Vir.,63:2374,1989)、ネコ免疫不全 ウイルス(FIV)(Talbattら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86:5743,1984)、およ びネコ白血病ウイルス(FeLV)(Leprevetteら、J.Vir.,50:884,1984;Elderら、J. Vir.,46:871,1983;Stewardら、J.Vir.,58:825,1986;Riedelら、J.Vir.,60:242 ,1986)が挙げられる。 同様に、必ずしもこれらに限定されないが、サイトメガロウイルス主要即時型 プロモーター(CMV MIE)、初期および後期SV40プロモーター、アデノウイルス主 要後期プロモーター、チミジンキナーゼまたはチミジレートシンターゼプロモー ター、αまたはβインターフェロンプロモーター、事象または組織特異的プロモ ーターなどを含む他のプロモーターが用いられ得る。プロモーターは、所望によ り、強く発現を駆動するように、または比較的弱く発現を生ずるように選択され 得る。当業者に理解されるように、多数のRNAポリメラーゼIIおよびRNAポリメラ ーゼIII依存的プロモーターが本発明を実施することに利用され得る。 別の好ましい実施態様では、レトロウイルスベクターはスプライスドナー(SD) 部位およびスプライスアクセプター部位(SA)部位を含み、ここでSAは、全長第VI II因子コード領域(「遺伝子」)が組換えレトロウイルスベクター中に挿入される 部位の上流に位置する。好ましい実施態様では、SDおよびSA部位は短い(すなわ ち400ヌクレオチド未満)のイントロン配列によって分離されている。このような 配列は、RNA転写物を安定化するために供し得る。そのような安定化配列は、代 表的には、全長第VIII因子のコード領域の5'に位置するSD-イントロン-SA構成を 含む。 本発明の組換えレトロウイルスベクターはまた、好ましくは、全長第VIII因子 コード領域を含む得られた転写物が、第VIII因子コード領域上流の5'gagUTR(非 翻訳領域)をさらに含むように作動可能に配置させたgag領域由来の転写プロモー ターを含む。 1つの実施態様では、全長第VIII因子遺伝子を含む組換えレトロウイルスベク ターは、事象特異的プロモーターの活性化に際して、全長第VIII因子コード領域 が発現されるように、事象特異的プロモーターの転写制御下にある。多数の事象 特異的プロモーターが本発明の状況下で利用され得る。例えば、チミジンキナー ゼまたはチミジレートシンターゼプロモーター(Merrill,Proc.Natl.Acad.Sc i.USA,86:4987,1989;Dengら、Mol.Cell.Biol.,9:4079,1989)のような細胞増殖 (または他の細胞周期依存性);またはトランスフェリンレセプタープロモーター 、これは、第VIII因子を血流中に優先的に発現および分泌されるこれらのプロモ ーターからの転写を活性化し得る因子を含む、急速に増殖する細胞(例えば造血 細 胞)中で主に転写的に活性である;細胞がウイルスにより感染される時に活性化 されるαまたはβインターフェロンプロモーターのようなプロモーター(Fanおよ びManiatis,EMBO J.,8:101,1989;Goodbournら、Cell,45:601,1986);および ホルモンの存在により活性化されるプロモーター、例えばエストロゲン応答性プ ロモーター。Tooheyら、Mol.Cell.Biol.,6:4526,1986を参照のこと、が含まれる 。 別の実施態様では、組織特異的プロモーターの活性化に際して第VIII因子遺伝 子が発現されるように、組織特異的プロモーターの転写制御下に全長第VIII因子 コード領域を含む組換えレトロウイルスベクターが提供される。広範な種々の組 織特異的プロモーターが本発明の状況内で利用され得る。そのようなプロモータ ーの代表例として以下のものが挙げられる:ホスホエノールピルビン酸カルボキ シキナーゼ(「PEPCK」)(Hatzoglouら、J.Biol.Chem.,263:17798,1988;Benvenis tyら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86:1118,1989;Vaulontら、Mol.Cell.Biol. ,6:4409,1989)、アルコールデヒドロゲナーゼプロモーター(Felder,Proc.Natl .Acad.Sci.USA,86:5903,1989)、ならびにアルブミンプロモーターおよびア ルファフェトタンパク質プロモーター(Feuermanら、Mol.Cell.Biol.,9:4204,198 9;CamperおよびTilghman,Genes Develop.,3:537,1989)のような肝臓特異的プ ロモーター;IgGプロモーターのようなB細胞特異的プロモーター;エラスター ゼプロモーターのような膵臓腺房細胞特異的プロモーター(Swiftら、Genes Deve lop.,3:687,1989)およびインスリンプロモーターのような膵臓β細胞に特異的な プロモーター(Ohlssonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85:4228,1988;Karlsso nら、Mol.Cell.Biol.,9:823,1989);カゼインプロモーターのような乳房上皮特 異的プロモーター(Dopplerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86:104,1989)およ びホエー(wap)プロモーター;myo-D結合プロモーターのような骨格筋を調節する プロモーター(Burden,Nature,341:716,1989;Weintraubら、Proc.Natl.Acad. Sci.USA,86:5434,1989);成長ホルモン因子プロモーターのような脳下垂体特 異的なプロモーター(Ingrahamら、Cell,55:519,1988;Bodnerら、Cell,55:505,19 88);チロシンヒドロキシラーゼプロモーターのようにメラノソームに特異的プロ モーター;T細胞レセプタープロモーターのようなT細胞特異的プロモーター(A ndersonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85:3551,1988;WinotoおよびBaltimor e、EMBO J.,8:29,1989);オステオカルシンプロモーターのような骨特異的プロ モーター(Markoseら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87:1701,1990;McDonnellら 、Mol.Cell.Biol,9:3517,1989;Kernerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86:445 5,1989)、IL-2プロモーター、IL-2レセプタープロモーター、およびMHCクラスII プロモーター、および造血組織特異的プロモーター、例えばポルフォビリノーゲ ンデアミナーゼプロモーターのような赤血球細胞中で活性な赤血球特異的転写プ ロモーター(Mignotteら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86:6458,1990)、αまた はβグロビン特異的プロモーター(van Assendelftら、Cell,56:969,1989,Forre sterら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86:5439,1989)、vWfプロモーターのよう な内皮細胞特異的プロモーター、β-トロンボグロブリンのような巨核球特異的 プロモーター、および他の多くの組織特異的プロモーター。 本発明に従うレトロウイルスベクターはまた、非LTRエンハンサーまたはプロ モーター、例えば、第VIII因子遺伝子の発現を制御するために用いられる他のエ レメントと作動可能に結びついたCMVまたはSV40エンハンサーを含み得る。さら に、3'LTRエンハンサーが欠失された(それにより宿主細胞ゲノムへの組み込みに 際し5'LTRを不活化する)レトロウイルスベクターがまた本発明により意図される 。遺伝子発現を制御する種々の他のエレメント(例えば、β-グロビン遺伝子およ びCD2(T細胞マーカー)のような遺伝子座規定エレメントが挙げられる)がまた、 本発明の状況内で利用され得る。さらに、スプライシング、核外輸送、および/ または翻訳のレベルで発現を制御するエレメントがまた、レトロウイルスベクタ ー内に含まれ得る。代表例として、β-グロビンイントロン配列、HIV-1由来のre vおよびrreエレメント、メイソン-パイツァ−サルウイルス(MPMV)由来構成的輸 送エレメント(CTE)、rev陰性HIVプロウイルスクローンのrev非依存的複製を可能 にする219ヌクレオチド配列、そしてコザック配列が挙げられる。Revタンパク質 は、スプライスされていないおよび一度スプライスされたHIV RNA分子の核外輸 送を可能にするように機能する。MPMVエレメントは、イントロン含有mRNAの核外 輸送を可能にする。CTEエレメントは、MPMVヌクレオチド8022〜8240aにマップさ れる(Brayら、Biochemistry,91:1256,1994)。 好ましい実施態様において、本発明のレトロイウルスベクターは、そのプロモ ーターと全長第VIII因子コード領域との間の5'側に位置する「シス」エレメント を含む。このような「シス」エレメントは一般的に、短い介在する非コード配列 によって、分離されたスプライスドナーおよびスプライスアクセプター部位を含 む。特に好ましいシスエレメントは、以下の実施例1に記載のように、短いCMV イントロン配列により分離された、CMV由来のスプライスドナー部位および免疫 グロブリン由来のスプライスアクセプターを含む。 本発明に記載のレトロウイルスベクターは、しばしばプラスミド(宿主細胞中 への導入に際して、増幅、分離、および染色体外での維持が可能である核酸分子 )上にコードされる。当業者に理解されるように、あらゆる広範囲の既存のまた は新しいプラスミドが、本発明の実施に用いられ得る。そのようなプラスミドは 複製起点を含み、そして代表的には組換え的使用を容易にするために1つまたは それ以上のマルチプルクローニングサイトを含むように改変される。好ましくは 、本発明に従って使用されるプラスミドは真核および原核宿主細胞の両方中で増 幅し得る。パッケージング細胞の生成 本発明の別の局面は、本明細書中に記載のレトロウイルスベクターを取り込む レトロウイルス粒子を産生する方法に関する。1つの実施態様において、ベクタ ーはパッケージング細胞の使用を通して感染性ビリオン中にパッケージされる。 簡潔に記載すると、パッケージング細胞は、その天然の遺伝的相補物(genetic c omplement)に加えて、レトロウイルスゲノムをパッケージするために必要なそれ らのレトロウイルス構造ポリペプチドをコードする付加的核酸(組換え(すなわち レトロウイルスベクター)またはその他である)を含む細胞である。レトロウイル ス粒子は、パッケージング細胞中で、形質導入能力のある、好ましくは複製欠損 性のビリオンを作製するために、レトロウイルスゲノムをカプシドおよびエンベ ロープと結合させることにより、作製され得る。簡潔に記載すると、これらのお よび他のパッケージング細胞は、レトロウイルスベクターを感染性ビリオン中に パッケージするために必要とされる種々のポリペプチド(例えば、gag、pol、お よびenv)をコードする、1つそして好ましくは2つまたはそれ以上の核酸分子を 含む。レトロウイルスベクターをコードする核酸分子の導入に際し、パッケージ ング細胞は、感染性レトロウイルス粒子を産生する。本発明に従い、レトロウイ ルスベクターでトランスフェクトされた、感染性ビリオンを産生するパッケージ ング細胞株は、「プロデューサー」細胞株といわれる。 広範な種類の動物細胞(制限なしに、上皮細胞、線維芽細胞、肝細胞、内皮細 胞、筋原細胞、星細胞、リンパ球などを含む)が、本発明のパッケージング細胞 を調製するために利用され得る。優先的に、レトロウイルスベクター構築物に相 同的であるゲノム配列、gag/pol発現カセット、およびenv発現カセットを欠く細 胞株が、利用されるために、選択される。相同性を決定するための方法は、例え ば、ハイブリダイゼーション分析(Martinら、Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,78巻 :4892〜96、1981;および米国特許出願第07/800,921号)により容易に行われ得 る。 MoMLVベクターシステム(psi2、PAl2、PA317)に用いられるほとんどの一般的な パッケージング細胞株(PCL)は、マウス細胞株由来である。しかし、マウス細胞 株は、代表的にはヒトの治療的使用を意図するレトロウイルスを産生するための 好ましい選択ではない。なぜならば、そのような細胞株は、以下のことが知られ ているからである:そのいくつかが本明細書中で使用したMLVベクター系に対し 配列およびレトロウイルスの型において非常に関連性のある、内在性レトロウイ ルスを含むこと;効率的にパッケージされることが知られる、非レトロウイルス または欠陥レトロウイルス配列を含むこと;およびマウス細胞膜成分の存在のた めに悪影響を生じること。 本発明において有用なパッケージング細胞株を開発することにおける重要な要 件は、それからの複製不能ビリオンの産生、または複製能のあるレトロウイルス (RCR)生成の回避である(Munchauら、Virology、176巻:262〜65、1991)。このこ とは、本発明の組換えレトロウイルスベクターを保有する感染性レトロウイルス 粒子が、インビトロまたはインビボにある標的細胞中で独立に複製し得ないこと を保証する。生じる独立の複製は、野生型ウイルスの産生を誘導し得、そしてそ れは順番に患者細胞の染色体(単数または複数)への多数の組み込みを誘導し得、 それによって挿入による変異誘発の可能性およびそれに関連した問題が増加する 。RCR産生は、少なくとも2つの方法で生じ得る:(1)パッケージング細胞株中に 存在する治療的プロウイルスDNAとレトロウイルス構造遺伝子(「gag/pol」およ び「env」)をコードするDNAとの間の相同的組換えによって、および(2)パッケー ジング細胞株中に見出された非常に多数の欠陥内生プロウイルスを有するプロウ イルスDNAの相同的組換えによる複製能力のあるウイルスの生成。 マウスに基づいた組換えレトロウイルスの使用に関連する固有の安全性の問題 を回避するために、本発明の実施において好ましいものとして、パッケージング 細胞株は種々の非マウス細胞株由来であり得る。これらは、ヒト、イヌ、サル、 ミンク、ハムスター、およびラットを含む種々の哺乳動物由来の細胞株を含む。 当業者が理解するように、多数のパッケージング細胞株が当該分野で公知の技術 を用いて作製され得る(例えば、米国特許出願第08/156,789号および米国特許出 願第08/136,739号を参照のこと)。好ましい実施態様においては、細胞株は、ハ イブリダイゼーション分析によりMoMLVの配列に相同的なゲノム配列を欠くこと の知られている(Martinら、前掲)イヌおよびヒト細胞株由来である。特に好まし いイヌ細胞の親株はD17(A.T.C.C.受託番号CRL8543)である。HT-1080(A.T.C.C.受 託番号CCL121;Grahamら、Vir.,52巻:456,1973)および293細胞(Felgnerら、Pro c.Nat'l.Acad.Sci.USA 84:7413,1987)が特に好ましいヒト細胞の親株である 。MoMLVに基づく組換えレトロウイルスベクターと組み合わせて使用するための これらの細胞株由来のパッケージング細胞株の構築は、米国特許出願第08/156,7 89号(前掲)に詳しく記載される。 したがって、遺伝子治療におけるレトロウイルス使用のための所望の必要条件 は、複製能力のあるまたは「野生型の」ウイルスを産生し得ないパッケージング 細胞株が利用可能であることである。パッケージング細胞株は、レトロウイルス ベクターが感染性レトロウイルス粒子にアセンブルするために必要とされる構造 タンパク質をコードする1つまたはそれ以上の核酸分子を含むため、これらの種 々の構築物間の組換え事象は、複製能力のあるウイルス(すなわち、独立の複製 に必要とされるパッケージングシグナルを含む、構造遺伝子および調節エレメン トの全てをコードするゲノムを含む感染性レトロウイルス粒子)を生じ得る。 過去数年間、多くの異なる構築物がこの問題を未然に防ぐための試みで開発され てきた。そのような構築は、以下を含む:3'LTR中および5'LTRの一部の欠失(Mil lerおよびButtimore、Mol.Cell.Biol.,第6巻:2895-2902,1986)、ここで2つの 組換え事象がRCRを形成するために必要である;2つの別のプラスミドの間で分 離された、1方がgagおよびpolを含み、そして他方がenvを含むヘルパーウイル スの相補的部分の使用(Markowitzら、J.Virol.,第62巻:1120-1124;およびMarko witzら、Virology,第167巻:600-606,1988を参照のこと)、ここでは3つの組換え 事象がRCRを生じるために必要である。 より最近、複製不能なレトロウイルスの産生を阻害するためのさらに改良した 方法および組成物が開発された。同時所有の米国特許出願第09/028,126号、1994 年9月7日出願を参照のこと。簡潔に記載すると、組換えレトロウイルスベクター とレトロウイルス構造タンパク質をコードする1つまたはそれ以上の核酸構築物 との間の組換え事象を通して作製された複製可能なレトロウイルスの拡散は、生 物学的に活性でない阻害分子をコードするベクターを提供することによって防ぎ 得るが、そのような組換えの事象において生物学的に活性な阻害分子をコードす る核酸分子を産生する。阻害分子の発現は、その事象が生じたプロデューサー細 胞(単数または複数)を殺すこと、あるいはその中でのレトロウイルスベクターの 産生を抑制することのいずれかによりRCRの産生を防ぐ。複製能力のあるウイル スのRNA転写物を切断するリボザイム、またはリシンA、テタヌスのような毒素 、またはジフテリアトキシン、ヘルペスチミジンキナーゼなどのような種々の阻 害分子が使用され得る。当業者に理解されように、それらのなかの教示が本明細 書に容易に応用され得る。 安全性の問題に加えて、パッケージング細胞株のための宿主細胞株の選択は、 レトロウイルス粒子の多くの生物学的特性(例えば、力価)および物理学的特性( 例えば、安定性)が宿主細胞の特性により指図されるため重要である。例えば、 その宿主細胞は、効率的にベクターRNAゲノムを発現(転写)し、第1鎖合成のた めに、細胞tRNAを用いてベクターをプライムし、MLV構造タンパク質を許容しか つ共有結合的に修飾し(タンパク質分解、グリコシル化、ミリスチル化、および リン酸化)、そして細胞膜からのビリオン出芽を可能としなければならない。例 えば、マウスパッケージング株PA317から作製されたベクターは、0.3ミクロンの フィルターにより保持され、その一方、本明細書で記載されるCA株から作製され たベクターは通過することが見出された。さらに、ヒトを含む霊長類由来の(種 々の下等哺乳動物またはトリ由来のものではなく)血清が、抗体非依存的な補体 溶解法(complement lysis method)によりレトロウイルスを不活化することが知 られている。このような活性は種々の遠縁のレトロウイルスに対して非選択的で ある。トリ、マウス(MoMLVを含む)、ネコ、およびサル起源のレトロウイルスは 、正常ヒト血清により不活化および溶解される。Welshら、(1975)Nature,第257 巻:612-614;Welshら、(1976)Virology,第74巻:432-440;Banapourら、(1986)V irology,第152巻:268-271;およびCooperら、(1986)Immunology of the Comple ment System,American Press,Inc.出版,139頁-162頁。さらに、インビボで霊 長類へ静脈内注射された複製能力のあるマウスアンホトロピックレトロウイルス は、全体でまたは部分的に霊長類補体により媒介されるプロセスにより15分以内 に浄化される(Cornettaら、(1990),Human Gene Therapy,第1巻:15-30;Corne ttaら、(1991),Human Gene Therapy,第2巻:5-14)。しかし、ヒト血清による 補体不活化に対するレトロウイルス耐性が、少なくともいくつかの例で、レトロ ウイルス粒子が産生されたパッケージング細胞株により媒介されることが最近発 見された。種々のヒトパッケージング細胞株から産生されたレトロウイルスは、 ヒト血清、おそらくは補体の成分による不活化に耐性であったが、ヒヒおよびマ キー(macque)由来の血清には感受性であった。同時所有の米国特許出願第 / , 号、代理人書類番号第930049.441号(本明細書と同日に出願した)を参照のこと 。それゆえ、本発明の好ましい実施態様において、全長第VIII因子をコードする 組換えレトロウイルス粒子は、ヒトパッケージング細胞株、特に好適であるHT10 80または293細胞由来のパッケージング細胞株を用いて産生される。 上記のような感染性の、複製欠損組換えレトロウイルスを生成することに加え て、少なくとも2つの他の代わりの系が、そのベクター構築物を保有する組換え レトロウイルスを産生するために用いられ得る。1つのそのような系(Webbら、B BRC,190:536,1993)は、昆虫ウイルスのバキュロウイルスを使用し、その一方 その他は哺乳動物ウイルスのワクシニアウイルスおよびアデノウイルス(Paviran iら、BBRC,145:234,1987)を利用する。これらの系のそれぞれは、その遺伝子 がクローン化された大量の任意の所定のタンパク質を作製し得る。例えば、Smit hら(Mol.Cell.Biol.,3:12,1983);Picciniら(Meth.Enzymology,153:545,19 87);およびMansourら(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:1359,1985)を参照の こと。これらのレトロウイルスベクターは、適切な遺伝子の挿入により組織培養 細胞中でタンパク質を産生するために用いられ得、それゆえ、組織培養由来のレ トロウイルスベクター粒子を作製するために適用され得る。アデノウイルスの系 において、遺伝子がベクターに挿入され得、インビトロ構築(Ballayら,4:3861, 1985)または細胞中での組換え(Thummelら、J.Mol.Appl.Genetics,1:435,19 82)のいずれかにより哺乳動物細胞中でのタンパク質発現に用いられ得る。 より本当に細胞外性である別のアプローチでは、レトロウイルス構造遺伝子が 、Smithら(前掲)に記載のものと同様の様式でバキュロウイルスの系(あるいは、 酵母またはE.coliのような他のタンパク質産生系)において作製される。組換え レトロウイルスゲノムは、インビトロRNA合成(例えば、FlamantおよびSorge,J. Virol.,62:1827,1988を参照のこと)により作製される。次いで、構造タンパク 質およびRNAゲノムはtRNAと混合され、引き続き、包埋envタンパク質および細胞 抽出物(代表的にはマウス細胞から)または精製した成分(envおよび他の必要なプ ロセッシング、および任意のまたは他の必要な細胞由来機能を提供する)ととも にリポソームが添加される。次いでこの混合物を処理して(例えば、超音波処理 、温度操作、または回転透析)発生レトロウイルス粒子のカプセル化を可能にす る。この手順は、病原性レトロウイルスまたは複製能力のあるレトロウイルスの 混入なしに高力価で、複製能力のない組換えレトロウイルスの産生を可能とする 。 パッケージング細胞株の選択において考慮するべき別の重要な因子は、レトロ ウイルスベクターが産生される核酸分子の導入後にそれから産生されるウイルス の力価である。多くの因子がウイルスの力価を制限し得る。最も重要な制限因子 の1つは、パッケージングタンパク質gag、pol、およびenvの発現レベルである 。レトロウイルス粒子の場合、プロウイルス由来のレトロウイルスベクターRNA の発現はまた、顕著に力価を制限し得る。高レベルの必要とされる産物を発現す るパッケージング細胞および得られたプロデューサー細胞を選択するために、適 切 な力価アッセイが必要とされる。以下により詳細に記載したように、適切なPCR に基づいた力価アッセイが開発された。 ウイルスベクターの骨格に対して相同的な、パッケージングのためのタンパク 質、例えば、レトロウイルスベクターのパッケージングのためのレトロウイルス gag、pol、およびenvタンパク質を供給するパッケージングおよびプロデューサ 細胞株を調製することに加え、キメラウイルス粒子を生じるパッケージングおよ びプロデューサーの系、例えばDNAウイルスカプシド中にパッケージされたMoMLV に基づいたレトロウイルスベクターがまた用いられ得る。ウイルスベクターのそ れと無関係なウイルスに基づいた多くの他のパッケージングおよびプロデューサ ーの系がまた、当業者に理解されるように、利用され得る。組換えレトロウイルス粒子の宿主範囲の改変 本発明の別の局面は、改変された宿主範囲を有するレトロウイルスベクターに 関する。レトロウイルスの宿主細胞範囲特異性は、脂質エンベロープに存在する env遺伝子産物により一部分決定される。興味深いことに、1つのレトロウイル ス由来のエンベロープタンパク質は、しばしば別のレトロウイルスのエンベロー プタンパク質と様々な程度に置換し得、これにより得られたベクターの宿主範囲 が改変する。従って、パッケージング細胞株(PCL)は、アンホトロピック、エコ トロピック、キセノトロピック、またはポリトロピックエンベロープのいずれか を発現するために産生され得る。さらに、「ハイブリッド」または「キメラ」エ ンベロープタンパク質を含む本発明に従ったレトロウイルスが同様に産生され得 る。任意のこれらのパッケージング細胞株から産生されたベクターは、対応し異 なったレセプターを含む任意の細胞を感染するために使用され得る(ReinおよびS chultz,Virology,136:144,1984)。 レトロウイルスのアセンブリは、出芽レトロウイルス粒子へのレトロウイルス ゲノムおよびアクセサリータンパク質の選択的な封入により特徴付けられる。興 味深いことに、非マウスレトロウイルス起源由来のエンベロープタンパク質は、 宿主範囲を改変するためにベクターをプソイドタイピング(pseudotyping)(すな わち、別の種のウイルスタンパク質による、ある種由来のウイルスRNAのカプシ ド化)のために使用され得る。一部の細胞膜が出芽してレトロウイルスエンベロ ープを形成するので、細胞膜中に通常存在する分子はこのウイルスエンベロープ のために運搬され得る。従って、多くの異なる潜在的なリガンドは、ベクターが 産生されるパッケージング細胞株の操作によるか、または特定の表面マーカーを 有する種々の型の細胞株の選択によりレトロウイルス粒子の表面上に加えられ得 る。 Millerら(Mol.Cell.Biol.,5:431,1985)は、感受性細胞にジヒドロ葉酸レダク ターゼを導入するようにMoMLV由来のレトロウイルスベクターを構築し、そして ベクターの宿主範囲を広げるために関連するアンホトロピックレトロウイルス40 70A由来のエンベロープ領域を含有させた。同様に、アンホトロピック、エコト ロピック、ポリトロピック、およびキセノトロピックレトロウイルス由来のエン ベロープタンパク質が利用され得る。さらに、宿主範囲における改変は、異種の 膜結合タンパク質(すなわち、レトロウイルス粒子中に、ベクター粒子のヌクレ オカプシドタンパク質の起源のように、同じウイルスファミリーのウイルスとは 別の少なくとも1つの起源を有する膜結合タンパク質)を導入することによりも たらされ得る。例えば、ラブドウイルスファミリーのメンバーである水疱性口内 炎ウイルス(VSV)は、レトロウイルスとともにプソイドタイプの形成に関係する ことが知られる。1991年2月19日に提出された米国特許出願第07/658,632号を参 照のこと。 簡単に述べると、本局面において、本発明は以下を含むエンベロープ化レトロ ウイルス粒子を提供する:レトロウイルスである第1のウイルス由来の起源を有 するヌクレオカプシドタンパク質を含むヌクレオカプシド;このヌクレオカプシ ドに結合する全長第VIII因子をコードするパッケージング可能な核酸分子;およ び宿主範囲を決定する膜結合タンパク質(この膜結合タンパク質は、第1のレト ロウイルスと同じ分類学的ファミリーのレトロウイルスとは異なる)。好ましく は、膜結合タンパク質は、第1のウイルスとは異なる宿主範囲を有する第2のウ イルス由来の膜結合タンパク質(例えば、VSV Gタンパク質のような天然に存在 する膜結合タンパク質)である。 本発明の別の好ましい形態において、ベクター粒子の膜結合タンパク質は、外 部レセプター結合ドメインおよび膜結合ドメインを含むキメラタンパク質または ハイブリッドタンパク質であり、少なくとも一部の外部レセプター結合ドメイン は、少なくとも一部の膜結合ドメインとは異なる起源に由来する。キメラタンパ ク質は、好ましくは、2つの起源に由来し、ここで2つの起源のうちレトロウイ ルスは1つを超えない。さらに、少なくとも一部の外部レセプター結合ドメイン は、VSV Gタンパク質に由来することが好ましい。 本発明の本局面の別の実施態様は、前記のベクター粒子を産生する細胞株に関 する。好ましくは、このような細胞株は、膜結合タンパク質をコードする核酸分 子を用いて安定にトランスフェクトされ、その発現は誘導性プロモーターにより 駆動される。 改変された宿主範囲を提供するための良好な候補物であるVSV Gタンパク質と は別の膜結合タンパク質は、本発明に従って使用される場合、宿主レセプターに 結合し、そして感染を促進する他のエンベロープ化ウイルス由来のタンパク質を 含む。当業者に理解されるように、このようなタンパク質をコードする核酸分子 を組み込むベクターは、改変された宿主範囲を有するレトロウイルス粒子が産生 され得るパッケージング細胞株を作製するために容易に使用され得る。例えば、 1つの適切な代替物は、HSV(ヘルペス単純ウイルス)由来のgD遺伝子であり、こ れはヒト神経節組織を含む宿主範囲を得るために使用され得る。 本発明に従うレトロウイルス粒子は、その細胞型に特異的な細胞表面レセプタ ーに結合する、成分(最も頻繁にはポリペプチドまたは炭水化物)をレトロウイ ルス粒子に含有させることにより、特定の細胞型に標的化され得る。このような 標的化は、細胞特異的結合ドメインと共にウイルス粒子アセンブリに必要とされ るenvタンパク質の一部を含むキメラenvタンパク質を発現するパッケージング細 胞株を調製することにより達成され得る。別の実施態様において、得られたウイ ルス粒子は1つを超えるの種のenvタンパク質を含むように、1つを超えるウイ ルス型に由来するenvタンパク質が使用され得る。なお別の実施態様は、標的特 異性を提供するように、レトロウイルスカプシドまたはエンベロープ中の細胞特 異的リガンドの封入を含む。本発明の本局面での好ましい実施態様において、使 用されるenv遺伝子は、細胞表面レセプターと相互作用することが知られている ポリペプチドリガンドのレセプター結合ドメインと共にレトロウイルスアセンブ リに必要とされるenvタンパク質の全てまたは一部をコードする。細胞表面レセ プターの組織分布は、標的化されるべき細胞型(例えば、血管の管腔表面に位置 する内皮細胞)に限定される。これに関しては、標的細胞表面に高レベルで発現 されるレセプターに結合するか、あるいは標的組織において他の細胞と比較して 比較的より高レベルで発現されるレセプター結合ドメインを利用することが好適 であり得る。 組織標的化に加えて、またはその代わりに、組織特異的プロモーターが、特定 の細胞型のみにおいて全長第VIII因子の発現を駆動するために使用され得る。 例えば、使用されるウイルスベクターは受容細胞染色体へのウイルスゲノムの 組み込みを導く場合、患者のゲノム中への特異的部位の組み込みを制御するため に、レトロウイルス感染の場合において起こるように、特異的部位への挿入を指 向する改変インテグラーゼ酵素の相同的組換えまたは使用が利用され得る。全長 第VIII因子遺伝子のこのような部位特異的挿入は、遺伝子置換治療を提供し得、 挿入変異誘発の可能性を低下させ得、患者DNAに存在する他の配列からの干渉を 最少化し得、そして患者DNA中の所望されない遺伝子(例えば、ウイルスまたは 腫瘍形成遺伝子)の発現を低下、または除去するために特異的標的部位での挿入 を可能にし得る。 非ウイルス膜結合タンパク質はまた、ベクター粒子の宿主範囲を改変するため に使用され得る。代表的な例として、所定の細胞表面レセプターリガンドまたは 他の細胞表面部分に対するリガンドとして作用するポリペプチドが挙げられる。 問題のタンパク質に対するレセプターの組織分布に依存して、レトロウイルスベ クターは、広範囲のヒト細胞に対して、サブセットの細胞に対して、または単一 の細胞型に対して標的化され得る。従って、例えば、全ヒト細胞、全白血球、ま たはTヘルパー細胞のみが標的化され得る。 レトロウイルスエンベロープ中に含まれるべきリガンドが天然に存在する膜結 合タンパク質でない場合、好ましくは「ハイブリッド」または「キメラ」エンベ ロープタンパク質を作製することにより、リガンドを膜と結合させることは必要 である。このようなハイブリッドエンベロープタンパク質は、他のウイルスまた はレトロウイルスenvタンパク質とは別のタンパク質由来の細胞外ドメインを含 み得ることが理解されることが重要である。これを達成するために、リガンドを コードする遺伝子は、膜結合ドメインをコードする配列と機能的に組み合わされ 得る。「天然に存在する膜結合タンパク質」とは、インビボで脂質膜とともにそ の天然状態に存在するタンパク質(例えば、細胞膜と結合するか、またはウイル スエンベロープ上に存在するとわかったタンパク質)を意味する。このように、 ハイブリッドエンベロープは、レトロウイルス由来のenvタンパク質の細胞外成 分が特異的なレセプター結合を担うように、全長第VIII因子をコードするレトロ ウイルスベクターの親和性を調整するため(そして効果的に力価を増大させるた め)に使用され得る。一方、これらのタンパク質の細胞質ドメインはビリオン形 成において役割を果たす。本発明は、多くのハイブリッドenv遺伝子産物(すな わち、詳細には、天然に共に存在しない細胞質領域および細胞外結合領域を有す るレトロウイルスenvタンパク質)が産生され得、そして宿主範囲特異性を改変 し得ることを認める。結果として、標的細胞に特異的に結合する組換えレトロウ イルスが産生され得る。 好ましい実施態様において、これは、VSV Gタンパク質、または所定のカプシ ドタンパク質と安定にアセンブリする他のレトロウイルスに由来するエンベロー プタンパク質の膜結合ドメインに近接するリガンド(またはレセプター結合活性 を授与するその一部)をコードする遺伝子を組み換えることにより達成される。 得られた構築物は、細胞標的化およびレトロウイルス脂質エンベロープにおける 封入が可能な二機能性キメラタンパク質をコードする。 本発明の好ましい実施態様において、感受性T細胞または単球は、CD4+細胞へ のベクター粒子の吸着を指向するために、VSV G、HIV envまたはハイブリッドen vを有するベクターを用いて標的化され得る。例えば、ウイルスベクターは、HIV envタンパク質(gp120)をレセプターとして用いる細胞を感染するベクター粒子 を産生することにより標的化され得る。好ましい実施態様において、このような HIVトロピックウイルスは、その細胞膜に天然に高レベルのCD4タンパク質(例え ば、Sup Tl細胞)および/またはCD26タンパク質を有する細胞から構築されるMLV に基づいたパッケージング細胞株から、あるいはこのようなタンパク質を発現す る「操作された」任意の細胞型から産生され得る。細胞膜自身からの出芽により 形成して得られたビリオンは、その膜においてCD4(および/またはCD26)タンパ ク質を含む。CD4(およびCD26)を含む膜は、HIV envを有する膜と融合すること が知られているので、これらのビリオンはHIV envを含む細胞と融合し、そして その表面にgp120を有するHIV感染細胞の特異的な感染をもたらすはずである。こ のようなパッケージング細胞株は、感染性ビリオンが生じるように適切なビリオ ンのアセンブリおよび出芽を可能にするために、MLV envタンパク質の存在を必 要とし得る。そうであれば、ウイルス侵入がCD4(および/またはCDCC)/HIV env相 互作用によってのみ起こり、そして感染に対してHIV-envの存在におそらく依存 しないMLV env細胞レセプターによって起こらないように、ヒト細胞に感染しな いMLV env(例えば、エコトロピックenv)が使用される。あるいは、MLV envに対 する要求は、ハイブリッドエンベロープにより満足し得、ここでアミノ末端結合 ドメインはCD4および/またはCD26のアミノ末端HIV-env結合ドメインにより置換 されている。正常なウイルス-レセプター相互作用のこの変換は、全ての型のウ イルスに使用され得、これらのウイルスの対応する細胞レセプターは同定されて いる。 本明細書中に記載の非天然膜結合リガンドを有するベクター粒子は、有利には 、膜結合タンパク質のリガンド-レセプター相互作用により決定される宿主範囲 を有する。従って、全長第VIII因子をコードするレトロウイルスベクターの標的 化送達のために、改変した宿主範囲を有するベクター粒子は、本発明の方法を用 いて産生され得る。リガンドは標的化細胞型を含む宿主範囲を提供するために選 択される。多くの異なる標的化ストラテジーは、本発明の本局面と共に使用され 得る。例えば、血液細胞に分化する骨髄において見出される多くの前駆細胞型が 存在する。多くの血液細胞は、比較的短い寿命を有し、それゆえ、前駆細胞は失 った細胞を取り換えるために持続的に分裂および分化しなければならない。好ま しい実施態様において、血友病の遺伝子治療は、多能性幹細胞を含む造血前駆細 胞を標的化する。これらの前駆細胞は、種々の技術(蛍光活性化細胞分取(FACS) およびポジティブとネガティブな選択(米国特許第5,061,620号を参照のこと) を含む)により他の細胞型からの組織学的同定、分離が可能な独特の細胞決定基 を有することが知られており、この細胞決定基は、本発明のベクター粒子の膜結 合タンパク質の細胞レセプターとして使用され得る。 本明細書中で使用するように、造血幹細胞は、原始的、または末熟で、自己再 生可能な細胞であり、そして全ての造血系統の前駆体細胞に分化し得る(すなわ ち、「全能性(totipotent)」と呼ばれる)細胞である。本発明に従う組換えベ クターは、このような細胞、または任意のそのさらに分化した子孫(例えば、種 々の原始的祖先、および種々の造血細胞系統を生じるさらなる系統拘束前駆体細 胞)に導入され得る。このような初期造血細胞の1つのマーカーは、CD34であり 、これはモノクローナル抗体を用いて同定され得る。米国特許第4,714,680号;19 93年12月23日に刊行されたWO 93/25216を参照のこと。WO 93/25216は、表現型CD 34+/CD38-/HLA-DR-を有し、そして系統拘束抗原CD33、CD10、CD5、およびCD71を 欠く、あるクラスの造血幹細胞を記載する。抗CD34抗体の代表的な例として、12 .8(Andrewsら、Blood,f67:842,1986)およびMy10(Civinら、J.Immunol.,133:157, 1984,HPCA-2の名称でBecton Dickinsonから市販されている)が挙げられる。他 の抗体(例えば、CD4+T細胞を標的化する抗CD4抗体およびCD8+細胞を標的化する 抗CD8抗体)もまた、選択した細胞型を標的化するために使用され得る(一般には 、Wilchekら、Anal.Biochem.,171:1,1988を参照のこと)。 このような前駆細胞型の独特の細胞決定基に結合する膜結合タンパク質をコー ドする発現可能な遺伝子を含有することにより、ベクターを構築し、遺伝子送達 のためにこれらの細胞型を標的化し得る。本発明のベクター粒子を用いて標的化 され得るこのような前駆細胞型の例として、多能性幹細胞、赤芽球、リンパ芽球 、骨髄芽球、および巨核球が挙げられる。 当業者はまた、脂質エンベロープに組み込まれるか、あるいはその脂質または タンパク質成分に化学的に連結され得るかのいずれかであるレトロウイルス粒子 に対して外因的にリガンド分子を添加し得ることを認識する。 染色体上の予め決定された遺伝子座への全長第VIII因子をコードするレトロウ イルスベクターの標的化はまた使用され得る。この標的化の明らかな利点として 、挿入変異誘発の回避、および転写的に活性であることが知られている部位にお ける組み込みの保証が挙げられる。特定の部位へのプロウイルス組み込みの標的 化 の技術は、インテグラーゼ改変を含む。米国特許出願第08/156,789号、前出を参 照のこと。 本発明の治療はインビボまたはインビトロのいずれかで行われることがさらに 意図される。インビトロ治療(「エクスビボ治療」とも呼ばれる)の場合、細胞 が取り出され、そしてインビトロで形質導入される。適切な宿主範囲を決定する 膜結合タンパク質を有するベクター粒子の場合、インビトロで標的化されるべき 細胞を精製する必要はない。なぜなら、ベクターは標的化細胞のみを特異的に形 質導入するからである。従って、骨髄サンプルは被験体から取り出され得、そし て所望の細胞型が形質導入され得る。次いで、形質導入細胞は同じ患者またはHL Aが適合する患者に戻され得る。 さらに、広範な種々の高親和性結合対は、標的化エレメントとして使用され得 る。代表的な例として、10-15Mの親和性(KD)を有するビオチン/アビジン(Richar ds,Meth.Enz.,184:3,1990;Green,Adv.;Protein Chem.,29:85,1985)および10-14M の親和性を有するシスタチン/パパイン(Bjorkら、Biochemistry,29:1770,1990) が挙げられる。 広範な種々の他の高親和性結合対はまた、例えば、高親和性を有する選択され た抗体を認識する抗体を調製し、そして選択することにより、開発され得る(一 般に、米国特許第RE 32,011号、同第4,902,614号、同第4,543,439号、および同 第4,411,993号を参照のこと;Monoclonal Antibodies,Hybridomas:A New Dimensi on in Biological Analyses,Plenum Press,Kennett,McKearnおよびBechtol編、1 980、およびAntibodies:A Laboratory Manual,HarlowおよびLane編、Cold Sprin g Harbor Laboratory Press,1988もまた参照のこと)。このような抗体(代表的 には他の抗体または抗体フラグメント)の結合対は、組換え技術により生成され 得る(Huseら、Science,246:1275,1989;Sastryら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86:5 728,1989;およびMichelle Alting-Meesら、Strategies in Molecular Biology,3 :1,1990もまた参照のこと)。 本明細書中に提供される開示により当業者にとって明らかであるように、親和 性結合対のメンバー(または分子)は、レトロウイルス粒子またはこのような粒 子が含まれるビヒクル(例えば、リポソーム)に結合されるか、または逆に標的 エレメントに結合され得る。それにもかかわらず、本発明の好ましい実施態様に おいて、2つの親和性結合対の大きい方(例えば、アビジン/ビオチン対のアビ ジン)が、レトロウイルス粒子または他のビヒクルに結合される。標的化の情況 に利用されるように、用語「結合」は、非共有結合相互作用または共有結合相互 作用のいずれかを意味し得るが、一般には共有結合が好ましい。例えば、N-スク シニミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(「SPDP」;Carlsonら、J.Bioc hem.,173:723,1978)および当該分野に公知の他のこのような化合物のような架橋 剤の使用を含む、多くの結合方法が利用され得る。 本発明の特に好ましい実施態様において、高親和性結合対のメンバーは、レト ロウイルス粒子において発現されるか、またはレトロウイルス粒子の完全な部分 として(例えば、レトロウイルス脂質エンベロープとして)含まれるかのいずれ かである。例えば、高親和性結合対のメンバーは、ハイブリッドタンパク質とし てエンベロープタンパク質と共に同時に発現され得る。組換えレトロウイルス粒子の調製および精製 本発明の別の局面は、組換えレトロウイルス粒子の調製に関する。本発明のレ トロウイルス粒子は、当業者が理解する種々の方法で産生され得る。例えば、プ ロデューサー細胞(すなわち、レトロウイルスベクターパッケージングに必要な 全ての成分(レトロウイルスベクターをコードする核酸分子を含む)を含有する 細胞)は、ローラーボトル、バイオリアクター、中空繊維装置、および細胞ホテ ル(cell hotel)中で増殖され得る。細胞は、液体培地中の固体支持体上で維持 されるか、または懸濁物として増殖され得る。広範な種々のバイオリアクターの 配置およびサイズが本発明の実施において用いられ得る。 細胞工場(cell factory)(「細胞ホテル」とも呼ばれる)は、代表的に2、 10、または40のトレイを含有し、未使用のポリスチレンから形作られ、Nuclon D 表面を提供するように処理され、そして互いに超音波溶接されることにより組み 立てられる。一般に、これらの工場は2つのポートチューブを有する。このポー トチューブは、試薬を添加するためか、または培養液を除去するためのチャンバ ーへの接近を可能にする。10層工場は、細胞を増殖させるための6000cm2の表面 面積を提供する。これは、おおよそ27個のT-225フラスコに相当する。細胞工場 は、例えば、Nuncを含む種々の製造業者から入手可能である。ほとんどの細胞型 は、3〜6日間、高力価ベクターを産生し得、これは複数の収集を可能にする。 各々の細胞型は、播種後の至適な収集時間および至適な収集日数を決定するため に試験される。細胞は、代表的には、細胞工場に播種するのに必要とされる細胞 数が得られるまで、最初に、ローラーボトル中の2〜20% FBSを補充したDMEM中 で増殖される。次いで、細胞はこの工場に播種され、そしてベクターを含有する 2リットルの培養物上清が適切な時間の後に収集される。新鮮な培地が、培養物 を補給するために用いられる。 中空繊維培養法もまた用いられ得る。簡単に説明すると、中空繊維培養を用い る高力価レトロウイルスの産生は、縮小された容積の培地において細胞が高密度 に培養される間に増大するウイルスの濃度に基づく。細胞は栄養素を与えられ、 そして廃棄産物は、多数の毛細管繊維の管腔を通って循環するより大容積の新鮮 な培地を用いて希釈される。細胞は、バイオリアクターチャンバー中の毛細管繊 維の外部スペースにおいて培養される。ここで、細胞の廃棄産物は、毛細管繊維 の30kD細孔を通じる拡散によって栄養素と交換される。この細胞株から産生され るレトロウイルスは大きすぎて細孔を通過し得ず、従って、細胞の側にて中空繊 維バイオリアクター中で濃縮される。細胞の側で培養される培地の容積は、組織 培養ディッシュまたはフラスコ中で培養される等価な細胞密度に必要とされる容 積よりも約10〜100倍低い。中空繊維レトロウイルスの力価を組織培養ディッシ ュまたはフラスコと比較する場合、この容積の減少倍数は、力価の誘導倍数と逆 相関する。この力価における10〜100倍の誘導は、個々のレトロウイルスのプロ デューサー細胞株が中空繊維増殖条件に友好的である場合に見られる。最大の細 胞密度を達成するために、個々の細胞は、非常に近接し、そして互いの上面で増 殖し得なければならない。多くの細胞株は、この様式では増殖せず、そしてこれ らの型の細胞株に基づくレトロウイルスパッケージング細胞株は、力価において 10倍の増加を達成し得ない。非常に良好に増殖する細胞株は、非接着細胞株であ り、そして非接着細胞株に基づくレトロウイルスプロデューサー株は、組織培養 ディッシュまたはフラスコと比較して力価において100倍の増加を達成し得ると 考えられる。 レトロウイルス粒子および産生方法に関わらず、高力価(約107〜1011cfu/mL )ストックが調製され得る。このストックは、適切な細胞への導入において所望 の産物の高レベル発現を引き起こす。レトロウイルス粒子アセンブリに必要とさ れる全ての成分が存在する場合、高レベル発現が生じ、それにより高力価ストッ クが産生される。そして高力価ストックが好ましいが、約103〜106cfu/mLの範囲 の力価を有するレトロウイルス調製物もまた用いられ得、このレトロウイルスの 力価は、以下に記載されるような、種々の精製方法により増大され得る。 適切な手段による産生の後、感染性組換えレトロウイルス粒子は、粗製形態ま たは精製形態で保存され得る。粗製のレトロウイルス粒子は培養された感染細胞 により産生され、ここでウイルス粒子は培養培地中に細胞から放出される。ウイ ルスは、最初に組換えウイルスを含有する培養培地に十分な量の処方物緩衝液を 添加し、水性懸濁物を形成することにより、粗製形態で保存され得る。 組換えレトロウイルス粒子はまた、精製形態で保存され得る。より詳細には、 処方物緩衝液の添加の前に、上記の粗製レトロウイルス調製物は、フィルターを 通過させられることにより明澄化され、次いで例えば、クロスフロー濃縮システ ム(Filtron Technology Corp.,Nortborough,MA)により濃縮される。1つの 実施態様では、外来DNAを消化するためにDNaseが濃縮物に添加される。次いで、 消化物はダイアフィルトレートされて、過剰の培地成分が除去され、そしてより 好ましい緩衝化溶液中に組換えウイルスが樹立される。次いで、ダイアフィルト レート物は、ゲル濾過Sephadex S-500ゲルカラムを通過させられ、そして精製組 換えウイルスが溶出される。 粗製組換えレトロウイルス調製物は、イオン交換カラムクロマトグラフィー( 例えば、U.S.S.N.出願番号08/093,436により詳細に記載されているような)によ って精製され得る。一般に、粗製調製物は、フィルターを通過させられることに より明澄化され、そしてこの濾過物は、高度にスルホン化されたセルロースマト リックスを含有するカラム上に載せられる。ここで、セルロースの1グラム当た りの硫酸塩の量は、約6〜15μgの範囲である。組換えレトロウイルスは、高塩 類緩衝液を用いることにより精製形態でカラムから溶出される。次いで、高塩 類緩衝液は、溶出物を分子排除カラムに通過させることによってより好ましい緩 衝液に交換される。次いで、精製された調製物は、処方されるか、または(好ま しくは−70℃で)保存され得る。 さらに、本発明の組換えレトロウイルスを含有する調製物は、組換えレトロウ イルスの力価を増大させるために精製の間に濃縮され得る。広範な種々の方法が 、レトロウイルス濃度を増大させるために利用され得る。これには、例えば、硫 酸アンモニウムを用いる組換えレトロウイルスの沈澱、ポリエチレングリコール (「PEG」)沈澱、遠心分離(PERCOLLのようなグラジエント有りまたは無しのい ずれか、またはスクロースのような「クッション」、濃縮フィルター(例えば、 Amicon filtration)、および2相分離)による濃縮が挙げられる。 簡単に説明すると、硫酸アンモニウムを用いる組換えレトロウイルスの沈澱に よる濃縮を達成するために、硫酸アンモニウムは、適切な濃度まで緩徐に添加さ れ、引き続いて遠心分離され、そして透析または疎水性カラムでの分離のいずれ かにより硫酸アンモニウムが除去される。 あるいは、組換えレトロウイルスは、PEGを用いて培養培地から濃縮され得る (Greenら、PNAS 67:385-393,1970; Syrewiczら、Appl.Micro.24: 488-494,19 72)。このような方法は、迅速であり、簡単であり、そして安価である。しかし 、硫酸アンモニウム沈澱と同様に、PEGの使用はまた、溶液から他のタンパク質 を濃縮する。 他の実施態様では、組換えレトロウイルスは、遠心分離、より詳細には低速遠 心分離によって濃縮され得る。この低速遠心分離は、高速遠心分離に伴うペレッ ト化に関連する困難さ(例えば、ウイルス破壊または不活化)を回避する。 第VIII因子をコードする組換えレトロウイルスもまた、水性2相分離法により 濃縮され得る。簡単に説明すると、ポリマー性水性2相系が、水中に2つの異な る非適合性ポリマーを溶解することにより調製され得る。水溶性ポリマーの多く の組がこのような2相系の構築に用いられ得、これには例えば、ポリエチレング リコール(「PEG」)またはメチルセルロース、およびデキストランまたはデキ ストラン硫酸が含まれる(WalterおよびJohansson,Anal.Biochem.155:215-242 ,1986; Albertsson,「Partition of Cell Particles and Macromolecules」Wil ey,New York,1960を参照のこと)。以下の実施例13により詳細に記載されるよ うに、5%〜8%(好ましくは6.5%)の範囲の濃度のPEG、および0.4%〜1% (好ましくは0.4%)の範囲の濃度のデキストラン硫酸を用いて、水性2相系が 、組換えレトロウイルスを精製するのに適切であることが証明され得る。このよ うな手順を用いて、約100倍の濃度が、総開始レトロウイルスの約50%以上の収 率で達成され得る。 説明のために、いくつかの濃縮工程を組み合わせた代表的な濃縮プロセスが以 下に示される。簡単に説明すると、組換えレトロウイルスは、濃縮の前に、ロー ラーボトル、細胞工場、またはバイオリアクターのいずれかから調製され得る。 組換えレトロウイルスを含有する取り出された培地は、プロセシングの前に、− 70℃で凍結されるか、またはより好ましくは、大きなプールされたバッチ中で2 ℃〜8℃で保存され得る。 バイオリアクターから得られた物質については、組換えレトロウイルスプール は、最初に0.65μmフィルターに連続して繋がれた0.8μmフィルター(1.2μmガ ラス繊維プレフィルター、0.8μ酢酸セルロース)を通して明澄化される。この フィルター配列は、約2平方フィートのフィルターを提供し、そして目詰まりす るまで約15〜20リットルのプールされた物質のプロセッシングを可能にする。ロ ーラーボトルまたは細胞工場から得られた物質については、40リットルまでの容 積では単一の0.65μmカートリッジ(2平方フィート)で通常十分である。80リ ットル細胞工場プロセッシングについては、5平方フィートフィルターが必要と され得る。 好ましくは、明澄化後、フィルターは緩衝液(例えば、150mM NaCl,25mM Tri s,pH7.2〜7.5)でリンスされる。明澄化後、組換えレトロウイルスは、300,000 mwカットオフを有するカセットを利用する接線フロー(tangential flow)限外 濾過によって濃縮される。バイオリアクター物質(12%〜16%FBSを含む)につ いては、1カセット当たり4〜5Lの物質が濃縮され得る。12〜16%FBSのローラー ボトルまたは細胞工場については、1カセット当たり5〜6Lの物質が濃縮され得 る。最後に、10%FBSを含む細胞工場については、1カセット当たり8〜9Lの物質 が濃縮され得る。濾過と保持との間の適切な圧力差(pressure differential) でこのような手順を利用して、80リットルまでの物質が2時間までに500mL未満 の容積に濃縮され得る。このプロセスはまた、約80%の収率を提供する。 限外濾過の工程に続いて、DNAseが50U/mLの濃度で添加され、そして30分間、 閉じられた濾過ラインでより遅いポンプ速度にて再循環される。次いで、非連続 的なダイアフィルトレーションは、付加的な緩衝液を添加し、そして上記と同じ 交差性差次的圧力(cross differential pressure)を利用することにより達成 される。一般に、この工程の後の回収率は約70%である。 次いで、濃縮された物質は、最小塩濃度およびイオン強度濃度として50mM NaC lおよび25mM Tris pH 7.2〜7.5を用いて、Phamacia S-500 HGサイズ排除ゲルに おけるカラムクロマトグラフィーに供される。一般に、組換えレトロウイルスは 、最初のピークに溶出される。 接線フロー濾過がもう一度用いられ、調製物の容積がさらに縮小され得る。そ の後、濃縮された物質は、0.2μm Milliporeフィルターを通じる濾過によって滅 菌される。 インビボ産生の代わりとして、レトロウイルスパッケージングタンパク質が、 適切な細胞から、一緒にまたは別々に産生され得る。しかし、ウイルスベクター の産生を可能にする核酸分子を導入する代わりに、インビトロパッケージング反 応が指向され、これには、gag、pol、およびenvタンパク質、レトロウイルスベ クター、tRNA、および他の必要な成分が含まれる。次いで、得られるレトロウイ ルス粒子は精製され、そして所望であれば濃縮される。薬学的組成物の処方 本発明の別の局面は、上記の組換えレトロウイルスベクターを、薬学的に受容 可能なキャリアまたは希釈剤と組み合わせて含む薬学的組成物に関する。このよ うなレトロウイルスベクターを含むレトロウイルス粒子は、粗製、または好まし くは精製形態で処方され得る。このような薬学的組成物は、液体溶液として、ま たは投与前に溶液中に再懸濁される固体形態(例えば凍結乾燥された)のいずれか で調製され得る。さらに、この組成物は、局所投与、注入、または鼻、口、膣、 舌下、吸入、眼内、腸、または直腸投与のための適切なキャリアまたは希釈剤を 用いて調製され得る。 薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤は、用いられる投与量および濃度で 受容体に非毒性である。注入溶液用のキャリアまたは希釈剤の代表的な例は、水 、好ましくは生理学的pHに緩衝化された等張生理食塩水溶液(例えば、リン酸緩 衝化生理食塩水またはTris緩衝化生理食塩水)、マンニトール、デキストロース 、グリセロール、およびエタノール、ならびにヒト血清アルブミン(HSA)のよう なポリペプチドまたはタンパク質を含む。特に好ましい組成物は、10mg/mLマン ニトール、1mg/mL HSA、20mM Tris,pH7.2,および150mM NaCl中にベクターまたは 組換えウイルスを含む。この場合、組換えレトロウイルスベクターは、約1μg の材料に相当するので、それは、高分子量材料の1%未満であり、そして総材料 (水を含む)の1/100,000未満であり得る。この組成物は、-70℃で少なくとも6ケ 月の間安定である。 本発明の薬学的組成物はまた、細胞分裂を刺激し、そしてそれ故、組換えレト ロウイルスベクターの摂取および取り込みを刺激する因子をさらに含み得る。さ らに、このような組成物は、αガラクトースエピトープ(例えば、B-ジサッカラ イド-R(Chembiomed)、B-ジサッカライド(Dextra)、B-トリサッカライド(Dextra) 、B-テトラサッカライド(Dextra)、A-フコシル化トリサッカライド-R、6-O-B-D- ガラクトピラノシル-D-ガラクトース、A-フコシル化トリサッカライド-R、崩壊 促進因子、およびHRF20(Neethlingら、Transplantation,第57巻、959〜963頁、 1994;Hayashiら、Transplantation Proceedings,第26巻、no.3、1243-1244頁、 1994)に対して予め存在するヒト抗体と競合するサッカライドのような補体活性 化のインヒビターを含み得る。このような補体インヒビターは、この組成物が投 与されるべき患者の種とは異なる種由来のパッケージング細胞株で産生される組 換えレトロウイルスとともに用いられる場合、特に有効であり得る。 本発明の薬学的組成物はまた、全長の第VIII因子をコードするレトロウイルス 粒子に対する免疫応答を抑制する因子をさらに含み得る。さらに、本発明の薬学 的組成物は、このような薬学的組成物の使用に関する説明書を提供するパッケー ジング材料とともに容器またはキット内に配置され得る。一般に、このような説 明書は、試薬濃度、および特定の実施態様では、薬学的組成物を再構成するため に必要であり得る賦形剤成分または希釈剤(例えば水、生理食塩水またはPBS)の 相対量を記載する。 組換えウイルスを保存するための特に好適な方法および組成物は、「組換えウ イルスの保存方法」と題する米国特許出願に記載されている(1993年10月12日に 出願された米国特許出願第08/135,938号、および1993年11月15日に出願された米 国特許出願第8/153,342号、これらはその全体が参考として援用される)。 患者を処置するための組換えレトロウイルスの使用には、製品が、組換えレト ロウイルスの感染力および生存力が保持されるような所望の温度で輸送および長 期間貯蔵され得ることが必要である。低温貯蔵および低温輸送なく組換えレトロ ウイルスを保存する困難性は、第三世界の国々で問題を提示する。そこでは、適 切な冷蔵能力をしばしば欠いている。例えば、アフリカでは、毎年、数百万人の 子供が麻疹のような感染病が原因で死亡している。このような疾患の予防に必要 なワクチンは、冷蔵に容易にアクセスできないので広く配布され得ない。 抗毒素、抗原および細菌の保存のための乾燥形態の材料の初期安定化が記載さ れている(Flosodortら、J.Immunol.,29:389,1935)。しかし、このプロセスの制 限は、周囲温度で水性状態から乾燥した場合タンパク質の部分的変性を含むこと であった。凍結状態からの乾燥はこの変性の減少を助け、そして細菌およびウイ ルスを含む他の生物学的材料の効果的保存を導いた(Stampら、J.Gen.Microbiol. ,1:251,1947; Roweら、Virology,42: 136,1970; およびRoweら、Cryobiology, 8:153,1971)。より最近には、スクロース、ラフィノース、グルコースおよびト レハロースのような糖類が、ウイルスの凍結乾燥の前に安定化剤として種々の組 み合わせで添加された。後の増殖のためにほんのいくらかのウイルス生存のみを 必要とする研究目的について、糖類の使用は、生存ウイルスの回収率を高めた。 本発明による組換えレトロウイルスは、液体、または好適には、凍結乾燥形態 で貯蔵され得る。安定性に影響する因子は、処方(液体、凍結乾燥、その構成成 分など)および貯蔵条件(温度、貯蔵容器、光への曝露などを含む)を含む。ある いは、本発明によるレトロウイルス粒子は、低温で液体として貯蔵され得る。好 適な実施態様では、本発明の組換えレトロウイルスは、凍結乾燥形態で、高温で 感染力を保存し、そしてこの形態のため、再構成後、患者中への注入に適切でる ように処方される。 組換えレトロウイルスは、粗製または精製形態で保存され得る。粗製のレトロ ウイルス調製物は、種々の細胞培養法により産生され得、そこではレトロウイル ス粒子が細胞から培養培地中に放出される。レトロウイルス粒子は、十分な量の 処方緩衝液を添加することにより粗製形態で保存され得る。代表的には、処方緩 衝液は、1つまたはそれ以上のサッカライド、高分子量構造添加剤、緩衝化成分 、および/またはアミノ酸のような種々の成分を含む水性溶液である。 本明細書で記載される組換えレトロウイルスはまた、精製形態で保存され得る 。例えば、処方緩衝液の添加の前に、上記のような粗製調製物は濾過により清澄 化され得、次いで濃縮される。DNaseを濃縮物に添加し得、外因性DNAを消化し、 次いでダイアフィルトレーションして過剰の培地成分を除去し、そしてより望ま しい緩衝化溶液に置換する。次いで、ダイアフィルトレーション液を、SephadexTM S-500ゲルカラムのようなゲル濾過カラム上に通過させ、そして溶出されたレ トロウイルス粒子が保持され得る。次いで十分な量の処方緩衝液を溶出液に添加 し、成分の所望の最終濃度に到達し、そしてレトロウイルス調製物の希釈を最小 限にし得る。次いで水性懸濁液は、好ましくは-70℃で貯蔵、または直ちに処方 され得る。 別の手順では、粗製調製物は、共同所有の米国特許出願第08/093,436号で記載 されるように、イオン交換カラムクロマトグラフィーにより精製され得る。簡単 に述べれば、粗製組換えウイルスは濾過により清澄化され、次いで高度にスルホ ン化されたセルロースマトリックスを含むカラム上にロードされる。高度に精製 された組換えレトロウイルスを、高塩緩衝液を用いてカラムから溶出し、次いで 分子排除カラムに溶出液を通過させることにより、より望ましい緩衝液に交換す る。回収後、次いで、処方緩衝液を添加し、上記のように最終濃度を調整した後 、低温貯蔵または直ちに処方し得る。 乾燥処方が望まれる場合、粗製または精製レトロウイルス調製物を含む水性調 製物を凍結乾燥または蒸発することにより調製し得る。凍結乾燥は、水性調製物 を、ガラス転移温度未満、または溶液の共融点温度未満に冷却すること、および 昇華により水を除去することを含む。例えば、Phillipsら(Cryobiology,18巻: 414,1981)により記載されるような多工程凍結乾燥手順を用いて、処方された組 換えウイルスを、好ましくは、-40℃〜-45℃の温度で凍結乾燥し得る。得られる 組成物は、10重量%より少ない水を含むはずである。一旦凍結乾燥されると、こ のような調製物は安定であり、そして-20℃〜25℃で貯蔵され得る。 蒸発法では、水を、周囲温度でレトロウイルス調製物水性懸濁液から蒸発によ り除去する。蒸発は、噴霧乾燥(EP 520,748を参照のこと)を含む種々の技法によ り達成され得る。噴霧乾燥では、調製物は、通常空気である予熱されたガスの流 れの中に送達され、その際に水が、懸濁液の小滴から急速に蒸発する。一旦脱水 されると、組換えレトロウイルスは安定であり、そして-20℃〜25℃で貯蔵され 得る。 先に述べたように、処方に用いられる本発明によるレトロウイルスを含む水性 調製物は、代表的には、1つまたはそれ以上のサッカライド、高分子量構造添加 剤、緩衝化成分、および水からなり、そしてまた、1つまたはそれ以上のアミノ 酸を含み得る。これらの成分の組み合わせが、凍結および凍結乾燥、または蒸発 による乾燥の際に作用し、組換えウイルスの活性を保存することが見出されてい る。1993年11月15日に出願された共同所有の米国特許出願第08/153,342号を参照 のこと。スクロース、マンニトール、グルコース、トレハロース、イノシトール 、フルクトース、マルトース、およびガラクトースを含む、種々のサッカライド が単独または組み合わせて用いられ得、ラクトースが特に好適である。サッカラ イドの濃度は、0.1重量%〜30重量%、好ましくは、約1重量%〜12重量%の範 囲であり得る。ラクトースの特に好適な濃度は3重量%〜4重量%である。さら に、サッカライドの組み合わせもまた使用され得、ラクトースおよびマンニトー ル、またはスクロースおよびマンニトールを含む。凍結乾燥処方物を室温貯蔵す ることが意図される場合、水性溶液中に特定のサッカライドを用いるのが好適で あり得ることもまた、当業者に明らかである。特に、ラクトースまたはトレハロ ースのようなジサッカライドがこのような処方に好適である。 1つまたはそれ以上の高分子量構造添加剤は、凍結の間にレトロウイルス凝集 防止を補助するために用いられ得、そして凍結乾燥または乾燥状態で構造的支持 体を提供する。本発明の意味では、構造添加剤は、それらが5000ダルトンより大 きい場合、「高分子量」であると考えられる。好適な高分子量構造添加剤は、ヒ ト血清アルブミン(HSA)であるが、ヒドロキシエチル-セルロース、ヒドロキシメ チルセルロース、デキストラン、セルロース、ゼラチン、ポビドンなど他の物質 もまた使用され得る。好ましくは、高分子量構造添加剤の濃度は、0.05%〜20% の範囲であり得、0.1重量%〜10重量%が好ましく、そして0.1重量%の濃度のHS Aが特に好ましい。 アミノ酸は、存在する場合、レトロウイルス感染力をさらに保存する傾向があ る。好ましいアミノ酸はアルギニンであるが、リジン、オルニチン、セリン、グ リシン、グルタミン、アスパラギン、グルタミン酸またはアスパラギン酸のよう な他のアミノ酸もまた用いられ得る。好ましくは、アミノ酸濃度は、0.1重量% 〜10重量%の範囲である。特に好ましいアルギニン濃度は0.1重量%である。 種々の緩衝化成分を用いて、所望のpH範囲に依存して、好ましくは7.0〜7.8の 間の比較的一定のpHを維持し得る。適切な緩衝液は、リン酸緩衝液およびクエン 酸緩衝液を含む。特に好ましい処方pHは7.4であり、そして好適な緩衝液はトロ メタミンである。 処方物中に中性塩を含み、最終の等浸透圧塩濃度を調整することもまた好まし い。適切な中性塩は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、および塩化マグネシウム を含み、塩化ナトリウムが好適である。 次の再構成のために凍結乾燥状態で組換えレトロウイルスを保存する特に好適 な方法は以下の工程を包含する:(a)組換えレトロウイルスに加えて、(i)4重量 %のラクトース、(ii)0.1重量%のヒト血清アルブミン、(iii)0.03重量%以下の NaCl、(iv)0.1重量%のアルギニン、および約7.4のpHを提供するに十分な量のト ロメタミンを含む、水性組換えレトロウイルス調製物を調製する工程;(b)この 調製物を、約-40℃〜-45℃の温度まで冷却し、凍結調製物を形成する工程;およ び(c)昇華により凍結調製物から水を除去し、2重量%より少ない水を含む凍結 乾燥組成物を形成する工程。組換えレトロウイルスが複製欠損であり、そして再 構成に際しヒトへの投与に適切であることが好ましい。 本発明の凍結乾燥されるかまたは脱水されたウイルスは、種々の物質を用いて 再構成され得るが、好ましくは、水を用いて再構成される。特定の例では、最終 処方物を等浸透圧にする希釈塩溶液もまた用いられ得る。さらに、再構成された ウイルスの活性を増強することが知られている成分を含む水性溶液を用いること が有利であり得る。このような成分には、IL-2のようなサイトカイン、硫酸プロ タミンのようなポリカチオン、または再構成ウイルスの形質導入効率を高める他 の成分が含まれる。凍結乾燥されるかまたは脱水された組換えウイルスは、任意 の便利な容量の水、あるいは凍結乾燥または脱水サンプルを実質的に、そして好 ましくは完全な可溶化を可能にする上記の再構成剤を用いて再構成され得る。組換えレトロウイルス粒子の投与 本発明の別の局面は、血友病Aを処置するための方法を提供し、この方法は、 温血動物、特にヒトに、上記のような組換えレトロウイルスベクターを、治療的 に有効な量の第VIII因子が産生されるように投与する工程を包含する。本明細書 で用いられる用語、第VIII因子の「治療的に有効な量」は、患者における血液凝 固を、患者が第VIII因子で処理されなかったときに観察される血液凝固より大き な程度に促進する量である。本発明によるレトロウイルスベクターの「治療的に 有効な量」は、特定の患者において、第VIII因子の治療的に有効な量を産生する ために投与されなければならない量をいう。血友病を患っている患者では、レト ロウイルスベクターの治療的に有効な量は、治療的に有益な凝固を生成するに十 分な第VIII因子の産生を惹起する量であり、そしてそれ故、一般に、患者の各担 当医により決定されるが、約0.2ng/mL(「正常」レベルの約0.1%)またはそれ以 上の血清レベルが治療的に有益である。代表的な投与量は、約105〜1012の感染 性レトロウイルス粒子の範囲であり、好ましくは、107〜1010の感染性粒子の投 与量である。他の投与量の尺度には、本発明によるレトロウイルス粒子で処置さ れる患者の血液中で検出される第VIII因子の国際単位数が含まれ、適切なアッセ イ、例えば、以下に述べるようなCoatestアッセイにより測定され得る。 いくつかの場合では、本発明によるレトロウイルスベクターは、ホルモン、放 射線、および/または化学療法処置のような、他の治療の付加物として投与され る。投与される全長の第VIII因子をコードするレトロウイルス粒子の量に影響を 与える因子は、患者の年齢および全身状態、患者により生成される内因性の、す なわち非組換え第VIII因子の量などを含む。血友病Aは、血清第VIII因子レベル に依存して以下の4つの群に分類されている:重症(正常の第VIII因子レベルの 1%未満)、中程度、軽度、および無症状(Brinkhous,K.M.,Thrombosis Research ,67:329,1992)。 本発明の種々の実施態様で、組換えレトロウイルスベクターは、以下により詳 細に記載されるように、インビボ、またはエクスビボの種々の経路により投与さ れ得る。あるいは、本発明のレトロウイルスベクターはまた、種々の他の方法に より患者に投与され得る。代表的な例は、リポフェクション(Felgnerら、Proc.N atl.Acad.Sci.USA,84:7413,1989)、直接DNA注入(Acsadiら、Nature,352:815,199 1;マイクロプロジェクタイルボンバードメント(Williamsら、Proc.Nat'l.Acad. Sci.USA,88:2726,1991);数種のタイプのリポソーム(Wangら、Proc.Nat'l.Acad. Sci.USA,84:7851,1987を参照のこと);CaPO4(Dubenskyら、Proc.Nat'l.Acad.Sci .USA,81:7529,1984);DNAリガンド(Wuら、J.Biol.Chem.264:16985,1989);また は核酸単独の投与(WO 90/11092)ような種々の物理的方法によるトランスフェク ションを含む。他の可能な投与方法は、血液中または、あるいは、1つまたはそ れ以上の特定の組織中、本発明によるレトロウイルスベクターで形質導入された 細胞を含む移植組織などへのプロデューサー細胞株の注入を含み得る。 本発明による薬学的組成物が、インビボで、すなわち患者から細胞を前もって 除去することなく患者の細胞に投与される場合、投与は1つまたはそれ以上の経 路であり得る。この意味で「投与」は「送達」と等価である。代表的な投与経路 は、筋肉内(i.m.)、皮下(sub-q)、静脈内(i.v.)、および腹腔内(i.p.)注入のよ うな、従来の非経口経路を含む。他の適切な経路は、鼻、肺、および、肝臓、骨 髄などの特定組織中への直接投与さえ含む。さらに、以下に記載するように、他 の経路も用いられ得る。 本発明によるレトロウイルスベクターを含む薬学的組成物の経皮または局所塗 布は、投与の代替経路として用いられ得る。何故なら、皮膚は、ヒト身体の最も 広くかつ容易に接近し得る器官であるからである。経皮送達系(TDS)は、無傷の 皮膚を介してレトロウイルス粒子を送達し得、治療的に有効であるのに十分な量 で全身循環に到達する。TDSは、胃腸吸収問題および肝初回通過効果の排除、投 与量および投与間隔の減少、ならびに改善された患者の応諾を含む、種々の利点 を提供する。TDSの主要成分は、ポリマー、組換えレトロウイルスがコードする 全長第VIII因子、賦形剤、およびエンハンサーから構成される制御された放出デ バイス、ならびにこのデバイスを皮膚に固定する固定化システムである。多くの ポリマーが記載されており、そしてこれらはゼラチン、アラビアゴム、パラフィ ンワックス、および酢酸フタル酸セルロース(Sogibayasiら、J.Controlled Rele ase,29:177,1994)を含むがこれらに限定されない。これらのポリマーは、皮膚科 学的に水相、粉末相、または油相中に処方され得る。種々の組み合わせが、単独 または乳化剤の助けで、ローション、ペースト、軟膏、クリーム、およびゲルを 生産し得る。 さらに、イオン浸透療法を用いて、電場の付与により皮膚中にまたは皮膚を通 ってイオン化物質の増加した浸透を引き起こし得る。この方法は、拍動様式で薬 物を送達し得る利点を有する(Singhら、Dermatology,187:235,1993)。 局所投与はまた、リポソーム中にレトロウイルス粒子をカプセル化することに より達成され得る。ヒアルロン酸が、リポソームの形成のための生体接着リガン ドとして用いられ、火傷および創傷治癒の場合に細胞外マトリックスへの接着お よび保持を増大する(Yerushalmiら、Arch.Biochem.and Biophys,313:267,1994) 。当業者が理解するように、リポソーム調製の方法は、サイズおよび形態を制御 するために作製され得る。リポソームはまた、特定の細胞型を標的化するために 、1つまたはそれ以上の標的化要素を含むように作られ得る。 眼投与は本明細書中に記載の組成物の送達を達成する代替経路である。結膜お よび鼻粘膜との接触により全身吸収が起こり、後者は、鼻涙管を通る排液の結果 として起こる。上記のような処方物は、緩衝液、キレート剤、抗酸化剤、および 保存剤のような不活性成分をさらに含み、そして複数投与使用に意図される眼内 投薬形態中に取り込まれ得る。処方物はまた、水性懸濁液、軟膏、ゲル、挿入物 、生体接着物、マイクロパーティクル、およびナノパーティクルからなり得る。 鼻腔はまた、全長の第VIII因子をコードするレトロウイルスベクターを含む組 成物のための代替投与経路を提供する。例えば、ヒト鼻腔は、約150cm2の総表面 積を有し、そして多くの血管がある粘膜層によって覆われている。円柱細胞、杯 細胞、毛様体立方細胞から構成される気道上皮は、鼻腔の大部分を覆う(Chienら 、Crit.Rev.in Therap.Drug Car.Sys.,4:67,1987)。上皮下組織は、密な血管 のネットワークを含み、そして鼻からの静脈血は、直接に全身循環中に通り、肝 臓における初回通過代謝を避ける。従って、鼻腔の上部領域への送達は、レトロ ウイルス粒子のより遅い浄化および増大した生物学的利用能を生じ得る。この領 域で線毛がないことは、滴下に比べた場合の鼻噴霧の増加した有効性における重 要な因子である。メチルセルロースなどの増粘剤の添加は、鼻内適用の沈着およ び浄化パターンを変化させ得る。さらに、鼻腔中の滞留時間を延長する手段とし て生体接着剤を用い得る。吸収促進剤の添加を伴うかまたは伴わないスプレー、 滴下、および粉末を含む種々の処方物が、記載されている(Wearley,L.前出を参 照のこと)。 経口投与は、舌下、頬、および胃腸送達を含む。舌下および頬(ほお)送達は、 レトロウイルス粒子の急速な全身吸収を可能にし、そして肝初回通過代謝および 胃と腸における分解を避ける。一方向性頬送達デバイスを、口腔粘膜吸収のみの ために設計し得る。さらに、これらのデバイスは、拡散制限性の粘液形成を防ぎ 、増強した吸収を可能にし得る。胃腸管を介する送達は、薬物放出の正確な標的 化を可能にする。処方に依存して、組換えレトロウイルスは、胃、十二指腸、空 腸、回腸、盲腸、結腸、または直腸中の領域に特異的に送達され得る。経口処方 物は、錠剤、カプセル、水性懸濁液、およびゲルを含む。これらは、生体接着性 ポリマー、流体力学的にバランスをとった系、腸膨張性送達デバイス、胃腸内保 持形態、腸溶性コーティング、賦形剤、または腸吸収促進剤を含み得る(Ritsche l,W.A.,Meth.Exp.Clin.Pharmacol.,13:313,1991)。 ヒト直腸は、200〜400cm2の間の表面積を有し、そして血管およびリンパ管に 富む。これは、本発明による組成物を投与するための代替経路を提供する。投与 の実際の部位に依存して、肝臓による初回通過代謝を回避することが可能であり 得る。全身循環を標的化することは、ビヒクルを内部直腸括約筋の後ろの領域に 送達することにより達成され得、これは、下大静脈中への直接吸収を可能にし、 これにより門脈循環を回避し、そして肝臓における代謝を避ける。肝臓は、ビヒ クルを、直腸膨大部領域に送達することにより標的化され得、門脈系中への吸収 を可能にする(Ritschel、前出)。興味深いことに、肝臓移植は、血友病Aを矯正 し、そして第VIII因子mRNAが肝臓および単離肝細胞中で検出可能である(Zatlouk alら、前出)。これらの結果は、本明細書で記載されるようなレトロウイルスベ クターを、直接的または間接的に肝臓へ送達することが、とりわけ、本発明の実 施において好適であることを示唆している。 あるいは、肺投与がエアロゾル投与により達成され得る。肺は高度に血管化さ れているので、この型の投与は全身送達を可能にする。エアロゾル生成に通常用 いられる3つの系は、噴霧器、加圧メーター投与量吸入器、および乾燥粉末吸入 器であり、これらすべては当該分野で公知である。エアロゾル療法は閉塞性気管 支疾患において非常に一般的であるが、全身疾患の処置についても同様に用いら れ得る。ヒト成人肺の表面積は約75m2であり、そして数秒以内にこの全領域を覆 うためにひと吹きのエアロゾルを必要とするに過ぎない。肺深部にある肺胞の壁 は極めて薄いので吸収は急速に起こる。吸収および浄化は、粒子サイズおよび溶 解度を含む多くの因子に依存する(Wearley,L.前出)。好ましくは、粒子は5μm より小さい直径である。 膣粘膜は層を成す鱗状上皮からなる。遺伝子送達ビヒクルは、膣口を通して粘 膜上に投与され得る。処方物は、軟膏、クリーム、および坐剤を含む。これらお よび他の投与経路に関するさらなる情報は、本願と同日に出願された米国特許出 願第 / ,号、代理人書類番号930049.429に見出され得る。 本発明のレトロウイルスベクターおよび粒子のインビボ投与に対する代替とし て、エクスビボ投与を使用し得る。エクスビボ処置は、患者から細胞集団の引き 抜きまたは取り出しを予見する。模範的な細胞集団は、骨髄細胞、肝臓細胞、お よび新生児のへその緒由来の血液細胞を含む。このような細胞を処理して、上記 の手順の前に、形質導入用に所望の細胞を精製し得、例えば、CD34+骨髄前駆細 胞のようなこのような細胞集団のサブセットが得られ得る。好適な精製方法は、 種々の細胞選別技法(例えば、抗体パニング、FACS、および所望の細胞型に特異 的に反応する抗体に結合したマトリックスを用いるアフィニティクロマトグラフ ィー)を含む。次いで、単離された細胞を形質導入し、その後それらを回収した 患者に直ちに再導入し得る。あるいは、細胞を、再導入に先だって当業者に公知 の種々の技法により培養中で拡大し得る。 本発明の別の実施態様では、全長の第VIII因子をコードするレトロウイルスベ クターを、他の治療化合物と組み合わせて血友病患者に投与する。当業者が理解 するように、このような化合物は、米国特許出願第 / ,号(代理人書類番号9 30049.428、本願と同日に出願)に記載されるように、患者に1つまたはそれ以上 の他の治療遺伝子を送達するために設計された他の遺伝子送達ビヒクルを含み得 るが、これに限定されない。例えば、血友病Aを患う患者はまた、HIVおよび/ま たはHBVで感染され得る。従って、このような患者はまた、このような疾患を処 置するために設計された遺伝子送達ビヒクルで、例えば、患者の免疫系を刺激す ることにより[米国特許出願第08/136,739号、前出を参照のこと、また1993年3 月17日に出願された米国特許出願第08/032,385号も参照のこと]、または後に投 与される細胞傷害性化合物に感受性になるように感染細胞を調製することにより [1993年11月18日に出願された米国特許出願第08/155,944号を参照のこと]処置さ れ得る。 実施例 以下の実施例は、本発明をより十分に説明するために含まれる。さらに、これ らの実施例は、本発明の好適な実施態様を提供し、そしてその範囲を限定するこ とを意味しない。以下の実施例で記載される手順の多くについての標準的方法、 または適切な代替手順は、例えば、「Molecular Cloning」第2版(Sambrookら、 Cold Spring Harbor Laboratory Press,1987)および「Current Protocols in M olecular Biology」(Ausubelら、編、Greene Associates/Wiley Interscience,N Y,1990)のような分子生物学の広く再編成されたマニュアルに提供されている。 実施例1 全長の第VIII因子遺伝子を含むレトロウイルスベクターの構築 この実施例は、全長の第VIII因子ポリペプチドをコードする核酸分子を含むい くつかのレトロウイルスベクターの構築を記載する。当業者に明らかであるよう に、他の匹敵するレトロウイルスベクターが同様に構築され得る。 A.レトロウイルス骨格KT-3およびKT-1をコードするプラスミドの調製 N2ベクター(Armentanoら,J.Vir.,61:1647,1987;Eglitasら,Science 230: 1395,1985)由来のモロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)5'長末端反復(LTR)E coRI-EcoRIフラグメント(gag配列を含む)をプラスミドSK+(Stratagene,La Jo lla,CA)に連結する。得られた構築物をN2R5と名づける。このN2R5構築物を、A TG開始コドンをATTに変える部位特異的インビトロ変異誘発によって変異させ、g ag発現を防止する。変異させたこのフラグメントは200塩基対(bp)長であり、 そしてPstI制限部位が隣接している。PstI-PstI変異フラグメントをSK+プラスミ ドから精製し、そしてそれをプラスミドpUC31中のN2 MoMLV 5'LTRのPstI部位に 挿入することによって、変異していない200bpフラグメントを置換する。プラス ミドpUC31はpUC19(Stratagene,La Jolla,CA)に由来し、そして追加の制限部 位XhoI、BglII、BssHIIおよびNcoIをポリリンカーのEcoRI部位とSacI部位との間 に含む。この構築物をpUC31/N2R5gMと名づける。 次に、N2由来の1.0KbのMoMLV 3'LTR EcoRI-EcoRIフラグメントをプラスミドSK+ 中にクローニングして、N2R3-と称する構築物を得る。次いで、1.0kbのClaI-Hi ndIIIフラグメントをこの構築物から精製する。 ネオマイシン(neo)ホスホトランスフェラーゼ遺伝子の発現を駆動するSV40 初期プロモーターを含む、pAFVXMレトロウイルスベクター(Krieglerら,Cell 3 8: 483,1984;St.Louisら,(1988)Proc.Nat'l,Acad.Sci.USA,第85巻:3150- 3154頁)由来のClaI-ClaI優性選択マーカー遺伝子フラグメントを、SK+プラスミ ド中にクローニングする。この構築物をSK+ SV2-neoと名づける。次いで、1.3kb のClaI-BstBI遺伝子フラグメントをSK+ SV2-neoプラスミドから精製する。 1.0kbのMoMLV 3'LTR ClaI-HindIIIフラグメント(N2R3-由来)を、同様に消化し たpUC31/N2R5gM中に連結することによって、KT-3(pKT-3)レトロウイルスベクタ ーをコードするプラスミドを生成する。次に、neo遺伝子をコードする1.3KbのCl aI-BstBIフラグメントを、得られたプラスミド構築物のClaI部位に挿入する。 KT-3に類似のレトロウイルス骨格をコードするプラスミドpKT-1もまた、構築 される。但し、このプラスミドには、優性の選択マーカー遺伝子neoは挿入され ていない。pKT-1を用いて、全長の第VIII因子遺伝子を含むKT-1を基礎にしたレ トロウイルスベクターを産生する。 B.全長の第VIII因子をコードするプラスミドベクターの産生 以下に、全長の第VIII因子cDNAをコードするいくつかのレトロウイルスベクタ ーの構築を記載する。レトロウイルスベクターのパッケージングの制約により、 そして形質導入細胞の選択は治療に必要とされないために、選択マーカー遺伝子 を欠くレトロウイルス骨格(例えば、KT-1)を用いる。 全長の第VIII因子をコードする遺伝子を、種々の供給源から入手し得る。1つ のこのような供給源は、プラスミドpCIS-F8(EP 0 260 148 A2、1993年3月3日 公開)である。このプラスミドは、全長の第VIII因子cDNAを含み、その発現はCMV 主要即時型(CMV MIE)プロモーターおよびエンハンサーの制御下にある。第VIII 因子cDNAは、第VIII因子遺伝子由来の約80bpの5'非翻訳配列および約500bpの3' 非翻訳領域を含む。さらに、CMVプロモーターと第VIII因子配列との間には、CMV イントロン配列、または「シス」エレメントがある。このシスエレメントは、約 280bpにわたり、Ig可変領域イントロンにより供給される介在領域とともに、免 疫グロブリン遺伝子由来のスプライスアクセプターの約140bp上流にCMV主要即時 型プロモーター由来のスプライスドナー部位を含む。この領域の配列、スプライ スドナーからスプライスアクセプターまでを配列番号3に示す。 i.レトロウイルスベクターJW-2をコードするプラスミドの構築 全長の第VIII因子を発現するためのレトロウイルスベクターをコードするプラ スミドpJW-2を、pKT-1由来のKT-1骨格を用いて構築する。pKT-1中への第VIII因 子cDNA挿入物の方向性クローニングを容易にするために、唯一のXhoI部位を、部 位特異的変異誘発によりNotI部位に変換する。次いで得られたプラスミドベクタ ーをNotIおよびClaIで開裂する。pCIS-F8を、ClaIおよびEagI(それらには2つの 部位がある)で完全消化し、全長の第VIII因子をコードするフラグメントを遊離 させる。次いで、このフラグメントを、NotI/ClaI制限消化ベクター中に連結し 、pJW-2と称するプラスミドを生成する。 ii.レトロウイルスベクターND-5をコードするプラスミドの構築 pND-5と称する、第VIII因子cDNAの3'非翻訳領域の約80%(約370bp)の短縮型を コードするプラスミドベクターを以下のように、pKT-1ベクター中に構築する:p JW-2について記載されるように、用いたpKT-1ベクターは、そのXhoI制限部位がN otI制限部位に置き換えられている。第VIII因子の挿入物は、pCIS-F8をClaIおよ びXbaIで消化することにより作製される。後者の酵素は、第VIII因子停止コドン の5'を切断する。次いで、第VIII因子遺伝子3'コード領域以外のすべてを含む約 7kbフラグメントを精製する。pCIS-F8をまた、XbaIおよびPstIで消化し、この 遺伝子の終止コドンを含む121bpのフラグメントを遊離する。このフラグメント をまた精製し、次いで第VIII因子遺伝子の残りの部分をコードするより大きなフ e、前出)と3点連結(three way Iigation)で連結し、pND-2と称するプラスミド を作製する。 次いで、pND-2中の唯一のSmaI部位を、希釈条件下で、ClaIリンカー(New Engl and Biolabs,Beverly,MA)をSmaI消化により作成される平滑末端に連結すること により、ClaI部位に変更する。再環状化および連結の後、2つのClaI部位を含む プラスミドを同定し、そしてpND-3と称する。 pND-3内の第VIII因子配列(ClaI部位により結合し、そして3'非翻訳領域の多く を短縮させた全長遺伝子を含む)を、以下のように、pJW-1のNotI/ClaI消化物由 来のプラスミド骨格中(XhoI部位で切断し、クレノウで平滑化し、そしてNotIリ ンカー(New England Biolabs)を挿入することによるpKT-1誘導体)にクローン化 する。このプラスミド骨格は、5.2kbのNotI/ClaIフラグメントを生じる。pCIS-F 8をEagIおよびEcoRVで切断し、そして約4.2kbの生成フラグメント(全長の第VIII 因子遺伝子の5'部分をコードする)を単離する。pND-3をEcoRVおよびClaIで消化 し、そして3.1kbのフラグメントを単離する。次いで、第VIII因子遺伝子の部分 を含むこの2つのフラグメントをNotI/ClaI消化ベクター骨格中に連結し、pND-5 と称するプラスミドを作製する。 当業者に明らかであるように、上記のようなレトロウイルスベクターをコード するプラスミドの構築後、次いでこのようなプラスミドは、感染性組換えレトロ ウイルスを産生し得る種々の細胞株の産生に用いられ得る。このような細胞株の 産生を以下の実施例に記載する。 実施例2 全長の第VIII因子遺伝子を含むレトロウイルスベクター粒子を生成する細胞株 の産生 この実施例では、全長の第VIII因子をコードする組換えレトロウイルス粒子を 生成し得るパッケージングおよびプロデューサー細胞株を生成するための手順を 記載する。詳細には、3つのパッケージング細胞株、DA(イヌ細胞株D17由来のア ンホトロピックパッケージング細胞株)、HX(ヒト細胞株HT1080由来のキセノトロ ピックパッケージング細胞株)、およびそれらのパッケージング中間体の産生を 以下に記載する。 A.アンホトロピックパッケージング細胞株の生成 gag/polパッケージング細胞株中間体を生成する最初の工程として、D17細胞お よびHT1080を、1μgのメトトレキセート耐性ベクターpFR400(Grahamおよびvand er Eb,Virology,52:456,1973)、および10μgのMoMLV gag/pol発現ベクターpSC V10を用いて、リン酸カルシウム共沈殿(Grahamおよびvan der Eb、前出)により 同時トランスフェクトする。pSCV10は、CMV MIE転写プロモーター(Boshartら、C ell,41:521,1985)を含む0.7kb HincII/XmaIIIフラグメント、gag/polコード領域 を包含するMoMLVプロウイルスプラスミドMLV-K(Millerら、Mol.Cell.Biol.,5:53 1,1985)由来の5.3kbPstI(部分的)/ScaIフラグメント、およびSV40後期転写終結 シグナルを含むSV40 DNA(残基2717〜2363)由来の0.35kb DraIフラグメントを、B いて組み合わせることにより生成する。 トランスフェクトされた細胞を、ジピリミドールおよびメトトレキセートを用 いて選択する。個々の薬物耐性細胞コロニーを拡大し、そして細胞外逆転写酵素 (RT)活性(Goffら、J.Virol.,38:239,1981を改変)によりgag/pol発現について、 および抗p30抗体(National Cancer Instituteからのヤギ抗血清#77S000087)を用 いるウェスタンブロットにより細胞内p30gagについて分析する。この方法は、各 細胞型において、標準のマウスアンホトロピックパッケージング細胞株PA317(19 91年11月27日に出願された米国特許出願第07/800,921;ATCC CRL 9078)により産 生される両方のタンパク質のレベルと比べて10〜50倍高いレベルの両タンパク質 を発現する個々の細胞クローンを同定した。 アンホトロピックパッケージング細胞株を作成するために、高レベルのgag/po lを発現するD17およびHT1080細胞株を、1μgのフレオマイシン耐性ベクターpUT 507(Mulsantら、14:243,1988)、および10μgのアンホトロピックエンベロープ発 現ベクターpCMVenvAmNheを用いたことを除いて、上記のように同時トランスフェ クトする。フレオマシンで選択した後、個々の薬物耐性細胞コロニーを拡大し、 そして抗gp70(N.C.I.からのヤギ抗血清#79S000771)を用いるウェスタンブロット により細胞内gp80cnv発現について分析する。相対的に高いレベルのgag/polおよ びアンホトロピックenvの両方を発現する、各細胞型のいくつかのクローンを同 定する。 i.「Gホッピング」 最も高い力価は、レトロウイルスベクターを感染(トランスフェクションに対 抗して)によりパッケージング細胞株に導入する場合に得られる(Millerら、Soma t.Cell Mol.Genet.,12:175,1986)。アンホトロピックMLVベクターは、これらの 宿主細胞型に感染することが知られているが、パッケージング細胞株DAおよびHA は、アンホトロピックenvタンパク質を発現するために、感染について、アンホ トロピックベクターによりブロックされる(すなわち、「ウイルス干渉」)。「ウ イルス干渉」の問題を克服するために、アンホトロピックエンベロープタンパク 質を発現する細胞株は、それらの細胞型を別に感染し得るアンホトロピックMLV ベクターにより後期感染をブロックすることにより、他のウイルスエンベロープ (例えば、アンホトロピックレセプター以外の細胞レセプターに結合する、キセ ノトロピックenvまたはVSV Gタンパク質)を含むベクター粒子を以下の様式で生 成し得る。パッケージングされるべきレトロウイルスベクターをコードする10μ gのプラスミドDNAを、キセノトロピックenvまたはVSV Gタンパク質のいずれかを 発現する10μgのDNAとともに、高レベルのgag/polを発現する細胞株に同時トラ ンスフェクトする。それぞれ、キセノトロピックenvまたはVSV Gタンパク質を含 む得られたベクターを、同時トランスフェクトした細胞において一過的に産生す る。トランスフェクションの2日後、無細胞上清を見込みのあるパッケージング 細胞株(gag、pol、およびenvを発現する)に添加する。両型のベクターは、ア ンホトロピックレトロウイルスによる感染についてブロックされた細胞に効率的 に感染する。次いで、無細胞上清を、コンフルエントな単層から回収し、そして PCRにより力価測定する。最も高い力価を産生する細胞クローンを、パッケージ ング細胞株として選択し、そしてDA(アンホトロピックenvを発現するD17)細胞お よびHA(アンホトロピックenvを発現するHT1080)細胞と呼ぶ。 B.キセノトロピックパッケージング細胞株の生成 アンホトロピックレトロウイルス粒子と対照的に、キセノトロピックパッケー ジング細胞株から産生された粒子は、広い宿主範囲を示し、従ってより広いスペ クトルの細胞型および/または異なる種からの細胞を形質導入するのに有用であ るらしい。このようなキセノトロピックパッケージング細胞株から産生されたレ トロウイルス粒子はまた、より高い形質導入効率などを示し得る。キセノトロピ ックパッケージング細胞株を、アンホトロピックパッケージング細胞株を作製す るために記載されたものと同様の様式で生成し得る。例えば、gag/pol過剰発現 体として同定されたHT1080細胞株を、1μgのpUT507(前掲)および10μgのキセ ノトロピッタエンベロープ発現ベクターpCMVxenoを用いた以外は、上記のように 同時トランスフェクトする。pCMVxenoを、リンカーおよび他の標準的な組換えDN A技術を用いて、pSCV10(前掲)について記載されたCMV初期プロモーターおよび SV40後期終結シグナルを、CMVプロモーター-エンベロープ-終結シグナルの順に 、クローンNZB9-1(O'Neillら、J.Virol.,53:100,1985)から得られたキセノトロ ピックエンベロープ由来のコード領域を含む単離した2.2kb Nael/NheIフラグメ ントと結合させて作製した。フレオマイシン選択の後、個々の薬剤耐性細胞クロ ーンを拡大し、そして特定の抗血清を用いたウエスタンブロットにより、MLVp30gag およびgp75cnvタンパク質の細胞内発現について分析する。比較的高レベルのgag /polおよびキセノトロピックenvの両方を発現するクローンを維持する。 さらに、キセノトロピックHT1080プロデューサー細胞株(すなわち全長第VIII 因子をコードする感染性レトロウイルス粒子を産生する)の産生の間のウイルス 干渉を避けるために、上記のような「Gホッピング」を用い得る。10ugのパッ ケージされるべきレトロウイルスベクター(例えば、pJW-2またはpND-5)をコード するプラスミドDNAを、VSV Gタンパク質が発現される10μgのDNAとともに、高レ ベルのgag/polを発現する細胞株に同時トランスフェクトする。組換えレトロウ イルス粒子を一過的に産生する。トランスフェクションの2日後、無細胞上清を 、gag、pol、およびキセノトロピックenvを発現する見込みのあるHT1080パッケ ージング細胞株に添加する。次いで、無細胞上清をコンフルエントな単層から回 収し、そしてPCRにより力価測定する。最も高い力価を産生する細胞クローンを 、パッケージング細胞株として選択し、そしてHX(キセノトロピックenvを発現す るHT1080)細胞と呼ぶ。 C.ポリトロピックパッケージング細胞株の生成 ポリトロピックエンベロープを含む組換えレトロウイルス粒子は、ヒト細胞型 にはほとんど形質導入されず、従って、細胞膜上のポリトロピックレセプターを 発現するそれらの細胞型のみに対して、本発明の組換えレトロウイルスベクター を標的化する努力において用いられ得る。ポリトロピックパッケージング細胞株 の生成の例として、1μgのフレオマイシン耐性ベクターpUT507(前掲)および10 μgのポリトロピックエンベロープ発現ベクターpCMVMCF(pSCV10のMoMLV gag/pol (前掲)の代わりにMCF-247W(Hollandら、J.Viol.,53:152,1985)のポリトロピック エンベロープをコードする2kb BamHI/NheIフラグメントを含む)を使用した以外 は、HT1080に対しgag/polオーバーエクスプレッサーを、上記の同じ技術により 同時トランスフェクトする。フレオマイシン選択の後、個々の薬剤耐性クローン を拡大し、そして特定の抗血清を用いたウエスタンブロットにより、MLVgp70env タンパク質の細胞内発現について分析する。 上記のように、VSV Gタンパク質を含むレトロウイルスベクター粒子を、パッ ケージされるべきレトロウイルスベクター(pJW-2またはpND-5)をコードする10μ gのプラスミドDNAの使用により作製し、高レベルのgag/polを発現する細胞株中 でVSV Gタンパク質を発現する10μgのDNAとともに同時トランスフェクトする。 この培養物由来の無細胞上清を用いて、比較的高レベルのgag/polおよびポリト ロピックenvの両方を発現するHT1080クローンに形質導入する。無細胞上清をコ ンフルエントな単層から回収し、そして上記のように力価測定する。比較的高レ ベルのgag/polおよびポリトロピックenvの両方を発現するクローンを同定し、維 持し、そして「HP」(ポリトロピックenvを発現するHT1080)と呼ぶ。 D.複製可能なレトロウイルス(RCR)の検出 複製可能なレトロウイルスを産生するための上記のパッケージング細胞の性質 を、ベクターN2を含む同時培養HXおよびDAパッケージング細胞により、厳密に試 験する。アンホトロピックベクターは、キセノトロピックエンベロープを産生す る細胞に感染し得、そしてその逆もあり得るので、連続交差感染が起こり得、こ れによりRCRを産生する可能性が増加する。293またはMus dunni細胞(NIH NIAID Bethesda,MD)(両細胞はアンホトロピックおよびキセノトロピックレトロウイ ルスを検出し得る)でのベクターレスキューアッセイによる判断と同様に、アン ホトロピックおよびキセノトロピックレトロウイルスの産生に関するアッセイに より、RCRを検出する。 i.拡大S+L-アッセイ 拡大S+L-アッセイは複製可能感染性ウイルスが目的の細胞株の上清中に存在す るかどうかを決定する。このアッセイは感染性レトロウイルスが指向細胞株MiCl1 (ATCC寄託番号CCL 64.1)上にフォーカスを生成するという実験的観察に基づ いている。MiCl1細胞株はマウス肉腫ウイルス(MSV)による形質導入によってMv lLuミンク細胞株(ATCC寄託番号CCL 64)に由来する。これは複製欠損マウス肉 腫プロウイルスを含有する(S+)が、複製可能マウス白血病プロウイルスを含有 しない(L-)非プロデューサー非形質転換復帰変異クローンである。複製可能レ トロウイルスによるMiCl1細胞の感染は、MSVゲノムを「活性化」してフォーカ ス形成をもたらす「形質転換」を誘発する。 複製可能レトロウイルスの存在について試験すべき細胞株から上清を取り出し 、そして0.45μフィルターに通してすべての細胞を除去する。1日目に、MvlLu 細胞を2mlのダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、10%FBSおよび8μg/mlポリ ブレン中で1.0×105細胞/ウェル(試験されるべき1サンプルあたり1ウェル) で6ウェルプレートに播種する。陽性および陰性コントロールのために、MvlLu 細胞を同じ方法で別の6ウェルプレートに播種する。細胞を37℃、10%CO2で一晩 インキュベートする。2日目に、1.0mlの試験上清をMvlLu細胞に加える。陰性コ ントロールプレートを、1.0mlの培地とともにインキュベートする。陽性コント ロールは、MAウイルス(Millerら,Molec.and Cell Biol.5:431,1985)の3種類 の希釈(それぞれ1.0ml培地中200フォーカス形成単位(ffu)、20ffuおよび2ffu )からなり、これを陽性コントロールウェル中の細胞に加える。細胞を一晩イン キュベートする。3日目に、培地を吸引し、そして3.0mlの新鮮なDMEMおよび10 %FBSを細胞に加える。細胞をコンフルエントまで増殖させ、そして6日目およ び10日目に1:10に分割して、すべての複製可能レトロウイルスを増幅する。13 日目に、MvlLu細胞上の培地を吸引し、そして2.0mlのDMEMおよび10%FBSを細胞 に加える。さらに、MiCl1細胞を2.0mlのDMEM、10%FBSおよび8μg/mlポリブレ ン中で1.0×105細胞/ウェルでプレートする。14日目に、MvlLu細胞由来の上清を MiCl1細胞の対応するウェルに移し、そして37℃、10%CO2で一晩インキュベート する。15日目に、培地を吸引し、そして3.0mlの新鮮なDMEMおよび10%FBSを細胞 に加える。21日目に、細胞を細胞の単層上のフォーカス形成(単層を覆いかつ付 着したままの密集屈折性細胞として現れる)について調べる。フォーカスがMiCl1 細胞上に現れれば、その試験物は複製可能レトロウイルスで汚染されていると 決定される。これらの手順を用いて、全長の第VIII因子プロデューサー細胞株が 複製可能レトロウイルスで汚染されていないことを示し得る。 ii.プロデューサー細胞株の同時培養およびMdHマーカーレスキューアッセイ ベクタープロデューサー細胞株におけるRCRの存在を試験するための別の方法 として、プロデューサー細胞を同数のMus dunni細胞とともに同時培養する。0 日目に、5.0×105のMus dunni細胞を5.0×105のプロデューサー細胞と混合し、 そしてその混合物を10cmプレート(10mlの標準培養培地/プレート、4μg/mlポ リブレン)中に播種することによって、小規模同時培養を行なう。プロデューサ ー細胞株を効果的に希釈除去(dilute out)し、そしてRCRの最大増幅を提供する ために、3〜4日毎に培養物を1:10の比率で分割し、そして5.0×105Mus dunni 細胞を各培養プレートに加える。14日目に、培養上清を収集し、0.45μのセルロ ース-アセテートフィルターに通し、そしてMdHマーカーレスキューアッセイで試 験する。1.0×108のMus dunni細胞と1.0×108のプロデューサー細胞との混合物 を合計20のT-150フラスコ(30mlの標準培養培地/フラスコ、4μg/mlポリブレン )に播種することによって、大規模同時培養を行なう。培養物を3、6および13 日目に1:10の比率で分割し、そして9日目に1:20の比率で分割する。15日目に 、最終上清を収集し、ろ過し、そしてそれぞれの一部をMdHマーカーレスキュー アッセイで試験する。 MdHマーカーレスキュー細胞株を、LHL(ハイグロマイシンB耐性遺伝子をコー ドするレトロウイルスベクター(Palmerら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84:10 55-1059,1987)で形質導入されたMus dunni細胞のプールからクローニングする 。このレトロウイルスベクターを、RCRによる細胞の感染時に、MdH細胞からレス キューし得る。4μg/mlポリブレンを含む標準培養培地(10%FBS、1% 200mM L-グルタミン、1%非必須アミノ酸を含むDMEM)2ml中に1×105のMdH細胞を含 む6ウェルプレートのウェルに1mlの試験サンプルを加える。24時間後に、培地 をポリブレンを含まない標準培養培地で置換する。2日後、MdH培養上清の全量 を0.45μのセルロース-アセテートフィルターに通し、そしてポリブレンを含む 標準培養培地2ml中の5.0×104のMus dunni標的細胞を含む6ウェルプレートのウ ェルに移す。24時間後、上清を250μg/mlのハイグロマイシンBを含む標準培養 培地で置換し、その後2日目および5日目に、200μg/mlのハイグロマイシンB を含む培地で置換する。選択後9日目に、ハイグロマイシンBに耐性なコロニー が現れ、そしてそれらは0.2%クマシーブルーで染色することによって可視化さ れる。 実施例3 全長第VIII因子をコードするレトロウイルスベクター粒子の産生 ヒトキセノトロピックパッケージング細胞株およびイヌアンホトロピックパッ ケージング細胞株、それぞれHXおよびDA由来の全長第VIII因子をコードするJW-2 およびND-5組換えレトロウイルス粒子の産生を以下に記載する。 A.pND-5 によるパッケージング細胞株HXおよびDAの一過性プラスミドDNAトラン スフェクション 1日目に、パッケージング細胞株HXをDMEMおよび10%ウシ胎児血清(FBS)と ともに10cm組織培養皿に5.0×105細胞で接種する。2日目に、トランスフェクシ ョンの4時間前に、培地を5.0mLの新鮮な培地で置換する。40.0μlの2.5M CaCl2 、10μgのpJW-2またはpND-5のいずれか、および脱イオンH2Oを混合して総容積を 400μlにすることによって、標準的なリン酸カルシウム-DNA共沈を行なう。次い でこのDNA-CaCl2溶液を、一定に攪拌しながら400μlの沈澱緩衝液(50mM HEPES- NaOH,pH7.1; 0.25M NaCl,および 1.5mM Na2HPO4-NaH2PO4)に滴下する。この混 合物を室温で10分間インキュベートする。得られた細かい沈降物を細胞の培養デ ィッシュに加える。細胞をDNA沈澱物とともに37℃で一晩インキュベートする。 3日目に、培地を吸引し、そして新鮮な培地を加える。上清を4日目に取り出し 、0.45μlのフィルターに通し、そして−80℃で保存する。 B.パッケージング細胞株形質導入 1日目に、DAパッケージング細胞を、2ml DMEMおよび10%FBS、4μg/mlポリ ブレン(Sigma,St,Louis,MO)中に5.0×105細胞/3cm組織培養ディッシュで 播種する。2日目に、3.0ml、1.0mlおよび0.2mlの新たに採集したJW-2またはND- 5レトロウイルス含有HX培地を細胞に加える。細胞を37℃で一晩インキュベート する。3日目に、細胞をプレートから取り出し、その細胞懸濁液を計数し、その 細胞懸濁液を10細胞/mlまで希釈し、そして96ウェルプレート(Corning,Cornin g,NY)の各ウェルに0.1ml(1細胞/ウェル)を加えることによって、この細胞の プールを限界希釈によりクローン化する。細胞を37℃、10%CO2で14日間インキ ュベートする。JW-2を産生する24クローンおよびND-5を産生する24クローンを選 択し、そして24ウェルプレート、6ウェルプレート、次いで10cmプレートまで拡 大し、この時点で、それらのクローンを適切なレトロウイルスベクターの発現に ついてアッセイし、上清を集め、ウイルス力価についてアッセイする。 またパッケージング細胞株HXは、HX上清由来のDA細胞の形質導入に関して記載 したものと同様の様式でDAプロデューサー細胞株から生成させたJW-2またはND-5 組み換えレトロウイルスベクターのいずれかで形質導入し得る。 上記の手順を用いて、培養物中で1×106cfu/ml以上の力価を有するJW-2または ND-5のいずれかを産生するDAおよびHX細胞株を誘導する。 C.力価アッセイ 全長第VIII因子をコードする組換えレトロウイルスベクター(例えば、JW-2お よびND-5)は、選択マーカーをコードする遺伝子を含まず、薬剤耐性コロニーの 選択に基づくもの以外の力価測定アッセイが必要とされる。この目的ために、抗 体およびPCRアッセイ(下記の後者)が、レトロウイルスベクターの力価(すなわ ち、本発明のレトロウイルスベクターを含む感染性粒子の数)を決定するために 使用し得る。本発明のレトロウイルスベクターに独特な配列を増幅するためのPC Rの使用のために、種々のプライマーが必要とされる。このようなプライマーは 、当業者により容易に設計され得、そして使用されたレトロウイルスベクター骨 格およびその成分、増幅されるべき所望の特定の領域(単数または複数)などに依 存する。特定のプライマー対の代表的な例として、LTR配列、パッケージングシ グナル配列、またはレトロウイルス骨格の他の領域に特異的なものが挙げられ、 そしてまたベクター中の全長第VIII遺伝子に特異的なプライマー(これは内性第 VIII因子ゲノム配列に存在するらしいイントロン配列を欠く、cDNA由来の誘導体 に帰する)も挙げられる。このようなPCR力価測定アッセイを用いることにおけ るさらなる利点として、ゲノム転移(rearrangement)などについてアッセイする 能力が挙げられる。当業者が認識するように、下記のPCR力価測定アッセイもま た、レトロウイルス系以外の遺伝子移送系に適用可能である。例えば、これは、 アデノウイルス、ポックスウイルス、アルファウイルス、直接または「裸の」DN Aなどに由来する遺伝子移送系のための力価を測定するために用い得る。 本発明の実施において、PCR力価測定アッセイを、全長第VIII因子発現を指向 し得るレトロウイルスベクターで形質導入した、既知の数のHT1080細胞、代表的 には1×105細胞を、収穫前に少なくとも16時間6ウェルプレートで増殖させる ことにより実施する。これらの形質導入に使用したレトロウイルスベクターは、 細胞培養上清または血液のいずれかから得る。プレートあたり1ウェルを細胞計 測のために確保する。他のウェルからの細胞を溶解し、そしてその内容物を単離 する。DNAを血液用のQIAmp血液キットおよび細胞培養PCR(QIAGEN,Inc.,Chatswor th,CA)を用いて調製する。DNAを5×106細胞等価物/mLに再懸濁し、ここで1つ の細胞等価物は1つの細胞のDNA含有量と等しい。 力価を算定するために、標準曲線を、非形質導入HT1080細胞(ネガティブコン トロール)、および既知のベクターで形質導入しかつ細胞ゲノムあたり1コピー のそのベクターを有するHT1080細胞(ポジティブコントロール)から単離された DNAを用いて作製する(例えば、ネオマイシン耐性のような選択マーカーをコー ドするレトロウイルスベクターで形質導入したパッケージング細胞株から調製さ れ得る)。ポジティブコントロールおよびネガティブコントロールの両方につい て、DNAを5×106細胞等価物/mLに再懸濁する。この標準曲線を、異なる量のポ ジティブコントロールDNAおよびネガティブコントロールDNAを混合し、一方総DN A量を一定に保ち、そしてレトロウイルスベクターの特定の領域に特異的なプラ イマーを用いるPCRにより、それから特異的な配列を増幅することにより作製す る。標準曲線作製のための混合物の代表群を以下に示す: 各チューブからの5μLを、8個の反応チューブの1つに置き(2連をまた調製 する)、残りを-20℃で保存する。各サンプルDNA調製物からの5μLを、2連で それら自身の反応チューブに置く。次いで、PCR反応(50μL総容量)を、試験さ れるべきチューブあたり以下の成分を含む45.0μLの反応混合物を添加すること により開始する:24.5μLの水、5μLの10×反応PCR緩衝液、4μLの25mM MgCl2 、4μLのdNTP(2.5mMのdATP、dGTP、dCTP、およびdTTPのそれぞれを含む)、5 μLのプライマー混合物(100ngまたは各プライマー)、0.25μLのTaqStartモノ クローナル抗体(Clontech Laboratories,Inc.,Palo Alto,CA)、1.00μL TaqStar t緩衝液(Clontech Labs,Inc.)、および0.25μL AmpliTaq DNAポリメラーゼ(Peri kin-Elmer,Inc.,Norwalk,CN)。反応混合物を反応チューブにアリコートする直前 に、1μLのα-32P dCTP(250μCi;3000 C/mmol,10 mCi/mL,Amersham Corp.,Ar lington Heights,IL)を、反応混合物に添加する。45.0μLの反応混合物を各反応 チューブにアリコートした後、チューブに蓋をしそしてサーモサイクラーに置く 。特定の変性、アニーリング、伸長時間および温度、ならびにサーモサイクルル の数は、使用するプライマー対のサイズおよびヌクレオチド組成に依存して変化 する。次いで、20〜25の増幅サーモサイクルを実施する。次いで、5μLの各反 応物を、DE81イオン交換クロマトグラフィーペーパー(Whatman,Maidstone,Engla nd)上にスポットし、そして10分間風乾する。次いで、そのフィルターを、1回 の洗浄あたり100mL(50mM Na2PO4、pH7、200mM NaCl)で5回洗浄し、その後風乾 し、次いでサランラップにサンドイッチする。定量は、PhosphoImager SI(Molec ular Dynamics,Sunnyvale,CA)で実施する。代表的には、フィルターは蛍りん光 体(phosphor)スクリーンに曝露し、これは適切な期間(代表的には約120分)で 電離放射線からのエネルギーを貯蔵する。曝露後、蛍リン光体スクリーンをスキ ャンし、これにより光は元のフィルター上の放射能に比例して放射する。次いで 、スキャンの結果をダウンロードし、そしてcpm(縦座標)対ポジティブコントロ ールDNAの%(横座標)として対数スケールで表す。各サンプルの力価(感染単位 /mL)は、細胞を形質導入するために使用したレトロウイルスベクターの容量で割 った、検出放射能に基づく標準曲線から決定される%(10進法の形態に変換され る)により、DNAを単離した細胞の数を掛けることにより計算する。当業者によ り認識されるように、比色定量法のような他の検出方法が、増幅産物を標識する ために使用し得る。 D.1つのパッケージング細胞株を介するND-5プロデューサー細胞株の産生 いくつかの情況において、プロデューサー細胞株の産生プロセスにおいて1つ 以上の細胞株の使用を避けることが所望され得る。例えば、1日目に、DA細胞を DMEMおよび10%照射(最少2.5メガラド)FBSを含む10cm組織培養皿上に5.0×105 細胞で播種する。2日目に、培地をトランスフェクションの4時間前に、5.0mL の新鮮培地で置換する。標準的なリン酸カルシウムDNA共沈を、60μlの2.0M Ca Cl2、VSV Gを発現する10μgのプラスミド、10μgのpND-5レトロウイルスベクタ ープラスミド、および脱イオン水を400μl容量で混合することにより実施する。 次いで、DNA-CaCl2溶液を、一定に撹拌しながら、400μlの2×沈澱緩衝液(50mM HEPES-NaOH(pH7.1)、0.25M NaClおよび1.5mM Na2HPO4-NaH2PO4)に滴下する。こ の混合物を、室温で10分間インキュベートする。得られた良好な沈殿物を、前日 に播種したDA細胞の培養皿に添加する。細胞を、37℃で一晩DNA沈殿物とともに インキュベートする。3日目に、培地を取り除き、そして新鮮な培地を添加する 。4日目に、G偽型ウイルスを含む上清を取り出し、0.45μmフィルターを通過 させ、そしてこれを用いて以下のようにDAパッケージング細胞に感染させる。 1日目に、DA細胞を10mLのDMEMおよび10%FBS、4mg/mLポリブレン(Sigma,St. Louis,MO)を含む10cm組織培養皿上に、5.0×105細胞で播種する。2日目に、2.0 mL、1.0mL、または0.5mLの新たに回収しそして濾過したG偽型レトロウイルス含 有上清を細胞に添加する。この細胞を、37℃で一晩レトロウイルスとともにイン キュベートする。レトロウイルス上には選択マーカーは保有されないので、選択 工程は用いない。そのかわりに、細胞プールを発現について試験し、次いでプレ ートから細胞を取り出し、細胞懸濁液を計算し、細胞懸濁液を10細胞/mL以下に 希釈し、そして0.1mLを96ウェルプレートの各ウェル(1細胞/ウェル)に添加す ことにより希釈クローン化する。細胞を、37℃、10%CO2で2週間インキュベー トする。多数のクローンを選択し、そして24ウェルプレート、次いで6ウェルプ レート、最後に10cmプレートにまで拡大し、この時点でクローンを発現について アッセイし、そして上清を回収し、そして上記のようにレトロウイルス力価につ いてアッセイする。 E.第VIII因子発現のレトロウイルスベクター媒介性転移 第VIII因子発現を転移するために本明細書中の教示に従って作製されたレトロ ウイルスベクターの能力を試験するために、細胞をこのようなベクターおよび培 地を用いて形質導入するか、または治療処置の場合において、血液を産生された 第VIII因子の量について分析しなければならない。本発明に従うレトロウイルス ベクターで形質導入された細胞株または患者細胞を、Coatest第VIII因子:C分 析により、または標準凝固アッセイにより、第VIII因子の発現について試験する 。 i.Coatest アッセイ 凝固カスケードは、カルシウムおよびリン脂質の存在下での第IXa因子による 第X因子(第Xa因子になる)の活性化により始まり、そして補因子として作用す る第VIII因子により非常に強化される。カルシウムおよびリン脂質が最適量でか mogenix AB,Monlndal,Sweden)を用いることにより、第X因子の活性化速度は第V III因子量に単に依存する。第Xa因子は、発色基質S-2222(Bz-Ile-Glu(γ-OR)-Gl y-Arg-pNA)を加水分解し、405nmで分光光度計で検出し得るpNAを放出することが 知られている。シグナル強度は第VIII因子の活性に比例する。そのようなアッセ イを用いて、組織培養物中および患者に産生された第VIII因子の量を測定し得る 。第VIII因子の1国際単位(IU)は、1.0mLのプールされた正常なヒト血漿中に測 定された活性量である。このアッセイは、以下のように実施する: 第VIII因子を含む無細胞培地を得る。患者サンプルについて、9容量の血液を 、1容量の0.1Mクエン酸ナトリウム(pH7.5)と混合し、そして20〜25℃で5〜20分 間、2,000×gで遠心分離し、細胞をペレット化する。第VIII因子の熱不安定性の ため、血漿サンプルは単離の30分以内に試験するか、またはすぐに-70℃に保存 すべきであるが、第VIII因子活性の20%ほどが、凍結および解凍の間に損失し得 る。培養培地をアッセイする場合、細胞を同様に遠心分離および等量の作業(wor king)緩衝液(Coatest Kit)により取り出す。 上記のように、非血友病患者の第VIII因子の血清レベルは、200ng/mLの範囲内 である。正常値の20%以上または以下のいずれかであることが予想される第VIII 因子の範囲に依存して、以下の2つの手順のいずれかを使用する。いずれの場合 においても、正常なヒト血漿(1.0IU第VIII因子/mL)の希釈に基づいた標準曲線を 使用し、そしてこのアッセイはプラスチックチューブ中で行うべきである。第VI II因子レベルが正常値の20%以上であることが予想される場合、1容量のブタ脳 から乳化したリン脂質、ならびに製造者により記載されるように5容量で再構築 した、凍結乾燥第IX因子および第X因子を含む溶液を調製する。この溶液を2〜 8℃で保存する。96ウェルFalconプレートにおける使用のために、Coatestアッ セイ手順の適応において、40μlのこの溶液を、20μLの作業緩衝液+20μLの血 漿と混合した。この混合物を4〜5分間、37℃でインキュベートし、この後20μ Lの0.025M CaCl2ストック溶液を添加し、続いて5分、37℃でインキュベートす る。次いで、40μLの発色試薬(20mgのS-2222、335μgの合成トロンビンインヒビ ターI-2581、10mL中)をこの中に混合する。37℃で5分間のインキュベーション の後、20μLの20%酢酸または2%のクエン酸を添加し、反応を停止する。次い で、吸光度を50mM Tris(pH7.3)および0.2%ウシ血清アルブミン(BSA)を含むブラ ンクに対して測定する。 ii.G偽型JW-2を用いるHT1080中への発現の移入 1.0×104HT1080細胞を、2mLのDMEM、10%FBS、および4mg/mLポリブレンを含 む6ウェルプレートの各ウェルに播種する。翌日、VSV Gをコードする発現ベク ターおよびpJW-2でトランスフェクトしたDA細胞から得た1〜2mLの上清を、各 ウェルに添加する。細胞がコンフルエント(通常、感染後5〜6日)になった後 、培地を各ウェルから収穫し、そしてCoatestアッセイに供する。 iii.HX/JW-2 を用いるHT1080中への発現の移入 1.0×104HT1080細胞を、2mLのDMEM、10%FBS、および4mg/mLポリブレンを含 む6ウェルプレートの各ウェルに播種する。翌日、pJW-2を用いてトランスフェ クトしたHX細胞から得られた1〜2mLの上清を、各ウェルに添加する。細胞がコ ンフルエントになった後、培地を各ウェルから収穫し、そしてCoatestアッセイ 供する。これらの結果は、プールした正常なヒト血漿希釈物を用いて作製した標 準曲線のものと相関する場合、HX/JW-2で形質導入したHT1080細胞は、培地中に 約30ng/日/106細胞の第VIII因子を分泌することを示す。 iv.HX/ND-5 を用いるHT1080中への発現の移入 希釈クローン化されたHX/ND-5プロデューサー細胞株から産生されたレトロウ イルスベクターで形質導入されたHT1080細胞を用いること、および1.2×104ベク ター/mLのPCR測定力価を有すること以外は、HX/JW-2についてのものと同様の実 験により、第VIII因子が、HX/JW-2で観察されたものの少なくとも5倍のレベル で、形質導入されたHT1080細胞中で産生され、そして分泌されることが明らかに なる。 v.HX/JW-2 を用いる一次ヒト線維芽細胞中への発現の移入 ヒトボランティアの前腕から採取した皮膚パンチ生検から得た一次ヒト線維芽 細胞中への発現の移入を、6ウェルプレートの各ウェルに約3×104個の一次ヒ ト線維芽細胞を播種することにより行う。細胞を、2mL/ウェルの15%FBSおよび 200mM Lグルタミンを含む改変イーグル培地(Irvine Scientific,Santa Ana,CA) 中で増殖させる。播種後の日に、総容量1〜2mLに希釈したVSV Gをコードする 発現ベクターおよびpJW-2でトランスフェクトしたDA細胞から得た種々の上清量( 44μL、133μL、および400μL)を各ウェルに添加する。細胞がコンフルエント( 通常、感染後3〜6日)になった後、培地を各ウェルから収穫し、そしてCoates tアッセイに供する。これらの細胞から発現された第VIII因子のレベルを(Coates tアッセイにより測定した)図4に示す。 実施例4 全長第VIII因子をコードするレトロウイルスベクター粒子の産生 A.産生および精製 全長第VIII因子をコードする粗製組換えレトロウイルス粒子を、バイオリアク ターマトリックスのビーズに結合した本発明による組換えレトロウイルスベクタ ーで形質導入されたDAまたはHX細胞を含むCelliganバイオリアクター(Ncw Bruns wick,NJ)から得る。細胞は連続的なフロープロセス中の細胞にパスオーバーされ る増殖培地中に組み換えレトロウイルス粒子を放出する。バイオリアクターに存 在する培地を回収し、そして上清の不純物を取り除くために、最初に0.8μmフィ ルターを通過させ、次いで0.65μmフィルターを通過させる。このレトロウイル ス粒子含有濾過物を、交差フロー濃縮システム(Filtron,Boston,MA)を利用して 濃縮する。1mLの濃縮物あたり約50単位のDNase(Intergen,New York,NY)を添加 し、外部のDNAを消化する。この消化物を、150mM NaCl、25mMトロメタミン、pH7 .2に対して同じ交差フローシステムにおいてダイアフィルトレートする。このダ イアフィルトレート物を、50mM NaCl、25mMトロメタミン、pH7.4で平衡化したSe phadex S-500ゲルカラム(Pharmacia,Piscataway,NJ)にロードする。精製された 組換えレトロウイルスを、50mM NaCl、25mMトロメタミン、pH7.4でSephadex S-5 00カラムから溶出する。 B.処方 ラクトース、マンニトール、スクロース、またはトレハロースを含む処方緩衝 液を、2×濃縮ストック溶液で調製する。この処方緩衝液は、最終容量100ml、p H7.4で、25mMトロメタミン、70mM NaCl、2mg/mLアルギニン、10mg/mLヒト血清 アルブミン(HSA)、および100mg/mLラクトース、マンニトール、スクロース、ま たはトレハロースを含有する。 精製された組換えレトロウイルスを、1部の2×処方緩衝液を1部のS-500で 精製した組み換えレトロウイルスに添加することにより処方する。処方した組み 換えレトロウイルス粒子は、-70℃〜-80℃の液体中で、または乾燥して保存し得 る。 レトロウイルス調製物を乾燥するために、処方レトロウイルス粒子をバイアル 中にアリコートし、そしてSupermodulyo 12K凍結乾燥器(Edwards High Vaccum,T onawanda,NY)に装着したEdwards冷却チャンバー(3Shelf RC3Sユニット)におい て凍結乾燥する。凍結乾燥周期が完了すると、わずかに窒素ガスを抜いた後、真 空下でバイアルに詮をし、そしてアルミニウムのシールをそのうえにクリンプす る。その凍結乾燥産物は、力価の有意な損失なしに(PCR力価測定アッセイ(前 掲)により測定された)、長期間-20℃で保存し得、その後再構築される。 凍結乾燥組換えレトロウイルスを1.0mlの水を用いて再構築する。再構築組み 換えレトロウイルスの感染性を、力価活性アッセイにより決定する。このアッセ イは、HT1080線維芽細胞または3T3マウス線維芽細胞株(ATCC CCL 163)で実施す る。詳細には、1.0×105細胞を6cmプレート上に播種し、そして37℃、10%CO2 で一晩インキュベートする。10マイクロリットルの連続希釈再構築組換えレトロ ウイルスを、4μg/mLのポリブレン(Sigma,St.Louis,MO)の存在下で細胞に添加 し、そして37℃、10%CO2で一晩インキュベートする。インキュベート後、細胞 をG418を含む培地でネオマイシン耐性について選択し、そして37℃、10%CO2で 5日間インキュベートする。最初の選択後に、細胞にG418を含む新鮮な培地を再 度与え、そして5〜6日間インキュベートする。最終選択後、細胞をコロニー検 出のためにクマシーブルーで染色する。このサンプルの力価をコロニーの数、使 用した希釈および容量から決定する。 ★★★ 本発明は概説的および好ましい実施態様の両方により上述したが、変形および 改変が、前掲の説明の点から当業者に生じることが理解される。従って、添付し た請求の範囲は、請求された本発明の範囲内に生じる全てのこのような改変を包 含することが意図される。 さらに、本発明の背景を解明するため、そして特に、詳細な説明および実施例 に記載されたようなその実施に関するさらなる詳細を提供するために、引用され る出版物および他の物質は、本明細書により全体が参照として援用される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:92) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),AM,AT,AU,BB,B G,BR,BY,CA,CH,CN,CZ,DE,DK ,EE,ES,FI,GB,GE,HU,IS,JP, KE,KG,KP,KR,KZ,LK,LR,LT,L U,LV,MD,MG,MN,MW,MX,NO,NZ ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI, SK,TJ,TM,TT,UA,UG,UZ,VN (72)発明者 チャン,スティーブン アメリカ合衆国 カリフォルニア 93064, ポーウェイ,カミノ デル バレ 12912 (72)発明者 チ−タン ス,デイビッド アメリカ合衆国 カリフォルニア 92122, サンディエゴ,カミノ トランキロ 8012

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.レトロウイルスベクターであって、該レトロウイルスベクターで形質導入ま たはトランスフェクトされた宿主細胞中で全長第VIII因子ポリペプチドの発現を 指示する、レトロウイルスベクター。 2.MoMLV、GALV、FeLV、およびFIVからなる群から選択されるレトロウイルスに 由来する、請求項1に記載のレトロウイルスベクター。 3.請求項1に記載のレトロウイルスベクターであって、ここで前記全長第VIII 因子ポリペプチドが: (a)ウラシル(「U」)が全てのチミジン(「T」)に置き換わることを除いて、 配列番号1に記載のヌクレオチド配列; (b)ストリンジェントな条件下で(a)のヌクレオチド配列にハイブリダイズする ヌクレオチド配列;および (c)遺伝コードの縮重がなければ、(a)または(b)のヌクレオチド配列にハイブ リダイズするヌクレオチド配列、 からなる群から選択される核酸分子によりコードされる、レトロウイルスベクタ ー。 4.請求項1に記載のレトロウイルスベクターであって、さらにレトロウイルス LTRプロモーター、SV40プロモーター、CMV MIEプロモーター、およびMPMVプロモ ーターからなる群から選択されたプロモーターを含み、ここで該プロモーターは 、全長第VIII因子ポリペプチドをコードする核酸分子と作動可能に結合されてい る、レトロウイルスベクター。 5.全長第VIII因子ポリペプチドをコードするMoMLV由来のレトロウイルス骨格 を含むレトロウイルスベクターであって、ここで該全長第VIII因子ポリペプチド が: (a)ウラシル(「U」)が各チミジン(「T」)に置き換わることを除いて、配列 番号1に記載のヌクレオチド配列; (b)ストリンジェントな条件下で(a)のヌクレオチド配列にハイブリダイズする ヌクレオチド配列;および (c)遺伝コードの縮重がなければ、(a)または(b)のヌクレオチド配列にハイブ リダイズするヌクレオチド配列、 からなる群から選択される核酸分子によりコードされる、レトロウイルスベクタ ー。 6.請求項1に記載のレトロウイルスベクターによってトランスフェクトまたは 形質導入された宿主細胞。 7.請求項5に記載のレトロウイルスベクターによってトランスフェクトまたは 形質導入された宿主細胞。 8.前記宿主細胞が、レトロウイルス構造ポリペプチドをコードする1つ以上の 核酸分子をさらに含有するパッケージング細胞である、請求項6に記載の宿主細 胞。 9.前記レトロウイルス構造ポリペプチドが、env、pol、およびgagポリペプチ ドを含有する、請求項8に記載のパッケージング細胞。 10.レトロウイルス粒子であって、該レトロウイルスベクターで形質導入また はトランスフェクトされた宿主細胞中で全長第VIII因子ポリペプチドの発現を指 示し得る、レトロウイルスベクターを含有する、レトロウイルス粒子。 11.請求項5に記載のレトロウイルスベクターを含有するレトロウイルス粒子 。 12.請求項10に記載のレトロウイルス粒子を作製する方法であって、該方法 が、該レトロウイルスベクターをコードする核酸分子でパッケージング細胞を形 質導入またはトランスフェクトする工程、および該レトロウイルスベクターのコ ピーが産生され、そして感染性レトロウイルス粒子に取り込まれるような適切な 条件下で該パッケージング細胞を培養する工程を包含する、方法。 13.請求項11に記載のレトロウイルス粒子を作製する方法であって、該方法 が、該レトロウイルスベクターをコードする核酸分子でパッケージング細胞を形 質導入またはトランスフェクトする工程、および該レトロウイルスベクターのコ ピーが産生され、そして感染性レトロウイルス粒子に取り込まれるような適切な 条件下で該パッケージング細胞を培養する工程を包含する、方法。 14.アンホトロピックレトロウイルス粒子、エコトロピックレトロウイルス粒 子、キセノトロピックレトロウイルス粒子、およびポリトロピックレトロウイル ス粒子からなる群から選択される、請求項11に記載のレトロウイルス粒子。 15.哺乳動物補体系による不活化に耐性である、請求項14に記載のレトロウ イルス粒子。 16.ヒト補体系による不活化に耐性である、請求項15に記載のレトロウイル ス粒子。 17.ヒト補体系による不活化に耐性である、請求項10に記載のレトロウイル ス粒子。 18.請求項10に記載のレトロウイルス粒子および薬学的に受容可能な希釈剤 を含有する薬学的組成物。 19.請求項10に記載のレトロウイルス粒子を含有する凍結乾燥された薬学的 組成物。 20.請求項11に記載のレトロウイルス粒子および薬学的に受容可能な希釈剤 を含有する薬学的組成物。 21.請求項11に記載のレトロウイルス粒子を含有する凍結乾燥された薬学的 組成物。 22.血友病を患う哺乳動物を処置する方法であって、該方法が請求項1に記載 のレトロウイルスベクターの治療的に有効な量を該哺乳動物に投与する工程を包 含する、方法。 23.前記哺乳動物がヒトであり、そして血友病Aを患っている、請求項22に 記載の方法。 24.血友病Aを患うヒトを処置する方法であって、該方法が請求項10に記載 のレトロウイルス粒子の治療的に有効量を該ヒトに投与する工程を包含する、方 法。 25.血友病を患う哺乳動物を処置する方法であって、該方法が請求項5に記載 のレトロウイルスベクターの治療的に有効量を哺乳動物に投与する工程を包含す る、方法。 27.血友病Aを患うヒトを処置する方法であって、該方法が請求項11に記載 のレトロウイルス粒子の治療的に有効量を該ヒトに投与する工程を包含する、方 法。 28.血友病Aを患うヒトを処置する方法であって、該方法が請求項10に記載 のレトロウイルス粒子および薬学的に受容可能な希釈剤を含有する薬学的組成物 の治療的に有効量を、該ヒトに投与する工程を包含する、方法。 29.血友病Aを患うヒトを処置する方法であって、該方法が請求項11に記載 のレトロウイルス粒子および薬学的に受容可能な希釈剤を含む薬学的組成物の治 療的に有効量を、該ヒトに投与する工程を包含する、方法。 30.全長第VIII因子ポリペプチドをコードする核酸分子を含有するレトロウイ ルス粒子であって、ここで該全長第VIII因子ポリペプチドが、イヌ、ネコ、ウシ 、ヒツジ、トリ、ウマ、ブタ、およびヒトの全長第VIII因子からなる群から選択 されるアミノ酸配列を含む、レトロウイルス粒子。 31.請求項1に記載のレトロウイルスベクターをコードする核酸分子を含有す る、プラスミド。 32.請求項5に記載のレトロウイルスベクターをコードする核酸分子を含有す る、プラスミド。 33.請求項31に記載のプラスミドで形質転換またはトランスフェクトされた 宿主細胞。 34.請求項32に記載のプラスミドで形質転換またはトランスフェクトされた 宿主細胞。 35.全長第VIII因子ポリペプチドのインビボ生産のための方法であって、該方 法はレトロウイルスベクターを患者の細胞に送達する工程を包含し、ここで該ウ イルスベクターが、該ベクターからの全長第VIII因子の治療的に有効量の発現を 指示し得る、方法。 36.前記レトロウイルスベクターが該レトロウイルスベクターを含有するレト ロウイルス粒子により患者の細胞に送達される、請求項35に記載の方法。 37.前記レトロウイルス粒子が、前記患者の細胞の特定のサブセットにレトロ ウイルスベクターの送達を標的化する、請求項36に記載の方法。 38.前記レトロウイルス粒子によりレトロウイルスベクターが標的化される前 記細胞のサブセットが、造血細胞、内皮細胞、肝細胞、およびそれらの組み合わ せからなる群から選択される、請求項38に記載の方法。 39.骨髄または臍帯由来の造血幹細胞がレトロウイルス粒子により標的化され る細胞である、請求項38に記載の方法。 40.前記レトロウイルスベクターによる患者の細胞への該レトロウイルスベク ターの送達がエキソビボで実施される、請求項36に記載の方法。 41.前記レトロウイルスベクターによる患者の細胞への該レトロウイルスベク ターの送達が、非経口的投与および肺投与からなる群から選択される方法によっ てインビボで実施される、請求項36に記載の方法。 42.全長第VIII因子のインビボ生産が、前記レトロウイルスベクターのプロウ イルス形態からの該全長第VIII因子の安定な発現から生じる、請求項35に記載 の方法。 43.全長第VIII因子ポリペプチドの発現を指示するレトロウイルスベクターで 形質導入され、そして全長第VIII因子を安定して発現する宿主細胞。 44.ヒト細胞である、請求項43に記載の宿主細胞。
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