JPH09507839A - 胎児のための子宮内遺伝子治療 - Google Patents

胎児のための子宮内遺伝子治療

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JPH09507839A JP7515762A JP51576295A JPH09507839A JP H09507839 A JPH09507839 A JP H09507839A JP 7515762 A JP7515762 A JP 7515762A JP 51576295 A JP51576295 A JP 51576295A JP H09507839 A JPH09507839 A JP H09507839A
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Abstract

(57)【要約】 胎児の子宮内遺伝子治療を行う一つの方法であって、一つの治療薬をコード化する少くとも1個の核酸配列で生体内胎児細胞を形質導入することよりなる方法。胎児細胞は治療薬をコード化する核酸配列を含む一つのウイルスベクター(レトロウイルスベクターなど)で形質導入される。ウイルスベクターは胎児に投与されるウイルス上澄みに含まれるか、もしくは胎児に投与される生産者細胞系により生成される。

Description

【発明の詳細な説明】 胎児のための子宮内遺伝子治療 この発明は遺伝子の治療に関し、とりわけ子宮内遺伝子治療に関する。より詳 細には、この発明は胎児に一つの治療薬をコード化する少なくとも1個の核酸配 列を投与することによる胎児のための生体内遺伝子治療に関する。 ある種の遺伝的代謝疾病、例えばフルラー症候群、レッシュ−ナイハン病、テ イサックス病、およびαサラセミアなどは誕生前に胎児に不可逆的損傷を起こし 得る。例えばアデノシンデアミナーゼ(ADA)欠損症などの他の遺伝的疾病を 持って生まれた乳児は生誕時は正常に見える。しかしこのような疾病はその後間 もなく徴候が現れる。前記の疾患はそれが生まれる前あるいは後に徴候が現れよ うとも、遺伝子治療が安全に子宮内で行い得たなら治療することが出来た。 カントッフ、他、血液、73巻、4号、1066−1073ページ(1989 年3月)は、交換輸血によりネオマイシン耐性(neoR)遺伝子のヒツジ胎児 へのレトロウイルス媒介転移を開示する。このような方法で、血液がヒツジ胎児 から獲得され、単核細胞が収穫された。細胞は次いでneoR遺伝子あるいはヒ トアデノシンデアミナーゼ(ADA)のcDNAを含むレトロウイルスベクター を使って生体外で形質導入された。形質導入細胞は、次いでヒツジ胎児に再注入 された。生誕後子ヒツジは機能性neoR遺伝子の存在を調べられた。解析され た10匹の子ヒツジの内、6匹がG418耐性造血始原細胞に対し陽性であった 。1匹のヒツジは生誕後2年以上もneoR遺伝子を発現する血球を有していた 。 しかしこのような交換輸血方法は、遺伝子転移を実行するのに十分な血球を得 るために胎児が十分な大きさになるように、妊娠のある遅い時期まで待つ必要が あり、また胎児細胞への遺伝子転移が妊娠の初期に行われるとある種の遺伝子疾 病がより成功裡に治療される。加えて、このような方法は、胎児に損傷の危険を 増す沢山の操作を必要とする。また形質導入は、胎児からとり出された細胞にの み生じる。 従って、治療薬をコード化する遺伝子が妊娠の初期に胎児細胞に形質導入され るように胎児に遺伝子治療を提供し、胎児の幹細胞の形質導入を改善することが この発明の一つの目的である。 この発明の一つの見地に従って、胎児に生体内遺伝子治療を実行する方法が提 供される。この方法は、一つの治療薬をコード化する少くとも1個の核酸(DN AあるいはRNA)配列を使って生体内で胎児細胞を形質導入することよりなる 。 ここで使用される「核酸配列」という用語は、DNAあるいはRNA分子を意 味し、完全あるいは部分遺伝子配列を含み、また同じくポリヌクレオチドを含む 。この用語は更に隣接するペントースの3′および5′炭素の間のリン酸ジエス テル結合により相互に連結する線形配列のデオキシリボヌクレオチドあるいはリ ボヌクレオチドを含む。 ここで使用される「治療薬」という用語は、その包括的な感 覚で使用され、治療薬、予防薬、および置換剤を含む。 この発明の方法は、卵黄嚢段階を含む妊娠のいずれの段階においても実施する ことが出来る。この方法はヒトに適用することが出来、ここで胎児がαサラセミ アの治療のために輸血を受けるのと同じ様式で超音波により胎児に誘導される針 を使ってヒト胎児は腹腔内に注射を受ける。 治療薬をコード化する核酸配列は、胎児細胞を形質導入する適切な発現ベクタ ーに含有される。このような発現ベクターは必ずしもそれに限定されないが、真 核ベクター、原核ベクター(例えば細菌ベクターなど)、およびウイルスベクタ ーを含む。 一つの実施例において、発現ベクターはウイルスベクターである。使用される ウイルスベクターは必ずしもそれに限定されないが、レトロウイルスベクター、 アデノウイルスベクター、アデノ関連性ウイルスベクター、およびヘルペスウイ ルスベクターである。望ましくは、ウイルスベクターはレトロウイルスベクター である。 望ましい実施例において、一つのパッケージング細胞系がウイルスベクターを 含む生産者細胞系を形成するために、治療薬をコード化する核酸配列を含む一つ のウイルスベクターを使って形質導入される。生産者細胞は次いで胎児に生体内 で投与され、それによって生産者細胞は胎児細胞を形質導入することの出来るウ イルス粒子を生成する。このような胎児細胞は体全体にわたり位置しており、そ れは必ずしもそれに限定されないが、骨髄細胞を含み、造血細胞を含む体細胞お よび胚細胞; 末梢血球;脳細胞を含む中枢神経系細胞;肺細胞;腎細胞;精巣細胞;卵巣細胞 ;および肝細胞を含む。 望ましい実施例において、ウイルスベクターはレトロウイルスベクターである 。使用されるレトロウイルスベクターは、必ずしもそれに限定されないが、モロ ニーマウス白血病ウイルス、脾臓壊死ウイルス、および以下のレトロウイルス、 つまりラウス肉腫ウイルス、ハーベイ肉腫ウイルス、鳥類白血症ウイルス、ヒト 免疫不全ウイルス、骨髄増殖性肉腫ウイルス、および乳癌ウイルスなどから誘導 されるベクターを含む。望ましくは、レトロウイルスベクターは感染性ではある が非複製コンピテントレトロウイルスである。しかし複製コンピテントレトロウ イルスもまた使用することが出来る。 レトロウイルスベクターは、真核細胞へのレトロウイルス媒介遺伝子の転移を 媒介する作用薬として有用である。レトロウイルスベクターは、ウイルスの構造 遺伝子をコードする多数の配列が欠失し対象となる遺伝子により置換されるよう な形で一般には構築される。非常にしばしば構造遺伝子(すなわちgag,po l、およびenv)は、従来周知の遺伝子技術手法を用いてレトロウイルスバッ クボーンから除去される。これは適切なエンドヌクレアーゼ、あるいはある場合 には、パッケージングシグナルの適切な部分を含む断片を生成するためのBal 31エキソヌクレアーゼを使う消化を含む。 これらの新しい遺伝子は、いくつかの一般的方法でプロウイルスバックボーン にとり込まれてきた。もっとも簡単な構築は、レトロウイルスの構造遺伝子が単 一の遺伝子により代替さ れ、その単一遺伝子が次いで長末端反復(LTR)内でウイルス調節配列の制御 下で転写される構築である。レトロウイルスベクターは、更に1個以上の遺伝子 を標的細胞に導入出来るように構築されている。通常このようなベクターにおい て、1個の遺伝子はウイルスLTRの調節制御下にあり、一方第2遺伝子がスプ ライスドメッセージから離れて発現されるかもしくはそれ自身の内部プロモータ ーの調節下にある。 ウイルスバックボーンのウイルス成分を最小にするよう努力が払われたが、主 としてパッケージング細胞内でベクターとパッケージング欠損ヘルパーウイルス との間の組換えの機会を少なくする努力に向けられた。パッケージング欠損ヘル パーウイルスは、ベクター自身から欠失されるレトロウイルスの構造遺伝子を提 供するのに必要である。 一つの実施例において、レトロウイルスベクターは、ベクターとパッケージン グシステムの間の相同性を絶対最小値にまで減少させる一連の欠失および置換を 含むN2ベクター(アーメンターノ、他、ウイルス学ジャーナル、61巻:16 47−1650ページ)に基礎を置くベンダー、他、ウイルス学ジャーナル、6 1巻:1639−1649ページ(1987年)で記載される一連のベクターの 一つである。これらの変化は、更にウイルスタンパク質が発現される尤度も減少 させた。これらベクターの最初であるLNL−XHCにおいて、部位指向突然変 異によりgagの天然ATG出発コドンからTAGへ変更され、これによりその 点から意図しないタンパク質合成が排除された。5′から真正gag出発までの モロ ニーマウス白血病ウイルス(MoMuLV)において、も一つのグリコシル化タ ンパク質(pPr80gag)の発現を可能にする一つの読み取り枠が存在する。 モロニーマウス肉腫ウイルス(MoMuSV)はフレームシフトおよびグリコシ ル化部位欠損を含むこの5′領域で変更を有し、それがpPr80gagのアミノ 末端の潜在的発現を回避する。従ってベクターLNL6が作られ、これはLNL −XHCの変更ATGおよびMoMuSVの5′部分双方をとり込んだ。LNベ クターシリーズの5′構造は、かくしてレトロウイルス読み取り枠の発現の可能 性、およびそれに続く遺伝子形質導入標的細胞におけるウイルス抗原の生産を排 除する。パッケージング欠損ヘルパーウイルスでオーバーラップを少なくするた めの最終変更において、ミラーはLNベクターの3′LTRの直前にある余分の env配列を排除した(ミラー、他、バイオテクニク、7巻:980−990ペ ージ、1989年)。 遺伝子治療に適用されるいずれの遺伝子転移システムにおいても満足されねば ならない最高の必要性は安全性である。安全性はベクターゲノム構造を感染性ベ クターの生産に利用されるパッケージングシステムと組合せることから誘導され る。ミラー、他、はレトロウイルス構造タンパク質の発現のためのpPAM3プ ラスミド(パッケージング欠損ヘルパーゲノム)をベクターパッケージングシス テムを作るためのLNベクターシリーズと組合せることにより発展させたが、こ こでは組換え野生型レトロウイルスの生成は、ベクターゲノムとパッケージング 欠損ヘルパーゲノム(すなわちLNとpPAM3)の間の 組換えの殆どあらゆる部位の排除を通じて最小値にまで減少される。 一つの実施例において、レトロウイルスベクターは、前記記載のもの、および ベンダー、他(1987年)、およびミラー、他(1989年)に詳細に記載さ れているもののようなベクターのLNシリーズであるモロニーマウス白血病ウイ ルスである。このようなベクターは、マウス肉腫ウイルスから誘導されるパッケ ージングシグナルの部分、および突然変異gag開始コドンを持つ。ここで使用 される「突然変異」という用語は、gag開始コドンが欠失あるいは変更され、 gagタンパク質あるいは断片もしくはその切形が発現されないことを意味する 。 も一つの実施例において、レトロウイルスベクターは、少くとも4個のクロー ニング、あるいは制限酵素認識部位を持ち、ここで少くとも2個の部位は10, 000塩基対で1個以下の真核遺伝子の出現頻度を持ち、つまり制限産物は少く とも10,000塩基対の平均DNAサイズを持っている。望ましいクローニン グ部位は、NotI,SnaBI,SalI、およびXhoIよりなるグループ から選択される。望ましい実施例において、レトロウイルスベクターはこれらク ローニング部位のそれぞれを含む。このようなベクターは更に1992年7月2 3日受理されたアメリカ合衆国特許出願番号919,062号で説明されている 。 このようなクローニング部位を含むレトロウイルスベクターが使用される場合 には、更にシャトルクローニングベクターが 提供され、このベクターはレトロウイルスベクターに局在するNotI,Sna BI,SalI、およびXhoIよりなるグループから選択される少くとも2個 のクローニング部位と適合する少くとも2個のクローニング部位を含む。シャト ルクローニングベクターは、更にシャトルクローニングベクターからレトロウイ ルスベクターに転移することの出来る少くとも1個の望ましい遺伝子を含む。 シャトルクローニングベクターは、クローニングあるいは制限酵素認識部位を 含む1個乃至それ以上のリンカーに連結される基本「バックボーン」ベクターあ るいは断片から構築される。クローニング部位に含まれるものは、前記の適合性 、あるいは相補性クローニング部位である。シャトルベクターの制限部位に対応 する末端を持つ遺伝子、およびもしくはプロモーターは、従来既知の手法を通じ てシャトルベクターに連結される。 シャトルクローニングベクターは原核システムのDNA配列を増幅するために 使用することが出来る。シャトルクローニングベクターは、原核システムおよび とりわけ細菌で一般に使用されるプラスミドから調製される。かくして例えば、 シャトルクローニングベクターは、pBR322;pUC18などのプラスミド から誘導される。 ベクターは1個以上のプロモーターを含む。使用される適切なプロモーターは 必ずしもそれに限定されないが、ミラー、他、バイオテクニク、7巻、9号、9 80−990ページ(1989年)に記載されているレトロウイルスLTR; SV40プロモーター;およびヒトサイトメガロウイルス(CMV)プロモータ ー;あるいはいずれかの他のプロモーター(例えば、必ずしもそれに限定されな いがヒストン,pol III,およびβ−アクチンプロモーターなどを含む真 核細胞プロモーターなどの細胞プロモーター)を含む。使用される他のウイルス プロモーターは、必ずしもそれに限定されないが、アデノウイルスプロモーター ,TKプロモーター、およびB19パルボウイルスプロモーターを含む。適切な プロモーターの選択は、ここに含まれる教訓から当業者にとっては明らかであろ う。 ベクターは次いで生産者細胞系を形成するためにパッケージング細胞系に形質 導入するのに使用される。形質移入されるパッケージング細胞の例は、必ずしも それに限定されないが、PE501,PA317,−2,−AM,PA12,T 19−14X,VT−19−17−H2,CRE,CRIP,GP+E−86, GP+envAM12,PAT2.4,およびDAN細胞系を含む。代表的なパ ッケージング細胞系の例は、同じくミラー、ヒト遺伝子治療、1巻、5−14ペ ージ(1990年)に記載されている。治療薬をコード化する核酸配列を含むベ クターは、いずれかの従来既知の手段を通じてパッケージング細胞を形質導入す る。このような手段は、必ずしもそれに限定されないが、電気穿孔法、リポソー ムの使用、およびリン酸カルシウム沈殿法を含む。 一つの実施例において、PE501などの第1パッケージン グ細胞系がベクターで形質移入され、ウイルス粒子が生成される。これらの感染 性ウイルス粒子は次いでPA317などの第2パッケージング細胞系を形質移入 するのに使用され、これが量を増やしたウイルス粒子を生成する。 生産者細胞は次いで胎児に治療効果を生み出すのに有効な量で胎児に生体内で 投与される。一般に生産者細胞は胎児に対して約1×104細胞から約1×101 0 細胞、望ましくは約1×107細胞から約1×109細胞、より望ましくは約5 ×107細胞から約1×108細胞の量で投与される。生産者細胞は胎児に全身系 で、例えば腹腔内投与、静脈内投与により、あるいは器官あるいは筋への直接注 射により投与される。投与される生産者細胞の量は、治療される疾病およびその 範囲ならびに発病度を含む各種の要素に依存する。 生産者細胞は患者への投与に適切な調剤許容担体と併用して投与される。担体 は例えば食塩水あるいは緩衝液、もしくは他の等モル水溶液などの液状担体であ ることが出来る。 胎児への生産者細胞投与に際して、生産者細胞はウイルス粒子を生成する。ウ イルス粒子は次いで、例えば造血幹細胞、中枢神経系細胞、および他の組織ある いは器官の細胞などの胎児細胞を形質導入し、これにより形質導入細胞が治療薬 を発現する。 も一つの選択肢において、ウイルス粒子を含むウイルス上澄みが胎児に投与さ れ、これによりそのようなウイルス粒子が前記の胎児細胞を形質導入する。ウイ ルス上澄みは約1×103CFUから約1×1011CFU、望ましくは 約1×104CFUから約1×108CUFの量で投与される。 少くとも1個の核酸配列によりコード化される治療薬は、必ずしもそれに限定 されないが、造血系欠損症、免疫不全、リソソーム蓄積症、レッシュ−ナイハン 病、および白血球付着欠損症を治療するものを含む。治療薬の特異な例は、必ず しもそれに限定されないが、血友病Aを治療する因子VIII;血友病Bを治療 する因子IX;貧血を治療するFACC;αサラセミアを治療するα−グロブリ ン;βサラセミアおよび鎌型赤血球貧血症を治療するβ−グロビン;重症複合型 免疫欠損を治療するアデノシンデアミナーゼ、およびPNP;X染色体免疫不全 を治療するT細胞レセプターα鎖;ゴーシェ病を治療するグルコセレブロシド; ハンター症候群を治療するイドゥロナートスルファターゼ;フルラー症候群を治 療するイドゥロニダーゼ;ファブリー病を治療するα−ガラクトシダーゼ;テイ サックス病を治療するヘキソサミニダーゼAのα−サブユニット;レッシュ−ナ イハン病を治療するHPRT;白血球付着欠損を治療するCD18複合体を含む 。しかしこの発明の範囲は前記の治療薬に限定されるものではない。 更に、この発明の方法は、成長ホルモンおよび疾病に耐性を付与する作用薬な どの治療薬を胎児動物に供給するために胎児動物に適用出来る。加えて、この発 明の方法は、ヒトタンパク質あるいは治療薬をコード化する遺伝子を胎児動物に 提供するために使用される。例えば、胎児動物はヒトヘモグロビンの遺伝子を与 えられ、次いでヒト代用血液を提供するために生まれ た後の動物から収穫される。 またこの発明の方法は遺伝子発現および遺伝子治療のための動物モデルを提供 するために使用される。 これからこの発明は以下の実施例と関連して説明される。しかしこの発明の範 囲はそれにより限定されるものではない。 実施例1 pG1NaSvAdの構築および生産者細胞 ならびにそのウイルス上澄みの生成 A.pG1NaSvAdの構築 プラスミドpG1NaSvAdはプラスミドPG1(図3)から誘導された。 プラスミドpG1はpLNSXから構築された(パーマー、他、血液、73巻、 438−445ページ)。プラスミドpG1の構築戦略は図1で示される。5′ モロニーマウス肉腫ウイルス(MoMuSV)LTRを含む1.6キロベースE coRI断片、および3′LTRを含む3.0キロベースEcoRI/ClaI 断片、細菌複製起点およびアンピシリン耐性遺伝子が個別に分離された。7個の ユニーククローニング部位を含むリンカーが次いでEcoRI/ClaI断片を それ自身で閉じるために使用され、かくしてプラスミドpG0を生成した。プラ スミドpG0は5′LTRを含む1.6キロベースEcoRI断片をpG0のユ ニークEcoRI部位に挿入することでベクタープラスミドpG1(図3)を生 成するために使用された。かくしてpG1(図3)は、 MoMuSVから誘導される5′部分より構成されるレトロウイルスベクターバ ックボーン、真正ATG出発コドンがTAGに突然変異されたgagの短部分( ベンダー、他、1987年)、5′から3′までのEcoRI,NotI,Sn aBI,SalI,BamHI,XhoI,HindIII,ApaI、および ClaIを含む54塩基対多重クローニング部位(MCS)、および塩基対77 64から7813まで(ヴァン ビヴァレン、他、コールド スプリング ハー バー 、2巻、567ページ、1985年で番号を付されたもの)のMoMuLV の3′部分よりなる(図2)。MCSはpG1プラスミド,neor遺伝子,β ガラクトシダーゼ遺伝子,ヒグロマイシン遺伝子、およびSV40プロモーター の非切断制限酵素部位の鑑別にもとづいて最大数のユニーク挿入部位を生成する ように設計された。 「バックボーン」ベクターpG1NaはpG1およびpN2から構築された( アーメンターノ、他、ウイルス学ジャーナル、61巻、1647−1650ペー ジ、(1987年))。pG1NaはEcoRIおよびAsuIIでpN2を切 断し(図4)、neoR遺伝子を含むEcoRI/AsuII断片の末端に充填 し、pG1Naを形成するためにこの断片をSnaBI消化pG1に連結するこ とにより構築された(図5)。 ヒトアデノシンデアミナーゼ(ADA)cDNA配列(エイドリアン、他、 子細胞生物学 、4巻、1712−1717ページ(1984年);ウイッグマン 、他、全米科学 アカデミー紀要 、80巻、7481ページ(1983年);ウイッグマン、他、核酸研究 、12巻、2439ページ(1984年))を含み、SV40プロモー ター(約1.6キロベース)で促進されたSvAd断片が、EcoRIでpB2 SAから切断されたクレノウで平滑末端化された。(SvAdは当業者が利用出 来る他のベクターから利用可能である。望ましくは、それは、カントフ、他、 米科学アカデミー紀要 、83巻、6563−6567ページ(1986年)に記 載されているベクターSAXから得られるであろう)。pG1NaはSalIお よびHindIIIで二重酵素切断によりneoR遺伝子の3′で線形化され、 クレノウで平滑末端化された。SvAd断片は次いでpG1Naに連結され、p G1NaSvAdを形成した(図7)。pG1aNaSvAdの構築の図形は図 6で示される。B.PA317/G1NaSvAd生産者細胞系の生成 一つの生産者細胞系がベクタープラスミドおよびパッケージング細胞から作ら れた。PA317/G1NaSvAd生産者細胞はこれまでの臨床関連レトロウ イルスベクター生産者細胞系を作るために使用されたものと同じ手法により作ら れた。ベクタープラスミドpG1NaSvAd DNAがエコトロピック細胞系 ,PE501に形質移入された。PE501形質移入細胞の上澄みが、次いで両 種性hTK含有パッケージング細胞系(PA317)を形質移入するために使用 された。形質移入生産者細胞系のクローンが、次いでNeoR遺伝子を含むクロ ーンを選択するためにG418含有培地で成育された。ク ローンは、次いでレトロウイルスベクター生産のために滴定された。いくつかの クローンは、次いで更なる検査のために選択され、最後に臨床用として選択され た。 5×105PE501細胞(ミラー、他、バイオテクニク、7巻、980−9 90ページ(1989年)、引用例としてここにとり込まれたもの)は、100 mm皿で10ml高グルコースダルベッコ修飾必須培地(DMEM)成長培地で 皿当り(3mm−100mm皿が形質移入当り必要)10%胎児ウシ血清で補充 されたもので平板培養された。細胞は37℃で5%CO2の雰囲気で一晩保温さ れた。 プラスミドpG1NaSvAdは、次いで下記の手続きで50μgのDNAを 用いるリン酸カルシウム沈殿によりPE501細胞に形質移入された。 50μgのDNA,50μlの10×CaCl2,および450μlの無菌水 が15mlのポリプロピレン管で混合され、50μgのDNA,0.5mlの2 ×PBS(50mMのN−N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエ タン−スルホン酸,280mMのNaCl,1.5mMのNa2HPO4、および 50mMのヘペス、pH6.95を含有するもの)を含む0.25MのCaCl2 溶液を生成し、次いで試験管に加えられ、試験管の内容物はピペットを使って 混合された。DNA溶液は次いで室温で約20分から1時間放置された。1ml のDNA溶液は次いで各培養皿に加えられ、各皿はDNAが平たんな分布になる よう回転された。皿は次いで35℃で3%CO2の雰囲気で一晩培養された。 一晩保温に続く最適沈殿物を持つ培養皿が次いで選択された。培地/DNA沈 殿物は皿から吸引され、5mLのPBSが各皿に加えられた。皿は塩が溶解出来 るように2−3分間放置された。 皿は次いで再びPBSで洗われ、塩および塩溶液が除去された。10mlのH GD10培地が次いで皿に加えられ、皿は37℃で5%CO2雰囲気で約48時 間保温された。 48時間一過性上澄みは、次いで細胞から上澄みを除くことにより形質移入細 胞から収集され、それは15mlのポリプロピレン管に配置された。皿は次いで 5mlのPBSですすぎ洗いされた。PBSが次いで除去され1mlのトリプシ ン−EDTAが各皿に加えられた。3個の15mlポリプロピレン管が次いでそ れぞれ非希釈、1:10、および1:100と標識された。9mlのHGD10 プラス0.8mg/mlのG418が1:10および1:100の管に加えられ た。 細胞がもはや皿に付着しなくなった時、9mlのHGD10および0.8mg /mlのG418が非希釈管に加えられ、その細胞は非希釈管に移された。 次いで細胞の連続希釈が1mlの非希釈細胞を1:10管に加えまた1mlの 1:10細胞を1:100管に加えることにより行われた。細胞は次いで混合さ れた。 10mlのHGD10および0.8mg/mlのG418が6個の100mm 皿のそれぞれに加えられた。1個の皿には、0.5mlの非希釈細胞が加えられ て1:20希釈の細胞が作られ、1個の皿には0.25mlの非希釈細胞が加え られて、 1:40希釈の細胞が作られた。また1個の皿には1.0mlの1:10希釈液 が加えられ、1:100希釈の細胞が作られ、1個の皿には0.2mlの1:1 0希釈液が加えられ、1:500希釈の細胞が作られた。1個の皿には1.0m lの1:100希釈液が加えられ、1:1000希釈の細胞が作られた。またも 一つの皿には0.5mlの1:100希釈液が加えられ、1:2000希釈の細 胞が作られた。 6個の平板の細胞は毎日検査された。培地は大量の細胞死滅が存在する場合に は交換された。このような培地の交換は死滅細胞が殆ど見られなくなるまで繰返 された。この点において、生細胞あるいはコロニーは、コロニーがクローンを見 分けるのに十分なだけ大きくなる(すなわち平板の底から見上げた時にコロニー が裸眼で見える)ような大きさにまで成長させられた。このようなPE501細 胞のコロニーから得られるウイルス上澄みは約5mlから約10mlまでの量で 収集され、冷凍管に入れられ、約−70℃の液体窒素で凍結された。 PA317細胞(ATCCアクセス番号CRL9078)(ミラー、他、分子 細胞生物学 、6巻:2895−2902ページ(1986年))はアメリカ合衆 国特許番号4,861,719号でも説明されているが、これが4.5g/lの グルコース、グルタミン補足体および10%の胎児ウシ血清(FBS)を含むダ ルベッコ修飾必須培地(DMEM)で100mm平板当り5×104細胞の濃度 で平板培養された。 ウイルス上澄みは次いで解凍され、8μg/mlのポリブレ ンがPE501細胞のウイルス上澄みに加えられ、上澄みおよびポリブレンは混 合され0.22μmフィルターユニットを使って注射器に入れられた。DMEM は細胞平板から吸引され、7乃至8mlのウイルス上澄みが一晩感染のため加え られた。 ウイルス上澄みは次いで除去され新鮮10%FBSで置換された。1日後、培 地は10%のFBSおよびG418(800μg/ml)に交換された。平板は 次いでモニターされ、培地は必要な場合には死にかけているか死滅した細胞を除 去するために新鮮10%FBSおよびG418で交換された。平板は更に顕微鏡 なしで皿の底からスキャニングによりG418耐性コロニーの外観を少くとも1 0乃至14日間モニターされた。コロニーが十分大きく見えるようになると、そ れは次いでクローンとして選択された。 培地は次いで皿から吸引され、5mlのPBSで置換された。細胞は次いです すぎ洗いされ、大抵のPBSが吸引された。約0.5から1.0mlのPBSは それが湿潤を保つために平板に残された。クローニングリングが次いですべての 選択コロニーに配置された。2滴のトリプシン−EDTA2が次いで各クローニ ングに置かれた。皿は次いで恒温器内に配置され、細胞が皿から離れるまで定期 的に軽くたたかれた。5mlのHGD10プラス0.8mg/mlのG418が 6個のウエル皿に必要とされるのと同じだけのウエルに加えられた。 各コロニーの細胞が皿からとり出された時、2滴のHGD10が各クローニン グリングに加えられる。次いでピペットが 200μlに設定され、すべての細胞を除去するためにクローニングリングに挿 入された。細胞は次いで6個のウエル皿のウエルの1個に移された。この方法が すべての望ましいクローンが採集されるまで繰返された。6個のウエル皿は37 ℃で5%CO2雰囲気で保温された。 クローンは次いで密集成長を観察された。クローンが密集あるいは殆ど密集す ると、そのクローンはトリプシン化され100ml皿で拡張された。 拡張クローンが約90%密集化した時、古い培地は除去され、10mlの新鮮 HGD10培地で置換された。皿は恒温器に戻され20乃至24時間保温された 。 この保温の後、上澄みは皿から除去され、15mlのポリプロピレン管に入れ られた。管は1,200乃至1,500rpmで5分間遠心分離され、上澄みに あったどの細胞もペレットでとり出された。 上澄みは次いで6個の冷凍小びんにアリコートされた(1ml/小びん)。ア リコートは液体窒素で貯蔵された。5mlのPBSが皿に加えられ、細胞はすす ぎ洗いされた。 細胞が皿からとり出された時、9mlのHGD10が細胞に加えられ、細胞は 15mlのポリプロピレン管に移された。細胞は1,200乃至1,500rp mで5分間遠心分離によりペレット化された。 培地は細胞ペレットで吸引された。ペレットは次いで1mlのHGD10およ び1mlの2×DMSO凍結培地で再懸濁され、1mlの細胞が2個の冷凍小び んのそれぞれにアリコート された。冷凍小びんはドライアイスの上に置かれ、凍結すると液体窒素に移され た。 前記の方法を通じて、もっとも高い力価のクローンが生産者細胞系PA317 /G1NaSvAd.24と名付けられ、生産者細胞のマスター細胞バンクを生 産するのに使用された。C.凍結保存されたウイルス上澄みの生産 PA317/G1NaSvAd.24細胞は37℃で解凍され、凍結保存ジメ チルスルホキシド(DMSO)により細胞への損傷を避けるため出来るだけ速や かに再培養される。 1個の実用細胞バンク冷凍小びんの内容物が高グルコース(4.5g/l)D MEMおよび10%のFBSと2mMのグルタミンを含む25mlの培地を含む T75フラスコに設置される。このフラスコの内容物は次いで4個乃至10個の 75cm2フラスコに分割される。このフラスコの内容物が次いで更に75cm2 のフラスコに分割出来る。細胞が約90%密集した時、すべてのフラスコの培地 が交換される。 上澄みは次いでフラスコから採集され、1個の大型スピナ型フラスコにプール される。サンプルがとり出され、マイコプラスマスクリーニングにかけられる。 残った上澄みは0.22ミクロンフィルターを通して濾過され、プールされ(サ ンプルが追加ロット放出検査のためとられ)、最終コンテナにアリコートされる 。各フラスコに更に培地が加えられる。 1日後、再び上澄みがフラスコから採取され、プールされ、前記の通り濾過さ れる。この方法は翌日再び繰返される。上澄みがアリコートされかつ標識され、 フリーザー内で−70℃で 貯蔵される。 実施例2 pG1TkSvNaの構築およびその生産者 細胞系の生成 A.pG1TkSvNaの構築 以下はpG1TkSvNaの構築を記述し、その図解は図10で示される。こ のベクターはレトロウイルスプロモーターおよび細菌遺伝子、SV40プロモー ターで駆動されるネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(NeoR)により調 節されるI型単純ヘルペスウイルスより得られるチミジンキナーゼ(hTK)遺 伝子を含有する。hTK遺伝子はDNA類似体アシクロビルおよびガンシクロビ ルに感受性を与え、一方NeoR遺伝子産物はネオマイシン類似体、G418に 耐性を付与する。 pG1TkSvNaを作るために、3段階クローニング戦略が使用された。ま ず、単純ヘルペスチミジンキナーゼ遺伝子(Tk)がpG1Tkを生産するため にG1プラスミドバックボーンにクローンされた。第二にNeoR遺伝子(Na )がpSvNaを作るためにプラスミドpSvBgにクローンされた。最後にS vNaがpSvNaから切除され、pG1TkSvNaを生産するためにpG1 Tkに連結された。 pG1は実施例1で記述されたように構築された。 pBg(図8)を構築するために、β−ガラクトシダーゼ をコード化する3.0キロベースのBamHI/EcoRI lacZ断片がp MC1871(ファルマチア)から分離された。この断片はβ−ガラクトシダー ゼ読み取り枠の5′および3′最末端を欠いている。完全lacZ読み取り枠を 復旧しlacZ遺伝子の各末端に制限部位を加えるリンカーが合成され、Bam HI/EcoRI lacZ断片に連結され NdeI−SphI−NotI−SnaBI−SalI−SacII−AccI −NruI−BgIII−III27塩基対リボソーム結合シグナル−コザック 共通配列/NcoI−l EcoRI−lacZ読み取り枠の最後の55塩基対−Xho カーの制限部位は、それらがネオマイシン耐性遺伝子、βガラクトシダーゼ遺伝 子、ヒグロマイシン耐性遺伝子、あるいはSV40プロモーターに存在しないた めに選択された。27塩基対リボソーム結合シグナルは5′リンカーに含まれて いたが、それはmRNAの安定性を高めるものと考えられていたためであった( ハーゲンビュッヒレ、他、細胞、13巻:551−563ページ、1978年、 およびローレンスならびにジャクソン、分子生物学ジャーナル、162巻、31 7−334ページ、1982年)。コザック共通配列(5′−GCCGCCAC CATGG−3′)はmRNA翻訳のシグナル開始を示している(コザック、 酸研究 、12巻:857− 872ページ、1984年)。コザック共通配列はATG翻訳開始コドンを標識 するNcoI部位を含む。 pBR322(ボリバー、他、遺伝子、2巻:95ページ、1977年)はN deIおよびEcoRIで消化され、アンピシリン耐性遺伝子および細菌複製起 点を含む2.1キロベースの断片が分離された。前記の連結5′リンカー−la cZ−3′リンカーDNAはpBg生成のためpBR322NdeI/EcoR Iベクターに連結された。pBgはシャトルプラスミドとして有用であるが、そ れはlacZ遺伝子を切除することが出来、lacZ遺伝子の5′および3′末 端に存在するいずれの制限部位にもも一つの遺伝子を挿入出来るからである。こ れらの制限部位はpG1プラスミド内で反復されるために、シャトルプラスミド 構築物内でlacZ遺伝子あるいはそれと置換する遺伝子はたやすくpG1に移 動することが出来る。 I型単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子(ジェンバンク アクセス 番号V00467、引用例としてここにとり込まれたもの)を含む1.74キロ ベースBg1II/PvuII断片はpX1プラスミド(ヒューバーマン、他、エキスポウネンシャル細胞研究 、153巻、347−362ページ(1984年 )、引用例としてここにとり込まれたもの)から切除され、DNAポリメラーゼ Iの大型(クレノウ)断片で平滑化され、pG1多重クローニング部位のユニー クSnaBI部位に挿入され、プラスミドpG1Tkを形成した(図9)。 プラスミドpSV2Neo(サザン、他、分子応用遺伝学 ジャーナル 、1巻:327−341ページ(1982年))から得られる339 塩基対PvuII/HindIII SV40初期プロモーター断片は、次いで ユニークNruI部位のpBgに挿入され、プラスミドpSvBgを生成した( 図5)。pSvBgプラスミドはlacZ遺伝子を除去するためにBg1II/ XhoIで消化され、その末端はクレノウ断片を使って平滑化された。ネオマイ シン耐性遺伝子のコーディング配列を含む852塩基対EcoRI/AsuII 断片はpN2(アーメンターノ、他、ウイルス学ジャーナル、61巻、1647 −1650ページ(1987年))から除去され、クレノウ断片で平滑化され前 記の生成された2.5キロベース平滑Bg1II/XhoI断片に連結され、p SvNaを生じた。SV40プロモーター/ネオマイシン耐性遺伝子カセットは 次いで1191塩基対Sa1I/HindIII断片としてpSvNaから除去 された。pG1Tkプラスミドは次いでSa1I/HindIIIで消化され、 SV40/neor断片に連結され、pG1TkSvNaを生成した(図10) 。B.生産者細胞系PAT2.4/G1TkSvNa.90の生成およびそのウイ ルス上澄みの生成 生産者細胞系PAT2.4/G1TkSvNa.90は、生産者細胞系PA3 17/G1NaSvAd.24を調製する実施例1で開示された方法に従って調 製され、パッケージング細胞系PA317に代りパッケージング細胞系PAT2 .4が使用されたことのみが異なっていた。PAT2.4は、 ミラー、他、分子細胞生物学、6巻:2895−2902ページ(1986年) およびミラーに許可された1989年8月29日付アメリカ合衆国特許番号4, 861,719号で開示されたPA317の調製方法に従って作られ、これらの 開示はここに引用例としてとり込まれているが、ここでも選択マーカを提供する ため単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子の代りにNIH 3T3 T K−マイナス細胞がヒグロマイシン耐性遺伝子と同時形質移入され、またパッケ ージング細胞系がオリゴ−クローナル集団から選択されたことが異なっていた。 この方法は以下のように要約される。NIH 3T3 TK−マイナス細胞の 集団が標準のCaPO4横断区法を用いて20:1の比率で2種のプラスミドD NAと同時形質移入された。第一のプラスミドはpPAM3(ATCCアクセス 番号40234)であり、これは両種性マウス白血病ウイルスのプロモーター、 gag,pol、およびenv配列を含んでいる。DNAの70マイクログラム が使用された。第二のプラスミドはPY3であり、これはヒグロマイシン耐性遺 伝子を含んでいた(ヒグロマイシン耐性遺伝子は更に当業者の利用出来る他のプ ラスミドでも見出される)。細胞の集団はヒグロマイシンから選択され、またヒ グロマイシン耐性遺伝子は一次および二次種子ロットとして凍結された。集団は ウイルス包膜発現を解析され、またパッケージング機能は高力価ベクターを探す ためにTKベクター生産者細胞クローンで分析された。オリゴ−クローナル集団 は1個の24ウエル平板にウエル当り5−10 細胞、およびも一つの平板にウエル当り10−20細胞を播種することで創り出 された。全部で46集団が創り出された。各オリゴクローンは拡張され凍結され た。各集団は実施例1の手法に従ってネオマイシン耐性遺伝子を含むプラスミド pG1TkSvNaで形質移入されたパッケージング細胞PE501から得た上 澄みで生産者集団を創り出すことにより、パッケージング効率を個別に分析され た。高力価生産者細胞系を生産し得る一つのサブ集団が実施例1の方法に従って 確認され、PAT2.4/G1TkSvNa.90と名付けられた。 G1TkSvNaを含むウイルス上澄みが実施例1に従ってこの生産者細胞か ら調製された。 実施例3 A.ヒツジ胎児への遺伝子転移 妊娠日の判明している10匹の雌ヒツジが手術のため飼料を48時間、水を1 8乃至24時間差し控えて準備された。各雌ヒツジは筋肉内へのケタミン(10 mg/kg)投与で鎮静化され、また0.5乃至10%のハロタン−酸素吸入混 合剤を気管内挿入管経由で与えられた。各動物は静脈液および抗生物質を手術中 に受けた。子宮は下部正中切開で露出され、各胎児は子宮筋層および卵膜の小さ い子宮切開および横経切開を通じてアクセスされた。羊膜は無傷で残された。胎 児は次いで視覚化され、また羊膜塊の中にゆっくりと手で押し込まれた。胎児は 次いでやわらかな圧力の下で塊内での注射のために固 定された。この時点で胎児は完全に視野の中にあり、それが注射細胞あるいはウ イルス上澄みが腹腔内に留まることを確実なものとする。ヒツジは以下のものの 一つを注射された:(i)1×104CFU/mlの力価を持つG1NaSvA d.24から得る2mlのウイルス上澄み;(ii)1mlの5×107PA31 7/G1NaSvAd.24生産者細胞;(iii)セシウムイラジエーターで3 ,000ラドの照射を受けた1mlの5×107PA317/G1NaSvAd .24生産者細胞;(iv)2mlの1×108PAT2.4/G1TkSvNa .90生産者細胞;(v)1ml含有の5×107PAT2.4/G1TkSv Na.90生産者細胞;(vi)セシウムイラジエーターで3,000ラドの照射 を受けた2ml含有1×108PAT2.4/G1TkSvNa.90生産者細 胞;(vii)1mlの5×107PA317パッケージング細胞;(viii)1ml の5×107PAT2.4パッケージング細胞;あるいは(ix)2ml含有1× 108PAT2.4パッケージング細胞。各雌ヒツジの胎児は以下の表Iで示さ れるようにウイルス上澄みあるいは細胞を注射された。 注射の後、各胎児は最初の羊膜隙に戻され、子宮筋層は二層で閉じられた。す べての切開部の閉鎖に続き、各雌ヒツジは48時間観察され、また更なる実験が 行われない限り妊娠期間の残りを送るため大きい家畜設備に戻された。生存する 各雌ヒツジは分娩予定日の前1週間検査された(正常な妊娠は145日間である )。注射を受けた17匹の胎児の内、G1NaSvAd.24ウイルス上澄みで 注射された3匹が生きて生まれた。非放射線照射PAT2.4G1TkSvNa .90の注射を受けた2匹が生きて生まれた。放射線照射生産者細胞を注射され た4匹(内2匹はPA317/G1NaSvAd.24照 射生産者細胞、また2匹はPAT2.4/G1TkSvNa.90照射生産者細 胞)が生きて生まれた。B.neoRおよび単純ヘルペスチミジンキナーゼ遺伝子の存在を確認する検定 手順 生まれた後の各時点で、CFU−E,BFU−E,CFU−GM、あるいはC FU−Mix骨髄細胞(これらすべては造血幹細胞である)が各ヒツジから採取 され、G418の存在下で細胞を培養することによりneoR遺伝子の発現、お よびもしくはガンシクロビルの存在下で細胞を培養することによる単純ヘルペス チミジンキナーゼ(TK)遺伝子の発現が解析された。 CFU−E細胞およびBFU−E細胞は以下のような血漿凝固培養検定で検査 された。 ヒツジからの全骨髄が15mlの遠心分離管に転移され、この管は1,600 rpmで10分間回転された。軟層が除去され、骨髄はイスコーブ溶液で15m lにまで引上げられた。細胞は次いで5mlのフィコール緩衝液上で層にされ、 30分2,000rpmで回転された。単核層が除去され、残存細胞は2回イス コーブ溶液で洗われた。細胞は5mlのイスコーブ溶液で再懸濁され、計数され た。下記の成分を含む培地が次いで各血漿凝固培養のために形成された: 100μl L−アスパラギン 300μl ウシ胎児血清 100μl α−チオシアネート B 30μl エリトロポイエチン 100μl 4×トロンビン 630μlのこの混合物はピペットで各管に注入された。細胞の量は2×105 細胞を得るのに必要なものとして計算された。0mg/ml,0.5mg/m l,1.0mg/ml,1.5mg/ml,2.0mg/ml,2.5mg/m l、あるいは3.0mg/mlの量のG418、およびもしくはガンシクロビル の0μM,3μMあるいは6μMが各管に加えられた。単純ヘルペスチミジンキ ナーゼ遺伝子を発現する細胞を殺すために、ガンシクロビルが単純ヘルペスチミ ジンキナーゼと相互作用する。各管のイスコーブ溶液量は、細胞を含め管の最終 量が1mlになるように計算された。イスコーブ溶液が管に加えられ、続いてG 418およびもしくはガンシクロビル、その後細胞が加えられた。凝固を促進す る100μlのクエン酸塩添加血漿が加えられる。管内容物は1mlのピペット を使って内容物を上下に動かすことで混合され、そして200μlの内容物はそ れぞれ8個の血漿凝固ウエルに分配される。4個のウエルは1個の6ウエル平板 にあり、また4個のウエルはも一つの6ウエル平板にある。 前記の手続きはすべてのサンプルで繰返される。水が6ウエル平板の上のウエ ルの間の空隙に加えられ、また平板は細胞が収穫出来るよう準備が整うまで恒温 器に置かれる。 凝塊を収穫するために平板が恒温器からとり出され、頭巾をかけて10分間放 置される。この間にPO3緩衝液がペトリ皿に置かれる。 被覆スライドが次いでカフェテリアトレーに設置され、標識される。4個の凝 塊が各グループから同じスライドにのるよう とり上げられ、凝塊がお互いに接触しないようにオフセット模様に配列される。 次いで濾紙がPO3緩衝液に浸漬され、一片が各スライドの上に置かれる。濾 紙およびスライドは1乃至2分そのまま放置される。 大型のバクスター濾紙が次いで用意され、すべてのスライドの上にかけられる 。この濾紙は、余分の緩衝液を吸い取るようにしっかり押しつけられる。大型濾 紙は捨てられ、3%のグルタルアルデヒドが各スライドのPO3緩衝液被覆濾紙 に噴出される。スライドおよび濾紙は1分放置される。スライドの濾紙は除去さ れ廃棄される。スライドは乾燥ラックに置かれ、染色の前に乾燥される。各スラ イドは次いでメタノールで1分処理され、次いでベンジジン1%入りメタノール で5分処理される。各スライドは次いでペルオキシダーゼで3分処理され、次い で蒸留水で1分洗われる。各スライドは次いでヘマトキシリンで8分染色され、 次いで冷たい生水の下で10分置かれる。 CFU−GMおよびCFU−Mixコロニーは以下のようなメチルセルロース 培養検定で単純ヘルペスチミジンキナーゼ遺伝子のネオマイシン耐性あるいは発 現を評価された。 骨髄吸引液がヒツジからとり出され、10mlの骨髄(IMDMで1:3に希 釈したもの)を5mlのフィコール−ハイパーク緩衝液のクッションの上に重ね ることで分離された。管は1,500rpmで30分遠心分離された。単核画分 は無菌移入ピペットで除去され、IMDEMで2回洗われた。細胞は ペレットにされ2×105細胞/mlで培養された。各平板は でいた。 1.6mlのメチルセルロース(ジブコ社) 60μlのエリトロポイエチン (最終濃度50ユニット/ml) 100μlのヒツジ植物性血球凝集素刺激白血球馴化培地 (PHA−LCM) 4×105細胞 G418およびもしくはガンシクロビル 最終量を2mlとするためのIMDM G418が、0mg/ml,0.5mg/ml,1.0mg/ml,1.5m g/ml,2.0mg/ml,2.5mg/mlおよび3.0mg/mlの濃度 で平板に加えられ、およびもしくはガンシクロビルが0μM,3μM、あるいは 6μMで加えられた。これらの平板は次いで7日(CFU−GM)、および12 日(CFU−Mix)培養され、コロニーは解体範囲の下で計数された。 実施例4 コロニー形成に対するG418の効果は、実施例3の検定手続きに従って、生 産者細胞あるいはウイルス上澄みを与えられなかった6匹の新生対照ヒツジから 採られたCFU−Mix,BFU−E,CFU−GM、およびCFU−E細胞と の関連で評価された。6匹のヒツジから採られた各タイプの全コロニー 数が計数された。その結果は図11で示される。これらのヒツジはまた生誕7ケ 月および17ケ月後にも評価された。生誕7ケ月および17ケ月後の結果はヒツ ジが新生の時と同じであった。 実施例5 生きて生まれ、現在7ケ月の月齢(ウイルス上澄みあるいは生産者細胞の腹腔 内投与の10ケ月後)である3匹のヒツジのCFU−Mix,BFU−E,CF U−GM、およびCFU−E細胞に対するG418の効果が評価され、生産者細 胞あるいはウイルス上澄みを何も与えられなかった6匹の対照ヒツジのCFU− Mix,BFU−E,CFU−GM、およびCFU−E骨髄細胞に対するG41 8の効果と比較された。この実験においては、3匹の加療ヒツジの1匹はG1N aSvAd.24ウイルス上澄みを受け、1匹のヒツジは5×107照射PA3 17/G1NaSvAd.24生産者細胞を受け、また1匹は5×107PAT 2.4/G1TkSvNa.90生産者細胞を受けた。各ヒツジに対して、各細 胞タイプのG418耐性コロニーの割合は、実施例3の検定手続きに従って測定 され、G418耐性コロニーの平均割合が各ヒツジで計数された。G418耐性 の平均割合は、次いで0mg/ml,0.5mg/ml,1.0mg/ml,1 .5mg/ml,2.0mg/ml,2.5mg/ml、および3.0mg/m lの濃度でG418に対してヒツジの(対照あるいは加療)各グループに対し計 数された。G418の用量を変更した対照ヒツジおよび 加療ヒツジにおけるG418耐性コロニーの割合が図12で与えられる。 実施例6 月齢6ケ月の4匹のヒツジが、実施例3の検定手続きに従って2mg/mlの G418の存在下でG418耐性CFU−E,BFU−E、およびCFU−GM 細胞の存在を評価された。ヒツジ1は5×107PAT2.4/G1TkSvN a.90生産者細胞を受けた。ヒツジ2は1×108PAT2.4/G1TkS vNa.90生産者細胞を受けた。ヒツジ3は1mlの1×104CFU/ml のG1NaSvAd.24ウイルス上澄みを受け、またヒツジ4は5×107照 射PA317/G1NaSvAd.24生産者細胞を受けた。2mg/mlのG 418に対する各ヒツジから得た細胞の耐性割合は以下の表IIで与えられる。 実施例7 生きて生まれ、生産者細胞を受け、neoR遺伝子を発現す るウイルス粒子を生産するすべてのヒツジは、またウイルス上澄みを受けた生き て生まれたすべてのヒツジは、前記記載の実施例3および5の検定に従って骨髄 細胞のG418耐性コロニーを20ケ月にわたりモニターされた。すべての細胞 タイプ、および従ってウイルス上澄みあるいは生産者細胞を受けたすべてのヒツ ジのG418耐性細胞の平均パーセントが計数された。このようなモニターによ る結果が図13で示されている。 実施例8 BFU−EおよびCFU−GM細胞に対するG418およびガンシクロビル( GCV)の効果が前記実施例3の前記検定手続きに従って前記表IIのヒツジ1で 測定された。供試細胞は3mg/mlの濃度のG418、およびもしくは6μM の量のガンシクロビルと接触させられた。この結果は図14で示される。 図14で見られるように、G418あるいはガンシクロビルのいずれも投与さ れない場合と、ガンシクロビルが投与される場合のコロニー量の間の差異は、基 本的にはG418耐性コロニーの数と等しい。かくして、ガンシクロビルがネオ マイシン耐性の細胞すべてを死滅させることが暗示される。G418およびガン シクロビルが培地に存在する場合には、基本的には細胞コロニーは形成されず、 これはG418耐性の細胞がガンシクロビルに対し感受性であることを示してい る。 実施例9 生きて生まれ、neoR遺伝子を帯同する生産者細胞あるいはウイルス上澄み を与えられたすべてのヒツジにおけるneoR発現の割合は、20ケ月にわたり CFU−Mix,CFU−GM,BFU−E、およびCFU−E細胞との関連で モニターされた。すべてのヒツジの各タイプの細胞に対するG418耐性の平均 割合が計数され、その結果が図15で与えられる。 実施例10 5×107照射PA317/G1NaSvAd.24生産者細胞を受けた1匹 のヒツジが、生産者細胞の注射13ケ月後(あるいは生誕10ケ月後)に犠牲に された。PCR検定が次いでneoR遺伝子の存在を検定のため、肺、肝臓、腎 臓および精巣から分離されたDNAについて行われた。PCR検定は以下のよう に行われた。 300ナノグラムの全グラムDNAが、サイキ、他、サイエンス、230巻、 1350−1354ページ(1985年)に記載されたポリメラーゼ連鎖反応( PCR)の手法により、一部反応成分を下記のように変更を加えて分析が行われ た:使用されたPCRプライマーは0.5μMのプライマー1および0.5μM のプライマー2であった。dATP,dCTP、およびdGTPは150μMで 使用された。製品繰越しが偽陽性へと導く機会をとり除くために、dUTP(6 00μM)がdTTPの代りにされ、ワン、他、アメリカ血液学ジャーナ 、40巻、146−148ページ(1992年)の方法に従って、反応は増幅 の前にウラシル−DNA−グリコシラーゼ(UDG)で処理された。MgCl2 が5mMで使用され、2.5ユニットのアンプリタックDNAポリメラーゼ(す べてのPCR試薬はパーキン エルマーから購入された)が各50μlの反応液 に加えられた。プライマー1は次の配列を持つ: 5′−GGT GGA GAG GCT ATT CGG CTA TGA−3′ プライマー2は以下の配列である。 5′−ATC CTG ATC GAC AAG ACC GGC TTC−3′ これらのプライマーは、ネオマイシン耐性遺伝子の440塩基対断片を増幅する 。サンプルはUDGを不活性化するため95℃で10分加熱された100ulの 鉱油の上に置かれ、次いで40サイクルのPCRを受けた。 反応は自動PCR温度サイクリングブロック内で進められ、それは95℃で1 分DNAの変性を可能にし、プライマーを65℃で1.5分アニーリングし、プ ライマーを72℃で1.5分拡張し、またプライマーを72℃で1.5分拡張し た。40回目のサイクル終了後、増幅産物が完全に拡張出来るように、また残存 UDGに起因する損傷を阻止するために、反応は72℃で保持された。反応でク ロロホルム抽出が行われ、15μlの各生成水相が2%のアガロースゲル上にの せられ、トリスアセテート−EDTA内で電気泳動された。 精巣および腎臓から得たDNAのPCR分析は、両組織がneoR遺伝子を含 有していたことを示した。しかし腎臓およ び精巣ゲノムにおけるプロウイルスの存在は、そのような器官が試験に対し何ら 病的状態の徴候を示さなかったので、動物に対し何も有害な効果をもたらすよう には見えなかった。このような結果は、操作レトロウイルスの胎児への直接注射 は、外来遺伝子を成長する胎児にデリバリし、受容体を危険にさらすことなく長 期の発現を達成する実現可能な手段であることを示している。 実施例11 5×107照射PA317/G1NaSvAd.24生産者細胞を受けた1匹 のヒツジが生産者細胞注射18ケ月後(あるいは生誕15ケ月後)に犠牲にされ た。PCR検定が次いでneoR遺伝子の存在を知るため、脳から分離されたD NAで行われた。PCR検定は実施例10で説明された通りに行われた。 脳のDNAのPCR分析は、脳細胞がneoR遺伝子を含有していることを示 した。かくして操作レトロウイルスの胎児への直接注射が遺伝子を成長する胎児 の脳までデリバリ出来ることが示された。 ここで引用されたすべての文献がここに引用例としてとり込まれる。 しかし、この発明の範囲は前記の特異な実施例により限定されるものでないこ とは理解されねばならない。この発明は特に記載されたもの以外にも実施するこ とが可能であり、しかも以下に示される特許請求の範囲内にある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI A61K 38/16 9051−4C A61K 37/02 38/43 9051−4C 37/04 9051−4C 37/20 (72)発明者 モリス,ライザ,エム. アメリカ合衆国,20872 メリーランド, ダマスカス,トラリー コート 25105 (72)発明者 ザンジャーニ,エズマイル,エム. アメリカ合衆国,98511 ネバダ,レノ, スライド マウンテン サークル 4360

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.胎児に生体内遺伝子治療を行う一つの方法であって、一つの治療薬をコード 化する少くとも1個の核酸配列で生体内胎児細胞を形質導入することよりなるこ とを特徴とする方法。 2.請求の範囲第1項記載の方法であって、ここで前記胎児細胞が一つの治療薬 をコード化する前記の少くとも1個の核酸配列を含む一つのウイルスベクターで生体内 形質導入されることを特徴とする方法。 3.請求の範囲第2項記載の方法であって、ここで前記ウイルスベクターが一つ のレトロウイルスベクターであることを特徴とする方法。 4.請求の範囲第3項記載の方法であって、ここで胎児細胞の前記生体内形質導 入が前記レトロウイルスベクターを生成する前記胎児生産者細胞に投与すること によって行われることを特徴とする方法。 5.胎児に生体内遺伝子治療を行う一つの方法であって、一つの治療薬をコード 化する少くとも1個の核酸配列を含む一つのレトロウイルスベクターで生体内胎 児細胞を形質導入することよりなることを特徴とする方法。 6.請求の範囲第5項記載の方法であって、ここで前記胎児細胞の生体内形質導 入が前記レトロウイルスベクターを生成する前記胎児生産者細胞に投与すること によって行われることを特徴とする方法。 7.請求の範囲第3項記載の方法であって、ここで胎児細胞の 前記生体内形質導入が前記レトロウイルスベクターを含む一つのウイルス上澄み を前記胎児に投与することにより行われることを特徴とする方法。 8.請求の範囲第5項記載の方法であって、ここで胎児細胞の前記生体内形質導 入が前記レトロウイルスベクターを含む一つのウイルス上澄みを前記胎児に投与 することにより行われることを特徴とする方法。 9.請求の範囲第4項記載の方法であって、ここで前記生産者細胞が腹腔内に投 与されることを特徴とする方法。 10.請求の範囲第6項記載の方法であって、ここで前記生産者細胞が腹腔内に 投与されることを特徴とする方法。 11.請求の範囲第7項記載の方法であって、ここで前記ウイルス上澄みが腹腔 内に投与されることを特徴とする方法。 12.請求の範囲第8項記載の方法であって、ここで前記ウイルス上澄みが腹腔 内に投与されることを特徴とする方法。
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